JPH07114867B2 - ポスト型二本針ミシンの糸切断装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、ポスト型二本針ミシ
ンの糸切断装置に関し、詳しくは釜台の位置調節に伴う
調節作業を迅速かつ容易なものとするとともに、ポスト
部の形状を小型化するポスト型二本針ミシンの糸切断装
置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術とその課題】図３はポスト型ミシンを示す
図であり、このポスト型ミシンは、回転釜等の下側縫製
手段が図に示すように立設型（ポスト型）に形成されて
いる。

【０００３】こうしたポスト型ミシンに設けられる糸切
断装置として現在では特開平２−２６５９５に開示され
たポスト型ミシンの糸切断装置が提案されている。

【０００４】ポスト型ミシンの糸切断装置は、通常のミ
シンと同様に、ミシンベッド１内に水平方向に設けられ
る糸切断装置の支軸をソレノイドによる作動部材と下軸
に固定されたカムなどの駆動機構による揺動運動をリン
クを介して回転揺動させることによって糸切断駆動をな
すもので、これら支軸の駆動を縫い針Ｎの下方近傍（ポ
スト部Ｐの上方）まで伝達して、水平釜上を水平往復移
動する可動刃と水平釜の上方に固定した固定刃との協働
で糸を切断するよう構成されている。

【０００５】一方、二本針を備えたポスト型二本針ミシ
ンは、被縫製物に応じて縫い針の間隔を調節変更する必
要があるが、この縫い針の間隔変更に伴い糸切断装置
（動メス）の位置もまた調節変更する必要がある。

【０００６】図４はポスト型二本針ミシンのポスト部Ｐ
を示す外観斜視図であり、図に示すようにポスト部Ｐは
ミシンベッド１上に左右一対に設けられる釜台Ｐ１、Ｐ
２から形成されていて、これら釜台Ｐ１、Ｐ２内にそれ
ぞれ糸切断装置が格納されている。

【０００７】そしてＰａはポストカバーであり、ポスト
部Ｐ内の点検等が行えるように取り外し出来るようにな
っている。

【０００８】こうしたポスト型ミシンにおいて縫い針の
間隔を変更した場合には、ミシンベッド１とポスト部Ｐ
との固定をなす固定ねじ１ａを緩めて、両釜台Ｐ１、Ｐ
２を対向する方向に移動させるようにして左右の糸切断
装置の位置調節を行う。

【０００９】ところで、この種の糸切断装置はミシンベ
ッド１内に設けられた駆動機構によって所定位置で糸切
断駆動をなすように構成されているのでミシンベッド１
に対して釜台を移動させた場合にはおのずと動メスの駆
動位置が変わってしまうことになり、ミシンベッド１内
において左右の糸切断装置の連結位置関係を相対的に調
節する必要がある。

【００１０】このミシンベッド１内における調節作業
は、ミシンを矢符に示す方向に反転させてミシン底部か
ら作業を行うものである。

【００１１】このため、二本針ミシンの糸切断装置の位
置調節作業は、ミシンを立てた状態での左右釜台位置調
節およびミシンを反転させての連結位置調節を行う必要
があり、ポストミシンの起立、反転を複数回繰り返すと
いう煩雑な作業を余儀なくされ、作業能率を低下させる
原因となっていた。

【００１２】

【課題を解決するための手段】この発明に係るポスト型
ミシンの糸切断装置は上記従来の課題を解決するために
なされたもので、ポスト型ミシンの糸切断装置を、第１
動メス駆動手段と、第２動メス駆動手段とで構成し、第
１動メス駆動手段は、ミシンベッド内に水平方向に設け
られ糸切断時に揺動する糸切断装置の駆動軸に対し、角
度位置調節可能に設けられる揺動体と、この揺動体に垂
直方向に位置調節可能に設けられる調節腕およびこの調
節腕の上部に連結され、駆動軸の駆動を水平方向に変換
する連結体とからなる駆動変換手段と、ミシンの一方の
釜台に回動可能に支持され、駆動変換手段により回動を
なしミシンのポスト上部まで伸びる第１立軸と、第１メ
スを水平方向に揺動可能に支持する第１メス軸と、第１
メス軸に角度位置調節可能に固定される第１駆動腕と、
第１駆動腕と第１立軸とに両端をそれぞれ回動可能に支
持される第１連結腕とにより構成し、第２動メス駆動手
段は、前記第１立軸に角度調節可能に設けられる第１支
持腕と、水平方向に回動可能に設けられるベルクランク
と、第１支持腕とベルクランクの一端に両端をそれぞれ
回動可能に支持されるリンクと、ミシンの他方の釜台に
回動可能に支持されミシンのポスト上部まで伸びる第２
立軸と、この第２立軸に角度位置調節可能に固定される
第２支持腕と、ベルクランクの他端と第２支持腕とに両
端をそれぞれ回動可能に支持されるリンクと、第２動メ
スを水平方向に揺動可能に支持する第２メス軸と、この
第２メス軸に角度調節可能に固定される第２駆動腕と、
第２駆動腕と第２立軸とに両端をそれぞれ回動可能に支
持される第２連結腕と、を備えて構成し上記従来の課題
を解決しようとするものである。

【００１３】

【作用】この発明に係るポスト型二本針ミシンの糸切断
装置は、ポスト内に設けられる第１、第２立軸に対して
角度位置調節可能に固定される第１、第２駆動腕のそれ
ぞれの角度位置調節により、縫い針の間隔変更に伴う糸
切断装置の位置調節作業をポストミシンを起立させたま
まで可能とする。

【００１４】

【実施例】図面にもとづいてこの発明の実施例を説明す
る。図１はこの発明に係るポスト型二本針ミシンの糸切
断装置の一実施例を示す平面図である。

【００１５】ポスト型二本針ミシンは、図に示すように
ミシンベッド上に左右一対に設けられる両釜台内にそれ
ぞれ回転釜および糸切断装置が格納されている。

【００１６】そして、第１動メスＭ１、第１駆動腕１
１、第１連結腕１０、腕７ｂ、第１立軸７等からなる第
１動メス駆動手段Ａと第１支持腕８、リンクＬ１、ベル
クランクＣ、リンクＬ２、第２支持腕１６、第２立軸１
７、腕１７ａ、第２連結腕１５、第２駆動腕１３、第２
動メスＭ２等の第２動メス駆動手段とから糸切断装置は
形成される。Ｋ１、Ｋ２は水平回転釜である。

【００１７】図２は図１に示すポスト型二本針ミシンの
糸切断装置の分解斜視図である。まず第１動メス駆動手
段Ａを詳細に説明する。

【００１８】図２において、２は糸切断装置の駆動軸で
あり、この駆動軸２は縫い糸の切断時に矢符に示すよう
に一往復揺動するようになっている。

【００１９】３は駆動軸２に対し、ねじ３ａで角度位置
調節可能に設けられた揺動体であり溝部３ｂを有してい
る。

【００２０】６は駆動変換手段であり、この駆動変換手
段６は揺動体３の溝部３ｂにねじにより位置調節可能に
設けられる調節腕４と、球面軸受けを二つ有し一方を調
節腕４の上部と連結する連結体５と、からなっていて駆
動軸２の揺動を水平方向の駆動に変換することが出来る
とともに、調節腕４の位置調節により連結体５の駆動量
を調節することが出来るようになっている。

【００２１】７は第１立軸であり、この第１立軸７はポ
スト部Ｐの上部に至る長さを有し、一方の釜台Ｐ１に垂
直方向に回動可能に支持され、下端を腕７ａで連結体５
の他方の球面軸受けに連結され、駆動軸２により回動を
なすようになっている。一方Ｍ１は第１動メスであり、
一方の釜台Ｐ１に水平方向に揺動可能に設けられる第１
メス軸１２の上端に固定されている。

【００２２】１１は第１メス軸１２にねじ１１ａにより
角度位置調節可能に連結される第１駆動腕である。

【００２３】そして１０は、第１駆動腕１１と第１立軸
７の腕７ｂとに両端をそれぞれ回動可能に支持される第
１連結腕である。

【００２４】以上の構成状態からなる第１動メス駆動手
段Ａは、駆動変更手段６により駆動軸２の駆動を第１立
軸７に伝達してこれを回動する。

【００２５】そして第１連結腕１０を介して第１動メス
Ｍ１を矢符に示すよう往復駆動させ所定の糸切断を行う
ことが出来る。

【００２６】次に第２動メス駆動手段Ｂを詳細に説明す
る。図２において８は、上記の第１立軸７に対しねじ９
により角度位置調節可能に設けられる第１支持腕であ
り、第１立軸７とともに回動可能となっている。

【００２７】またＣは、他方の釜台Ｐ２に水平方向に回
動可能に設けられるベルクランクである。

【００２８】そしてＬ１は第１支持腕８の腕８ａとベル
クランクＣの一端に両端をそれぞれ回動可能に支持され
るリンクであり、第１支持腕８の駆動をベルクランクＣ
に伝達することが出来るようになっている。

【００２９】１７は、他方の釜台Ｐ２に垂直方向に回動
可能に支持される第２立軸であり、上端はポスト部Ｐの
上部まで伸びている。

【００３０】１６は、第２立軸１７にねじ１８により角
度位置調節可能に設けられる第２支持腕である。そして
Ｌ２はベルクランクＣの他端と第２支持腕１６の腕１６
ａとに両端をそれぞれ回動可能に支持されるリンクであ
り、ベルクランクＣの駆動を第２立軸１７に伝達するこ
とが出来るようになっている。

【００３１】一方Ｍ２は、第２動メスであり他方の釜台
Ｐ２に水平方向に揺動可能に設けられる第２メス軸１９
の上端に固定されている。

【００３２】１３は第２メス軸１９にねじ１９ａにより
角度位置調節可能に連結された第２駆動腕である。

【００３３】そして１５は駆動腕１３と第２立軸１７の
腕１７ａとに両端をそれぞれ回動可能に支持される第２
連結腕である。

【００３４】以上のように構成された第２動メス駆動手
段Ｂは、第１動メス駆動手段Ａの第１立軸７の駆動をベ
ルクランクＣにより第２立軸１７に伝達する。

【００３５】そして第２連結腕１５を介して第２動メス
Ｍ２を矢符に示すよう往復駆動させ所定の糸切断を行う
ことが出来る。

【００３６】以上説明したよう構成されたポスト型二本
針ミシンの糸切断装置において、左右の釜台Ｐ１、Ｐ２
の移動時に伴う糸切断装置の位置調節は、ポスト部Ｐの
ポストカバーＰａ（図４参照）を取り外して、第１立軸
７と第１支持腕８の角度位置調節（ねじ９による）およ
び第２立軸１７と第２支持腕１６の角度位置調節（ねじ
１８による）を行うようにすれば良い。

【００３７】そして各動メスＭ１、Ｍ２の位置調節にあ
っては、ねじ１１ａと、ねじ１９ａとによりメス軸１
２、１９の角度位置を変えるようにすれば良い。

【００３８】以上のようにこの発明に係るポスト型二本
針ミシンの糸切断装置における位置調節は、ポスト部Ｐ
すなわちミシンベッド１の上方において行うことが可能
であるので、ミシンを反転させ底部から作業をすること
なく、迅速かつ容易に起立したままで調節作業を行うこ
とが出来、作業能率を向上させることが出来る。

【００３９】また、従来はメス軸をベッド下面まで延長
させ駆動機構に連結していたので、これによる軸の剛性
を上げるため構成部品が大きくなり結果的にポスト部が
大型となっていたが、この発明により第１動メス駆動手
段Ａ、ベルクランクＣを含む第２動メス駆動手段Ｂをポ
スト部Ｐ内に積層構成したので、これによりポスト全体
がコンパクトに集約された。

【００４０】

【発明の効果】この発明に係るポスト型二本針ミシンの
糸切断装置は、以上説明したようにポスト内に設けられ
る立軸に角度位置調節可能に支持腕を設け、これら両者
の連結角度を調節することで、釜台を移動させた際の糸
切断装置の調節作業を行えるようにしたので、ポスト型
ミシンを反転させることなく起立させたままでの調節作
業を可能とし、作業能率を向上させることが可能とな
る。また、第１動メス駆動手段Ａ、ベルクランクＣを含
む第２動メス駆動手段Ｂをポスト部の内に積層構成した
ので、ポスト全体がコンパクトとなった等の利点があ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係るポスト型二本針ミシンの糸切断
装置の一実施例を示す平面図である。

【図２】図１に示すポスト型二本針ミシンの糸切断装置
の分解斜視図である。

【図３】ポスト型ミシンを示す正面図である。

【図４】ポスト型ミシンのポスト部を示す外観斜視図で
ある。

【符号の説明】

Ａ 第１動メス駆動手段 Ｂ 第２動メス駆動手段 Ｃ ベルクランク ２ 駆動軸 ３ 揺動体 ４ 調節腕 ５ 連結体 ６ 駆動変換手段 ７ 第１立軸 ８ 第１支持腕 １０ 第１連結腕 １１ 第１駆動腕 １２ 第１メス軸 １３ 第２駆動腕 １５ 第２連結腕 １６ 第２支持腕 １７ 第２立軸 １９ 第２メス軸 Ｍ１ 第１動メス Ｍ２ 第２動メス

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 縫い針の下方に位置する回転釜等の下側
   縫製手段を、ミシンベッドより立設するように設けたポ
   スト型二本針ミシンにおける糸切断装置であって、 第１動メス駆動手段と、第２動メス駆動手段とからな
   り、第１動メス駆動手段は、 ミシンベッド内に水平方向に設けられ糸切断時に揺動す
   る糸切断装置の駆動軸に対し、角度位置調節可能に設け
   られる揺動体と、 この揺動体に垂直方向に位置調節可能に設けられる調節
   腕およびこの調節腕の上部に連結され、駆動軸の揺動を
   水平駆動に変換する連結体とからなる駆動変換手段と、 ミシンの一方の釜台に回動可能に支持され、駆動変換手
   段により回動をなし、ミシンのポスト上部まで伸びる第
   １立軸と、 第１動メスを水平方向に揺動可能に支持する第１メス軸
   と、 第１メス軸に角度位置調節可能に固定される第１駆動腕
   と、 第１駆動腕と第１立軸とに両端をそれぞれ回動可能に支
   持される第１連結腕と、により構成し、第２動メス駆動
   手段は、 前記第１立軸に角度位置調節可能に設けられる第１支持
   腕と、 水平方向に回動可能に設けられるベルクランクと、 第１支持腕とベルクランクの一端に両端をそれぞれ回動
   可能に支持されるリンクと、 ミシンの他方の釜台に回動可能に支持されミシンのポス
   ト上部まで伸びる第２立軸と、 この第２立軸に角度位置調節可能に固定される第２支持
   腕と、 ベルクランクの他端と第２支持腕とに両端をそれぞれ回
   動可能に支持されるリンクと、 第２動メスを水平方向に揺動可能に支持する第２メス軸
   と、 この第２メス軸に角度調節可能に固定される第２駆動腕
   と、 第２駆動腕と第２立軸とに両端をそれぞれ回動可能に支
   持される第２連結腕と、 により構成したことを特徴とするポスト型二本針ミシン
   の糸切断装置。