JPH0216036Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は吸気を過給するための排気ターボ過給
機を備えたエンジンに関する。

（従来技術） 排気ターボ過給機は、エンジンの排気ガスの圧
力を利用して吸気を過給することにより、エンジ
ンの充填効率を高め、エンジンの出力の向上を図
るものであるが、例えば実開昭56−161139号公報
に開示されているように、排気ターボ過給機の排
気タービンへの排気ガス導入通路を並列に配置さ
れた第１および第２の通路部分によつて形成し、
高速時にはこれら第１および第２の通路部分の双
方に排気ガスを流すが、低速時には、切替バルブ
を用いて第２の通路部分をその入口において閉鎖
し、第１の通路部分のみに排気ガスを流して低速
時の排気タービンへの排気ガスの流入速度を高
め、排気タービンを高速回転させることによつて
過給圧を早期に向上させ、低速域におけるエンジ
ンの出力性能の向上を図るようにした排気ターボ
過給機付エンジンが提案されている。

一方、エンジンの複数の気筒が左右のバンクに
分れて配置されたＶ型エンジンあるいは排気干渉
を避けるためにデユアルタイプの排気マニホール
ドを有する直列型エンジンにおいては２つの排気
通路が形成されるが、このようなエンジンに１個
の排気ターボ過給機を接続する場合、２つの排気
通路を集合した後に排気タービンへの排気ガス導
入通路に接続している。そして排気ガスの動圧を
タービン翼車に有効に作用させるために、排気通
路の集合部を排気タービンへの排気ガス導入通路
の中央部に位置させるのが通例である。

しかしながら、上記排気通路の集合部において
２つの排気通路からの排気ガス流が合流するよう
に構成された排気マニホールドと、前述のような
通路可変機構を備えた排気ターボ過給機とを組合
せる場合、以下に述べるような問題があつた。す
なわち、排気タービンへの排気導入通路を２つの
通路部分に仕切る仕切壁の延長線上に２つの排気
通路の集合部が存在することにより、低速時に排
気ガス導入通路の第２の通路部分の入口が切替バ
ルブによつて閉鎖された場合、排気通路の集合部
と排気ガス導入通路の第１の通路部分の中心とが
オフセツト状態となり、排気タービンに対し動圧
がかかりにくくなつて過給圧が低下するのみでな
く、合流された２つの排気通路からの排気ガスが
切替バルブに当つて乱れを生じ、低速時において
所期の出力が得られない問題があつた。

（考案の目的） そこで本考案は、上述のような通路可変機構を
備え、かつ少なくとも２つに分けられた気筒群か
らそれぞれ導出された排気通路が、集合部におい
て集合された後に排気タービンへの排気ガス導入
通路に接続されるように構成された排気ターボ過
給機エンジンにおける低速時の出力の向上を図る
ことを目的とする。

（考案の構成） 本考案は、排気通路の集合部に、低速時に排気
ガスを低速用の第１の通路部分の入口線上に案内
する案内手段を設けたことを特徴とする。

（考案の効果） 本考案によれば、低速時において排気ガスは上
記案内手段に案内されて平滑に第１の通路部分に
流入することになり、低速時においても排気ター
ビンに充分な動圧がかかり、排気ガスの流量が少
ない場合でも排気タービンの回転上昇に大きく寄
与し、過給圧の上昇による低速時の出力向上を図
ることができる。

（実施例） 以下図面を参照して本考案の実施例について詳
細に説明する。

図面において、１はデユアルタイプの排気マニ
ホールド２を備えた４気筒直列型エンジン、３は
排気通路４と吸気通路５とにまたがつて設置され
た排気ターボ過給機である。排気マニホールド２
は、各気筒からの排気マニホールドを２個ずつま
とめて22つの排気通路６ａ，６ｂを形成し、かつ
これら２つの排気通路６ａ，６ｂを集合した後に
排気タービン７への排気ガス導入通路８に接続し
ている。９は排気タービン７によつて駆動される
コンプレツサで、吸気通路５内の空気を過給して
エンジン１に供給する。

排気タービン７への排気ガス導入通路８は、仕
切壁１０によつて第１の通路部分１１と第２の通
路部分１２とに仕切られ、かつ第２の通路部分１
２の入口部には通路可変機構としての切替バルブ
１３が設けられている。この切替バルブ１３は、
第２の通路部分１２の入口部に関して第１の通路
部分１１側とは反対側の縁部１９の近傍に設けら
れた軸１８に回動可能に、かつ、閉時には排気ガ
スの流れ方向とほぼ直交する姿勢をとるように軸
支されている。そして低速時にはこの切替バルブ
１３によつて第２の通路部分１２の入口を閉鎖し
て排気ガスを第１の通路部分１１のみに流し、高
速時には仮想線で示すようにバルブ１３を開い
て、排気ガスを第１および第２の通路部分１１，
１２の双方に流すように構成されている。排気タ
ービン７のタービン翼２０は第１の通路部分１１
の中心線ｌ上に位置している。

また、低速用の第１の通路部分１１には、排気
タービン７をバイパスして排気タービン７下流の
排気通路４に排気ガスの一部をバイパスさせるウ
エストゲート通路１４が開口しており、この通路
１４をウエストゲートバルブ１５によつて開閉す
ることにより、過給圧が予め設定した最高過給圧
を超えないように過給圧を制御している。

一方、排気マニホールド２によつて形成された
２つの排気通路６ａ，６ｂの集合部には、突起壁
１６が設けられている。この突起壁１６は、低速
用の第１の通路部分１１の中心線ｌ上に突端を有
し、かつ中心線ｌに沿つて第１の通路部分１１の
入口部に向つて突出している。この突起壁１６
は、低速時において排気通路６ａ，６ｂを流れる
排気ガスを第１の通路部分１１の中心線ｌ上に案
内する案内手段を構成するものであり、この突起
壁１６が設けられていることにより、低速時に排
気ガスが第１の通路部分に平滑に流入するから、
低速時においても排気タービンに充分な動圧がか
かり、低速時の出力向上を図ることができる。

なお、突起壁１６を設ける代りに、低速時には
排気ガスを第１の通路部分１１の中心線ｌ上に案
内し、かつ高速時には排気ガスを第１および第２
の通路部分１１，１２に向つて効果的に案内する
ように構成された可動のフラツプを排気通路６
ａ，６ｂの集合部に設けても本考案の目的を達成
することができることは明らかである。

さらに、図示した実施例では２つの排気通路６
ａ，６ｂが集合部において集合されているが、さ
らに多くの排気通路が集合される場合でも、本考
案が適用されることは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案による排気ターボ過給機付エンジ
ンの要部を概略的に示す部分断面図である。 １……エンジン、２……排気マニホールド、３
……排気ターボ過給機、４……排気通路、５……
吸気通路、６ａ，６ｂ……排気通路、７……排気
タービン、８……排気ガス導入通路、９……コン
プレツサ、１０……仕切壁、１１……第１の通路
部分、１２……第２の通路部分、１３……切替バ
ルブ、１４……ウエストゲート通路、１５……ウ
エストゲートバルブ、１６……突起壁。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 複数の気筒とこれら気筒に対し吸気を過給する
   ための排気ターボ過給機とを備え、この排気ター
   ボ過給機の排気タービンへの排気ガス導入通路を
   互いに並列な第１および第２の通路部分によつて
   形成するとともに、上記第２の通路部分の入口部
   にバルブを配設し、低速時には前記バルブによつ
   て前記第２の通路部分の入口を閉鎖して前記第１
   の通路部分のみに排気ガスを流し、高速時には前
   記バルブを開いて前記第１および第２の通路部分
   の双方に排気ガスを流すようにした排気ターボ過
   給機において、 前記バルブは、前記第２の通路部分の入口部に
   関して前記第１の通路部分側とは反対側の縁部の
   近傍に設けられた軸に回動可能に、かつ、閉時に
   は排気ガスの流れ方向とほぼ直交する姿勢をとる
   ように軸支されており、 前記排気タービンのタービン翼は、前記第１の
   通路部分の中心線上に位置しており、 前記複数の気筒は少なくとも２つの気筒群に分
   けられ、各気筒群からそれぞれ導出された排気通
   路が集合された後に前記排気ガス導入通路に接続
   されているとともに、前記排気通路の集合部に、
   低速時に前記第１の通路部分の中心線上に排気ガ
   スを案内する案内手段が設けられていることを特
   徴とする排気ターボ過給機付エンジン。