JPH07117353A - 多色感熱記録材料 - Google Patents

多色感熱記録材料

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JPH07117353A
JPH07117353A JP5287693A JP28769393A JPH07117353A JP H07117353 A JPH07117353 A JP H07117353A JP 5287693 A JP5287693 A JP 5287693A JP 28769393 A JP28769393 A JP 28769393A JP H07117353 A JPH07117353 A JP H07117353A
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JP
Japan
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layer
color
recording material
heat
diazo compound
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JP5287693A
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English (en)
Inventor
Tomomasa Usami
智正 宇佐美
Masao Yabe
雅夫 矢部
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】色再現性に優れた記録画像の多色感熱記録材料
を提供すること。 【構成】支持体上に、少なくとも、ジアゾ化合物及び該
ジアゾ化合物と加熱により発色するカプラーを含有する
感熱記録層を2層以上設けた多色感熱記録材料であっ
て、支持体に近い下層に含有されるジアゾ化合物として
上層に含有されるジアゾ化合物よりも長波長側で光分解
されるジアゾ化合物を使用すると共に、感熱記録層と感
熱記録層の間に、粒子径が0.1μm以下の酸化亜鉛粒
子を含有する層を設けたことを特徴とする多色感熱記録
材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は多色感熱記録材料に関
し、特に記録画像の色再現性を改善した多色感熱記録材
料に関する。
【0002】
【従来技術】感熱記録方法は、使用する記録装置が簡便
であるにもかかわらず、信頼性が高い上メインテナンス
も不要であることから、近年目覚ましい発展を遂げ様々
な用途に応用されている。そこで最近、多色感熱記録材
料も開発され、熱記録によって多色画像やフルカラーの
画像を記録することも可能となるに至った。
【0003】一般に、多色感熱記録材料は、支持体上に
異なる発色色相の感熱記録層を多層に積層することによ
って製造される。このような記録材料に多色記録を行う
場合には、混色を防止し良好な多色画像を得る観点か
ら、異なる熱エネルギーにより各々異なる色相に発色す
る(色分画という)、ジアゾ化合物(発色剤)とカップ
リング成分(顕色剤)の組み合わせが用いられると共
に、記録工程中には記録後のジアゾ化合物を光によって
分解する工程(光定着)が組み込まれる(例えば、特開
昭61−40192号公報、特開昭61─40193号
公報等)。
【0004】しかしながら、一般に、光分解波長域の異
なるジアゾ化合物を選択したとしても、分解波長域が部
分的に重複しているために、光定着した場合、記録が済
んで定着すべき層に含有されているジアゾ化合物のみな
らず、次に記録しなければならない層に含有されている
ジアゾ化合物も部分的に分解されるので、多色画像の色
の再現性が悪くなるという欠点があった。
【0005】本発明者等は、上記の欠点を解決する記録
材料として、上層のジアゾ化合物の分解波長光のみを吸
収する光吸収剤を含有する中間層を設けた多色感熱記録
材料を既に提案した(特開平4−70376号公報)
が、光吸収剤による地肌着色との兼ね合いの調整が困難
であるという欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者等は
上記の光吸収剤について鋭意検討するうち、光吸収剤の
代わりに、粒子径が0.1μm以下の酸化亜鉛粒子を用
いることによって良好な結果を得ることができることを
見出し本発明に到達した。従って、本発明の目的は、地
肌汚れがない上、色再現性に優れた多色感熱記録材料を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は、
支持体上に、少なくとも、ジアゾ化合物及び該ジアゾ化
合物と加熱により発色するカプラーを含有する感熱記録
層を2層以上設けた多色感熱記録材料であって、支持体
に近い下層に含有されるジアゾ化合物として上層に含有
されるジアゾ化合物よりも長波長側で光分解されるジア
ゾ化合物を使用すると共に、感熱記録層と感熱記録層の
間に、粒子径が0.1μm以下の酸化亜鉛粒子を含有す
る層を設けたことを特徴とする多色感熱記録材料によっ
て達成された。
【0008】本発明の多色感熱記録材料に用いる、発色
成分であるジアゾ化合物(発色剤)とカプラー(顕色
剤)は、加熱による物質の接触に基づいて発色反応を起
こす物質である。本発明においては、上層の感熱記録層
から順次熱記録し、各熱記録後に、残存するジアゾ化合
物を光分解して定着する。従って、本発明においては、
上層に含有させるジアゾ化合物は、その層より下の層に
含有されジアゾ化合物より光分解波長域が長波長側の光
分解性のジアゾ化合物を使用する。
【0009】本発明に使用する光分解性のジアゾ化合物
とは、主に芳香族ジアゾ化合物を指し、更に具体的には
芳香族ジアゾニウム塩、ジアゾスルホネート化合物、ジ
アゾアミノ化合物等を意味する。これらの中でも、熱感
度の点から、特にジアゾニウム塩を使用することが好ま
しい。ジアゾニウム塩とは一般式Ar−N2 + - (式
中Arは芳香族部分を表し、N2 + はジアゾニウム塩、
-は酸アニオンを表す)で表される化合物である。こ
れらはAr部分の置換基の位置や種類によって様々な最
大吸収波長を持つ。
【0010】本発明で用いられるジアゾ化合物の具体例
としては、ベンゼンジアゾニウム(260nm)、4−
メトキシベンゼンジアゾニウム(313nm)、3−ク
ロロベンゼンジアゾニウム(264nm)、2−(4−
t−オクチル)フェノキシベンゼンジアゾニウム(35
8nm)、4−(4−t−オクチル)フェノキシベンゼ
ンジアゾニウム(311nm)、2−フェノキシ−5−
クロロベンゼンジアゾニウム(372nm)、4−アニ
リノベンゼンジアゾニウム(375nm)、4−ジヘキ
シルアミノ−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム
(370nm)、4−エチルヘキサデシルアミノ−2−
エトキシベンゼンジアゾニウム(368nm)、2−ク
ロロ−4−ジオクチルアミノベンゼンジアゾニウム(3
85nm)、2,5−ジブトキシ−4−モルホリノベン
ゼンジアゾニウム(402nm)、2−オクトキシ−4
−モルホリノベンゼンジアゾニウム(390nm)、
2,5−ジブトキシ−4−(N−(2−(2,4−ジ−
tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)
ベンゼンジアゾニウム(405nm)、2,5−ジエト
キシ−4−トリルチオベンゼンジアゾニウム(410n
m)、2,5−ジブトキシ−4−トリルチオベンゼンジ
アゾニウム(415nm)、4−ジメチルアミノベンゼ
ンジアゾニウム(377nm)、4−(N−(2−
(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリ
ル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム(395n
m)、2−メチル−4−ピペリジノベンゼンジアゾニウ
ム(394nm)、4−モルホリノベンゼンジアゾニウ
ム(381nm)等が挙げられる。
【0011】尚、括弧内の数値は、これらの化合物をヘ
キサフルオロフォスフェート塩とした場合の、アセトニ
トリル中での分解波長域における極大波長である。本発
明においては、特にこれらの中でもヘキサフルオロフォ
スフェート塩、テトラフルオロボレート塩、1,5−ナ
フタレンスルホネート塩が、水に対する溶解性が小さ
く、有機溶剤に可溶であるので有用である。
【0012】一般にジアゾニウム塩の分解波長は数十n
mから百数十nmの幅を有する。従って、分解波長の異
なるジアゾニウム塩を選択しても、多くの場合は、分解
波長領域が一部重複する。このような場合、上層のジア
ゾニウム塩を分解しようとして光を照射すると、下層の
ジアゾニウム塩の分解も引き起こし、良好な色再現性を
妨げることになる。
【0013】そこで本発明においては、感熱記録層と感
熱記録層との間に、粒子径が0.1μm以下の酸化亜鉛
粒子を含有する層を中間層として設ける。中間層中の前
記酸化亜鉛粒子の含有量は乾燥後の塗工量で、0.01
〜2.00g/m2 の範囲となるように調節することが
好ましい。これによって、上層の光定着のために照射さ
れた光を下層のジアゾ化合物を分解しないように遮断す
ることができる。
【0014】本発明で使用する酸化亜鉛粒子は、ジアゾ
化合物の分解波長光を吸収すると共に、酸化亜鉛粒子含
有層を透明にする観点から、0.1μm以下であること
が必要である。0.1μm以上であると、紫外線隠蔽能
力が低い上高ヘイズとなり、中間層の透明性が悪くな
る。酸化亜鉛粒子の粒子径の範囲は、粒子の90%以上
が0.005〜0.05μmの範囲であることが好まし
い。
【0015】このような超微粒子の酸化亜鉛は、例え
ば、住友セメント株式会社から市販されている。尚、酸
化亜鉛粒子は380nm以下の光をカットすることがで
きるが、380nm以上の光をカットするために適宜不
純物を添加しても良い(セラミックス、18(11),
965〜969頁(1983年))。
【0016】本発明においては、有機溶剤に分散させた
酸化亜鉛粒子でも、水系溶媒に分散させた酸化亜鉛粒子
でも使用することができ、記録材料の製造方法によって
適宜選択すれば良いが、後記する如くマイクロカプセル
を使用する系では、水系のものを使用することが好まし
い。何れにしても、本発明においては、酸化亜鉛粒子を
後記するバインダー中に固体分散した形で使用すること
が好ましい。
【0017】本発明に用いられるジアゾ化合物と熱時反
応して発色するカプラーとしてはレゾルシン、フロログ
ルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホ
ン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モル
ホリノプロピルアミド、1,5−ジヒドロキシナフタレ
ン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒド
ロキシ−6−スルファニルナフタレン、2−ヒドロキシ
−3−ナフトエ酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフ
トエ酸エタノールアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフト
エ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸
−N−ドデシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ
−3−ナフトエ酸テトラデシルアミド;
【0018】アセトアニリド、アセトアセトアニリド、
ベンゾイルアセトアニリド、2−クロロ−5−オクチル
アセトアセトアニリド;1−(2−テトラデカノキシフ
ェニル)−2−カルボキシメチルシクロヘキサン−3,
5−ジオン、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロ
ン、1−(2’−オクチルフェニル)−3−メチル−5
−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフ
ェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、1−
(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−アニ
リノ−5−ピラゾロン、1−フェニル−3−フェニルア
セトアミド−5−ピラゾロン、2−(2−オクトキシ)
フェニル−4,6−ジヒドロキシ安息香酸メチル、2−
(2−オクトキシ)フェニル−4,6−ジヒドロキシ安
息香酸オクチル、2−(2−ドデシルオキシ)フェニル
安息香酸メチル−4,6−ジオン等が挙げられる。これ
らのカプラーは2種以上併用しても良い。
【0019】本発明においては、ジアゾニウム塩とカプ
ラーの反応を促進するために塩基性物質を使用すること
が好ましい。このような塩基性物質としては、無機ある
いは有機の塩基性化合物の他、加熱時に分解してアルカ
リ物質を放出するような化合物も含まれる。代表的なも
のには、有機アンモニウム塩、有機アミン、アミド、尿
素及びチオ尿素、それらの誘導体、チアゾール類、ピロ
ール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニジン類、
インドール類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリ
アゾール類、モルホリン類、ピペリジン類、アミジン
類、フォルムアジン類、ピリジン類等の含窒素化合物が
挙げられる。
【0020】これらの具体例としてはトリシクロヘキシ
ルアミン、トリベンジルアミン、オクタデシルベンジル
アミン、ステアリルアミン;アリル尿素、チオ尿素、メ
チルチオ尿素、アリルチオ尿素、エチレンチオ尿素;2
−ベンジルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、
2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシ
ルイミダゾリン、2,4,5−トリフリル−2−イミダ
ゾリン、1,2−ジフェニル−4,4−ジメチル−2−
イミダゾリン、2−フェニル−2−イミダゾリン;
【0021】1,2,3−トリフェニルグアニジン、
1,2−ジシクロヘキシルグアニジン、1,2,3−ト
リシクロヘキシルグアニジン、グアニジントリクロロ酢
酸塩;N,N’−ジベンジルピペラジン;4,4’−ジ
チオモルホリン、モルホリニウムトリクロロ酢酸塩;2
−アミノベンゾチアゾール、2−ベンゾイルヒドラジノ
ベンゾチアゾール等がある。これらは、2種以上併用す
ることもできる。
【0022】本発明においては、光定着を必要としない
最下層の感熱記録層には、発色成分として、電子供与性
染料前駆体(発色剤)及び電子受容性化合物(顕色剤)
の組み合わせを用いることもできる。電子供与性染料前
駆体としてはトリアリールメタン系化合物、ジフェニル
メタン系化合物、チアジン系化合物、キサンテン系化合
物、スピロピラン系化合物等が挙げられるが、特にトリ
アリールメタン系化合物及びキサンテン系化合物が、発
色濃度が高いので有用である。
【0023】これらの具体例としては、3,3−ビス
(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノ
フタリド(即ちクリスタルバイオレットラクトン)、
3,3−ビス(p−ジメチルアミノ)フタリド、3−
(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメ
チルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメ
チルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−
3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジメチル
アミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−
イル)フタリド;
【0024】4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンズ
ヒドリンベンジルエーテル;N−ハロフェニルロイコオ
ーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコ
オーラミン;ローダミン−B−アニリノラクタム、ロー
ダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−
B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、2−ベンジルア
ミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−
6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メ
チル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−
3−メチル−6−シクロヘキシルメチルアミノフルオラ
ン、2−アニリノ−3−メチル−6−イソアミルエチル
アミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−
ジエチルアミノフルオラン、2−オクチルアミノ−6−
ジエチルアミノフルオラン、2−エトキシエチルアミノ
−3−クロロ−2−ジエチルアミノフルオラン、2−ア
ニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン;
【0025】ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニ
トロベンジルロイコメチレンブルー;3−メチル−スピ
ロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピ
ラン、3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、
3−ベンジル−スピロ−ジナフトピラン、3−プロピル
−スピロ−ジベンゾピラン等がある。電子受容性化合物
としてはフェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロ
キシ安息香酸エステル等が挙げられる。これらの中でも
特に、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル
類が好ましい。
【0026】これらの一部を例示すれば、2,2−ビス
(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェ
ノールA)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)
ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エ
タン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタ
ン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ
クロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシ
フェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニ
ル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−
2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジ
ル)サリチル酸及びその多価金属塩、3,5−ジ(te
rt−ブチル)サリチル酸及びその多価金属塩、3−
α,α−ジメチルベンジルサリチル酸及びその多価金属
塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安
息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチル
ヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノ
ール等が挙げられる。
【0027】電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物
からなる感熱記録層には、その反応を促進するための増
感剤を添加することが好ましい。増感剤としては、分子
内に芳香族性の基と極性基を適度に有している低融点有
機化合物が好ましく、その具体例としてはp−ベンジル
オキシ安息香酸ベンジル、α−ナフチルベンジルエーテ
ル、β−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフトエ酸フ
ェニルエステル、α−ヒドロキシ−β−ナフトエ酸フェ
ニルエステル、β−ナフトール−(p−クロロベンジ
ル)エーテル、1,4−ブタンジオールフェニルエーテ
ル、1,4−ブタンジオール−p−メチルフェニルエー
テル、1,4−ブタンジオール−p−エチルフェニルエ
ーテル、1,4−ブタンジオール−m−メチルフェニル
エーテル、1−フェノキシ−2−(p−トリルオキシ)
エタン、1−フェノキシ−2−(p−エチルフェノキ
シ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−クロロフェノ
キシ)エタン、p−ベンジルビフェニル等が挙げられ
る。
【0028】本発明において使用する発色剤は、常温で
発色剤と顕色剤の接触を防止するといった感熱記録層の
生保存性の観点(カブリ防止)、及び希望の熱エネルギ
ーで発色させるような発色感度の制御の観点等から、後
記するバインダー中に発色剤及び/又は顕色剤を別々に
分散させた後これらを混合した固体分散状態で使用する
か、又はカプセル化して用いるが、特にジアゾ化合物
は、記録材料の保存性を高める観点から、マイクロカプ
セル化して用いることが好ましい。
【0029】本発明で使用することのできるマイクロカ
プセルの製造には、界面重合法、内部重合法、外部重合
法の何れの方法をも採用することができるが、特に、発
色剤をリン酸エステル等の非水溶媒に溶解又は分散せし
めた芯物質を、水溶性高分子を溶解した水溶液中で乳化
した後、その油滴の周囲に高分子物質の壁を形成させる
界面重合法を採用することが好ましい。
【0030】高分子物質を形成するリアクタントは、油
滴の内部及び/又は油滴の外部に添加される。高分子物
質の具体例としては、ポリウレタン、ポリウレア、ポリ
アミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホル
ムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチ
レンメタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート
共重合体等が挙げられる。好ましい高分子物質はポリウ
レタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリ
カーボネートであり、特に好ましくはポリウレタン及び
ポリウレアである。高分子物質は2種以上併用すること
もできる。前記水溶性高分子の具体例としては、ゼラチ
ン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が
挙げられる。
【0031】例えばポリウレアをカプセル壁材として用
いる場合には、ジイソシアナート、トリイソシアナー
ト、テトライソシアナート、ポリイソシアナートプレポ
リマー等のポリイソシアナートと、ジアミン、トリアミ
ン、テトラアミン等のポリアミン、アミノ基を2個以上
含むプレポリマー、ピペラジン若しくはその誘導体又は
ポリオール等とを、水系溶媒中で界面重合法によって反
応させることにより容易にマイクロカプセル壁を形成さ
せることができる。
【0032】又、例えばポリウレアとポリアミドからな
る複合壁若しくはポリウレタンとポリアミドからなる複
合壁は、例えばポリイソシアナートと酸クロライド若し
くはポリアミンとポリオールを用い、反応液となる乳化
媒体のpHを調整した後加温することにより調製するこ
とができる。これらのポリウレアとポリアミドとからな
る複合壁の製造方法の詳細については、特開昭58─6
6948号公報に記載されている。
【0033】更に、加熱時にマイクロカプセル壁を膨潤
させるために固体増感剤を添加することもできる。固体
増感剤はマイクロカプセル壁として用いるポリマーの可
塑剤と言われるものの中から、融点が50℃以上、好ま
しくは120℃以下で常温では固体であるものを選択し
て用いることができる。例えば、壁材がポリウレア、ポ
リウレタンから成る場合には、ヒドロキシ化合物、カル
バミン酸エステル化合物、芳香族アルコキシ化合物、有
機スルホンアミド化合物、脂肪族アミド化合物、アリー
ルアミド化合物等が好適に用いられる。
【0034】本発明においては、発色助剤を用いること
もできる。本発明で用いることのできる発色助剤とは、
加熱記録時の発色濃度を高くする、もしくは最低発色温
度を低くする物質であり、カップリング成分、塩基性物
質、もしくはジアゾ化合物等の融解点を下げたり、カプ
セル壁の軟化点を低下せしめる作用により、ジアゾ化合
物、塩基性物質、カップリング成分等が反応し易い状況
を作るためのものである。
【0035】発色助剤としては、フェノール化合物、ア
ルコール性化合物、アミド化合物、スルホンアミド化合
物等があり、具体例としては、p−tert−オクチルフェ
ノール、p−ベンジルオキシフェノール、p−オキシ安
息香酸フェニル、カルバニル酸ベンジル、カルバニル酸
フェネチル、ハイドロキノンジヒドロキシエチルエーテ
ル、キシリレンジオール、N−ヒドロキシエチル−メタ
ンスルホン酸アミド、N−フェニル−メタンスルホン酸
アミド等の化合物を挙げることができる。これらは、芯
物質中に含有させてもよいし、乳化分散物としてマイク
ロカプセル外に添加してもよい。
【0036】本発明においては、最下層以外の感熱記録
層については、実質的に透明な感熱発色層として、多色
画像の画像品質を向上させることが好ましい。この場合
には、発色剤であるジアゾ化合物若しくは電子供与性染
料前駆体に対する顕色剤を、固体分散させるのではな
く、水に難溶性又は不溶性の有機溶剤に溶解せしめた
後、これを水溶性高分子を保護コロイドとして及び必要
に応じて更に界面活性剤を含有する水相と混合し、乳化
分散した分散物の形で使用する。
【0037】この場合に使用される有機溶剤は、例え
ば、特開平2−141279号公報に記載された高沸点
オイルの中から適宜選択することができる。これらの中
でもエステル類を使用することが、乳化分散物の乳化安
定性の観点から好ましく、中でも、燐酸トリクレジルを
単独又は混合して使用した場合には顕色剤の乳化分散安
定性が特に良好であるので好ましい。上記のオイル同
士、又は他のオイルとの併用も可能である。
【0038】本発明においては、上記の有機溶剤に、更
に低沸点の補助溶剤を溶解助剤として加えることもでき
る。このような補助溶剤として、例えば酢酸エチル、酢
酸イソプロピル、酢酸ブチル及びメチレンクロライド等
を特に好ましいものとして挙げることができる。場合に
より、高沸点オイルを含まず、低沸点補助溶剤のみを用
いることもできる。
【0039】これ等の成分を含有する油相と混合する水
相に、保護コロイドとして含有せしめる水溶性高分子
は、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性
高分子の中から適宜選択することができるが、ポリビニ
ルアルコール、ゼラチン、セルロース誘導体等が好まし
い。また、水相に含有せしめる界面活性剤は、アニオン
性又はノニオン性の界面活性剤の中から、上記保護コロ
イドと作用して沈澱や凝集を起こさないものを適宜選択
して使用することができる。
【0040】好ましい界面活性剤としては、アルキルベ
ンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、ス
ルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレン
グリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニ
ルエーテル)等を挙げることができる。
【0041】本発明における乳化分散物は、上記成分を
含有した油相と保護コロイド及び界面活性剤を含有する
水相を、高速撹拌、超音波分散等、通常の微粒子乳化に
用いられる手段等を使用して混合分散せしめ、容易に得
ることができる。また、油相の水相に対する比(油相重
量/水相重量)は、0.02〜0.6が好ましく、特に
0.1〜0.4であることが好ましい。0.02以下で
は水相が多すぎて希薄となり十分な発色性が得られず、
0.6以上では逆に液の粘度が高くなり、取り扱いの不
便さや塗液安定性の低下をもたらす。
【0042】本発明においては、発色素材等を支持体上
又は、既に塗布された感熱記録層や中間層上に支持・固
着させるためにバインダーを使用する。上記バインダー
としては、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセル
ロース、アラビヤゴム、ポリビニルピロリドン、ゼラチ
ン及びその誘導体(例えば、フタル化ゼラチン等)、カ
ゼイン、スチレン−ブタジエンラテックス、アクリロニ
トリル−ブタジエンラテックス、ポリ酢酸ビニル、ポリ
アクリル酸エステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等
の各種エマルジョン等を挙げることができる。
【0043】本発明においては、特に、多層重層塗布に
好適なゼラチン又はその誘導体を使用することが好まし
い。バインダーの使用量は、固形分に換算して0.5〜
5g/m2 であることが好ましい。感熱記録層には、以
上の素材の他に、酸安定剤としてクエン酸、酒石酸、シ
ュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロリン酸等を添加すること
ができる。感熱記録層を透明にする必要がない場合に
は、顕色剤等をサンドミル等により固体分散して用いれ
ばよい。
【0044】本発明においては、感熱記録層の上部に保
護層を設けることが好ましい。特に、保護層に透明性が
要求される場合には、少なくともケイ素変性ポリビニル
アルコール及びコロイダルシリカからなるものとするこ
とが好ましい。保護層を感熱記録層の最上層に設けた場
合には、感熱記録層表面の機械的強度を向上させること
ができる。
【0045】保護層中には熱記録時のサーマルヘッドと
のマッチング性の向上、保護層の耐水性の向上等の目的
で、顔料、金属石鹸、ワックス、架橋剤等が添加され
る。これらの顔料、金属石鹸、ワックス、架橋剤等の詳
細については、例えば、特開平2−141279号公報
に記載されている。また、感熱記録層上に均一に保護層
を形成させるために、保護層形成用塗布液には界面活性
剤が添加される。
【0046】上記の界面活性剤にはスルホコハク酸系の
アルカリ金属塩、弗素含有界面活性剤等があり、具体的
にはジ−(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸、ジ−
(n−ヘキシル)スルホコハク酸等のナトリウム塩又は
アンモニウム塩等がある。また、保護層中には、感熱記
録材料の帯電を防止するための界面活性剤、高分子電解
質等を添加しても良い。保護層の固形分塗布量は通常
0.2〜5g/m2が好ましく、更に好ましくは1g〜
3g/m2 である。保護層に透明性が要求されない場合
には公知の保護層を適宜設ければ良い。
【0047】本発明においては、保存性及び熱分画性を
向上させる観点から、感熱記録層と感熱記録層の間に中
間層を設ける。中間層の下側(支持体側)の感熱記録層
に含有される発色剤が、ジアゾ化合物の場合には、前記
した如く、上記中間層中に酸化亜鉛粒子を含有させる。
中間層のバインダーとしては、生保存性及び製造適性向
上の観点から、特にゼラチン及び/又はゼラチン誘導
体、並びに酸性ポリマーを使用することが好ましい。
【0048】上記ゼラチン及びゼラチン誘導体は、前記
感熱記録層中のバインダーとして使用するゼラチンと同
様である。上記酸性ポリマーとは、カルボキシル基、ス
ルホン基等の酸性基を有する高分子であり、具体的に
は、ポリ(メタ)アクリル酸及びその共重合体、ポリス
チレンスルホン酸及びその共重合体等が挙げられる。
【0049】中間層等における酸性ポリマーの含有量
は、ゼラチンに対して固形分として5重量%〜100重
量%とすることが好ましい。中間層等には、上記バイン
ダーの他に、更に他のバインダーを併用することもでき
る。上記他のバインダーとしては、水溶性高分子若しく
は疎水性高分子のエマルジョン又はラテックス等が好ま
しい。
【0050】水溶性高分子としては、ポリビニルアルコ
ール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキ
シ変性ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン
酸共重合体及びそのエステル、ブタジエン−無水マレイ
ン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イ
ソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルア
ミド、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共
重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、酸化デンプ
ン、燐酸化デンプン、カルボキシメチルセルロース、メ
チルセルロース、アルギン酸ナトリウム、硫酸化セルロ
ース、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
【0051】疎水性高分子のエマルジョン又はラテック
スとしては、スチレン−ブタジエン共重合体、カルボキ
シ変性スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリ
ル−ブタジエン共重合体等が挙げられる。本発明の感熱
記録材料に用いる支持体は、透明であっても不透明であ
っても良い。
【0052】本発明で使用する不透明な支持体として
は、紙、紙に高分子フイルムをラミネートしたもの、合
成紙、アルミ蒸着ベース、高分子フィルムに白色顔料を
コートしたもの、紙の表面に白色顔料を充填した高分子
フィルムを貼付すると共に、裏面に通常の高分子フィル
ムを貼り合わせた高分子フィルム貼付紙(両面高分子フ
ィルム貼付紙という)(特開平1−177536公報)
等を挙げることができるが、これらの中でも、記録画像
の均一性を良好とする関点から、特に、前記両面高分子
フィルム貼付紙を使用することが好ましい。
【0053】支持体に用いられる紙としては、アルキル
ケテンダイマー等の中性サイズ剤によりサイジングされ
た、熱抽出pHが6〜9の中性紙(例えば、特開昭55
−14281号)を用いると経時保存性の点で有利であ
る。透明な支持体としては、例えばポリエチレンテレフ
タレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステ
ルフィルム、三酢酸セルロースフィルム等のセルロース
誘導体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレ
ンフィルム、ポリエチレンフィルム等のポリオレフィン
フィルム、ポリイミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィル
ム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリアクリル酸共重
合体フィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げら
れ、これらを単独或いは貼り合わせて用いることができ
るが、特にポリエステルフィルムに耐熱処理、帯電防止
処理を施したものが好ましい。
【0054】支持体の厚みとしては20〜200μmの
ものが用いられ、特に50〜100μmのものが好まし
い。本発明において、両面高分子フィルム貼付紙又は高
分子フィルム若しくはこれをラミネートした紙を支持体
として用いる場合、或いは、透明な支持体を使用する場
合には、支持体と感熱記録層の接着性を高めるために、
これらの間に下塗層を設けることが好ましい。下塗層の
素材としては、ゼラチンや合成高分子ラテックス、ニト
ロセルロース等が用いられる。
【0055】下塗層の塗布量は0.1g/m2 〜2.0
g/m2 の範囲にあることが好ましく、特に0.2g/
2 〜1.0g/m2 の範囲が好ましい。下塗層は、感
熱記録層がその上に塗布された時に、感熱記録層中に含
まれる水により膨潤して感熱記録層の画質を悪化させる
ことがあるので、硬膜剤を用いて硬化させることが望ま
しい。
【0056】硬膜剤としては、例えば特開平2−141
279号公報に記載されているものを挙げることができ
る。これらの硬膜剤の添加量は、下塗層の重量に対し
て、0.20重量%から3.0重量%となる範囲で、塗
布方法や希望の硬化度に合わせて適切な添加量を選ぶこ
とができる。
【0057】用いる硬膜剤によっては、必要ならば、更
に苛性ソーダを加えて液のpHをアルカリ側にする事
も、或いはクエン酸等により液のpHを酸性側にする事
もできる。又、塗布時に発生する泡を消すために、消泡
剤を添加する事も、或いは、液のレベリングを良くして
塗布筋の発生を防止するために、界面活性剤を添加する
事も可能である。
【0058】更に、下塗層を塗布する前には、支持体の
表面を公知の方法により活性化処理する事が望ましい。
活性化処理の方法としては、酸によるエッチング処理、
ガスバーナーによる火焔処理、或いはコロナ放電処理、
グロー放電処理等が用いられるが、コストの面或いは簡
便さの点から、米国特許第2,715,075号、同第
2,846,727号、同第3,549,406号、同
第3,590,107号等に記載されたコロナ放電処理
が最も好んで用いられる。
【0059】本発明の感熱記録材料は、感熱記録層、中
間層、下塗層、保護層に対する塗布液を支持体上にバー
塗布、ブレード塗布、エアナイフ塗布、カーテン塗布、
スライド塗布、グラビア塗布、ロールコーティング塗
布、スプレー塗布、ディップ塗布、ワイヤーバー塗布、
スピン塗布、エクストルージョン塗布等の塗布法により
塗布乾燥して製造される。
【0060】発色成分の塗布量は、各感熱記録層中の発
色成分(ジアゾ化合物とカプラーの和又は電子供与性染
料前駆体及び顕色剤の和)として0.5〜3.0g/m
2 とすることが好ましく、特に0.8〜2.0g/m2
とすることが好ましい。感熱記録層の塗布量は、固形分
換算で2.5〜25g/m2 とすることが好ましい。
【0061】本発明においては、必要に応じて、米国特
許第2,761,791号、同第3,508,947
号、同第2,941,898号、及び同第3,526,
528号明細書、原崎勇次著「コーティング工学」25
3頁(1973年朝倉書店発行)等に記載された方法等
により2層以上を同時に塗布することも可能であり、塗
布量、塗布速度等に応じて適切な方法を選ぶことができ
る。
【0062】本発明に用いる塗布液に、顔料分散剤、増
粘剤、流動変性剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤及び着色剤
等を必要に応じて適宜配合することは、特性を損なわな
い限り何ら差し支えない。本発明の多色感熱記録材料
は、高速記録の要求されるファクシミリや電子計算機の
プリンター用多色感熱記録材料として用いることができ
る。
【0063】本発明の多色感熱記録材料にプリンター等
を用いて画像を記録するに際しては、光定着をさせるた
めにプリンター等に光分解用の露光ゾーンを持たせる。
記録ヘッドと露光ゾーンの配列には、大別して2種の方
法がある。その一つは、一度記録した後、光分解用の光
照射を行ない、この光照射に前後して、記録材料の送り
機構により、一度記録した所にもう一度記録できるよう
に記録材料が記録待機の状態に戻り、次に再度記録した
後光照射を行ない、記録材料がもとに戻る動作をくり返
す、いわゆる1ヘッド多スキャン方式であり、もう一つ
は、記録したい色の数だけ記録ヘッドを持っており、そ
の間に光照射ゾーンを有しているいわゆる多ヘッド1ス
キャン方式である。
【0064】本発明においては、必要に応じて両方式を
組合わせてもよく、又必要に応じてヘッドにかける熱エ
ネルギーを変化させてもよい。光分解用の光源として
は、希望する波長の光を発する種々の光源を用いること
ができ、例えば種々の螢光灯、キセノンランプ、キセノ
ンフラッシュランプ、各種圧力の水銀灯、写真用フラッ
シュ、ストロボ等種々の光源を用いることができる。ま
た、光定着ゾーンをコンパクトにするため、光源部と露
光部とを光ファイバーを用いて分離してもよい。
【0065】次に、本発明の多色感熱記録材料を使用し
て良好な多色画像を得るための方法を説明する。本発明
においては、例えば、支持体の一方の面に、支持体側か
ら順次シアン発色層、マゼンタ発色層及びイエロー発色
層となるように、各層を重層に設けることにより、フル
カラーの多色感熱記録材料を得ることができる。
【0066】この場合、各層の発色を独立に行い、記録
する多色画像を自然色に近づけるために、少なくとも上
二層の発色層には、特開昭61─40192号に開示さ
れているようなジアゾ化合物のカップリング発色反応
と、光定着反応の系を採用する。即ち、まず初めに低熱
エネルギーで一方の面の最上層のイエロー発色層1を独
立に発色させる。その後、該層のジアゾ化合物のみを選
択的に光分解する特定波長の光源を用いて光定着する。
【0067】次に相対的に前回より高熱エネルギーで内
側にあるマゼンタ発色層を熱記録してマゼンタ発色層を
独立に発色させ、次いで該層ののジアゾ化合物のみを選
択的に光分解する特定波長の光源を用いて光定着する。
更に、前回より高熱エネルギーでマゼンタ層より内側に
あるシアン発色層を熱記録し独立に発色させる。この場
合、三層の一番下側にあるシアン発色層は必ずしも光定
着を必要としない。
【0068】上記の場合においてはシアン、マゼンタ及
びイエローを各々独立に支持体の一方の面に発色させる
ことができるのでシアン、マゼンタ、イエロー、シアン
+マゼンタ(ブルー)、マゼンタ+イエロー(レッ
ド)、シアン+イエロー(グリーン)、シアン+マゼン
タ+イエロー(ブラック)の計7色が色分離良く実現さ
れる。
【0069】一般に多層の多色記録材料の場合には、画
像観察側から最遠の層を除く他の層を透明感熱記録層と
することが、各発色が鮮やかになるので好ましい。ま
た、シアン発色層、マゼンタ発色層若しくはイエロー発
色層の中から何れか2層を適宜選択して支持体上に順次
設け、2色又は3色の多色画像を熱記録することができ
ることは当然である。尚、印加熱エネルギーを適度に加
減して各ユニットの発色をコントロールすることによ
り、中間色を適宜再現することができることは、当業者
であれば容易に理解することができる。
【0070】
【発明の効果】以上詳述した如く、本発明の多色感熱記
録材料は、光分解波長域がより短波長側にあるジアゾ化
合物を発色剤として含有する上層の感熱記録層と、光分
解波長域がより長波長側にあるジアゾ化合物を発色剤と
しいて含有する下層の感熱記録層との間に、粒子径が
0.1μm以下の酸化亜鉛を含有する中間層を有してい
るので、上層記録後の光定着時に、下層のジアゾ化合物
が光分解されることがなく、記録画像の再現性に優れた
多色感熱記録材料である。
【0071】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳述する
が、本発明はこれによって限定されるものではない。
尚、添加量を示す「部」は「重量部」を示す。
【0072】実施例1.(1)マゼンタ感熱記録層塗液の調製 (ジアゾ化合物を含有するカプセル液の調製)2,5−
ジブトキシ−4−モルホリノベンゼンジアゾニウムヘキ
サフルオロフォスフェート(ジアゾ化合物:365nm
の中心波長の光で分解)2.0部を、酢酸エチル20部
に溶解した後更にアルキルナフタレン20部を添加し、
加熱して均一に混合した。得られた溶液にキシリレジン
イソシアナート/トリメチロールプロパンの1/3の付
加物(カプセル壁剤)15部を添加し、均一に混合して
ジアゾ化合物の溶液を得た。
【0073】得られたジアゾ化合物の溶液を、ポリビニ
ルアルコール(重合度1700でケンカ度88%のも
の)6重量%水溶液54部とドデシルスルホン酸ナトリ
ウムの2重量%水溶液2部を混合した溶液に添加し、ホ
モジナイザーを使用して乳化分散した。得られた乳化分
散液に水68部を加えて均一に混合し、攪拌しながら4
0℃に加熱し、カプセルの平均粒子径が1.1μmとな
るように3時間カプセル化反応を行わせてカプセル溶液
を得た。
【0074】(カプラー乳化分散液の調製)2−(2−
ドデシルオキシ)フェニル安息香酸メチル−4,6−ジ
オン(カプラー)2部、1,2,3−トリフェニルグア
ニジン2部、トリクレジルホスフェート0.3部及びマ
レイン酸ジエチル0.1部を酢酸エチル10部中に溶解
した。得られた溶液を、ゼラチンの6重量%水溶液50
部とドデシルスルホン酸ナトリウム2重量%の水溶液2
部を混合した水溶液中に投入した後、ホモジナイザーを
用いて10分間乳化し、乳化分散液を得た。 (塗布液の調製)ジアゾ化合物を含有するカプセル液と
カプラー乳化分散液を、ジアゾニウム化合物/カプラー
が重量比で2/3となるように混合して塗布液を得た。
【0075】(2)イエロー感熱記録層塗液の調製 (ジアゾ化合物を含有するカプセル液の調製)2,5−
ジブトキシ−4−トリルチオベンゼンジアゾニウムヘキ
サフルオロフォスフェート(ジアゾ合物:420nmの
波長の光で分解)3.0部を酢酸エチル20部に溶解し
た後、これに高沸点溶媒としてアルキルナフタレン20
部を添加し、加熱して均一に混合した。得られた溶液
に、カプセル壁剤としてキシリレンジイソシアナート/
トリメチロールプロパンの1/3付加物を15部添加
し、均一に混合してジアゾ化合物の溶液を得た。
【0076】得られたジアゾ化合物の溶液を、フタル化
ゼラチンの6重量%水溶液54部とドデシルスルホン酸
ナトリウム水溶液2部を混合した溶液に添加し、ホモジ
ナイザーを用いて乳化分散した。得られた乳化分散液に
水68部を加えて均一に混合した溶液を、更に攪拌しな
がら40℃に加熱し、カプセルの平均粒子径が1.0μ
mとなるように3時間カプセル化反応を行わせてカプセ
ル溶液を得た。
【0077】(カプラー乳化分散液の調製)2−ヒドロ
キシ−3−ナフトエ酸アニリド2部、1,2,3−トリ
フェニルグアニジン1部、トリクレジルホスフェート
0.3部及びマレイン酸ジエチル0.1部を酢酸エチル
10部中に溶解し、ゼラチンの6重量%水溶液50部と
ドデシルスルホン酸ナトリウムの2重量%水溶液2部を
混合した水溶液中に投入し、ホモジナイザーを使用して
10分間乳化し、乳化分散液を得た。 (塗布液の調製)ジアゾ化合物を含有するカプセル液と
カプラー乳化分散液とを、ジアゾニウム化合物/カプラ
ーの比が重量比で2/3となるように混合して塗布液を
得た。
【0078】(3)酸化亜鉛粒子含有層中間塗液の調製 粒子径が0.1μmの酸化亜鉛の水系分散液(酸化亜鉛
45重量%)13.4gと、ゼラチン10重量%水溶液
30gとを加え、ホモジナイザー(日本精機株式会社
製)を用いて1000回転/分で5分間分散し、酸化亜
鉛粒子含有層中間塗液を得た。
【0079】(4)感熱記録材料の作製 上質紙にポリエチレンをラミネートした印画紙用支持体
の片面上に、メイヤーバー塗布装置を使用して、支持体
側から順にイエロー感熱記録層液、酸化亜鉛含有中間層
液、マゼンタ感熱記録層液となるように多層重層塗布
し、乾燥して多色感熱記録材料を得た。塗布量は、乾燥
後の固形分換算で、イエロー感熱記録層が6.1g/m
2 、酸化亜鉛含有中間層が4.0g/m2 及びマゼンタ
感熱記録層が5.3g/m2 となるように各塗布液を塗
布した。
【0080】(5)熱記録 得られた記録材料を用い、下記のようにして画像を記録
した。サーマルヘッドKST型(京セラ株式会社製の商
品名)を用いて、単位面積当たりの記録エネルギーが3
5mJ/mm2 となるように印加電力及びパルス幅を調
節して、得られた記録材料にマゼンタの画像を記録し
た。次いで、発光中心波長365nm及び出力40Wの
紫外線ランプ下に10秒間曝して、マゼンタ感熱記録層
を光定着した後、サーマルヘッドの記録エネルギーを6
6mJ/mm2 となるように印加電力及びパルス幅を調
節し、更にイエローの画像を記録した。
【0081】次に、発光中心波長が420nmで出力4
0Wの紫外線ランプ下に10秒間曝し、イエロー感熱記
録層を光定着した。このようにして、イエロー及びマゼ
ンタの各発色画像の他に、イエローとマゼンタの記録が
重複した部分に赤色の画像を得た。得られた記録画像の
各発色部の最大発色濃度を、マクベス反射濃度計を用い
て測定した結果は表1に示した通りである。
【0082】実施例2.実施例1の塗布液を塗布する前
に、下記のシアン感熱記録層液及中間層液を、実施例1
と全く同様にして支持体側から順次塗布した他は、実施
例1と全く同様にしてフルカラーの感熱記録材料を得
た。次に、実施例1と全く同様にして熱記録した後、記
録エネルギーが110mJ/mm2 となるように印加電
力及びパルス幅を調節して、シアンの画像を記録し、実
施例1と全く同様にして各発色部の濃度を測定した結果
は表1に示した通りである。
【0083】(1)シアン感熱記録層塗液の調製 (電子供与性染料前駆体を含有するカプセル液の調製) 1.A液 3−(o−メチル−p−ジメチルアミノフェニル)−3
−(1’−エチル−2’−メチルインドール−3−イ
ル)フタリド(電子供与性染料前駆体)3部を酢酸エチ
ル20部に溶解させた後、これにアルキルナフタレン
(高沸点溶媒)20部を添加し、加熱して均一に混合し
た。得られた溶液に、キシリレンジイソシアナート/ト
リメチロールプロパンの1/3付加物(タケネートD─
110N:武田薬品工業株式会社製の商品名)20部を
添加して均一に攪拌し、A液を調製した。
【0084】2.B液 ゼラチンの6重量%水溶液54部中に、ドデシルスルホ
ン酸ナトリウム2重量%水溶液2部を添加してB液を調
製した。B液にA液を加え、ホモジナイザーを用いて乳
化分散し乳化分散液を得た。得られた乳化分散液に水6
8部を加え、混合して均一にした後、該混合液を攪拌し
ながら40℃に加熱し、マイクロカプセルの平均粒子径
が1.2μmとなるようにカプセル化反応を3時間行わ
せてカプセル液を得た。
【0085】(電子受容性化合物乳化分散液の調製)
1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキ
サン(電子受容性化合物5部、トリクレジルホスフェー
ト0.3部及びマレイン酸ジエチル0.1部を酢酸エチ
ル10部中に溶解させた。得られた溶液をゼラチン6重
量%水溶液50g及びドデシルスルホン酸ナトリウム水
溶液2gを混合した溶液に投入し、ホモジナイザーを用
いて10分間乳化し、乳化分散液を得た。
【0086】(塗布液の調製)電子供与性染料前駆体を
含有するカプセル液と電子受容性化合物乳化分散液を、
電子供与性染料前駆体/電子受容性化合物の比が重量比
で1/4となるように混合して塗布液を得た。(2)中間層塗液の調製 ゼラチン6重量%水溶液を中間層液とした。
【0087】比較例1.実施例1で使用した酸化亜鉛粒
子含有中間層塗液に代えて、ゼラチン6重量%水溶液を
中間層塗液として使用した他は実施例1と全く同様にし
て記録材料を作製し、全く同様にして熱記録及び濃度測
定を行った結果は表1に示した通りである。
【0088】比較例2.実施例1で使用した酸化亜鉛粒
子含有層塗液に代えて、下記紫外線吸収剤含有中間層塗
液を用いた他は実施例1と全く同様にして記録材料を作
製し、全く同様にして熱記録及び濃度測定を行った結果
は表1に示した通りである。(1)紫外線吸収剤含有中間層塗液の調製 2,2’−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
(紫外線吸収剤)20部を、10重量%ゼラチン水溶液
100部中に添加し、ボールミルを用いて24時間分散
し、紫外線吸収剤含有中間層塗液を得た。
【0089】
【表1】 以上の結果は本発明の有効性を実証するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 6956−2H 102 T

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体上に、少なくとも、ジアゾ化合物及
    び該ジアゾ化合物と加熱により発色するカプラーを含有
    する感熱記録層を2層以上設けた多色感熱記録材料であ
    って、支持体に近い下層に含有されるジアゾ化合物とし
    て上層に含有されるジアゾ化合物よりも長波長側で光分
    解されるジアゾ化合物を使用すると共に、感熱記録層と
    感熱記録層の間に、粒子径が0.1μm以下の酸化亜鉛
    粒子を含有する層を設けたことを特徴とする多色感熱記
    録材料。
JP5287693A 1993-10-22 1993-10-22 多色感熱記録材料 Pending JPH07117353A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5287693A JPH07117353A (ja) 1993-10-22 1993-10-22 多色感熱記録材料

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JP5287693A JPH07117353A (ja) 1993-10-22 1993-10-22 多色感熱記録材料

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JPH07117353A true JPH07117353A (ja) 1995-05-09

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