JPH07119418A - 内燃機関の可変バルブタイミング装置 - Google Patents

内燃機関の可変バルブタイミング装置

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JPH07119418A
JPH07119418A JP26022293A JP26022293A JPH07119418A JP H07119418 A JPH07119418 A JP H07119418A JP 26022293 A JP26022293 A JP 26022293A JP 26022293 A JP26022293 A JP 26022293A JP H07119418 A JPH07119418 A JP H07119418A
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JP
Japan
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ring gear
internal combustion
combustion engine
hydraulic pressure
opening
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JP26022293A
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Yoshiya Yamashita
与史也 山下
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】内燃機関の可変バルブタイミング装置におい
て、リターンスプリングを省略して構成部品を少なく
し、装置全体の軽量化を図る。 【構成】内外周にヘリカルスプライン15a,15bを
有する第1のリングギヤ14を、カムシャフト2及びタ
イミングプーリ8間に介在させて両者を連結する。第1
のリングギヤ14に油圧を加えることにより、同リング
ギヤ14を軸方向へ移動させる。回転をともなう第1の
リングギヤ14の移動により、タイミングプーリ8の回
転をヘリカルスプライン15a,15bにてカムシャフ
ト2に伝達し、タイミングプーリ8に対するカムシャフ
ト2の回転位相を変化させて吸気バルブの開閉タイミン
グを変更する。油圧を加える方向と、第1のリングギヤ
14のヘリカルスプライン15b及びカムシャフト2の
回転方向により決まるスラスト力Faの方向とが互いに
反対方向となるように設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関の吸・排気バ
ルブの開閉タイミングを制御する可変バルブタイミング
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、内燃機関の作動状態に応じて吸・
排気バルブの開閉タイミング(バルブタイミング)を早
めたり遅らせたりするようにした可変バルブタイミング
装置がある。その一つとして、例えば、特開平4−13
2807号公報に開示された技術がある。この技術は、
ヘリカルスプラインを有するリングギヤを、油圧により
カムシャフトの軸方向へ移動させることで、カムシャフ
トの回転位相を変更しようとするものである。
【0003】前記装置では、リングギヤに、ヘリカルス
プラインによる軸方向推進力(スラスト力)が作用す
る。このスラスト力の方向は、ヘリカルスプラインの傾
きとカムシャフトの回転方向とによって決まる。そし
て、前記装置では、油圧の方向とスラスト力の方向とが
同一に設定されている。そのため、油圧やスラスト力の
方向とは反対方向へリングギヤを移動させようとする
と、同方向へリングギヤを付勢する何らかの手段が必要
となる。そこで、前記装置では、この付勢手段としてリ
ターンスプリングが用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記従来技
術では、上記したように、油圧の加わる方向と、ヘリカ
ルスプラインによりリングギヤに発生するスラスト力の
方向とが同一であるために、リターンスプリングを用い
ている。そのため、このリターンスプリングの分だけ、
構成部品が多くなり、このことが可変ハルブタイミング
装置全体の重量増加の一因になるという問題があった。
【0005】本発明は前述した事情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、リターンスプリングを省略して
構成部品を少なくし、軽量化を図ることができる内燃機
関の可変バルブタイミング装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に第1の発明は、内燃機関のバルブ駆動用カムシャフト
の外周に設けられ、かつ同内燃機関の作動にともない回
転駆動されるプーリと、内外周に設けられたスプライン
の少なくともいずれか一方がヘリカルスプラインであ
り、前記カムシャフト及び前記プーリ間に介在されて、
前記スプラインにて両者を連結するリングギヤとを備
え、油圧を加えることにより前記リングギヤを軸方向へ
移動させ、プーリの回転をヘリカルスプラインにてカム
シャフトに伝達し、プーリに対するカムシャフトの回転
位相を変化させてバルブの開閉タイミングを変更するよ
うにした内燃機関の可変バルブタイミング装置におい
て、油圧を加える方向と、リングギヤのヘリカルスプラ
イン及びカムシャフトの回転方向により決まるスラスト
力の方向とが互いに反対方向となるように設定してい
る。
【0007】また、第2の発明は、前記第1の発明の構
成に加え、前記スラスト力の方向を、バルブの開閉タイ
ミングが、油圧の低い内燃機関の低回転時に適した開閉
タイミングとなる方向に設定している。
【0008】さらに、第3の発明は、前記第2の発明の
構成に加え、前記リングギヤとは別に、ヘリカルスプラ
インを有するリングギヤを同軸上に配し、両リングギヤ
のスラスト力が互いに反対向きとなるようヘリカルスプ
ラインの傾きを設定している。
【0009】
【作用】第1の発明では、内燃機関の作動にともないプ
ーリが回転駆動される。この回転はリングギヤを介して
カムシャフトに伝達され、そのカムシャフトの回転によ
り内燃機関のバルブが開閉される。リングギヤに油圧が
加えられると、そのリングギヤはヘリカルスプラインの
作用により回転しながら軸方向へ移動する。この回転を
ともなう移動により、プーリ及びカムシャフトに捩じり
力が付与され、両者が相対回転し、バルブの開閉タイミ
ングが変更される。
【0010】前記回転にともない、リングギヤにはヘリ
カルスプライン及びカムシャフトの回転方向により決ま
る方向のスラスト力が発生する。この際、仮に、リング
ギヤに加えられる油圧の方向と、同リングギヤで発生す
るスラスト力の方向とが同一であるとすると、これとは
反対方向へリングギヤを移動させようとすれば、リター
ンスプリング等の手段が必要となる。しかし、第1の発
明では、前記油圧の方向とスラスト力の方向とが互いに
反対方向となるように設定されている。このため、リタ
ーンスプリングを用いなくても、油圧の大きさを変える
ことで、スラスト力と油圧とが釣り合う位置を変化さ
せ、リングギヤを軸方向へ移動させることが可能であ
る。
【0011】第2の発明では、前記スラスト力の方向の
設定により、始動時等の内燃機関の回転数が低く油圧が
低いときに、その油圧を用いることなく、バルブの開閉
タイミングを機関回転数に適したタイミングにすること
が可能である。
【0012】特に、バルブの開閉タイミングを広い範囲
にわたって変化させるタイプの可変バルブタイミング装
置では、内燃機関の低回転時に適した開閉タイミング
が、前記範囲の中間のタイミングとなる場合がある。こ
の開閉タイミングが得られるときの第1のリングギヤの
位置は、移動範囲の中間位置である。
【0013】この点に対し、第3の発明では、油圧の低
い内燃機関の低回転時には、両リングギヤのスラスト力
が互いに反対方向であることから、開閉タイミング変更
用のリングギヤの移動が同軸上の別体のリングギヤによ
って規制される。この規制により、油圧を用いなくて
も、開閉タイミング変更用のリングギヤが移動範囲の中
間位置に保持され、バルブの中間の開閉タイミングが得
られる。
【0014】
【実施例】以下、第1〜第3の発明を具体化した一実施
例を図1〜図4に従って説明する。
【0015】図1に示すように、内燃機関のシリンダヘ
ッド1には、図の左右方向へ延びる吸気バルブ駆動用の
カムシャフト2が設けられている。カムシャフト2の外
周にはジャーナル部3が形成され、このジャーナル部3
において、カムシャフト2がシリンダヘッド1及びベア
リングキャップ4間で、矢印A方向への回転可能に支承
されている。
【0016】カムシャフト2外周の前記ジャーナル部3
の右側近傍にはフランジ5が一体形成されている。カム
シャフト2において、フランジ5の右側には、ジャーナ
ル部3とほぼ同一の径を有する大径部6と、それよりも
小径の小径部7とが連続して形成されている。
【0017】カムシャフト2の右端部外周にはタイミン
グプーリ8が設けられている。タイミングプーリ8の外
周には多数の歯9が形成されており、ここにタイミング
ベルト11が掛装されている。そして、内燃機関のクラ
ンクシャフト(図示しない)の回転がタイミングベルト
11を介してタイミングプーリ8に伝達される。
【0018】タイミングプーリ8の軸心部分を構成する
ボス12は円筒状をなしている。ボス12は前記大径部
6及び小径部7を包み込み、自身の左端部において、大
径部6外周に相対回動可能に嵌合されている。ボス12
の右側の開放端は略円板状をなすカバー13によって閉
塞されている。
【0019】前記小径部7とボス12との間には、両者
を連結するための第1のリングギヤ14が配設されてい
る。同リングギヤ14は、円環状の本体部15と、それ
よりも小径の円筒状のガイド部16とからなる。本体部
15の内外周にはヘリカルスプライン15a,15bが
それぞれ形成されている。ヘリカルスプライン15b
は、カムシャフト2の軸線Lに対し所定の傾斜角度θ1
をもって交差している。両ヘリカルスプライン15a,
15bに対応して、前記小径部7の外周及びボス12の
内周にそれぞれヘリカルスプライン7a,12bが形成
されている。そして、ヘリカルスプライン15a,7a
が噛み合い、ヘリカルスプライン15b,12bが噛み
合っている。
【0020】従って、クランクシャフトの回転がタイミ
ングベルト11を介してタイミングプーリ8に伝達され
ると、第1のリングギヤ14によって連結されたタイミ
ングプーリ8とカムシャフト2とが一体的に回転され
る。
【0021】また、前記ガイド部16とボス12との間
には第2のリングギヤ17が配設されている。第2のリ
ングギヤ17の外周にはヘリカルスプライン17cが形
成されている。ヘリカルスプライン17cは、軸線Lに
対し所定の傾斜角度θ2をもって交差している。ヘリカ
ルスプライン17cに対応して、前記ボス12内周にヘ
リカルスプライン12cが形成されている。そして、両
ヘリカルスプライン17c,12cが噛み合っている。
なお、ガイド部16の外周及び第2のリングギヤ17の
内周には、ヘリカルスプラインは形成されておらず、両
リングギヤ14,17は相互に連結されていない。
【0022】前記ボス12の内周面において、ヘリカル
スプライン12b,12c間にはストッパ18が円環状
に形成されており、このストッパ18により、第2のリ
ングギヤ17の左方への移動が規制されるようになって
いる。
【0023】前記ボス12とカムシャフト2との間で形
成される環状空間において、第2のリングギヤ17の右
側は第1の油圧室19を構成し、第1のリングギヤ14
の左側は第2の油圧室21を構成している。
【0024】内燃機関の作動油を利用して第1の油圧室
19に油圧を供給するために、カムシャフト2には第1
の油路22が設けられている。第1の油路22の一端
は、ジャーナル部3に形成されたジャーナル溝23に開
口し、他端は小径部7の右端面に開口している。また、
前記作動油を利用して第2の油圧室21に油圧を供給す
るために、カムシャフト2には第2の油路24が設けら
れている。第2の油路24の一端は、ジャーナル部3に
形成されたジャーナル溝25に開口し、他端は大径部6
の右端面に開口している。
【0025】そして、オイルポンプ(図示しない)から
吐出される作動油が、第1の油路22あるいは第2の油
路24を通って第1の油圧室19及び第2の油圧室21
に選択的に供給される。この供給により、第1のリング
ギヤ14及び第2のリングギヤ17に油圧が加えられ
る。オイルポンプはクランクシャフトに駆動連結されて
おり、その吐出圧(油圧)はクランクシャフトの回転数
(機関回転数)に応じて変化する。例えば、内燃機関の
始動時等の低回転時には油圧は低い。
【0026】なお、大径部6の外周には環状溝6aが形
成され、ここにシールリング26が装着されている。シ
ールリング26はボス12に圧接しており、第2の油圧
室21に供給された作動油が大径部6からフランジ5側
へ漏出するのを防止している。
【0027】前述したリングギヤ14,17には、その
回転にともないスラスト力Fa,Fbがそれぞれ発生す
る。各スラスト力Fa,Fbは、各ヘリカルスプライン
15b,17c及びカムシャフト2の回転方向により決
まる軸線L方向の推進力である。これらのスラスト力F
a,Fbに関し、本実施例では、軸線Lに対する各ヘリ
カルスプライン15b,17cの傾斜方向及び傾斜角度
θ1,θ2や、リングギヤ14,17に加えられる油圧
の方向等が、以下の点を考慮して設定されている。
【0028】(1)まず、リターンスプリングを用いず
に第1のリングギヤ14を軸線L方向へ移動させるため
には、同リングギヤ14に加えられる油圧の方向とスラ
スト力Faの方向とが互いに反対方向であることが必要
である。
【0029】(2)始動時等の内燃機関の回転数が低い
ときには作動油の油圧が低い。このため、低回転時に
は、作動油の油圧を用いることなく、吸気バルブの開閉
タイミングを機関回転数に適したタイミングにすること
が望ましい。従って、スラスト力Faの方向は、吸気バ
ルブの開閉タイミングが内燃機関の低回転時に適した開
閉タイミングとなる方向であることが重要である。
【0030】(3)特に、吸気バルブの開閉タイミング
を広い範囲にわたって変化させるタイプの可変バルブタ
イミング装置では、内燃機関の低回転時に適した開閉タ
イミングは、前記範囲の中間のタイミングとなる場合が
ある。この開閉タイミングが得られるときの第1のリン
グギヤの位置は、移動範囲の中間である。この際、油圧
を用いることなく、第1のリングギヤを中間位置に保持
するためには、そのスラスト力Faを受け止める手段が
必要である。そのために、第1のリングギヤのスラスト
力Faと、第2のリングギヤのスラスト力Fbとが互い
に反対方向となるように、ヘリカルスプライン15b,
17cの傾きを設定する必要がある。
【0031】(4)さらに、第1のリングギヤ14を中
間位置にするために、第2のリングギヤ17をストッパ
18に当接する位置に保持するには、スラスト力Fbが
スラスト力Faよりも大きい必要がある。
【0032】上記の(1)〜(4)の点を考慮して、本
実施例では、へリカルスプライン15bを図1において
右下がりに形成し、第1のリングギヤ14に右方へ向か
うスラスト力Faが発生するようにしている。このスラ
スト力Faの方向は、第1の油圧室19側から第1のリ
ングギヤ14に加えられる油圧の方向に対し反対方向で
ある。また、前記方向は、吸気バルブの開閉タイミング
が内燃機関の低回転時に適した開閉タイミングとなる方
向、つまり、第2のリングギヤ17を利用して第1のリ
ングギヤ14を移動範囲の中間位置に保持させるときに
必要な方向である。
【0033】また、本実施例では、へリカルスプライン
17cを図1において右上がりに形成し、第2のリング
ギヤ17に左方へ向かうスラスト力Fbが発生するよう
にしている。このスラスト力Fbの方向は、第1のリン
グギヤ14のスラスト力Faの方向に対し反対方向であ
る。さらに、両スラスト力間にFb>Faが成立するよ
うに、ヘリカルスプライン15b,17cの傾斜角度θ
1,θ2が設定されている。
【0034】次に、前記のように構成された本実施例の
作用及び効果を説明する。図2は、始動時等の内燃機関
の回転数が低いときの可変バルブタイミング装置の状態
を示している。このときには、内燃機関に駆動連結され
たオイルポンプから吐出される作動油の油圧が低い。従
って、第1のリングギヤ14及び第2のリングギヤ17
に加わる油圧がわずかである。また、このときには、第
1のリングギヤ14の回転にともないスラスト力Faが
発生し、第2のリングギヤ17の回転にともないスラス
ト力Fbが発生している。この際、スラスト力Fbがス
ラスト力Faよりも大きいことから、第2のリングギヤ
17はストッパ18に当接して静止している。また、第
1のリングギヤ14は第2のリングギヤ17に当接して
静止している。このようにして、第1のリングギヤ14
が移動範囲のほぼ中間位置に保持され、カムシャフト2
が中間回転位相となり、吸気バルブの開閉タイミングが
低回転時に適した中間のタイミングとなっている。
【0035】内燃機関の始動後において、オイルポンプ
から第1の油路22を通じて第1の油圧室19のみに作
動油が供給されると、可変バルブタイミング装置は、図
2の状態から以下のように作動して図3の状態へ移行す
る。
【0036】このときには、第1の油圧室19側から両
リングギヤ14,17に十分大きな油圧が加わる。この
油圧とスラスト力Fbとにより第2のリングギヤ17が
左方へ移動しようとする。しかし、この移動はストッパ
18により阻止される。従って、第2のリングギヤ17
はストッパ18に当接して静止したままである。
【0037】また、前記油圧がスラスト力Faに打ち勝
つと、ヘリカルスプライン15b,12bの作用によ
り、第1のリングギヤ14は回転しながら左方へ移動す
る。この回転をともなう移動により、タイミングプーリ
8及びカムシャフト2に捩じり力が付与され、両者が相
対回転する。この相対回転は、第1のリングギヤ14が
大径部6に押付けられたところで停止される。このとき
の吸気バルブの開閉タイミングは最も早いタイミングと
なる。
【0038】一方、内燃機関の始動後において、オイル
ポンプから第2の油路24を通じて第2の油圧室21の
みに作動油が供給されると、可変バルブタイミング装置
は、図2の状態から以下のように作動して図4の状態へ
移行する。
【0039】このときには、第2の油圧室21側から第
1のリングギヤ14に十分大きな油圧が加わる。この油
圧と第1のリングギヤ14のスラスト力Faとの合計
が、第2のリングギヤ17のスラスト力Fbに打ち勝つ
と、第1のリングギヤ14は第2のリングギヤ17を押
しながら、ヘリカルスプライン15b,12bの作用に
より回転しながら図の右方へ移動する。この回転をとも
なう移動により、タイミングプーリ8及びカムシャフト
2に捩じり力が付与され、両者が相対回転する。この相
対回転は、第2のリングギヤ17がカバー13に押付け
られたところで停止される。このときの吸気バルブの開
閉タイミングは最も遅いタイミングとなる。
【0040】さらに、図4の状態から、第2の油圧室2
1への作動油の供給が停止されて、第1の油圧室19に
作動油が供給されると、可変バルブタイミング装置は、
以下のように作動して図3の状態へ移行する。
【0041】このときには、第1の油圧室19側から第
1のリングギヤ14及び第2のリングギヤ17に十分大
きな油圧が加わる。そして、その油圧とスラスト力Fb
とにより同リングギヤ17が第1のリングギヤ14を押
しながら、回転をともなって左方へ移動する。第2のリ
ングギヤ17はストッパ18に当接したところで停止さ
れる。それ以降は、第1のリングギヤ14のみが油圧に
より回転しながら左方へ移動する。この回転をともなう
第1のリングギヤ14の移動により、タイミングプーリ
8及びカムシャフト2に捩じり力が付与され、両者が相
対回転する。この相対回転は、第1のリングギヤ14が
カムシャフト2の大径部6に押付けられたところで停止
される。
【0042】前記とは逆に、図3の状態から、第1の油
圧室19への作動油の供給が停止されて、第2の油圧室
21に作動油が供給されると、可変バルブタイミング装
置は、以下のように作動して図4の状態へ移行する。
【0043】このときには、第2の油圧室21側から第
1のリングギヤ14に十分大きな油圧が加わり、その油
圧とスラスト力Faとにより第1のリングギヤ14が回
転しながら右方へ移動する。この回転をともなう移動に
より、タイミングプーリ8及びカムシャフト2に捩じり
力が付与され、両者が相対回転する。前記移動により、
第1のリングギヤ14は、ストッパ18に当接して静止
している第2のリングギヤ17に当接する。その当接
後、第1のリングギヤ14は、第2のリングギヤ17を
押しながらさらに右方へ移動する。この相対回転は、第
2のリングギヤ17がカバー13に押付けられたところ
で停止される。
【0044】このように、本実施例では、第1の油圧室
19側から第1のリングギヤ14に加えられる油圧の方
向と、同リングギヤ14に発生するスラスト力Faの方
向とが互いに反対方向となるように設定している。この
ため、油圧の方向とスラスト力Faの方向とが同一であ
る従来技術では、油圧やスラスト力とは反対方向へリン
グギヤを移動させようとすると、リターンスプリングが
必要となったのに対し、本実施例では、このリターンス
プリングを用いずに第1のリングギヤ14を軸線L方向
へ移動させることができる。従って、第2のリングギヤ
17を用いた中間位相の達成は考慮に入れず、単に第1
のリングギヤ14を移動させて吸気バルブの開閉タイミ
ングを変更するという観点からは、リターンスプリング
が不要となる分だけ、構成部品が少なくなり、装置全体
の軽量化を図ることができる。
【0045】また、前記スラスト力Faの方向は、第1
のリングギヤ14を移動範囲の中間位置に保持して、吸
気バルブの開閉タイミングを低回転時に適した開閉タイ
ミングとするのに必要な方向である。このため、始動時
等の内燃機関の回転数が低く作動油の油圧が低いとき
に、その油圧を用いることなく、吸気バルブの開閉タイ
ミングを機関回転数に適したものにすることができる。
【0046】特に、吸気バルブの開閉タイミングを広い
範囲にわたって変化させるタイプの可変バルブタイミン
グ装置では、内燃機関の低回転時に適した開閉タイミン
グは、その範囲の中間のタイミングとなる場合がある。
この開閉タイミングが得られるときの第1のリングギヤ
14の位置は、移動範囲の中間である。本実施例では、
ヘリカルスプライン15b,17cの傾きの設定によ
り、スラスト力Fa,Fbが互いに反対方向となってい
ることから、第1のリングギヤ14の移動が第2のリン
グギヤ17によって規制される。この規制により、油圧
を用いることなく、第1のリングギヤ14が移動範囲の
中間位置に保持され、吸気バルブを中間の開閉タイミン
グが得られる。
【0047】ところで、油圧を加えない状態で、第1の
リングギヤ14を移動範囲の中間位置に保持する手段と
しては、本実施例の構成以外にも、第1のリングギヤ1
4の左右両側にばねを圧縮状態で配し、両ばねの付勢力
の釣り合う位置で第1のリングギヤ14を保持すること
が考えられる。しかし、このタイプでは、油圧を加えて
吸気バルブの開閉タイミングを変化させるときに、第1
のリングギヤ14の移動方向前側のばねから抗力Fを受
ける。
【0048】ここで、第1のリングギヤ14の中間位置
からの変位量をxとし、ばね定数をkとすると、抗力F
はF=−kxで表される。この式は、変位量xが増大す
るに従い、第1のリングギヤ14のばねから受ける抗力
Fが比例して増加することを意味している。従って、第
1のリングギヤ14の変位量xを大きく設定した場合、
前記抗力Fの増加により、同リングギヤ14が移動しず
らくなる。
【0049】この不具合に対しては、ばね定数kの小さ
なばねを用いることが考えられる。しかし、上記したよ
うに第1のリングギヤ14にはスラスト力Faが発生す
るので、このスラスト力Faに打ち勝つだけの抗力Fを
発生させなければならず、結局、ばね定数kを小さくす
ることができない。
【0050】従って、上述した一対のばねを用いる構成
では、吸気バルブの開閉タイミングの変更に際し、第1
のリングギヤ14を速く移動させることが要求されるタ
イプの可変バルブタイミング装置に適用できない。ま
た、第1のリングギヤ14を大きく移動させて、吸気バ
ルブの開閉タイミングを広い範囲にわたって変更するタ
イプの可変バルブタイミング装置に適用できない。
【0051】一方、本実施例では、前記のようなばねを
用いていないので、それらのばねからの抵抗力を受けな
い。また、移動範囲の中間位置に保持されている第1の
リングギヤ14を後方へ移動させる際には、第2のリン
グギヤ17から抗力Fを受ける可能性があるが、その際
の抗力Fは、第2のリングギヤ17のスラスト力であ
り、第1のリングギヤ14の変位量xによらず一定であ
る。このため、本実施例では、油圧によって第1のリン
グギヤ14を速く、しかも大きな範囲で移動させること
ができ、上記の2つのタイプの可変バルブタイミング装
置に対し適用可能となる。
【0052】なお、本発明は前記実施例の構成に限定さ
れるものではなく、例えば以下のように発明の趣旨から
逸脱しない範囲で任意に変更してもよい。 (1)前記実施例における第1のリングギヤ14の内外
周のヘリカルスプライン15a,15bのいずれか一方
を軸線Lと平行なスプラインに変更してもよい。
【0053】(2)第1〜第3の発明の可変バルブタイ
ミング装置を排気バルブ用カムシャフトに適用してもよ
い。 (3)前記実施例における第1のリングギヤ14の中間
位置とは、同リングギヤ14の移動範囲両端部の真ん中
の位置を示すものではなく、第1のリングギヤ14が移
動する部分の全てを示すもので、各々の内燃機関の要求
特性に沿って特定の位置に設定可能である。
【0054】
【発明の効果】以上詳述したように第1の発明では、プ
ーリに対するカムシャフトの回転位相を変化させてバル
ブの開閉タイミングを変更するようにした内燃機関の可
変バルブタイミング装置において、油圧を加える方向
と、リングギヤのヘリカルスプライン及びカムシャフト
の回転方向により決まるスラスト力の方向とが互いに反
対方向となるように設定している。このため、リターン
スプリングを省略して構成部品を少なくし、装置全体の
軽量化を図ることができる。
【0055】また、第2の発明では、スラスト力の方向
を、バルブの開閉タイミングが、油圧の低い内燃機関の
低回転時に適した開閉タイミングとなる方向に設定して
いる。このため、前記第1の発明の効果に加え、油圧の
低い低回転時に油圧を用いることなくバルブの開閉タイ
ミングを最適にできる。
【0056】第3の発明では、前記リングギヤとは別
に、ヘリカルスプラインを有するリングギヤを同軸上に
配し、両リングギヤのスラスト力が互いに反対向きとな
るようヘリカルスプラインの傾きを設定している。この
ため、前記第2の発明の効果に加え、特に、バルブの開
閉タイミングを広い範囲にわたって変化させるタイプの
可変バルブタイミング装置では、内燃機関の低回転時に
適した開閉タイミングが、前記範囲の中間のタイミング
となる場合があるが、油圧を用いることなく、こ中間の
開閉タイミングを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1〜第3の発明を具体化した一実施例におけ
る可変バルブタイミング装置の断面図である。
【図2】一実施例において、第1のリングギヤを移動範
囲の中間位置に保持したときの可変バルブタイミング装
置の部分断面図である。
【図3】一実施例において、第1のリングギヤを移動範
囲の左端に保持したときの可変バルブタイミング装置の
部分断面図である。
【図4】一実施例において、第1のリングギヤを移動範
囲の右端に保持したときの可変バルブタイミング装置の
部分断面図である。
【符号の説明】
2…カムシャフト、8…タイミングプーリ、14…第1
のリングギヤ、15a,15b…第1のリングギヤのヘ
リカルスプライン、17…第2のリングギヤ、17c…
第2のリングギヤのヘリカルスプライン、Fa,Fb…
スラスト力

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関のバルブ駆動用カムシャフトの
    外周に設けられ、かつ同内燃機関の作動にともない回転
    駆動されるプーリと、 内外周に設けられたスプラインの少なくともいずれか一
    方がヘリカルスプラインであり、前記カムシャフト及び
    前記プーリ間に介在されて、前記スプラインにて両者を
    連結するリングギヤとを備え、油圧を加えることにより
    前記リングギヤを軸方向へ移動させ、プーリの回転をヘ
    リカルスプラインにてカムシャフトに伝達し、プーリに
    対するカムシャフトの回転位相を変化させてバルブの開
    閉タイミングを変更するようにした内燃機関の可変バル
    ブタイミング装置において、 油圧を加える方向と、リングギヤのヘリカルスプライン
    及びカムシャフトの回転方向により決まるスラスト力の
    方向とが互いに反対方向となるように設定したことを特
    徴とする内燃機関の可変バルブタイミング装置。
  2. 【請求項2】 前記スラスト力の方向は、バルブの開閉
    タイミングが、油圧の低い内燃機関の低回転時に適した
    開閉タイミングとなる方向であることを特徴とする請求
    項1に記載の内燃機関の可変バルブタイミング装置。
  3. 【請求項3】 前記リングギヤとは別に、ヘリカルスプ
    ラインを有するリングギヤを同軸上に配し、両リングギ
    ヤのスラスト力が互いに反対向きとなるようヘリカルス
    プラインの傾きを設定したことを特徴とする請求項2に
    記載の内燃機関の可変バルブタイミング装置。
JP26022293A 1993-10-18 1993-10-18 内燃機関の可変バルブタイミング装置 Pending JPH07119418A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006081789A1 (de) * 2005-02-03 2006-08-10 Mahle International Gmbh Verstellbare nockenwelle, insbesondere für verbrennungsmotoren von kraftfahrzeugen, mit einer hydraulischen stelleinrichtung
US7712289B2 (en) 2005-07-26 2010-05-11 Jörg von Seggern Maschinenbau GmbH Method for the gastight packaging of objects using a film material fitting tightly on the objects and a device for the gastight packaging of objects

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