JPH07119083B2 - 複合薄膜及びその製造方法 - Google Patents

複合薄膜及びその製造方法

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JPH07119083B2
JPH07119083B2 JP1100236A JP10023689A JPH07119083B2 JP H07119083 B2 JPH07119083 B2 JP H07119083B2 JP 1100236 A JP1100236 A JP 1100236A JP 10023689 A JP10023689 A JP 10023689A JP H07119083 B2 JPH07119083 B2 JP H07119083B2
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修司 岡田
宏雄 松田
八郎 中西
政雄 加藤
孝司 阿部
伊藤  博
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工業技術院長
三井東圧化学株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は複合薄膜、その製造方法及びそれよりなる電子
光学素子薄膜に関する。さらに詳しくは有機低分子また
は結晶性高分子薄膜と有機高分子非晶質薄膜とを交互に
積層してなる複合薄膜、その製造方法及びそれよりなる
電子光学素子薄膜に関する。
(従来技術とその問題点) 近年、電子光学材料の分野において有機材料の多機能化
が注目を集めており、各種用途への応用が検討されてい
る。その際、その材料の機能を十分に発揮させるにはそ
の材料を構成する有機分子の配列状態を制御することが
不可欠となる。すなわち、有機化合物はその分子構造上
一般的に光学的に異方性であるので、電子光学材料とし
て使用する場合、構成有機化合物同士の空間的配置を一
定の秩序のもとに制御しなければならない。従って、材
料そのものの構造を分子あるいは原子レベルで制御する
には、薄膜材料であることがその製造上好ましく、さら
には薄膜で十分機能を発揮することができるので、各種
の薄膜化技術が検討されている。薄膜化技術としては、
種々のものがあるが、分子の配列制御か可能なものとし
て、例えば、ラングミュアー・ブロジェット法(以下、
LB法と略す。)、分子線ビームエピタキシー、化学的蒸
気沈着法、スパッタリング、熱蒸着法等の蒸着法、液相
または気相での結晶成長法、粘土化合物の層間、包接化
合物等を使用したインターカレーション法、光、電場、
磁場、熱、遠心力、機械的力等の外部場を利用した配列
制御方法(具体的にはポーリング法、スピンコート法、
ラビング法)等が挙げられる。
一方、有機化合物は無機化合物と異なり共有結合により
分子が構成されており、分子内の結合力は強いのである
が分子間に作用する力は分子内に比べると非常に小さ
い。従って、その分子間力により秩序ある構造、具体的
には結晶等を合成しても、欠陥の非常に少ない結晶を作
ることは困難であり、電子光学材料として十分なものに
なっていない。
そのような理由により、前記した各種の分子配列制御方
法が開発され、各種用途への応用が検討されているので
あるが、十分実用に耐え得るものにはなっていない。
その原因として種々の要因が考えられるが、比較的結晶
性のよい有機化合物を使用して薄膜を作製しても、ま
ず、それら有機化合物の微結晶が生成してその微結晶が
積み重なった形で薄膜が形成されるので、得られる薄膜
には多数の欠陥が存在し、材料として十分なものとはな
っていないことがある。
一例として、LB法についてみると、この方法は分子内に
疎水性基と親水性基を有する化合物、例えば、セッケン
を非常に希薄な濃度で水溶液に溶解したとき、その分子
は疎水性基を空気中に親水性基を水中に向けて単分子膜
を形成する性質を利用して、分子配列を行う方法であ
る。すなわち、そのように配列した水面上の単分子膜を
一方向より力を加えながら、一方他端に基板を水面上に
直角に配置して、それを上下することにより、該基板上
に単分子膜を累積することができ、結果として基板上に
分子配列制御された薄膜を形成することが可能となる。
このLB法は有機化合物の有する目的に応じて容易に分子
設計できるという特徴を如何なく発揮できる方法として
非常に有利なものであり、有機化合物の分子配列制御法
として非常に有効なものとなっている。
しかし、そのような方法をもってしても、比較的結晶性
のよい化合物においては、前述した如くまず微結晶が水
面上に生成してしまい、該膜を水面上の一方より圧縮し
て基板上に累積しても、上記の微結晶の積み重なった膜
となってしまい、微結晶間では空隙、重なり等の欠陥が
存在することとなり、均質な薄膜とはならない。
一方、非晶質の化合物においては水面上で形成される単
分子膜中での分子配列制御が不十分になるとともに基板
上に累積する際、膜の強度が十分でなく累積が困難にな
る等の問題点がある。
そのような問題点を解決するため、例えば水面上に形成
した単分子膜を加熱して一度融解固化させた後、基板上
に累積する方法、単分子膜に高周波、あるいは超音波を
作用させて分子の再配列を行った後、累積する方法、磁
場下で単分子膜の形成及びそれに引続く累積を行う方
法、さらには構造を異にする2種の低分子化合物を交互
に積層する方法等、種々の方法が考案されているが、未
だ十分な結果は得られていない。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは上記した点に鑑み、欠陥のない有機低分子
または高分子薄膜を開発するため鋭意検討した結果、LB
法により有機低分子または結晶性高分子薄膜と有機高分
子非晶質薄膜とを、交互に累積してなる複合薄膜は非常
に欠陥の少ない薄膜なっており、さらには上記した方法
で製造される複合薄膜は光学的特性の優れた電子光学素
子薄膜となることを見出し、この知見に基づき本発明に
至った。
すなわち、本発明は、有機低分子もしくは結晶性高分子
単分子膜の少なくとも1層以上と有機高分子非晶質単分
子膜の少なくとも1層以上を、交互に累積してなること
を特徴とする複合薄膜と、有機低分子もしくは結晶性高
分子単分子膜の少なくとも1層以上と有機高分子非晶質
単分子膜の少なくとも1層以上を、ラングミュアー・ブ
ロジェット法により、交互に累積することを特徴とする
複合薄膜の製造方法を提供するものである。
本発明の複合薄膜を製造する方法として、LB法、蒸着
法、結晶成長法等種々のものを適用できるが、LB法が特
に好適である。
従って、以下LB法に方法を絞って本発明を詳細に説明し
て行く。
本発明で使用されるのは有機低分子もしくは結晶性高分
子化合物であるが、非晶質の化合物で前述の如く分子配
列が揃わない場合等があり、このような場合にも適用で
きる。このような有機化合物は有機低分子化合物及び該
化合物に重合能を有する置換基を導入した化合物さらに
は該化合物を重合してなる高分子化合物であり、特に限
定はないが、例えばジアセチレン誘導体、芳香族化合物
等が挙げられる。このような有機化合物には化合物骨格
への炭化水素基の置換による疎水性基の導入、カルボキ
シル基等の置換による親水性基の導入により化合物に極
性を付与しておくことが好ましい。
ジアセチレン誘導体は下記一般式(I)で表わされる化
合物である。式中R1は炭素数8〜20の長鎖アルキル基、
長鎖アルキルアリール基等で、 R2は単結合、もしくは炭素数1〜10のアルキル基、アル
キルアリール基であり、Xはカルボキシル基またはヒド
ロキシル基である。このようなジアセチレン誘導体とし
て、例えばヘプタコサ−10,12−ジイン酸、ペンタトリ
アコンタ−12,14−ジイン酸、ペンタコサ−2,4−ジイン
酸、トリデカ−2,4−ジイン酸、トリコサ−12,14−ジイ
ン酸、ドコサ−10,12−ジイン酸、トリコサ−10,12−ジ
イン酸、ペンタコサ−10,12−ジイン酸、エイコサ−5,6
−ジイン酸、トリコサ−4,6−ジイン酸、ヘネイコサ−
2,4−ジイン酸、ヘプタデカ−2,4−ジイン酸、トリコサ
−10,12−ジイン−1−オール等が挙げられる。芳香族
化合物として芳香環に電子吸引性基または/及び電子供
与基を導入して分極誘起された芳香族化合物、縮合多環
芳香族化合物、複合環含有化合等がある。
分極誘起された芳香族化合物としては、例えば、ニトロ
ベンゼン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、アニリ
ン、ニトロアニリン、ジニトロアニリン、N−(N′,
N′−ジメチルアミノ−ニトロ)フェニルアセトアミ
ド、メチルニトロアニリン等のベンゼン誘導体、ニトロ
スチルベン、アミノスチルベン、ジメチルアミノスチル
ベン、クロロジメチルアミノスチルベン、ニトロジメチ
ルアミノスチルベン、ジメトキシニトロスチルベン、ジ
メチルアミノ−N−メチルスチルバゾリウム塩等のスチ
ルベン誘導体、メチルニトロピリジン−N−オキシド等
の複素環N−オキシド化合物、メチルチオクロロカルコ
ン等のカルコン誘導体、メトキシニトロジアリルアセチ
レン等のトラン誘導体、ジシアノビニルジメチルアニリ
ン、ジシアノビニルメトキシベンゼン等のジシアノ誘導
体、N,N−エチルヒドロキシエチルアミノニトロアゾベ
ンゼン、エトキシアゾベンゼンスルホアミド、ヒドロキ
シカルボニル−N,N−ジエチルアゾベンゼン等のアゾベ
ンゼン誘導体、N,N−メチルブチルアミノメチルフェニ
ル−N′,N′−ジフェニルヒドラゾン、クロロフェニル
−N−ニトロフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導
体、シアノビフェニル等のビフェニル誘導体等が挙げら
れる。
縮合多環芳香族化合物としては、例えば、ペンタレン、
インデン、ナフタレン、アズレン、ヘプタレン、ビフェ
ニレン、インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フ
ェナレン、フェナンスレン、アントラセン、フルオラン
セン、アセフェナンスリレン、アセアンスリレン、トリ
フェレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ピセン、ペ
リレン、ペンタフェン、ペンタセン、テトラフェニレ
ン、ヘキサフェン、トリナフチレン、ヘプタフェン、ヘ
プタセン、ピラスレン、ジベンゾフェナンスレン等が挙
げられる。上記した化合物の芳香環にアルキル基、アル
ケニル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ
カルボニル基、スルホン酸基、ヒドロキシ基、アルコキ
シ基、アルコキシカルボニル基、等の置換基が一種以上
または一つ以上置換されたものも含む。
複素環含有化合物として多種のものが適用できるが、特
に光の吸収能のよい染料の誘導体がよい。具体的には、
例えば、シアニン、メロシアニン、フルキド、サリチリ
デンアニリン、スクアリリウム、トリフェノジチアジ
ン、フタロシアニン及びその金属錯体、ナフトフタロシ
アニン及びその金属錯体、クロロフィル、ポリフィリ
ン、ビピリジン金属錯体等が挙げられる。
さらには染料以外にも、例えば、ニトロ−N−プロリノ
ールピリジン、α−メチルベンジルアミノニトロピリジ
ン等のピリジン誘導体、N−ニトロピリミジルピペラジ
ン等のピリミジン誘導体、ニトロフェニルアゾール等の
アゾール誘導体、N−(ニトロアセトアミド)フェニル
ピロリジン等のピロリジン誘導体、ビス(エチレンジチ
オ)テトラチオフルバレントリアイオドアイド等の含イ
オウ複素環化合物などのように複素環に前記した置換基
の導入された化合物も使用できる。
次に、本発明においては、例えばLB法により有機単分子
膜の積層膜を形成するので、上記した化合物が水面上で
単分子膜を形成することが不可欠になる。そこで、分子
中に疎水性基または/及び親水性基を導入するのが、単
分子膜形成上好ましい。具体的には疎水性基の導入で
は、炭素数3以上20以下の直鎖アルキル基を直接環上
に、もしくはアミノ基、エーテル基、エステル基、アミ
ド基等を介して置換して導入すればよい。一方、親水性
基はカルボキシル基、水酸基、アミド基、スルホンアミ
ド基等の親水性基を直接環上に、もしくは直鎖状のアル
キル基を介して導入すればよい。
さらには、上記で導入したアルキル基の他端にアクリル
アミド基、メタアクリルアミド基、アクリロイルオキシ
基、メタアクリロイルオキシ基等の重合能を有する置換
基を導入して、重合性を付与してもよいし、さらに重合
させて高分子として薄膜形成に供してもよい。
上記の重合性基を導入する具体的な方法として、例えば
アルキル基の他端にハロゲン基を導入しておき、それと
アクリルアミドまたはメタクリルアミド(以下、このよ
うな場合(メタ)アクリルアミドと記す)とを反応させ
る方法、他端にアミノ基を導入しておき、それと(メ
タ)アクリル酸クロライドとを反応させる方法、他端に
水酸基を導入しておき、それと(メタ)アクリル酸クロ
ライドとを反応させる方法、または(メタ)アクリル酸
と反応させる方法がある。重合させる方法は例えば通常
のラジカル重合により行えばよい。
上記した方法に従い疎水性基もしくは親水性基を導入し
た化合物を下記に例示する。
例えば、アゾベンゼンでは メロシアニンでは ヘミシアニンでは スチルベンでは ビフェニルでは ニトロアニリンでは 及び重合体などが挙げられる。
一方、有機高分子非晶質薄膜を形成する有機高分子化合
物といて、疎水性と親水性の釣合のとれたものがよく、
具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエス
テルの重合体、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミ
ドの重合体、フタル酸ジアルキルエステルの重合体、ポ
リアミノ酸、スチレン−無水マレイン酸共重合体の部分
加水分解物、ポリアミド酸長鎖アルキル誘導体単分子膜
などが挙げられる。より具体的には(メタ)アクリル酸
アルキルエステルの重合体では、例えば、ポリ(メタ)
アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポ
リ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル
酸ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸オクチル、ポリ(メ
タ)アクリル酸ドデシル、ポリ(メタ)アクリル酸オク
タデシルなどが挙げられる。N−アルキル置換(メタ)
アクリルアミドの重合体では、例えば、ポリN−ブチル
(メタ)アクリルアミド、ポリN−ヘキシル(メタ)ア
クリルアミド、ポリN−オクチル(メタ)アクリルアミ
ド、ポリN−デシル(メタ)アクリルアミド、ポリN−
ドデシル(メタ)アクリルアミド、ポリN−テトラデシ
ル(メタ)アクリルアミド、ポリN−ヘキサデシル(メ
タ)アクリルアミド、ポリN−オクタデシル(メタ)ア
クリルアミド、ポリN−エイコシル(メタ)アクリルア
ミドなどが挙げられる。フタル酸ジアルキルエステルの
重合体では、例えば、ポリフタル酸ジメチル、ポリフタ
ル酸ジエチル、ポリフタル酸ジプロピル、ポリフタル酸
ジブチル、ポリフタル酸ジヘキシル、ポリフタル酸ジオ
クチルなどが挙げられる。ポリアミド酸では、例えば、
ポリグルタミン酸メチル、ポリリジン、ポリフェニルア
ラニン、ポリロイシン、ポリグルタミン酸γ−ベンジル
などが挙げられる。スチレン−無水マレイン酸共重合体
の部分加水分解物はスチレン−無水マレイン酸共重合体
中の無水マレイン酸部分を0.05〜20モル%加水分解した
ものである。ポリアミド酸長鎖アルキル誘導体では、例
えば、N,N′−ジアミノジフェニルエーテル等のジアミ
ノ化合物と無水ピロメリット酸等の酸無水物との付加重
合体(ポリアミド酸と略す。)のカルボン酸部位をステ
アリルアルコール等の長鎖アルコールでエステル化した
ものである。このものは加熱することによりポリイミド
膜を形成できる。
本発明の複合薄膜の製造方法においては、まず累積する
化合物を溶解し、その溶液を水面上に滴下し、単分子膜
を形成させる。
次いで、該単分子膜をガラス板、シリコン板等の基板上
にLB法により累積し、複合薄膜を製造する。
まず、該化合物を溶解する有機溶媒としては、該化合物
を溶解するものでも水と相溶するものでもよいが、好ま
しくは水と相溶しないものがよい、具体的には、該化合
物を溶解するものとして、エタノール等のアルコール
類、ベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族類、テトラ
ヒドロフラン、各種グライム等のエーテル類、N,N−ジ
メチルホルムアミド等のアミド類、アセトニトリル等の
ニトリル類、クロロホルウ等の脂肪族ハロゲン化炭化水
素類等が挙げられる。それらの中では、好ましくはベン
ゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族類及びクロロホルム
等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類である。溶解するとき
の該化合物の濃度は高すぎると分子同士が重なりあって
単分子膜の形成が困難となる。一方、濃度が低すぎる
と、単分子膜を基板上に累積する際多大な時間を費やす
ことになる。おおむねその濃度は10-4〜5×10-2mole/
、好ましくは5×10-4〜10-2mole/の範囲である。
また、上記溶媒に溶解した単分子膜を展開するときの下
相の層(サブフェイズ)として、清浄な水、あるいは、
それに塩化カドミウム、塩化バリウム等の金属塩、さら
には、pHを調節するために炭酸水素カリウム、リン酸二
水素ナトリウム等の緩衝作用を示す金属塩等を含んだも
のを用いる。
次に、該化合物に溶液を水面上に滴下すると水面上に溶
液が展開し、単分子膜が形成される。その際、溶液の滴
下量は化合物の濃度に大きく依存するので、おおむね水
面の広さ10cm平方当り5〜500μである。また、その
ときの温度は特に限定はなく、0〜50℃の範囲、好まし
くは10〜30℃の範囲であればよい。
そのようにして、製造した単分子膜の性質は、表面膜圧
力計を使用し表面圧−面積曲線を測定することにより特
徴づけることができる。より具体的には、単分子膜の一
端に表面張力計を他単に可動性のバーを設置し、バーで
徐々に膜を圧縮しながら膜の表面圧を測定する。次い
で、そのときの膜の面積とその膜を構成する単量体分子
の総数より、1分子当りの占有面積を算出し、表面圧と
占有面積との関係をグラフにプロットする。そのグラフ
で、固体凝縮膜に相当する部分の曲線を占有面積の軸
(通常、横軸)に外挿ししその交点より、1分子当りの
占有面積を極限面積として算出できる。上記した化合物
の場合、極限面積はおおむね20〜40(A)2/分子と得ら
れ、その時の最大表面圧はおおむね25〜60dyne/cmであ
り、固体状の膜になっていることが示される。
次に、上記した単分子膜をガラス、シリコン等の基板上
に累積する方法は種々あり、基板を水平に保ちながら膜
面に接近させて写し取る水平付着法等もあるが、LB法の
採用が好ましい。次に、累積すべき基板であるが、板上
であればその目的に応じ多種類のものが使用できる。具
体的には、シリコン板、ガリウム−ひ素板、石英板、ガ
ラス板、フッ化カルシウム板等の水不溶性無機塩板、セ
ラミック板、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエステ
ル、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリ
エーテルスルホン、アセタール樹脂、ポリフェニレンサ
ルファイド、ポリフェニレンオキシド、シリコーン樹脂
等の高機能性樹脂等が挙げられる。それらの基板をその
まま累積に使用できるが、より効率的に累積を行うに
は、その基板表面に疎水化処理を施すことが好ましい。
特に無機系の基板では、疎水化処理が極めて有用とな
る。疎水化処理の具体的方法としては、ジメチルジクロ
ロシラン、ヘキサメチルジシラザン等のシランカップリ
ング剤で表面処理する方法と、ステアリン酸鉄のような
高級脂肪酸塩を溶融してそれを該基板表面に塗布して処
理する方法等がある。なお、シランカップリング剤処理
の場合、該基板を硫酸と硝酸よりなる混酸で洗浄処理し
ていたほうがより効果的になる。
次に、LB法により単分子膜を基板上に一層ずつ移し取
る。具体的には膜を固体状態に保ちながら、水面を切る
方向に基板を上下すると単分子膜が付着し、その操作を
繰り返すことにより累積膜を得ることができる。
一般に累積膜製造時において、基板の上昇及び下降のい
ずれのときにも膜が基板上に付着する場合(この時の膜
をY膜と称する。)、基板の下降時にのみ付着する場合
(X膜)、基板の上昇時にのみ付着する場合(Z膜)の
3ケースがあり、それぞれに応じて3種の膜ができる。
本発明においては上記した化合物に置換基を導入するこ
と及び基板表面を疎水性または親水性にすることによ
り、上記のいずれの種類の膜も製造できる。
具体的な累積膜の製造方法は、まず所定濃度の化合物溶
液を所定量水面上に摘下し、単分子膜を形成させる。そ
の際、有機溶媒が蒸発した後累積を行った方が好ましい
ので、通常10分〜2時間そのままの状態で放置してお
く、次いで、単分子膜層の他端より圧縮して膜の表面圧
を所定量の値に保ちながら、基板をまず下降させ、次い
で上昇させるという繰り返しを行って基板上に膜を累積
していく。累積するときの表面圧は表面圧−表面曲線よ
りその膜が固定凝縮膜を形成している範囲の表面圧であ
ればよい。ただし、あまりその圧が高すぎると膜構成分
子が重なり合い、一方圧が低すぎると安定に累積できな
くなる。おおむね、その範囲は5〜50dyne/cmである。
次に基板の昇降速度は速すぎると安定に累積できなくな
り、一方遅すぎると多大な労力を費やすこととなり、一
様には言えない。通常、昇降速度は1〜20mm/minであ
る。
本発明においては有機低分子または結晶性高分子薄膜と
有機高分子非晶質薄膜とを、交互に累積して複合膜を製
造することのであるが、その積層はLB法により行うこと
ができる。
具体的には上記した方法に従い、まず有機低分子もしく
結晶性高分子端分子膜または有機高分子非晶質単分子膜
のいずれかを基板上に一層以上累積し、次いでそのうえ
にもう一方の成分を累積し、交互に累積した複合薄膜を
製造する。
その際、累積する各層の厚さは電子光学素子としての機
能により変化する。例えば、分子の配列制御が厳しく要
求される非線形光学素子において、二次の非線形光学効
果を発揮させるためには分子の配列を一定方向に揃えて
おく必要がある。そのような構造とするためには、X膜
またはZ膜で累積すればよいし、一方Y膜で累積する場
合には奇数個累積すればよい。従って、最低膜圧では1
層づつ交互に累積していくこととなり、要求される機能
に応じて各層ごとの累積層数及び全体の膜厚を決めれば
よい。全体の膜厚としては、厚すぎると膜の安定性が損
なわれるので、通常1000層以下、好ましくは500層以下
である。
次に、実際に交互に累積して複合薄膜を製造する方法は
簡単にはLB膜累積装置を2台使用して、一方の単分子膜
を累積した後、基板を該装置より取り外し、もう一方の
装置に装着し、もう一方の単分子膜を累積する。この操
作を交互に繰り返すことにより複合薄膜を製造できる。
しかし、この方法では基板の取り外し時などで基板に振
動を与えて累積した膜の基板よりの剥離等を起こしてし
まうことがあるので、単一の装置で基板の取り外しなど
行わずに連続的に累積を行うことが好ましい。そのよう
な装置として、第1図に2種の単分子膜よりなる累積膜
を製造する装置の斜視図を、第2図にその側方断面図を
示す。図示のように具体的には、水面上は水面1と水面
2の2つに区分されており、水面1の水面上にはいずれ
かの成分の単分子膜(以下Aと記す)を水面2の水面上
には残り一方の成分の単分子膜(以下Bと記す)をそれ
ぞれ展開する。すなわち、各成分の溶解した溶液をサブ
フェイズ上に静かに摘下し、溶媒が蒸発した後、可動式
バリア3を固定式バリア4の方に移動させ、所定の表面
圧に達したところで、停止させる。以後、可動式バリア
はその表面圧を保つように移動させる。ガラス等を基板
5とし、その上端5aをリフターの上腕6の支持部6aに固
定する。まず、水面1の水面上で上腕を所定の速度で降
下させ、基板5をつかんでいる部分6aが水面につく前に
停止させる。次に、リフターの下腕7を上昇させ、支持
部7aで基板5の下端5bを支持させた後上腕6を開放させ
る。下腕7を所定の速度で下降させ、基板5を完全に水
面下に沈める。この操作により、基板5上にはAが累積
される。続いて、リフター(上腕、下腕)ごと180゜回
転し、基板5を水面2の水面下に移動させ、基板5の上
端5aが水面上に現れるまで下腕7を所定の速度で上昇さ
せる。上腕6で基板5の上端5aを支持し、下腕7を開放
した後、上腕6を所定の速度で上昇させる。この操作に
より、基板5上にはBが累積される。再び、これらの操
作を繰り返すことにより、基板5上に、ABABAB・・・と
有機低分子端分子膜と有機高分子非晶質単分子膜が交互
に一層ずつ累積した複合薄膜を製造できる。また、水面
1の水面で基板を下降、上昇、下降させ、次に水面2の
水面で基板を上昇させることを繰り返すことにより、基
板上に、AAABAAABAAAB・・・と異種の単分子膜3層と単
分子1層が交互に累積した複合薄膜を製造できる。
さらに、重合性単分子膜を累積してなる複合薄膜では重
合により、より安定な薄膜とすることができる。そのと
きの重合方法としてラジカル重合で行うことが好まし
い。ラジカル重合を開始させる方法として、重合開始剤
の存在下に該累積膜を加熱したり、もしくは該累積膜に
光、電子線、X線、放射線、レーザー光線等を照射する
方法を採用できる。さらに都合がよいことに該累積膜に
重合開始剤等の成分を添加しないで、ただ単に紫外線、
電子線、X線、放射線等を照射するだけで、重合反応を
行わせることができる。照射する紫外線は特定の波長に
しぼる必要はなく、水銀燈、メタルハライド燈、炭素ア
ーク燈、重水素放電管、ヘリウム放電管、キセノン放電
管等の光源より放射されるものをそのまま使用できる。
その光源の強さは特別に大きいものでなく、例えば水銀
燈では通常の低圧もしくは高圧水銀燈を使用できる。ま
た、電子線は通常の電子顕微鏡で使用されている程度の
もので、さらにはX線、放射線及びレーザー光線は高エ
ネルギー線であるので、通常化学反応に使用されている
もの、またはそれ以下の強度のものも使用できる。ま
た、その照射時間は照射するエネルギーの大きさ及び累
積膜の膜厚等に依存し、一概には言えないが、おおむね
数秒より数時間の範囲である。照射するときの雰囲気は
空気中でもよいが、窒素雰囲気等の酸素ガスの存在しな
いか、もしくはその低い濃度の雰囲気で行うことも出来
る。電子線照射の場合には真空下で行う。そのときの温
度は特に制限はなく、0〜50℃の範囲、好ましくは10〜
40℃である。
一方、紫外線等の光を照射できない場合とか、もしくは
照射できても重合を開始するには至らない場合にはラジ
カル重合開始剤を使用すればよい。重合開始剤として
は、油溶性のものが好ましく、例えば過酸化ベンゾイ
ル、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート
等の過酸化物が、またアゾビスイソブチロニトリル等の
アゾ化合物が挙げられる。過酸化物は一般に重合開始温
度が高くなるので、N,N−ジメチルアニリン等のアミン
を添加して、重合開始温度を下げることができる。さら
には光により重合を容易に行わせるために、光増感剤、
光重合開始剤等を使用してもよい。その方法は該単量体
の溶液に上記した重合開始剤を添加混合して、単分子膜
を作りそれを累積すればよい。そのときの添加量は少な
すぎると重合を効率的に行えず、一方多すぎると累積膜
の物性を損ねる。さらには使用する重合開始剤にもよる
ので一概には言えないが、おおむね単量体に対し、10〜
1000ppmの添加量である。重合温度は過酸化物及びアゾ
系では20〜80℃であり、光重合では0〜50℃である。さ
らには、上記の重合開始剤に長鎖アルキル基を導入し
て、累積の物性低下を極力避けるように行ってもよい。
また、重合を行う実施態様としては、累積膜を固定して
おいて、紫外線等の線源を累積膜の上に次々に移動して
いく方法と、線源を固定しておき、累積膜をベルトコン
ベアーの如きラインに載せて次々に照射して重合を行う
等種々の方法がある。
さらには、上記した薄膜上にマスクを設置し、それを介
して紫外線、可視光線等の光を照射することにより薄膜
上にパターンを描かせることができ、それをもとに光導
波路を形成することができる。
上記のようにして製造される薄膜は異種単分子膜の層間
での相互作用の結果として、非常に均質な欠陥のないか
つ分子配列制御された薄膜となるので、各種の電子光学
素子薄膜として有用となる。
具体的な電子光学素子として、例えば非線形光学素子、
光電変換素子、光電導素子、発光素子、メモリー素子、
液晶素子、フィルター・光路変換素子、電圧・焦電素子
等が挙げられる。上記の中でも特に非線形光学素子は本
発明の複合薄膜の特徴である分子配列の制御された欠陥
の少ないという性質を活かす上で好適な素子である。具
体的には、上記したジアセチレン誘導体、芳香環に電子
吸引性基または/及び電子供与性基を導入して分極誘起
された芳香族化合物、複素環含有化合物等を一定の方向
に配列して製造した複合薄膜もしくは該膜を重合してな
る高分子複合薄膜は2次の非線形光学素子として有用と
なり、波長変換、電気光学変調器等への応用が可能とな
る。一方、縮合多環芳香族化合物、複素環含有化合物、
ジアセチレン誘導体等の有機高分子非晶質薄膜との複合
膜もしくは該膜を重合してなる高分子複合薄膜は3次の
非線形光学素子として有用となり、波長変換、高速光シ
ャッター、光演算、光メモリー、位相共役波発生等への
応用が可能となる。さらに、本発明の複合薄膜は上記し
た方法により導波路化等の微細加工も容易に行えるの
で、非線形導波路の作成も容易に行える。
(実施例) 次に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明する。
実施例1 第1図及び第2図に示す装置を用いて累積膜を作成し
た。
すなわち、サブフェイズを塩化カドミウム4×10-4M、
炭化水素カリウム5×10-5Mの水溶液(pH6.7)とし、水
面1の水面上には有機高分子非晶質単分子膜であるポリ
(イソブチルメタクリレート)1×10-3Mのクロロホル
ム溶液800μを、水面2の水面上には有機低分子単分
子膜であるヘプタコサー10,12−ジイン酸1×10-3Mのク
ロロホルム溶液500μを、それぞれ展開し、溶媒蒸発
後、水面1の方は表面圧を10mN/m、水面2の水面2の方
は20mN/mに保つ。ジクロロジメチルシランで疎水処理し
たガラス基板をリフターの上腕に固定し、水面1の水面
上で上腕を5mm/minの速度で下降させ、リフターの基板
をつかんでいる部分が水面につく前に停止させる。次
に、リフターの下腕を上昇させ、基板の下端を支持させ
た後上腕を開放させる。下腕を5mm/minの速度で下降さ
せ、基板を完全に水面下に沈める。この操作により、基
板上にはポリ(イソブチルメタクリレート)の単分子膜
が累積される。続いて、リフター(上腕、下腕)ごと18
0゜回転し、基板を水面2の水面下に移動させ、基板の
上端が水面上に現れるまで下腕を5mm/minの速度で上昇
させる。上腕で基板の上端を支持し、下腕を開放した
後、上腕を5mm/minの速度で上昇させる。この操作によ
り、基板上にはヘプタコサー10,12−ジイン酸カドミウ
ムが累積される。再びこれらの操作を繰り返すことによ
り、基板上には、ポリ(イソブチルメタクリレート)か
らなる非晶質分子膜と、ヘプタコサ−10,12−ジイン酸
カドミウムからなる結晶性単分子膜が、交互に1層ずつ
累積された総累積層数41層の累積膜からなる複合薄膜が
作成された。作成された累積層を偏光顕微鏡で観察した
ところ、ヘプタコサ−10,12−ジイン酸カドミウムのみ
で作成された累積膜でみられた、累積方向にみられる繊
維状の構造が不明確になり、全体的に均一になってお
り、光学的により良質な累積膜が得られた。
次に、20℃、窒素気流下で該基板に70cmの距離より500W
高圧水銀燈にてポリエチレンフィルムをフィルターとし
て紫外線を30分間照射した。薄膜は赤紫色に着色し、ジ
アセチレンが重合してポリジアセチレンに変化した。重
合後、薄膜を偏光顕微鏡で観察したところ、繊維状の構
造は認められず均質な膜であった。
実施例2 実施例1と同様にして、水面1の水面で基板を下降、上
昇、下降させ、次に水面2の水面で基板を上昇させるこ
とを繰り返すことにより、基板上には、ポリ(イソブチ
ルメタクリレート)からなる有機高分子非晶質単分子膜
3とヘプタコサ−10,12−ジイン酸カドミウムからなる
有機低分子単分子膜1層が交互に累積された総累積層数
83層の累積膜からなる複合薄膜を作成した。作成した累
積膜を偏光顕微鏡で観察したところ、実施例1で作成し
た累積膜に比べて、全体的にさらに均一になっており、
光学的により良質な膜が得られた。
実施例1と同様な条件下で紫外線を照射したところ、薄
膜は赤紫色に着色した。重合してポリジアセチレンに変
化した。偏光顕微鏡で観察したところ均質な膜であっ
た。
実施例3 実施例1と同様の装置を用いて、サブフェイズを純水と
し、水面1の水面上には有機高分子非晶質単分子膜であ
るポリ(N−テトラデシルアクリルアミド)1×10-3M
のクロロホルム溶液500μを、水面2の水面にはもう
1種の有機高分子単分子膜であるポリ(N−(12−(4
−ニトロフェニル)アミノドデシル)アクリルアミド)
1×10-3Mのクロロホルム溶液500μを、それぞれ展開
し、溶媒蒸発後、水面1、2共に表面圧を10mN/mに保
つ。ジクロロジメチルシランで疎水処理したガラス基板
をリフターの上腕に固定し、水面1の水面上で上腕を5m
m/minの速度で下降させ、リフターの基板をつかんでい
る部分が水面につくまえに停止させる。
次に、リフターの下腕を上昇させ、基板の下端を支持さ
せた後上腕を開放させる。下腕を5mm/minの速度で下降
させ、基板を完全に水面下に沈める。この操作により、
基板上にはポリ(N−テトラデシルアクリルアミド)の
単分子膜が累積される。続いて、リフター(上腕、下
腕)ごと180゜回転し、基板を水面2の水面下に移動さ
せ、基板の上端が水面上に現れるまで下腕を5mm/minの
速度で上昇させる。上腕で基板の上端を支持し、下腕を
開放した後、上腕を5mm/minの速度で上昇させる。この
操作により、基板上にはポリ(N−(12−(4−ニトロ
フェニル)アミノドデシル)アクリルアミド)が累積さ
れる。再びこれらの操作を繰り返すことにより、基板上
には、ポリ(N−テトラデシルアクリルアミド)からな
る有機高分子非晶質単分子膜と、ポリ(N−アクリルア
ミド)からなる有機高分子単分子膜が、交互に1層ずつ
累積された総累積層数41層の累積膜からなる複合薄膜を
作成した。この超格子では、ポリ(N−(12−(4−ニ
トロフェニル)アミノドデシル)アクリルアミド)の側
鎖に存在する4−ニトロアニリン部分の配向が揃ってい
るために、全体として極性を有している。作成された累
積層を偏光顕微鏡で観察したろころ、全体的に均一で、
光学的に良質な累積膜であることが分かった。
実施例4 実施例2において水面1の水面上に有機高分子非晶質単
分子膜としてポリ(N−テトラデシルアクリルアミド)
を、水面2の水面上に有機低分子単分子膜としてヘプタ
コサ−10,12−ジイン酸をそれぞれクロロホルム溶液よ
り展開した以外は、実施例2と全く同様にしてガラス基
板上に総累積層数83層累積した。
作成された累積膜を偏光顕微鏡で観察したところ、実施
例1で作成された累積層に比べて、全体的にさらに均一
になっており、光学的により良質な膜が得られた。
実施例1と同様な条件下で紫外線を照射したところ、薄
膜は赤紫色に変色した。重合してポリアセチレンに変化
した。偏光顕微鏡で観察したところ均質な膜であった。
実施例5 実施例2において表面1の水面上に有機高分子非晶質単
分子膜としてポリ(N−ヘキサデシルアクリルアミド)
を、水面2の水面上に有機低分子単分子膜としてp−ニ
トロ−p′−N−オクタデシルアミノアゾベンゼンをそ
れぞれクロロホルム溶液より展開した以外は、実施例2
と全く同様にしてガラス基板上に総累積層数83層累積し
た。
作成された累積膜を偏光顕微鏡で観察したところ、実施
例1で作成された累積膜に比べて、全体的にさらに均一
になっており、光学的により良質な膜が得られた。
実施例6 実施例2において水面1の水面上に有機高分子非晶質単
分子膜としてポリ(イソブチルメタクリレート)を、水
面2の水面上に有機低分子単分子膜としてN−エトラデ
シルメロシアニンをそれぞれクロロホルム溶液より展開
した以外は、実施例2と全く同様にしてガラス基板上に
総累積層数83層累積した。
作成された累積膜を偏光顕微鏡で観察したところ、実施
例1で作成された累積膜に比べて、全体的にさらに均一
になっており、光学的により良質な膜が得られた。
実施例7 実施例2において水面1の水面上に有機高分子非晶質単
分子膜としてポリ(イソブチルメタクリレート)を、水
面2の水面上に有機低分式単分子膜として2−メチル−
4−ニトロ−N−オクタデシルアニリンをそれぞれクロ
ロホルム溶液より展開した以外は、実施例2と全く同様
にしてガラス基板上に総累積層数83層累積した。
作成された累積層を偏光顕微鏡で観察したところ、実施
例1で作成された累積膜に比べて、全体的にさらに均一
になっており、光学的により良質な膜が得られた。
実施例8 実施例2において水面1の水面上に有機高分子非晶質単
分子膜としてポリ(N−ヘキサデシルアクリルアミド)
を、水面2の水面上に有機低分式単分子膜として10−ピ
レニルデカン酸をそれぞれクロロホルム溶液より展開し
た以外は、実施例2と全く同様にしてガラス基板上に総
累積層数83層累積した。
作成された累積膜を偏光顕微鏡で観察したところ、実施
例1で作成された累積膜に比べて、全体的にさらに均一
になっており、光学的により良質な膜が得られた。
比較例1 実施例1において水面2の水面上に展開したヘプタコサ
ー10,12−ジイン酸カドミウムのみを実施例1と全く同
様な方法で疎水処理したガラス基板上に20層累積した。
累積膜を偏光顕微鏡で観察したところ、累積方向に繊維
状の構造が観察され、均一ではなかった。
(発明の効果) 本発明に係るラングミュアー・ブロジェット法による複
合薄膜は、有機高分子非晶質単分子膜と結晶性分子膜か
らなる累積膜であり、結晶性の単分子膜においてみられ
る膜の不均一性を有機非晶質単分子膜が補完し、全体と
しては光学的性質に優れ高品質なものである。さらに本
発明において有機低分子単分子膜として重合性単分子膜
を用い、これを重合させることにより複合薄膜をより安
定化させることができる。本発明に係る複合薄膜は光学
的に高品質であるために、レーザー光等の強電界下で使
用される非線形光学用の素子の材料として好適である。
【図面の簡単な説明】
第1図は2種の単分子膜からなる累積膜を製造する装置
の1例を示す斜視図、第2図はその側方断面図である。 図中符号1、2はそれぞれ区分された液面、3は可動式
バリア、4は固定式バリア、5は基板、6はリフター上
腕、7はリフター下腕、8は水槽である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G02F 1/35 504 (72)発明者 阿部 孝司 神奈川県鎌倉市長谷4―1―28 (72)発明者 伊藤 博 神奈川県横浜市栄区笠間町521 審査官 穴吹 智子 (56)参考文献 特開 平2−200426(JP,A) 特開 昭63−16071(JP,A) 特開 昭64−22377(JP,A) 特開 昭63−49274(JP,A) 実開 昭63−225604(JP,U)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機低分子もしくは結晶性高分子単分子膜
    の少なくとも1層以上と有機高分子非晶質単分子膜の少
    なくとも1層以上を、交互に累積してなることを特徴と
    する複合薄膜。
  2. 【請求項2】有機低分子単分子膜が重合性単分子膜であ
    ることを特徴とする請求項1記載の複合薄膜。
  3. 【請求項3】請求項2記載の複合薄膜を重合させてなる
    ことを特徴とする高分子複合薄膜。
  4. 【請求項4】有機低分子もしくは結晶性高分子単分子膜
    の少なくとも1層以上と有機高分子非晶質単分子膜の少
    なくとも1層以上を、ラングミュアー・ブロジェット法
    により、交互に累積することを特徴とする複合薄膜の製
    造方法。
  5. 【請求項5】有機低分子もしくは結晶性高分子単分子膜
    及び有機高分子非晶質単分子膜の基板上へ交互累積をラ
    ングミュアー・ブロジェット法で連続的に行うことを特
    徴とする請求項4記載の複合薄膜の製造方法。
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