JPH07119167A - 建築構造物およびその施工方法 - Google Patents

建築構造物およびその施工方法

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JPH07119167A
JPH07119167A JP5267621A JP26762193A JPH07119167A JP H07119167 A JPH07119167 A JP H07119167A JP 5267621 A JP5267621 A JP 5267621A JP 26762193 A JP26762193 A JP 26762193A JP H07119167 A JPH07119167 A JP H07119167A
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building structure
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existing
foundation pile
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JP5267621A
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Yutaka Katsura
豊 桂
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Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
Original Assignee
Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 既設の基礎部を取り壊さずに新設の建築構造
物に建て替えて、コストの低減,工期の短縮化を図ると
ともに、廃棄物発生量を低減させることのできる建築構
造物およびその施工方法を提供することを目的とする。 【構成】 既設の建築構造物を、基礎杭4,4,…を残
して取り壊し、基礎杭4,4,…の上部が上方に突出す
るように凹部3を形成した後、凹部3内に既設の建築構
造物を取り壊したときに発生するコンクリート殻5を用
いてコンクリート殻層6を形成することにより基礎部1
を構築し、しかる後に、基礎部1のコンクリート殻層6
上に新設の上部構造部2を構築してビルAを施工するよ
うにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばビル等、建築構
造物を建て替える際に、既設の構造物の取り壊し、およ
び新設の構造物の構築を容易化するのに好適な建築構造
物およびその施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ビル等の建築構造物は、地盤中
に形成された基礎部と、その上方に形成された上部構造
部と、内外装部、設備部等に概略区分される。従来、電
気設備等の設備部においては、その性能が時代遅れとな
ったり、要求仕様に対応できなくなった場合には、設備
部全体を入れ替えることがあった。また、内外装部にお
いても、リフォーム等が行なわれるのが一般的であっ
た。
【0003】一方、建築構造物の上部構造部が経年変化
による老朽化等によってその使用に支障をきたすように
なったとき、あるいは建築構造物の使用用途を変更する
場合などには、建築構造物の一部または全部を取り壊し
た後、要求に対応した建築構造物に建て替えている。こ
のように、建築構造物を建て替えるときには、既設の建
築構造物の上部構造部,基礎部を取り壊した後、そこに
新設の基礎部,上部構造部を構築している。しかし、建
築構造物の基礎部は、特に耐久性を重視して設計、施工
されており、その品質は長期にわたって安定している。
このため、建築構造物を建て替えるときに、まだ十分に
機能を果たすことのできる基礎部を取り壊して、そこに
新規の基礎部を構築することは、いわば「無駄」であ
り、工期の長期化、コストの上昇、さらには基礎部を解
体することによる廃棄物発生量の増加等、様々な問題の
原因となっていた。
【0004】このような問題に対して、既設の基礎部を
取り壊さずに地盤中にそのまま残しておき、その上部に
新設の構造物を構築することが考えられる。しかしなが
ら、基礎部本来の機能を考慮すると、基礎部は上部構造
部からの荷重を受けて支持しなければならないため、既
設の基礎部上に構築する新設の上部構造部から伝達され
る荷重量が、当該基礎部で耐え得る範囲内である必要が
あるのは言うまでもない。しかも、新設の上部構造部か
らの荷重を基礎部の基礎杭に伝達するため、既設の基礎
部の基礎杭あるいはそのフーティングの位置と、その上
部に新設する上部構造部の柱の位置とが一致しなければ
ならない。このような理由によって、実際には、既設の
基礎部をそのまま残してその上に新設の構造物を構築す
るという上記方法は、極く一部にしか適用することがで
きず、通常は、前述したように上部構造部のみならず基
礎部までを取り壊した後に、ここに新設の基礎部,上部
構造部などを構築して、建築構造物を建て替えているの
が現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来の建築構造物およびその施工方法には、以
下のような問題が存在する。まず、前述したように、ま
だ十分に機能を果たすことのできる既設の基礎部を取り
壊した後、ここに新設の基礎部を構築しているため、工
期が長期化し、コストが上昇する原因となっている。し
かも、近年、廃棄物発生量の抑制のためリサイクル・リ
ユースの活発化が叫ばれている中で、既設の建築構造物
を取り壊すことにより発生するコンクリート殻(がら)
等の廃棄物の処理方法が課題となっている。また、既設
の基礎部を取り壊す際に騒音,振動が発生し、近隣環境
へ悪影響を及ぼすことがある。さらに既設の基礎部を取
り壊すことにより、周囲地盤のゆるみ,沈下,あるいは
変形を招くことがあり、これらに対応するにも多大なコ
スト、工期を要するという問題がある。本発明は、以上
のような点を考慮してなされたもので、既設の基礎部を
取り壊さずに新設の建築構造物に建て替えて、コストの
低減,工期の短縮化を図るとともに、廃棄物発生量を低
減させることのできる建築構造物およびその施工方法を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
既設の建築構造物に替えて構築された新設の建築構造物
であって、該新設の建築構造物が、基礎部と、該基礎部
上に構築された新設の上部構造部とから構成され、前記
基礎部が、地盤中に形成された凹部内に突出した、前記
既設の建築構造物の基礎杭と、塊状の固体からなる粒状
体が前記凹部内に敷設されかつ締固められてなる略一定
厚さの粒状体層とから構成されていることを特徴として
いる。
【0007】請求項2に係る発明は、請求項1記載の建
築構造物において、前記新設の建築構造物の前記基礎部
の前記粒状体層内に突出した前記基礎杭に、該基礎杭の
側面に突出するツバ部が設けられていることを特徴とし
ている。
【0008】請求項3に係る発明は、請求項1または2
記載の建築構造物において、前記新設の建築構造物の前
記基礎部の前記粒状体層の前記基礎杭近傍における厚さ
が、該粒状体層の他の部分の厚さよりも大とされている
ことを特徴としている。
【0009】請求項4に係る発明は、既設の建築構造物
に替えて、新設の建築構造物を構築するための施工方法
であって、既設の建築構造物を、少なくとも基礎杭を残
して取り壊すとともに、該基礎杭の上部が上方に突出す
るように地盤を掘削して凹部を形成した後、該凹部内に
塊状の固体からなる粒状体を敷設して、これを締固め手
段により上方から締固めて粒状体層を形成して基礎部を
構築して、しかる後に、該基礎部の前記粒状体層上に新
設の上部構造部を構築することを特徴としている。
【0010】請求項5に係る発明は、請求項4記載の建
築構造物の施工方法において、前記基礎部の前記粒状体
に、前記既設の建築構造物を取り壊したときに発生する
コンクリート殻を用いることを特徴としている。
【0011】
【作用】請求項1記載の発明では、新設の建築構造物
を、既設の建築構造物の基礎杭と、粒状体が締固められ
てなる略一定厚さの粒状体層とから基礎部を形成し、こ
の基礎部の粒状体層上に新設の上部構造部を構築する構
成とした。これにより、上部構造部の荷重が粒状体層を
介して既設の基礎杭に伝達されるので、既設の基礎杭と
新設の上部構造部の柱との位置が一致していなくても、
新設の上部構造部を既設の基礎杭で支持することができ
る。このとき、粒状体層から基礎杭への荷重の伝達は、
粒状体層と基礎杭の外面との摩擦力によって行なわれ
る。
【0012】請求項2記載の発明では、新設の建築構造
物の基礎部の基礎杭に、基礎杭の側面に突出するツバ部
を設けたので、粒状体層から基礎杭への荷重の伝達がツ
バ部によっても行なわれ、これにより粒状体層から基礎
杭への荷重の伝達量が一層増大する。
【0013】請求項3記載の発明では、新設の建築構造
物の基礎部の粒状体層の基礎杭近傍における厚さを、該
粒状体層の他の部分の厚さよりも大としたので、粒状体
層と基礎杭との接触面積が増大し、これによって、粒状
体層から基礎杭への荷重の伝達量が一層増大する。
【0014】請求項4記載の発明では、既設の建築構造
物を、少なくとも基礎杭を残して取り壊し、該基礎杭の
上部が上方に突出するように地盤を掘削して凹部を形成
した後、該凹部内に塊状の固体からなる粒状体を敷設し
て、これを締固め手段により上方から締固めて粒状体層
を形成することにより基礎部を構築し、しかる後に、該
基礎部の粒状体層上に新設の上部構造部を構築するよう
にした。このように、既設の基礎杭を取り壊さずに、こ
れをそのまま新設の建築構造物の上部構造部の基礎部と
なすようにしたので、既設の基礎杭の取り壊し、新設の
基礎の構築の手間が省ける。
【0015】請求項5記載の発明では、新設の建築構造
物の基礎部の粒状体に、既設の建築構造物を取り壊した
ときに発生するコンクリート殻を用いるようにしたの
で、廃棄物の発生量が減少する。
【0016】
【実施例】以下、本発明を図面に示す第一ないし第三実
施例を参照して説明する。 「第一実施例」図1は、本発明に係る建築構造物および
その施工方法を適用し、既設の建築構造物に替えて構築
した新設の建築構造物の基礎部分を示すものである。図
1に示すように、ビル(新設の建築構造物)Aは、地盤
G中に形成された基礎部1と、基礎部1上に構築された
上部構造部2とを主要構成としている。
【0017】基礎部1は、地盤Gに形成された略一定深
さの凹部3と、凹部3の底面から上方に突出するように
配設された基礎杭4,4,…と、多数の塊状のコンクリ
ート殻(粒状体)5が凹部3内に略一定厚さで敷設され
かつ締固められて形成されたコンクリート殻層(粒状体
層)6とから構成されている。基礎杭4は、ビルAを構
築する前に、当該敷地に構築されていた既設の建築構造
物(図示なし)の基礎杭4そのものである。また、コン
クリート殻5には、既設の建築構造物(図示なし)を取
り壊したときに発生したコンクリートの塊状の破片が用
いられている。
【0018】前記上部構造部2の下端部には、大梁7が
配設され、この大梁7上に鉛直方向に延在する複数の柱
8が所定間隔で設けられている。柱8,8,…のうち、
基礎杭4a,4a,…と同軸上に配置された柱8a,8
a,…は、基礎杭4a,4a,…の上端にコンクリート
等で接続されて一体化されている。
【0019】このような構成からなるビルAでは、上部
構造部2の柱8,8,…および大梁7からの荷重が、コ
ンクリート殻層6を介して基礎杭4,4,…に伝達され
る。このときコンクリート殻層6から各基礎杭4への荷
重の伝達は、コンクリート殻層6と各基礎杭4との間に
生じる摩擦力により行なわれる。また、同軸上に配置さ
れた基礎杭4a,4a,…と柱8a,8a,…とが一体
化されているので、これらに引張力が作用してもこれに
抗することができるようになっている。
【0020】次に、上記のような構成からなるビルAの
施工方法について説明する。まず、既設の建築構造物
(図示なし)を、基礎杭4,4,…を残して取り壊す。
このとき発生するコンクリート殻5は、前述したように
コンクリート殻層6を形成するために用いるので、廃棄
せずに保管しておく。ついで、地盤G面を掘削して、凹
部3を、基礎杭4,4,…の上部のみが突出するように
して形成する。そして、凹部3内に前記保管しておいた
多数のコンクリート殻5を敷設し、これを図示しない振
動ローラ等(締固め手段)によって転圧して締固め、こ
れを繰り返して略一定厚さとなるようにする。すると、
コンクリート殻5は未水和のセメント分を含有している
ため、コンクリート殻5同士が結合してコンクリート殻
層6が形成される。なお、このとき、コンクリート殻層
6の支持力を大きくするため、使用するコンクリート殻
5の粒度を調整するのが好ましい。このようにして基礎
部1を構築した後、このコンクリート殻層6上に大梁
7、柱8,8,…等を組み立てて上部構造部2を構築す
る。このとき、基礎杭4a,4a,…と同軸上に配置す
る柱8a,8a,…を、コンクリート等によって基礎杭
4a,4a,…に接合して一体化する。以上のようにし
て、既設の建築構造物(図示なし)に替えて新設のビル
Aを構築する建て替え作業が完了する。
【0021】上述したように、既設の建築構造物(図示
なし)に替えて構築したビルAは、凹部3内に上部を突
出させた既設の基礎杭4,4,…と、凹部3内に多数の
コンクリート殻5が敷設されかつ締固められて形成され
たコンクリート殻層6とから基礎部1が構成され、この
基礎部1のコンクリート殻層6上に上部構造部2が構築
された構成とされている。これにより、上部構造部2の
荷重がコンクリート殻層6を介して既設の基礎杭4,
4,…に伝達されるので、既設の基礎杭4,4,…と新
設の上部構造部の柱8,8,…の位置が一致していなく
ても、新設の上部構造部2を既設の基礎杭4,4,…で
支持することができる。したがって、既設の建築構造物
(図示なし)を全て取り壊すことなく新設のビルAに建
て替えることが可能となる。また、コンクリート殻層6
は排水性が高いため、地下水圧による基礎部1の浮き上
がり等を防止することができる。しかも、コンクリート
殻層6は、それぞれが高い強度を有したコンクリート殻
5が締固められて、コンクリート殻5同士が結合して一
体化された構成とされているので、高い支持力を有して
いる。また、上述したビルAの施工方法では、既設の建
築構造物(図示なし)を、基礎杭4,4,…を残して取
り壊し、基礎杭4,4,…の上部が上方に突出するよう
に凹部3を形成した後、凹部3内にコンクリート殻層6
を形成して基礎部1を構築し、しかる後に、コンクリー
ト殻層6上に新設の上部構造部2を構築するようにし
た。このように、既設の基礎杭4,4,…を取り壊さず
に、これをそのまま新設のビルAの上部構造部2の基礎
部1となすようにしたので、既設の基礎杭4,4,…の
取り壊し、新設の基礎部1の構築の手間が省ける。これ
により、工期の短縮化、コストの大幅な低減を図ること
ができる。しかも、基礎杭4,4,…を解体しないの
で、コンクリート殻5の発生量の低減、取り壊し作業に
伴う騒音・振動の低減、基礎杭4,4,…の撤去による
周囲地盤のゆるみ・沈下・変形などの悪影響の発生がな
くなる等の効果を奏し、この結果、より一層、工期の短
縮化、コストの低減を図ることができる。しかも、コン
クリート殻層6を構成する粒状体として、既設の建築構
造物(図示なし)を取り壊したときに発生するコンクリ
ート殻5が用いられているので、コンクリート殻5のリ
サイクルを図って、廃棄物の発生量を減少させることが
できる。この結果、廃棄物の処理コストの低減を図るこ
とができる。
【0022】「第二実施例」次に、本発明に係る建築構
造物およびその施工方法を適用して、前記第一実施例に
示したビルAの上部構造部2から基礎杭4への荷重の伝
達をより確実なものとする場合の一実施例を、図2を参
照して説明する。図2は、既設の建築構造物(図示な
し)に替えて構築したビル(新設の建築構造物)Bの基
礎部11の一部を示すものである。ここでは、図1に示
した第一実施例のビルAと異なる部分についてのみ説明
し、共通する部分については同一符号を付してその説明
を省略する。図2に示すように、ビルBは、ビルA(図
1参照)と同様に、凹部3内に突出する既設の建築構造
物(図示なし)の基礎杭4と、凹部3内に形成されたコ
ンクリート殻層6とからなる基礎部11上に、上部構造
部2が構築された構成とされている。基礎杭4のコンク
リート殻層6内に位置する部分には、基礎杭4の側面に
突出したカラー部材(ツバ部)12,12が取り付けら
れている。カラー部材12は、環状で内側に基礎杭4を
挿通させるようになっており、かつ外周面12aが傾斜
面を形成したツバ状の形状とされている。すなわち、図
1に示した第一実施例との差異は、基礎杭4にカラー部
材12が取り付けられた点のみである。このようなビル
Bの施工方法は、前述したビルAの施工方法と同様であ
るが、凹部3を掘削して形成した後、コンクリート殻層
6を形成する前に、凹部3内に突出した基礎杭4にカラ
ー部材12を取り付けて固定する点のみが異なる。
【0023】上述したビルBでは、基礎部11の基礎杭
4に、基礎杭4の側面に突出するカラー部材12を設け
たので、コンクリート殻層6から基礎杭4への上部構造
部2の荷重の伝達が、コンクリート殻層6と基礎杭4と
の間の摩擦力に加えて、カラー部材12によっても行な
われるため、コンクリート殻層6から基礎杭4への荷重
の伝達量を増大させることができる。この結果、上部構
造部2から基礎杭4への荷重の伝達をより確実なものと
することができる。
【0024】なお、上記第二実施例において、カラー部
材12の形状,取り付け個数などについては限定するも
のではない。
【0025】「第三実施例」次に、本発明に係る建築構
造物およびその施工方法を適用して、前記第一実施例に
示したビルAの上部構造部2から基礎杭4への荷重の伝
達をより確実なものとする場合の別の位置実施例を、図
3を参照して説明する。図3は、既設の建築構造物(図
示なし)に替えて構築したビル(新設の建築構造物)C
の基礎部21の一部を示すものである。ここでは、図1
に示した第一実施例のビルAと異なる部分についてのみ
説明し、共通する部分については同一符号を付してその
説明を省略する。図3に示すように、ビルCは、ビルA
(図1参照)と同様に、凹部3内に突出する既設の建築
構造物(図示なし)の基礎杭4と、凹部3内に形成され
たコンクリート殻層(粒状体層)22とからなる基礎部
21上に、上部構造部2が構築された構成とされてい
る。コンクリート殻層22は、基礎杭4に近づくにつれ
てその深さが徐々に深くなるように形成されており、す
なわち基礎杭4近傍における厚さが、コンクリート殻層
22の他の部分の厚さよりも大とされている。図1に示
した第一実施例との差異は、この点のみであり、ビルC
の施工方法も、ビルAの施工方法と同様である。
【0026】上述したビルCでは、コンクリート殻層2
2の基礎杭4近傍における厚さが、コンクリート殻層2
2の他の部分の厚さよりも大とされ、コンクリート殻層
22と基礎杭4との接触面積が増大するので、コンクリ
ート殻層22から基礎杭4への荷重の伝達量を増大させ
ることができる。この結果、上部構造部2から基礎杭4
への荷重の伝達をより確実なものとすることができる。
【0027】なお、上記第一ないし第三実施例におい
て、図1に示したビルA,B,Cの上部構造部2の面積
と、基礎杭4,4,…が配置された範囲の面積とが略同
一とされているが、これに限るものではなく、上部構造
部2の面積が基礎杭4,4,…の配置された範囲の面積
より大きくても小さくても、この上部構造部2をコンク
リート殻層6,22上に構築するのであれば、上記と同
様の効果を得ることができる。また、コンクリート殻層
6,22に、既設の建築構造物を取り壊したときに発生
したコンクリート殻5を用いる構成としたが、塊状の固
体からなる粒状体であって、上部構造部2の荷重を受け
ることができるのであれば、他のものを用いてもよい。
もちろん、他の場所に構築されていた建築構造物のコン
クリート殻を用いても良いのは言うまでもない。さらに
は、既設の建築構造物を取り壊すに際し、基礎杭4,
4,…のみを残して取り壊すようにしたが、これに加え
て、例えばフーティング,地中梁等の基礎部を構成する
他の部材を残しておくようにしてもよい。加えて、上部
構造物2から基礎杭4への荷重の伝達を確実なものとす
るため、第二実施例ではカラー部材12を基礎杭4に取
り付け、第三実施例ではコンクリート殻層22の厚さを
基礎杭4の近傍で厚くする構成としたが、これら両方を
備える構成としてもよく、これにより、その効果を一層
多大なものとすることができるのは言うまでもない。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る建
築構造物によれば、新設の建築構造物を、既設の建築構
造物の基礎杭と、粒状体が締固められてなる略一定厚さ
の粒状体層とからなる基礎部を構成し、この基礎部の粒
状体層上に新設の上部構造部を構築する構成とした。こ
れにより、上部構造部の荷重が粒状体層を介して既設の
基礎杭に伝達されるので、既設の基礎杭と新設の上部構
造部の柱との位置が一致していなくても、新設の上部構
造部を既設の基礎杭で支持することができる。したがっ
て、既設の建築構造物を全て取り壊すことなく新設の建
築構造物に建て替えることが可能となる。また、粒状体
層は排水性が高いため、地盤からの地下水圧による基礎
部の浮き上がり等を防止することができる。
【0029】請求項2に係る建築構造物によれば、新設
の建築構造物の基礎部の基礎杭に、基礎杭の側面に突出
するツバ部を設けたので、粒状体層から基礎杭への荷重
の伝達がツバ部によっても行なわれ、これにより粒状体
層から基礎杭への荷重の伝達量が一層増大する。この結
果、上部構造部から基礎杭への荷重の伝達をより確実な
ものとすることができる。
【0030】請求項3に係る建築構造物によれば、新設
の建築構造物の基礎部の粒状体層の基礎杭近傍における
厚さを、該粒状体層の他の部分の厚さよりも大としたの
で、粒状体層と基礎杭との接触面積が増大し、これによ
って、粒状体層から基礎杭への荷重の伝達量が一層増大
する。この結果、上部構造部から基礎杭への荷重の伝達
をより確実なものとすることができる。
【0031】請求項4に係る建築構造物の施工方法によ
れば、既設の建築構造物を少なくとも基礎杭を残して取
り壊した後、粒状体層を形成して基礎部を構築し、しか
る後に、該粒状体層上に新設の上部構造部を構築するよ
うにした。このように、既設の基礎杭を取り壊さずに、
これをそのまま新設の建築構造物の上部構造部の基礎部
となすようにしたので、既設の基礎杭の取り壊し、新設
の基礎の構築の手間が省ける。これにより、工期の短縮
化、コストの大幅な低減を図ることができる。しかも、
既設の建築構造物の少なくとも基礎杭を解体しないの
で、コンクリート殻の発生量の低減、取り壊し作業に伴
う騒音・振動の低減、基礎杭の撤去による周囲地盤のゆ
るみ・沈下・変形などの悪影響の発生がなくなる等の効
果を奏し、この結果、より一層、工期の短縮化、コスト
の低減を図ることができる。
【0032】請求項5に係る建築構造物の施工方法によ
れば、新設の建築構造物の基礎部の粒状体層を構成する
粒状体に、既設の建築構造物を取り壊したときに発生す
るコンクリート殻を用いるようにしたので、コンクリー
ト殻のリサイクル化を図って、廃棄物の発生量を減少さ
せることができる。この結果、廃棄物の処理コストの低
減を図ることができる。しかも、それぞれが高い強度を
有したコンクリート殻を締固めることにより、コンクリ
ート殻に含有する未水和のセメント分によってコンクリ
ート殻同士が結合して一体化するので、コンクリート殻
層が高い支持力を有したものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る建築構造物およびその施工方法を
適用して、既設の建築構造物に替えて構築した新設の建
築構造物の基礎部分を示す正断面図である。
【図2】同基礎部分の他の一例を示す正断面図である。
【図3】同基礎部分の他の一例を示す正断面図である。
【符号の説明】
1,11,21 基礎部 2 上部構造部 3 凹部 4 基礎杭 5 コンクリート殻(粒状体) 6,21 コンクリート殻層(粒状体層) 12 カラー部材(ツバ部) A,B,C ビル(新設の建築構造物) G 地盤

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 既設の建築構造物に替えて構築された新
    設の建築構造物であって、該新設の建築構造物が、基礎
    部と、該基礎部上に構築された新設の上部構造部とから
    構成され、前記基礎部が、地盤中に形成された凹部内に
    突出した、前記既設の建築構造物の基礎杭と、塊状の固
    体からなる粒状体が前記凹部内に敷設されかつ締固めら
    れてなる略一定厚さの粒状体層とから構成されているこ
    とを特徴とする建築構造物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の建築構造物において、前
    記新設の建築構造物の前記基礎部の前記粒状体層内に突
    出した前記基礎杭に、該基礎杭の側面に突出するツバ部
    が設けられていることを特徴とする建築構造物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の建築構造物にお
    いて、前記新設の建築構造物の前記基礎部の前記粒状体
    層の前記基礎杭近傍における厚さが、該粒状体層の他の
    部分の厚さよりも大とされていることを特徴とする建築
    構造物。
  4. 【請求項4】 既設の建築構造物に替えて、新設の建築
    構造物を構築するための施工方法であって、既設の建築
    構造物を、少なくとも基礎杭を残して取り壊すととも
    に、該基礎杭の上部が上方に突出するように地盤を掘削
    して凹部を形成した後、該凹部内に塊状の固体からなる
    粒状体を敷設して、これを締固め手段により上方から締
    固めて粒状体層を形成して基礎部を構築し、しかる後
    に、該基礎部の前記粒状体層上に新設の上部構造部を構
    築することを特徴とする建築構造物の施工方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の建築構造物の施工方法に
    おいて、前記基礎部の前記粒状体に、前記既設の建築構
    造物を取り壊したときに発生するコンクリート殻を用い
    ることを特徴とする建築構造物の施工方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11336335A (ja) * 1998-05-26 1999-12-07 Takenaka Komuten Co Ltd 建造物の建て替え方法
JP2002047668A (ja) * 2000-08-01 2002-02-15 Takenaka Komuten Co Ltd 建て替え時に既存杭を再利用する工法及び既存杭を再利用した建物構造
JP2013044165A (ja) * 2011-08-24 2013-03-04 Japan Pile Corp 杭頭部地盤反力の低下抑制方法

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