JPH0710768B2 - 化粧料 - Google Patents

化粧料

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JPH0710768B2
JPH0710768B2 JP58202273A JP20227383A JPH0710768B2 JP H0710768 B2 JPH0710768 B2 JP H0710768B2 JP 58202273 A JP58202273 A JP 58202273A JP 20227383 A JP20227383 A JP 20227383A JP H0710768 B2 JPH0710768 B2 JP H0710768B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は化粧料、更に詳しくはビニルアルコールとアル
キルビニルエーテルの共重合体(以下、PVA/AVEと略記
する)を含有する皮膜形成性化粧料、特に皮膜型パツク
剤に関する。
従来、皮膜型パツク剤(以下、単にパツク剤と称する)
の皮膜形成剤として主に水溶性高分子のポリビニルアル
コール系重合体が使用されている。このポリビニルアル
コール系重合体は、酢酸ビニルを重合して得られるポリ
酢酸ビニルを鹸化して得られるもので、その鹸化の程度
により、酢酸基がすべて水酸基になつたもの(完全鹸化
物:以下PVAと略記する)及び大部分水酸基となり一部
酢酸基が残つているもの(部分鹸化物:以下PVA/AVAcと
略記する)がある。而して、一般にパツク剤としては、
水溶液のゲル化を防止し、膜に柔軟性を持たせる為に、
10〜20%の残存酢酸基を有するポリビニルアルコール系
重合体が使用されている。
然しながら、斯かるPVA/AVAcは未鹸化の酢酸基が存在す
るために安定性が悪く、例えば酢酸基が経時的に加水分
解を起こし、パツク剤のpHを低下したり、パツク剤に酢
酸臭が生ずるという欠点があつた。また、このPVA/AVAc
は、パツク剤中に高濃度に配合すると、粘度が非常に高
くなり、皮膚に塗布する際に伸びが悪く塗布しにくくな
るので、通常は低濃度で使用しなければならず、その結
果乾燥時間が長くかかるという欠点があつた。また、完
全鹸化物であるPVAはニオイ、pHともに安定であるが、
水溶液がゲル化してしまう為にパツク剤の皮膜形成剤と
しては不適当である。
斯かる実情において、本発明者らは、ポリビニルアルコ
ール系重合体において、上記のゲル化を防止するために
は酢酸基のような何らかの立体障害となる残基が必要で
あり、従つてこの加水分解され易い酢酸基をこれと同様
な立体障害を有する他の安定な基に代えることができれ
ば安定なパツク剤を得ることができるのではないかと考
え、鋭意研究を行つた結果、酢酸エステルをアルキルエ
ーテルとしたPVA/AVEが皮膜形成剤として優れた特性を
有すること、そしてこれを化粧料中に配合すれば、優れ
た皮膜形成性化粧料が得られることを見出し、本発明を
完成した。
すなわち、本発明は、ビニルアルコールモノマー単位98
〜80モル%及び炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキ
ルビニルエーテルモノマー単位2〜20モル%からなり、
平均分子量が3万〜20万である共重合体を主成分として
含有する化粧料を提供するものである。
本発明化粧料の主成分の当該共重合体(PVA/AVE)は次
の一般式(I)で表わすことができる。
(式中、Rは炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル
基を示し、nはビニルアルコールモノマーのモル数、m
はアルキルビニルエーテルモノマーのモル数を示し、モ
ル比n/mは98/2〜80/20である)。
本発明において使用される共重合体であるPVA/AVEは、
例えば酢酸ビニルとアルキルビニルエーテルを公知方法
に従つて共重合した後、実質的に完全に鹸化するなどの
方法によつて製造される。
一般式(I)で示されるPVA/AVEにおけるRとしては、
例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-
ブチル、イソブチル、n-アミル、イソアミル、n-ヘキシ
ル等のアルキル基が挙げられ、就中、得られる皮膜の強
さや柔軟性の点でn-ブチルが好ましい。RがHの場合
は、完全鹸化PVAと同一の共重合体となり、水溶液がゲ
ル化してしまいパツク剤としては好ましくない。一方、
Rの炭素数が7以上の場合は水に対する溶解性が悪くな
り好ましくない。
本発明において、使用されるPVA/AVEは、ビニルアルコ
ールモノマーとアルキルビニルエーテルモノマーのモル
比n/mを変えることによつて、得られる皮膜の強さや柔
軟性を適度に調節することが可能であり、種々のパツク
剤を製造することができる。本発明において、n/mは98/
2〜80/20の範囲が好ましく、就中、95/5〜85/15の範囲
で極めて柔軟性に富んだ皮膜を得ることができる。
が2未満の場合は水溶液のゲル化が生じるため好ましく
ない。一方、 が20を超える場合は水に対する溶解性が極端に悪くなる
ため好ましくない。
本発明において使用されるPVA/AVEは、平均分子量が3
万〜20万のものであり、平均分子量が20万を超えるとき
は水溶液が白濁してしまうため好ましくなく、一方平均
分子量が3万未満のときは水に可溶ではあるが造膜性が
乏しくなるため好ましくない。
斯くして得られるPVA/AVEは、分子内にエステル結合し
た酢酸基がなく、代りにエーテル結合したアルキル基又
はアルケニル基が水溶液のゲル化を防止するための立体
障害となつているもので、経時的に加水分解することな
く保存安定性に優れている。すなわち、後記実施例にも
あるように、50℃、1箇月の保存の後もpHの変化は認め
られず、またニオイの変化も起らなかつた。また、本発
明において使用されるPVA/AVEは、これを水溶液とした
場合、粘度が低く、伸びが良く、皮膚上に均一かつ容易
に塗布することができる等、パツク剤等の皮膜形成性化
粧料の皮膜形成剤として優れたものである。しかも、こ
の粘度が低いことによつて、従来のPVAでは高粘度にな
つてしまい使用感上不可能であつた濃度領域まで、該PV
A/AVEなら配合量を増加することができ、その結果皮膜
形成性化粧料の乾燥時間を短縮することができる。
本発明の皮膜形成性化粧料には、上記必須成分であるPV
A/AVEのほかに、通常配合される各種成分、例えばヒド
ロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルローズ
トリウム、各種ガム質等の皮膜剤;グリセリン、プロピ
レングリコール、ポリエチレングリコール、エチレング
リコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリ
コール、ジグリセリン、ヘキシレングリコールなどの保
湿剤;カオリン、タルク、酸化チタン、酸化鉄、亜鉛
華、無水ケイ酸、炭酸マグネシウムなどの粉末;オリー
ブ油、スクワラン、流動パラフイン、ラノリン、ワセリ
ンなどの油性成分;アルコールおよび精製水、さらに必
要に応じて界面活性剤、薬効剤、防腐剤、香料、色素な
どを適宜配合することができる。
本発明の皮膜形成性化粧料の好ましい組成としては次の
ものが挙げられる。
斯くして得られる本発明の化粧料は、均質なペースト状
または液状のもので、経時的にpHが低下することなく、
かつニオイの劣化がない等保存安定性が良好であり、さ
らに粘土が低い為、伸びが良く容易に均一塗布でき、し
かも乾燥時間が短かい等、優れたものである。
本発明において使用されるPVA/AVEは叙上の如くパツク
剤の皮膜形成剤として特に有用であるが、他の用途、例
えばネイルエナメル、アイライナー、マスカラ、整髪料
などの化粧料に皮膜形成剤として、また乳液、フアンデ
ーシヨン、クリーム、おしろい、シヤンプーなどの化粧
料に増粘剤、乳化分散剤、結合剤として有利に使用する
ことができる。
次に実施例、合成例及び比較例により本発明を説明す
る。
合成例1 ビニルアルコール/n-ブチルビニルエーテル共重合体の
合成: 酢酸ビニル172.2g(2.00モル)、n-ブチルビニルエーテ
ル15.1g(0.15モル)、メタノール56.2g及び2,2′‐ア
ゾビス2,4-ジメチルバレロニトリル0.28gを混合し、N2
雰囲気下、62℃で8時間重合を行なつた。次いで5%含
水メタノール749.2g及びカセイソーダ8.0g(0.20モル)
を加え、45℃で2時間鹸化を行つた。反応混合物を粉砕
した後、別によりポリマー部を取り出し、次いでこれ
を5%含水メタノールにて洗浄することにより酢酸ソー
ダ等の不純物を除去した。精製したポリマー部を減圧下
にて乾燥し、次いで粉砕することにより白色粉末状のビ
ニルアルコール/n-ブチルビニルエーテル(93/7モル
比)共重合体(以下、PVA/n-BVEと略記する)82.5gを得
た。
得られた共重合体の鹸化度は99.1モル%、平均分子量74
000、残存酢酸ソーダ0.12重量%(以下単に%と示
す)、15%水溶液粘度(25℃)は960cpであつた。な
お、平均分子量は得られた共重合体をアセチル化した
後、ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフイ(GPC)に
てポリスチレン換算重量平均分子量として算出した(以
下に示す合成例及び実施例において同じ)。
合成例2〜5 酢酸ビニル(VAc)、n-ブチルビニルエーテル(n-BV
E)、メタノール、2,2′‐アゾビス2,4-ジメチルバレロ
ニトリル(和光純薬V-65)、5%含水メタノール、カセ
イソーダを第1表に示す重量を使用する以外は合成例1
に準じた方法で第1表に記載の合成例2〜5の共重合体
を得た。ただし、合成例2及び3は、得られる共重合体
におけるモル比m/nが、また合成例4及び5はその平均
分子量が本発明の範囲外のものである。
実施例1 本発明に係る共重合体PVA/AVE又は比較化合物を配合し
た下記組成のパツク剤を製造し、そのpH及びニオイの安
定性を比較した。なお、ニオイについては下記評価基準
に基づき評価した。その結果は第2表の通りである。
(パツク剤組成) 共重合体(第2表) 15(%) プロピレングリコール 5 メチルパラベン 0.1 精製水 残量 (製法) を約90℃に加温し、撹拌下にを少量ずつ加え均一と
する。次いで及びを加え撹拌して均一とする。約25
℃まで冷却して製品とする。
(評価基準) ○:無臭 △:わずかに酢酸臭 ×:酢酸臭 本試験結果によりPVA/AVEを皮膜形成剤として配合した
本発明のパツク剤は従来のPVA/PVAcを配合したパツク剤
に比べpH及びニオイの安定性が良好なものであることが
明らかとなつた。
実施例2 共重合体として下記第3表に示すものを用いる以外は実
施例1と同じ組成のパツク剤を製造し、その粘度及び膜
物性を比較した。その結果は第3表の通りである。
本試験結果よりPVA/AVEを皮膜形成剤として配合した本
発明のパツク剤は従来のPVA/PVAcを配合したパツク剤に
比べ、膜物性的には劣ることなく粘度が低いという特徴
をもつことが明らかとなつた。
比較例1 共重合体として合成例2〜5で得た比較化合物を用いる
以外は実施例1と同じ組成のパツク剤を製造し、その溶
液の状態及び形成する膜の状態を調べた。その結果は第
4表の通りである。
本試験結果より、モル比m/n又は平均分子量が本発明の
範囲外にある共重合体は、パツク剤の皮膜形成剤として
は好ましいものではないことが明らかとなつた。
実施例3 本発明に係る共重合体PVA/AVE又は比較化合物を配合し
た下記組成のパツク剤を製造し、専門パネル10人がその
外観及び使用感について官能評価を行つた。なお、評価
は下記基準に基づいて行つた。その結果は第5表の通り
である。
(パツク剤組成) 共重合体(第5表) 15(%) 酸化チタン 4 エチレングリコール 2 エタノール 10 メチルパラベン 0.1 香 料 0.2 精製水 残部 (製法) を約90℃に加温し、撹拌下にを少量ずつ加え均一と
する。次いで、を加え撹拌して均一とする。約35℃
まで冷却したら、、を加えて均一とし、冷却して
製品とする。
(評価基準) 非常によい +2 良 い +1 ふつう 0 良くない −1 非常に良くない −2 本試験結果よりPVA/AVEを皮膜形成剤として配合した本
発明のパツク剤は、従来のPVAを配合したパツク剤に比
べ、伸びが良く、均一塗布が容易で、均一な膜ができる
等、使用感の良好なパツク剤であることが判明した。
実施例4 本発明に係る共重合体PVA/AVE又は比較化合物を配合し
た下記第6表に示す組成のパツク剤(A)、(B)及び
(C)を製造し、その乾燥時間及び粘度を比較した。そ
の結果は第7表に示す通りである。
この結果から、本発明に係るPVA/AVEを配合したパツク
剤は粘度が高くならないため、共重合体を多量に配合す
ることができ、その分乾燥性を向上させることができる
ことが判明した。
実施例5 下記パツク剤を製造した。
(パツク剤組成) PVA/iso-BVEn/m=88/12 15(%) 平均分子量=12万 ステアリン酸 6 ラノリン 1 グリセリン 1 ポリエチレングリコール1500 2 グリセリンモノステアレート 3 エタノール 10 精製水 残部 香 料 0.2 *ビニルアルコールとイソブチルビニルエーテルの共重
合体。
(製法) (a)〜を70〜80℃で加熱撹拌して均一に溶解す
る。
(b)20〜3℃のにを徐々に加え、撹拌分散させた
後80℃にて溶解する。
(a)に(b)を加え良く撹拌し混和する。撹拌を続け
ながら冷却し、30〜35℃にて及びを加えて製品とす
る。
斯くして得られたパツク剤は、粘度が低く、伸びがよ
く、塗布の容易なものであつた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−79034(JP,A) 特開 昭55−167211(JP,A) 特開 昭57−4909(JP,A) 特開 昭57−48905(JP,A) 特公 昭46−31456(JP,B1)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ビニルアルコールモノマー単位98〜80モル
    %及び炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキルビニル
    エーテルモノマー単位2〜20モル%からなり、平均分子
    量が3万〜20万である共重合体を主成分として含有する
    ことを特徴とする化粧料。
  2. 【請求項2】ビニルアルコールモノマー単位とアルキル
    ビニルエーテルモノマー単位のモル比が95/5〜85/15で
    ある特許請求の範囲第1項記載の化粧料。
  3. 【請求項3】共重合体を1〜40重量%含有する皮膜形成
    性化粧料である特許請求の範囲第1項又は第2項記載の
    化粧料。
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