JPH071073Y2 - 家庭用食肉グリル器具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、家庭用ガスコンロ等を
熱源として、鳥獣肉、魚貝類等の食肉材料を直火焼の態
様で調理する家庭用食肉グリル器具に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】魚、肉等を焼く調理器具としては、網目
を設けたプレートを直接熱源上に設置して直火で焼く網
目式焼具や、浅鍋状をなし底部に食肉材料をのせる凹凸
の焼面を設けたグリルパン型の間接式の焼具、あるいは
電気オーブン、ガスオーブン等の密閉式焼具がある。

【０００３】又、本願出願人は先に、実用新案登録第８
３６５６５号において、食肉焙焼鍋として、鍋本体の中
央部に熱源からの火炎を導入する導入口を設け、その導
入口のまわりに食肉材料からの落下する脂を受入れる水
溜部を設け、他方、該鍋本体上に食肉を載せる焼板をな
す円盤を取外し自在に設置し、その円盤の周縁部に放射
方向の多数の孔を形成するとともに中央部にも若干の切
欠を形成した構造のものを提案した。この構造では熱源
からの火炎が鍋本体の導入口から円盤を加熱することに
より、円盤上の食肉材料の焙焼がなされ、該食肉材料か
らの溶融油脂は盤上面に拡散し放射状の孔及び中央部の
切欠を介して落下し、その一部が鍋本体の水溜部の水中
に滴下する。従って、食肉材料の油切れが良く揚げ物化
を免れ、良好な焼肉調理が可能となり、又、脂が水中に
滴下することにより後の清掃も容易である等の利点があ
る。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】上述した網目式焼具で
は、火炎が食肉材料に直火の態様で触れるために、直火
焼特有の焼色や風味を得ることができ極めて美味な焼肉
料理が可能であるが、食肉材料より溶融した脂が燃えて
黒煙に近い大量の煙が発生することと同時に油はねも多
く、近年の集合的一般家庭環境では極めて使用し難い事
情にある。特に、サンマ類等の油の多い魚をこれにより
直火で焼くことは殆ど不可能である。

【０００５】又、上述した間接式焼具や密閉式焼具の場
合には、直火による独特の風味が得られない点が最大の
欠点である。これは、溶融した脂の切れが悪いことと、
特に密閉式焼具の場合には更に、例えば魚の臭いが肉部
に侵入して特有の臭いが残るなどの理由によると考えら
れる。

【０００６】以上の従来の焼具の問題点の改善のために
上述した実用新案登録第８３６５６５号の構造のものを
提案したが、これによれば、油はねや煙が出にくいとい
う利点がある。しかし、食肉材料より溶融した脂が一部
は放射状の孔を通って直接下方の水溜部へ落下し煙の発
生がないが、他の一部は盤の下面に伝わり下面全体に広
がるので、火炎との接触により、あるいは火炎導入口へ
の落下、更には盤の反り補正のために形成した盤中央部
の切欠を介して直接脂が火炎導入口へ落下することなど
により、煙の発生は依然として残るものであった。又、
食肉材料でも特に魚の場合に、平坦状の盤表面で皮が剥
がれたりして焼き上がりが美麗でなく風味も損われると
いった問題があり、美しい焼目をつけるといった配慮も
見られないものであった。

【０００７】本考案は、上記従来の種々の焼具の問題点
に鑑みなされたものであり、その目的は、近年の集合住
宅的住環境においても煙の心配もなく安心して使用し
得、専門店にも劣らない直火焼特有の美味な風味と美し
い焼き上がりの焼肉料理を家庭において楽しむ事のでき
る家庭用食肉グリル器具を提供するにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記本考案の目的を達成
するために、本考案は、家庭用ガスコンロ等を熱源とし
て、鳥獣肉、魚貝類等の食肉材料を直火焼の態様で調理
する家庭用食肉グリル器具であって、中央部に熱源から
の火炎を導入する火炎導入口を有するとともに、そのま
わりに食肉材料から落下した脂を受ける水溜部を設けた
鍋状の器具本体と、該本体に取外し自在に設置されると
ともに複数の孔を間隔をおいて形成し、その孔を通して
前記導入口より導入された火炎を、上面に載置した食肉
材料に直火焼の態様で付与する焼板とよりなり、前記焼
板は、その中央部に前記本体上に設置した状態で該本体
の火炎導入口の領域を覆って実質的に大の領域を有し前
記孔を備えない閉鎖板部を有し、該焼板上面には、載置
した食肉材料を支承する複数の突条及び食肉材料の脂の
流れを該焼板の周縁部へ案内する溝条を形成し、該焼板
の周縁部には前記溝条により案内された脂を落下させる
開口を形成し、該焼板下面には、前記閉鎖板部の領域を
除いて、突条及び溝条を形成するとともに該閉鎖板部の
下面領域においてその周縁に該下面領域への脂の侵入を
防止する連続した隆起縁を形成した構成の家庭用食肉グ
リル器具を提案するものである。

【０００９】

【作用】上記本考案の家庭用食肉グリル器具によれば、
焼板上に載せた食肉材料に対して、器具本体中央部の火
炎導入口を介して導入された火炎が多数の孔を介して直
火の態様で付与され、食肉材料から溶融する脂は溝条を
通して板周縁部の開口へと速やかに案内され、又、その
一部は孔を介して落下するが、中央の閉鎖板部には孔が
無いので、下方の火炎導入口へ直接落下することがな
い。又、板下面に回った脂は、下面にも設けた突条と溝
条の凹凸形状に案内され、突条の先端よりスムーズに落
下するようになる。しかも、板下面の中央の閉鎖板部周
縁に連続した隆起縁が形成されており、下面に付着した
脂が閉鎖板部の下面中央部分に侵入するのが、これによ
って防止され、溶融した脂のスムーズな油切れ及び下方
の水溜部への落下へと導くので、煙の発生が極力抑制さ
れる。又、焼板上面に形成した突条により食肉が線状に
支承されるので、特に魚の場合に皮のはがれがなくな
り、焼目も付いて美麗な焼き上がりとなり、直火焼特有
の風味も発揮される。

【００１０】

【実施例】以下、図面を参照して本考案の一実施例を説
明する。図１において、１０は家庭用食肉グリル器具で
あり、矩形の鍋状をなす器具本体１２と、その上に取外
し自在に設置される焼板１４より成る。器具本体１２は
左右一対の把手１６を有するとともに周壁の内周面に沿
い焼板１４を受ける段部１８が一体に形成されている。

【００１１】焼板１２はその周縁部に間隔をおいて複数
の開口２０が形成され、中央部にはその外形輪郭を２２
で示す円形の閉鎖板部が形成されている。この閉鎖板部
２２の領域は、図１に破線で示した器具本体１２の中央
部に形成した円形の火炎導入口２４よりも大で、かつ図
示のごとく焼板１４を器具本体１２上に設置した状態で
該火炎導入口２４を十分に覆う状態となる。

【００１２】焼板１４の裏面ないし下面には、特に、図
２に示すごとくその一側縁に沿って台脚２６が一体に形
成されている。

【００１３】焼板１４の上面には、互いに平行で直線状
をなす細幅の孔２８が間隔をおいて貫通形成されてい
る。但し、閉鎖板部２２の領域には該孔２８が貫通して
は形成されず、該閉鎖板部２２のところでは溝条になっ
ている。この孔２８と平行に横断面三角形の山部をなす
突条３０が形成されるとともに孔２８の周囲に該突条３
０よりも低い小突条３２が形成され、この間に谷部をな
す溝条３４が互いに平行に直線状に形成されている。

【００１４】図２において、焼板１４の裏面ないし下面
には、その中央に位置する円形の閉鎖板部２２の周縁に
円環状に連続した隆起縁３６が形成されている。この隆
起縁３６により囲まれた閉鎖板部２２は図２に２点鎖線
で示した火炎導入口２４の領域を覆うようにそれよりも
大きな領域を占めている。

【００１５】この閉鎖板部２２を除いた焼板１４の下面
には、横断面三角形の山部をなす突条４０と、その間に
あって谷部をなす溝条３８が、それぞれ互いに平行かつ
直線状に形成され、溝条３８の１つおきに孔２８が位置
する形状となっている。

【００１６】図３において示すように、器具本体１２の
中央部に貫通形成した火炎導入口２４の周りには環状に
水溜部４２が形成され、使用時に図示のごとく若干の水
を溜めて落下する脂を受けるようになっている。器具本
体は、図において２点鎖線で示すように家庭用のガスコ
ンロ４４等に載置され火炎部４４ａからの火炎を火炎導
入口２４より導入し、焼板１４の閉鎖板部２２の下面を
加熱させながら、実線で示す矢印のように焼板１４の全
体に導き、焼板全体の加熱に加えて火炎を細幅の孔２８
を通して焼板１４上面に載置した食肉材料４６へ直火焼
の態様で付与するようになっている。

【００１７】このように本考案の食肉グリル器具１０は
家庭用ガスコンロ等に載置して使用するに適した寸法に
なっており、本実施例では、器具本体１２が、幅及び長
さ２５０mm、火炎導入口の内径９０mm、この本体に設置
される焼板１４の幅及び長さ２３２mmと設定される。材
質は、アルミ鋳造によりそれぞれ一体に形成されるがア
ルミ板を折曲加工して製作することも可能である。

【００１８】以上のように構成された本考案の食肉グリ
ル器具１０を用いて図３に示すごとく焼板１４上に食肉
材料４６を載せ、家庭用ガスコンロ４４を熱源として焼
肉調理を行なうと、前述のように火炎が焼板１４全体を
加熱するとともに孔２８を通して食肉材料４６に直接触
れるので、直火焼の態様で焼き上げられる。そして、食
肉材料４６より溶融した脂は、その一部が図３に破線の
矢印で示すごとく孔２８より滴下して下方の水溜部４２
に入る。又、残りの脂は焼板１４上面の溝条３４に沿っ
て周縁部の開口２０へと迅速に運ばれ、開口２０から水
溜部４２へと落下する。特に、焼板１４に設けた台脚２
６が段部１８に載置されるため焼板１４自体が一方向に
若干傾斜した状態となるので、この傾斜により脂の流れ
も速やかになる。なお、台脚２６を設ける代りに段部１
８側を傾斜させる構成とすることも可能であるが、本実
施例の構成では矩形の焼板１４を器具本体１２に対して
どの方向にでも設置できるので、より望ましい。

【００１９】溶融した脂の一部は、図４に破線で示すご
とく、焼板１４の下面にまわり、該下面全体をぬらした
状態となるが、本考案においては該下面にも突条４０，
溝条３８を形成してあるため、下面にまわった脂が突条
４０の先端部より積極的に滴下するように導かれる。仮
に該下面が平坦な面の場合には脂の滴下がスムーズに行
なわれず、そこに留って火炎との接触により多量の煙を
発生させる要因の１つになる。この点、本考案では、該
突条４０がスムーズな脂の滴下を促すので、ここでの煙
の発生を極力少なくすることができる。又、下面の溝条
３８はこのくぼみ部分に熱を溜め込む保熱効果を発揮す
るので、より効率の良い加熱ができる。

【００２０】更に、下面にまわった脂は、閉鎖板部２２
の下面中央部分にも、侵入しようとするが、本考案では
該閉鎖板部下面の周縁に突設した隆起縁３６があるため
に、脂はこれを乗り越え得ず該隆起縁３６に沿って下方
の水溜部４２に落ちる。しかも、この閉鎖板部２２の領
域は火炎導入口２４よりも大の領域を占めるので、滴下
した脂が該火炎導入口２４へ入ることがない。

【００２１】従って、食肉材料４６より、溶融した脂が
四方に拡散することなくスムーズに水溜部４２に収容さ
れるので、煙の発生が極めて少なく、一般家庭で安心し
て使用できる。又、脂は焼板上面の溝条３４に落下して
食肉材料４６より迅速に離れるので、脂切れがよく、直
火焼独特の風味が得られる。しかも、食肉材料４６は図
４で示すごとく突条３０により線状に支承され、これに
よって美しい焼目も形成される。更に、孔２８の周縁に
設けた小突条３２は、食肉の種類によっては軟らかくて
突条３０のみでは支承し得ない中間部分を図４に示すご
とく線状に支承するので、焼板１４の上面が食肉材料４
６と面で接することが極力避けられ、脂切れが一層良好
となる。

【００２２】以上、本考案の実施例を説明したが、本考
案はこの実施例構成に限定されるものではない。例え
ば、焼板１４に形成した孔２８，突条３０，溝条３４等
は互いに平行で直線状の構成に代え、円形の同心円状に
形成してもよいし、器具本体１２及び焼板１４の外形も
矩形に限らず円形状等他の形状とし得る。

【００２３】

【考案の効果】以上のように、本考案の家庭用食肉グリ
ル器具によれば、焼板上の食肉材料より溶融した脂が焼
板上面の溝条に沿いスムーズに流されるとともに焼板下
面にまわった脂も該下面に形成した突条４０により早く
落下するよう導かれ、又、隆起縁の形成によって閉鎖板
部の下面部分への脂の侵入が阻止され、しかもその閉鎖
板部が器具本体の火炎導入口の領域を覆うような大きさ
に形成されて落下した脂が火炎導入口へ入ることがない
ので、煙の発生が極めて少なく、食肉材料からの油切れ
も良好であり、しかも食肉材料に対して焼板の孔を通し
て直接火炎が付与されて直火焼による特有の風味が得ら
れ、又、焼板上面の突条により食肉材料に美麗な焼目を
形成し得る等、一般家庭において専門店にも劣らない風
味と焼き上がりの焼肉料理を安心して楽しむことがで
き、構造簡単で低廉に製作し得る等、種々の実用的効果
を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の家庭用食肉グリル器具の平
面図である。

【図２】図１に示すグリル器具の内、焼板のみの裏面図
である。

【図３】家庭用ガスコンロ上で焼肉調理を行なっている
態様で示す図１の３−３線に沿う縦断面図である。

【図４】焼板上に食肉材料を載せて焼肉調理を行なって
いる態様で示す図１の４−４線に沿う部分拡大縦断面図
である。

【符号の説明】

１０ 家庭用食肉グリル器具 １２ 器具本体 １４ 焼板 ２２ 閉鎖板部 ２４ 火炎導入口 ２８ 孔 ３０ 突条 ３４ 溝条 ３６ 隆起縁 ３８ 溝条 ４０ 突条 ４２ 水溜部 ４６ 食肉材料

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】家庭用ガスコンロ等を熱源として、鳥獣
   肉、魚貝類等の食肉材料を直火焼の態様で調理する家庭
   用食肉グリル器具であって、中央部に熱源からの火炎を
   導入する火炎導入口を有するとともに、そのまわりに食
   肉材料から落下した脂を受ける水溜部を設けた鍋状の器
   具本体と、該本体に取外し自在に設置されるとともに複
   数の孔を間隔をおいて形成し、その孔を通して前記導入
   口より導入された火炎を、上面に載置した食肉材料に直
   火焼の態様で付与する焼板とよりなり、前記焼板は、そ
   の中央部に前記本体上に設置した状態で該本体の火炎導
   入口の領域を覆って実質的に大の領域を有し前記孔を備
   えない閉鎖板部を有し、該焼板上面には、載置した食肉
   材料を支承する複数の突条及び食肉材料の脂の流れを該
   焼板の周縁部へ案内する溝条を形成し、該焼板の周縁部
   には前記溝条により案内された脂を落下させる開口を形
   成し、該焼板下面には、前記閉鎖板部の領域を除いて、
   突条及び溝条を形成するとともに該閉鎖板部の下面領域
   においてその周縁に該下面領域への脂の侵入を防止する
   連続した隆起縁を形成したことを特徴とする家庭用食肉
   グリル器具。