JPH07121221B2 - 抗原特異的ヒト免疫グロブリン生産性ヒト/ヒトハイブリドーマ - Google Patents

抗原特異的ヒト免疫グロブリン生産性ヒト/ヒトハイブリドーマ

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JPH07121221B2
JPH07121221B2 JP5168343A JP16834393A JPH07121221B2 JP H07121221 B2 JPH07121221 B2 JP H07121221B2 JP 5168343 A JP5168343 A JP 5168343A JP 16834393 A JP16834393 A JP 16834393A JP H07121221 B2 JPH07121221 B2 JP H07121221B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、免疫グロブリン生産能を異にす
る二種のヒトB−セル、とくに、免疫グロブリン生産能
を有するヒトB−セル(A)と免疫グロブリン生産能を
実質的に欠損しているヒトB−セル(B)との新しいタ
イプの融合細胞のクローンに関する。該融合細胞クロー
により生産されるヒト免疫グロブリンは、例えば、人
の抗原性病気の予防、治療、診断などの医学及び薬学分
野や生化学的試薬、生体高分子の精製試薬など薬理学
分野、生化学分野等の如き広い分野に於て有用である。
【0002】更に詳しくは、本発明は (a) 腫瘍患者のリンパ節から採取された、腫瘍由来の
抗原によって感作さ れ且つ該抗原に対して特異的な免疫
グロブリン生産能を有するヒトリンパ球 のヒトB−セル
(A)と、 (b) (イ) 適当な培地中で自己増殖性を有し、 (ロ) 特定の試薬の存在下で又は特定の成分の不存在下
で増殖停止又 は死滅する実質的に非可逆的な感受性を有
し、 (ハ) 免疫グロブリン生産能を実質的に欠損しており、
且つ (ニ) 適当な培地及び培養条件下で単一細胞(シングル
セル)として 増殖可能である 永久分裂能をもつ骨髄様ヒ
トリンパ球のヒトB−セル(B)とのヒト/ヒト融合細
胞株であって抗原特異的ヒト免疫グロブリン生産能を有
するヒト/ヒトハイブリドーマ に関する。
【0003】従来、抗原によって感作されたマウスB−
セルと骨髄性白血病(myeloma)マウスからのマ
ウスB−セルとの融合細胞をマウス体外で形成し、上記
抗原に対するマウス免疫グロブリン生産能を有し且つ自
己増殖性を有するマウス/マウス融合細胞を形成した報
告は知られている(例えば、Nature、Vol.2
56、1975年、495〜497頁:Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA、Vol.75、N
o.7、1978年、3405〜3409頁、等)。
又、抗原によって感作されたヒトB−セルと骨髄性白血
病マウスからのマウスB−セルとの融合細胞を体外で形
成し、上記抗原に対するヒト免疫グロブリン生産能を有
し且つ自己増殖性を有するヒト/マウス融合細胞を形成
した報告も知られている(例えば、Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA、Vol.77、No.
11、1980年、6841〜6845頁:The j
ournal of Immunology、Vol.
125、No.3、1980年、1037〜1043
頁、等)。
【0004】しかしながら、ヒト免疫グロブリン生産能
を有する融合細胞を取得しようという上記後者の試みに
於ては、経時的に染色体欠落を伴い、前記ヒト免疫グロ
ブリン生産能が経時的に喪失し、免疫グロブリン生産能
が極めて不安定である致命的な欠陥を有する。
【0005】ヒト免疫グロブリン生産能を有するヒト/
ヒト融合細胞を形成する試みとして、抗原としてハシカ
・ビールス又はハプテン(hapten)[2,4−ジ
ニトロフェニル]によって感作されたヒトB−セルをド
ナーとして使用し、これと骨髄性白血病患者からのヒト
免疫グロブリン生産能を有するセル・ライン(ヒトB−
セル)(親株)との融合細胞をヒト体外で形成し、上記
抗原に対するヒト免疫グロブリン生産能を有し且つ自己
増殖性を有するヒト/ヒト融合細胞を形成した報告が知
られている(Nature、Vol.288、1980
年、483〜483頁:Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA、Vol.77、No.9、198
0年、5429〜5431頁)。
【0006】しかしながら、この報文の方法によれば、
後者の親株であるセル・ライン(ヒトB−セル)が前者
のドナーであるヒトB−セルとは異なるヒト免疫グロブ
リン生産能を有するために、得られるヒト/ヒト融合細
胞は両者のヒトB−セルの免疫グロブリン形成を有する
ものの混合体となる。このためにかかるヒト/ヒト融合
細胞から採取される免疫グロブリンは幾つかの形質の免
疫グロブリンの混合体となり、リンパ球(A)と同形質
の免疫グロブリンが一定の特異性形質を維持しながらか
つ単一抗体として産生されることが不可能となる。
【0007】この結果、例えばリンパ球(A)と同形質
の抗原特異的ヒト免疫グロブリンを用いようとしても、
他の形質の免疫グロブリンが干渉することとなり、目的
とする治療、予防、検査、精製等の遂行が困難となる。
【0008】その上、上記の報文で用いられた親株であ
るセル・ライン(ヒトB−セル)は薬剤感受性が可逆的
であって、感受性を喪失する頻度が高く、一旦このよう
な現象が生じると所望の融合細胞をドナー及び親株とし
て用いたヒトB−セルから分離し、採取することが困難
となる。さらに、親株であるセル・ラインの培養中に凝
集塊を形成し易く、その結果融合細胞を産生する確率が
低いという難点もある。
【0009】本発明者は、ドナーとして用いるヒトリン
パ球のB−セル[以下B−セル(A)ともいう]と同形
質の抗原特異的ヒト免疫グロブリンをその一定の形質を
維持しつつ生産可能のヒト/ヒト融合細胞を産生し、こ
れから単一形質の免疫グロブリンを生産する目的で研究
を行った。
【0010】その結果、腫瘍患者のリンパ節から採取さ
れた、腫瘍由来の抗原によって感作され且つ該抗原に対
して特異的な免疫グロブリン生産能を有するヒトリンパ
球のヒトB−セル(A)と、免疫グロブリン生産能を実
質的に欠損している永久分裂能をもつ骨髄様ヒトリンパ
球のヒトB−セル(B)とを人間の体外で融合すること
により新規なヒト/ヒト融合細胞を産生することができ
ること、そして産生されたこのヒト/ヒト融合細胞は該
ヒトB−セル(A)の免疫学的形質を有し且つそのよう
な形質を安定に持続し得ることを発見した。更に、この
新しいタイプのヒト/ヒト融合細胞を効率よく産生する
ことが容易であって、且つ融合細胞形成確率も高く、そ
して体外でヒト免疫グロブリンの大量生産を可能とする
ユニークなヒト/ヒト融合細胞であることを知った。
【0011】上記の新しい諸知見に基いて更に研究を進
めた結果、本発明によれば、(a) 腫瘍患者のリンパ節から採取された、腫瘍由来の
抗原によって 感作され且つ該抗原に対して特異的な 免疫
グロブリン生産能を有するヒトB−セル[以下ヒトB−
セル(A)ともいう]を含有するヒト細胞群と、 () (イ) 適当な培地中で自己増殖性を有し、 (ロ) 特定の試薬の存在下又は特定の成分の不存在下で
増殖停止又は死滅する感受性を有し、且つ (ハ) 免疫グロブリン生産能を実質的に欠損しており、
且つ(ニ) 適当な培地及び培養条件下で単一細胞(シングル
セル)として増 殖可能である 永久分裂能をもつ骨髄様ヒ
トリンパ球のヒトB−セル(B) [以下ヒトB−セル
(B)ともいう]を含有するヒト細胞群とを人間の体外
で融合して、ヒトB−セル(A)とヒトB−セル(B)
との融合細胞を産生し、得られる融合細胞を、上記
(1)のヒト細胞及び上記(2)のヒト細胞群は増殖停
止又は死滅するが該融合細胞は増殖し得る培地中で培養
して融合細胞クローンを取得し、この融合細胞クローン
からの前記B−セル(A)と同形質の抗原特異的ヒト免
疫グロブリン含有物質又は免疫グロブリンを採取するこ
とによって、所望の且つ一定の免疫形質を有するヒト免
疫グロブリンを再現性よく取得できることを発見した。
【0012】かくして、一人の患者から採られたリンパ
球を用いて本発明により生産した抗体がその本人(Au
tologous)の抗原及びこれと同形質のヒト抗原
に対して特異的に反応することが実験的に判明した。
【0013】本発明者の知る限り、前記(1)のヒトB
−セルをドナーとして用い、これを前記(2)のヒトB
−セルの如く免疫グロブリン生産能を実質的に欠損して
いる親株と、人間の体外で、融合してヒト/ヒト融合細
胞を産生させることに成功した例はこれまで全く知られ
ていない。加えて、この融合細胞から生産されるヒト免
疫グロブリンが本人(患者)および本人以外のそれと同
形質の抗原(組織)と特異的に反応することは未だ報告
されていない。
【0014】しかるに本発明者は前記(1)の適当なヒ
トB−セルをドナーとして用い、これを前記(2)の免
疫グロブリン生産能を実質的に欠損しているヒトB−セ
ル(親株)と、人間の体外で融合することにより融合細
胞を産生することができること、そして産生された融合
細胞は親株のB−セルとは試薬又は培地成分に対する感
受性が異なり、しかもドナーであるB−セルは増殖能が
乏しいために之等のB−セルと分離することが可能であ
ること、さらに分離された融合細胞を別の培地で培養す
るとその多くのものは増殖が停止し又は死滅するが、そ
の一部には安定に増殖してクローンを形成するものがあ
ること、そしてこのクローンを形成する融合細胞は長期
間継代増殖が可能であることを発見するに至った。
【0015】従って、本発明の目的は、抗原特異的ヒト
免疫グロブリンを生産することができる新しいタイプの
融合細胞のクローンを提供するにある。
【0016】本発明に於て、融合細胞の産生に用いる免
疫グロブリン生産能を有するヒトB−セル(A)は、
瘍患者のリンパ節から採取された、腫瘍由来の抗原によ
って感作され且つ該抗原に対して特異的な免疫グロブリ
ン生産能を有するヒトリンパ球のヒトB−セルであるこ
とができる。このようなヒトB−セル(A)は人間の体
外では継代的自己増殖性を実質的に有しないものが好ま
しい。
【0017】本発明に於ては、ヒトB−セル(B)とし
て免疫グロブリン生産能を実質的に欠損しているヒトB
−セル(B)を用い、ヒトB−セル(A)として免疫グ
ロブリン生産能を有するヒトB−セル(A)を用いるの
で、これから生産された融合細胞のクローンから上記ヒ
トB−セル(A)の生産するヒト免疫グロブリンの形質
を適宜選択することにより、所望の抗原特異的ヒト免疫
グロブリンを生産することができる利点がある。
【0018】本発明に於て、ヒトB−セル(A)は、
瘍(殊に癌)細胞によって感作され且つ癌抗原に対して
特異的な免疫グロブリン生産能を有するヒトリンパ節
トリンパ球のB−セルであってもよいし、或は又、採取
されたヒトリンパ球のB−セルを、ヒト体外で、例え
ば、増殖性因子によって増殖及び/又は抗原性物質で感
作する、などの手法を利用して得られる免疫グロブリン
生産能が増強されたヒトB−セルであってもよい。この
ような増殖性因子の例としては、リポポリサッカライド
類、レクチン類などを例示することができる。
【0019】上記生産能増強の操作は例えば下記文献に
より知られており、本発明において利用することができ
る。Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.
A、Vol.77、pp1139−1143(198
0)Michael Hoffman;“Natur
e”、Vol.282、(1979)、Robin
E.Callard。好ましい一態様によれば、上記の
如き増殖性因子たとえばRPMI−1640(10%仔
牛血清含有)を含有する液体培地で、前記の如き採取源
から分離採取されたヒトB−セル(A)を培養し、次い
で該培地に抗原性物質を添加して更に培養してもよい
し、または両者を含む液体培地中で培養してもよい。培
養条件としては、たとえば、37℃で約5〜7日の如き
条件を例示できる。
【0020】本発明に於て用いる前記ヒトB−セル
(B)は、下記(イ)〜()の要件を満足するヒトB
−セルであれば如何なるものでもよく、適宜に選択利用
することができる。
【0021】(イ) 適当な培地中で自己増殖性、好まし
くは倍加時間(ダブリング・タイ ム)が48時間以内の
自己増殖性を有し、 (ロ) 特定の試薬の存在下又は特定の成分の不存在下で
増殖停止又は死滅する感受性を有し、且つ (ハ) 免疫グロブリン生産能を実質的に欠損しており、
且つ (ニ) 適当な培地及び培養条件下で単一細胞(シングル
セル)として増殖可 能であること
【0022】上記ヒトB−セル(B)は、適当な採取
源、たとえばヒトリンパ節、ヒトリンパ腺、ヒト脾臓、
ヒト血液、ヒト骨髄などのリンパ球から採取し、又はこ
れをヒト体外で増殖もしくは増殖及び分化したものから
選択することができる。上記(イ)、(ロ)、(ハ)
(ニ)の要件を満足するヒトB−セル(B)を直接選
択することができるが、操作上の見地からは、上記
(イ)、(ロ)、(ハ)及び(ニ)の要件中、一つもし
くは二つの要件のみを満足するヒトB−セルを最初に採
取し、欠如している他の要件を満足するまで、増殖又は
分化等の処理を施すのが好ましい。
【0023】例えば、(イ)適当な培地中で自己増殖性
を有し且つ(ハ)免疫グロブリン生産能を実質的に欠損
しているが(ロ)の性質を有しないB−セルを採取し、
これに(ロ)特定の試薬の存在下又は特定の成分の不存
在下で増殖停止又は死滅する感受性を、ヒト体外で賦与
することができる。この態様の実施に際しては、例えば
下記文献により公知の手法を利用することができる。H
ybridoma in Cancer Diagno
sis and Treatment ed.M.S.
Mitchell and H.F.Oettgen
RavenPress New York(198
2)、pp125−132。
【0024】たとえば、上記文献に記載の手法を利用し
て、健康なヒト脾臓からバイオプシー(Biopsy)
により、リンパ芽球などの如きリンパ系細胞をとり、そ
の中の免疫グロブリン生産能を実質的に有しないBセル
リンパ球を選別分離し、たとえば6−チオグアニン、8
−アザグアニン、5−ブロモデオシウリジンの如き酵素
変異原含有培地で培養すると、選当な培地中で自己増殖
性を有し、免疫グロブリンを産生せず且HAT培地中
では死滅する感受性を有するヒトB−セル(B)を得る
ことができる。例えば、後記実施例で利用したヒトBセ
ルUC729−6は上記リンパ芽球を用いて6−チオグ
アニン含有培地で培養して得ることができる。
【0025】上記ヒトBセルUC729−6は工業技術
院微生物工業技術研究所長発行の寄託受託拒否通知書を
受けた。
【0026】又、例えば、(イ)適当な培地中で自己増
殖性を有し、(ロ)及び(ハ)の性質を有しないヒトB
−セルを採取し、これに上記と同様な手法で(ロ)の性
質を賦与したのち、それを培養増殖させ、増殖物をそれ
自体公知のサブ・クローニングの手法によりスクリーニ
ングして(ハ)の性質を満足するヒトB−セルをえらび
出すことができる。
【0027】ヒトB−セル(B)の要件(イ)の自己増
殖性は、ヒトB−セル(A)とヒトB−セル(B)との
融合細胞に受継がれる形質であるので、できる限り長期
間の自己増殖性、好ましくは実質的に永久的な自己増殖
性を有するヒトB−セル(B)を選択するのが好まし
い。工業的には、少なくとも100回、より好ましくは
少なくとも200回、とくには少なくとも500回以上
の自己増殖を繰りかえすものを選択するのがよい。
【0028】更に、要件(イ)の自己増殖性に関連し
て、自己増殖の倍加時間(ダブリング・タイム)が約4
8時間以下、更には約20時間以下であるような自己増
殖性を有するヒトB−セル(B)の利用が好ましい。こ
の倍加時間が小であるという性質も、ヒトB−セル
(A)とヒトB−セル(B)との融合細胞に受継がれる
形質であるので、融合細胞のクローンの生産する所望の
ヒト免疫グロブリンの生産量の増大を達成できることに
なる。従って、前記自己増殖性が長期間維持され且つ上
記倍加時間が小であるヒトB−セル(B)を選択するこ
とによって、とくに優れたヒト免疫グロブリンの生産方
法を提供することができる。
【0029】又、要件(ロ)の特定の試薬の存在下で又
は特定の成分の不存在下で増殖停止又は死滅する感受性
は、後に詳しく述べる所望の融合細胞クローンを取得す
るためのスクリーニングを可能とするために必要な性質
である。上記特定の試薬の例としては、アミノプテリ
ン、アランシン、ウァバインなどを例示することができ
る。
【0030】上記感受性は、ヒトB−セル(A)とヒト
B−セル(B)とから産生された融合細胞に於て、可逆
的に要件(ロ)を満足しない状態に戻る所謂“バック・
ミューティション”(復帰突然変異)を生ずる場合があ
るので、本発明においては、特定の試薬の存在下で又は
特定の成分の不存在下で増殖停止又は死滅する非可逆的
な感受性を有するヒトB−セル(B)を選ぶのが有利で
ある。
【0031】本発明で融合細胞(ハイブリドーマ)を産
生するのに用いる上述のヒトB−セル(B)は、適当な
培地及び培養条件下でシングルセルとして増殖可能なも
の、すなわちセル凝集塊を形成しないことが望ましい。
ヒトB−セル(B)の培地としては、例えば、仔牛血
清、ヒト血清、新生仔牛血清、ウマ血清などの如き血清
含有RPMI−1640培地などを例示できる。又、培
養条件としては、例えば、5%CO2の存在下、37℃
の条件を例示できる。
【0032】本発明に於いては、上述の如き免疫グロブ
リン生産能を有するヒトB−セル(A)を含有するヒト
細胞群と、上述の如き(イ)、(ロ)、(ハ)及び
(ニ)を満足するヒトB−セル(B)を含有するヒト細
胞群とを、人間の体外で融合してヒトB−セル(A)と
ヒトB−セル(B)との融合細胞を産生する。
【0033】この融合細胞を産生する融合操作は公知の
如何なる方法でもよい。融合操作は、液媒中、融合促進
剤の存在下に、ヒトB−セル(A)とヒトB−セル
(B)とを接触させて行うことができる。このような融
合促進剤の例としては、仙台ビールス(HVJ)、ポリ
エチレングリコールなどを例示することができる。例え
ば、水性媒体中、上記例示の如き融合促進剤の存在下、
所望によりおだやかな撹拌を加えて系を均一にし、次い
で、ヒトB−セル(A)の1ケとヒトB−セル(B)の
1ケから成る融合細胞が産生される時間、たとえば数分
間のオーダーで静置することにより、所望の融合細胞が
産生できる。液媒の例としては水、生理食塩水、5%ジ
メチルスルホキシド水溶液、5%グリセロール水溶液な
どを例示することができる。
【0034】所望の融合細胞が産生された系を、例え
ば、遠心分離して細胞群を採取し、再び適当な培地に、
たとえば前記例示の如き血清含有RPMI−1640液
体培地中に前記例示の如き試薬を加え、採取した該細胞
群を分散させ、この分散液を例えばマイクロ・タイター
・プレートの穴に、夫々、一定量ずつつ分取注入し、例
えば、5%CO2の存在下、37℃で培養を行う。各穴
中の培養液を、例えば3日毎に新しい培養液と取りか
え、例えば2週間培養を続けたのち、顕微鏡下で融合細
胞の有無を検べ、コロニーの認められた試料の培養液を
採取し、ヒト免疫グロブリンの有無を、例えば125Iを
用いたラジオ・イミュノ・アッセイにより検出すること
ができる。
【0035】このようにして、ヒト免疫グロブリンの生
産の認められたコロニーを、新しい培養液に移して培養
し、融合細胞を増殖させることにより融合細胞クローン
を取得することができる。更に、必要に応じて、サブ・
クローニングして、所望のヒトB−セル(A)と同形質
の抗原特異的ヒト免疫グロブリン生産性クローンを得る
ことができる。
【0036】本発明によれば、上述のようにして得られ
る融合細胞クローンを適当な培地、たとえば10%血清
含有RPMI−1640培地で培養し、培養液を採取す
ることによりヒトB−セル(A)と同形質の抗原特異的
免疫グロブリン含有物質を得ることができる。更に、所
望により、精製して精製免疫グロブリンをすることもで
きる。精製は、たとえば、硫安分画法、アフィニティー
クロマトグラフィー、ゲル濾過、イオン交換クロマトグ
ラフィー、電気泳動法などの如き生体液から免疫グロブ
リンを採取、精製する際に利用できると同様な精製手段
を利用することができる。
【0037】本発明によれば、前述した融合細胞クロー
ン又はその培養液からヒトB−セル(A)と同形質の抗
原特異的ヒト免疫グロブリン含有物質又は該免疫グロブ
リンを取得する場合、抗原が分離できる場合にはその抗
原と反応するヒト免疫グロブリン(抗体)を探し出し、
また抗原が分離できない場合には抗原性組織(例えば癌
組織)を一度、免疫物質生産能を欠如するか若しくは極
めて弱い生体例えばヌード・マウス(nude mou
se)等に植えつけ組織を維持した後、その組織に対し
て或いは培養系にもどされた組織に対して反応するヒト
免疫グロブリン(抗体)を探し出し、これを分離するの
が有利である。
【0038】本発明で用いるヒトB−セル(A)は人間
の体外では自己増殖性を実質的に示さず、たとえば高々
数回の分裂を行う場合がある程度のものが好ましい。
【0039】前記ヒトB−セル(A)とヒトB−セル
(B)とを人間の体外で融合して産生される本発明の
合細胞(ハイブリドーマ)の例として、後に実施例に示
すヒト/ヒトハイブリドーマ(Humanhybrid
oma)CLN/SUZ H5株及びヒト/ヒトハイブ
リドーマCLN/SUZ H11株の細胞学的性質を以
下に示す。
【0040】ヒト/ヒトハイブリドーマCLN/SUZ
H5:− (1) 染色体数92 (2) ヒト免疫グロブリンM(IgM)分泌(生産) (3) 倍加時間(ダブリング・タイム)37時間 (4) リンパ球系シングルセル ヒト/ヒトハイブリドーマCLN/SUZ H11:− (1) 染色体数92 (2) ヒト免疫グロブリンG(IgG)分泌(生産) (3) 倍加時間37時間 (4) リンパ球系シングルセル 上記両者のヒト・ハイブリドーマは、工業技術院微生物
工業技術研究所長発行の寄託受託拒否通知書を受けた。
しかし、その後上記ヒト・ハイブリドーマはATCCに
寄託されて、上記ヒト/ヒトハイブリドーマCLN/S
UZ H5はATCC HB8206として、またヒト
/ヒトハイブリドーマCLN/SUZ H11はATCC
HB8307として受託されている。
【0041】本発明のハイブリドーマを用いれば、臨床
及び基礎医学分野をはじめ製薬及び薬理的分野、生化学
分野その他の広い分野においてユニークな且つ注目すべ
き有用性を有するヒト免疫グロブリンを、とくに所望の
且つ一定形質の抗原特異的ヒト免疫グロブリンを、体外
に於て工業的に有利に製造することができる。
【0042】かくして、本発明ヒト/ヒト・ハイブリ
ドーマから生産される単一抗体(モノクロナル抗体)
は、例えば癌に代表されるような人間に起る治療困難な
疾患の処置および治療を包含する製薬、医学、薬理学、
生化学その他の広い分野において新規且つ注目すべき有
用性を有する。
【0043】例えば、マウス/マウス・モノクロナル抗
体では、人間にマウス抗体を投与することになるから、
当然、アレルギ症状やショック症状を伴う危険が予想さ
れるし、又、ヒト/マウス・モノクロナル抗体では、上
記と同様の危険のほかにハイブリドーマの安定性に難点
があるため、均一の標品を長期にわたって生産させるこ
とはできない。更に、ヒト/ヒト・モノクロナル抗体の
場合に於ても、細胞融合に用いる親株であるヒトB−セ
ル(B)に該当するB−セルが抗体生産能を有する場合
には、そのような抗体を充分に除去するのが好ましい。
しかしながらヒト/ヒトモノクロナル抗体であるので、
他人に投与してもその抗原性は低く、前記のマウス/マ
ウスモノクロナル抗体におれるような重大な危険はな
い。
【0044】最も望まれる特性は、患者本人のリンパ系
が生産する抗体と同一形質の抗原特異的抗体(免疫グロ
ブリン)をヒト体外で量産させ、再び本人の対内に、何
等の副作用の危惧なしに戻すことを可能とすることであ
る。そして、本発明によってはじめて、そのような抗原
特異的免疫グロブリンをヒト体外で工業的に生産させる
ことが可能となった。
【0045】本発明のヒト/ヒトハイブリドーマを用い
、例えば、以下に例示するような広汎な分野において
利用できる抗原特異的ヒト免疫グロブリンをヒト体外
で生産することができる。
【0046】例えば、癌などの自己体内で変化した細胞
(altered self)に対する抗体をヒト体外
で生産することができる。
【0047】癌に対する例について、更に詳しくは例示
すると、ヒト体外で量産された癌特異的抗体それ自体の
作用で癌細胞の増殖抑制、癌細胞の死滅を行わせたり、
ヒト体外で量産された癌組織認識抗体に補体もしくはT
−リンパ球の助けをかりて癌細胞の増殖抑制や癌細胞死
滅のはたらきをさせたりすることができる。更にまた、
ヒト体外で量産された癌特異的抗体をキャリアーとして
利用して例えば化学療法剤結合−ヒト・モノクロナル抗
体、インターフェロン結合−ヒト・モノクロナル抗体、
高分子毒素結合−ヒト・モノクロナル抗体、薬物入りポ
ゾーム結合−ヒト・モノクロナル抗体などの形で癌細胞
の増殖抑制や死滅のはたらきをさせたりするのに有用で
ある。また、本発明のハイブリドーマを用いて得られる
ヒトモノクロナル抗体をキャリアーとして利用し、これ
に放射線感受性物質を結合させて患者に投与し、癌細胞
に選択的に集まる性質を利用して患部を検知し、放射線
療法に利用することができる。このような癌に対する利
用に際しては、ヒト・モノクロナル抗体として完全な抗
体を用いてもよいし、抗体を化学的な手法で特異的抗原
認識部位を含むより小さな分子に切断して用いたり、或
はそのような小さな分子もしくは特異的抗原認識部位の
みを他の抗体の非特異的抗原認識部分と結合させて、よ
り有効性のある修飾ヒト・モノクロナル抗体を化学的手
法で創製することもできる。
【0048】さらに、本発明のヒト/ヒトハイブリドー
マから産生することができるヒト免疫グロブリンを利用
して人の抗原性疾患の診断、予防などに利用すること
ができる。この利用態様によれば、に伴って生体内に
現われる生体高分子に対する特異的抗体を本発明のハイ
ブリドーマを用いて作製し、得られた抗体に例えばアイ
ソトープもしくは類似の追跡物質(感受性物質)を結合
させ、該抗体の存在を検出できるようにしておき、これ
を体内に注入してその結合場所を検出することにより体
内の病巣、病原体を検知したり、体外で組織の抽出液の
中に存在する抗原を検出定量したりする方法で病気の診
断、予防に利用することができる。このような方法によ
って、例えば癌患者の手術後の転移の様子をモニターし
たり、癌の早期発見に利用したり、或はまた癌の治ゆの
程度を確認したりすることができる。
【0049】また、組織培養されたヒト細胞に対して、
本発明により得ることのできるヒト/ヒト単一抗体がど
のような作用を示すかを調べることによって、抗体の医
療への応用に役立つ基礎知識、たとえば細胞の増殖や分
化におよぼす因子の解明、細胞構成成分の定性と定量な
どの細胞生物学的基礎知識の解明に有用であり、さら
に、酵素、蛋白質、核酸の精製、生体高分子の構成と機
能の解析、DNA、RNAの抽出など広い生化学領域に
おいて利用することもできる。
【0050】以下、実施例により、本発明についてさら
に詳しく述べる。
【0051】
【実施例】実施例1 子宮頸部に偏平上皮癌をもつ患者から、子宮体全体およ
びリンパ節を摘出する手術の際に、癌組織およびリンパ
節を入手した。後者のリンパ節をハサミで細く切りきざ
み、内部のリンパ球を培養液(RPMI−1640)中
に分散させ、続いて2重のガーゼを用いてロ過を行い、
脂肪層を除いた後に濾過中の細胞(リンパ球>80%)
を遠心法によって集める[ヒトB−Cellドナーを含
むヒトリンパ球分画(ドナーB−セル)]。その後この
リンパ球分画を10%仔牛血清および10%のグリセロ
ールを含むRPMI−1640培地中で凍結(−70
℃)し、細胞融合を行う日まで保存した。
【0052】ドナーリンパ球と免疫グロブリン生産能を
実質的に欠損している親ヒトB−セル(UC729−
6)のそれぞれを1×107個および5×106個混合
し、35%ポリエチレングリコールの存在下に10%の
仔牛血清を含むRPMI−1640培地中で融合を完了
させる。その後、800G、10分間の遠心処理を行っ
てポリエチレングリコールを除き、新たに10%仔牛血
清を含むRPMI−1640およびヒポキサンチン/ア
ミノプテリン/チミジン(HAT)を含む培地を加え
る。この細胞群を含む培養液200μl(この中には
1.5×105個のCellを含む)づつを96個の穴を
もつミクロプレートに分注し、約2週間37℃、5%C
2インキュベーターで培養した。この間、HATを含
む10%仔牛血清−RPMI−1640培地を3日に1
回交替した。親B−セル(UC729−6)はアミノブ
テリン存在ではヒポキサンチンホスホリボシールトラン
スフェラーゼを欠損しているため、生きることが出来な
い。またリンパ球(A)は通常の培地たとえばRPMI
−1640+10%仔牛血清中では永続的に増殖し生き
のびることができない。よって、HATを含む培地で永
続的に増殖した細胞はリンパ球(A)とB−Cell
(B)の融合した細胞である。2週間培養の後、96個
のミクロプレート6個にハイブリドーマのクローンが見
られた。この6個のハイブリドーマのうち2個のハイブ
リドーマ(それぞれ、CLN/SUZ H5及びCLN
/SUZ H11と称す)がヒト免疫グロブリン(Hu
lg)を産生していることを固定化ラジオイムノアッセ
イおよび固定化酵素抗体法を用いて確めた。以下その方
法を説明する。
【0053】ガラスフィルターの上に、ハイブリドーマ
の培養液を滴下(50ul)し、乾燥することによっ
て、培養液中の蛋白質を固定化する。その後、125I結
合抗ヒト免疫グロブリン血清(ラジオイムノアッセイ
法)あるいはペルオキシターゼ結合抗ヒト免疫グロブリ
ン血清を滴下(50ul)して(酵素抗体法)、培養液
中にあるべきヒトIgと結合させる。室温で30分間反
応後、生理食塩水でよく洗った後、ラジオイムノアッセ
イの場合はグラスフィルターの上に残った125Iの放射
能をγ−カウンターで定量することによって、ハイブリ
ドーマ培養液中に含れるヒトIgの量を知る。一方、酵
素抗体法の場合は、さらに過酸化水素とO−フェニレン
ジアミンを含む基質溶液を加え、暗室で30分間反応さ
せる。もしグラスフィルターの上にペルオキシダーゼ結
合抗ヒトIg血清が残っている場合、すなわちグラスフ
ィルターの上でヒトIg、抗ヒトIg血清が反応した場
合には吸光度490nmで検出される黄色の基質反応物
が生産される。この量を吸光度計を用いることによって
測定し、ハイブリドーマ培養液中に含れるヒトIgの量
を知る。ハイブリドーマ培養液中にヒトIgが存在しな
い場合には、抗ヒトIg血清は洗滌の段階でグラスフィ
ルターを通して洗い流される。
【0054】以上の測定方法を用いた結果、CLN/S
UZ H5はヒトIgMを生産しており、CLN/SU
Z H11はヒトIgGを生産していることが分った
(ドナーB−セルと同形質のIg)。2週間後に、CL
N/SUZ H5及びCLN/SUZ H11のそれぞれ
を24個の穴をもつミクロプレート(2ml/穴)に植
えかえた後さらに1週間培養を続けた。融合後3週間目
に、培養液の上清を採取、種々の株化細胞を標的細胞と
してヒト/ハイブリドーマから生産されるIgの特異性
を調べた(一定の形質をもつIgまたは特定の形質をも
つIg)。
【0055】その方法を以下説明する。
【0056】人間の種々の株化培養細胞(これらはAT
CCより入手可能)をDME:F−12=1:1の合成
培地に10%仔牛血清を加えた培地で培養する。細胞の
数が5×106〜1×107になった段階で、トリプシン
を用いずに細胞をシャーレの底面から剥がし、底部にガ
ラスフィルターをもつ96穴のミクロタイタープレート
を用いて一定数(約5×104)をグラスフィルターの
上に載せ、乾燥して、細胞をグラスフィルターの上に固
定化する。その後、CLN/SUZ H5及びCLN/
SUZ H11のそれぞれについて、培養上清(50u
l)を細胞の上に滴下し、室温で反応させた後、125
−結合ヒトIg血清、あるいはペルオキシダーゼ結合ヒ
トIg血清を滴下して室温で反応させる。充分に洗滌を
おこなった後、先述のラジオイムノアッセイ法および酵
素抗体法で述べた方法によって細胞に結合した培養液中
のヒトIgの量を測定する。
【0057】以下の方法によってCLN/SUZ H5
のIgMの標的細胞特異性およびCLN/SUZ H1
1のIgGの標的細胞特異性をそれぞれ調べた結果、C
LN/SUZ H5の培養液中のIgM、およびCLN
/SUZ H11の培養液中のIgGは、いずれも子宮
頸部癌由来の、株化細胞HelaおよびCaskiに対
して結合力を有しており、本発明者の検討によれば子宮
頸部癌以外の株化細胞、A431(外陰部癌)、リンパ
性腫瘍およびW1・38(正常ヒト線維芽細胞)等とは
結合力を有していなかった。
【0058】すなわち、ドナーB−セルは、体内に子宮
頸部癌をもつ患者から採取されたものであるので、細胞
融合法によって作り出された自己増殖性をもつハイブリ
ドーマのクローンからは、ドナーB−セルと同形質のか
つ特定の抗原決定部位をもつモノクローナル(単一)抗
体を生産していることを示している。一般に、癌をもつ
患者の体内で癌組織は、抗原として働き、同患者の免疫
監視機構によって、癌特異的抗体を生産しうる能力があ
ることをしめしている。
【0059】同患者より、採取した癌組織を培養に移し
た細胞を標的細胞として用いて、CLN/SUZ H5
及びCLN/SUZ H11の特異性を上記と同様の方
法で調べた結果、結合力を有していることが分った。
【0060】約3週間後に、ハイブリドーマの培地から
HATを除きRPMI−1640+10%仔牛血清で培
養、倍加時間37時間で、CLN/SUZ H5は2.4
μgのIgM(HuMoIgM)/106セル/ml/
dayの量でヒトIgMを生産し続けており、CLN/
SUZ H11は2.6μgのIgG(HuMoIgG)
/106セル/ml/dayの量でヒトIgGを生産し
続けている。
【0061】ハイブリドーマの多量培養液を50%の硫
酸アンモニウムで沈殿させ、粗Ig分画を集めた。得ら
れた沈殿を生理食塩水に溶かし、IgGはヒツジの抗ヒ
トIgG血清中のIgGを用い、IgMはヒツジの抗ヒ
トIgM血清中のIgGを結合させたセファロースを用
いてアフィニィティクロマトグラフィーの手法で精製さ
れた。収率はCLN/SUZ H5の培養液1lから2.
2mgのIgM、CLN/SUZ H11の培養液1l
から3.0mgのIgGが得られた。これらのアフィニ
ィティクロマトグラフィーを用いて精製した、Ig標品
をSDS−電気泳動法で分析した結果、ヒトIgと同形
質の分子量15万のIgG(CLN/SUZ H1
1)および分子量18万(単量体)のIgM(CLN
/SUZ H5)を生産していることが確められた。ま
た、両ヒトハイブリドーマは、Nudemouseの腹
腔内で増殖させることが可能であり、腹水5ml中に3
〜10mgのヒトIgを生産させることができる。
【0062】実施例2 子宮頸部に上被性腺癌をもつ患者から、手術の際にリン
パ節を入手、実施例1で用いた方法と同様の方法でリン
パ球を調製した。本実施例ではリンパ球を凍結保存する
ことなしにRPMI−1640+10%仔牛血清中で1
日培養した後、親B−セル(UC729−6)を用い
て、実施例1と同様の方法で細胞融合を行った。その結
果、96穴のうち16個にハイブリドーマのクローンが
認められ、ラジオイムノアッセイを用いる検出方法によ
って16個のうち5個がヒトIgMを生産しており、1
6個のうち2個がヒトIgGを生産していることが確め
られた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 21/08 C12R 1:91) (56)参考文献 PROC.MATL.ACAD.SC I.USA,77(11),6841−6845 (1980) HYBRIDOMAS IN CANC ER DIAGNOSIS AND TR EATMENT,ED.M.S.MITC HEL AND H.F.OE TTGE N,RAVEN PRESS,NEW Y ORK,(1982),P.125−132 NATURE,276,(1978),P.269 −270

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) 腫瘍患者のリンパ節から採取され
    腫瘍由来の抗原によって感作され且つ該抗原に対し
    て特異的な免疫グロブリン生産能を有するヒトリンパ球
    のヒトB−セル(A)と、 (b) (イ) 適当な培地中で自己増殖性を有し、 (ロ) 特定の試薬の存在下で又は特定の成分の不存在下
    で増殖停止又は死滅する実質的に非可逆的な感受性を有
    し、 (ハ) 免疫グロブリン生産能を実質的に欠損しており、
    且つ (ニ) 適当な培地及び培養条件下で単一細胞(シングル
    セル)として増殖可能である 永久分裂能をもつ骨髄様ヒトリンパ球のヒトB−セル
    (B) とのヒト/ヒト融合細胞株であって抗原特異的ヒト免疫
    グロブリン生産能を有するヒト/ヒトハイブリドーマ。
  2. 【請求項2】 ヒト/ヒトハイブリドーマがヒト/ヒト
    ハイブリドーマCLN/SUZ H5である請求項1記
    載のヒト/ヒトハイブリドーマ。
  3. 【請求項3】 ヒト/ヒトハイブリドーマがヒト/ヒト
    ハイブリドーマCLN/SUZ H11である請求項1
    記載のヒト/ヒトハイブリドーマ。
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Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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HYBRIDOMASINCANCERDIAGNOSISANDTREATMENT,ED.M.S.MITCHELANDH.F.OETTGEN,RAVENPRESS,NEWYORK,(1982),P.125−132
NATURE,276,(1978),P.269−270
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