JPH07127065A - 土木建築用メッシュグリッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 盛土の崩壊を防止する補強土工法に使用され
る経緯の両ストランドで構成されたメッシュグリッド
を、接続が容易で高い接続強度を有する構造とする。 【構成】 メッシュグリッドの長さ方向に所定間隔を存
した複数部位に、メッシュ構造部分の緯ストランドの配
設密度の１．５倍以上の配設密度で緯ストランドを所定
長さだけ配設した接続用組織部を形成し、全体に合成樹
脂を含浸させた。 【効果】 被接続グリッドの端部に接続用組織部を位置
させて重ね、結束、鉄棒通し等で接続させることがで
き、接続作業が容易となり、引張り外力は接続用組織部
が担持するので接続強力が大となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は主として補強土工法に使
用されるメッシュグリッドに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、土木建築工事においては、盛土の
崩壊、滑動を防止するため、締め固められる土層間にメ
ッシュグリッドを介装する補強土工法が採用されてい
る。

【０００３】この従来の補強土工法に使用されているメ
ッシュグリッドは、繊維を使用して編製または織製され
たメッシュ生地に合成樹脂を適宜手段で付与し、剛性、
集束性、目ずれ防止等を図った繊維製のメッシュグリッ
ドとか、合成樹脂シートに予めスリットを入れ１軸また
は２軸延伸して形成した樹脂板製のメッシュグリッド等
が使用されている。

【０００４】メッシュグリッドは、施工時に長さ方向に
接続する必要が生ずるが、前記繊維製のメッシュグリッ
ドは、経ストランドと緯ストランドとの交点の強度が低
く、かつ目ずれも生じやすいため、図３に示すごとく、
接続部分の前後のメッシュグリッドＡ、Ｂの各接続端片
Ｃ、Ｄに、鉄棒Ｅ、Ｆを幅方向に挿入して適宜長さＬだ
け、それぞれ折り返し、折り返され重なった部分の上下
の目合いを合わせてボルトＧ、ナットＨで固定したうえ
で、被接続部分を鉄棒Ｅ、Ｆごと、継ぎロープＩで結束
する手段が採用されている。

【０００５】前述の従来の繊維製のメッシュグリッドの
接続手段は、長い作業時間を要するのみでなく、鉄棒、
ボルト、ナット等の部品数が多くなるという問題を有し
ている。

【０００６】また前記樹脂板製のメッシュグリッドは、
接続部分のメッシュグリッドを数ｃｍ〜数十ｃｍだけ重
ね合わせて目合を合致させ、合致した目合に共通的に鉄
棒またはロープ等を挿入させ、両端に適宜の脱出防止構
造を設けるという簡単な接続構造でも、経緯ストランド
の交点の強度が大であり、目ずれを生じないため実用に
供されるが、長さ方向の１軸延伸や長さ方向と幅方向と
の２方向たる２軸延伸という加工方法を採るため、高強
度用メッシュを必要とするとき、幅方向の強度を得るに
も、把持力が乏しいため、メッシュの少ない部分を引張
ることが出来ず、多品種の加工が困難であり、開孔率を
上げると繊維製のメッシュグリッドと同一接続構造を採
用せざるを得ないという問題を有している。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記繊維製
のメッシュグリッドでも、開孔率を大とした樹脂板製の
メッシュグリッドであっても、接続作業が容易で、しか
も強大な接続強力を発現できる接続用組織部を長さ方向
に所定間隔で複数個所に有する土木建築用のメッシュグ
リッドを提供することを課題としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】前述課題を解決するた
め、請求項１の発明では、経ストランドと緯ストランド
とによるメッシュ構造により、所定幅で長尺に構成され
たメッシュグリッドにおいて、長さ方向に所定間隔を存
した複数部位に、メッシュ構造部分の緯ストランドの配
設密度の１．５倍以上の配設密度で緯ストランドが所定
長さだけ配設された接続用組織部が形成され、全体に合
成樹脂が被覆または含浸されているという構成とした。

【０００９】請求項２の発明では、メッシュ構造部分お
よび接続用組織部が織物組織で形成されているという構
成とした。

【００１０】請求項３の発明では、メッシュ構造部分お
よび接続用組織部が経編組織で形成されているという構
成とした。

【００１１】

【作用】請求項１の発明では、メッシュグリッドの長さ
方向に所定間隔を存した複数部位に、メッシュ構造部分
の緯ストランドの配設密度の１．５倍以上の配設密度で
緯ストランドが所定長さだけ配設された接続用組織部が
形成されているので、被接続端に接続用組織部が位置す
るよう被接続メッシュグリッドを切断し、前位のメッシ
ュグリッドの接続用組織部を後位のメッシュグリッドの
接続用組織部に重ね合わせて幅方向の適数個所で結束す
るか、あるいは前位の接続用組織部を後位の接続用組織
部より僅かに後方に配置し、両接続部の中間のメッシュ
構造部分を鉄棒またはロープの挿通により結合させるの
みで接続が完了する。

【００１２】前記接続されたメッシュグリッドに、長さ
方向の強い引張り外力が作用した際には、緯ストランド
の配設密度の大きい接続用組織部が、結束条、鉄棒、ロ
ープ等を介して伝達される引張り外力に対抗するので強
大な接続強力が得られる。

【００１３】接続用組織部の緯ストランドの密度がメッ
シュ構造部分の密度の１．５倍を余り下まわると実用的
な接続強力が得られないし、１０倍以上にしても余り接
続強力の増大は図れないので、実用的には１．５倍から
１０倍程度が好ましい。

【００１４】請求項２の発明によると、経糸および緯糸
の材質、太さの変更あるいは組織、織り密度の設計によ
りメッシュグリッドの諸性能の設計の自由度が著しく大
となるし、請求項３の発明によっても経緯の編糸および
挿入経緯糸の材質、太さの変更、経編組織の選定等によ
りメッシュグリッドの諸性能を自由に設計できる。

【００１５】

【実施例】図１は、緯挿入ラッセル編機を使用したメッ
シュグリッド１を示しており、経ストランド２として、
ポリエステル繊維製の２２５００デニール／ストランド
のものを囲い、緯ストランド３として、同じくポリエス
テル繊維製の１０５００デニール／ストランドのものを
用い、これらの経緯の各ストランドを束ねる束糸とし
て、ポリエステル繊維製の５００デニール／ストランド
の糸を用いた。

【００１６】前記経ストランド２および緯ストランド３
を、メッシュ構造部分４を、経緯両ストランド２、３と
も１．５ストランド／１インチの密度とし、接続用組織
部５およびメッシュグリッド１の両側縁６、７を、１２
ストランド／１インチの密度とし、メッシュ構造部分４
を長さ１ｍ、接続用組織部５を長さ１５ｃｍの繰り返し
で長尺のメッシュグリッド１とし、これにデイップ方式
で合成樹脂を付着、含浸させ、乾燥、固化させた。

【００１７】この結果、接続用組織部５は、幅方向に走
るベルト状の同化部分となった。

【００１８】尚、図示例では、両側縁６、７の経ストラ
ンド２が、１２ストランド／１インチの密度で編み立て
られているが、必ずしも必要とされるものではない。

【００１９】図１に示す実施例は、緯挿入ラッセル編地
とされているが、同一太さの経緯ストランドを経緯糸と
し、経緯糸の交絡部分を、前記実施例の束糸と同一太さ
の束糸で束ねたもぐり織り組織で結合し、メッシュ構造
部分４と接続組織部５とを前記緯挿入ラッセル編地と同
一打込み本数としてメッシュグリッド１を織成しても、
前記実施例と略同一強度が得られる。

【００２０】接続組織部５をメッシュ構造部分４より高
密度として接続強力を増大させる本発明の技術は延伸手
段でメッシュ構造とされる樹脂板製のメッシュグリッド
に適用できることは勿論である。

【００２１】図２は、図１に示すメッシュグリッド１と
同構成に製作されたメッシュグリッド８および９との被
接続端１０、１１を、長さＷだけ重ね合わせ、前位のメ
ッシュグリッド８の接続用組織部１２を後位のメッシュ
グリッド９の接続用組織部１３より僅かに後方に配置
し、両接続用組織部１２、１３の間のメッシュ構造部分
１４の目合いを合わせ、ロープ１５を共通する目合いに
縫い刺し状に挿通し、両側縁１６、１７部分を捲回し、
結束した接続構造を示している。

【００２２】前記ロープに代えて、鉄棒、合成樹脂棒を
挿通し、適宜に固定してもよい。

【００２３】また別の接続手段としては、前記接続用組
織部１２、１３を直接重ね合わせ、幅方向の適数個所で
ロープ等で結束する手段も採用できる。

【００２４】

【発明の効果】請求項１の発明によると、接続用組織部
が被接続端の近傍に位置するよう切断したメッシュグリ
ッド同士の接続作業が著しく簡単となり、図３に示すご
とき従来の接続作業時間の１／１０程度の作業時間で接
続でき、作業能率を向上させうる効果を奏する。

【００２５】また緯ストランドの配設密度の大きい接続
用組織部が、強大な接続強力を発揮するので、このメッ
シュグリッドを使用して行われた補強土工法による盛土
の崩壊、滑動を長期に亘って完全に防止できる効果を奏
する。

【００２６】特に、接続用組織部の緯ストランドの密度
をメッシュ構造部分の密度の１．５倍以上に選定したの
で、使用資材の無駄なしに十分な接続強力が得られる。

【００２７】請求項２および請求項３の両発明による
と、経緯糸の材質、太さの変更、編織組織や糸密度の選
択によりメッシュグリッドの諸性能の設計の自由度を大
きくしうる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施の一例を一部省略して示した略示部分平面
図である。

【図２】図１に示すものの接続構造を示す略示部分平面
図である。

【図３】従来の接続構造を示す略示断面図である。

【符号の説明】

１ メッシュグリッド ２ 経ストランド ３ 緯ストランド ４ メッシュ構造部分 ５ 接続用組織部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鳥海 信弘 東京都目黒区下目黒２丁目２−16 繊維土 木開発株式会社本社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 経ストランドと緯ストランドとによるメ
   ッシュ構造により、所定幅で長尺に構成されたメッシュ
   グリッドにおいて、長さ方向に所定間隔を存した複数部
   位に、メッシュ構造部分の緯ストランドの配設密度の
   １．５倍以上の配設密度で緯ストランドが所定長さだけ
   配設された接続用組織部が形成され、全体に合成樹脂が
   被覆または含浸されている土木建築用メッシュグリッ
   ド。
2. 【請求項２】 メッシュ構造部分および接続用組織部が
   織物組織で形成されている請求項１記載の土木建築用メ
   ッシュグリッド。
3. 【請求項３】 メッシュ構造部分および接続用組織部が
   経編組織で形成されている請求項１記載の土木建築用メ
   ッシュグリッド。