JPH0713324B2 - 無紡糸高配向アクリル短繊維の製造方法 - Google Patents

無紡糸高配向アクリル短繊維の製造方法

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JPH0713324B2
JPH0713324B2 JP3192688A JP19268891A JPH0713324B2 JP H0713324 B2 JPH0713324 B2 JP H0713324B2 JP 3192688 A JP3192688 A JP 3192688A JP 19268891 A JP19268891 A JP 19268891A JP H0713324 B2 JPH0713324 B2 JP H0713324B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アクリロニトリル重合
体(以下PANと略称する)を使用して、一般的な紡糸
工程なしで、高度分子配向の繊維構造を有する高配向の
新たなパルプ状短繊維を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル繊維は衣類用としてのみなら
ず、最近においては、石綿代替繊維、保温耐熱繊維、セ
メント補強繊維等の産業用素材としても脚光を浴びてい
る。このような産業用素材に使用される繊維は、短繊維
形態で製造される。従来は溶媒を使用した溶液紡糸及び
延伸工程を経て長繊維を製造し、これを切断してステー
プル形態の短繊維を得ていた。このような従来の短繊維
製造方法においては、溶媒使用に伴う溶媒抽出、回収、
精製等の繁雑な工程が必須であり、経済的負担が大き
く、又公害問題なども誘発される欠点があった。
【0003】又、従来のアクリル繊維の製造において
は、微細孔を通じたフィラメント紡糸及び高倍率の延伸
工程を経ないで分子配向を有する繊維を得ることはでき
なかった。更に、分子配向を有するパルプ用繊維の製造
においては、PANを溶媒に溶解する原液調製、紡糸、
固化、溶媒除去及び回収、延伸、切断、フィブリル化
等、多くの工程を経る繁雑な方法によってのみ製造が可
能であった。
【0004】米国特許第2,585,444号明細書に
は、PANと重量比で30%から85%までの水とを混
合した含水物を溶融温度以上に加熱し、溶融流動体を調
製し、これより溶融紡糸方式によりPAN繊維を製造す
ることが記載されている。米国特許第3,896,20
4号及び第3,984,601号明細書には、PANと
重量比で約20%から30%の水とを混合して、170
℃から205℃までの温度で加熱して得られた無定形の
溶融体を紡糸し、5倍以上に延伸して繊維を製造するこ
とが記載されている。
【0005】米国特許第3,991,153号及び第
4,163,770号明細書には、重量比で10%から
40%の水を混合したPAN−含水物を溶融温度以上、
つまり溶融体が無定形の単一相を成す温度以上において
紡糸し、射出させたフィラメントを圧力チェンバー内に
おいて25倍から150倍に延伸し、繊維を製造するこ
とが記載されている。
【0006】米国特許第3,402,231号、第3,
774,387号及び第3,873,508号明細書に
は、PANに等量以上の水を加え、温度200℃程度に
おいて溶融体をつくり、この溶融体を紡糸してパルプ用
繊維を製造することが記載されている。しかし、過量の
水を使用し、高温において溶融体を得るために、これに
より紡糸されたPANフィラメントは、外形的に繊維が
形成されたように見えるが、実際には分子鎖の配向や繊
維構造を全く形成していない無配向連続発泡体に過ぎな
い。
【0007】以上のように、従来のPAN−含水物の溶
融紡糸技術は、過量の水を使用したり、温度を溶融温度
以上に高めたり、又は共重合単量体の含量を多くしたり
した無定形溶融体から紡糸工程を経てフィラメントをつ
くり、これを高倍率例えば、5倍から30倍率に延伸し
て繊維を製造する方法であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
のアクリル短繊維製造における欠点を除去し、石綿代替
繊維、保温耐熱繊維及びセメント補強繊維等の産業用素
材として使用できるだけでなく、紙製造用パルプとして
も使用できる新たなパルプ状アクリル短繊維を提供する
ことである。
【0009】すなわち、従来技術の紡糸工程又は高倍率
の延伸工程を行うことなしに、高度分子配向の繊維構造
を有する新たな無紡糸高配向アクリル短繊維の製造方法
を提供することであり、更にPANを溶媒に溶解する原
液の調製工程、紡糸工程、固化工程、溶媒の除去及び回
収工程、延伸工程、フィブリル化工程等の複雑なパルプ
状短繊維の諸工程を単純化したパルプ状短繊維の新たな
製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、重量比で70
%以上のアクリロニトリル及び重量比で30%以下の共
重合可能な単量体を重合させた、粘度平均分子量が1
0,000から600,000の間のアクリロニトリル
単独重合体又は共重合体と、上記重合体に対し重量比で
5%から100%の水との混合物を、密閉下において溶
融温度以上に加熱して無定形の溶融体を形成させ、これ
を溶融温度と固化温度の間の温度に冷却して、準結晶溶
融相を得た後、これを外部環境へ押出し、板状フィブリ
ル等が揃って配列積層された断面構造をもち、X線回折
パターンにおいて繊維状結晶構造と70%以上の配向度
を示す押出物を得、この押出物を、100℃から220
℃に維持した気体雰囲気中で引張るか、又は該温度の圧
縮ローラーの間を引張状態で通過させて、延伸熱処理を
行った後、これを機械的に叩解することを特徴とする、
0.1μmから100μmの太さの分布及び0.1mm
から100mmの長さの分布を有する高配向フィブリル
構造のパルプ状短繊維の製造方法である。
【0011】図1に示すように、PANと水の2成分系
(以下PAN/H2 Oと略称する)は、溶融温度(T
m )において溶融熱を吸収した後、無定形溶融単一相を
形成し、更に溶融温度以下に冷却しても一定の温度範囲
(OR)まで結晶化が起らず、過冷却溶融状態を維持
し、更に固化温度(Tc )以下に冷却すると、PANが
結晶化し、元の状態に戻るのである。しかし、PAN/
2 O溶融体を過冷却状態で保持すると、無定形の高温
溶融体とは異なり、単一相のままPANと水が共に参与
して液晶に類似した特定の分子秩序を有する一種の準結
晶相を形成するようになる。
【0012】このように、PANと水の混合物が溶融温
度以下において液晶に類似した溶融準結晶相を形成する
ことは、本発明者等が初めて発見したものである。これ
は、図6に示すように溶融温度と固化温度との間の温度
で押出すときわめて容易に分子配向するというおどろく
べき現象によるものである。このような溶融準結晶相に
おいては、PAN分子鎖が水分子と共に、直鎖相の分子
秩序を有する微細な単位規則相を形成していると推定さ
れる。溶融準結晶内のPAN鎖は、自発的に配向する特
性を有しているので、これらに機械的押出操作によるわ
ずかな指向性剪断力が与えられれば、きわめて容易に高
配向繊維構造を形成する。即ち、溶融準結晶相が押出さ
れると、直鎖相のPAN分子鎖は、横に相互接近配向し
ながら、含有している水を系外に追出し、自動的に繊維
構造を形成することにより、別途の延伸工程無しでも高
配向繊維構造となる。
【0013】本発明においては、PANに適当量の水を
混合し、密閉状態において加熱し、無定形のPAN/H
2 O溶融体をつくった後、この無定形溶融体を冷却し、
溶融温度と固化温度の間において、液晶に類似した特性
の分子秩序を有する溶融準結晶相の過冷却溶融体を調製
し、これを適切な規格の押出口を通して押出し、繊維構
造形成と同時に、水を自動放出し、固化し、板状フィブ
リルが並んで配列積層した高配向押出物を得て、この押
出し物をさらに延伸熱処理して得た繊維を適当な長さに
切断、叩解し、パルプ状短繊維を製造する。
【0014】本発明において、PAN/H2 O溶融体
を、従来の技術においては全く予測できなかった液晶に
類似した特性の分子秩序を有する溶融準結晶相とするこ
とにより、この溶融準結晶相を利用して既存の方法とは
画期的に異なる新たな方法で、今まで製造されたことの
ない新たな繊維を製造することができた。溶融準結晶相
を使用すれば、断面積が大きい押出口を通してテープ状
に押出したとき、小さな指向性剪断力でも容易に分子鎖
を配向させることができるため、高延伸繊維よりはるか
に高い分子配向性を有する繊維を製造することができ
る。
【0015】本発明におけるPANは、アクリロニトリ
ル単独重合体及びアクリロニトリルと一つ又は二つ以上
の共重合可能な単量体との共重合体を意味する。共重合
体の組成は、アクリロニトリルが重量比で70%以上、
共重合可能な単量体が重量比で30%以下であり、より
好ましくは、アクリロニトリルが重量比で85%以上、
共重合可能な単量体が重量比で15%以下である。
【0016】共重合可能な単量体としては、メチルアク
リレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレー
ト、クロロアクリル酸、エチルメタクリレート、アクリ
ル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、ブチルアクリレート、メタクリロニトリル、ブチル
メタクリレート、ビニルアセテート、ビニルクロリド、
ビニルブロマイド、ビニルフルオライド、ビニリデンク
ロライド、ビニリデンブロマイド、アリルクロライド、
メチルビニルケトン、ビニルホルメート、ビニルクロロ
アセテート、ビニルプロピオネート、スチレン、ビニル
ステアレート、ビニルベンゾエート、ビニルピロリド
ン、ビニルピペリジン、4−ビニルピリジン、2−ビニ
ルピリジン、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルスク
シンイミド、メチルマロネート、N−ビニルカルバゾー
ル、メチルビニルエーテル、イタコン酸、ビニルスルホ
ン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリ
ルスルホン酸、ビニルピラン、2−メチル−5−ビニル
ピリジン、ビニルナフタレン、イタコン酸エステル、ク
ロロスチレン、ビニルスルホン酸塩、スチレンスルホン
酸塩、アリルスルホン酸塩、メタリルスルホン酸塩、ビ
ニリデンフルオライド、1−クロロ−2−ブロモエチレ
ン、アルファメチルスチレン、エチレン、プロピレン
等、エチレン単位の二重結合を有する付加重合用単量体
をあげることができる。
【0017】PANの分子量は、N,N−ジメチルホル
ムアミドを溶媒に使用し、絶対粘度([η])を測定し
て次の関係式より粘度平均分子量(MV )として求めた
(T.Shibukawa等、Journal of Polymer Science, Part
A-l, Vol.6,147-159,1968)。
【0018】[η]=3.35×10-4V 0.72 絶対粘度は、PANをN,N−ジメチルホルムアミドに
溶解し、30℃において測定した。本発明におけるアク
リロニトリル重合体の分子量は、絶対粘度より換算され
た粘度平均分子量で、10,000から600,000
の間の値を有し、より好ましくは50,000から35
0,000の間の値を有する。
【0019】示差走査熱量計(DSC)を用いてPAN
−含水物の含水量、温度及びPAN成分の変化に伴う相
変化現象を測定した。密封が完全で、高圧下においても
耐えられる大容量の耐圧カプセル(Perkin−Elmer part
319−0128)を使用し、昇温時及び冷却時のPA
N−含水物の溶融吸熱ピーク及び固化発熱ピークをそれ
ぞれ得た。
【0020】図1において、吸熱ピークの頂点は溶融温
度(Tm )を、発熱ピークの頂点は固化温度(Tc )を
示し、溶融温度と固化温度の間の温度範囲(OR)は溶
融準結晶相が形成される領域を示している。図3は、含
水量の変化に従い溶融準結晶相が形成される温度領域を
図示したものである。図5は、PAN成分による領域変
化の一例を図式化したものである。図2及び図4は、各
々図1及び図3で示した例に従い、重量比でアクリロニ
トリル89.2%及びメタクリレート10.8%を含有
するPANを使用し、図2は、重量比で20%の水を混
合した場合であり、図4は、含水量を重量比で5%から
50%まで変化させた場合の溶融準結晶相が形成される
温度領域を示したものである。
【0021】PANに適当量の水を混合した含水物を耐
圧容器に入れ、溶融温度以上に加熱すれば、その温度で
の水蒸気圧の下で、重合体が水と会合してPAN/H2
O溶融体をつくる。このとき、加熱温度は、図1に示し
た溶融温度(Tm )以上とし、窒素、アルゴン等、不活
性ガスを注入して加圧状態を維持させてもよい。ここで
生成した溶融体は、無秩序な無定形溶融体である。この
無定形溶融体を冷却し、図3に示す溶融温度と固化温度
の間の温度に維持すれば、液晶に類似した特性を有する
溶融準結晶相の過冷却溶融体となる。
【0022】溶融準結晶相は、溶融温度より低い温度に
あるが、固化せず、流動体として存在する一種の過冷却
溶融体として、無秩序な無定形でなく、分子秩序を有す
る規則相を形成している。この規則相は、PAN分子鎖
と水の相互作用で、直鎖状のPAN分子鎖が平行に配列
しており、あたかも、液晶のような自発的な分子配向特
性を有する。つまり、図6に示すように、無定形溶融体
をつくる高温において押出された押出物は、後述する配
向度50%程度のほぼ無配向物として得られるが、無定
形溶融体より低い温度において押出された押出物は、同
一押出操作においても、配向度80%以上の高配向を示
す。
【0023】このような分子秩序を有する溶融準結晶相
を形成することができる温度範囲は、図5に示すように
PANのアクリロニトリル含量、又は図3に示すように
含水量等によって異なるが、常に図1に示す溶融温度と
固化温度の間の領域に属している。
【0024】上記PAN/H2 O溶融体を製造すると
き、耐圧容器にかかる圧力は、温度に伴う当該発生水蒸
気圧か、又は1気圧から50気圧程度の圧力としてもよ
い。溶融体内に含まれている水の含量は、重量比で5%
から100%が好ましいが、より好ましくは10%から
50%の間である。
【0025】無秩序な無定形PAN/H2 O溶融体にお
いては、個々のPAN分子鎖がより自由に動くので、分
子鎖が不規則に凝集しているだけでなく、分子鎖の間に
おいても何等の秩序も有しない。この無定形溶融体が冷
却され、適切な温度範囲内に入るようになれば、PAN
分子鎖と水が相互間の分子引力により分子鎖個々の活動
が抑制され、拘束されながら分子鎖が直鎖配座をなし
て、他の周辺分子鎖と揃って平行配列し、相互間の距離
を維持する溶融準結晶相をつくる。
【0026】このようにして作られた溶融準結晶相にお
いては、PAN分子鎖が分子鎖間の秩序を維持している
ために、分子鎖一つ一つが個別的に活動することは難し
い。しかし、規則相をなす分子鎖全体が、一定の方向に
動かされるときは、図7に示すように、そのまま三次元
的配向構造を保持し、ついで図8に示すように、直鎖相
の分子鎖は一定の方向に配列し固化する。このようにし
て高度の分子配向を有する繊維をきわめて容易に製造す
ることができる。
【0027】すなわち、図7は、溶融状態においてアク
リロニトリル高分子鎖が、水分子との相互作用によって
三次元的分子秩序をなす構造を、図8は、押出固化後、
繊維が形成されたとき、アクリロニトリル高分子鎖が直
鎖配座の板状フィブリルをなす構造を模型によりそれぞ
れを図示したものである。矢印“C”方向へ高分子鎖が
延びていて、矢印“V”方向へファンデルワールス力が
作用しており、矢印“H”方向へ水素結合力が作用して
おり、繊維が形成されるとき、水が脱け出ると共に収縮
し、繊維形成後においては、水素結合力の代わりにニト
リル基間の双極子引力が、矢印“D”方向へ作用するよ
うになることを示している。
【0028】しかし、無定形の溶融体においては、PA
N分子鎖一つ一つが自由に動くので、分子鎖間の秩序を
保つことができないだけでなく、分子鎖自体も自由自在
に無秩序に凝集し、一定の方向にこの分子鎖を配列させ
ることが不可能である。
【0029】本発明において、溶融準結晶相の過冷却溶
融体は、あたかも液晶のように自発的な分子配向特性を
有しているので、これをピストン式押出機による単純押
出によってもPAN分子鎖は高配向繊維構造を形成し、
板状フィブリルが並んで積層した断面構造の高配向押出
物となる。
【0030】押出機としては、ピストン式押出機の外に
スクリュー式押出機等も使用可能であり、押出口はスリ
ットダイ、チューブダイ、アーク形ダイ等が自由に使用
され、厚さ対長さの割合は1以上であり、この割合が大
きいほど高配向の押出物を得るのに効果的である。押出
し温度は、当該PAN−含水物の溶融温度と固化温度の
間の一定温度に維持する。押出し条件は、内部圧力を少
なくとも当該発生水蒸気圧以上に維持し、100℃未満
5気圧以下の気体中、100℃から150℃の自然水蒸
気圧雰囲気中、又は常温常圧及び空気雰囲気中、1秒当
り1mm以上の吐出速度で、外部環境へ押出し、吐出速
度以上の線速度で連続押出物を巻き取る。このとき、押
出速度を高めるためにはより高圧の内部圧力を加え、巻
き取り速度を早くしなければならない。吐出速度対巻き
取る速度の割合は1以上であり、この割合を大きくする
のが押出物の配向度向上に有利である。
【0031】又、機械的性質がさらに向上した緻密な組
織の押出物を製造するために、押出口と連結して易融合
金からなる低融点、高比重の溶融金属が詰められた垂直
チューブを通過させ5気圧以下の圧力を加えて行う。こ
のように、比重が大きな溶融金属の圧力により、水が抜
け出る空間を制限する方法も効果的である。ここで垂直
チューブの長さは、要求される圧力により調節され、垂
直チューブに詰められる易融合金としては、例えば、B
i(50%)/Pb(31%)/Sn(19%)、ある
いはBi(50%)/Pb(24%)/Sn(14%)
/Cd(12%)のような組成からなる融点が100℃
未満である合金が用いられる。
【0032】溶融準結晶相の押出及び固化により、微細
繊維束で構成されたテープ状押出物が製造される。この
ものは、フィブリルが、押出方向に配列され、図9の走
査電子顕微鏡写真で示すように、横断面に板状フィブリ
ルが、水が分離除去された空間、つまり、脱水空間を隔
てて並び、配列積層された断面構造及び縦断面に各々の
フィブリルが、マイクロフィブリルに分離され、繊維を
構成する内部構造を有する。
【0033】ここでフィブリルは、厚さ1μmから10
μmの板状であり、一つのフィブリルは太さ0.01μ
mから1.0μmのマイクロフィブリルが、緻密に集っ
て構成されている。更に、図10に模型で示したように
フィブリルは、個々のマイクロフィブリルに分離でき、
分離されたマイクロフィブリルは最少繊維単位になる。
【0034】フィブリル及びマイクロフィブリルの微細
構造は、図11のテープ状押出物のX線回折による回折
パターン写真から、繊維状結晶と高配向構造を有してい
ることを確認した。配向度は、図12に示すX線回折パ
ターン上の赤道方向の主回折ピーク位置(2θ=16.
2°)における子午線方向へ走査した回折強度の半値幅
(OA)を、次の式に従って換算した値から70%以上
である。
【0035】 配向度(%)=(180−OA)/180×100 図6は、同一押出機及び同一押出し条件において、温度
のみを変化させながら、PAN/H2 O溶融体を押出し
て各温度別押出物を得て、この押出物の配向度をX線回
折により測定し、押出温度による配向度の変化を示した
ものである。これによれば、本発明の溶融準結晶相を形
成する温度領域においては、押出しにより発生する小さ
な指向性剪断力でもPAN分子鎖を容易に高度に配向さ
せることができることを示している。しかし、無定形溶
融体を形成する高温においては、分子配向がほとんど起
らないことを示している。
【0036】この高配向押出物の配向度をさらに向上さ
せるためには、この連続押出物を、100℃から220
℃の温度に維持した気体雰囲気中で引張るか、又は圧縮
力を加えた該温度のローラー間を引張状態で通過させ
て、延伸熱処理を行う。該高温気体雰囲気としては、例
えば、水蒸気、空気、窒素、アルゴン等のようなPAN
と化学反応が殆ど起らない気体があげられる。好ましい
延伸熱処理温度は、120から200℃である。延伸熱
処理過程において、はじめの長さに対して5%から10
0%延伸され、機械的強度が向上したフィブリル構造が
更に発達した押出物が製造される。この延伸熱処理した
連続押出物を前記のX線回析パターンから分析した結
果、配向度が延伸熱処理以前よりさらに向上し、引張強
度及び弾性率も延伸熱処理により向上していた。
【0037】この延伸熱処理した連続押出物を任意の長
さに切断し、叩解すれば、図13の走査電子顕微鏡写真
に示すようなパルプ状繊維が製造され、切断の長さ及び
叩解条件に従い、種々の大きさの繊維を得ることができ
る。
【0038】このパルプ状短繊維は、高配向繊維構造を
有するフィブリル及びマイクロフィブリルで構成されて
おり、ほとんど不規則な長楕円断面を有し、側面に多数
の割れた隙間と分岐を有しており、繊維の大きさは、太
さが0.1μmから100μmであり、長さが0.1m
mから100mmである。個々の繊維は、厚さ1μmか
ら10μmの板状フィブリル及び太さ0.01μmから
1.0μmのマイクロフィブリルで構成されている。パ
ルプ状短繊維の微細構造は、透過電子顕微鏡(TEM)
により、電子線回折パターンで確認され、叩解前のテー
プ状押出物におけるような繊維状結晶及び高配向構造を
示す。
【0039】
【実施例】以下に、実施例により本発明の繊維の製造方
法を、より具体的に説明するが、本発明がこれに限定さ
れるものでない。
【0040】実施例1 シリンダー、ピストン及びスリットダイ型押出口で構成
され、密閉及び加熱保温が可能な押出機のシリンダー内
に、アクリロニトリル92.8%及びメチルアクリレー
ト7.2%の化学組成で構成され、粘度平均分子量が1
02,000のアクリロニトリル共重合体100gと水
22gを混合した混合物を導入し、5kg/cm2 で加
圧した状態で175℃まで加熱して完全に溶融させた
後、148℃まで温度を下げ、そのまま維持し、ピスト
ンを作動させて60kg/cm2 の圧力をかけ、厚さ/
幅/長さが0.25mm/20mm/3mmのスリット
ダイを通して常温常圧の雰囲気中に押出し、テープ状の
連続押出物を1分当り2mの速度で巻き取った。
【0041】製造された押出物の構造は、走査電子顕微
鏡で観察すると、厚さ1μmから10μmの板状フィブ
リルが脱水空間を隔てて、揃って積層された断面構造
と、各フィブリルが厚さ0.01μmから1.0μmの
間のマイクロフィブリルに分離した内部構造を有し、X
線分析によれば、テープ状押出物は繊維状結晶を有し、
89%の分子配向度を示した。連続押出テープを長さの
方向に沿ってこまかく分離し、長繊維にして、機械的性
質を測定した結果、このものは、引張強度4.5g/デ
ニール、伸度11%、引張弾性率67g/デニールの値
を示した。このテープ状連続押出物を、150℃に維
持、かつ圧縮力を加えたローラーの間を引張下に通過さ
せ、30%延伸熱処理した。
【0042】X線分析によれば、この延伸熱処理したテ
ープ状押出物は、繊維状結晶を有し、91%の分子配向
度を示した。この延伸熱処理した連続押出テープを長さ
の方向に沿ってこまかく分離し長繊維にして、機械的性
質を測定した結果、このものは、引張強度5.7g/デ
ニール、伸度10%、引張弾性率86g/の値を示し
た。
【0043】延伸熱処理したテープ状連続押出物を、2
0mmの長さに切断してビータで叩解し、パルプ状短繊
維を製造した。製造された短繊維は、0.1μmから2
0μmの太さの分布と及び1mmから20mmの長さの
分布を有した。
【0044】実施例2 シリンダー、ピストン及びスリットダイ形押出口で構成
され、密閉及び加熱保温が可能な押出機のシリンダー内
に、粘度平均分子量が93,000のアクリロニトリル
単独重合体100gと水30gを混合した混合物を導入
し、5kg/cm2 に加圧した状態で205℃まで加熱
して完全に溶融させた後、178℃まで温度を下げ、そ
のまま維持し、ピストンを作動させて70kg/cm2
の圧力をかけ、厚さ/幅/長さが0.35mm/20m
m/4mmのスリットダイを通して常温常圧の雰囲気中
に押出し、テープ状の連続押出物を1分当り1.5mの
速度で巻き取った。この連続押出物を、170℃に維
持、かつ圧縮力を加えたローラーの間を引張下に通過さ
せ、25%延伸熱処理した。
【0045】X線分析によれば、この延伸熱処理したテ
ープ状押出物は、繊維状結晶を有し、90%の分子配向
度を示した。この延伸熱処理した連続押出テープを長さ
の方向に沿ってこまかく分離し長繊維にして、機械的性
質を測定した結果、このものは、引張強度6.0g/デ
ニール、伸度9%、引張弾性率93g/デニールの値を
示した。
【0046】延伸熱処理したテープ状連続押出物を15
mmの長さに切断してビータで叩解してパルプ状短繊維
を製造した。製造された短繊維は、0.1μmから20
μmの太さの分布及び1mmから15mmの長さの分布
を有した。
【0047】実施例3 シリンダー、ピストン及びスリットダイ型押出口で構成
され、密閉及び加熱保温が可能な押出機のシリンダー内
に、アクリロニトリル94.2%及びメチルアクリレー
ト5.8%の化学組成で構成され、粘度平均分子量が1
78,000のアクリロニトリル共重合体100gと水
25gを混合した混合物を導入し、5kg/cm2 に加
圧した状態で180℃まで加熱して完全に溶融させた
後、155℃まで温度を下げ、そのまま維持し、ピスト
ンを作動させて60kg/cm2 の圧力をかけ、厚さ/
幅/長さが0.25mm/20mm/3mmのスリット
ダイを通して押出し、テープ状連続押出物を1分当り2
mの速度で巻き取った。この連続押出物を、160℃に
維持、かつ圧縮力を加えたローラーの間を引張下に通過
させ、25%延伸熱処理した。
【0048】X線分析によれば、この延伸熱処理したテ
ープ状押出物は、繊維状結晶を有し、91%の分子配向
度を示した。この押出テープを長さの方向に沿ってこま
かく分離し長繊維にして、機械的性質を測定した結果、
引張強度6.1g/デニール、伸度10%、引張弾性率
97g/デニールの値を示した。
【0049】延伸熱処理したテープ状連続押出物を20
mmの長さに切断してビータで叩解してパルプ状短繊維
を製造した。製造された短繊維は、0.1μmから20
μmの太さの分布及び1mmから20mmの長さの分布
を有した。
【0050】実施例4 シリンダー、ピストン及びスリットダイ型押出口で構成
され、密閉及び加熱保温が可能な押出機のシリンダー内
に、アクリロニトリル88.6%及びメチルアクリレー
ト11.4%の化学組成で構成され、粘度平均分子量が
215,000のアクリロニトリル共重合体100gと
水25gを混合した混合物を導入し、5kg/cm2
加圧した状態で175℃まで加熱して完全に溶融させた
後、145℃まで温度を下げ、そのまま維持し、ピスト
ンを作動させて70kg/cm2の圧力をかけ、厚さ/
幅/長さが0.40mm/20mm/4mmのスリット
ダイを通して押出し、テープ状連続押出物を1分当り1
mの速度で巻き取った。この連続押出物を、140℃に
維持、かつ圧縮力を加えたローラーの間を引張下に通過
させ、35%延伸熱処理した。
【0051】X線分析によれば、この延伸熱処理したテ
ープ状押出物は、繊維状結晶を有し、89%の分子配向
度を示した。この延伸熱処理した連続押出テープを長さ
の方向に沿ってこまかく分離し長繊維にして、機械的性
質を測定した結果、引張強度6.3g/デニール、伸度
10%、引張弾性率84g/デニールの値を示した。
【0052】この延伸熱処理したテープ状連続押出物
を、10mmの長さに切断してビータで叩解してパルプ
状短繊維を製造した。製造された短繊維は、0.1μm
から30μmの太さの分布及び1mmから10mmの長
さの分布を有した。
【0053】実施例5 シリンダー、ピストン及びスリットダイ型押出口で構成
され、密閉及び加熱保温が可能な押出機のシリンダー内
に、アクリロニトリル94.8%及びビニルアセテート
5.2%の化学組成で構成され、粘度平均分子量が9
7,000のアクリロニトリル共重合体100gと水2
6gを混合した混合物を導入し、5kg/cm2 に加圧
した状態で180℃まで加熱して完全に溶融させた後、
155℃まで温度を下げ、そのまま維持し、ピストンを
作動させて65kg/cm2 の圧力をかけ、厚さ/幅/
長さが0.30mm/15mm/4mmのスリットダイ
を通して押出し、テープ状連続押出物を1分当り1.8
mの速度で巻き取った。この連続押出物を、160℃に
維持、かつ圧縮力を加えたローラーの間を引張下に通過
させ、27%延伸熱処理した。
【0054】X線分析によれば、この延伸熱処理したテ
ープ状押出物は、繊維状結晶を有し、90%の分子配向
度を示した。この延伸熱処理した連続押出テープを長さ
の方向に沿ってこまかく分離し長繊維にして、機械的性
質を測定した結果、引張強度5.8g/デニール、伸度
10%、引張弾性率88g/デニールの値を示した。
【0055】この延伸熱処理したテープ状連続押出物を
10mmの長さに切断してビータで叩解してパルプ状短
繊維を製造した。製造された短繊維は、0.1μmから
30μmの太さの分布及び1mmから10mmの長さの
分布を有した。
【0056】実施例6 シリンダー、ピストン及びスリットダイ型押出口で構成
され、密閉及び加熱保温が可能な押出機のシリンダー内
に、アクリロニトリル83.8%及びビニルアセテート
16.2%の化学組成で構成され、粘度平均分子量が1
76,000のアクリロニトリル共重合体100gと水
20gを混合した混合物を導入し、5kg/cm2 に加
圧した状態で165℃まで加熱して完全に溶融させた
後、135℃まで温度を下げ、維持し、ピストンを作動
させて55kg/cm2 の圧力をかけ、厚さ/幅/長さ
が0.25mm/20mm/3mmのスリットダイを通
して押出し、テープ状連続押出物を1分当り2.4mの
速度で巻き取った。この連続押出物を、140℃に維
持、かつ圧縮力を加えたローラーの間を引張下に通過さ
せ、43%延伸熱処理した。
【0057】X線分析によれば、この延伸熱処理したテ
ープ状押出物は、繊維状結晶を有し、86%の分子配向
度を示した。この延伸熱処理した連続押出テープを長さ
の方向に沿ってこまかく分離し長繊維にして、機械的性
質を測定した結果、引張強度5.3g/デニール、伸度
12%、引張弾性率72g/デニールの値を示した。
【0058】この延伸熱処理したテープ状連続押出物
を、15mmの長さに切断してビータで叩解してパルプ
状短繊維を製造した。製造された短繊維は0.1μmか
ら40μmの太さの分布及び1mmから15mmの長さ
の分布を有した。
【0059】実施例7 シリンダー、ピストン及びスリットダイ型押出口で構成
され、密閉及び加熱保温が可能な押出機のシリンダー内
に、アクリロニトリル89.5%及びスチレン10.5
%の化学組成で構成され、粘度平均分子量が126,0
00のアクリロニトリル共重合体100gと水21gを
混合した混合物を導入し、5kg/cm2 に加圧した状
態で170℃まで加熱して完全に溶融させた後、142
℃まで温度を下げ、維持し、ピストンを作動させて55
kg/cm2の圧力をかけ、厚さ/幅/長さが0.3m
m/20mm/4mmのスリットダイを通して押出し、
テープ状の連続押出物を1分当り2mの速度で巻き取っ
た。この連続押出物を、155℃に維持、かつ圧縮力を
加えたローラーの間を引張下に通過させ、30%延伸熱
処理した。
【0060】X線分析によれば、この延伸熱処理したテ
ープ状押出物は、繊維状結晶を有し、87%の分子配向
度を示した。この連続押出テープを長さの方向に沿って
こまかく分離し長繊維にして、機械的性質を測定した結
果、引張強度4.8g/デニール、伸度12%、引張弾
性率82g/デニールの値を示した。
【0061】実施例8 シリンダー、ピストン及びスリットダイ型押出口で構成
され、密閉及び加熱保温が可能な押出機のシリンダー内
に、アクリロニトリル87.1%及びメチルメタアクリ
レート12.9%の化学組成で構成され、粘度平均分子
量が112,000のアクリロニトリル共重合体100
gと水18gを混合した混合物を導入し、5kg/cm
2 に加圧した状態で170℃まで加熱して完全に溶融さ
せた後、140℃まで温度を下げ、そのまま維持し、ピ
ストンを作動させて50kg/cm2 の圧力をかけ、厚
さ/幅/長さが0.20mm/20mm/3mmである
スリットダイを通して常温常圧の雰囲気中に押出し、テ
ープ状連続押出物を1分当り2mの速度で巻き取った。
この連続押出物を、145℃に維持、かつ圧縮力を加え
たローラーの間を引張下に通過させ、40%延伸熱処理
した。
【0062】X線分析によれば、この延伸熱処理したテ
ープ状押出物は、繊維状結晶を有し、90%の配向度を
示した。この延伸熱処理した連続押出テープを長さの方
向に沿ってこまかく分離し長繊維にして、機械的性質を
測定した結果、引張強度6.3g/デニール、伸度10
%、引張弾性率83g/デニールの値を示した。
【0063】比較例1 比較試験のために、実施例1と同様な押出機のシリンダ
ー内に、アクリロニトリル92.8%及びメチルアクリ
レート7.2%の化学組成で構成され、粘度平均分子量
が102,000のアクリロニトリル共重合体100g
と水22gを混合した混合物を導入し、5kg/cm2
に加圧した状態で175℃まで加熱して完全に溶融させ
た後、そのままピストンを作動させて60kg/cm2
の圧力をかけ、厚さ/幅/長さが0.25mm/20m
m/3mmのスリットダイを通して常温常圧の大気中に
押出し、発泡が甚だしい連続押出物を得た。この発泡体
は、X線回折パターンにおいてまったく配向性を示さ
ず、パルプ状短繊維を製造できなかった。
【0064】比較例2 比較試験のために、実施例1と同様な押出機のシリンダ
ー内に、アクリロニトリル92.8%及びメチルアクリ
レート7.2%の化学組成で構成され、粘度平均分子量
が102,000のアクリロニトリル共重合体100g
と水22gを混合した混合物を導入し、5kg/cm2
に加圧した状態で175℃まで加熱して完全に溶融させ
た後、そのままピストンを作動させて30kg/cm2
の圧力をかけ、厚さ/幅/長さが0.25mm/20m
m/3mmのスリットダイを通して常温2kg/cm2
の圧力チャンバー内に押出し、テープ状連続押出物を1
分当り5mの速度で巻き取った。X線分析によれば、こ
のテープ状押出物は、56%の配向度を示したが、パル
プ状短繊維を製造することができなかった。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の製造法に
おいては、PANに共融体として少量の水のみを混合
し、溶融押出し、次いでこの押出物を延伸熱処理する画
期的な単純工程により、高配向のパルプ状アクリル短繊
維を製造するので、既存の方法に比べて製造原価が大き
く節減されるだけでなく、有機溶媒による公害問題もな
く、短繊維自体は高配向フィブリルで構成される構造的
特徴を有し、この方法により製造された繊維は、性能面
においても、高度の分子配向により物理的性質が優れ、
マイクロフィブリルで構成されているので、表面積が非
常に大きく、不規則な断面構造を有しているために、他
物質との結着性も極めてよい。
【0066】このように本発明の方法により製造された
パルプ状短繊維は、石綿代替繊維、保温耐熱繊維、セメ
ント補強繊維等の産業用素材として有利に使用できるだ
けでなく、パルプ素材としても最適な条件を有し、単純
工程により、安価に製造できるので、天然パルプに代っ
て紙の原料として有利に使用できる。更に、このパルプ
状短繊維は、微細なフィブリルで構成されており、不規
則な長楕円断面と側面に多数の割れた隙間及び分枝を有
しているので、紙用のパルプとして有利な特性を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】アクリロニトリル重合体の含水物の示差走査熱
量計(DSC)による典型的な溶融吸熱温度(Tm )と
固化発熱温度(Tc )を示したグラフである。
【図2】図1の一例として、重量比でアクリロニトリル
89.2%とメチルアクリレート10.8%を含有する
アクリロニトリル重合体に、水20%を混合した含水物
の溶融温度(Tm )と固化温度(Tc )を示したグラフ
である。
【図3】アクリロニトリル重合体の含水物の含水量によ
る溶融温度(Tm )と固化温度(Tc )の典型的な変化
を示したグラフである。
【図4】図3の一例として、重量比でアクリロニトリル
89.2%とメチルアクリレート10.8%を含有する
アクリロニトリル重合体の含水物の含水量変化による溶
融温度(Tm )と固化温度(Tc )の変化を示したグラ
フである。
【図5】アクリロニトリル共重合体の含水物のメチルア
クリレートの含量変化による溶融温度(Tm )及び固化
温度(Tc )の変化を示したグラフである。
【図6】アクリロニトリル重合体の含水物の、溶融体の
押出温度による押出物の配向度の変化を示したグラフで
ある。
【図7】溶融状態において、アクリロニトリル高分子鎖
と、水分子との相互作用による三次的分子秩序をなす構
造模型図である。
【図8】押出固化後、繊維が形成されたとき、アクリロ
ニトリル高分子鎖が直鎖配座の板状フィブリルをなす構
造模型図である。
【図9】繊維形状のテープ状押出物の横断面及び縦断面
の走査電子顕微鏡写真である。
【図10】図9のテープ状押出物の横断面及び縦断面構
造を示す模型図である。
【図11】図9のテープ状押出物のX線回折パターン写
真である。
【図12】図11のX線回折パターン上の赤道方向の主
回折ピーク(2θ=16.2°)位置における子午線方
向へ走査した回折強度曲線図である。
【図13】延伸熱処理したテープ状押出物を叩解(beati
ng) して得たパルプ状短繊維の繊維形状を示す走査電子
顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 閔 丙 吉 大韓民国ソウル特別市蘆原区上渓6洞765 番地 住公アパート120棟603号 (72)発明者 ▲ちょ▼ 再 煥 大韓民国京畿道安養市安養一洞1157番地54 号 東一住宅B棟302号 (56)参考文献 特開 昭49−66905(JP,A) 特公 昭51−28729(JP,B1) 特公 昭51−45691(JP,B1)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比で70%以上のアクリロニトリル
    及び重量比で30%以下の共重合可能な単量体を重合さ
    せた、10,000から600,000の粘度平均分子
    量を有するアクリロニトリル単独重合体又は共重合体
    と、上記重合体に対し重量比で5%から100%の水と
    の混合物を、密閉下において溶融温度以上に加熱して無
    定形溶融体を形成させ、これを溶融温度と固化温度の間
    の温度に冷却して準結晶溶融相を得た後、これを外部環
    境へ押出し、板状フィブリル等が揃って配列積層された
    断面構造をもち、X線回折パターンにおいて繊維状結晶
    構造と70%以上の配向度を示す押出物を得、この押出
    物を100℃から220℃に維持した気体雰囲気中で引
    張るか、又は該温度の圧縮ローラーの間を引張状態で通
    過させて、延伸熱処理を行った後、これを機械的に叩解
    することを特徴とする、0.1μmから100μmの太
    さの分布及び0.1mmから100mmの長さの分布を
    有する高配向フィブリル構造のパルプ状短繊維の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 該高配向フィブリル構造が、太さ0.0
    1μmから1.0μmのマイクロフィブリル及び厚さ1
    μmから10μmの板状フィブリルにより構成されてい
    る請求項1の製造方法。
  3. 【請求項3】 該延伸熱処理が、押出物を、120℃か
    ら200℃の圧縮ローラーの間を引張状態で通過させて
    行う請求項1の製造方法。
  4. 【請求項4】 該延伸熱処理により、5%から100%
    の延伸を行う請求項1の製造方法。
  5. 【請求項5】 該外部環境への押出しを、100℃未満
    5気圧以下の気体中、100℃から150℃の自然水蒸
    気圧雰囲気中、あるいは溶融点が100℃未満の易融合
    金が詰められた垂直チューブを通過させ、5気圧以下の
    圧力を加えて行う請求項1の製造方法。
  6. 【請求項6】 該外部環境への押出しを、常温常圧及び
    空気雰囲気中で行う請求項1の製造方法。
  7. 【請求項7】 該混合物が、重合体に対して重量比で1
    0%から50%の水を含む請求項1の製造方法。
  8. 【請求項8】 該無定形溶融体が、重合体含水物の溶融
    温度以上から220℃迄の温度範囲にて形成される請求
    項1の製造方法。
  9. 【請求項9】 該アクリロニトリル単独重合体及び共重
    合体の粘度平均分子量が、50,000から350,0
    00である請求項1の製造方法。
  10. 【請求項10】 該アクリロニトリル単独重合体及び共
    重合体が、重量比で85%以上のアクリロニトリルと1
    5%以下の共重合可能な単量体から構成される請求項1
    の製造方法。
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