JPH0713056A - 強化プラスチック製鎧装ケーブルおよびその製造方法 - Google Patents

強化プラスチック製鎧装ケーブルおよびその製造方法

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JPH0713056A
JPH0713056A JP3159533A JP15953391A JPH0713056A JP H0713056 A JPH0713056 A JP H0713056A JP 3159533 A JP3159533 A JP 3159533A JP 15953391 A JP15953391 A JP 15953391A JP H0713056 A JPH0713056 A JP H0713056A
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健次 小塚
Minoru Naito
稔 内藤
Kazuo Yasuda
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 未硬化状樹脂の貯蔵安定性や、補強繊維の片
寄り等の解消および製造工程の短縮化を図れる強化プラ
スチック製鎧装ケーブルの製造方法の提供。 【構成】 未硬化状鎧装線Bは、中央に配置される前記
光ファイバテープ心線ケーブルAの外周を囲繞するごと
くガイド18により案内した後、透孔ガイド19中で防
水ジェリーを塗布しつつ収斂させてガイド20に通し、
後方に配置する回転引取機により撚を加え、引続いて外
周被覆用押出機21より溶融状の低密度ポリエチレンで
被覆して、被覆層を冷却水槽23中で冷却固化した後、
加熱硬化槽24に導いて、内部の鎧装線B中の未硬化熱
硬化性樹脂を硬化させ、回転引取機25を介して回転巻
取機26のドラムに巻取る。未硬化状鎧装線Bの撚合せ
は、硬化後の鎧装ケーブルを回転引取機25,回転巻取
機26を同調させてケーブルAの長軸の周りに回転させ
ることによって、ケーブルAの外周に撚合せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は通信用,電力用として使
用されるケーブルの外周を強化プラスチック線条物で保
護強化した強化プラスチック製鎧装ケーブルおよびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来技術と発明が解決しようとする課題】補強繊維に
熱硬化性樹脂を含浸して硬化した強化プラスチック線条
物を複数本ケーブル外周に巻回した鎧装では、強化プラ
スチックの剛性が高いためストレスクラッキングが生ず
る危険があり、これを回避するため、ケーブルの外周に
未硬化あるいは半硬化の状態の線条物を巻回する鎧装ケ
ーブルの製造方法は公知である(特公昭56−5036
4号)。
【0003】そして、この未硬化状の鎧装線の一つとし
て未硬化あるいは半硬化の状態にある強化プラスチック
線条体の外周に接着等防止用の保護層を施したものも同
公告公報には提案されている。
【0004】一方、本出願人は上記未硬化状鎧装線とし
て好適な複合状強化プラスチック線状の原材料すなわ
ち、補強繊維に未硬化状の熱硬化性樹脂を含浸し、その
外周を熱可塑性樹脂で被覆したものを製造する方法とし
て特公昭51−43501号に提案している。
【0005】しかし、この本出願人による複合状強化プ
ラスチック線状体の原材料をケーブルの鎧装線として使
用するときは、未硬化状線状体の製造と、ケーブルの外
周に鎧装する工程が別工程となるため、未硬化状熱硬化
性樹脂の貯蔵安定性の問題や、ドラム,ボビン等に巻取
る工程で、複合状強化プラスチック線状体中で補強繊維
の片寄りや乱れが発生し、硬化後の物性が低下する等の
問題があった。
【0006】そこで、本発明者らは、未硬化状樹脂の貯
蔵安定性や、補強繊維の片寄り等の解消および製造工程
の短縮化を図れる強化プラスチック製鎧装ケーブルおよ
びその製造方法を鋭意検討して本発明を完成した。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の強化プラスチック製鎧装ケーブルは、中央に
配置される光ファイバケーブルと、この光ファイバケー
ブルの外周に配置される複数の強化プラスチック鎧装線
と、前記鎧装線の外周を被覆する熱可塑性樹脂からなる
外周被覆層とを備え、前記光ファイバケーブルと前記強
化プラスチック鎧装線との間および前記鎧装線間に充填
された繊維状吸水材とからなることを特徴とする。
【0008】また、上記鎧装ケーブルの製造方法とし
て、長繊維状補強繊維に未硬化状の熱硬化性樹脂を含浸
し、これを所定形状に成形して未硬化状線条物とし、こ
の後に該未硬化状線条物を溶融押出機のダイ部に挿通し
て、各々の外周を熱可塑性樹脂で環状に被覆し、しかる
後、該被覆層を直ちに冷却して内部が未硬化状の強化プ
ラスチック鎧装線を所定本数同時に製造し、これを長軸
の周りに回転しながら中央部に供給するケーブルの外周
に所定の撚ピッチで撚合せ、これを溶融押出機のダイ部
に挿通して外層被覆用の熱可塑性樹脂により被覆して、
その表面を直ちに冷却固化し、引続いて液体を熱媒体と
する加熱硬化槽に導いて、内部の未硬化状熱硬化性樹脂
を硬化しつつ、回転引取機を介して巻取ることを特徴と
する。
【0009】本発明の製造方法では、前記強化プラスチ
ック鎧装線の撚合せに際し、中央部に供給する前記ケー
ブルの外周と前記鎧装線の内側との間隙に繊維状吸水材
を介在させつつ撚合せた後、前記鎧装線同士により形成
される凹部に別の繊維状吸水材を充填しつつ撚合せるこ
とができる。また、同製造方法では、前記強化プラスチ
ック鎧装線を撚合せた後に、この鎧装線の外周に防水用
ジェリーを塗布することも可能になる。
【0010】さらに、同製造方法では、前記ケーブルを
光ファイバケーブルで構成することができ、この場合に
は、光ファイバケーブルの製造工程を前記強化プラスチ
ック鎧装線の製造工程に直結することも可能になる。
【0011】本発明の強化プラスチック鎧装線は、長繊
維状の補強繊維として、ガラス繊維,芳香族ポリアミド
繊維,カーボン繊維あるいはナイロン,ポリエステル,
ビニロンなどの無機あるいは有機繊維を使用し、熱硬化
性樹脂には、一般的には不飽和ポリエステル樹脂、ビニ
ルエステル樹脂、あるいはエポキシ樹脂,フェノール樹
脂などが使用できる。
【0012】また、前記補強繊維及び熱硬化性樹脂を組
合せてなる未硬化状線条物の外周を被覆する熱可塑性樹
脂は、溶融押出による被覆が容易なものであれば特にそ
の種類を問わないが、一般的には、柔軟性,耐低温物
性,経済性などからポリエチレン系の樹脂や柔軟性の樹
脂としてポリアミド樹脂が推奨される。
【0013】なお、本発明の方法に使用する内部が未硬
化状の強化プラスチック鎧装線の補強繊維の含有率は概
ね50〜75vol %、より好ましくは55〜70vol %
である。
【0014】また、未硬化状の複合強化プラスチック鎧
装線をケーブルの外周に撚合せるピッチPは、概ね強化
プラスチック鎧装線外径を2r、中央に配置するケーブ
ルの外径を2Rとするとき、P≧8π(R+r)とする
ことが強化プラスチック線の強度効率の点から望まし
い。
【0015】強化プラスチック鎧装線をケーブルの外周
に撚合せた後に施す外層被覆用の熱可塑性樹脂は、複合
強化プラスチック鎧装線の被覆樹脂として上記したもの
と同じものが好適に使用でき、内部未硬化状の強化プラ
スチック鎧装線の硬化は、液体を熱媒体とする加熱硬化
槽中で行なうことが、液体の浮力を利用できること、熱
硬化性樹脂の硬化発熱を液体で効率的に放熱できるなど
の点で好ましく、ケーブルが光ファイバケーブルの場合
は硬化温度は概ね80〜120℃程度、ポリエチレン系
の素材を使用する場合は100℃程度で媒体としては水
(熱湯)が望ましい。
【0016】防水用ジェリーは、ケーブルの用途におい
て、例えば、光ファイバケーブル等において水の侵入を
防ぐために要求される場合があり、かかる場合には、鎧
装線の撚合せ後、外周被覆前に鎧装線の外周に充填塗布
すればよい。また、繊維状吸水材としては、連続状の繊
維自身が吸水性を有するもの、繊維の表面に吸水性物質
をコーティングしたもの、および繊維間にジェリー状の
防水性コンパウンドを含浸させたものなどが挙げられ
る。
【0017】
【作用効果】本発明の強化プラスチック製鎧装ケーブル
によれば、光ファイバケーブルと強化プラスチック鎧装
線との間および鎧装線間に繊維状吸水材が充填されてい
るので、外周被覆層が破損した場合などに内部に水が侵
入したとしても、その水が繊維状吸収材に吸収されて、
鎧装線に沿って移行する水走り現象を防止することがで
きる。
【0018】また、本発明の製造方法によれば、補強繊
維に未硬化状熱硬化性樹脂を含浸し、その外周に熱可塑
性樹脂被覆を施した、未硬化状複合強化プラスチック鎧
装線を所定本数連続的に製造しつつ、これをケーブルの
外周に撚合せ、その外周を熱可塑性樹脂により被覆した
後、液状熱媒体中で硬化する連続方法を採っているの
で、従来において工程を分けていた場合の問題点、すな
わち、未硬化状熱硬化性樹脂の貯蔵安定性,補強繊維の
片寄り,あるいは液状媒体を使用した場合における鎧装
線間に含まれる液分等に起因して外周被覆が部分的に発
泡状にふくれるなどの諸問題が解決できる。
【0019】
【実施例】以下、本発明につき実施例により詳細に説明
する。 実施例1 鎧装の対象である光ファイバケーブルを次の方法により
製造した。まず、光ファイバ担持用スペーサー1は、中
央の抗張力線1aとして3.5mm外径のガラス繊維強化
プラスチック線の外周に低密度ポリエチレンを外径5.
8mmに被覆したものを使用し、その外周に高密度ポリエ
チレンにより被覆層1bを形成し、外径が8.5mmで
2.0h×1.5wmmの角形状の溝1cを6ヶ有する非
金属性のもの(出願人製:G−K−6−8.5)を用い
た。
【0020】このスペーサー1に4心の光ファイバテー
プ心線を6枚収納し、各溝1cの余剰空間に防水用のジ
ェリー3を充填し、スペーサー1の外周に更にポリエス
テル繊維等によるテープ4を巻回し、最外周に低密度ポ
リエチレンによって外径12.5mmの被覆層5を施して
光ファイバテープ心線ケーブルAとした。
【0021】次いで、強化プラスチック線条物による鎧
装方法について説明する。ドラム10に巻かれた上記光
ファイバテープ心線ケーブルAを長軸の周りに回転しな
がら供給する一方、その外周に撚合せる未硬化状の強化
プラスチック鎧装線Bを以下の方法で製造した。
【0022】上記ケーブルの鎧装は、12本の強化プラ
スチック線で構成するものとし、各1本は、クリールス
タンド11に配置されたガラス繊維ロービング(日東紡
績製:RS110)13本及びガラスヤーン(同社製:
RS28)2本を組合せた補強繊維12を用い、これの
体積含有率を60%に設定して集束し、これを未硬化状
のビニルエステル樹脂(三井東圧化学製:H−200
0)に硬化用過酸化物系触媒として化薬アクゾ社製パー
カドックス16を0.5部、トリコノックス21LS−
50を3部、硬化剤CSCを0.2部添加した樹脂を収
容した槽13に挿通して、樹脂を含浸した後、絞りノズ
ル14により外径3.5mmに絞り成形したものを溶融押
出機15のクロスヘッド部に通して低密度ポリエチレン
(日本ユニカー(株)製:NUCG−0588BK)に
より外径4.5mmに環状に被覆して、直ちにこれを冷却
水槽16に導入し、被覆層17を冷却固化した。
【0023】各別12本の未硬化状鎧装線Bは、連続的
に製造しつつ供給し、中央に配置される前記光ファイバ
テープ心線ケーブルAの外周を囲繞するごとくガイド1
8により案内した後、透孔ガイド19中でシリコン系防
水ジェリー(出光石油化学製:DAPHNE)を充填塗
布しつつ収斂させてガイド20に通し、後方に配置する
回転引取機により撚を加え、引続いて外周被覆用押出機
21より溶融状の低密度ポリエチレン(日本ユニカー
(株)製:NUCG−0588BK)により外径25.
5mmに被覆して、この外周被覆層22を冷却水槽23中
で冷却固化した後、98℃の熱湯による加熱硬化槽24
に導いて、内部の鎧装線中の未硬化熱硬化性樹脂を8分
の硬化時間で硬化させ、回転引取機25を介して回転巻
取機26のドラムに巻取った。
【0024】なお、未硬化状鎧装線Bの撚合せは、光フ
ァイバテープ心線ケーブルAのドラム及び、硬化後の鎧
装ケーブルを回転引取機25,回転巻取機26を同調さ
せてケーブルAの長軸の周りに回転させることによっ
て、ケーブルAの外周に未硬化状鎧装線Bを巻付けるご
とき状態で撚合せるものである。
【0025】本実施例においては、撚ピッチは前述のP
≧8π(R+r)に代入すると8π{(12.5+4.
5)/2}=213.6となりこの値の2倍以上である
500mmであって、強化プラスチック鎧装線Bに作用す
る引張力に対して強度低下することなく有効に物性を発
現できる範囲である。
【0026】このピッチPが8π(R+r)未満では前
記の強度低下、すなわち、直線状で硬化した場合に比べ
て螺旋状に巻付けた状態で硬化したものは引張弾性率が
80%程度に低下するので約213mm以下の撚ピッチは
好ましくない。
【0027】また、撚合せ時の未硬化状鎧装線Bに付加
されるテンションは鎧装線1本当り2.3kgとした。こ
れは補強繊維総デニールに0.05g /d を乗じ、その
値の1/3としたものである。このようにして得られた
強化プラスチック鎧装ケーブルは、外径25.5mmで図
2に示す断面形状を有するものであって、その物性を測
定したところ以下の如くであった。
【0028】まず、引張性能を最大荷重10トンの横型
引張試験装置(東京衡機製)を使用し、3mの鎧装ケー
ブルの両端の被覆を剥いで、鎧装線のFRP部を露出さ
せた後エポキシパテにより端末部を固定した後、2mの
標点間距離として荷重一伸度の関係及び測定波長1.3
μmによる伝送損失の変化をみた。
【0029】その結果、荷重6000kg迄伝送損失の変
化はなく、また、0.5%伸度時の強力は2600kgと
ほぼ計算値に等しい強力一伸度関係にある。耐圧縮性能
に関しては、100mmの圧縮部分に1mm/分の圧縮速度
で圧縮し、前記と同じ波長で伝送損失の変化を測定した
ところ、荷重1000kg迄伝送損失の変化は認められな
かった。
【0030】曲げ性能は、種々の直径のマンドレル(棒
状体)に鎧装ケーブルを正逆繰返して巻付けて伝送損失
が増加する直径をみたところ300mmのマンドレル径迄
は、伝送損失の増加は認められなかった。
【0031】捻回試験 前記3mのサンプルに200kgの一定荷重をかけて、一
端側の固定端をねじり、伝送損失が増加する回転角度を
測定した。その結果正回転では300度、逆回転では1
080度まで伝送損失増加は認められなかった。なお、
本実施例の鎧装ケーブルの鎧装線はS方向に撚合せたも
のであり、正回転とはこのS方向と同一のことである。
【0032】可撓性試験 突出し端30cmの片持梁状強化プラスチック鎧装ケーブ
ルの先端に2〜10kgの荷重を負荷してそのときの撓み
量を測定して可撓性の目安とした。その結果、10kg荷
重時で92mmであって、外径25.5mmのケーブルとし
ては可撓性を有するものである。また、本実施例の鎧装
ケーブルの低温試験を−40℃で行なったが、被覆層F
RP部などでのクラックの発生などの欠陥は生じなかっ
た。
【0033】さらに、鎧装線強化による補強効果を調べ
るため、強化プラスチック鎧装線の有無の状態で、圧縮
長50mm,圧縮スピード0.5mm/分で圧縮し、1.3
μm波長での伝送損失が増加する荷重を調べたところ、
鎧装を有していない場合は500kg荷重から損失増加が
認められるのに対して、鎧装を施したものでは1100
kg迄伝送損失の増加は認められない。よってこの実施例
の方法による強化プラスチック鎧装ケーブルは、圧縮に
対しても充分な補強効果を発現している。
【0034】実施例2 前記実施例1において、鎧装ケーブルの防水性を確保す
べくシリコン形防水ジェリーに代えて、繊維状防水材を
使用してケーブルを作成した。図3は、この製造の際の
要部を示したものであり、同図に示したものは、図1の
ガイド18,20間に設置され、中央に配置される実施
例1と同一の光ファイバテープ心線ケーブルAの外周を
囲繞するごとく、各別12本の未硬化状鎧装線Bを実施
例1と同様に連続的に製造しつつ供給するが、この時
に、ガイド30により鎧装線Bを案内する際に、ケーブ
ルAの外周と鎧装線Bとで形成される空隙部に、ポリア
クリル酸ソーダ系の吸水性樹脂を28.5重量%含む単
糸4.2デニールのポリプロピレン系吸水性繊維C1
を、2600d/630fとなるように集束してガイド
30の12ケの透孔から案内供給した。
【0035】このようにして、未硬化状鎧装線Bの内側
に吸水性繊維C1を供給する一方、撚合せ後に形成され
る鎧装線Bの外周同士の凹部の充填用として、前記と同
一の吸水性繊維であって、集束本数が3600d/87
0fの繊維C2を、各凹部毎とにガイド30,31の透
孔に挿通して供給し、鎧装線Bの内側および外側の凹部
を充填率20体積%の割合で繊維状吸水材C1,C2で
充填し、その後に後方に配置した回転引取機25で撚を
加え、実施例1と同様に外周被覆層22を施し、この被
覆層22の冷却固化、未硬化状鎧装線Bの硬化の各工程
を行い、回転巻取機26に巻き取った。
【0036】得られた防水性強化プラスチック製外装ケ
ーブルは、図4に示す断面形状であって、その防水性を
次の方法により測定した。長さ10mの本実施例の鎧装
ケーブルを台上に水平に載置し、外周被覆層22を部分
的にはぎ取り、その部分にT字継手を間挿シールしてホ
ースを接続し、水頭長1mの位置に蒸留水を満たした分
液ロートを保持して、ロートおよびホースの途中に設け
たコックを開栓し、一定時間での走水長を測定した。
【0037】その結果、24時間での走水長が180mm
であり、十分な防水性能を有していた。なお、本実施例
のポリプロピレン系吸水性繊維に代えて、日本エクスラ
ン社製の吸水性繊維ランシール(登録商標)を同じ充填
率で使用した場合にも同様の防水性能が得られた。
【0038】<参考例>従来においては、ケーブルAの
鎧装は上記本願実施例1のごとく未硬化状鎧装線Bの製
造とケーブル外周への撚合せ及び硬化を連続して行なう
ことなく、未硬化状鎧装線Bの製造とそれを利用してケ
ーブルの鎧装を行なう工程は別々であって、これらの工
程間の時間差を考慮すると常温で30日程度の可使時間
が要求される。
【0039】これらを考慮して、本出願人は、未硬化状
態での貯蔵安定性に優れ、かつ強度低下の少ない熱硬化
性樹脂組成を特徴とする繊維強化合成樹脂製線条物の中
間体を特開平1−139872号によって開示してい
る。
【0040】しかし、この公開公報に開示された樹脂組
成のものを使用した場合においては、ガラス繊維を補強
繊維とした場合において、ガラス繊維の体積含有率50
%でその硬化物の引張強度が75kg/mm2 程度である。
【0041】これに対して、本発明の方法では工程を直
結しているので、上記の可使時間に特に配慮することな
く、スチレンを架橋性モノマーとして含む熱硬化性樹脂
を使用でき、この場合の上記ガラス繊維体積含有率での
引張強度は100kg/mm2 が達成できる。 実施例3 図5は、本発明にかかる製造方法の第3実施例を示して
いる。同図に示す製造方法は、光ファイバケーブルを得
る第1工程と、鎧装体を得る第2工程と、光ファイバケ
ーブルと鎧装体とを撚合わせて被覆する第3工程と、被
覆層および熱硬化性樹脂を固化,硬化させる第4工程と
からなり、これらの工程が連続して行われる。
【0042】図5に示す符号40の装置は、予め別工程
で作られたスペーサa1が捲回され、このスペーサa1
を送り出しながら水平面内で回転させるスペーサ供給装
置であり、また、同符号42の装置は製造されたFRP
鎧装光ケーブルa4を巻き取りながら水平面内で回転さ
せる回転巻取装置である。
【0043】まず、スペーサa1の製造方法について説
明すると、スペーサa1の中央に配置する抗張力線a1
1として、3.5mmの繊維強化熱硬化性樹脂製線状物の
外周に低密度ポリエチレンにより5.8mmの被覆を施し
たものを用いた。なお、この抗張力線a11の製造法の
詳細は、本出願人の先願特許である特公平1−5059
1号公報に開示されている。
【0044】次いで、抗張力線a11の外周に溶融状の
高密度ポリエチレンを回転しながら押出して、溝幅およ
び溝深さがともに1.5mmであって、外径が9.4mm、
溝数が12個、螺旋のピッチが500mmの螺旋スペーサ
a1を作製した。図6にその断面形状を示している第1
工程では、このスペーサa1をスペーサ供給装置40に
捲回して、スペーサa1を繰り出す一方で、小ボビン4
4に巻かれたナイロンシース光ファイバ心線a21を8
本繰り出しつつスペーサa1の溝内に挿入し、さらにそ
の外周にポリエステル繊維製の細幅テープa22を2本
が交差するようにして巻き付けた。
【0045】そして、テープa22が巻き付けられた状
態で溶融押出機46のクロスヘッドに挿通して、その外
周に低密度ポリエチレン(日本ユニカー(株)製、NU
CG−0588)を押出して、外径が13.5mmになる
ように外皮シースa23を形成し、これを直ちに冷却槽
48で冷却し、光ファイバケーブルa2を得た。
【0046】第2工程では、鎧装体a3は、12本で構
成するので、クリールスタンド50に配置されたガラス
繊維ロービング(日東紡績製RS110)13本および
ガラス繊維ヤーン(日本電気ガラス製280TEX)2
本からなる補強繊維a31を用いこれを不飽和ポリエス
テル樹脂(三井東圧化学製、エスターH−8000)お
よび硬化用過酸化物触媒を混合した樹脂浴52に導き、
補強繊維a31に樹脂を含浸し、しかる後、外径が3.
5mmになるように成形機54で絞り成形した。
【0047】次いで、溶融押出し機56に挿通して、補
強繊維a31に含浸させた熱硬化性樹脂が未硬化の状態
で、その外周に低密度ポリエチレンを押出し、外径が
4.5mmになるように被覆層a32を設け、その後直ち
に表面の被覆層a32だけを冷却槽58で冷却して12
本の鎧装体a3を得た。
【0048】第3工程では、第1工程で得られた光ファ
イバケーブルa2を中心に配置し、第2工程で得られた
内部の熱硬化性樹脂が未硬化状態の鎧装体a3をガイド
60,62を通してケーブルa2の外周に収斂させ、前
記スペーサa1が捲回されたスペーサ供給装置40と同
調して回転する回転引取機70により回転させられてい
るケーブルa2の外周に12本の鎧装体a3が周方向に
密着して配置され、かつ、スペーサa1の螺旋ピッチと
同一である500mmのピッチで撚合わせた。
【0049】次いで、この状態で撚合わせたものを押出
し機64のクロスヘッドに通して、その外周に低密度ポ
リエチレンを押出して、外径が26.5mmになるように
外装被覆層a41を形成した。第4工程では、まず、第
3工程で形成された外層被覆層a41が冷却槽66で冷
却されて固化され、次いで98℃の熱湯槽68に導い
て、鎧装体a3の補強繊維a31に含浸させられている
熱硬化性樹脂が硬化され、これによりFRP鎧装光ケー
ブルa4が得られ、光ケーブルa4は回転引取機70を
介して回転巻取機42に巻きとった。
【0050】得られたFRP鎧装光ケーブルa4の断面
形状は、図6に示すものであり、引張り性能、捻回性
能、圧縮性能、曲げ性能、低温特性などにおいて充分満
足するものであった。なお、この実施例に示した方法で
は、FRP鎧装光ケーブルa4に防水対策を施していな
いが、図6に示した第2工程以降を図1に示した製造方
法に連結すると、防水対策が施されたFRP鎧装光ケー
ブルが得られる。
【0051】以上の第3実施例の製造方法によれば、光
ファイバケーブルを得る第1の工程、未硬化状のFRP
鎧装線を得る第2の工程、この未硬化状の鎧装線を前記
光ファイバケーブルに撚合せその外周に熱可塑性樹脂に
より被覆層を形成する第3の工程及び未硬化状熱硬化性
樹脂を硬化する第4の工程とを直結しているので、これ
らの各工程を各別に行なう場合と比較して、各別の工程
において必須である回転引取機、回転巻取機及び巻取ド
ラム等が不要となり、設備の低減および省力化などに資
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本製造方法発明の第1実施例にかかる工程を順
に示す工程説明図である。
【図2】同第1実施例で製造された鎧装ケーブルの断面
図である。
【図3】本製造方法発明の第2実施例の工程の要部説明
図である。
【図4】同第2実施例で製造された鎧装ケーブルの断面
図である。
【図5】本製造方法発明の第3実施例の工程説明図であ
る。
【図6】同第3実施例で製造された鎧装ケーブルの断面
図である。
【符号の説明】
A 光ファイバテープ心線ケーブル B 未硬化状強化プラスチック鎧装線 C1,C2 繊維状吸水材 12 補強繊維 17 被覆層 22 外周被覆層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安田 一雄 岐阜県岐阜市薮田579の1 宇部日東化成 株式会社岐阜研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中央に配置される光ファイバケーブル
    と、この光ファイバケーブルの外周に配置される複数の
    強化プラスチック鎧装線と、前記鎧装線の外周を被覆す
    る熱可塑性樹脂からなる外周被覆層とを備え、前記光フ
    ァイバケーブルと前記強化プラスチック鎧装線との間お
    よび前記鎧装線間に充填された繊維状吸水材とからなる
    ことを特徴とする強化プラスチック製鎧装ケーブル。
  2. 【請求項2】 長繊維状補強繊維に未硬化状の熱硬化性
    樹脂を含浸し、これを所定形状に成形して未硬化状線条
    物とし、この後に該未硬化状線条物を溶融押出機のダイ
    部に挿通して、各々の外周を熱可塑性樹脂で環状に被覆
    し、しかる後、該被覆層を直ちに冷却して内部が未硬化
    状の強化プラスチック鎧装線を所定本数同時に製造し、
    これを長軸の周りに回転しながら中央部に供給するケー
    ブルの外周に所定の撚ピッチで撚合せ、これを溶融押出
    機のダイ部に挿通して外層被覆用の熱可塑性樹脂により
    被覆して、その表面を直ちに冷却固化し、引続いて液体
    を熱媒体とする加熱硬化槽に導いて、内部の未硬化状熱
    硬化性樹脂を硬化しつつ、回転引取機を介して巻取るこ
    とを特徴とする強化プラスチック製鎧装ケーブルの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記強化プラスチック鎧装線の撚合せに
    際し、中央部に供給する前記ケーブルの外周と前記鎧装
    線の内側との間隙に繊維状吸水材を介在させつつ撚合せ
    た後、前記鎧装線同士により形成される凹部に別の繊維
    状吸水材を充填しつつ撚合せることを特徴とする請求項
    2記載の強化プラスチック製鎧装ケーブルの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記強化プラスチック鎧装線を撚合せた
    後に、この鎧装線の外周に防水用ジェリーを塗布するこ
    とを特徴とする請求項2記載の強化プラスチック製鎧装
    ケーブルの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記ケーブルが光ファイバケーブルであ
    ることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記
    載の強化プラスチック製鎧装ケーブルの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記光ファイバケーブルの製造工程が前
    記強化プラスチック鎧装線の製造工程に直結されること
    を特徴とする請求項5記載の強化プラスチック製鎧装ケ
    ーブルの製造方法。
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