JPH07122409B2 - 排気タ−ボ過給機付エンジンの排気装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、吸気を過給するための排気ターボ過給機を
備えたエンジン、特に２つのバンクを有するＶ型あるい
は水平対向型エンジンの排気装置に関するものである。

（従来技術） 従来より、左、右２つのバンクで一つの排気ターボ過給
機を共用した排気ターボ過給機付Ｖ型あるいは水平対向
型エンジンは公知である。（特開昭58−222959号公報参
照） また、排気ターボ過給機の排気タービンへの排気ガス導
入通路を並列に配置された第１および第２の通路部分に
よって形成し、高速域ではこれら第１および第２の通路
部分の双方に排気ガスを流すが、低速域では、切替バル
ブを用いて第２の通路部分をその入口において閉鎖し、
第１の通路部分のみに排気ガスを流して低速域での排気
タービンへの排気ガスの流入速度を高め、排気タービン
を高速回転させることによって過給圧を早期に上昇さ
せ、低速域におけるエンジンの出力性能の向上を図るよ
うにした排気ターボ過給機付エンジンも提案されてお
り、かかる考え方は、上記の如き排気ターボ過給機付の
Ｖ型あるいは水平対向型エンジンにも適用することがで
きる。

しかして、左、右２つのバンクで一つの排気ターボ過給
機を共用する場合に、エンジンの出力軸やこれによって
駆動される補機等との干渉があってレイアウトの問題
上、いずれか一方のバンクに片寄せて配置したいという
要求がある。

ところで、かかる片側配置では、各バンクごとに各気筒
の排気通路を集合させ、各排気集合通路を過給機の排気
タービンへの排気ガス導入通路に接続する際、一方の集
合排気通路は、該導入通路に対して略直線的に接続で
き、この通路を流れる排気ガスのエネルギーを効率よく
排気タービンに伝達できる一方、他方の集合排気通路
は、該導入通路に対して湾曲して接続されることにな
り、この湾曲部での通路抵抗により排気ガスのエネルギ
ーが弱められてしまうということがあった。

（発明の目的） そこでこの発明は、上述のような通路可変機構を備え、
かつ各バンクの気筒群からそれぞれ導出された集合排気
通路が、集合された後に排気タービンへの排気ガス導入
通路に接続させるように構成した排気ターボ過給機付Ｖ
型あるいは水平対向型エンジンで、上述の片側配置特有
の現象を充分に利用して低速時の出力の向上を図ること
のできる排気装置を提供することを目的としている。

（発明の構成） 上記目的を達成するため、この発明は、排気ターボ過給
機を備えたＶ型あるいは水平対向型エンジンにおいて、
上記排気ターボ過給機を一方のバンク側に片寄せて配置
する一方、２つのバンクの各気筒の排気通路をバンクご
とに集合させ、各集合排気通路を集合させた後に上記過
給機の排気タービンへの排気ガス導入通路に接続すると
ともに、該排気ガス導入通路を、低速域から高速域まで
の全運転領域で排気ガスを導入する第１通路部分と、高
速域に排気ガスを導入する第２通路部分とで形成し、該
導入通路に対し略直線的に接続される集合排気通路側に
上記第１通路部分を、導入通路に対し湾曲して接続され
る集合排気通路側に上記第２通路部分を配置し、排気ガ
ス導入通路に対し略直線的に接続される集合排気通路の
排気ガスを低速時に排気ガスを導入する第１通路部分に
スムーズに導き、この減衰の少ない排気ガスのエネルギ
ーを効率よく排気タービンに伝達することを特徴として
いる。

（発明の効果） この発明によれば、以上説明したように、Ｖ型あるいは
水平対向型エンジンにおいて、排気ターボ過給機を一方
のバンク側に片寄せて配置する一方、２つのバンクの各
気筒の排気通路をバンクごとに集合させ、各集合排気通
路を集合させた後に上記過給機の排気タービンへの排気
ガス導入通路に接続するとともに、該導入通路を低速域
から高速域までの全運転領域で排気ガスを導入する第１
通路部分と、高速域で排気ガスを導入する第２通路部分
とで形成し、該導入通路に対し略直線的に接続される集
合排気通路側に上記第１通路部分を、導入通路に対し湾
曲して接続される排気通路側に上記第２通路部分を配設
したことにより、導入通路に対し略直線的に接続される
集合排気通路からのエネルギーの減衰の少ない排気ガス
を、低速時に排気ガスを導入する第１通路部分にスムー
ズに導くことができる。従って、低速時において、上記
減衰の少ない排気ガスのエネルギーを効率よく充分に排
気タービンに作用させることができ、排気ガスの流量が
少ない場合でも排気タービンの回転上昇に大きく寄与
し、過給圧の上昇による低速時の出力向上を図ることが
できる。

（実施例） 以下、この発明の実施例を図面にしたがって説明する。

第１図から第３図はこの発明の一実施例を示している。

第１図に概略を示すように、Ｖ型エンジン１は、奇数気
筒1a,1c,1eよりなる右バンクRBと、偶数気筒1b,1d,1fよ
りなる左バンクLBとを備えている。

本実施例では、図示の如く、排気ターボ過給機２を左バ
ンクLB側に片寄せて配置する。この排気ターボ過給機２
は、よく知られているように、排気通路３に介設され、
排気ガスによって駆動される。

排気通路３の過給機２より上流部は、右バンクRBの各気
筒1a,1c,1eの各独立排気通路4a,4c,4eを集合させた右バ
ンク集合排気通路5aと、左バンクLBの各気筒1b,1d,1fの
各独立排気通路4b,4d,4fを集合させた左バンク集合排気
通路5bとで形成され、かつこれら２つの集合排気通路5
a,5bを集合させた後に排気ターボ過給機２の排気タービ
ン６への排気ガス導入通路７に接続している、８は排気
タービン６により駆動されるコンプレッサで、吸気通路
９内の空気を過給してエンジン１に供給する。

排気タービン６への排気ガス導入通路７は、仕切壁10に
よって第１の通路部分7aと第２の通路部分7bとに仕切ら
れ、かつ第２の通路7bの入口部には通路可変機構として
の切替バルブ11が設けられている。そして低速域にはこ
の切替バルブ11によって第２の通路7bの入口を閉鎖して
排気ガスを第１の通路部分7aのみに流し、高速域にはバ
ルブ11を開いて、排気ガスを第１および第２の通路部分
7a,7bの双方に流すように構成されている。

過給機２を左バンクLB側に片寄せて配置したことによ
り、排気タービン６への導入通路７に対して右バンク集
合排気通路5aは略直線的に接続され、左バンク集合排気
通路5bは該導入通路７の直前で湾曲して接続されてい
る。そして上記右バンク集合排気通路5a側に低速用の第
１の通路部分7aが、左バンク集合排気通路5b側に高速用
の第２の通路部分7bが配置してある。

一方、左バンク集合排気通路5bの流れの方向を第１の通
路部分7aの入口部の方に向けるとともに２つの集合排気
通路5a,5bの集合部には、突起壁12が設けられている。
この突起壁12は、低速用の第１の通路部分5aの中心線上
に突端を有し、かつ中心線に沿って第１の通路部分5aの
入口部に向って突出している。

上記構成によれば、導入通路７に対し略直線的に接続さ
れる右バンク集合排気通路5aからのエネルギーの減衰の
少ない排気ガスを、低速用の第１の通路部分7aにスムー
ズに導くことができる。従って、低速時においても、上
記減衰の少ない状態の排気ガスのエネルギーを効率よく
充分に排気タービン６に伝達・作用させることができ、
排気ガスの流量の少ない場合でも排気タービン６の回転
上昇に大きく寄与し、過給圧の上昇による低速域の出力
向上を図ることができる。

更に、上記突起壁12は、２つの集合排気通路5a,5bを流
れる排気ガスを第１の通路部分7aに向って案内する案内
手段を構成するものであり、この突起壁12が設けられて
いること及び左バンク集合排気通路5bの流れ方向を第１
の導入通路部分7aの入口部の方に向けたことにより、低
速域に排気ガスが第１の通路部分7aに平滑に流入するか
ら、排気タービン６に充分な動圧がかかり、低速域での
出力向上をより一層図ることができる。

また、左バンク集合排気通路5bの流れ方向を第１の導入
通路部分7aの入口部に向けたことにより、該集合排気通
路5aの湾曲部での湾曲の度合がゆるやかになり、この部
分での通路抵抗を軽減し、左バンク集合排気通路5bから
の排気ガスのエネルギーの減衰を押さえることでも低速
域での出力向上効果を図っている。

なお、この実施例においては、排気ガスの成分濃度を検
出する排気ガスセンサ（O₂センサ）13が設けられてい
る。該センサ13は、センサ13自体の早期活性化及び、セ
ンサ13の検出部を排気通路３内に臨ませることによる排
気ガス流特に、右バンク集合排気通路5aを流れる排気ガ
ス流への抵抗をなくするために、左バンク集合排気通路
5bの右バンク集合排気通路5aへの集合部上流側に配設さ
れており、更に、左，右両バンクLB,RB両方の排気ガス
を取り込んで、両バンクの排気ガス中の成分濃度を検出
できるよう、突出壁12には切り欠き部14が設けられてい
る。

上述の実施例においては、Ｖ型エンジンに適用したもの
について説明したが、水平対向型エンジンにも適用する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明の排気ターボ過給機付エンジンの排
気装置の一実施例を示す全体図，第２図は第１図におけ
る要部断面図，第３図は第２図におけるIII−III断面図
である。 １……Ｖ型エンジン,2……排気ターボ過給機,3……排気
通路,5a……右バンク集合排気通路,5b……左バンク集合
排気通路,6……排気タービン,7……排気ガス導入通路,7
a……第１の通路部分,7b……第２の通路部分,10……仕
切壁,11……切替えバルブ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】排気ターボ過給機を備えたＶ型あるいは水
   平対向型エンジンにおいて、上記排気ターボ過給機を一
   方のバンク側に片寄せて配置する一方、２つのバンクの
   各気筒の排気通路をバンクごとに集合させ、各集合排気
   通路を集合させた後に上記過給機の排気タービンへの排
   気ガス導入通路に接続するとともに、該排気ガス導入通
   路を全運転領域で排気ガスを導入する第１通路部分と、
   高速運転領域で排気ガスを導入する第２通路部分とで形
   成し、該導入通路に対し略直線的に接続される集合排気
   通路側に上記第１通路部分を、湾曲して接続される集合
   排気通路側に上記第２通路部分を配設したことを特徴と
   する排気ターボ過給機付エンジンの排気装置。