JPH0749110B2 - ポリイミド前駆体薄膜を含む複合物品 - Google Patents

ポリイミド前駆体薄膜を含む複合物品

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JPH0749110B2
JPH0749110B2 JP61191286A JP19128686A JPH0749110B2 JP H0749110 B2 JPH0749110 B2 JP H0749110B2 JP 61191286 A JP61191286 A JP 61191286A JP 19128686 A JP19128686 A JP 19128686A JP H0749110 B2 JPH0749110 B2 JP H0749110B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は電気絶縁性にすぐれたポリイミド前駆体薄膜を
含む複合物品に関するものであり、さらに詳しくはラン
グミュア・ブロジェット法(以下、LB法という)で製膜
し得るように修飾された両性ポリイミド前駆体を用い、
LB法で製膜することによって形成された薄膜を含む複合
物品に関するものである。主としてエレクトロニクス分
野で利用される。
従来の技術 すでに1930年代、炭素数16〜22くらいの脂肪酸が水面上
に単分子膜をつくり、それを基質上に累積できることが
ランダミュアとブロジェットにより見出されたが、技術
的応用についての検討が行われはじめたのは最近のこと
である。
これまでの研究の概要については、固体物理17(12)45
(1982)Thin Solid Films 68 No.1(1980),ibid,99 N
o.1.2.3(1983)Insoluble monolayers at liquid−gas
interfaces(G.L.Gains,Interscience Publishers,New
York,1966)などにまとめられているが、従来の直鎖飽
和脂肪酸のロングミュア・ブロジェット膜(以下「LB
膜」という)は耐熱性、機械的強度に欠点があり実用的
応用にはそのままでは使えないという問題点がある。
これらを改善するものとして不飽和脂肪酸、例えばω−
トリコセン酸、ω−ペプタデセン酸やα−オクタデシル
アクリル酸や脂肪酸の不飽和エステル、例えばステアリ
ン酸ビニル,オクタデシルアクリレートのほか、ジアセ
チレン誘導体などの重合膜が検討されているが、耐熱性
は充分とはいえないし、電気的にもすぐれたものとはい
えない。ポリマーについてもポリ酸,ポリアルコール,
エチルアクリレート,ポリペプチドなど親水性基をもつ
高分子に成膜性のあるものが知られているが、特にラン
グミュア・ブロジェット膜用の材料として、修飾された
高分子はこれまで検討されていないし、すぐれたLB膜材
料と言えるものはなく、これを含む複合物品も耐熱性と
機械的強度などに問題があり、実用化が難しい。
一方、耐熱性フィルムとしてポリイミドがあるが、スピ
ンコートなどの方法によってはせいぜい1000Å以上で通
常は1μm以上で1000Å以下の電気絶縁性はすぐれた耐
熱性薄膜を作成するのは非常に困難であり、薄膜を含ん
だ複合物品は作成できない。
本発明は、耐熱性や接着力などの機械的特性や耐薬品性
などが改善されたLB膜を含む複合物品を得るためになさ
れたものであり、電気絶縁性にすぐれた耐熱性薄膜を含
む複合物品を提供することを目的とするものである。
問題点を解決するための手段 本発明は、ポリアミック酸単位に疎水性を付与するため
の置換基を導入し得ることが見出されたことによってな
されたものであり、例えば我々が先に特願昭60−157354
等で提案した、一般式(1): (式中、R1は少なくとも2個の炭素原子を含有する4価
の基、R2は少なくとも2個の炭素原子を含有する2価の
基、R3、R4、R5およびR6はいずれも炭素原子数1〜30の
1価の脂肪族の基、1価の環状脂肪族の基、芳香族の基
と脂肪酸の基との結合した1価の基、それらの基がハロ
ゲン原子、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、メトキシ
基、アセトキシ基で置換された基または水素原子であ
り、R3、R4、R5およびR6の少なくとも1個、好ましくは
2個は炭素原子数1〜11の前記の基または水素原子では
ない)で表わされる繰返し単位を有する両性ポリイミド
前駆体をラングミュア・ブロジェット法によって基板上
に累積を行うことによってなされる。
本発明のポリイミド薄膜を形成するための両性ポリイミ
ド前駆体は、例えば一般式(1): で表される繰り返し単位を有する数平均分子量が2,000
〜300,000のものである。数平均分子量が2,000〜300,00
0の範囲をはずれると、膜を作製したときの強度が低す
ぎたり、粘度が高すぎて膜の作製がうまくいかないなど
の傾向が生ずる。
一般式(1)におけるR1は少なくとも2個の炭素原子を
含有する、好ましくは5〜20個の炭素原子を含有する4
価の基であり、芳香族の基であってもよく、環状脂肪族
の基であってもよく、芳香族の基と脂肪族の基との結合
した基であってもよく、さらにはこれらの基が炭素数1
〜30の脂肪族の基、環状脂肪族の基あるいは芳香族の基
と脂肪族の基とが結合した基、それらの基がハロゲン原
子、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、メトキシ基、アセ
トキシ基などの1価の基で、あるいは該1価の基が、−
O−,−COO−,−NHCO−,−CO−,−S−,−CSS−,
−NHCS−,−CS−などに結合した基で置換され誘導体と
なった基であってもよい。しかし、R1が少なくとも6個
の炭素原子数を有するベンゼノイド不飽和によって特徴
づけられた基である場合には、耐熱性、耐薬品性や機械
的特性などの点から好ましい。
前記のごときR1の具体例としては、例えば、 などが挙げられる。
本明細書にいうベンゼノイド不飽和とは、炭素環式化合
物の構造に関してキノイド構造と対比して用いられる術
語で、普通の芳香族化合物に含まれる炭素環と同じ形の
構造をいう。
R1の4個の結合手、すなわち一般式(1)で表される繰
返し単位において 結合する手の位置には特に限定はないが、4個の結合手
の各2個づつがR1を構成する隣接する2個の炭素原子に
存在する場合には、両性ポリイミド前駆体を用いて形成
した膜などをポリイミド化する際に5員環を形成しやす
くイミド化しやすいため好ましい。
前記のごときR1の好ましい具体例としては、例えば、 などが挙げられる。また も好ましい。
一般式(1)におけるR2は少なくとも2個の炭素原子を
含有する2価の基であり、芳香族の基であってもよく、
脂肪族の基であってもよく、環状脂肪族の基であっても
よく、芳香族の基と脂肪族の基との結合した基であって
もよく、さらにはこれらの2価の基が炭素数1〜30の脂
肪族の基、環状脂肪族の基あるいは芳香族の基と脂肪族
の基とが結合した基、それらの基がハロゲン原子、ニト
ロ基、アミノ基、シアノ基、メトキシ基、アセトキシ基
などの1価の基で、あるいはこれらの1価の基が、−O
−,−COO−,−NHCO−,−CO−,−S−,−CSS−,−
NHCS−,−CS−などに結合した基で置換された基であっ
てもよい。しかし、R2が少なくとも6個の炭素原子数を
有するベンゼノイド不飽和によって特徴づけられた基で
ある場合には、耐熱性、耐薬品性や機械的特性などの点
から好ましい。
前記のごときR2の具体例としては、 ここでR9 R10およびR11はいずれも炭素原子数1〜30のアルキルま
たはアリール基 −(CH2−O−(CH2−O−(CH2−, 等であり、前記のごときR2の好ましい具体例としては、
例えば (式中、R9はCH2 (m=1〜3の整数), −S−,−SO2−,−NR10−, (R10およびR11はいずれも炭素原子数1〜30のアルキル
またはアリール基) 等があげられる。
一般式(1)におけるR3、R4、R5、およびR6はいずれも
炭素原子数1〜30、好ましくは1〜22の1価の脂肪族の
基、1価の環状脂肪族の基、芳香族の基と脂肪族の基と
の結合した1価の基、それらの基がハロゲン原子、ニト
ロ基、アミノ基、シアノ基、メトキシ基、アセトキシ基
などで置換され、それらの基の誘導体となった基または
水素原子である。なお一般式(1)においてR3、R4、R5
およびR6はいずれも一般式(8): (式中、R1、R2は前記と同じ)で表されるポリアミック
酸単位に疎水性を付与し、安定な凝縮膜を得るために導
入される基であり、R3、R4、R5、R6のうちの少なくとも
1個が炭素原子数1〜11、好ましくは1〜15の前記の基
あるいは水素原子でないことが、水面上に安定な凝縮膜
が形成され、それがLB法により基板上に累積されるため
に必要である。
前記のごときR3、R4、R5、R6の水素原子以外の具体例と
しては、例えば CH3(CH2 n-1,(CH32CH(CH2 n-3, (以上のnはいずれも12〜30、好ましくは16〜22)など
があげられる。ただ本発明の目的を達成するためには、
CH3(CH2 n-1で表される直鎖アルキル基を利用するの
が、性能的にもコスト的にも最も望ましい。前述したよ
うなハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、メ
トキシ基、アセトキシ基などは必須ではない。しかしフ
ッ素原子により疎水性は水素原子と比べ飛躍的に改善さ
れるので、フッ素原子を含むものを使用するのが好まし
い。
R3、R4、R5、R6のうちの2個が水素原子の場合の本発明
の両性ポリイミド前駆体の繰返し単位の具体例として
は、一般式(2): (式中、R1、R2、R3、R4は前記と同じ、ただしR3および
R4は炭素原子数1〜11の基または水素原子ではない)で
表される繰返し単位や、一般式(3): (式中、R1、R2、R5、R6は前記と同じ、ただしR5および
R6は炭素原子数1〜11の基または水素原子ではない)で
表される繰返し単位などがあげられる。本発明の両性ポ
リイミド前駆体の繰返し単位が一般式(2)や一般式
(3)で表されるものである場合には、製造が容易であ
る、コスト的にも安価であるなどの点から好ましい。
一般式(1)〜(3)で示される繰返し単位を有する本
発明の両性ポリイミド前駆体の具体例としては、例えば (式中のR3、R4の具体例としては、 CH3(CH211−、CH3(CH213−、CH3(CH215−、CH
3(CH217−、CH3(CH219−、CH3(CH221−、CF3
(CH215−など)、 (式中のR5、R6の具体例としては、 CH3(CH211−、CH3(CH213−、CH3(CH215−、CH
3(CH217−、CH3(CH219−、CH3(CH221−、CF3
(CH215−など)、 (式中のR3、R4の具体例としては、 CH3(CH211−、CH3(CH213−、CH3(CH215−、CH
3(CH217−、CH3(CH219−、CH3(CH221−、CF3
(CH215−など)、R5、R6の具体例としては、CH3−、
CH3(CH2−、CH3(CH2−、CH3(CH2−な
ど)、 (式中のR3、R4の具体例としては、 CH3(CH211−、CH3(CH213−、CH3(CH215−、CH
3(CH217−、CH3(CH219−、CH3(CH221−、CF3
(CH215−など)等の繰返し単位を含むものがあげら
れる。
式中→は異性を表す。例を次式 で説明すれば および を表す。
本発明は(a),(b)が単独である場合、(a),
(b)が共存する場合を含んでいる。
前記のごとき本発明の両性ポリイミド前駆体は、一般に
N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジエチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホ
ルアミドなどの有機極性溶剤に易溶、上記有機極性溶剤
とクロロホルムなどの通常の有機溶剤などの混合溶剤に
溶、通常の有機溶剤、例えばベンゼル、エーテル、クロ
ロホルム、アセトン、メタノールなどに難溶〜不溶で、
赤外線吸収スペクトル分析でアミド、カルボン酸(場合
によってはカルボン酸エステル)および長鎖アルキル基
の特徴的な吸収が存在する。熱分析結果にも特徴があ
り、約200℃で重量の急激な減少がはじまり、約400℃で
完結する。完結したのちには、アミド、カルボン酸(場
合によってはカルボン酸エステル)および長鎖アルキル
基の吸収が消失し、イミド環の吸収が表れる。
これまでの説明は一般式(1)で表される繰返し単位を
もつ両性ポリイミド前駆体についてであるが、これらか
ら容易に類推されるように種々の共重合体が存在する。
まず第1に一般式(1)におけるR1,R2,R3,R4,R5,R6
少なくとも1つが先に挙げられた具体例から選ばれた少
なくとも2種からなることによって実現される。
例えばR1として2種選ばれたとき x,yは比率を表し、0<x<1,0<y<1,x+y=1であ
る。(以下同じ) さらにR2として2種選ばれたとき などで、以上の例はほんの一例であり、またR3,R4,R5,R
6,についてはこれまでの説明でいくつもの例が書けるが などである。
第2にさらに重要な共重合体はR1,R2の少なくとも一方
あるいは両方の一部を価数の異なる基で置き換えること
によって実現される。
まずR1の一部を置換する基は少なくとも2個の炭素原子
を含有する4価以外の基から選ばれ、2,3価が使える
が、好ましい具体例は3価であり、この場合の一般式は
次のようになる。
R1([ ]x内),R2,R3,R4,R5,R6は前記に同じ。R
1([ ]y内)は少なくとも2個の炭素原子を含有す
るそれぞれ2価,3価の基である。
次にR2の一部を置換する基は少なくとも2個の炭素原子
を含有する2価以外の基から選ばれ3価,4価の基が好ま
しい。
これらの場合の一般式は次のようになる。
R1,R2([ ]x内),R3,R4,R5,R6は前記に同じ。R
2([ ]y内)は少なくとも2個の炭素原子を含有す
るそれぞれ3価,4価の基である。xはR2に対する置換基
で−NHR,−CONHR(Rはアルキル基または水素原子)等
が好ましい例である。
これら共重合による両性ポリイミド前駆体の修飾は、該
前駆体のラングミュア・プロジェット法による累積特性
や、基板上に累積したあとイミド化して得られるポリイ
ミド薄膜の物性改善のために重要であり、本発明の好ま
しい実施態様の1つである。
R1,R2の少なくとも1方あるいは両方の1部を置換する
基の具体例は、以下のとおりである。
R10およびR11はアルキルまたはアリール基 −(CH2−O−(CH2−O−(CH3−, 以上の中からR1,R2のさらに好ましい例をあげれば (R9は前出に同じ)である。
さらの詳しく共重合体について説明するために具体的な
例を挙げれば、 等である。
また、これまでの説明においては、前駆体の繰返し単位
において、R3,R4,R5,R6の少なくとも2個は炭素数1〜1
1の前記の基または水素原子ではない場合であったが、
繰返し単位のうちの30%以下の範囲であれば、一般式
(9): (式中、R1,R2は前記と同じ、Rは炭素原子数1〜11の
1価の脂肪族の基、1価の環状脂肪族の基、芳香族の基
と脂肪族の基が結合した1価の基、これらの基がハロゲ
ン原子、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、メトキシ基、
アセトキシ基などで置換された基または水素原子であ
り、4個のRは同じでもよく、異なってもよい)で表さ
れるような繰返し単位が含まれていてもよい。
次に本発明の前駆体の製法について説明する。
一般式(1)で表される繰返し単位を有する本発明の前
駆体は、まず一般式(4): (式中、R1は前記と同じ)で表されるテトラカルボン酸
ジ酸無水物に、R3OHおよびR4OH(R3およびR4は前記と同
じ)を反応させて得られる一般式(5): (式中、R1,R3,R4は前記に同じ)で表される化合物を製
造し、実質的に無水の極性溶媒中、−10℃以上、好まし
くは0〜40℃程度でチオニルクロライド、五塩化リン、
ベンゼンスルホニルクロライドなどを用いて酸ハライド
にし、さらに一般式(6): R5−NH−R2−NH−R6 (6) (式中、R2,R5,R6は前記と同じ)で表される化合物を添
加するときは、−10〜+20℃,好ましくは0〜+10℃で
反応させるが、反応を完結させるためには添加後20℃以
上で反応させてもよい。
一般式(4)で表される化合物の具体例としては、例え
などがあげられる。
また、R3OHおよびR4OHの具体例としては、たとえばCH3O
H,CH3CH2OH,CH3(CH22OH,CH3(CH23OH,CH3(CH25
OH,CH3(CH27OH,CH3(CH29OH,CH3(CH211OH,CH3
(CH213OH,CH3(CH215OH,CH3(CH217OH,CH3(C
H219OH,CH3(CH221OH,CH3(CH223OH,CF3(CH2
15OH,H(CF2(CH215OH,H(CF2(CH213OH,F
(CF2(CH22OH,F(CF2(CH24OH, などがあげられる。
一般式(4)で表されるテトラカルボン酸ジ無水物とR3
OHおよびR4OHとから一般式(5)で表される化合物を製
造する際の反応条件などにはとくに限定はなく、例えば
約100℃で窒素気流下、撹拌を数時間続けることによっ
ても得られるし、ヘキサメチレンホスホルアミドのよう
な溶剤中、室温で約4日間撹拌を続けるというような一
般的な条件が採用され得る。
前記反応を約100℃、窒素気流下で撹拌しながら3時間
加熱することによって行い、冷却後ヘキサメチレンホス
ホルアミドに溶解し、引き続き行わしめる酸ハライド化
を行うのが反応時間の短縮化、すなわち生産性の向上な
どの点から好ましい。) 前記酸ハライド化を行う際の極性溶媒の具体例として
は、たとえばヘキサメチレンホスホルアミド、N,N−ジ
メチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなど
があげられ、これらの溶媒を実質的に無水の状態、すな
わち酸ハライド化の際に用いるチオニルクロライド、五
塩化リン、ベンゼンスルホニルクロライドなどが分解せ
ず、定量的に近い状態で酸ハライド化反応が行わしめら
れる。
酸ハライド化の際の温度が、−10℃未満になると、長鎖
アルキル基の影響による凍結固化のため反応が不均一系
となるため好ましくないが、それ以上であれば酸ハライ
ドの沸点程度の温度までとくに限定されることなく用い
ることができる。
このようにして製造された酸ハライドにさらに一般式
(6)で表される化合物が反応せしめられ、本発明の前
駆体が製造される。
この際使用される酸ハライドは、製造されたのちそのま
ま用いるのが作業性などの面で好ましい。
さらに該酸ハライドと一般式(6)で表される化合物と
を反応させる際には、それらの化合物に存在するR3,R4,
R5,R6などにより反応物および生成物のいずれも凍結固
化する傾向があるなどするために、N,N−ジメチルアセ
トアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒を用
いるのが一般的であり、反応温度としては−10℃〜+20
℃,好ましくは0〜−10℃である。反応温度が−10℃未
満になると凍結固化により反応は不均一系となり、+20
℃をこえると望ましくない反応がおこりやすくなると考
えられ、いずれも好ましくない。勿論反応を完結させる
ために添加後20℃以上の温度で続いて反応を行ってもよ
い。
前記一般式(6)で表される化合物の具体例としては、
例えば (式中のR5,R6の具体例としては、 CH3−,CH3CH2−,CH3(CH2−,CH3(CH2−,CH
3(CH2−,CH3(CH211−,CH3(CH213−,CH3(CH
215−,CH3(CH217−,CH3(CH219−,CH3(CH221
−,CH3(CH223−,CF3(CH215−,H(CF2(CH2
15−,H(CF2(CH213−,F(CF2(CH2−,F
(CF2(CH2−など)などがあげられる。
前記酸ハライドと一般式(6)で表される化合物との反
応比は、得られる本発明の前駆体の分子量などを所望の
値にするため適宜選択すればよいが、通常モル比で1/0.
8〜1.2である。高分子量のものを得るためには化学量論
の精製したモノマーと精製した溶剤とを用いるのが好ま
しい。
一般式(4)で表されるテトラカルボン酸ジ酸無水物に
反応させるR3OHおよびR4OHのR3およびR4がいずれも炭素
原子数1〜11の基または水素原子でない場合には、一般
式(6)で表される化合物のR5およびR6がいずれも水素
原子であってもよく、この場合には一般式(2)で表さ
れる繰返し単位を有する本発明の前駆体が得られる。
一般式(6)で表される化合物のR5およびR6がいずれも
水素原子の場合には、反応性が良好であり、原料コスト
も安価となり好ましい。また得られる前駆体もカルボン
酸のところがエステルとなっているため熱的で安定で、
単離乾燥という操作により反応がすすまないので固体粉
末として分離でき、またこれにより精製も容易であると
いう特徴を有するものとなる。
以上説明したような方法により本発明の前駆体が製造さ
れるが、一般式(1)で表される繰返し単位のR3および
R4がいずれも水素原子の場合には、前記のごとき方法に
よらずに直接一般式(4)で表されるテトラカルボン酸
ジ酸無水物に、一般式(7): R7−NH−R2−NH−R6 (7) (式中、R7,R8は前記と同じ)で表される化合物を反応
させることにより、一般式(3)で表される繰返し単位
を有する本発明の前駆体が得られる。
前記一般式(7)で表される化合物の具体例としては、
たとえば (前記式中のR7,R8の具体例としては、 CH3(CH2n-1−(=12〜30)、CF3(CH215−、H
(CF2(CH215−、H(CF2(CH213−、H
(CF2(CH2−,H(CF2(CH2−など)な
どあげられる。
一般式(4)で表されるテトラカルボン酸ジ酸無水物と
一般式(7)で表される化合物と反応させる際の条件
は、通常のポリアミック酸を製造する際の条件とほぼ同
様でよく、たとえばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−
ジメチルホルムアミドなどの実質的に無水の有機極性溶
媒中、反応温度50℃以下、好ましくは室温で、一般式
(4)で表されるテトラカルボン酸ジ酸無水物1モルに
対して一般式(7)で表される化合物を0.8〜1.2モル反
応せしめられる。
このようにして得られる一般式(3)で表される繰返し
単位を有する本発明の前駆体は、製造が容易であるだけ
でなく、LB法で製膜でき、加熱によりポリイミドを与え
るという特徴を有するものである。
また、先に説明された共重合体については、両性ポリイ
ミド前駆体の製法と同様の方法によって作ることができ
る。
以上のように製造された両性ポリイミド前駆体について
は分離精製して製膜材料としても、製造後必要ならクロ
ロホルム、ベンゼンなどを添加して直接製膜用溶液とし
てもよい。
本発明のポリイミド前駆体薄膜を製膜する方法について
述べる。溶剤キャスト法、スピンコート法、ラングミュ
ア・ブロジェット法があり、ラングミュア・ブロジェッ
ト法が配向した数10Å単位で厚みの制御されたピンホー
ルの少ない薄膜をえる方法として好ましい。
溶剤キャスト法、及びスピンコート法によるばあい、本
発明のポリイミド前駆体あるいはその混合物をベンセ
ン、クロロホルム、エチルエーテル、酢酸エチル、テト
ラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチ
ルアセトアミドなどの溶剤にとかし、基板上ち塗布など
すればよく、分子を配向させることはできないが、膜厚
が1000Å程度より厚いばあいにピンホールのない良質な
膜がえられる。
次にこれまで述べた前駆体を用い、ラングミュア・ブロ
ジェット法によって基板上に累積し、それに続いてイミ
ド化反応を行う方法について述べる。
本発明の前駆体を用いたLB膜の製法としては、該前駆体
を水面上に展開し、一定の表面圧で圧縮して単分子膜を
形成し、その膜を基板上にうつしとる方法であるLB法の
ほか、水平付着法、回転円筒法などの方法(新実験化学
講座第13巻、界面とコロイド、498〜508頁)などがあげ
られ、通常行われている方法であれば特に限定されるこ
となく使用し得る。
一般にLB膜を形成させる物質を水面上に展開する際に、
水には解けない気相中に蒸発してしまうベンゼン、クロ
ロホルムなどの溶媒が使用されるが、本発明の前駆体の
場合には、溶解度をあげるために有機極性溶媒を併用す
ることが望ましい。このような有機極性溶媒としては、
たとえばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルア
セトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチ
ルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミ
ド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリド
ン、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルホスホ
ルアミド、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメ
チレンスルホンなどがあげられる。
ベンゼン、クロロホルムなどと有機極性溶媒とを併用す
る場合には、水面上へ展開するとベンゼン、クロロホル
ムなどは気相中に蒸発し、有機極性溶媒は大量の水に溶
解すると考えられる。
本発明の前駆体を水面上に展開する際に使用する溶液の
濃度には特に限定はないが、通常2〜5×10-3M程度が
用いられ、良好な製膜性を得るために金属イオンの添加
やpH調整は必ずしも必要ではなく、金属イオンの排除は
エレクトロニクス分野等で使う際に有利な点となると考
えられる。
また、本発明のポリイミド前駆体を基板上に累積する際
に、我々が先に提案したように公知のラングミュア・ブ
ロジェット膜化合物との混合物を使用すると製膜性能が
向上し、本発明の望ましい実施態様である。
公知のラングミュア・ブロジェット膜化合物とは、先に
引用された文献などにも記載され、当業界で公知の化合
物である。特に炭素数が16から22ぐらいの炭化水素基と
親水基とからなる下式の化合物が好ましい。
CH3(CH2n-1Z CH2=CH(CH2n-2Z CH3(CH2)lC=C−C=C(CH2mZ ここで、n=16〜22,l+m=n−5,Z=OH,NH2,COOH,CON
H2,COOR′(R′は低級脂肪族炭化水素基)等である。
製膜性の改善のためにはCH3(CH2n-1Zの式で表される
ものがコスト面ですぐれているが、不飽和結合を含むも
のは光や放射線などを照射することによって重合させる
ことができる特徴を有する。
これらから選ばれた少なくとも1つの化合物と高分子化
合物との混合比率については特に限定はない。また先に
挙げたポリイミド前駆体あるいは共重合体から選ばれた
2種以上混合して製膜することもできる。
本発明の前駆体を用いたLB膜を形成する基板には特に限
定はなく、形成されたLB膜の用途に応じて選択すればよ
いが、LB膜を加熱してポリイミドにして用いる場合には
耐熱性が良好であることが必要である。
前記のごとき基板の具体例としては、ガラス、アルミ
ナ、石英などのような無機の基板のほか、プラスチック
製の基板や、無機基板やプラスチック基板上に金属薄膜
を形成したもの、また金属製の基板やさらにはSi,GaAs,
ZnSのようなIV族、III−V族、II−VI族などの半導体、
PbTiO3,BaTiO3,LiVbO3,LiTaO3のような強誘電体製の基
板あるいは磁性体基板などがあげられる。
勿論、上記のような基板上の金属薄膜が応用に適したよ
うにパターン化されていてもよいし、Si,GaAs,ZnSのよ
うな半導体や、強誘電体製の基板が前もって加工され、
素子が形成されているものでもよい。
また、これらの基板は通常行われるような表面処理を施
して用いてもよいことはもちろんである。
本発明のポリイミド前駆体の場合には、ガラス、石英、
Si,SiO2などの表面には接着強度が弱い傾向があり、シ
ランカップリング剤、特にアミノ基やエポキシ基とアル
コキシ基を有するシランカップリング剤(例えばUCCの
A−1100やA−187など)で処理するか、アルミニウム
金属を含むキレートで処理し酸化アルミの層を形成させ
ると製膜特性や接着強度が改善され、本発明の好ましい
実施態様である。勿論、当業界で行われるように基板が
高級脂肪酸の金属で数層処理されてもよい。
本発明の前駆体を用いるとLB法で基板上に耐熱性、機械
的特性、耐薬品性、電気絶縁性の良好な薄膜を形成する
ことができ、さらにこの薄膜をイミド化させることによ
ってさらに耐熱性のすぐれた薄膜を得ることができる。
イミド化の方法については特に限定はないが、300〜400
℃近辺の温度で加熱するのが一般的であり、レーザー光
などを用いて行ってもよい。勿論ポリアミック酸のイミ
ド化の際に使用される無水酢酸やピリジンを使ってもよ
いし、またはそれらと熱反応とを併用してもよい。たと
えば一般式(2)で表される繰返し単位の場合には、 なる反応がおこり、また一般式(3)で表される繰返し
単位の場合には、 なる反応が起こってポリイミド化物となる。もちろん一
般式(8)で表されるポリアミック酸単位の場合にもH2
Oが生成してポリイミド化物となるが、この場合にはLB
膜用としての材料とはなり得ない。
また、R1,R2の少なくとも一方あるいは両方の一部を価
数の異なる基で置き換えた場合にもイミド化反応と同様
の条件で次のような反応が起こる。
特に後半の2例では耐熱性の高い骨格が導入されるの
で、耐熱性の改善のために好ましい。
以上のイミド化や閉環反応がおこるときに疎水化のため
に導入した基がアルコールとして脱離するが、この脱離
したアルコールは300゜〜400゜近辺の温度で必要ならガ
スの流れの下に置くか、真空下に置くことによって飛散
させることができるので非常に耐熱性で電気絶縁性のよ
いポリイミド薄膜を得ることができる。
また、製膜性を改善させるために使用された公知のラン
グミュア・ブロジェット膜化合物も、イミド化や他の閉
環反応の条件化、飛散させることができるものを先に挙
げた例の中から選ぶことによって非常に耐熱性で、電気
絶縁性の良いポリイミド薄膜を得ることができる。
以上述べたように、両性ポリイミド前駆体をラングミュ
ア・ブロジェット法により基板上に累積し、作られた基
板上のポリイミド前駆体薄膜は耐熱性、耐薬品性に優
れ、機械的特性も良好で、すぐれた電気絶縁性をもち、
その上10000Å以下という非常に薄い膜であり、5000Å,
2000Å,望むなら10〜1000Åにもし得るという特徴をも
っている。
実施例で示すように両性ポリイミド前駆体はラングミュ
ア・プロジェット法(垂直法)でも理想的なY型膜にな
ることが面積−時間曲線から明らかになるが、I/C(キ
ャパシタンスの逆数)対累積膜数プロットの直線性やX
線回折のデータから両性ポリイミド前駆体累積膜にLB膜
に期待される層状構造が存在することが示唆される。ま
たこの前駆体の薄膜がすぐれた膜厚制御性のほか良好な
耐熱性、誘電特性および電気絶縁性を有することも明ら
かである。
勿論、耐熱性という面では、ポリイミド前駆体薄膜を部
分的あるいは完全にイミド化あるいは閉環させることに
よってえられたポリイミド薄膜の方がすぐれているが、
電気絶縁性という点では芳香環の多いポリイミド薄膜よ
り長鎖アルキル基の残っているポリイミド前駆体の方が
優れているし、表面的な性質、例えば表面の疎水性を改
善する点からはポリイミド前駆体薄膜の方が優れてい
る。
さらにポリイミド前駆体薄膜のもつ反応性、即ち、化学
試剤、熱、光などに対する反応性は応用を考える上で興
味ある点である。
次にこの前駆体薄膜をイミド化することによって作られ
たポリイミド薄膜について述べる。このポリイミド薄膜
がすぐれた耐熱性をもつことは、参考例によって明らか
であるが、参考例3〜4のI/C(キャパシタンスの逆
数)対累積膜数プロットの直線性、損失係数の値および
I(直流)対V(電圧)の特性の結果からイミド化後も
優れた膜厚制御性を有し、両性ポリイミド前駆体の累積
膜数によってポリイミド薄膜の膜厚が制御できるうえ
に、層状構造の存在が推定されるとともに、このポリイ
ミド薄膜が良好な誘電特性および電気絶縁性を有するこ
とが明らかになった。
特に本発明によって1000Å以下のポリイミド薄膜でも1
×106V/cm以上の絶縁破壊強度をもつようにできること
が明らかになた。この方法によって10000Å程度の良好
な物性をもった膜を実現することはできるが、LB膜の製
膜コストを考えると薄い膜の方が安価であり、応用面で
も他の方法ではできない薄い膜に興味がある。すなわ
ち、2000Å以下、さらには1000Åの膜や数100Å,50〜10
0Å程度の膜に新しい興味がある応用可能性があるが、
そのような膜厚で1×106V/cm以上の絶縁破壊強度を実
現するのは困難であった。しかしながら本発明の方法に
よればエレクトロニクス分野で十分使用可能な1×106V
/cm以上の絶縁破壊強度をもつポリイミド薄膜を実現で
きることが明らかになった。中でも50Å程度から数百Å
程度の薄膜では、特異な膜厚の効果、例えばトンネル効
果が期待され、それを利用した多くの興味ある応用が可
能となる。
このように薄いポリイミド膜を作成する方法としてはス
ピンコート法や蒸着法があるが、1μm以上の厚みでも
1×106V/cm以上の絶縁破壊強度を達成するのは非常な
技術を必要とし、1000Å以下の厚みで1×106V/cm以上
の絶縁破壊強度のポリイミド薄膜を作成することは現在
の技術では困難であることが理解されるべきである。
以上述べたように両性ポリイミド前駆体をラングミュア
・ブロジェット法により基板上に累積し、作られた基板
上の薄膜は、耐熱性、機械的特性、耐薬品性も良好で、
すぐれた電気絶縁性をもち、そのうえ、10000Å以下と
いう非常に薄い膜であり、5000Å,2000Å,望むなら10
〜1000Åにもしうるという特徴をもっている。
特に1000Å以下、数100Å,50〜100Å程度でも良好な物
性とりわけ絶縁破壊強度については1×106V/cm以上高
いレベルを実現できるので種々の電気・電子デバイスな
どの複合物品の中に使用することができる。中でも50Å
程度から数100Å程度の薄膜では、特異な膜厚の効果、
例えばトンネル効果が期待され、それを利用した多くの
興味ある電気・電子デバイスが可能となる。
次に本発明の複合物品について述べる。
以上説明した薄膜は、耐熱性、耐薬品性、機械的特性が
すぐれ、非常に薄い膜であるという特徴を生かしてエレ
クトロニクス分野、エネルギー変換や物質分離など広範
な分野で使うことができる。
導電性、光導電性、光学特性、絶縁性、熱特性や化学反
応性を生かしたエレクトロニクス分野での複合物につい
てまず電気・電子デバイスについて述べる。
第1に重要な両性ポリイミド前駆体の薄膜を含んだ電気
・電子デバイスは金属/絶縁膜/半導体構造(以下MIS
という)のデバイスであり平面エレクトロニクスデバイ
スや集積回路の基本となる構造である。
第1〜7図が代表的模式図である。第1図は半導体基板
に絶縁膜として本発明の薄膜を形成させその上に金属電
極を設けたものである。Si,GeなどのIV族半導体GaAs,Ga
PaなどのIII−V族半導体、CdTe,CdS,ZnS,ZnSe,CdHgTe
などのII−VI族半導体を使用することによって例えば太
陽電池のような光電変換素子LED,EL,フォトダイオード
のような発光素子、受光素子、光検出素子の他ガスセン
サ、湿度センサのような各種トランスデューサーを構成
することができる。勿論本発明の半導体としては単結
晶、多結晶あるいはアモルファスいずれが選ばれてもよ
い。
第2図は第1図と同等であるが1つの基板上に2個以上
の素子を作る場合にこのような電極がつけられる。この
ような構成によってCCD(Charge−coupled devices)の
ような電荷移動型デバイスが作られ興味ある応用であ
る。
次に第3図は電極(透明電極であってもよく、勿論パタ
ーン化されていてもよい)をもつ絶縁基板上に、半導体
が多くの場合は半導体薄膜が形成され、その上に本発明
の薄膜電極が設けられた構造になっている。第4図は薄
膜が絶縁基板側電極と半導体薄膜と間に設けられている
点に第3図と違いがある。半導体薄膜は分子線エピタキ
シ(MBE)、有機金属気相成長法(MOCVD)、原子層エピ
タキシ(ALE)、蒸着法、スパッタ法、スプレーパイロ
リシス法、塗布法など通常半導体薄膜を作製するのに使
われる方法で作られ限定されない。半導体としては先に
第1・2図で挙げたものを同様に使うことが出来、作ら
れるデバイスも同様である。
第4図の構成では両性ポリイミド前駆体の薄膜の上に半
導体薄膜が形成されるので形成時の熱が薄膜の耐熱性を
越えると望ましくないが、閉環後の薄膜ではアモルファ
スシリコン等は充分累積できるし、その他の半導体も低
温形成技術が進んでいるので今後、多くの半導体が使え
るようになるであろう。
MIS構造デバイスのもっとも重要なデバイスの構造は第
5・6図で代表的に表わされるゲート電極でチャネル電
流を制御して駆動するタイプのいわゆる電界効果トラン
ジスター(FET)構造をもつものである。第5図は半導
体基板を使っているのに対し、第6図では絶縁基板上に
形成された半導体、多くの場合半導体薄膜を使っている
違いがある。
MISFETはデバイスの基本型の1つであり、これにより種
々のデバイスを作ることが出来る。大面積基板上に作れ
ば液晶ディスプレイを駆動させる薄膜トランジスターや
集積度を上げれば集積回路を構成できる。
他の興味ある応用は第5・6図でゲート電極をとりはず
した構造であり、絶縁膜あるいは、それと併用して、イ
オン、ガスや活性物質に感応する膜をつけることによ
り、イオン感応FET(ISFET)やガス感応EET(ChemFE
T)、免疫FET(IMFET)、酵素FET(ENFET)を構成でき
る。
動作原理はイオンやガス活性物質がゲート絶縁膜表面と
作用することによる電界効果によって説明できるが、本
発明のような薄膜を用いる場合には、その上に種々の有
機物で、さらに修飾する際に従来の無機物にくらべて有
利となる。特に、そのアルキル基(疎水性)部分とタン
パク質の疎水性部分との相互作用を利用できる。
第7図はISFETの例で石英基板上に半導体膜が図のよう
に形成され、その上に絶縁膜とイオン感応膜を設けた構
造となっている。この絶縁膜としてして本発明の薄膜を
用いることが出来る。
MIS構造のデバイスを構成するときの半導体として通
常、良好な絶縁膜を酸化などの方法で形成するのが難し
いIII−V、II−VI族などの化合物半導体を使う場合が
本発明の好ましい実施態様であり、GaAsの場合にはFET
を形成する場合、上記の問題点からMetal−Semiconduct
or FET(MESFET)の形で実用化されているが、MIS構造
にすることによって性能の向上が期待される。
GaAsを使ってMIS集積回路を構成すると駆動電圧を下げ
る効果のほか、GaAs半導体中でのキャリヤ・モビリティ
ーの大きさを利用した高速で動作する集積回路(HEMT)
を非常に簡単な方法で作ることが出来る。
第2に重要な本発明の薄膜を含んだ電気・電子デバイス
は金属/絶縁膜/金属(以下MINという)構造のデバイ
スである。
第8〜10図が模式図である。絶縁基板あるいは半導体基
板をもちい、その上に金属、絶縁膜、金属の順に形成さ
れる。
第8図はキャパシターの構造であり、キャパシタンスの
湿度による変化を追跡すれば湿度センサーとなる。又こ
の構造によってMIM構造のトランジスターを作ることも
出来る。
第9図のようにすれば熱電子トランジスターを構成でき
る。
第10図のように半導体或は半導体デバイス上にキャパシ
ターを作ることによってVLSIのメモリセルのキャパシタ
ーとして使うことができる。
第10図の構成で熱電子を半導体中に注入するようなタイ
プのデバイスも作成できる。
さらに金属のかわりにNbのような起電導体を使うことに
よりジョセフソンジャンクション(JJ)デバイスを作る
ことも可能である。
第3の両性ポリイミド前駆体薄膜を含んだ電気・電子デ
バイスは絶縁膜/金属構造(IM構造)のデバイスであ
り、第11図で模式的にあらわされる。もっとも単純なも
ので金属の上に絶縁膜として本発明の薄膜を形成するこ
とによりえられる。
1つの応用は液晶配向膜であり、パターン化した電極通
常はITOなどの透明電極の上に本発明の薄膜を形成する
ことによってえられる。
次の応用は図12,13独立した2つの電極上に本発明の薄
膜を形成することにより湿度、ガスなどのセンサーとし
て使うことができる。
以上両性ポリイミド前駆体薄膜を含んだ電気・電子デバ
イスについて述べたが他の応用例は前記に挙げた文献の
中に特にP.S.Vincett,G.G Robertsの総説(Thin Solid
Flims 68 135〜171(1980)に求めることができる。
その他の半導体デバイス・化合物半導体デバイスについ
てはE.S.Yang,Fundamentals of Semiconductor Devices
MaGraw−Hill,1978今井ら編著、化合物半導体デバイス
[I][II]工業調査会(1984)の成書を参考にするこ
とができる。
次に、電気・電子デバイス以外の複合物品について述べ
る。
色素を含む薄膜や、TeOxなど無機薄膜にビット形成や相
変化をさせることにより、その変化を0,1で光学的に読
み出す記録方式の採用が進んでいる。本発明の薄膜は
光、熱特に通常光学記録に使われるレーザー光によって
反応をおこし、薄膜の厚みの変化が生じビットが形成さ
れること又この反応によって薄膜の屈折率も変化するの
で、これを利用した光学記録が可能であることが示唆さ
れる。
両性ポリイミド前駆体の薄膜は熱に対して反応性がある
ことは、これまでの説明で明らかであるが、この反応性
を利用して熱的に閉環した部分としない部分をつくり、
しない部分を溶剤で除去することによってパターン化す
ることが出来る。残った部分は、耐熱性、機械的強度、
耐薬品性にすぐれているのでレジスト膜として使用する
ことができる。
そのほか、ウエイブガイド用のクラッド材あるいは光学
回路成分としても応用が考えられる。
レジストで述べた方法によってパターン化し、光学回路
を形成することもできる。本発明の薄膜の場合、厚みの
正確なコントロールと化合物を変えることによって屈折
率の調整が出来る。このことは光学回路成分としての重
要な要件である。
あらゆる分野での保護用コーティング材料としても好適
であろうし、一般的にLB膜の分野で使われる機能性のLB
材料と脂肪酸の混合膜、積層膜の手法を、本発明の混合
物を脂肪酸のかわりに使うことによって種々の機能性を
発現でき、これを使った用途が考えられる。例えば色
素、酵素を含んだ膜を作成することによって、光電変換
素子やバイオセンサーを作ることができる。
また、この薄膜を使った物質分離の分野での用途も考え
られる。
最近、多孔質フィルム基板上に微細な孔をもつ薄膜を形
成して、それを物質分離に使用する試みがさかんになっ
ている。
本発明の薄膜を必要なら公知のラングミュア膜材料の存
在する条件でつくり、そのあと除去することによって微
細な孔をもつ薄膜が形成できる。
たとえばポリイミド多孔質フィルム上にポリイミド前駆
体構造をもつ化合物を必要ならステアリルアルコールの
存在する条件で製膜し、そのあとベンゼン等で洗い流す
ことによって微細な孔をもつポリイミド前駆体薄膜をポ
リイミド多孔質フィルム上に作ることが出来る。
次に本発明の両性ポリイミド前駆体薄膜及びそれを含む
複合物品を実施例に基づき説明する。
両性ポリイミド前駆体薄膜製造 参考例1 ピロメリット酸ジ無水物2.18g(0.01モル)とステアリ
ルアルコール5.40g(0.02モル)とをフラスコ中、乾燥
チッ素流通下、約100℃で3時間反応させた。
得られた反応物をヘキサメチレンホスファミド40ccに溶
解して0〜5℃に冷却してチオニルクロライド2.38gを
約5℃で滴下し、滴下後約5℃で1時間保持し、反応を
終了させた。
そののちジメチルアセトアミド50ccに溶解させたジアミ
ノジフェニルエーテル2g(0.01モル)を0〜5℃で滴下
し、滴下後約1時間反応させたのち、反応液を蒸留水60
0cc中に注いで反応生成物を析出させた。析出物を濾過
し、約40℃で減圧乾燥して約9gの淡黄色粉末を得た。
得られた粉末について1Rスペクトル分析、熱分析(TGA
−DTA)、GPCによる分子量測定を行った。
IRスペクトル分析 KBrディスク法で測定したIRスペクトラムを第14図に示
す。IRスペクトルにはエステル、アミドI吸収帯、II吸
収帯、III吸収帯、アルキル鎖およびエーテルの特徴的
な吸収があらわれている。
熱分析(TGA−DTA) 理学電機(株)製RTG−DTA(H)タイプでフルスケール
でTGA10mg,DTA100μV,温度1000℃で昇温10℃/min,窒素
気流(30ml/min)中で測定した結果を第15図に示す。
TGAには271,318,396,592℃の変曲点があり、DTAには657
℃付近に特徴的なピークがある。
また、第16図は得られた前駆体を400℃まで10℃/minで
昇温し、400℃に1時間保ったのち室温までもどし、10
℃/minで1000℃まで昇温したときの結果を示す。
400℃に1時間保つことによってほぼ重量は恒量に達
し、ポリイミド化反応が集結する。これを室温にもどし
て再び昇温しても重量変化は450℃をすぎるまでなく、
ポリイミドフィルムの示す熱分解温度と同じ584℃で熱
分解が始まることが明らかになり、ポリイミド化の反応
を集結することによりポリイミドフィルムと同様の耐熱
性のものが得られることがわかる。
GOPによる分子量測定 N,N−ジメチルアセトアミド溶媒で測定されたGPCの結果
をポリスチレン標準サンプルと比較することによって算
出された数平均分子量は約50,000であった。
実施例1 参考例1の生成物55.1mgを蒸留したクロロホルム/ジメ
チルアセトアミド=8/2(容量比)の混合液に溶解して2
5mlの溶液にしたLB膜用展開液を調整した。
得られた展開液を用いて再蒸留水上、20℃で表面圧πと
繰返し単位(Unit)当たりの面積との関係を測定したと
ころ、第17図に示す結果が得られた。75Å2/unitぐらい
から表面圧は急激に立ち上がり、良好な凝縮膜を形成し
た。極限面積は60Å/unitであり、崩壊圧力も55dyne/cm
と高分子膜として非常に高い値を示した。また表面圧を
25dyne/cmに保って膜を水面上に保持しても2時間にわ
たって面積の減少が認められず、安定な膜であった。
次に水面上の膜の表面圧を20℃で20dyne/cmに保って累
積速度10mm/minでLB法でガラス基板あるいはCaF2板上に
90層累積させた。CaF2板上に形成された膜をFT−ART−I
R分析すると第18図のようなスペクトラムが得られ、参
考例1で得られた化合物の累積膜であり、面積−時間曲
線からY型膜であることが確認された。なお本実施例で
用いた水層にはCd イオンなどが含まれていないにもか
かわらず90層の累積膜のX線回折法による分析ではピー
クが2θ=4.65゜に一本だけ観測された。
ブラッグ回折条件 nλ=2d sinθで、n=3,λ=1.54
18Åとしたときのd(一層の膜厚)は28.5Åと計算さ
れ、両性ポリイミド前駆体において長鎖アルキル基が垂
直に立っているとしたときの値とほぼ一致する。
さらに該累積膜を400℃で1時間加熱することによっ
て、α、β−不飽和5員環イミドが生成することがFT−
ATR−IR分析による1790cm-1、1710cm-1のピークにより
確認された。
なお参考例1の生成物を400℃で1時間加熱すると58%
(重量%、以下同様)の減少がおこり、イミド化するこ
とが赤外線吸収スペクトル分析などにより確認されてい
る。前記の重量減少はイミド化によりステアリルアルコ
ールが消失する場合の計算値58.1%ともよく一致した。
比較例1 参考例1と同様にしてステアリルアルコールの代わりに
n−デシルアルコール(n−C10H21OH)を用いてポリミ
ド前駆体を合成した。
このポリイミド前駆体はIRスペクトル分析、熱分析、GP
Cによる分子量測定の結果、ほぼ実施例1のポリイミド
前駆体と同じ特徴を有するものであったが、表面圧面積
曲線の測定結果は第19図に示すとおりであり、液体膨張
相のみで凝縮相の存在を示さなかった。従って炭素数10
のアルキル基を用いたものでは安全な凝縮相を得るため
には短すぎることが明らかとなった。
参考例2〜4 参考例1と同様にしてステアリルアルコールのかわり
に、炭素数12、14、16のラウリルアルコール、ミリスチ
ルアルコール、セチルアルコールを用いてポリイミド前
駆体を合成した(それぞれ参考例2〜4に相当)。
炭素数12、14のアルコールを用いた場合には炭素数10と
18との中間的な挙動を示したが、水相を5℃程度にする
と安定な凝縮層が得られた。
炭素数16のアルコールを用いたものでは炭素数18の場合
のものと同様安定な凝縮膜を作ることが明らかになり、
実施例1と同様の方法で累積膜をえることが出来た。
参考例2 ピロメリット酸ジ無水物10.91gとステアリルアルコール
27.05gを120℃で3時間反応させ、生成物を200mlエタノ
ールで再結晶して融点133〜137℃のジステアリルピロメ
リテートを得た。
このジステアリルピロメリテート3.79gを60ccのヘキサ
メチレンホスファミドに溶解して5℃に冷却してチオニ
ルクロライド1.19gを約5℃で滴下し、滴下後約1時間
保持し、反応を終了させた。その後ジメチルアセトアミ
ド30ccに溶解させた1.2gのジアミノジフェニルエーテル
を約10℃で滴下し、約20℃に反応温度をあげて2時間反
応させた後、400ccのエタノールに注いで反応生成物を
析出させた。析出物をロ過、40℃で乾燥して約3.4gの淡
黄色粉末を得た。
IRスペクトル分析、熱分析(TGA−DTA)、GPCによる分
子量測定を行ったところ下記の結果が得られた。
IRスペクトル分析 MBrディスク法でとられたIRチャートは図20のようでエ
ステル、アミドI、II、III、アルキル鎖およびエーテ
ルの特徴的な吸収があらわれた。
熱分析(TGA−DTA) 理学電機(株)製RTG−DTA(H)タイプでフルスケール
TGA10mg,DTA100μV,温度1000℃で昇温10℃/min,窒素気
流(30ml/min)中で測定された結果が図21のとおりであ
る。TGAには203、270、354、403、580℃に変曲点がある
が、DTAには特徴的なピークは存在しない。
GPCによる分子量測定 クロロホルム、N,N−ジメチルアセトアミド(8:2)混合
溶媒で測定された数平均分子量はポリスチレン換算で約
15,000であった。
参考例5 参考例2の生成物55.1mgを蒸留したクロロホルム/ジメ
チルアセトアミド=8/2(容量比)の混合液に溶かして2
5mlのLB膜用展開液を調製した。
再蒸留水上、20℃で表面圧と繰返し単位当たりの面積と
の関係を測定したところ、第22図に示す結果が得られ
た。65Å2/unitぐらいから表面圧は急激に立ち上がり、
良好な凝縮膜を生成した。極限面積は約55Å2/unitであ
り、崩壊圧は45dyne/cmであった。(図22−A) 上記の溶液と同じモル濃度のステアリルアルコールの溶
液を同じ容量まぜ合わせ、参考例2の生成物の繰返し単
位の数とステアリルアルコールの分子数の合計が図22−
Aと等しくなるようにして表面圧面積曲線を評価したと
ころBのような結果が得られた。ステアリルアルコール
の添加により曲線の立ち上がりがさらに急になり、崩壊
圧も約60dyne/cmに上昇して、膜が安定化していること
がわかる。
アルミニウムを蒸着したガラス基板(シランカップリン
グ剤A−1100或いはA−187を処理したガラス基板)上
への累積は、ステアリルアルコールを添加するしないに
かかわらずY型であり、良好な累積膜が得られた。
さらに参考例2の生成物とステアリルアルコールの1:1
(モル比)の混合物をゲルマニウム基板上に累積し、40
0℃、窒素気流下、1時間加熱すると、FT−ATR−IR法に
よりステアリル基の消失と1790、1710cm-1の5員環イミ
ドの出現が観測された。
参考例6 参考例5と同様にスレアリルアルコールのかわりに、ス
テアリン酸、ω−ヘプタデセン酸、オクタデカンを用い
て表面圧面積曲線を評価したところ、いずれの場合もス
テアリルアルコールの場合と同じように曲線の立ち上が
りが急になり、崩壊圧も上昇することがわかった。
ステアリン酸、ω−ヘプタデセン酸の崩壊圧はステアリ
ルアルコールとほぼ同じで、オクタデカンよりも優れて
いた。
また、ステアリン酸、ω−ヘブタデセン酸、オクタデカ
ンを添加した膜は、アルミニウムを蒸着したガラス基板
上へY型で累積され、良好な累積膜が得られた。
参考例7 参考例1の化合物を使って、0.5mm巾のアルミニウム電
極をもつガラス基板上に同様の条件で1,3,5,7,9層の両
性ポリイミド前駆体の累積膜を作成した。これを1夜間
デシケータ中で乾燥後、前記アルミニウム電極に直交す
るように0.1mm巾のアルミニウム電極を蒸着してキャパ
シタンスを周波数1KHzで室温で測定した。キャピシタン
スの逆数を累積膜数に対してプロットしたものが第23図
である。バーは10ケのデータのバラツキを示している。
1層膜については損失係数が0.20程度あるが、5層以上
の膜については0.02以下となり良好な性能を示した。
参考例3 参考例の化合物とステアリルアルコール1:1(モル比)
の混合物を使って11,21,31,41,51層の累積膜を作成し
た。基板としてシランカップリング剤A−1100(1%)
を処理したガラス基板の0.5mm巾のアルミニウム電極を
蒸着したものを使用した。
累積後1夜間乾燥して400℃、窒素流通下1時間処理し
て、前記アルミニウム電極と直交するように0.1mm巾の
アルミニウム電極を蒸着してキャパシタンスを周波数1K
Hzで室温で測定した。
キャパシタンスの逆数を累積膜数に対してプロットした
ものが第24図である。バーはデータ10ケのバラツキを示
している。損失係数はいずれも0.02程度であった。
参考例4 参考例3と同様にして、11,21,31,41,51,101,151層の累
積膜をつくり、400℃窒素気流下1時間加熱して、デバ
イス面積0.18cm2のアルミ/ポリイミド薄膜/アルミデ
バイスを作成した。
それぞれのポリイミド薄膜の膜厚は約50,100,150,200,2
50,500,700Åである。これらのサンプルそれぞれ10ケづ
つについて1×106V/cm,2,3,4,5×106V/cmの電界をかけ
たが絶縁破壊を起こさなかった。これにより1×106V/c
m以上の絶縁破壊強度を持つことが明らかになった。
参考例5 参考例3と同様にしてポリイミド薄膜約100Åで、デバ
イス面積0.18cm2のアルミ/ポリイミド薄膜/アルミデ
バイスを作成し、I−V特性を評価した。結果は図12,1
3のとおりである。
0.5×106V/cmまでの電界ではオーム性の導電性を示し、
それ以上ではlnI∝V1/2に従う導電性を示すことが明ら
かになった。また図25,26から明らかなように本発明の
ポリイミド薄膜は106V/cmばかりでなく、107/cmの電界
にも耐え得ることが、図26の実験後に繰返し測定された
データも、ほぼ1回目の結果を再現していることから明
らかになった。
発明の効果 本発明によるとLB膜法により製膜できるように修飾され
たポリイミド前駆体が、水面上で安定な膜を形成し、基
板上に良好に累積を行うことによって耐熱性が良好で耐
薬品性、機械的特性のよい絶縁破壊強度にすぐれた一般
的には作成が難しい厚み、すなわち10,000Å以下、望む
なら10〜1000Åの超薄膜を含む種々の複合物品を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第7図は代表的なMIS構造デバイスの模式図で
あり、第8〜10図はMIM構造、第11〜13図はIM構造のそ
れである。 第14図は実施例1でえられた前駆体のIRスペクトラム、
第15図は参考例1でえられた前駆体の熱重量分析(TGA
−DTA)結果を示すグラフ、第16図は参考例1でえられ
た前駆体を室温から400℃まで昇温し、そこに1時間保
って、室温まで下げ、さらに1000℃まで昇温したときの
熱重量分析(TGA−DTA)結果を示すグラフ、第17図は参
考例1でえられた前駆体を実施例1にしたがって水面上
に展開したばあいの表面圧と繰返し単位当りの面積との
関係を測定した結果を示すグラフ、第18図は前記水面上
に展開した膜をCaF2板上へLB法で累積したもののFT−AT
R−IRの測定結果を示すスペクトラム、第19図は比較例
1でえられた前駆体の表面圧と繰返し単位当りの面積と
の関係を測定した結果を示すグラフである。 第20図は参考例2で得られた前駆体の赤外吸収スペクト
ル、第21図は熱分析の結果である。第22図は参考例2で
得られた前駆体とそれをステアリルアルコールとモル比
で1:1に混合した場合の表面圧、面積曲線である。 第23図は前駆体の累積膜のキャパシタンスの逆数と累積
膜数、第24図はイミド化したのちのポリイミド薄膜のキ
ャパシタンスの逆数を前駆体累積膜数に対してプロット
したものである。 第25,26図はポリイミド薄膜のI(電流)対V(電圧)
特性である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1): (式中、R1は少なくとも2個の炭素原子を含有する4価
    の基、R2は少なくとも2個の炭素原子を含有する2価の
    基、R3、R4、R5およびR6はいずれも炭素原子数1〜30の
    1価の脂肪族の基、1価の環状脂肪族の基あるいは芳香
    族の基と脂肪酸の基とが結合した1価の基、それらの基
    がハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、メト
    キシ基、アセトキシ基で置換された基または水素原子で
    あり、R3、R4、R5およびR6の少なくとも1個、好ましく
    は2個は炭素原子数1〜11の前記の基または水素原子で
    はない)で表わされる繰返し単位を有する両性ポリイミ
    ド前駆体の薄膜を絶縁膜としてMISまたはMIM構造中に含
    むことを特徴とする電気電子デバイス、液晶配合膜付き
    基板、レジスト膜付き基板、および保護用コーティング
    膜付き基板から選ばれた複合物品。
  2. 【請求項2】前記薄膜は、前記両性ポリイミド前駆体単
    独または公知のラングミュア・ブロジェット膜化合物と
    の混合物をラングミュア・ブロジェット法によって累積
    したものである第1項の複合物品。
  3. 【請求項3】第1および第2の有機基R1およびR2のいず
    れか一方または両方が少なくとも6個の炭素を有するベ
    ンゼノイド基である第1項ないし第2項の複合物品。
  4. 【請求項4】炭化水素有機基R3が、脂肪族基、環状脂肪
    族と脂肪族の結合した基、または芳香族と脂肪族の結合
    した基、またはそれらの置換体を含有している第1項ま
    たは第2項の複合物品。
  5. 【請求項5】繰返し単位がヘテロ原子を含む5員環また
    は6員環を生成する前駆体構造を備えている第1項ない
    し第4項のいずれかの複合物品。
  6. 【請求項6】前記炭化水素含有基R3の炭素数が16〜22で
    ある第1項ないし第5項のいずれかの複合物品。
  7. 【請求項7】公知のラングミュア・ブロジェット膜化合
    物が炭素数16から22の炭化水素基と親水性基からなる化
    合物である第2項ないし第6項のいずれかの複合物品。
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