JPH07122220A - 電子顕微鏡装置 - Google Patents

電子顕微鏡装置

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JPH07122220A
JPH07122220A JP5263757A JP26375793A JPH07122220A JP H07122220 A JPH07122220 A JP H07122220A JP 5263757 A JP5263757 A JP 5263757A JP 26375793 A JP26375793 A JP 26375793A JP H07122220 A JPH07122220 A JP H07122220A
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electron beam
scanning
field image
detector
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JP5263757A
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Inventor
Katsuhisa Yonehara
勝久 米原
Teiji Katsuta
禎治 勝田
Isao Matsui
功 松井
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電子顕微鏡装置において、同一視野の異種の
走査電子線像を同時に検出し、観察・記録用モニタCR
T画面上にリアルタイムで同時表示する。 【構成】 試料3上を電子線1が走査することによって
得られる異種の走査電子線像、例えば、明視野像と暗視
野像の画像信号を結像系レンズ部7に設けた複数の検出
器8a,8b、光学変調素子21a,21b、ライトガ
イド10及び光電子増倍管11で構成された画像信号分
離検出部16を用いて、分離して取り出し、観察用モニ
タCRT14画面上にリアルタイムで同時表示して、画
像観察及び記録を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走査電子線像を拡大し
てモニタ画面に表示する電子顕微鏡装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子顕微鏡装置において、電子線が試料
に照射されると、電子線と試料との相互作用によって図
2に示すように種々の情報を担持する電子線あるいはX
線が試料から放出される。これらの情報を多角的に利用
することによって、はじめて試料の特性が明らかにな
る。そのため、従来これらの情報を得るには、それぞれ
の情報に適した別々の検出手段あるいは検出方法を用い
て個々の情報として取り出し、その後それらを組み合わ
せて検討する方法が採られている。
【0003】従来の電子顕微鏡装置において、例えば、
走査電子線像の明視野像の観察及び記録は、走査偏向コ
イルによって、試料面上を電子線が走査することにより
得られた異種の電子線の中から、散乱電子線・回折電子
線を対物可動絞りでカットし、光軸近傍の透過電子のみ
を結像系レンズ部に設けたシンチレーション検出器で光
信号として取り出し、ライトガイドを介して光電子増倍
管で光信号から電気信号に変換した後、ヘッドアンプで
増幅して主操作コントロール部へ送り、観察・記録用モ
ニタCRTに表示することによって行われる。CRT上
の明視野像の画像は写真撮影により記録される。他方、
走査電子線像の暗視野像の観察及び記録は、結晶性試料
の場合は、回折電子を用い、非結晶性試料の場合は散乱
電子を用いて行われる。操作法としては以下に記述する
二つの方法が一般に採用されている。
【0004】第一の方法は、偏向コイルを用いて、試料
に対して斜めから電子線を照射することによって、観察
に必要な散乱電子あるいは回折電子を光軸上に取り出す
方法である。第二の方法は、対物可動絞りを動かして透
過電子線をカットし、観察に必要な散乱電子あるいは回
折電子だけを取り出す方法である。このようにして取り
出された暗視野像の画像は、前記の明視野像と同様な方
法により、観察・記録用モニタCRT上で表示観察さ
れ、写真撮影により記録される。
【0005】このように、従来の方法で明視野像と暗視
野像を観察するためには光軸を大幅に変更しなければな
らない。特に結晶学分野における結晶構造や結晶欠陥の
観察においては、明視野像と暗視野像を同一視野で比較
観察しなければ正確な結晶の構造解析はできない。その
ため、従来、このような煩雑な条件設定には、時間と熟
練が必要であり、特に結晶水を含む結晶性試料や有機高
分子結晶のように電子線に弱い試料の場合には、条件設
定の間に電子線照射による試料損傷が発生し、試料の情
報の欠落と共に、誤った試料情報を得る結果となる。
【0006】そのような煩雑な操作を解決する方法とし
て、例えば特開昭51−123056号公報、特開昭5
3−31955号公報、特開昭58−158848号公
報、特開昭61−110954号公報、特開平4−19
0550号公報などに記載された方法がある。しかし、
同一視野で明視野像と暗視野像をリアルタイムで同時観
察したり、あるいは加速電圧200kV以上での検出器
の蛍光体の劣化による解像度の著しい低下や破損に対す
る問題については考慮がなされていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術、特開昭
51−123056号公報は、2個のシンチレーション
検出器を用いて比較すべき2つの画像を同時にモニタC
RTに表示するもので、試料を傾斜して立体観察を行う
場合などには適しているが、明視野像と暗視野像を完全
に一致して同時表示・同時観察することについては考慮
がなされていない。
【0008】特開昭53−31955号公報は、試料の
背後に設置した透過蛍光膜とTV撮像管で得られた回折
像とシンチレーション検出器で検出された明視野像と暗
視野像について、2台の観察用モニタCRTを用いて回
折像と明視野像あるいは回折像と暗視野像を同時表示す
るものであるが、明視野像と暗視野像を同時に観察用モ
ニタCRT画面上に表示することについては考慮がなさ
れていない。
【0009】特開昭58−158848号公報は、2層
のシンチレータと分光器を用いて、二次電子線と反射電
子線を同時検出するものであるが、二次電子線の発生効
率及び、解像度に対する考慮がなされていない。さらに
それぞれの信号の表示、観察及び記録に関する考慮がな
されていない。特開昭61−110954号公報は、明
視野像を電子顕微鏡本体の蛍光板で観察し、回折像を、
チャンネルプレート等で検出し、本体外に設置した観察
用モニタCRT上に表示するものであるが、明視野像と
暗視野像の同時表示・観察については考慮されていな
い。
【0010】特開平4−190550号公報は、TVカ
メラを用いて明視野像と回折像の同時表示と同時観察を
行うものであるが、明視野像あるいは回折像の観察と表
示はオフラインのため、同時表示するには、一度画像を
メモリしなければならず、明視野像と暗視野像をリアル
タイムで同時表示・同時観察することについては何も考
慮されていない。
【0011】さらに、上記従来技術では、検出器あるい
はTV撮像管の蛍光体について、加速電圧200kV以
上での著しい劣化や破損に対する配慮がなされていな
い。そのため、このような問題を解決しない限り、高加
速電圧での実用的な高解像度の明視野像と暗視野像のリ
アルタイムでの同時表示・同時観察はできない。他方、
結晶学分野における結晶構造や結晶欠陥の解析手段とし
て、必須の明視野像と暗視野像の比較観察において、同
一視野で同時表示・同時観察することは正確な構造解析
上、特に重要なことである。
【0012】本発明の第一の目的は、走査電子線像観察
装置において、異種の走査電子線像、例えば明視野像と
暗視野像を観察する場合、煩雑な操作を軽減し、同一視
野での高解像度の明視野像と暗視野像をリアルタイムで
同時表示・同時観察及び記録が可能な電子顕微鏡装置を
提供することにある。本発明の第二の目的は、電子線照
射による試料損傷のない、正確な像観察及び記録が可能
な電子顕微鏡装置を提供することにある。
【0013】本発明の第三の目的は、電子線像の撮像に
用いる検出器の劣化を軽減し、高寿命・高信頼度の電子
顕微鏡装置を提供することにある。本発明の第四の目的
は、上記第一、第二及び第三の目的を、超高加速電圧に
おける電子顕微鏡装置において達成することにある。本
発明はさらに、経済的にも優れた電子顕微鏡装置を提供
するものであるが、それらの目的については以下の説明
で詳述する。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記第一の目的を達成す
るため、本発明では異種の走査電子線像、例えば明視野
像と暗視野像の信号を取り出すために、光軸を中心にセ
ットした多段の異種の走査電子線像検出器と複数個の光
学変調素子とが一体化した画像信号分離検出部を、電子
顕微鏡装置の結像系レンズ部に設けたことにより、同一
視野の明視野像と暗視野像を観察・記録用モニタCRT
画面上にリアルタイムで同時表示するようにした。
【0015】前記第二の目的を達成するため、上記構成
に加えて、照射系に偏向コイルを設けることにより、電
子顕微鏡本体の主操作コントロール部の操作と同期し
て、画像の取り込み時のみ、試料に電子線を照射するよ
うにした。前記第三の目的を達成するため、上記構成に
加えて、上記画像信号分離検出部を電子顕微鏡装置本体
の主操作コントロール部の操作と同期して駆動し、光軸
から着脱可能にした。
【0016】前記第四の目的に関し、本発明は、上記画
像信号分離検出部を用いて、走査電子線像を撮像するこ
とにより、初めて超高加速電圧の電子顕微鏡装置を実現
可能にしている。その他、本発明では、高価な複数個の
走査電子線像の検出器及び観察・記録用モニタCRTを
必要としないなどの手段を講じているが、それらの工夫
については以下の説明で詳述する。
【0017】
【作用】電子顕微鏡装置の走査電子線像検出器、例えば
明視野像検出器と暗視野像検出器が光学変調素子と一体
化した画像信号分離検出部は、走査偏向コイル及び観察
・記録用モニタCRTと同期して、走査電子線像を検出
するようにしているので、煩雑な操作を軽減し、高解像
度の明視野像と暗視野像の同一視野での同時表示・同時
観察を短時間でリアルタイムに行うことができる。
【0018】このような作用効果は、上記画像信号分離
検出部を光軸に対して着脱可能なように駆動することで
一層顕著となり、特に、この画像信号分離検出部は画像
取り込みと同期して着脱されることで、検出器の蛍光体
の劣化による著しい解像度の低下を防止し、長寿命化を
図ることができる。さらに、照射系に設けた偏向コイル
により、電子顕微鏡本体の主操作コントロール部の操作
と同期して、画像の取り込み時のみ、必要最小限の電子
線が試料に照射されるために、電子線照射による試料損
傷のない、正確な明視野像と暗視野像を効率良く観察、
記録できる。したがって、超高加速電圧であっても上記
走査電子線像検出器の蛍光体の劣化の影響が少なく、高
解像度で信頼性の高い超高加速電圧の電子顕微鏡を実現
できる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1及び図3〜図8
を参照して説明する。図1は、本発明に係る電子顕微鏡
装置の全体の構成及び動作原理について明視野像と暗視
野像の観察を例に示したものである。電子顕微鏡装置
は、電子銃(図示せず)、照射レンズ15を含む照射
系、電子線走査手段2a、試料室、結像系レンズ部7及
び検出部を備え、走査電子線像は画像表示用モニタ14
に表示される。
【0020】主操作コントロール部13の操作パネル上
の画像取り込み開始スイッチを押すと、駆動制御部17
を介し照射系に設けた偏向コイル2cにより、電子線1
は破線位置から白抜き矢印の方向に偏向され、光軸上に
振り込まれる。電子線1は走査偏向コイル2aによって
走査され、試料3に照射される。このとき得られる異種
の走査電子線(透過電子線5、散乱電子線6aあるいは
回折電子6bなど)は、結像系レンズ部7に設けた画像
信号分離検出部16が、駆動制御部17を介し、光軸に
挿入されることによって、それぞれの走査電子線像検出
器8a、8bで検出され、光信号に変換される。なお、
各検出器8a、8bには、電子線1による蛍光体の劣化
防止や破損に対する保護及び電子線によるチャージアッ
プ防止のために、使用電子顕微鏡装置の最大加速電圧に
応じて、膜厚100nmから数μmの範囲で金属蒸着9
が施されている。金属蒸着膜の詳細は図4に示す。
【0021】電子線像検出器からの光信号は、ライトガ
イド10を介して光電子増倍管11に伝達されて電気信
号に変換され、ヘッドアンプ12により増幅される。増
幅された画像信号は、主操作コントロール部13を介し
て、画像処理コントロール部18のCPUへ送られ、そ
れらのデータは観察用モニタCRT14で観察され、必
要に応じて画像メモリ部19に記録蓄積される。また、
プリンター20により打ち出すことが可能である。
【0022】観察用モニタCRT14と明視野像及び暗
視野像との同期は、走査偏向コイル2aと走査偏向コイ
ル同期制御回路部2bで行われる。また、一台の観察用
モニタCRT14画面上に明視野像と暗視野像を同時表
示、同時観察するために、音響光学変調素子や液晶等か
らなる光学変調素子21a、21bによる明視野像と暗
視野像の画像信号の入力切り替えは、主操作コントロー
ル部13のCPUと走査偏向コイル同期制御回路部2b
を介して、同期/信号切替制御回路部22の出力電圧信
号で同期制御される。
【0023】さらに、観察用モニタCRT14画面上に
常時最適な画像が提供されるように、観察用モニタCR
T14画面上に表示された明視野像と暗視野像の輝度及
び像質、すなわちS/N比は、主操作コントロール部1
3のCPUにてコントロール処理される。観察用モニタ
14は、カラーモニタCRTあるいは白黒モニタCRT
のどちらを用いても観察可能である。
【0024】観察用モニタCRT14が、カラーモニタ
CRTの場合は、主操作コントロール部13において、
表示する色を指定することにより、同一視野の異種の走
査電子線像を色別して、観察用モニタCRT14画面上
に同時表示することができる。この詳細は、図5を用い
て後述する。図3は、主操作コントロール部13と画像
処理コントロール部18のCPUによる本実施例の動作
をフローチャートで説明したものである。以下、図3を
用いて、本実施例の動作を説明する。
【0025】主操作コントロール部13の操作パネル上
の画像取り込み開始スイッチを押す(ステップ30)
と、駆動制御部17の制御により、照射系に設けた偏向
コイル2cによって電子線1が光軸に振り戻されると同
時に、光軸に画像信号分離検出部16が挿入され(ステ
ップ31)、画像の取り込みが開始される(ステップ3
2)。画像の取り込みが終了する(ステップ33)と、
電子線1は、偏向コイル2cによって光軸外に振り出さ
れ、同時に画像信号分離検出部16は光軸から脱着され
る(ステップ34)。このようにして得られた明視野と
暗視野の各画像は、観察用モニタCRT14に表示され
ると共に(ステップ35)、各画像の輝度を確認する
(ステップ36)。各画像の輝度の差が不均一の場合
は、各画像の平均輝度の差を読み取り(ステップ3
7)、主操作コントロール部13のCPUを介して補正
を行い、調整は、同期/信号切替制御回路部22で出力
電圧信号を制御して光学変調素子21a、21bの光伝
達率を変化させることによって行い(ステップ38)、
上記ステップ30〜36を再度実行する。
【0026】明視野像と暗視野像を比較して、輝度の差
が無くなった場合(ステップ36)は、次に各画像の像
質を判断する(ステップ39)。像質、すなわちS/N
比が悪い場合は、主操作コントロール部13のCPUで
各画像のS/N比を読取り(ステップ40)、各画像の
S/N比の平均値を求め、S/N比を設定し(ステップ
41)、走査時間補正及び調整を行い(ステップ4
2)、再度ステップ30〜39を実行する。
【0027】このようにして得られた明視野像と暗視野
像について、次に画像処理または記録の確認を行う(ス
テップ43)。このステップでは、得られた画像につい
て、まず画像処理、例えば観察したい部分の強調処理や
ノイズ除去等の処理を行って、その画像を記録していく
操作方法と、まず最初に幾視野かの画像を記録して、そ
の後画像処理を行う操作方法の2通りが選択可能であ
る。
【0028】前者の操作はステップ43、44、45を
繰り返し、希望の画像処理が終了すれば画像記録確認
(ステップ46)後、終了する(ステップ48)。後者
の操作は、ステップ43、44、46、47と進み、点
線に従ってステップ30から47を繰り返し実行するこ
とによって、希望の画像を画像メモリ部19に記録す
る。画像記録が完了(ステップ46)後、画像処理を行
うには、画像呼び出し(ステップ47)、画像呼び出し
確認(ステップ49)と進み、ステップ43、44を実
行後、ステップ45で画像処理を行う。ここで希望の画
像処理が終了すれば、ステップ43、44を実行後、ス
テップ46で記録確認し、ステップ47で、新たに次の
画像を呼び出し、ステップ49を実行後、ステップ43
から47を繰り返す。
【0029】このように、主操作コントロール部13の
パネル上の画像取り込み開始スイッチを押すと、画像信
号分離検出部16の駆動制御部17と連動して、照射系
に設けた偏向コイル2cにより電子線1が光軸に振り戻
されると同時に、画像信号分離検出部16が光軸へ挿入
され、一回の走査で明視野像と暗視野像の画像が同時に
取り込まれる。このため、試料3及び検出器8には、必
要最小限度の電子線5、6a、6bが振り込まれること
になり、電子線照射による試料損傷及び経年変化による
検出器8の蛍光体の発光効率の低下を防止できる。画像
取り込み時以外は、光軸外に画像信号分離検出部16を
待避させることにより、電子線ばかりではなく、高加速
電圧における一次及び二次イオンによる検出器8の蛍光
体の劣化を排除することができるため、蛍光体の寿命が
従来の観察方法よりも4倍以上長くなる。
【0030】次に、本発明の一実施例による画像信号分
離検出部16の断面を図4(a)に、外観を図4(b)
に示す。図に示すように、試料3下部より発生する透過
電子線5、散乱電子線6aあるいは回折電子線6bは、
結像系レンズ部7に設けた明視野像検出器8aと暗視野
像検出器8bによって検出される。暗視野像検出器8b
は、観察試料3が結晶性であれば、回折電子線6bだけ
が、非結晶性であれば散乱電子線6aだけが検出できる
ように穴を設け、明視野像検出器8aよりも上部に設置
する。暗視野像検出器8bの穴を通過した透過電子線5
は、明視野像検出器8aによって検出される。暗視野像
検出器8bの穴径は画像信号分離検出部16の取付け位
置と結像系レンズ部7の励磁条件で決定される。また、
明視野像検出器8aと暗視野像検出器8bには、透過電
子線5、散乱電子線6a、回折電子線6bによる、蛍光
体の劣化防止や破損に対する保護及び電子線によるチャ
ージアップ、発光による像質の低下防止のために、使用
電子顕微鏡装置の最大加速電圧に応じ、膜厚100nm
から数μmの範囲でアルミニウムなどの軽金属等の金属
蒸着9が施されている。
【0031】明視野像検出器8aと暗視野像検出器8b
で検出された光信号が光学変調素子21a、21bを介
して、ライトガイド10へ送られる過程で、光学変調素
子21a、21bは、同期/信号切替制御回路部22の
出力電圧信号の指示により、明視野画像光信号と暗視野
画像光信号を切り替え、それぞれの光信号を交互にライ
トガイド10へ送る。
【0032】本実施例によると、異なる2種類の走査電
子線像を得るための光軸の大幅な変更に伴う煩雑な軸調
整が完全に不要となり、加えて、下記の表示・観察モニ
タ法を採用することにより、短時間にリアルタイムで同
一視野の同時表示・同時観察及び記録が行なえるため
に、電子線に弱い試料でも、試料損傷のない、安定した
高解像度の像を、効率良く観察及び記録できる。さら
に、検出器8に金属蒸着9を施すことにより、蛍光体の
劣化による著しい解像度の低下を防止し、検出器8の長
寿命化を図ることができる。また、従来の装置では、検
出器8一個に対して、それぞれ一台ずつのライトガイド
10、光電子増倍管11、ヘッドアンプ12を必要とし
たが、本実施例の画像信号分離検出部16を用いれば、
複数個の検出器8及び光学変調素子21と、一台のライ
トガイド10、光電子増倍管11、ヘッドアンプ12を
一体化することにより、製作も容易となり、そのうえ経
済的にも非常に顕著な効果が得られ、さらに装置の保守
点検も容易になるという効果がある。
【0033】図5は、同一視野の明視野像と暗視野像を
一台の観察用カラーモニタCRT14画面上に同時表示
する場合の実施例を示したものである。動作原理は、図
5(a)に示すように、暗視野像は奇数番目の走査線を
使用し、明視野像は偶数番目の走査線を用いて、観察用
カラーモニタCRT14画面上に色違いで同時表示する
ものである。図5(b)は、各回路部の動作出力電圧波
形を示したものである。走査偏向コイル同期制御回路部
2bの水平方向の出力電圧波形(鋸波)1パルス毎に、
同期/信号切替制御回路部22からの出力電圧波形(矩
形波)が同期し、それぞれの明視野像検出器8aと暗視
野像検出器8bの光信号をそれぞれの光学変調素子21
a、21bに同期出力させることで、一台の観察用カラ
ーモニタCRT14画面上に同一視野の明視野像と暗視
野像を同時表示する。
【0034】上記実施例によれば、観察用カラーモニタ
CRT14の走査線の奇数と偶数を使い分けて、異なる
色で異種の走査電子線像を同時表示するため、画面上で
色が混じりあうことがない、すなわち画像の情報が混じ
りあうことがないので、画像の微細な部分も忠実に、高
信頼度で鮮明な画像として、リアルタイムで提供するこ
とができる。必要があれば、一方の光学変調素子のみを
光透過状態にし、他方の光学変調素子を光遮断状態にす
ることにより、明視野像または暗視野像のみをモニタC
RT上に表示することも勿論可能である。
【0035】観察用白黒モニタCRT14画面上に同一
視野の明視野像と暗視野像を同時表示する場合の実施例
を図6に示す。本実施例は、図6(a)に示すように、
明視野像と暗視野像を一台の観察用白黒モニタCRT1
4画面上に分割表示するものである。図6(b)は、各
回路部の動作出力電圧波形を示したものである。走査偏
向コイル同期制御回路部2bの水平方向の出力電圧波形
(鋸波)1パルスに、同期/信号切替制御回路部22か
らの出力電圧波形(矩形波)が同期し、それぞれの明視
野像検出器8aと暗視野像検出器8bの光信号をそれぞ
れの光学変調素子21a、21bに同期出力させるが、
明視野像と暗視野像の光学変調素子21a、21bは交
互に動作する。このとき、モニタCRT偏向コイルの出
力波形1パルス毎に、走査偏向コイルの出力波形が2パ
ルスずつ同期することにより、一台の観察用白黒モニタ
CRT14画面上に同一視野の明視野像と暗視野像を分
割表示する。
【0036】異種の走査電子線像をリアルタイムで、一
台の観察用モニタCRT上に同時表示することは、短時
間で同一視野の観察ができるために、観察時の電子線照
射による試料損傷を軽減し、試料情報の欠落を防止する
ことができる。また、オペレータは、観察モニタCRT
から視線を大きく転じることなく操作でき、一連の煩雑
な操作から開放される。
【0037】さらに観察用白黒モニタCRT14上で同
時表示・同時観察する場合の応用例を図7に示す。動作
原理は、図7(a)に示すように、暗視野像は奇数番目
の走査線を使用し、明視野像は偶数番目の走査線を用い
て、同一視野の明視野像と暗視野像を一台ずつ、別々の
観察用白黒モニタCRT14a、14bに同時表示する
ものである。
【0038】図7(b)は、各回路部の動作出力電圧波
形を示したものである。走査偏向コイル同期制御回路部
2bの水平方向の出力電圧波形(鋸波)1パルス毎に、
同期/信号切替制御回路部22からの出力電圧波形(矩
形波)が同期し、それぞれの明視野像検出器8aと暗視
野像検出器8bの光信号をそれぞれの光学変調素子21
a、21bに同期出力させることで、同一視野の明視野
像と暗視野像を別々の観察用白黒モニタCRT14a、
14bに同時表示する。また、前記観察用白黒モニタC
RT14上において、一画面取り込み終了後、走査偏向
コイル同期制御回路部2bの水平方向の出力波形(鋸
波)を1パルスずらして、再度画像信号を取り込む、す
なわち、一回目の取り込みで奇数番目の走査線を用いた
場合は、二回目の取り込みには、偶数番目の走査線を用
いて表示することによって、より高解像度の画像観察が
可能である。
【0039】また、本発明は、さらに図8に示す二次電
子線像と反射電子線像などの検出器8c、8dにも応用
できる。すなわち、図8(a)の断面図及び図8(b)
の斜視図に示すように、試料3上部より発生する二次電
子線23と反射電子線25は、二次電子線/反射電子線
像検出器8c、8dによって検出される。反射電子線像
検出器8dには、反射電子線25だけが検出できるよう
に穴を開け、二次電子線像検出器8cは、二次電子線2
3だけが検出できるように、二次電子線用加速電極24
に数10kVの電圧が印加されている。二次電子線及び
反射電子線用各光学変調素子21c、21dの動作原理
は、明視野像と暗視野像の画像信号分離検出部16と同
様である。二次電子線/反射電子線像検出器8c、8d
は、蛍光体の劣化防止や電子線によるチャージアップ、
発光による像質の低下防止のために、劣化防止策として
金属蒸着9が施されている。
【0040】上述の実施例では、2個の光学変調素子を
電子線を走査する偏向コイルと同期させて駆動すること
により異種の走査電子線像をモニタCRT上に分離して
表示するようにしているが、異種の走査電子線像を分離
する方法はこの方法に限らない。例えば、2個の光学変
調素子を異なる周波数で各々駆動し、変調周波数の違い
によって2チャンネルのビデオ信号に分離することによ
り、周知の画像処理手段を用いて異種の走査電子線像を
所望の形態でモニタCRT上に表示することができる。
【0041】
【発明の効果】電子顕微鏡装置における走査電子線像の
表示、観察及び記録に関して、走査電子線像検出器と光
学変調素子を一体化した画像信号分離検出部を用いて、
異種の走査電子線像の取り込みを同時に行うことによ
り、煩雑な操作を軽減し、短時間に、リアルタイムで高
解像度の走査電子線像の同時表示、同時観察及び記録を
行うことができる。
【0042】また、画像信号分離検出部の蛍光体の劣化
防止対策を行うことで、上記効果及び検出器の高信頼度
及び長寿命化が一層向上できる。そして、本発明によれ
ば、超高加速電圧での像観察、記録が初めて可能になる
と共に、電子線照射に弱い試料において試料損傷のな
い、安定した高解像度の像を効率よく、観察及び記録す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電子顕微鏡装置の全体構成図。
【図2】電子線照射によって試料から得られる種々の電
子線及びX線の説明図。
【図3】本発明による主操作/画像処理コントロール部
CPUの動作フローチャート。
【図4】画像信号分離検出部の実施例の断面図及び外観
図(明視野像/暗視野像検出器)。
【図5】観察用カラーモニタCRTの実施例を示す図。
【図6】観察用白黒モニタCRTの実施例(分割表示白
黒モニタCRT)を示す図。
【図7】観察用白黒モニタCRTの他の実施例(別々の
観察用白黒モニタCRT)を示す図。
【図8】画像信号分離検出部の他の実施例(二次電子/
反射電子線像検出器)を示す図。
【符号の説明】
1:電子線、2a:走査偏向コイル、2b:走査偏向コ
イル同期制御回路部、2c:偏向コイル、3 :試料、
4a:対物可動絞り、4b:対物レンズ、5:透過電子
線、6a:散乱電子線、6b:回折電子線、7:結像系
レンズ部、8:検出器、8a:明視野像検出器、8b:
暗視野像検出器、8c:二次電子線像検出器、8d:反
射電子線像検出器、9:金属蒸着膜、10:ライトガイ
ド、11:光電子増倍管、12:ヘッドアンプ、13:
主操作コントロール部、14:観察用モニタCRT、1
4a:明視野像観察用モニタCRT、14b:暗視野像
観察用モニタCRT、15:照射レンズ、16:画像信
号分離検出部、17:駆動制御部、18:画像処理コン
トロール部、19:画像メモリ部、20:プリンター、
21:光学変調素子、21a:明視野像光学変調素子、
21b:暗視野像光学変調素子、21c:二次電子線像
光学変調素子、21d:反射電子線像光学変調素子、2
2:同期/信号切替制御回路部、23:二次電子線、2
4:二次電子線用加速電極、25:反射電子線

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子銃と、照射系と、電子線走査手段
    と、試料室と、結像系レンズ部と、検出部と、画像表示
    用モニタとを有する電子顕微鏡装置において、 前記検出部は光軸方向に多段に設置した異種の走査電子
    線像検出器と画像信号分離手段とを備え、前記試料室に
    設置された試料面上を電子線が走査するとき前記異種の
    走査電子線像検出器から得られる同一視野の異種の走査
    電子線像を前記画像信号分離手段により分離し、前記画
    像表示用モニタにリアルタイムで同時表示することを特
    徴とする電子顕微鏡装置。
  2. 【請求項2】 前記異種の走査電子線像検出器はシンチ
    レーション検出器からなり、各シンチレーション検出器
    は各々光学変調素子を介してライトガイドによって共通
    の光電子増倍管に接続されていることを特徴とする請求
    項1記載の電子顕微鏡装置。
  3. 【請求項3】 前記異種の走査電子線像検出器は、光軸
    と交差する部分に貫通穴を有する暗視野像検出器と前記
    貫通穴の部分を通過した電子線のみを検出する明視野像
    検出器を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の電
    子顕微鏡装置。
  4. 【請求項4】 前記電子線走査手段と前記各光学変調素
    子を同期させることを特徴とする請求項2又は3記載の
    電子顕微鏡装置。
  5. 【請求項5】 前記画像表示用モニタはカラーモニタで
    あり、同一視野の異種の走査電子線像を同一画面上に色
    違いで重ねて表示することを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか1項記載の電子顕微鏡装置。
  6. 【請求項6】 前記画像表示用モニタは白黒モニタであ
    り、同一視野の異種の走査電子線像を一台の白黒モニタ
    の画面上に並べて又は複数の白黒モニタに各別に表示す
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の
    電子顕微鏡装置。
  7. 【請求項7】 照射系に偏向コイルを設け、走査電子線
    像の取り込み時のみ、試料に電子線を照射するようにし
    たことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の
    電子顕微鏡装置。
  8. 【請求項8】 前記走査電子線像検出器は、照射系に設
    けた偏向コイルの偏向動作に同期して光軸から着脱され
    ることを特徴とする請求項7記載の電子顕微鏡装置。
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