JPH0711744Y2 - 加工布折曲げ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は加工布の周縁部に折り目を形成可能な加工布
折曲げ装置に関する。

［従来の技術］ 従来、この種の装置としては、例えばこの出願と同一の
出願人による実開昭63−91275号公報に記載されたもの
がある。この装置では、第４図（ａ）に示すように、支
持板24にポケット片Ｐを載置した後、折曲げ押え板28を
支持板24に重ね合わせて、ポケット片Ｐの周縁部を支持
板24外周に沿って下方へ折曲げ、第４図（ｂ）に示すよ
うに、折曲げ片支持体32に設けた複数の折曲げ片35をそ
れぞれエアシリンダ36によって支持板24の外側方から下
方へ向って移動させることにより、ポケット片Ｐの下方
折曲げ部分を支持板24の裏面側へ折曲げるようになって
いる。

そして、上記の装置では、支持板24及び各折曲げ片35を
テーブル14上面よりも上方における折り込み位置に配置
した状態で、ポケット片Ｐの布厚に応じて折曲げ片35と
支持板24との折曲げ間隔Ｔが予め調整できるようになっ
ている。

［考案が解決しようとする課題］ ところが、前記間隔Ｔが広すぎて、折曲げ片35が折曲げ
片支持体32よりもテーブル14側へ突出している場合に
は、ポケット片Ｐの折曲げ動作後において支持板24、折
曲げ片35及びポケット片Ｐが一体的にテーブル14上面に
押圧される際に、折曲げ片35に大きな荷重が加わって変
形や損傷が発生したり、折曲げ片35が支持板24から側方
へ離間する際にポケット片Ｐの折曲げ部分が支持板24よ
りも外方へ膨らみ、折曲げが不完全になったりした。

又、前記の間隔Ｔが狭すぎる場合には、ポケット片Ｐの
折曲げ時に、支持板24に反りが生じたり、折曲げ片35が
ポケット片Ｐを介して支持板24に衝突してそれらに傷が
ついたり、折曲げ片35の離脱時に、その折曲げ片35との
摩擦によってポケット片Ｐの折曲げ部分が外側へ引っ張
られ、支持板24よりも外方へ膨らんでしまうという問題
があった。

更に、折曲げ片35は複数個設けられているため、上記の
調整作業によって、すべての折曲げ片35と支持板24との
間隔Ｔを均一に保つには長い時間を要し、極めて面倒で
あった。

上記の問題を解消するために、支持板24,折曲げ片支持
体32及び折曲げ押え板28を上下させるエアシリンダ（図
示略）の作動ストロークを調節することも考慮された
が、その場合には、ポケット片Ｐの折曲げ形状に応じ
て、それらの部材を交換使用する度に、ストローク調節
作業という面倒な作業を行う必要が生じる。

この考案は上記の事情に鑑みてなされたものであって、
その目的は布片の折曲げ部分における外観を良好に保つ
と共に、各部材の損傷を防止するため、折曲げ装置にお
ける各部材の位置調整作業を簡略化して、作業者の負担
を軽減することができる加工布折曲げ装置を提供するこ
とにある。

［課題を解決するための手段］ 上記の目的を達成するために、この考案の加工布折曲げ
装置は、テーブルの上方にて布片が載置される支持板
と、その支持板外周に沿って布片の周縁部を下方に折り
曲げるために前記支持板の周縁部を上方から覆うように
その支持板に重ね合わされる折曲げ体と、前記折曲げ体
を、前記支持板に重なり合う位置と、支持板から離間し
た位置とに切り換える第１の駆動体と、前記支持板の周
囲に配置可能な折曲げ片支持体と、その折曲げ片支持体
を、前記テーブル上において前記支持板を取り囲む位置
と、支持板から離間する位置とに切り換える第２の駆動
体と、前記折曲げ片支持体上に間隔をおいて配置され、
前記支持板の周縁部においてその下方へ突出されること
によって布片の下方折曲げ部に係合し、その下方折曲げ
部を支持板下面に沿って折り曲げる作用位置と、支持板
から離間する退避位置とに切換え可能な複数の折曲げ片
と、前記折曲げ片支持体上において前記各折曲げ片に対
応して配置され、各折曲げ片を前記作用位置と退避位置
とに切り換える第３の駆動体とを備える。そして、前記
支持体上に布片を載置した状態で、前記第１の駆動体に
よって、前記折曲げ体を動作させることにより、前記布
片の周辺部を下方に折り曲げ、前記第２及び第３の駆動
体によって前記折曲げ片支持体及び各折曲げ片を動作さ
せることにより、前記布片の周縁部を前記支持板の下面
に沿って折り曲げるようになっている。この装置では更
に、前記折曲げ片支持体が前記支持板を取り囲む位置に
配置された時に前記各折曲げ片の上面と前記支持板下面
との間に形成される間隔を調節するため、前記折曲げ片
支持体の配置切り換えに伴って、前記テーブルに係脱す
るとともに、前記折曲げ片支持体からテーブルに向かう
突出量を調節可能な押え片を備えた複数の調節装置が、
前記折曲げ片支持体の外周部に間隔を隔てて配設されて
いる。

［作用］ 支持体上に布片が載置された状態で、折曲げ体により、
布片の周辺部が下方に折り曲げられる。次いで、折曲げ
片支持体及び各折曲げ片が動作されて、各折曲げ片によ
り、布片の周縁部が支持板の下面に沿って折り曲げられ
る。また、折曲げ片支持体の動作時において、それが支
持体を取り囲む位置に配置されたとき、調節装置の押え
片がテーブルに係合するとともに、各折曲げ片の上面と
支持板下面との間に間隔が形成される。押え片のテーブ
ルに向かう突出量を調節すれば、布片の厚みに応じて前
記間隔を調節することができる。

［実施例］ 以下、この考案を具体化した一実施例を図面に従って詳
細に説明する。

第３図に示すように、テーブル14上に設けたミシン11は
アーム部12とベッド部13とを備え、アーム部12には下端
に針16aを有する針棒16が上下動可能に支持されてい
る。ベッド部13内には針16aと共に縫目形成装置を構成
する糸輪補足器（図示略）が配設されている。

テーブル14上には送り腕17が第３図のX,Y方向へ移動可
能に配設され、その前部には針案内溝18を有する送り板
19が着脱可能に装着されている。そして、前身頃等の生
地Ｗ及びその生地Ｗに縫い付けられるポケット片Ｐは前
記送り板19によってテーブル14に押圧される。

第３図に示すように、テーブル14に突設した土台14aに
は支持部材20が支軸20aによって回動可能に支持され、
土台14aに装着されたエアシリンダ21の動作に基づいて
支持部材20が回動される。支持部材20の下面に装着され
たエアシリンダ22のピストン22aにはゲージ板支持体23
が装着されている。このゲージ板支持体23にはポケット
片Ｐが載置される支持板を構成すると共にポケット片Ｐ
の外形形状を決定するゲージ板24がその基端部にて着脱
可能に装着されている。

前記支持部材20に突設した一対の軸支部25には支軸26が
架設され、その支軸26には折曲げ押え板支持体27が回動
可能に装着されている。この支持体27には折曲げ押え板
28がその基端部にて着脱可能に装着されると共に、支持
部材20に設けたエアシリンダ29のピストン30が連結され
ている。

前記支軸26の両端に回動可能に設けた一対の支持ブロッ
ク31には板材によって平面略Ｕ字状に形成された折曲げ
片支持体32がその基端部にて着脱可能に装着されてい
る。前記折曲げ押え板28の外周に位置するように、折曲
げ片支持体32上には５個のエアシリンダ33が装着され、
それらのピストン34先端には取付け片34aがそれぞれ装
着されている。一方、各折曲げ片35の起立部分には上下
に延びる一対の長孔35aが形成され、各長孔35aを貫通し
て取付け片34aに螺合されたネジ34bによって各折曲げ片
35がエアシリンダ33に上下位置調節可能に装着されてい
る。

一方、各支持ブロック31の上端と支持部材20の両側部と
の間にはエアシリンダ36が配設され、その基端が支持部
材20に回動可能に連結されると共に、そのピストン37が
前記支持ブロック31の上端に連結されている。尚、前記
各エアシリンダ21,22,29,36によって、ゲージ板24,折曲
げ押え板28及び折曲げ片支持体32をテーブル14に対して
接近離間させるための駆動装置Ｅが構成されている。ま
た、各エアシリンダ29,36及び33によって第１、第２及
び第３の駆動体が構成されている。

そして、この実施例における加工布折曲げ装置及びミシ
ンを使用してポケット片Ｐを生地Ｗに縫い付ける場合に
は、テーブル14の上方において、駆動装置Ｅの作用によ
り、第４図（ａ）に示すように、折曲げ押え板28をゲー
ジ板24に重ね合わせて、ポケット片Ｐの周縁部をゲージ
板24の外周に沿って下方へ折り曲げる。そして、第４図
（ｂ）に示すように各折曲げ片35をゲージ板24の下方ま
で移動させてポケット片Ｐの周縁部をゲージ板24の下面
に重ね合わせるように折り曲げる。

次いで、第４図（ｃ）に示すように、駆動装置Ｅの作用
により、支持部材20と共に各部材24,28,32をテーブル14
上まで下降させる。引き続き、第４図（ｄ）に示すよう
に各折曲げ片35をポケット片Ｐから離脱させた後、第４
図（ｅ）に示すように、折曲げ片支持体32及び折曲げ押
え板28を上昇させ、それらをポケット片Ｐから離間させ
る。

この状態で、第３図に示す送り板19によりゲージ板24と
共にポケット片Ｐを生地Ｗ上に押圧する。次いで、第３
図に示すエアシリンダ22を動作させ、ゲージ板24を後方
へ移動してポケット片Ｐから離間させた後、送り板19を
針落下点まで移動させる。そして、ミシンが作動される
と共に、送り板19がX,Y方向へ移動されることにより、
ポケット片Ｐが生地Ｗに縫い付けられる。尚、この実施
例の加工布折曲げ装置は先に引用した実開昭63−91275
号公報に記載されたものと略同一であるので、これ以上
の説明を省略する。

次に、ポケット片Ｐの折曲げ精度を向上させるための装
置について説明する。

第１図〜第３図に示すように、折曲げ片支持体32上にお
いて、折曲げ片35用のエアシリンダ33の外側には４個の
間隔調節装置41が装着されている。即ち、各間隔調節装
置41に対応して折曲げ片支持体32には透孔42が形成さ
れ、各透孔42にそれぞれ跨がるように、折曲げ片支持体
32には取付け片43が両端部にてねじ止めされている。各
取付け片43には各取付け片43を貫通する調節ねじ44が上
下動可能に螺合されている。

この調節ねじ44の下端には前記透孔42内に位置すると共
に合成樹脂よりなる押え片45がねじ止めされ、又、上端
には操作つまみ46が取着されている。更に、調節ねじ44
の中間部には取付け片43上に位置するロックナット47が
挿通されている。

従って、この実施例では、第２図に示すように、ゲージ
板24及び折曲げ片支持体32をテーブル14上面よりも上方
の退避位置に配置した状態で、予め各折曲げ片35とゲー
ジ板24との間隔Ｔを、ピストン34に対する折曲げ片35の
取付け位置を調節することによって、大まかに調節す
る。その後、ゲージ板24及び折曲げ片支持体32をテーブ
ル14上に近接配置し、各操作つまみ46を回動操作して、
押え片45を折曲げ片支持体32からテーブル14側へ突出さ
せてその突出量を調節すれば、テーブル14上面と折曲げ
片支持体32上の折曲げ片35の下面との間隔を調整でき、
ひいてはゲージ板24の下面と折曲げ片35の上面との間隔
Ｔを調整できる。従って、前記間隔Ｔをポケット片Ｐの
厚みに応じて適切に調整することができる。

そのため、間隔Ｔが広くなりすぎて、折曲げ片35に大き
な荷重が加わり、その折曲げ片35の変形や損傷が発生し
たり、ポケット片Ｐの折曲げが不完全になることがな
い。

又、前記の間隔Ｔが狭くなりすぎて、ポケット片Ｐの折
曲げ時に、折曲げ片35がポケット片Ｐを介してゲージ板
24に衝突してそれらに傷や反りが生じたり、折曲げ片35
の離脱時に、その折曲げ片35との摩擦によってポケット
片Ｐの折曲げ部分が外側へ引っ張られ、ゲージ板24より
も外方へ広がってしまうという問題もなくなる。

更に、この実施例では、ポケット片Ｐの形状に応じてゲ
ージ板24,折曲げ押え板28及び折曲げ片支持体32を交換
する際に、それらを上下させるためのエアシリンダのス
トロークを調節するという面倒な作業を行う必要がな
い。

尚、この考案は前記各実施例に限定されるものではな
く、間隔調節装置41の装着位置及び数等を適宜に変更す
ることも可能である。

［考案の効果］ 以上詳述したように、この考案は折曲げ片支持体とテー
ブルとの間隔を調整することにより、折曲げ装置全体の
調整作業を簡略化して、作業者の負担を軽減することが
でき、しかも、布片の折曲げ部分における外観を良好に
保つと共に、各部材の損傷を招くおそれがないという優
れた効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図はこの考案は具体化した加工布折曲げ装
置の一実施例を示すものであって、第１図は平面図、第
２図は要部拡大断面図、第３図は斜視図、第４図（ａ）
〜（ｅ）は作用説明図である。 14……テーブル、24……支持板としてのゲージ板、28…
…折曲げ体としての折曲げ押え板、32……折曲げ片支持
体、35……折曲げ片、Ｅ……駆動装置、Ｐ……布片とし
てのポケット片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】テーブル（14）の上方にて布片（Ｐ）が載
   置される支持板（24）と、 その支持板（24）外周に沿って布片（Ｐ）の周縁部を下
   方に折り曲げるために前記支持板（24）の周縁部を上方
   から覆うようにその支持板（24）に重ね合わされる折曲
   げ体（28）と、 前記折曲げ体（28）を、前記支持板（24）に重なり合う
   位置と、支持板（24）から離間した位置とに切り換える
   第１の駆動体（29）と、 前記支持板（24）の周囲に配置可能な折曲げ片支持体
   （32）と、 その折曲げ片支持体（32）を、前記テーブル上において
   前記支持板（24）を取り囲む位置と、支持板から離間す
   る位置とに切り換える第２の駆動体（36）と、 前記折曲げ片支持体（32）上に間隔をおいて配置され、
   前記支持板（24）の周縁部においてその下方へ突出され
   ることによって布片（Ｐ）の下方折曲げ部に係合し、そ
   の下方折曲げ部を支持板（24）下面に沿って折り曲げる
   作用位置と、支持板（24）から離間する退避位置とに切
   換え可能な複数の折曲げ片（35）と、 前記折曲げ片支持体（32）上において前記各折曲げ片
   （35）に対応して配置され、各折曲げ片（35）を前記作
   用位置と退避位置とに切り換える第３の駆動体（33）と
   を備え、 前記支持体（24）上に布片（Ｐ）を載置した状態で、前
   記第１の駆動体（22）によって、前記折曲げ体（28）を
   動作させることにより、前記布片（Ｐ）の周辺部を下方
   に折り曲げ、前記第２及び第３の駆動体（36,33）によ
   って前記折曲げ片支持体（32）及び各折曲げ片（35）を
   動作させることにより、前記布片（Ｐ）の周縁部を前記
   支持板（24）の下面に沿って折り曲げるようにした加工
   布折曲げ装置において、 前記折曲げ片支持体（32）が前記支持板（24）を取り囲
   む位置に配置された時に前記各折曲げ片（35）の上面と
   前記支持板（24）下面との間に形成される間隔（Ｔ）を
   調節するため、前記折曲げ片支持体（32）の配置切り換
   えに伴って、前記テーブル（14）に係脱するとともに、
   前記折曲げ片支持体からテーブルに向かう突出量を調節
   可能な押え片（45）を備えた複数の調節装置（41）を、
   前記折曲げ片支持体（32）の外周部に間隔を隔てて配設
   したことを特徴とする加工布折曲げ装置。