JPH07122056B2 - 複合型制振材料用組成物 - Google Patents

複合型制振材料用組成物

Info

Publication number
JPH07122056B2
JPH07122056B2 JP62225388A JP22538887A JPH07122056B2 JP H07122056 B2 JPH07122056 B2 JP H07122056B2 JP 62225388 A JP62225388 A JP 62225388A JP 22538887 A JP22538887 A JP 22538887A JP H07122056 B2 JPH07122056 B2 JP H07122056B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
composition
damping material
vibration damping
polyester resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP62225388A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS6469685A (en
Inventor
慎也 石川
宜広 谷口
博之 山本
紘 遠藤
光郎 東
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP62225388A priority Critical patent/JPH07122056B2/ja
Publication of JPS6469685A publication Critical patent/JPS6469685A/ja
Publication of JPH07122056B2 publication Critical patent/JPH07122056B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)
  • Epoxy Resins (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、複合型制振材料用組成物に係り、詳しくは車
両、電気部品、機械や構造物の構成部材またはその一部
を構成して、これらの振動を減少させ、騒音を低減させ
ることができる振動吸収性能の高い複合型制振材料を製
造する際に中間層としてフィルム状で使用される組成物
に関する。
〔従来の技術〕
近年、交通機関の発達や住居の工場への接近に伴なって
騒音や振動の問題が公害として社会問題化するようにな
り、また、職場においてもその作業環境の改善を目的と
して騒音や振動を規制する傾向にある。このような動向
に対応して、騒音源や振動源である金属材料に対して制
振性能を付与することやその制振性能の向上を図ること
が要請されている。
そこで、従来よりかかる制振性能を発揮する材料の一つ
として、2つの金属層の中間に粘弾性樹脂からなる粘弾
性中間層を挟み込んだ3層構造を有する複合型制振材料
が提案されており、例えば自動車のオイルパン、エンジ
ンカバー、ダッシュボードパネル及びフロアー、ホッパ
ーのシュート部、搬送設備のストッパー、家電製品、そ
の他金属加工機械の振動低減部材や振動防止が望まれる
精密機械の構造部材等において検討され採用されてい
る。
この場合、2つの金属層を構成する金属材料としては、
互いに相対面し中間に粘弾性樹脂を挟み込んで制振材料
を構成し得るものであればよく例えば、2枚の金属板、
2本の同心金属管、2本の型鋼、互いに重ね合わせるこ
とができる2枚の成形体、金属成形体と当板、その他の
2層構造を有するものを挙げることができる。そして、
ここに言う金属層を形成する金属としては、特に限定さ
れるものではないが、通常、鉄、アルミニウム、銅、鉛
あるいはこれらを一成分とする合金類、さらには亜鉛、
錫、クロム等でメッキされた金属材料及びエポキシ樹
脂、メラミン樹脂等で表面処理されたものであってもよ
い。
そして、このような複合型制振材料の粘弾性中間層を構
成する粘弾性樹脂としてはポリアミド(特開昭56−159,
160号公報)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(特開昭5
7−34,949号公報)、ポリエステル系樹脂あるいはポリ
エステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂の樹脂組成物
(特開昭61−89,842号公報)、ビニルエステルあるいは
アクリル系重合体とスチレン系重合体との組成物のよう
なガラス転移温度の異なる非相溶な非晶性熱可塑性重合
体の組成物(特開昭60−258,262号公報)、ビニル系重
合体のような非晶性熱可塑性重合体からなる組成物(特
開昭61−28,551号公報)や、また本発明者等により非晶
性ポリエステル樹脂と低晶性ポリエステル樹脂からなる
樹脂組成物(特願昭62−18,160号)等様々な樹脂系によ
る組成物が提案されている。また、ポリビニルブチラー
ルあるいはポリビニルブチラールとポリ酢酸ビニルとの
配合物に可塑剤や粘着性付与物質を配合したもの(特公
昭55−27,975号公報)、イソシアネートプレポリマーと
ビニルモノマーの共重合体(特公昭52−26554号公
報)、飽和ポリエステル樹脂に架橋剤として有機過酸化
物及び充填剤を混合した組成物(特公昭53−9,794号公
報)や、また本発明者等により非晶質ポリエステル樹
脂、酸無水物、エポキシ化合物からなる組成物(特願昭
62−219,160号)等様々な添加物を添加した組成物も開
示されている。さらに、オレフィン系樹脂多層体(特開
昭60−82,349号公報)等の樹脂構造体についても提案さ
れている。
ところで、このような複合型制振材料に要求される特性
としては、第一に制振性能が高いことが挙げられ、これ
は一般に損失係数の大小によって表現される。そして、
第二には複合型制振材料が構造部材としても使用され、
またプレス加工等の二次加工も受けるため粘弾性樹脂で
構成される粘弾性中間層と外側金属層との間の接着強
度、特に剪断接着強度が高いことが挙げられる。また、
複合型制振材料は80℃付近でも使用されることがあり80
℃における剪断接着強度もある程度要求されている。さ
らに、第三にはプレス加工を受けた複合型制振材料は20
0℃程度まで加熱される焼付塗装工程を経ることがあり
この温度付近で中間層樹脂組成物が流出しないことも要
求される。
一方、粘弾性樹脂と金属材料とを複合化し複合型制振材
料を製造する方法としては、粘弾性樹脂を溶剤に溶解さ
せた塗料状のものを金属材料に塗布して貼り合わせる方
法、T−ダイ押出機等で金属材料上に粘弾性樹脂の中間
層を形成する方法、オフラインで製造したフィルム状の
粘弾性樹脂を中間層として金属材料の間に挟み込みホッ
トメルト接着する方法等が挙げられる。これらの方法は
それぞれの得失があるが、複合化の作業性、作業環境、
製品管理の安定性等を考慮すると、フィルム状の粘弾性
樹脂を使用することが好ましい。
このような粘弾性樹脂組成物のフィルム化については通
常のフィルム成形工程を用いれば良く特に制限されるも
のではないが、粘弾性樹脂組成物の溶融粘度が熱分解を
起こす温度以下でフィルム成形可能となるまで低下する
ような熱可塑性を有する物でなければならない。
特に0〜60℃の常温域で優れた制振性能を発揮する制振
材料の場合、粘弾性中間層樹脂組成物のガラス転移領域
は常温付近若しくはそれ以下にある必要があり、常温で
は弾性率の低い組成物である。一方、プレス加工性に重
要な影響を及ぼす剪断接着強度は一般に高い弾性率を示
す組成物の方が優れている。すなわち、複合型制振材料
に要求される制振性能とプレス加工性に関連する剪断接
着強度とは粘弾性中間層樹脂の弾性率に関して相反する
要求特性となっており、上記従来の粘弾性組成物で製造
される複合型制振材料ではこの両特性を充分に満足する
ことはできず、制振材料用の粘弾性組成物としては不十
分なものであり、従来提案されているような結晶性熱可
塑性樹脂と非晶性熱可塑性樹脂のブレンド物について
も、制振性能は満足し得ても異種高分子の非相溶性故に
接着強度や機械的強度に劣るものであり満足し得るもの
ではなかった。
また、非晶質ポリエステル系樹脂は、それが金属材料に
対して優れた接着性を有する樹脂であることは知られて
いるが、特に常温域で制振性能を発揮するようなガラス
転移温度の低い樹脂の場合、剪断接着強度はプレス加工
に耐えられるほどの高い値は示さず満足な材料とはいえ
ない。
さらに、特公昭53−9,794号公報に開示されているポリ
エステル樹脂、有機過酸化物架橋剤、充填剤からなる組
成物でも、その剪断接着強度は向上するものの得られる
制振材料がプレス加工に耐えられるほどの高い値を示し
ていない。また、有機過酸化物等のラジカルを発生する
架橋剤はポリエステル樹脂の架橋反応を制御することが
困難である。また、ラジカル反応はポリエステル樹脂の
末端、主鎖あるいは側鎖いかなるところでも起こり高分
子の分子運動を抑制するものであり制振性能に悪影響を
及ぼすものである。
一方、特願昭61−219,160号で提案した非晶性ポリエス
テル樹脂、酸無水物及びエポキシ化合物からなる組成物
の場合、常温域で優れた制振性能を示し、かつ剪断接着
強度もプレス加工に耐え得るほど高い値を示すが、複合
型制振材料の製造工程において架橋反応を行う煩雑さは
避け難い。
また、特願昭62−18,160号で提案した非晶性ポリエステ
ル樹脂と低晶性ポリエステル樹脂のブレンド物からなる
樹脂組成物は常温域における制振性能及び剪断接着強度
も充分な値を示すが、高温域で極端に流動性が増大し20
0℃程度では外側金属層の口開きが生じる恐れがあり、8
0℃での剪断接着強度が低く複合型制振材料としては充
分に満足し得るものではなかった。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明はかかる観点に鑑みて創案されたもので予めフィ
ルム状に成形可能であり常温域で優れた制振性能の付与
し常温から80℃付近まで金属材料に対して良好な接着性
を有し、塗料焼付温度付近でも流出し難い粘弾性中間層
を形成することができる複合型制振材料を製造するのに
適した組成物を提供することを目的とするものである。
〔問題点を解決するための手段〕
すなわち、本発明は−30〜60℃のガラス転移温度を有す
ると共にこのガラス転移温度において0.5以上の損失正
接を有する熱可塑性飽和ポリエステル樹脂中に、イソシ
アネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物、アミン化
合物、アジリジル化合物、金属アルコラート化合物及び
オキサゾリン化合物から選ばれた1種又は2種以上の分
子内に官能基を2個以上有する架橋剤と無機フィラーを
配合してなる複合型制振材料用組成物である。
先ず本発明において、複合型制振材料とは最初に述べた
ような2つの金属層の中間にこれらの金属層を互いに接
合する粘弾性中間層が挟み込まれたいわゆる3層構造を
有するものであり、さらに粘弾性中間層を形成する粘弾
性樹脂組成物がフィルムに形成されているものである。
この粘弾性樹脂組成物を構成する熱可塑性ポリエステル
樹脂は常温で制振性能を発揮するものであり、−30〜60
℃にガラス転移温度を有する粘弾性樹脂組成物である。
ガラス転移温度が−30℃より低いと複合型制振材料用の
組成物に通常要求されるガラス転移温度の−30〜60℃に
そのガラス転移温度を移行させるために、高融点固形樹
脂、充填剤等を多量に添加する必要が生じ、また60℃よ
り高くなると逆にガラス転移温度を低温側に移行させる
ために多量の可塑剤を添加する必要が生じる。これら各
種添加剤を多量に使用した場合には接着性が低下した
り、高温時に流動し易くなる場合もあり好ましくない。
また、このガラス転移温度における損失正接(tanδ)
については制振性能の観点から0.5以上好ましくは0.7以
上のものである必要がある。この損失正接(tanδ)が
0.5より小さいと満足し得る制振性能が発揮されない。
このようなポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の高結晶
性飽和ポリエステルを高温でエチレングリコールに溶解
しトリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネ
オペンチルグリコール等の飽和多価アルコールを加え、
エステル交換反応によって合成することが可能であり、
また飽和多価カルボン酸と飽和多価アルコールを共重合
することによっても合成することができる。後者の合成
法で使用する飽和多価カルボン酸としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸、ジフェニルジカルボン酸、コハク酸、アジピン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドテカンジオン酸、無
水トリメリット酸等を挙げることができ、また飽和多価
アルコールとしてはエチレングリコール、1,4−ブタン
ジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメ
タノール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロ
パン等を挙げることができる。これら単量体の組合せは
数多くあり、希望する融点、ガラス転移温度、非晶性や
結晶性の程度等により適宜選定して使用される。
また、使用されるポリエステル樹脂は1種類である必要
はなく2種以上のポリエステル樹脂を混合した組成物で
あってもよい。なお、2種以上混合する場合、それらが
お互いに相溶挙動を示す時は混合物の損失正接が0.5以
上であれば良い。また、2種以上のポリエステル樹脂が
非相溶挙動を示す場合は、混合物の損失正接の極大値は
2つ以上存在するがそのうちの一番大きい極大値が0.5
以上を示せば良い。
また、選定したポリエステル樹脂の制振性能改良あるい
は弾性率の向上を計るためにポリエステル樹脂以外の樹
脂をこのポリエステル樹脂と混合して使用してもよい。
このようなポリエステル樹脂以外の樹脂としてはロール
混練、ニーダー混練、押出機混練等の通常の方法で上記
ポリエステル樹脂と混練可能なものであれば特に制限さ
れるものではない。これらの樹脂としては、例えばポリ
スチレン、AS樹脂、ABS樹脂、MS樹脂、耐衝撃性ポリス
チレン等のスチレン系樹脂、ポリメチルアクリレート、
ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレー
ト、アクリル系共重合体等のアクリル系樹脂、ポリ塩化
ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル
・アクリル酸エステル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、
ポリ酢酸ビニル、ポリビニルホルマール、ポリビニルブ
チラール等の酢酸ビニル系樹脂、エチレン・α−オレフ
ィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸エス
テル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体の金属
架橋物等のエチレン系樹脂、プロピレン・エチレン共重
合体、プロピレン・ブテン共重合体等のプロピレン系樹
脂、共重合ナイロンのような非晶性ポリアミド等の熱可
塑性樹脂を例示することができる。また、スチレン・ブ
タジエンゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴ
ム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エ
チレン・アクリルゴム、EPDM等のエラストマーも挙げら
れる。
また、得られた制振材料のプレス加工に影響を及ぼす剪
断接着強度を向上さすために架橋剤を添加する必要があ
る。このような架橋剤としては有機過酸化物やアゾ化合
物等のラジカル発生剤を用いるとポリエステル樹脂の主
鎖、側鎖及び末端いかなるところにもラジカルが移行
し、このラジカル同志が結合する。従って、架橋点がポ
リエステル樹脂分子の中間にも生じ、ポリエステル樹脂
分子の分子運動を拘束し制振性能に悪影響を及ぼす。す
なわち、ポリエステル樹脂自体の制振性能を変化させる
ことなく剪断接着強度を向上させるためにはポリエステ
ル樹脂末端と選択的に反応しかつあまり高度に3次元化
しないものを使用しなければならない。
このような架橋剤としてはポリエステル樹脂末端の水酸
基あるいはカルボキシル基と反応する官能基を分子内に
2個以上有する化合物であって、ポリエステル樹脂とラ
ジカル反応を伴わず架橋を行うものであればよく。イソ
シアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物、アミン
化合物、アジリジル化合物、金属アルコラート化合物あ
るいはオキサゾリン化合物等が例示される。これら架橋
剤の中で特に好ましいものとしてポリエステル樹脂末端
水酸基との反応性が高いイソシアネート化合物あるいは
エポキシ化合物、酸無水物が挙げられる。また、これら
架橋剤は単独でも、もしくは2種以上混合して使用して
もかまわない。さらに、必要に応じて官能基間の反応を
促進あるいは遅延させるために各種触媒を使用すること
もできる。
これら架橋剤の添加量は樹脂100重量部に対して0.1〜20
重量部、特に0.2〜10重量部が好ましい。添加量が0.1重
量部より少ない場合、剪断接着強度の充分な向上が得ら
れず、添加量が20重量部より多くなると樹脂組成物の高
温時の流動性が極端に低下しフィルム成形困難なものと
なる。
しかし、ポリエステル樹脂に架橋剤を添加しただけでは
剪断接着強度がまだ不足しており、これを向上させるに
はさらに無機フィラーを充填する必要がある。このよう
な無機フィラーとしては200℃程度では熱分解しないも
のである必要があり、カーボンブラック、シリカ、アル
ミナ、クレー、酸化チタン、亜鉛華、マイカ、黒鉛等が
挙げられるが、特に高温時の剪断接着強度を向上させる
効果が大きい点からカーボンブラック、シリカあるいは
クレーの1種以上を用いることが望ましい。また、これ
ら無機フィラーの平均粒径は剪断接着強度向上の効果が
顕著に現れる0.1μm以下であることが好ましく、剪断
接着強度は無機フィラーの表面性状と密接な関係があり
表面積が40m2/g以上であることが好ましい。
一方、無機フィラーの添加量については樹脂100重量部
に対して1〜100重量部、特に5〜50重量部が好まし
い。添加量が1重量部より少なくなると剪断接着強度向
上の充分な効果が得られず、添加量が100重量部より多
くなると樹脂組成物の流動性が低下しフィルム成形が困
難となる。
また、樹脂組成物のガラス転移温度を所望の値に移行す
るために可塑剤を添加して使用することも可能である。
この目的で使用される可塑剤としては、例えばポリエス
テル系可塑剤、ポリエーテルエステル系可塑剤、リン酸
エステル類、エポキシ系可塑剤、フタル酸ジエステル、
セバシン酸ジエステル等のエステル系可塑剤、トリメリ
ット酸系可塑剤、塩素化パラフィン等を挙げることがで
き、使用するポリエステル樹脂により適宜選定して使用
する。
反対にガラス転移温度の低いポリエステル樹脂に対して
は、そのガラス転移温度より高い融点を有する固形樹脂
等の物質を添加してピーク特性温度を高温側に移行させ
ることも可能である。このような固形樹脂としては、例
えばアルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹
脂、ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、ク
マロン・インデン樹脂、フェノール変性クマロン樹脂、
石油樹脂等を挙げることができ、使用するポリエステル
樹脂との相溶性等を考慮して適宜選定して使用する。
また、上記粘弾性組成物に充填剤として導電性固体物質
を配合することにより導電性を付与し、得られた制振材
料をスポット溶接可能な材料とすることもできる。この
ような目的で使用される導電性物質としてはステンレ
ス、亜鉛、錫、銅、黄銅、ニッケル等の金属を粉末状、
フレーク状、ファイバー状、ワイヤー状等に加工した金
属物質を挙げることができる。これらの導電性物質は単
独で使用できるほか、2種以上を組合わせて使用するこ
ともできる。そして、これらの導電性物質としては複合
制振材料を製造した際に金属材料との間で良好な導電性
を発現させるために、さらにより安定したスポット溶接
を可能とするためには導電性物質が外層金属材料より軟
質であることが好ましい。この導電性物質が粉末状であ
る場合にはその最大粒径を、またフレーク状である場合
にはその最大の厚さを、さらにファイバー状である場合
にはその最大直径をそれぞれの代表長さ(L)としたと
き、より良好なスポット溶接性を得るにはこの代表長さ
(L)と複合制振材料の中間樹脂層の厚さ(T)との比
(L/T)を0.5以上、好ましくは0.8以上、より好ましく
は1.0以上にするのがよい。
本発明の組成物のフィルムとしての厚さは要求される制
振性能等から適宜選定されるものであるが、制振性能の
観点から10μm以上、特に20μm以上が好ましく、複合
制振材料のプレス加工性等の観点から300μm以下、特
に200μm以下が好ましい。
本発明の組成物の混練方法としては架橋剤及び無機フィ
ラーのポリエステル樹脂への分散性を考慮し、それに適
した剪断力や温度のかかるものであれば特に制限される
ものではなく加熱ロール、加圧型ニーダー、バンバリー
ミキサー、単軸押出機あるいは2軸押出機等が挙げられ
る。
本発明の組成物からフィルムを成形する方法としては樹
脂組成物の溶融粘度、伸び等から適宜選定され特に制限
されるものではなく、T−ダイ押出成形、インフレーシ
ョン成形、カレンダー成形あるいはホットメルトコーテ
ィング等が挙げられる。
また、成形されたフィルムが常温で粘着性を有する場合
には離型紙やポリオレフィン等の基材をこのフィルムに
当てて用いても良い。
本発明の組成物から得られたフィルムを使用して複合制
振材料を製造する方法については特に制限されるもので
はなく、切板を使用するバッチ法、コイルを使用する連
続法等任意の方法をとることができる。また、金属材料
とこのフィルムとを接着する方法についても特に制限は
なく、例えば、2枚の金属材料の間にこのフィルムを挟
み込み、フィルムの溶融温度により適宜設定された温度
で加熱圧着することにより可能である。
〔実施例〕
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を説明する。
これらの実施例及び比較例において試験に供するフィル
ムは次に述べる方法で作製した。第1表に示すポリエス
テル樹脂を加圧型ニーダーに投入し、ここに第1表に示
す各種架橋剤及び無機フィラーを順次添加し100℃〜180
℃で混練して組成物を得た。この混練物を120℃〜170℃
のダイス温度でT−ダイ押出しし離型紙上に厚さ70μm
のフィルムとして作製した。
このフィルムを2枚の0.8mm厚の冷延鋼板間に挟み込み1
80℃で1分間加熱圧着し厚さ70μmの粘弾性樹脂中間層
を有する複合制振材料を得た。
T剥離接着強度はJIS−K−6854試験法に基づく50mm/mi
nの引張速度で評価し、剪断接着強度はJIS−K−6850試
験法に基づいて5mm/minの引張速度で評価、また制振性
能は機械インピーダンス法で振動吸収能を表す損失係数
(η)を測定しηの最大値(ηmax)及びこのηmaxを示
すときの温度(Tp)を測定して評価した。
これらのフィルムを鋼板に挟み込んで試験した結果を第
1表に示す。
ポリエステルAまたはBに架橋剤、無機フィラーのいず
れかひとつでも添加していない比較例1〜4において80
℃での剪断接着強度が0〜1kgf/cm2と著しく低いのに対
して、架橋剤及び無機フィラーを併用した実施例1〜5
では80℃での剪断接着強度が25〜30kgf/cm2と著しく向
上した。また、制振性能の最大値を示す温度(Tp)はポ
リエステル樹脂Aを使用した実施例1、2及び5では42
〜43℃であり架橋剤及び無機フィラー無添加である比較
例1の38℃に比べ4〜5℃程度上昇したのみであり、損
失係数の最大値も1.0であり比較例1の値より低下して
いない。また、ポリエステル樹脂Bを使用した実施例3
では52℃であり架橋剤及び無機フィラー無添加である比
較例4の47℃に比べ5℃上昇したのみであり、損失係数
の最大値も1.0であり比較例4より低下していない。こ
れに対して、ラジカル反応を伴う架橋剤として有機過酸
化物BPOを使用した比較例5では80℃での剪断接着強度
が5kgf/cm2であり損失係数の最大値(ηmax)も0.8と低
下しており充分な効果を発揮していない。
〔発明の効果〕 本発明の組成物はフィルム成形が容易に行え、かつ2つ
の金属材料に挟み込まれ得られた複合型制振材料が常温
から80℃まで優れた接着性を有すると共に常温付近にお
いて優れた制振性能を発揮する複合型制振材料用の組成
物として極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 15/08 D C08G 18/42 NDW 59/40 NJX

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】−30〜60℃のガラス転移温度を有すると共
    にこのガラス転移温度において0.5以上の損失正接を有
    する熱可塑性飽和ポリエステル樹脂中に、イソシアネー
    ト化合物、エポキシ化合物、酸無水物、アミン化合物、
    アジリジル化合物、金属アルコラート化合物及びオキサ
    ゾリン化合物から選ばれた1種又は2種以上の分子内に
    官能基を2個以上有する架橋剤と無機フィラーを配合し
    てなる複合型制振材料用組成物。
  2. 【請求項2】無機フィラーがカーボンブラック、シリカ
    あるいはクレーの1種以上である特許請求の範囲第1項
    記載の複合型制振材料用組成物。
  3. 【請求項3】無機フィラーの平均粒径が0.1μm以下で
    無機フィラーの表面積が40m2/g以上である特許請求の範
    囲第1項又は第2項記載の複合型制振材料用組成物。
JP62225388A 1987-09-10 1987-09-10 複合型制振材料用組成物 Expired - Lifetime JPH07122056B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62225388A JPH07122056B2 (ja) 1987-09-10 1987-09-10 複合型制振材料用組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62225388A JPH07122056B2 (ja) 1987-09-10 1987-09-10 複合型制振材料用組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS6469685A JPS6469685A (en) 1989-03-15
JPH07122056B2 true JPH07122056B2 (ja) 1995-12-25

Family

ID=16828579

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP62225388A Expired - Lifetime JPH07122056B2 (ja) 1987-09-10 1987-09-10 複合型制振材料用組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07122056B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0320321A (ja) * 1989-02-22 1991-01-29 Kawasaki Steel Corp 複合型制振材料用樹脂組成物およびこれを用いた複合型制振材料ならびにその製造方法
JPH05200938A (ja) * 1991-06-17 1993-08-10 Nippon Steel Corp 樹脂複合型制振金属板
US5356715A (en) * 1992-07-31 1994-10-18 Morton International, Inc. Vibration damping resins and vibration damping composites
JP5438930B2 (ja) * 2008-08-04 2014-03-12 本田技研工業株式会社 水性制振塗料組成物
JP5798501B2 (ja) * 2012-01-30 2015-10-21 住友理工株式会社 防振材およびその製法
JP6137906B2 (ja) * 2013-03-29 2017-05-31 ユニチカ株式会社 共重合ポリエステル樹脂組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JPS6469685A (en) 1989-03-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1651432B1 (en) A metal-polyamide/polyethylene-metal laminate
EP2087056B1 (de) Hitze-aktiviert verklebbares flächenelement
EP2246402A1 (en) Resin composition, laminate using the same, and molded body using the laminate
JP3338330B2 (ja) ポリエステル樹脂複合成形品
JPH01204737A (ja) ラミネート構造
JPH07122056B2 (ja) 複合型制振材料用組成物
JP4576764B2 (ja) 積層体
CN109072034A (zh) 粘合剂和阻尼膜
JP2547802B2 (ja) 複合型制振材料用組成物
JPH05147175A (ja) 自動車内装用材料
JP4905868B2 (ja) エチレンプロピレンジエンゴム組成物、及びエチレンプロピレンジエンゴム−プラスチック複合体
JPS63278845A (ja) 複合型制振材料製造用の粘弾性多層体
JPH01263147A (ja) 複合型制振材料用組成物
JP3095278B2 (ja) 積層材料
JPH02196848A (ja) 常温用複合型制振材料用組成物
JPH02273231A (ja) 常温用複合型制振材料
JP3086327B2 (ja) 積層体及びその製造方法
JPH09314734A (ja) 難燃性金属樹脂複合板
JPH01263148A (ja) 複合型制振材料用組成物
JPS62152751A (ja) 複合型制振材料製造用の粘弾性多層体
JP3343401B2 (ja) 制振材料用複合体
JPS63186757A (ja) 複合型制振材料用粘弾性組成物
JPS6128551A (ja) 制振用樹脂組成物
JPS62221532A (ja) 複合型制振材料製造用の多層体及び複合型制振材料の製造方法
KR100489723B1 (ko) 폴리에스테르수지복합성형품

Legal Events

Date Code Title Description
EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071225

Year of fee payment: 12