JPH07127145A - コンクリート建物の絶縁型枠工法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 空気封入突起群付きシート型枠の適用により
施工及びその撤去を容易にして、エキスパンションジョ
イントの施工性とともにその構造分離性、信頼性を向上
しコスト節減を可能にしている。 【構成】 先打ちコンクリート部１の打設用型枠２を解
体した後、この先打ちコンクリート部１の表面に空気封
入突起群付きシート５を空気封入突起群付きシート型枠
１５（又は１５ａ，１５ｂ）として張設し、この空気封
入突起群付きシート型枠により後打ちコンクリート部１
１を打設して構築し、先打ちコンクリート部１と後打ち
コンクリート部１１との間を構造的に分離したエキスパ
ンションジョイントに構成することに特徴を有し、ま
た、前記先打ちコンクリート部１の表面に、薄手の型枠
１３（あるいはまた１６）を貼着４した空気封入突起群
付きシート５を積層空気封入突起群付きシート型枠１
５，１３（又は１５ａ，１５ｂ，１６）として張設する
ことに特徴を有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ＲＣ造やＳＲＣ造建物
において、耐震等の目的でその大きく異なる変形部分を
構造的に分離するエキスパンシヨンジョイントに構成す
るコンクリート建物の絶縁型枠工法に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、ＲＣ造（鉄筋コンクリート造）や
ＳＲＣ造（鉄骨鉄筋コンクリート造）建物において、平
面的に大規模な建物や高層部と低層部を有する建物を構
築する場合、耐震等の目的でその大きく異なる変形部分
を構造的に分離するエキスパンシヨンジョイントに構成
することが多く、この場合、例えば柱、梁や壁を水平間
隔を置き並設して二重に構築する必要があるが、前記の
ようなコンクリート建物では、エキスパンシヨンジョイ
ント（先打ちコンクリート部と後打ちコンクリート部の
間）部に配設した後打用型枠を解体して撤去するのに必
要な水平間隔を、十分に確保できないことが多い。

【０００３】前記のようにエキスパンシヨンジョイント
部の間隔が比較的に狭い場合、従来のコンクリート建物
の絶縁型枠工法では、通常、ポリスチレン樹脂発泡体等
のプラスチック発泡体や軽量・低強度のセメント系の成
形板等を、先に構築した先打ちコンクリート部の表面に
隙間なく張設して後打用型枠とし、この後打用型枠によ
り後打ちコンクリート部を打設して構築した後、その後
打用型枠を撤去する工法になつている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来のコンクリート建
物の絶縁型枠工法は、前記のような後打用型枠を用い後
打ちコンクリートを打設して構築するため、後打ちコン
クリートの充填圧によりその後打用型枠が圧縮されて、
型枠撤去が非常に困難となり多大な工費が必要になる。
また、この型枠を残置すると、エキスパンションジョイ
ント部の躯体変形等によりこの型枠はさらに圧縮されて
大きな反力を生じ、構造分離性が低下するなどの課題が
ある。

【０００５】本発明は、上記のような課題を解決するた
めに開発されたものであつて、その目的とする処は、空
気封入突起群付きシート型枠の適用により施工及びその
撤去を容易にして、エキスパンションジョイントの施工
性とともにその構造分離性、信頼性を向上しコスト節減
を可能にしたコンクリート建物の絶縁型枠工法を提供す
るにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、先打ちコンク
リート部の打設用型枠を解体した後、この先打ちコンク
リート部の表面に空気封入突起群付きシートを空気封入
突起群付きシート型枠として張設し、又は薄手の型枠を
貼着した空気封入突起群付きシートを積層空気封入突起
群付きシート型枠として張設し、これらの空気封入突起
群付きシート型枠により後打ちコンクリート部を打設し
て構築し、先打ちコンクリート部と後打ちコンクリート
部の間を構造的に分離したエキスパンションジョイント
に構成して、その空気封入突起群付きシート型枠の適用
さらにシート数の調節や薄手の型枠付設により、エキス
パンションジョイントの施工を容易としその構造分離
性、信頼性を効果的に高めている。

【０００７】

【作用】本発明の空気封入突起群付きシートは、空気封
入突起群を有し緩衝性に優れ、そのシート数の増減や薄
手の型枠の付設等によりエキスパンションジョイントの
躯体分離間隔やコンクリート表面の形状等に対応せし
め、先打ちコンクリート部の表面に空気封入突起群付き
シート型枠又は積層空気封入突起群付きシート型枠とし
て自在に調節して張設される適応性を有し、この型枠に
より後打ちコンクリート部を打設して容易に施工され、
これら空気封入突起群付きシート型枠はその空気封入突
起群を破壊して容易に撤去でき、また、破壊しなくても
その空気封入突起部の空気圧は時間経過とともに大気圧
程度まで自然に減圧して著しく縮幅可能になり、建物の
躯体変形による応力発生には限界があり、これら空気封
入突起群付きシート型枠を残置しても建物の躯体分離上
に格別の支障にならない。

【０００８】

【実施例】図１ないし図３に本発明の実施例を示す。図
中１は先打ちコンクリート部、２は先打ちコンクリート
部１の打設用型枠、４は貼着（のり付け）、５はシート
部５ａの一面に多数の空気封入突起部５ｂを突設してな
る空気封入突起群付きシート、１１は後打ちコンクリー
ト部、１５（又は１５ａ，１５ｂ）は複数枚の空気封入
突起群付きシート５を貼着４して形成した空気封入突起
群付きシート型枠、１３，１６は空気封入突起群付きシ
ート型枠の一面あるいはまた両面に貼着４して積層空気
封入突起群付きシート型枠１５，１３（又は１５ａ，１
５ｂ，１６）に形成する薄手の型枠であつて、本発明
は、先打ちコンクリート部１の打設用型枠２を解体した
後、この先打ちコンクリート部１の表面に空気封入突起
群付きシート５を空気封入突起群付きシート型枠１５
（又は１５ａ，１５ｂ）として張設し、この空気封入突
起群付きシート型枠１５（又は１５ａ，１５ｂ）により
後打ちコンクリート部１１を打設して構築し、先打ちコ
ンクリート部１と後打ちコンクリート部１１の間を構造
的に分離したエキスパンションジョイントに構成するコ
ンクリート建物の絶縁型枠工法になつている。

【０００９】また、前記のコンクリート建物の絶縁型枠
工法において、先打ちコンクリート部１の表面に、薄手
の型枠１３（あるいはまた１６）を貼着４した空気封入
突起群付きシート型枠１５（又は１５ａ，１５ｂ）を積
層空気封入突起群付きシート型枠１５，１３（又は１５
ａ，１５ｂ，１６）として張設するコンクリート建物の
絶縁型枠工法になつている。

【００１０】さらに詳述すると、前記の空気封入突起群
付きシート５は、図２に示すように複数枚の合成樹脂シ
ートを一体に接着して形成したシート部５ａと、このシ
ート部５ａの一面側に所定の間隔を置き突設した空気封
入突起部（空気封入突起群）５ｂからなる空気緩衝シー
トに構成され、必要に応じ図１（Ｂ）のように２枚の空
気封入突起群付きシート５をその空気封入突起部５ｂを
相互に向かい合せてのり付け貼着４して空気封入突起群
付きシート型枠１５に構成したり、あるいは、図３
（Ａ）のように空気封入突起部５ｂ上にシート部５ａを
順次にのり付け貼着４し多層（図示は４枚）に形成した
空気封入突起群付きシート型枠１５ａに構成し、図３
（Ｂ）のように２枚の空気封入突起群付きシート型枠１
５をその両シート部５ａの相互をのり付け貼着４してシ
ート数をさらに増加した空気封入突起群付きシート型枠
１５ｂ等に構成される。即ち、前記のように空気封入突
起群付きシート型枠１５（又は１５ａ，１５ｂ）は、先
打ちコンクリート部１と後打ちコンクリート部１１の間
（エキスパンションジョイント部）の躯体分離間隔に対
応せしめてシート数を増減し、多様な枠幅材として調節
し使用される。

【００１１】また、前記の型枠１３，１６は、薄手のプ
ラスチック発泡シート、合板、積層板や、石膏ボード、
木毛板、鉄板等の難燃性、不燃性かつ適度の剛性を有す
る板類等が適用される。

【００１２】前記のコンクリート建物の絶縁型枠工法
は、大規模なコンクリート建物や高層部と低層部を有す
るコンクリート建物を構築する際、耐震等により大きく
異なる躯体変形が予想される部分（例えば柱、梁や壁
部）を構造的に分離するエキスパンションジョイントの
施工に適用される。

【００１３】即ち、図１（Ａ）のようにＲＣ造又はＳＲ
Ｃ造の先打ちコンクリート部１を構築してその打設用型
枠２を解体した後、図１（Ｂ）のように先打ちコンクリ
ート部１の表面に空気封入突起群付きシート型枠１５
（又は１５ａ，１５ｂ）をのり付け貼着４（又は釘や金
物で）して張設し、さらに必要に応じ、例えば先打ちコ
ンクリート部１の表面が荒い場合（突起がある場合）
は、そのコンクリート表面と空気封入突起群付きシート
型枠１５（又は１５ａ，１５ｂ）の間に、薄手のプラス
チック発泡シートの型枠１３を貼着４して介装し空気封
入突起群付きシート５の損傷を防止したり、型枠内で溶
接作業等が予想される場合には、空気封入突起群付きシ
ート型枠１５（又は１５ａ，１５ｂ）の外面側に、前記
のような難燃性、不燃性で適度の剛性を有する板類の型
枠１６を貼着４して張設し、薄手の型枠１３（あるいは
また１６）を貼着４した空気封入突起群付きシート１５
（又は１５ａ，１５ｂ）を、積層空気封入突起群付きシ
ート型枠１５，１３（又は１５ａ，１５ｂ，１６）とし
て張設し、図１（Ｃ）のようにＲＣ造又はＳＲＣ造の後
打ちコンクリート部１１を打設して構築し、先打ちコン
クリート部１と後打ちコンクリート部１１の間を構造的
に分離したエキスパンションジョイントに容易に構築さ
れる。

【００１４】後打ちコンクリート１１の充填圧によつて
空気封入突起群付きシート型枠１５（又は１５ａ，１５
ｂ）の空気封入突起部５ｂの空気圧が適度に高められ、
後打ちコンクリート部１１の硬化後、鋭利な刃物でその
空気封入突起部５ｂを破裂せしめ、その空気封入突起群
付きシート型枠１５（又は１５ａ，１５ｂ）を著しく縮
幅して型枠１３，１６とともに容易に撤去される。な
お、型枠１３，１６は必要に応じ打込型枠にすることも
可能である。

【００１５】前記のように空気封入突起部５ａを破壊す
ると、コンクリート建物の変形等により生じる型枠の反
力発生が効果的に解消され、また、各空気封入突起部５
ａの空気圧は、そのシートの透気性により時間経過とと
もに大気圧程度まで自然に減少するため、この空気封入
突起群付きシート型枠を、その空気封入突起部５ａを破
壊しないでエキスパンションジョイントに残置しても、
建物の躯体分離上に格別の支障にならない。

【００１６】本発明のコンクリート建物の絶縁型枠工法
は、前記のように柱、梁や壁部分を適度の間隔を置き並
設してエキスパンションジョイントに構成する場合に好
適であり、また、プレキャストコンクリートカーテンウ
ォール板を仮設的に柱、梁や壁部分の外部型枠として使
用し、竣工後にはカーテンウォール構造として利用する
計画・工事においてもこの工法は効果的に適用される。
特に、プレキャストコンクリートカーテンウォール板の
面内変形を自由にするためだけであれば、後打ちコンク
リート部の硬化後に、なんらの処置を施さなくても加圧
された状態の空気封入突起群付きシートは剪断変形を格
別に拘束することもなく、十分に効果が期待できる。

【００１７】

【発明の効果】本発明の空気封入突起群付きシートは、
前記のように空気封入突起群を有し緩衝性に優れ、その
シート数の増減や薄手の型枠の付設等によりエキスパン
ションジョイントの躯体分離間隔やコンクリート表面の
形状等に対応せしめ、先打ちコンクリート部の表面に空
気封入突起群付きシート型枠又は積層空気封入突起群付
きシート型枠として自在に調節して張設される適応性を
有し、この型枠により後打ちコンクリート部を打設して
容易に施工でき、これらの空気封入突起群付きシート型
枠はその空気封入突起群の破壊により容易に撤去され、
また、その空気封入突起部の空気圧は自然に減圧し著し
く縮幅可能となつて建物の躯体変形による応力発生には
限界があり、エキスパンションジョイント部に残置して
も建物の躯体分離上に格別の支障にならないなど、施工
性とともにその構造分離性、信頼性が著しく向上されて
いる。

【００１８】また、これらの空気封入突起群付きシート
型枠は低コストで提供され、施工コストが著しく低減さ
れるなど大幅なコスト節減が可能になつている。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の施工工程を示す各断面図
（Ａ）（Ｂ）（Ｃ）

【図２】空気封入突起群付きシートの側面図（Ａ）とそ
の平面図（Ｂ）

【図３】空気封入突起群付きシート型枠の他の実施例の
側面図（Ａ）（Ｂ）である。

【符号の説明】

１ 先打ちコンクリート部 ２ 打設用型枠（先打ちコンクリート部） ５ 空気封入突起群付きシート １１ 後打ちコンクリート部 １３，１６ 型枠 １５（又は１５ａ，１５ｂ） 空気封入突起群付きシー
ト型枠 １５，１３（又は１５ａ，１５ｂ，１６）積層空気封入
突起群付きシート型枠

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 先打ちコンクリート部の打設用型枠を解
   体した後、同先打ちコンクリート部の表面に空気封入突
   起群付きシートを空気封入突起群付きシート型枠として
   張設し、同空気封入突起群付きシート型枠により後打ち
   コンクリート部を打設して構築し、前記の先打ちコンク
   リート部と後打ちコンクリート部の間を構造的に分離し
   たエキスパンションジョイントに構成することを特徴と
   するコンクリート建物の絶縁型枠工法。
2. 【請求項２】 請求項１記載のコンクリート建物の絶縁
   型枠工法において、前記の先打ちコンクリート部の表面
   に、薄手の型枠を貼着した空気封入突起群付きシートを
   積層空気封入突起群付きシート型枠として張設すること
   を特徴とするコンクリート建物の絶縁型枠工法。