JPH07126240A - N−アルコキシカルボニルアミノ酸の製造方法 - Google Patents

N−アルコキシカルボニルアミノ酸の製造方法

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JPH07126240A
JPH07126240A JP27435293A JP27435293A JPH07126240A JP H07126240 A JPH07126240 A JP H07126240A JP 27435293 A JP27435293 A JP 27435293A JP 27435293 A JP27435293 A JP 27435293A JP H07126240 A JPH07126240 A JP H07126240A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】脱水操作時にN−アルコキシカルボニルアミノ
酸を分解させることなく製造する。 【構成】N−アルコキシカルボニルアミノ酸の水溶液ま
たは水懸濁液と、水と共沸混合物を形成し且つ共沸混合
組成における水の含有量が10容量%以上60容量%以
下である有機溶媒、例えば、酢酸ブチル、酢酸プロピ
ル、酢酸イソブチルとを接触させて、N−アルコキシカ
ルボニルアミノ酸を有機相中に抽出した後、該有機相を
水相から分離し、次いで有機相を共沸脱水する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、N−アルコキシカルボ
ニルアミノ酸を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アミノ酸のアミノ基を保護したN−アル
コキシカルボニルアミノ酸は、抗生物質、ペプチド、ポ
リペプチド、タンパク質およびアミノ配糖体の化学合成
において、ペプチド結合を形成させる際に、選択的に目
的物を得るための出発物質または中間体として重要な化
合物である。
【0003】従来、N−アルコキシカルボニルアミノ酸
の合成法としては、水とt−ブチルアルコール等の水相
溶性有機溶媒との混合溶媒系で、アミノ酸を化学量論以
上の水酸化ナトリウムやトリエチルアミン等の塩基性物
質と反応させて水溶性の塩とした後にジアルキルジカー
ボネートと反応させ、得られたN−アルコキシカルボニ
ルアミノ酸塩を中和して酸に変換し、その水溶液または
水懸濁液として得、次いでジエチルエーテルや酢酸エチ
ル等の有機溶媒で抽出し、さらにこれを硫酸ナトリウム
や硫酸マグネシウム等の固体脱水剤を使用して脱水する
方法が知られている(オーガニック・シンセシス(Or
ganic Syntheses)63巻、160〜1
70項、1985年)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の方法に
おいては、N−アルコキシカルボニルアミノ酸の抽出に
用いる有機溶媒であるジエチルエーテルあるいは酢酸エ
チルが、N−アルコキシカルボニルアミノ酸の水溶液ま
たは水懸濁液と接触させたときに3〜7重量%程度の水
を溶解する。このために、N−アルコキシカルボニルア
ミノ酸を大量に製造する場合には、抽出後のN−アルコ
キシカルボニルアミノ酸を溶解した有機相の脱水のため
に大量の固体脱水剤を用いなければならず、とても工業
的に有利な方法とは言えなかった。
【0005】通常、大量の有機溶媒の脱水方法として
は、共沸脱水方法が採用されているが、本発明者らがこ
の共沸脱水方法を上記の方法に適用してみたところ、脱
水操作中にN−アルコキシカルボニルアミノ酸が分解し
て出発原料であるアミノ酸が遊離してくることが判明し
た。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記実状
に鑑み、N−アルコキシカルボニルアミノ酸を分解させ
ることなく製造するため鋭意検討した。その結果、N−
アルコキシカルボニルアミノ酸塩を中和して酸の形に変
換した後の水溶液または水懸濁液と、特定の有機溶媒と
を接触させてN−アルコキシカルボニルアミノ酸を有機
相に抽出した後、該有機相を共沸脱水することによって
出発原料のアミノ酸を遊離させることなくN−アルコキ
シカルボニルアミノ酸を合成できることを見いだし本発
明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、N−アルコキシカルボニ
ルアミノ酸の水溶液または懸濁液と、水と共沸混合物を
形成し且つ共沸混合組成における水の含有量が10容量
%以上60容量%以下である有機溶媒とを接触させてN
−アルコキシカルボニルアミノ酸を有機相中に抽出した
後、該有機相を水相から分離し、次いで有機相を共沸脱
水することを特徴とするN−アルコキシカルボニルアミ
ノ酸の製造方法である。
【0008】本発明に用いられるN−アルコキシカルボ
ニルアミノ酸は、アミノ酸塩とジアルキルジカーボネー
トとを反応させた後に中和して得ることができる。その
具体的な方法としては公知の方法を何等制限なく採用で
きる。例えば、原料のアミノ酸は、分子内に少なくとも
一つ以上のアミノ基またはイミノ基及びカルボキシル基
をもつ化合物であれば特に制限はない。但し、一分子中
に2個以上のアミノ基またはイミノ基を有しているアミ
ノ酸の場合には、少なくとも1個のアミノ基またはイミ
ノ基さえ有していれば、他のアミノ基またはイミノ基は
アルキル基等により置換されていてもよい。また、一分
子中に2個以上のカルボキシル基を有しているアミノ酸
の場合は、少なくとも1個のカルボキシル基さえ有して
いれば他のカルボキシル基はエステル或いはアミドの状
態になっていてもよい。
【0009】本発明に於いて好適に使用できるアミノ酸
を具体的に示せば、例えばグリシン、アラニン、β−ア
ラニン、バリン、ノルバリン、ロイシン、ノルロイシ
ン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、ジヨ
ードチロシン、トレオノン、セリン、ホモセリン、イソ
セリン、プロリン、ヒドロキシプロリン、トリプトファ
ン、チロキシン、メチオニン、ホモメチオニン、シスチ
ン、ホモシスチン、システイン、ホモシステイン、α−
アミノ酪酸、β−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、α−ア
ミノイソ酪酸、アスパラギン酸、アスパラギン酸−β−
シクロヘキシルエステル、アスパラギン酸−β−メチル
エステル、アスパラギン酸−β−イソプロピルエステ
ル、アスパラギン酸−β−ベンジルエステル、グルタミ
ン酸、グルタミン酸−γ−シクロヘキシルエステル、グ
ルタミン酸−γ−メチルエステル、グルタミン酸−γ−
イソプロピルエステル、グルタミン酸−γ−ベンジルエ
ステル、リジン、オルニチン、ヒドロキシリジン、アル
ギニン、ヒスチジン、アンチカプシン、N5−イミノメ
チルオルニチン、α−アミノ−β−(2−イミダゾリジ
ル)プロピオン酸、N−メチルグリシン、タウリン、γ
−ホルミル−N−メチルノルバリン、Ng−トシルアル
ギニン、Ng−ベンジルオキシカルボニルアルギニン、
S−アセトアミドメチルシステイン、S−ベンジルシス
テイン、Nim−ベンジルオキシカルボニルオルチニン、
6−ベンジルオキシカルボニルリジン、N5−ベンジル
オキシカルボニルオルニチン、O−ベンジルセリン、O
−ベンジルトレオニン、Nin−ホルミルトリプトファ
ン、2−(2−アミノ−4−チアゾリル)−2−メトキ
シイミノ酢酸、2−(2−アミノ−4−チアゾリル)−
2−ヒドロキシイミノ酢酸、2−(2−アミノ−4−チ
アゾリル)−2−グリオキシ酢酸、2−(2−アミノ−
4−チアゾリル)−2−ペンテン酸、フェニルグリシ
ン、4−ヒドロキシフェニルグリシン等を挙げることが
できる。これらのアミノ酸は、光学異性体でもラセミ混
合物であってもよい。
【0010】これらのアミノ酸を水溶性の塩とするに
は、一般的な酸アルカリ中和反応操作を何ら制限なく用
いることができる。例えば、アルカリ金属或いはアルカ
リ土類金属の水酸化物または炭酸塩などの無機塩基の水
溶液を用いる方法、或いは有機塩基によってアンモニウ
ム塩に変換する方法等がある。用いる塩基を具体的に例
示すると、無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸
化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸
カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、
炭酸水素カリウム等を挙げることができる。また、有機
塩基としては、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジ
ン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1−メチル
ピペリジン、1−メチルピロリジン等を挙げることがで
きる。これらの塩基の使用量は、ジアルキルジカーボネ
ートとの反応速度を維持し、且つジアルキルジカーボネ
ートとの反応後の中和に要する酸の量を少なくするため
に、アミノ酸1当量に対して0.2〜2.0当量、さら
に0.5〜1.5当量の範囲で選ぶことが好ましい。
【0011】次に、上記したアミノ酸塩と反応させるジ
アルキルジカーボネートは、一般式で次のように表すこ
とができる。
【0012】
【化1】
【0013】(但しR1及びR2は、同種または異種のア
ルキル基である。)本発明において好適に使用できるジ
アルキルジカーボネートを具体的に例示すればジ−t−
ブチルジカーボネート、ジ−t−アミルジカーボネー
ト、ジイソプロピルジカーボネート、ジイソブチルジカ
ーボネート等を挙げることができる。
【0014】上記したジアルキルジカーボネートのアミ
ノ酸塩に対する量は、N−アルコキシカルボニルアミノ
酸の晶析阻害を防止し、また、経済性の上から、通常は
保護したいアミノ酸のアミノ基またはイミノ基1当量に
対して0.5〜2.0当量、さらに0.8〜1.2当量
の範囲で選ぶことが好ましい。
【0015】アミノ酸塩とジアルキルジカーボネートと
の反応温度については、特に制限されないがジアルキル
ジカーボネートの高温による分解と水との反応を防止す
るために、通常−20℃〜60℃の範囲から選択するこ
とが好ましい。
【0016】アミノ酸塩とジアルキルジカーボネートの
反応における反応溶媒としては、アミノ酸塩が水溶性で
有機溶媒難溶性であり、ジアルキルジカーボネートが水
難溶性で有機溶媒可溶性であるために、水と有機溶媒の
混合溶媒を使用することが好ましい。このときに用いる
有機溶媒は、水に溶解する有機溶媒であれば特に制限な
く用いることができる。これら有機溶媒を具体的に例示
すると、t−ブチルアルコール、t−アミルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、
エタノール、メタノール等のアルコール類;テトラヒド
ロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトニトリル
等のニトリル類;アセトン等のケトン類;N,N−ジメ
チルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルフォキサ
イド等を挙げることができる。
【0017】これらの有機溶媒と水との混合比は、反応
に用いられるアミノ酸の種類によって変化するため一概
に決めることはできないが、アミノ酸およびジアルキル
ジカーボネートの溶解度をともに大きくして高い反応速
度を維持するためには、水100重量部に対して有機溶
媒を10重量部〜900重量部の範囲で、さらに30重
量部〜400重量部の範囲で選ぶことが好ましい。
【0018】上記の有機溶媒と水との混合溶媒中のアミ
ノ酸塩の濃度としては高い反応速度を維持し、かつ副生
成物であるN−アルコキシカルボニルアミノ酸エステル
の生成を抑制するために、混合溶媒100重量部に対し
て5〜100重量部、好ましくは10〜70重量部の範
囲から選択するとよい。
【0019】アミノ酸塩とジアルキルジカーボネートと
の反応後、有機溶媒の留去とアミノ酸塩の中和が行われ
る。有機溶媒の留去操作における温度は特に制限されな
いが、通常0℃〜100℃の範囲から選択される。特に
光学活性なアミノ酸を原料として用いた場合、留去温度
が高いとラセミ化が生じるおそれがあるために、50℃
以下で減圧留去することが好ましい。
【0020】アミノ酸塩の中和操作においては、通常の
酸塩基中和反応の操作が一般的に採用される。用いる酸
の種類としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸
類;硫酸水素カリウム、硫酸水素ナトリウム、リン酸水
素カリウム、リン酸水素ナトリウム等のアルカリ金属
塩;酢酸、蟻酸、蓚酸等の有機酸を挙げることができ
る。使用する酸の量は、アミノ酸の種類によって異なる
ため一概に規定はできないが、通常、水溶液のpHが1
〜4の範囲になるまで加えることが好ましく、最適な添
加量はN−アルコキシカルボニルアミノ酸のpKa値に
よって決めればよい。中和操作の温度は、あまり高くな
りすぎるとN−アルコキシカルボニル基の脱離反応が起
こるため、通常40℃以下、好ましくは30℃以下で実
施することが望ましい。
【0021】上記の蒸留および中和操作は、N−アルコ
キシカルボニルアミノ酸の分解を最小限に抑えるため
に、蒸留、中和の順に行うことが好ましい。
【0022】本発明においては、こうして得られたN−
アルコキシカルボニルアミノ酸の水溶液または水懸濁液
と特定の有機溶媒との接触により、N−アルコキシカル
ボニルアミノ酸の有機溶媒への抽出が行われる。この有
機溶媒は、水と共沸混合物を形成し且つ共沸混合組成に
おける水の含有量が10容量%以上60容量%以下であ
る有機溶媒でなければならない。水の含有量が上記組成
より低い有機溶媒を使用した場合は有機溶媒の共沸脱水
能力が弱く、また水の含有量が上記組成より高い有機溶
媒を使用した場合は有機溶媒自身の沸点が高いため、い
ずれも共沸脱水に要する時間が長時間となり共沸脱水操
作中にN−アルコキシカルボニルアミノ酸の分解が生じ
てしまう。
【0023】本発明において好適に使用し得る有機溶媒
を具体的に例示すると、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢
酸イソブチル、酪酸エチル、酪酸イソブチル、プロピオ
ン酸プロピル等のエステル類;トルエン、o−キシレ
ン、m−キシレン、p−キシレン、クロロベンゼン等の
芳香族炭化水素類;2−ペンタノン、3−ペンタノン、
3−メチル−2−ブタノン、メチルイソブチルケトン等
のケトン類、炭酸ジエチル等のカーボネート類を挙げる
ことができる。これらの有機溶媒の中でも、溶媒留去の
容易さおよびN−アルコキシカルボニルアミノ酸の溶解
度の高さから、エステル類、ケトン類、芳香族炭化水素
類が好適に用いられる。
【0024】これらの有機溶媒とN−アルコキシカルボ
ニルアミノ酸の水溶液または水懸濁液を接触させる際の
温度は、アミノ酸の有機溶媒への溶解度或いは相分離の
際のメニスカスの発生の有無によって決まるため一概に
規定することはできないが、N−アルコキシカルボニル
アミノ酸の分解を最小限に抑えるため、−5℃〜40℃
の範囲で行うことが好ましい。
【0025】有機溶媒の量についても上記と同じ理由で
特に限定することはできないが、おおむねN−アルコキ
シカルボニルアミノ酸の水溶液または水懸濁液100容
量部に対して20〜50容量部の有機溶媒で3回程度抽
出すれば充分である。
【0026】抽出操作は、従来の一般的な方法が何等制
限なく使用できる。例えば、該水溶液または水懸濁液と
有機溶媒を振とう或いは攪拌等で激しく混合させた後、
これを静置させて2相に分離させ、有機相を分液する方
法等が使用できる。混合させる時間としては、N−アル
コキシカルボニルアミノ酸は有機溶媒に対して溶解度が
高いため1〜30分もあれば充分である。静置時間につ
いては、用いる溶媒の比重、メニスカスの発生の有無に
よっても異なるため一概に決めることはできないが、1
0分〜100分の範囲で界面の様子をみながら決めれば
よい。
【0027】このようにしてN−アルコキシカルボニル
アミノ酸を抽出した有機相は、薄層クロマトグラフィー
等の分析によって出発原料であるアミノ酸が検出されな
ければそのまま共沸脱水操作によって脱水される。共沸
脱水操作は公知の方法を何等制限なく用いることができ
る。共沸脱水操作における温度は、N−アルコキシカル
ボニルアミノ酸の分解を抑えるため減圧下、例えば、1
〜500Torr、且つ−5℃〜40℃で行うことが好
ましい。
【0028】なお、薄層クロマトグラフィー等の分析に
よってアミノ酸が検出された場合は、有機溶媒100容
量部に対して10〜40容量部の水或いは濃度が10%
以下の食塩水等でアミノ酸が検出されなくなるまで有機
相を洗浄した後に、上記と同様な操作を行えばよい。
【0029】このようにして共沸脱水を行った後、有機
溶媒を留去して濃縮し、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族
炭化水素系溶媒を添加することによって、あるいは有機
溶媒濃縮後再結晶操作を行うことによってN−アルコキ
シカルボニルアミノ酸を晶析させることができる。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、N−アルコキシカルボ
ニルアミノ酸の水溶液または水懸濁液からN−アルコキ
シカルボニルアミノ酸を抽出する有機溶媒として、水と
共沸混合物を形成し且つ共沸混合組成における水の含有
量が10容量%以上60容量%以下である有機溶媒を使
用することによって、脱水操作時にN−アルコキシカル
ボニルアミノ酸を分解させることなく製造することがで
きる。
【0031】
【実施例】以下、実施例を掲げて本発明を説明するが、
本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0032】実施例1 攪拌器、温度計を備え付けた4つ口フラスコにグリシン
75.07g(1mol)、水酸化ナトリウム44g
(1.1mol)、水370ml、t−ブチルアルコー
ル370mlを加え、攪拌下20℃まで冷却した。冷却
後、ジ−t−ブチルジカーボネート218.25g(1
mol)を、内温を25℃以下に保ちながら滴下した。
室温で14時間反応させた後、減圧下でt−ブチルアル
コールを留去し、得られた水溶液を5℃以下に冷却し
た。冷却下2Nの塩酸2.7Lを4時間かけて滴下した
ところ、N−t−ブトキシカルボニルグリシンの白色結
晶が析出した。また、この時の水懸濁液のpHは2.2
0(6.5℃)であった。
【0033】この水懸濁液を、酢酸ブチル(水との共沸
混合組成における水の含有量29%)1.2Lを用いて
3回抽出した。この時の、酢酸ブチル相中の水分量は3
2000ppmであった。分離は、25℃で酢酸ブチル
を添加して攪拌器で10分間攪拌した後、30分間静置
し酢酸ブチル相を分液した。酢酸ブチル相を薄層クロマ
トグラフィーで分析したところ、微量のグリシンが残存
していたため、これを完全に除去する目的で、400m
lのイオン交換水で2回洗浄したところ、グリシンを完
全に除去することができたので、酢酸ブチル相を35
℃、40Torrで共沸脱水し、酢酸ブチル1Lを留去
した。この時の水分量は600ppmであった。得られ
た酢酸ブチル溶液を5℃まで冷却し1時間攪拌しすると
白色結晶が析出したのでこれを瀘別した。瀘別した白色
結晶を20℃で減圧乾燥したところ、N−t−ブトキシ
カルボニルグリシンが160.3g(91.5%)得ら
れた。得られたN−t−ブトキシカルボニルグリシン中
のグリシンは、0.005重量%以下であった。
【0034】実施例2〜6 表1に示した有機溶媒を使用した以外は、実施例1と同
様な操作を行った。
【0035】その結果を表1に示した。得られたN−t
−ブトキシカルボニルグリシン中のグリシンは、いずれ
も0.005重量%以下であった。
【0036】
【表1】
【0037】実施例7 攪拌器、温度計を備え付けた4つ口フラスコにアラニン
89.09g(1mol)、水酸化ナトリウム44g
(1.1mol)、水370ml、t−ブチルアルコー
ル370mlを加え、攪拌下20℃まで冷却した。冷却
後、ジ−t−ブチルジカーボネート218.25g(1
mol)を、内温を25℃以下に保ちながら滴下した。
室温で14時間反応させた後、減圧下でt−ブチルアル
コールを留去し、得られた水溶液を5℃以下に冷却し
た。冷却下2Nの塩酸2.7Lを4時間かけて滴下した
ところ、N−t−ブトキシカルボニルアラニンの白色結
晶が析出した。また、この時の水懸濁液のpHは2.1
8(5.5℃)であった。
【0038】この水懸濁液を、酢酸ブチル1.4Lを用
いて3回抽出した。この時の、酢酸ブチル相中の水分量
は24000ppmであった。分離は、25℃で酢酸ブ
チルを添加して攪拌器で10分間攪拌した後、30分間
静置し酢酸ブチル相を分液した。酢酸ブチル相を薄層ク
ロマトグラフィーで分析したところ、微量のアラニンが
残存していたため、これを完全に除去する目的で、40
0mlのイオン交換水で2回洗浄したところ、アラニン
を完全に除去することができたので、酢酸ブチル相を3
5℃、40Torrで共沸脱水し、酢酸ブチル1.2L
を留去した。この時の水分量は400ppmであった。
得られた酢酸ブチル溶液にヘプタンを600ml加え、
5℃まで冷却し1時間攪拌すると白色結晶が析出したの
でこれを瀘別した。瀘別した白色結晶を20℃で減圧乾
燥したところ、N−t−ブトキシカルボニルアラニンが
171.6g(91.0%)得られた。得られたN−t
−ブトキシカルボニルアラニン中のアラニンは、0.0
05重量%以下であった。
【0039】実施例8〜12 表2に示したアミノ酸を使用した以外は、実施例7と同
様な操作を行った。
【0040】その結果を表2に示した。得られたN−t
−ブトキシカルボニルアミノ酸中のアミノ酸はいずれも
0.005重量%以下であった。
【0041】
【表2】
【0042】比較例1 有機溶媒に酢酸エチル(水との共沸混合組成における水
の含有量8%)を使用した以外は、実施例1と同様な操
作を行った。この結果N−t−ブトキシカルボニルグリ
シンは85.0%、グリシンは0.02%であった。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年11月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】即ち、本発明は、N−アルコキシカルボニ
ルアミノ酸の水溶液または水懸濁液と、水と共沸混合物
を形成し且つ共沸混合組成における水の含有量が10容
量%以上60容量%以下である有機溶媒とを接触させて
N−アルコキシカルボニルアミノ酸を有機相中に抽出し
た後、該有機相を水相から分離し、次いで有機相を共沸
脱水することを特徴とするN−アルコキシカルボニルア
ミノ酸の製造方法である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】実施例7 攪拌器、温度計を備え付けた4つ口フラスコにアラニン
89.09g(1mol)、水酸化ナトリウム44g
(1.1mol)、水370ml、t−ブチルアルコー
ル370mlを加え、攪拌下20℃まで冷却した。冷却
後、ジ−t−ブチルジカーボネート218.25g(1
mol)を、内温を25℃以下に保ちながら滴下した。
室温で14時間反応させた後、減圧下でt−ブチルアル
コールを留去し、得られた水溶液を5℃以下に冷却し
た。冷却下1Nの塩酸1.35Lを4時間かけて滴下し
たところ、N−t−ブトキシカルボニルアラニンの白色
結晶が析出した。また、この時の水懸濁液のpHは2.
18(5.5℃)であった。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】N−アルコキシカルボニルアミノ酸の水溶
    液または懸濁液と、水と共沸混合物を形成し且つ共沸混
    合組成における水の含有量が10容量%以上60容量%
    以下である有機溶媒とを接触させてN−アルコキシカル
    ボニルアミノ酸を有機相中に抽出した後、該有機相を水
    相から分離し、次いで有機相を共沸脱水することを特徴
    とするN−アルコキシカルボニルアミノ酸の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2010122682A1 (ja) * 2009-04-24 2012-10-25 株式会社カネカ N−アルコキシカルボニル−tert−ロイシンの製造法

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