JPH07135986A - ヒノキ科植物の組織培養による有用物質の生産方法 - Google Patents
ヒノキ科植物の組織培養による有用物質の生産方法Info
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- JPH07135986A JPH07135986A JP3074590A JP7459091A JPH07135986A JP H07135986 A JPH07135986 A JP H07135986A JP 3074590 A JP3074590 A JP 3074590A JP 7459091 A JP7459091 A JP 7459091A JP H07135986 A JPH07135986 A JP H07135986A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 ヒノキ科植物の組織培養による有用物質の生
産を行うに際し、カルスの培養速度を速め、大量生産さ
せること。 【構成】 ヒノキ科植物の細胞培養による有用物質生産
を平板培地上で行う際、その培地固化剤がジェランガム
等の精製度の高い培地固化剤を用いる。又はヒノキ科植
物の細胞培養による有用物質生産を液体培地上で行う
際、その培地の無機成分、有機成分、糖、植物調節物質
等の栄養塩濃度を30,000ppm以下にする。
産を行うに際し、カルスの培養速度を速め、大量生産さ
せること。 【構成】 ヒノキ科植物の細胞培養による有用物質生産
を平板培地上で行う際、その培地固化剤がジェランガム
等の精製度の高い培地固化剤を用いる。又はヒノキ科植
物の細胞培養による有用物質生産を液体培地上で行う
際、その培地の無機成分、有機成分、糖、植物調節物質
等の栄養塩濃度を30,000ppm以下にする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒノキ科植物の組織培
養による有用物質の生産を行うに際し、カルスの培養速
度を速め、大量生産させることによるヒノキ科植物の有
用物質生産方法に関するものである。
養による有用物質の生産を行うに際し、カルスの培養速
度を速め、大量生産させることによるヒノキ科植物の有
用物質生産方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、植物の有用物質を組織培養により
大量生産する工業化への応用は、シコニン及びニンジン
等の草本性植物に於いては周知のものである。一方、木
本類であるヒノキ科植物の細胞培養による有用物質の生
産方法としては、特開平2−27991号公報及び特開
平2−171181号公報に示される方法が周知である
が、草本類である植物細胞培養とは異なり、木本類で
は、植物自体の成長期間が長いことからもわかるよう
に、細胞の分裂速度は遅いものであったり、細胞誘導も
困難なものであったために、現在大量生産することによ
る工業化への応用までは至っていないのが現状である。
大量生産する工業化への応用は、シコニン及びニンジン
等の草本性植物に於いては周知のものである。一方、木
本類であるヒノキ科植物の細胞培養による有用物質の生
産方法としては、特開平2−27991号公報及び特開
平2−171181号公報に示される方法が周知である
が、草本類である植物細胞培養とは異なり、木本類で
は、植物自体の成長期間が長いことからもわかるよう
に、細胞の分裂速度は遅いものであったり、細胞誘導も
困難なものであったために、現在大量生産することによ
る工業化への応用までは至っていないのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記ヒノキ科植物の細
胞培養による有用物質の生産方法に関しては、培養細胞
の成育速度が遅いものであったために、草本類とは異な
り、一定期間の培養細胞による有用物質の物質生産量は
産業上応用できるものではなく、現在使用されているヒ
ノキ科植物の有用物質の内、例えばヒノキオールは、天
然品と合成品の両方があり化粧品、医薬品、医薬部外
品、食品等に広く汎用され、天然品は、天然の樹木より
得られるため、その品質及び含有量は一定したものでは
なく、また、その生産数量は少量であり、高価なもので
あった。また、合成品は、用途に限定がされ、例えば、
食品添加物の防腐剤としては使用できないものである。
更に、合成品は、天然品の有する殺菌又は細胞賦活等の
効果に関してその効果は劣るものであった。
胞培養による有用物質の生産方法に関しては、培養細胞
の成育速度が遅いものであったために、草本類とは異な
り、一定期間の培養細胞による有用物質の物質生産量は
産業上応用できるものではなく、現在使用されているヒ
ノキ科植物の有用物質の内、例えばヒノキオールは、天
然品と合成品の両方があり化粧品、医薬品、医薬部外
品、食品等に広く汎用され、天然品は、天然の樹木より
得られるため、その品質及び含有量は一定したものでは
なく、また、その生産数量は少量であり、高価なもので
あった。また、合成品は、用途に限定がされ、例えば、
食品添加物の防腐剤としては使用できないものである。
更に、合成品は、天然品の有する殺菌又は細胞賦活等の
効果に関してその効果は劣るものであった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、ヒノキ科植物
の細胞培養による有用物質の生産を行うにあたり、培養
細胞の成育速度の効果的な促進をさせることを目的とし
て研究を続けた結果、ヒノキ科植物の切片を培養し、カ
ルスを誘導せしめた後、継代培養を行うに際し、大量に
カルスを生産させ、得られたカルスより、ヒノキ科植物
の有用物質のうち、α−ツヤプリシン、β−ツヤプリシ
ン(ヒノキチオール)、γ−ツヤプリシン、ヌートカチ
ン等のトロポロン類を抽出、精製するという細胞培養に
よる有用物質生産方法を提案するものである。
の細胞培養による有用物質の生産を行うにあたり、培養
細胞の成育速度の効果的な促進をさせることを目的とし
て研究を続けた結果、ヒノキ科植物の切片を培養し、カ
ルスを誘導せしめた後、継代培養を行うに際し、大量に
カルスを生産させ、得られたカルスより、ヒノキ科植物
の有用物質のうち、α−ツヤプリシン、β−ツヤプリシ
ン(ヒノキチオール)、γ−ツヤプリシン、ヌートカチ
ン等のトロポロン類を抽出、精製するという細胞培養に
よる有用物質生産方法を提案するものである。
【0005】以下本発明を更に詳しく説明する。 使用する樹木について、本細胞培養に用いるヒノキ
科植物は、アスナロ属アスナロ(Thujopsis
dolabrata)、アスナロ属ヒノキアスナロ
(T.dolabrata var. honda
i)、ネズミサシ属イブキ(Juniperus ch
inensis)、ネズミサシ属ハイネズ(J.con
eferta)、クロベ属クロベ(Thujastan
dishii)、クロベ属ウェスタン・レッド・シーダ
ー(T.plicata)、インセンスシーダー属イン
センスシーダー(Libocednus decurr
ens)、タイワンヒノキ(Chamaecypari
s obtusa var. fromsand)、イ
トスギ属メキシコイトスギ(Cupressus lu
sitanica Mill.)がよく、好ましくは、
イトスギ属メキシコイトスギ(C.lusitanic
aMill.)が細胞の増殖率がよいものであるが、特
に限定されるものではない。 カルス誘導について、次にカルス誘導に供されるヒ
ノキ科の上記植物の一部を水洗いし、エタノール、塩化
ベンザルコニウム、次亜塩素酸ナトリウム等の殺菌剤を
用いて殺菌し、減菌洗浄水で洗浄したのち無菌的に細片
を作り平板培地上に置床し、カルス誘導を行う。 培地について、次にカルス誘導又はカルスの継代培
養によるカルス増殖及び有用物質生産に使用する培地と
しては、必須多量要素としてN,P,K,Ca,Mg,
Sを含む培地であれば使用可能であり、基本培地として
一般的に用いられるMS培地、LS培地、B5培地等の
植物細胞培養に使用される基本培地に、ビタミン類等の
有機物質、炭素源、エネルギー源として糖、更に植物成
長調節物質を加えた培地を用いる。ここで、植物調節物
質としては、オーキシン及びサイトカイニンを用いる
が、オーキシンとしては、インドール酢酸、インドール
酪酸、ナフタレン酢酸、2,4−ジクロロフェノキシ酢
酸等がよく、好ましくは、インドール酢酸、ナフタレン
酢酸を2,000ppmの濃度以下、更に好ましくは、
200ppm〜20ppbの濃度で用いるのがよい。ま
たサイトカイニンとしては、カイネチン、ベンジルアデ
ニン、ゼアチン、2−イソペンテニルアルデニン等がよ
く、好ましくはカイネチン、ベンジルアデニンを3pp
mの濃度以下、更に好ましくは、30〜0.3ppbの
濃度で用いるのがよく、上記サイトカイニン及び/又は
オーキシンを少なくとも一種以上培地中に含有させる。 培養条件について、このようにして得られたカルス
の大量培養方法としては、液体振盪培養、平板培養どち
らでも可能であるが、平板培養時の培地固化剤として
は、通常寒天が用いられるが、これは、精製度が低く不
純物により、カルスの成長を阻害する。従ってジェラン
ガム、ゼラチン、シリカゲル等の一般に用いられる培地
固化剤としては精製度の高い培地固化剤を1,000〜
8,000ppm好ましくは2,000〜6,000p
pm用いる。
科植物は、アスナロ属アスナロ(Thujopsis
dolabrata)、アスナロ属ヒノキアスナロ
(T.dolabrata var. honda
i)、ネズミサシ属イブキ(Juniperus ch
inensis)、ネズミサシ属ハイネズ(J.con
eferta)、クロベ属クロベ(Thujastan
dishii)、クロベ属ウェスタン・レッド・シーダ
ー(T.plicata)、インセンスシーダー属イン
センスシーダー(Libocednus decurr
ens)、タイワンヒノキ(Chamaecypari
s obtusa var. fromsand)、イ
トスギ属メキシコイトスギ(Cupressus lu
sitanica Mill.)がよく、好ましくは、
イトスギ属メキシコイトスギ(C.lusitanic
aMill.)が細胞の増殖率がよいものであるが、特
に限定されるものではない。 カルス誘導について、次にカルス誘導に供されるヒ
ノキ科の上記植物の一部を水洗いし、エタノール、塩化
ベンザルコニウム、次亜塩素酸ナトリウム等の殺菌剤を
用いて殺菌し、減菌洗浄水で洗浄したのち無菌的に細片
を作り平板培地上に置床し、カルス誘導を行う。 培地について、次にカルス誘導又はカルスの継代培
養によるカルス増殖及び有用物質生産に使用する培地と
しては、必須多量要素としてN,P,K,Ca,Mg,
Sを含む培地であれば使用可能であり、基本培地として
一般的に用いられるMS培地、LS培地、B5培地等の
植物細胞培養に使用される基本培地に、ビタミン類等の
有機物質、炭素源、エネルギー源として糖、更に植物成
長調節物質を加えた培地を用いる。ここで、植物調節物
質としては、オーキシン及びサイトカイニンを用いる
が、オーキシンとしては、インドール酢酸、インドール
酪酸、ナフタレン酢酸、2,4−ジクロロフェノキシ酢
酸等がよく、好ましくは、インドール酢酸、ナフタレン
酢酸を2,000ppmの濃度以下、更に好ましくは、
200ppm〜20ppbの濃度で用いるのがよい。ま
たサイトカイニンとしては、カイネチン、ベンジルアデ
ニン、ゼアチン、2−イソペンテニルアルデニン等がよ
く、好ましくはカイネチン、ベンジルアデニンを3pp
mの濃度以下、更に好ましくは、30〜0.3ppbの
濃度で用いるのがよく、上記サイトカイニン及び/又は
オーキシンを少なくとも一種以上培地中に含有させる。 培養条件について、このようにして得られたカルス
の大量培養方法としては、液体振盪培養、平板培養どち
らでも可能であるが、平板培養時の培地固化剤として
は、通常寒天が用いられるが、これは、精製度が低く不
純物により、カルスの成長を阻害する。従ってジェラン
ガム、ゼラチン、シリカゲル等の一般に用いられる培地
固化剤としては精製度の高い培地固化剤を1,000〜
8,000ppm好ましくは2,000〜6,000p
pm用いる。
【0006】また液体振盪培養時は、使用する培地の無
機成分、有機成分、糖、植物成長調節物質等の栄養塩濃
度を3重量%以下の濃度で用いるのがよく、好ましくは
9,000〜18,000ppmの濃度で使用する。こ
れは、培養された細胞中への培地浸透圧を比較的低くす
ることにより、細胞内外の浸透圧バランスを保つこと
で、細胞内外の浸透圧バランスの相違による細胞の破壊
を防止し、細胞内へ必要な栄養素だけを取り込むことに
より、細胞分裂のバランスを保つことが可能となるもの
である。また培養温度としては、20〜30℃好ましく
は25℃付近がよく暗所で培養するのがよい。更に培養
時の湿度は20〜99%好ましくは30〜80%がよ
く、カルス誘導培養で約1〜3週間後に得られたカルス
を継代し、約1ケ月毎に培地の交換を必要とする。この
ようにして培養されたカルスは、カルス誘導スタートか
ら約1ケ月で70倍重量以上のカルス生産を行うことが
可能であり、カルス中に含有されたヒノキ科植物の有用
物質を水蒸気蒸留法、メタノール、エタノール等の溶媒
抽出法等の公知の方法により抽出を行い、精製する。こ
の時抽出率および安全性の面から抽出溶媒は好ましくは
エタノール抽出がよい。
機成分、有機成分、糖、植物成長調節物質等の栄養塩濃
度を3重量%以下の濃度で用いるのがよく、好ましくは
9,000〜18,000ppmの濃度で使用する。こ
れは、培養された細胞中への培地浸透圧を比較的低くす
ることにより、細胞内外の浸透圧バランスを保つこと
で、細胞内外の浸透圧バランスの相違による細胞の破壊
を防止し、細胞内へ必要な栄養素だけを取り込むことに
より、細胞分裂のバランスを保つことが可能となるもの
である。また培養温度としては、20〜30℃好ましく
は25℃付近がよく暗所で培養するのがよい。更に培養
時の湿度は20〜99%好ましくは30〜80%がよ
く、カルス誘導培養で約1〜3週間後に得られたカルス
を継代し、約1ケ月毎に培地の交換を必要とする。この
ようにして培養されたカルスは、カルス誘導スタートか
ら約1ケ月で70倍重量以上のカルス生産を行うことが
可能であり、カルス中に含有されたヒノキ科植物の有用
物質を水蒸気蒸留法、メタノール、エタノール等の溶媒
抽出法等の公知の方法により抽出を行い、精製する。こ
の時抽出率および安全性の面から抽出溶媒は好ましくは
エタノール抽出がよい。
【0007】
【作用】以上説明した構成により、本発明は、以下の作
用を有する。 平板培地上にカルスを誘導又は継代培養する際、培地
の固化剤として、ジェランガム等の精製度の高い培地固
化剤を用いることにより、カルス増殖速度が向上する。 液体培地の無機成分、有機成分、糖、植物成長調節物
質等の栄養塩濃度を30,000ppm以下好ましくは
9,000〜18,000ppmの濃度で使用すること
により、カルス増殖速度が向上する。
用を有する。 平板培地上にカルスを誘導又は継代培養する際、培地
の固化剤として、ジェランガム等の精製度の高い培地固
化剤を用いることにより、カルス増殖速度が向上する。 液体培地の無機成分、有機成分、糖、植物成長調節物
質等の栄養塩濃度を30,000ppm以下好ましくは
9,000〜18,000ppmの濃度で使用すること
により、カルス増殖速度が向上する。
【0008】
【実施例】本発明に関し、従来のヒノキ科植物の細胞培
養による有用物質生産方法との、培養速度及びカルス中
の有用物質生産量の比較に関し、具体的実施例をあげ説
明する。なお、本実施例でカルス誘導、継代増殖に使用
するカルスは、各々メキシコイトスギ、カイズカイブ
キ、ヒノキアスナロ、タイワンヒノキの樹木の根から誘
導したカルスを用いた。また、本実施例で使用する培地
は下記表1に示すB5培地及びMS培地の一般的な植物
細胞培養に供される基本培地を使用した。
養による有用物質生産方法との、培養速度及びカルス中
の有用物質生産量の比較に関し、具体的実施例をあげ説
明する。なお、本実施例でカルス誘導、継代増殖に使用
するカルスは、各々メキシコイトスギ、カイズカイブ
キ、ヒノキアスナロ、タイワンヒノキの樹木の根から誘
導したカルスを用いた。また、本実施例で使用する培地
は下記表1に示すB5培地及びMS培地の一般的な植物
細胞培養に供される基本培地を使用した。
【0009】
【表1】
【0010】〔実施例1〕表2に示す条件によりカルス
の培養速度の比較を行った。カルスは、初期誘導された
カルス1gを培地100g中に置床した。4週間後の結
果より、本実施例においてカルスの培養増殖速度につい
て精製度の高い培地固化剤を使用することにより、明ら
かに従来方法より優れていることがわかる。
の培養速度の比較を行った。カルスは、初期誘導された
カルス1gを培地100g中に置床した。4週間後の結
果より、本実施例においてカルスの培養増殖速度につい
て精製度の高い培地固化剤を使用することにより、明ら
かに従来方法より優れていることがわかる。
【0011】
【表2】
【0012】〔実施例2〕表3及び表4に示す条件によ
りカルスの培養速度の比較を行った。カルスは、初期誘
導されたカルス1gを培地100g中に置床した。4週
間後の結果より、本実施例においてカルスの培養増殖速
度についてヒノキ科イトスギ属は、明らかにヒノキ科植
物のなかでも優れていることがわかる。
りカルスの培養速度の比較を行った。カルスは、初期誘
導されたカルス1gを培地100g中に置床した。4週
間後の結果より、本実施例においてカルスの培養増殖速
度についてヒノキ科イトスギ属は、明らかにヒノキ科植
物のなかでも優れていることがわかる。
【0013】
【表3】
【0014】
【表4】
【0015】〔実施例3〕300ml容の三角フラスコ
に、MS培地に植物成長調整物質として、ナフタレン酢
酸2ppm、ベンジルアデニン2.5ppbを添加した
液体培地(培地成分濃度:34,738.4325pp
m)を基本濃度として、蒸留水を用いて培地中の成分濃
度を95%,90%,85%,80%,75%,50
%,25%に希釈して調整した培地と、基本濃度の20
0%量の培地成分を有する各々100mlに、初期誘導さ
れたメキシコイトスギ及びタイワンヒノキのカルスを培
地中に1gづつ添加し、27℃、暗所、70rpmで、
回転振盪培養した4週間後のカルス増殖率を表5に示
す。表5から明らかなように、基本培地を希釈して使用
することによって、カルスの増殖率が向上することが明
らかである。
に、MS培地に植物成長調整物質として、ナフタレン酢
酸2ppm、ベンジルアデニン2.5ppbを添加した
液体培地(培地成分濃度:34,738.4325pp
m)を基本濃度として、蒸留水を用いて培地中の成分濃
度を95%,90%,85%,80%,75%,50
%,25%に希釈して調整した培地と、基本濃度の20
0%量の培地成分を有する各々100mlに、初期誘導さ
れたメキシコイトスギ及びタイワンヒノキのカルスを培
地中に1gづつ添加し、27℃、暗所、70rpmで、
回転振盪培養した4週間後のカルス増殖率を表5に示
す。表5から明らかなように、基本培地を希釈して使用
することによって、カルスの増殖率が向上することが明
らかである。
【0016】
【発明の効果】以上のべてきたごとく、本発明によれ
ば、カルスの増殖率を促進させることにより、ヒノキ科
植物の細胞培養による有用物質の生産性を向上させるこ
とが明らかであって、かつ培養細胞の成育速度の促進を
可能としたことにより、トロポロン類の産生量のアップ
を可能としたことで、一例としてヒノキチオールの場
合、 従来ヒノキチオールは、高価なものであったが、本発
明により、低コスト化が可能となる。 従来ヒノキチオールは、天然品に関してその品質は天
然資源による差が大きいものであったが、本発明によ
り、安定した品質の供給が可能となる。 従来ヒノキチオールは、天然の資源から得られるもの
であるため、安定供給が難しいものであったが、本発明
により、安定供給が可能となる。 従来ヒノキチオールは、天然の資源から得られるもの
であったため、森林伐採による環境汚染がもんだいとな
るものであったが、本発明により森林の伐採の必要がな
く、環境保全が可能となる。 合成品のヒノキチオールを使用した場合、その効果は
天然品よりも劣るものであったが、本発明により天然品
と同等の効果を有するヒノキチオールの生産が可能とな
る。以上の効果を奏するものである。
ば、カルスの増殖率を促進させることにより、ヒノキ科
植物の細胞培養による有用物質の生産性を向上させるこ
とが明らかであって、かつ培養細胞の成育速度の促進を
可能としたことにより、トロポロン類の産生量のアップ
を可能としたことで、一例としてヒノキチオールの場
合、 従来ヒノキチオールは、高価なものであったが、本発
明により、低コスト化が可能となる。 従来ヒノキチオールは、天然品に関してその品質は天
然資源による差が大きいものであったが、本発明によ
り、安定した品質の供給が可能となる。 従来ヒノキチオールは、天然の資源から得られるもの
であるため、安定供給が難しいものであったが、本発明
により、安定供給が可能となる。 従来ヒノキチオールは、天然の資源から得られるもの
であったため、森林伐採による環境汚染がもんだいとな
るものであったが、本発明により森林の伐採の必要がな
く、環境保全が可能となる。 合成品のヒノキチオールを使用した場合、その効果は
天然品よりも劣るものであったが、本発明により天然品
と同等の効果を有するヒノキチオールの生産が可能とな
る。以上の効果を奏するものである。
【表5】
Claims (4)
- 【請求項1】 ヒノキ科植物の細胞培養による有用物質
生産を平板培地上で行う際、その培地固化剤がジェラン
ガム等の精製度の高い培地固化剤であることを特徴とす
るヒノキ科植物の組織培養方法。 - 【請求項2】 ヒノキ科植物の細胞培養による有用物質
生産を液体培地上で行う際、その培地の無機成分、有機
成分、糖、植物成長調節物質等の栄養塩濃度が30,0
00ppm以下であることを特徴とするヒノキ科植物の
組織培養方法。 - 【請求項3】 ヒノキ科植物がイトスギ属であることを
特徴とする請求項1又は請求項2に記載のヒノキ科植物
の組織培養方法。 - 【請求項4】 得られる有用物質が、トロポロン類であ
ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のヒノ
キ科植物の組織培養方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3074590A JPH07135986A (ja) | 1991-03-13 | 1991-03-13 | ヒノキ科植物の組織培養による有用物質の生産方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3074590A JPH07135986A (ja) | 1991-03-13 | 1991-03-13 | ヒノキ科植物の組織培養による有用物質の生産方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07135986A true JPH07135986A (ja) | 1995-05-30 |
Family
ID=13551530
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3074590A Pending JPH07135986A (ja) | 1991-03-13 | 1991-03-13 | ヒノキ科植物の組織培養による有用物質の生産方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07135986A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010227033A (ja) * | 2009-03-27 | 2010-10-14 | Japan Health Science Foundation | 植物形質転換体の作出方法、及び、植物形質転換体 |
CN115836645A (zh) * | 2022-11-22 | 2023-03-24 | 江苏省中国科学院植物研究所 | 一种建立羽扇豆再生体系的方法 |
-
1991
- 1991-03-13 JP JP3074590A patent/JPH07135986A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010227033A (ja) * | 2009-03-27 | 2010-10-14 | Japan Health Science Foundation | 植物形質転換体の作出方法、及び、植物形質転換体 |
CN115836645A (zh) * | 2022-11-22 | 2023-03-24 | 江苏省中国科学院植物研究所 | 一种建立羽扇豆再生体系的方法 |
CN115836645B (zh) * | 2022-11-22 | 2023-09-22 | 江苏省中国科学院植物研究所 | 一种建立羽扇豆再生体系的方法 |
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