JPH07107023B2 - 乳酸誘導体およびこれを含む液晶組成物 - Google Patents

乳酸誘導体およびこれを含む液晶組成物

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JPH07107023B2
JPH07107023B2 JP19672086A JP19672086A JPH07107023B2 JP H07107023 B2 JPH07107023 B2 JP H07107023B2 JP 19672086 A JP19672086 A JP 19672086A JP 19672086 A JP19672086 A JP 19672086A JP H07107023 B2 JPH07107023 B2 JP H07107023B2
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は分子構造の変更が容易で且つ光学活性を有する
乳酸誘導体、それを含有する液晶組成物に関するもの
で、更に詳しくは光学活性な乳酸誘導体であるところの
液晶性化合物およびそれを含有する液晶組成物ならびに
該液晶組成物を使用する液晶素子に関するものである。
背景技術 従来の液晶素子としては、例えばエム・シャット(M.Sc
hadt)とダブリュー・ヘルフリヒ(W.Helfrich)著、”
アプライド、フィズィクス、レターズ"18巻4号("Appl
ied Physics Letters"、Vol.18,No.4)(1971.2.15)、
P.127〜128の「捩れネマチック液晶の電圧依存光学挙
動」("Voltage−Dependent Optical Activity of a Tw
isted Nematic Liquid Crystal")に記載されたTN(ツ
イステッド・ネマチック)液晶を用いたものが知られて
いる。しかしながら、このTN液晶は、画素密度を高くし
たマトリクス電極構造を用いた時分割駆動の時、クロス
トークを発生する問題点があるため、画素数が制限され
ていた。また、電界応答が遅く視野角特性が悪いために
ディスプレイとしての用途は限定されていた。
更に、各画素に薄膜トランジスタによるスイッチング素
子を接続し、各画素毎をスイッチングする方式の表示素
子が知られているが、基板上に薄膜トランジスタを形成
する工程が極めて煩雑な上、大面積の表示素子を作成す
ることが難しい問題点がある。
このような従来型の液晶素子の欠点を改善するものとし
て、双安定性を有する液晶素子の使用が、クラーク(Cl
ark)およびラガウエル(Lagerwall)により提案されて
いる(特開昭56−107216号公報、米国特許第4367924号
明細書等)。双安定性を有する液晶としては、一般に、
カイラルスメクティックC相(SmC)又はH相(Sm
H)を有する強誘電性液晶が用いられる。
この強誘電性液晶は自発分極を有するために非常に速い
応答速度を有する上にメモリー性のある双安定状態を発
現させることができさらに視野角特性もすぐれているこ
とから大容量大画面のディスプレイとして適している。
強誘電性液晶に用いられるところの液晶性化合物は不斉
炭素を有しているためにそのカイラルスメクチック相を
用いるところの強誘電性液晶として利用する以外に次に
ような光学素子に対しても使用することができる。
1)液晶状態においてコレステリック・ネマティック相
転移効果を利用するもの(J.J.Wysoki,A.Adams and W.H
aas;Phys.Rev.Lett.,20,1024(1968))、 2)液晶状態においてホワイト・テイラー形ゲスト・ホ
スト効果を利用するもの(D.L.White and G.N.Taylor;
J.Appl.Phys.,45,4718(1974))、 3)液晶状態においてコレステリック相を持つものをマ
トリックス中へ固定することにより、その選択散乱特性
を利用し、ノッチフィルターやバンドバスフィルターと
して利用するもの(F.J.Kahn,Appl.Phys.Lett.,18,231
(1971))、円偏光特性を利用した円偏光ビームスプリ
ッターとして利用するもの(S.D.Jacobs,SPIE,37,98(1
981));等。
個々の方式についての詳細な説明は省略するが、いずれ
も表示素子や変調素子として重要である。
従来、光学活性を有することを特徴とする光学素子に必
要な機能性材料を合成するための光学活性中間体として
は、2−メチルブタノール、2級オクチルアルコール、
2級ブチルアルコール、塩化p−(2−メチルブチル)
安息香酸、2級フェネチルアルコール、アミノ酸誘導
体、ショウノウ誘導体、コレステロール誘導体等が知ら
れている。
しかし、これらは次のような欠点を有している。光学活
性な鎖状炭化水素誘導体は構造の変更が困難で、しかも
一部のものを除き非常に高価なものである。アミノ酸誘
導体は比較的安価な上に構造の変更も容易であるがアミ
ンの水素基が化学的に活性が強く、水素結合や化学反応
を生じやすいために機能性材料の特性を制限してしまい
やすい。ショウノウ誘導体、コレステロール誘導体は構
造の変更が困難なうえに立体的な障害によって機能性材
料の特性に悪影響を与えやすい。
上記のような欠点は、種々の材料を開発する上で大きな
制約となっていた。
発明の目的 上述の事情に鑑み、本発明の主要な目的は、不斉炭素原
子に隣接して酵素原子が存在するために強誘電性液晶と
して使用する場合に大きな自発分極を生じる化合物を提
供することにある。
また、本発明はアルキル基の長さを変更することが容易
で、このことによりH.Arnold,Z.Phys.Chem,.226,146(1
964)に示されるように液晶状態において発現する液晶
相の種類や温度範囲を制御することが可能な液晶性化合
物及びそれを少なくとも1種類配合成分として含有する
液晶組成物を提供することを目的とする。
発明の概要 すなわち、本発明は、一般式(I) (上記一般式中、Rは炭素数1〜18の直鎖状アルキル基
であり、Xが (但しR1は炭素数4〜18のアルキル基もしくはアルコキ
シ基で、mは1または2である))で表わされる液晶性
の乳酸誘導体、および、それを少なくとも1種類配合成
分として含有する液晶組成物ならびに該液晶組成物を使
用する液晶素子を提供するものである。
発明の具体的説明 上記一般式(I)により形式的に表わされ、但しXがOH
基、ハロゲン、ベンジルオキシ基、フェノキシ基、トル
エンスルホニルオキシ基、アセチルオキシ基、トリフル
オロアセチルオキシ基から選択される置換基であり、R
が炭素原子数1〜18の直鎖状のアルキル基である光学活
性物質を前駆体として本発明の(I)式で表わされる液
晶性化合物が得られる。上記光学活性物質において、R
が19以上では最終的な機能材料としたときの粘度やモル
体積が増加するため好ましくない。また、好ましいRの
炭素原子数は4〜16である。Rの具体例としては直鎖状
アルキル基、分岐状アルキル基、シクロアルキル基、直
鎖状アルケニル基、分岐状アルケニル基、シクロアルケ
ニル基、直鎖状アルカディエニル基、分岐状アルカディ
エニル基、シクロアルカディエニル基、直鎖状アルカト
リエニル基、分岐状アルカトリエニル基、直鎖状アルキ
ニル基、分岐状アルキニル基、アラルキル基がある。後
記する液晶性化合物を与えるためには特にアルキル基が
好ましい。また、Cは不斉炭素原子を示す。XはOH
基、ハロゲン、ベンジルオキシ基、フェノキシ基、トル
エンスルホン酸基、アセチルオキシ基、トリフルオロア
セチルオキシ基から選択される置換基で適当な反応条件
下で、反応試薬と反応して他の基によって容易に置き換
えることができる。この場合反応試薬を種々変化させる
ことにより、異なる液晶性化合物を得ることができる。
そのようにして得られる本発明の液晶性化合物は、Xが (但しR1は炭素数4〜18のアルキル基もしくはアルコキ
シ基で、mは1または2である)のものである。この場
合R1の特に好ましい炭素原子数は6〜16である。
次に、本発明の液晶性化合物の前駆体として用いられ一
般式(I)で形式的に示される光学活性な乳酸誘導体の
うち、Xが着脱可能な化学的に活性な置換基である化合
物の合成方法の例を以下に示す。
上記反応式におけるRIは炭素数の広い範囲にわたって選
択することが可能であり、具体的にはヨードブタン、ヨ
ードペンタン、ヨードヘキサン、ヨードヘプタン、ヨー
ドオクタン、ヨードノナン、ヨードデカン、ヨードウン
デカン、ヨードドデカン、ヨードトリデカン、ヨードテ
トラデカン、ヨードペンタデカン、ヨードヘキサデカ
ン、ヨードヘプタデカン、ヨードオクタデカン、ヨード
ノナデカン、ヨードエイコサン等の直鎖状飽和炭化水素
ヨウ化物;2−ヨードブタン、1−ヨード−2−メチルプ
ロパン、1−ヨード−3−メチルブタン等の分岐状飽和
炭化水素ヨウ化物;ヨードベンジル、ヨードフェナシ
ル、3−ヨード−1−シクロヘキセン等の環状不飽和炭
化水素ヨウ化物;ヨードシクロペンタン、ヨードシクロ
ヘキサン、1−ヨード−3−メチルシクロヘキサン、ヨ
ードシクロヘプタン、ヨードシクロオクタン等の環状飽
和炭化水素ヨウ化物がある。
以上のようなヨウ化物から自由に選択することにより光
学活性な乳酸誘導体を得ることができる。
表1にこのようにして得られた本発明の液晶性化合物の
前駆体である光学活性な乳酸誘導体の旋光度を示す。
このような方法により得られた種々の乳酸誘導体より、
次に示す合成経路によって下記に示される液晶性化合物
が得られる。
(上記においてR、R1、mおよびnは前記で定義した通
りである。) 表2にこのようにして得られた液晶性の乳酸誘導体の例
を示す。
本発明の液晶組成物は、上記一般式(I)で表わされる
液晶性の乳酸誘導体を少なくとも1種類配合成分として
含有するものである。
上記組成物のうち下式(1)〜(13)に代表して示され
るような強誘電性液晶を配合成分とするものは、自発分
極を増大させることが可能でありさらに粘度を低下させ
る効果とあいまって応答速度を改善することができ好ま
しい。このような場合には一般式(I)で示される本発
明の液晶性の乳酸誘導体を0.1〜99重量%の比率で使用
することが好ましく、特に好ましくは1〜90重量%で使
用される。
また下式1)〜5)で示されるような、それ自体はカイ
ラルでないスメクチック液晶に配合することにより、強
誘電性液晶として使用可能な組成物が得られる。
このような場合においては一般式(I)で示される本発
明の液晶性の乳酸誘導体を0.1〜99重量%の比率で使用
することができる。
ここで、記号は、それぞれ以下の相を示す。
Cryst.:結晶相、 SmA :スメクチックA相、 SmB :スメクチックB相、 SmC :スメクチックC
相、 N :ネマチック相、 Iso.:等方相。
また本発明の乳酸誘導体を少なくとも1種類配合成分と
して含有するネマチック液晶はツイステッドネマチック
(TN)型セルにして使用する場合にリバースドメインの
発生を防止することができ好ましい。
これらの液晶材料を用いて素子を構成する場合、液相材
料が例えばSmC相またはSmH相となるような温度状態
に保持する為、必要に応じて素子をヒーターが埋め込ま
れた銅ブロック等により支持することができる。
第1図は、強誘電性液晶の動作説明のために、セルの例
を模式的に描いたものである。11aと、11bは、それぞれ
In2O3、SnO2あるいはITO(Indium−Tin Oxide)等の薄
膜からなる透明電極で被覆された基板(ガラス板)であ
り、その間に液晶分子層12がガラス面に垂直になるよう
配向したSmC相又はSmH相の液晶が封入されている。
太線で示した線13が液晶分子を表わしており、この液晶
分子13はその分子に直交した方向に双極子モーメント
(P)14を有している。基板21と11b上の電極間に一
定の閾値以上の電圧を印加すると、液晶分子13のらせん
構造がほどけ、双極子モーメント(P)14がすべて電
界方向に向くよう、液晶分子13は配向方向を変えること
ができる。液晶分子13は、細長い形状を有しており、そ
の長軸方向と短軸方向で屈折率異方性を示し、従って例
えばガラス面の上下に互いにクロスニコルの偏光子を置
けば、電圧印加極性によって光学特性が変わる液晶光学
変調素子となることは、容易に理解される。
本発明の光学変調素子で好ましく用いられる液晶セル
は、その厚さを充分に薄く(例えば10μ以下)すること
ができる。このように液晶層が薄くなるにしたがい、第
2図に示すように電界を印加していない状態でも液晶分
子のらせん構造がほどけ、その双極子モーメントPaまた
はPbは上向き(24a)又は下向き(24b)のどちらかの状
態をとる。このようなセルに、第2図に示す如く一定の
閾値以上の極性の異る電界Ea又はEbを電圧印加手段21a
と21bにより付与すると、双極子モーメントは、電界Ea
又はEbの電界ベクトルに対応して上向き24a又は下向き2
4bと向きを変え、それに応じて液晶分子は、第1の安定
状態23aかあるいは第2の安定状態23bの何れか1方に配
向する。
このような強誘電性を光学変調素子として用いることの
利点は、先にも述べたが2つある。
その第1は、応答速度が極めて速いことであり、第2は
液晶分子の配向が双安定性を有することである。第2の
点を、例えば第2図によって更に説明すると、電界Eaを
印加すると液晶分子は第1の安定状態23aに配向する
が、この状態は電界を切っても安定である。又、逆向き
の電界Ebを印加すると、液晶分子は第2の安定状態23b
に配向してその分子の向きを変えるが、やはり電界を切
ってもこの状態に留つている。又、与える電界Eaあるい
はEbが一定の閾値を越えない限り、それぞれ前の配向状
態にやはり維持されている。このような応答速度の速さ
と、双安定性が有効に実現されるにはセルとしては出来
るだけ薄い方が好ましく、一般的には0.5μ〜20μ、特
に1μ〜5μが適している。
次に強誘電性液晶の駆動法の具体例を、第3図〜第5図
を用いて説明する。
第3図は、中間に強誘電性液晶化合物(図示せず)が挾
まれたマトリクス電極構造を有するセル31の模式図であ
る。32は、走査電極群であり、33は信号電極群である。
最初に走査電極S1が選択された場合について述べる。第
4図(a)と第4図(b)は走査信号であって、それぞ
れ選択された走査電極S1に印加される電気信号とそれ以
外の走査電極(選択されない走査電極)S2、S3、S4・・
・に印加される電気信号を示している。第4図(c)と
第4図(d)は、情報信号であってそれぞれ選択された
信号電極I1、I3、I5と選択されない信号電極I2、I4に与
えられる電気信号を示している。
第4図および第5図においては、それぞれ横軸が時間
を、縦軸が電圧を表す。例えば、動画を表示するような
場合には、走査電極群32は逐次、周期的に選択される。
今、所定の電圧印加時間t1またはt2に対して双安定性を
有する液晶セルの、第1の安定状態を与えるための閾値
電圧を−Vth1とし、2の安定状態を与えるための閾値電
圧を+Vth2とすると、選択された走査電極32(S1)に与
えられる電極信号は、第4図(a)に示される如く位相
(時間)t1では、2Vを、位相(時間)t2では、−2Vとな
るような交番する電圧である。このように選択された走
査電極に互いに電圧の異なる複数の位相間隔を有する電
気信号を印加すると、光学的「暗」あるいは「明」状態
に相当する液晶の第1あるいは第2の安定状態間での状
態変化を、速やかに起こさせることができるという重要
な効果が得られる。
一方、それ以外の走査電極S2〜S5・・・は、第4図
(b)に示す如くアース状態となっており、電気信号0
である。また、選択された信号電極I1、I3、I5に与えら
れる電気信号は、第4図(C)に示される如くVであ
り、また選択されない信号電極I2、I4に与えられる電気
信号は、第4図(d)に示される如く−Vである。以上
に於て各々の電圧値は、以下の関係を満足する所望の値
に設定される。
V<Vth2<3V −3V<−Vth1<−V この様な電気信号が与えられたときの各画素のうち、例
えば第3図中の画素AとBにそれぞれ印加される電圧波
形を第5図(a)と(b)に示す。すなわち、第5図
(a)と(b)より明らかな如く、選択された走査線上
にある画素Aでは、位相t2に於て、閾値Vth2を越える電
圧3Vが印加される。また、同一走査線上に存在する画素
Bでは位相t1に於て閾値−Vth1を越える電圧−3Vが印加
される。従って、選択された走査電極線上に於て、信号
電極が選択されたか否かに応じて、選択された場合に
は、液晶分子は第1の安定状態に配向を揃え、選択され
ない場合には第2の安定状態に配向を揃える。
一方、第5図(c)と(d)に示される如く、選択され
ない走査線上では、すべての画素に印加される電圧はV
または−Vであって、いずれも閾値電圧を越えない。従
って、選択された走査線上以外の各画素における液晶分
子は、配向状態を変えることなく前回走査されたときの
信号状態に対応した配向を、そのまま保持している。即
ち、走査電極が選択されたときにその1ライン分の信号
の書き込みが行われ、1フレームが終了して次回選択さ
れるまでの間は、その信号状態を保持し得るわけであ
る。従って、走査電極数が増えても、実質的なデューテ
ィ比はかわらず、コントラストの低下は全く生じない。
次に、ディスプレイ装置として駆動を行った場合の実際
に生じ得る問題点について考えてみる。第3図に於て、
走査電極S1〜S5・・・と信号電極I1〜I5・・・の交点で
形成する画素のうち、斜線部の画素は「明」状態に、白
地で示した画素は、「暗」状態に対応するものとする。
今、第3図中の信号電極I1上の表示に注目すると、走査
電極S1に対応する画素(A)では「明」状態であり、そ
れ以外の画素(B)はすべて「暗」状態である。この場
合の駆動法の一例として、走査信号と信号電極I1に与え
られる情報信号及び画素Aに印加される電圧を時系列的
に表したものが第6図である。
例えば第6図のようにして、駆動した場合、走査信号S1
が走査されたとき、時間t2に於て画素Aには、閾値Vth2
を越える電圧3Vが印加されるため、前歴に関係なく、画
素Aは一方向の安定状態、即ち「明」状態に転移(スイ
ッチ)する。その後は、S2〜S5・・・が走査される間は
第6図に示される如く−Vの電圧が印加され続けるが、
これは閾値−Vth1を越えないため、画素Aは「明」状態
を保ち得るはずであるが、実際にはこのように1つの信
号電極上で一方の信号(今の場合「暗」に対応)が与え
られ続けるような情報の表示を行う場合には、走査線数
が極めて多く、しかも高速駆動が求められるときには反
転現象を生じるが、前述した特定の液晶化合物またはそ
れを含有した液晶組成物を用いることによって、この様
な反転現象は完全に防止される。
さらに、本発明では、前述の反転現象を防止する上で液
晶セルを構成している対向電極のうち少なくとも一方の
電極に絶縁物質により形成した絶縁膜を設けることが好
ましい。
この際に使用する絶縁物質としては、特に制限されるも
のではないが、シリコン窒化物、水素を含有するシリコ
ン窒化物、シリコン炭化物、水素を含有するシリコン炭
化物、シリコン酸化物、硼素窒化物、水素を含有する硼
素窒化物、セリウム酸化物、アルミニウム酸化物、ジル
コニウム酸化物、チタン酸化物やフッ化マグネシウムな
どの無機絶縁物質、あるいはポリビニルアルコール、ポ
リイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポ
リパラキシレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポ
リビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリアミド、ポリスチレン、セルロース樹脂、メラ
ミン樹脂、ユリヤ樹脂、アクリル樹脂やフォトレジスト
樹脂などの有機絶縁物質が絶縁膜として使用される。こ
れらの絶縁膜の膜厚は5000Å以下、好ましくは100Å〜1
000Å、特に500Å〜3000Åが適している。
発明の効果 本発明の光学活性な液晶性の乳酸誘導体を少なくとも1
種類を配合成分として含有するところの液晶組成物は、
カイラルネマチック液晶、カイラルスメクチック液晶と
して使用することにより、自発分極の増加、粘度調整等
を通じて、応答速度の向上、リバースドメインの発生防
止等の性能改善が可能である。
以下、参考例、実施例により、前駆体である光学活性物
質ならびに、本発明の液晶性の乳酸誘導体及び液晶組成
物について詳細に説明する。
参考例1 p−ハイドロキシ安息香酸(2−エトキシ)プロピルエ
ステル」 SOCl2165gにP−アセチルオキシ安息香酸50gを加え60℃
で40分加熱した。冷却後、溶媒を留去して、 64.5gを得た。
2−エトキシプロパノール(C2H5OCH(CH3)CH2OH)
10gとN,N−ジメチルアニリン11.6gを、エーテル20mlに
溶かし、撹拌下、上記で得た 22.3gを45分で滴下した。その後加熱還流し、1時間30
分撹拌した。
水を加えエーテル層を分離し、精製してp−アセチルオ
キシ安息香酸(2−エトキシ)プロピルエステルを得
た。それにメタノールを入れた後、メタノール:28%ア
ンモニア水=1:1の混合液を加え撹拌し加水分解した。
エーテル400mlで抽出し、水洗、乾燥(Na2SO4)し、溶
媒を留去して粗生成物11.5gを得た。シリカゲル1Kgでカ
ラム精製(移動相:イソプロピルエーテル:n−ヘキサン
=1:1)して、p−ハイドロキシ安息香酸(2−エトキ
シ)プロピルエステル6.4gを得た。
生成物について、以下のIRデータを得た。
IR(cm-1): p−アセチルオキシ安息香酸(2−エトキシ)プロピル
エステル 2980、2880、1770、1720、 1610、1505、1375、1275、 1200、1160、1120、1100。
p−ハイドロキシ安息香酸(2−エトキシ)プロピルエ
ステル 3310、2990、2900、1720、 1700、1620、1600、1520、 1450、1390、1280、1170、 1100。
参考例2 p−ハイドロキシ安息香酸(2−プロポキシ)プロピル
エステル 参考例1と同様の操作により、10gの(2−プロポキ
シ)プロパノールから14.6gのp−ハイドロキシ安息香
酸(2−プロポキシ)プロピルエステルを得た。
生成物について、以下のIRおよびNMRデータを得た。
IR: 3370、3000、2900、1720、 1700、1625、1610、1525、 1460、1395、1280、1250、 1180、1120。1 H−NMR 0.9〜1.8ppm(8H)、2.3ppm(1H)、3.4〜4.3ppm(5
H)、6.7〜8.0ppm(4H)。
参考例3〜5 参考例1と同様の操作により本発明の乳酸誘導体を得
た。生成物は、その比旋光度とともに、前記表1に記載
の通りである。
参考例6 p−ハイドロキシビフェニルカルボン酸(2−ペンチル
オキシ)プロピルエステルKOH9.42g(1.68×10-1mol)
を水30mlに溶かした中に、p−ハイドロキシビフェニル
カルボン酸15g(7.02×10-2mol)を、室温にて10分かけ
て滴下した。滴下後、析出した結晶を過し、水にて再
結晶し、5.9gのp−アセチルオキシビフェニルカルボン
酸を得た。(収率:32.9%) SOCl220g(1.68×10-1mol)に、p−アセチルオキシビ
フェニルカルボン酸5.7g(2.23×10-2mol)を加え、3.5
時間加熱還流した。冷却後溶媒留去して7.0gのp−アセ
チルオキシビフェニルカルボン酸クロライドを得た。
2−ペンチルオキシヘプタノール3.25g(2.23×10-2mo
l)、N,N−ジメチルアニリン2.69g(2.23×10-2mol)を
エーテル10mlに溶解し、撹拌下、上記で合成したp−ア
セチルオキシビフェニルカルボン酸クロライドのトルエ
ン20ml溶液を室温にて20分かけて滴下した。滴下後7時
間加熱還流した。
反応終了後水50mlを加えて結晶を溶かしエーテル30mlに
て3回抽出した。エーテル層を10%H2SO4水溶液50mlに
て4回、水にて3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾
燥した後溶媒留去し20.3gの油状物を得た。これをシリ
カゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、8.6gの
p−アセチルオキシビフェニルカルボン酸(2−ペンチ
ルオキシ)プロピルエステルを得た。
上記で得たp−アセチルオキシビフェニルカルボン酸
(2−ペンチルオキシ)プロピルエステルをメタノール
50mlにて希釈した後、メタノール:NH4OH(28%)=1:1
を撹拌下に加え、加水分解した。その後、無水硫酸ナト
リウムにて3回抽出し、エーテル層を水50mlにて3回洗
浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後溶媒留去し油状物
を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに
より精製し2.6gのp−ハイドロキシビフェニルカルボン
酸(2−ペンチルオキシ)プロピルエステルを得た。
生成物について、以下のIRデータを得た。
IR: 3400、2950、2875、1720、 1700、1615、1600、1450、 1380、1290、1260、1110。
実施例3 p′−デシルオキシビフェニルカルボン酸p″(2−エ
トキシプロピルオキシカルボニル)フェニルエステル デシルオキシビフェニルカルボン酸4g(113×10-2mol)
にSOCl220mlを加え、3.5時間加熱還流した。過剰のSOCl
2を留去してデシルオキシビフェニルカルボン酸クロラ
イドを得た。
得られた酸クロライドをトルエン10mlに溶かし、ピリジ
ン16mlに溶かした光学活性なp−ハイドロキシ安息香酸
2−エトキシプロピルエステル2.35g(1.13×10-2mol)
に滴下し、室温で55分放置した後3時間50分撹拌した。
反応混合物を冷水に抽入し、6NのHCl溶液、水で洗浄
し、乾燥し溶媒を留去して4.4gのp′−デシルオキシビ
フェニルカルボン酸p″(2−エトキシプロピルオキシ
カルボニル)フェニルエステルを得た。さらにシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィーにより精製後、再結晶し1.
8gの精製物を得た。
生成物について、以下のIRおよびNMRデータを得た。
IR: 2940、2870、1740、1610、 1515、1480、1395、1295、 1135、1090。1 H−NMR: 6.8〜8.2ppm(12H)、3.3〜4.3ppm(7H)、0.8〜1.8ppm
(25H)。
実施例1、2、4〜9、10、11 実施例3と同様にして液晶性化合物を得た。
生成物は、その相転移温度とともに前表2に示す通りで
ある。
実施例12 実施例3で製造した液晶性化合物を使用した液晶素子 高精度研摩した10×20mmのガラスへ約1000ÅのITO膜を
電極として設け、さらに約1000ÅのSiO2をイオンビーム
法により蒸着した。同様の加工を行ったガラス基板に実
施例9で製造した液晶性化合物を滴下し、対向して上記
ガラス基板を重ねあわせた。160℃にて基板をおさえつ
けながら、偏光顕微鏡下で上下基板の間隔を保ちなが
ら、相互にずらすようにして平行運動を行ったところ水
平配向したモノドメインが得られた。そのときの液晶層
厚は1.4μmであり、80℃にて、±10Vのパルスを印加す
ると約100μsecでスイッチングを行なった。
実施例13 実施例4で製造した液晶性化合物を配合成分とする液晶
組成物の特性 と、実施例4の液晶性化合物79重量%とからなる液晶組
成物は、冷却過程で20〜〜90℃でSmCを示した。
実施例14 交差した帯状のITOで形成した対向マトリクス電極のそ
れぞれに1000Åの膜厚を有するポリイミド膜(ピロメリ
ット酸無水物と4,4′−ジアミノジフェニルエーテルと
の結合物からなるポリアミック酸樹脂の5重量%N−メ
チルピロリドン溶液を塗布し、250℃の温度で加熱閉環
反応により形成した)を設け、このポリイミド膜の表面
を互いに平行になる様にラビングし、セル厚を1μにし
たセルを作成した。
次いで、下記組成物Aを等方相下で前述のセル中に真空
注入法によって注入し、封口した。しかる後に、徐冷
(1℃/時間)によってSmCの液晶セルを作成した。
液晶組成物A: この液晶セルの両側にクロスニコルの偏光子と検光子を
配置し、対向マトリクス電極間に第4図及び第5図に示
す波形の信号を印加した。この際、走査信号は第4図
(a)に示す+8ボルトと−8ボルトの交番波形とし、
書込み情報は、それぞれ+4ボルトと−4ボルトとし
た。また、1フレーム期間を30m・secとした。
この結果、この液晶素子は前述のメモリー駆動型時分割
駆動を行なっても、書込み状態は、何ら反転することな
く正常な動画表示が得られた。
比較例1 実施例14の液晶素子を作成する際に用いた液晶組成物A
中の、前述の一般式(I)で示された液晶性化合物を省
略した下記の比較用液晶Bを調製し、液晶素子を作成し
た。これらの液晶素子を前述と同様の方法で駆動させた
が、反転現象を生じているために、正常な動画が表示さ
れなかった。
比較用液晶B:
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は、本発明で用いる時分割駆動用液
晶素子を模式的に表わす斜視図、第3図は、本発明で用
いるマトリクス電極構造の平面図、第4図(a)〜
(d)は、マトリクス電極に印加する電気信号を表わす
説明図、第5図(a)〜(d)は、マトリクス電極間に
付与された電圧の波形を表わす説明図、第6図は、本発
明の液晶素子に印加する電気信号を表わしたタイムチャ
ートの説明図である。 11a、11b……基板、 12……液晶分子層、 13……液晶分子、 14……双極子モーメント(P)、 23a……第1の安定状態、 23b……第2の安定状態、 24a……上向き双極子モーメント、 24b……下向き双極子モーメント、 31……セル、 32……(S1、S2、S3、・・・)…走査電極群、 33……(I1、I2、I3、・・・)…信号電極群。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) (上記一般式中Rは炭素数1〜18の直鎖状のアルキル基
    を示す。nは1または2であり、Cは不斉炭素原子を
    示す。Xは (但しR1は炭素数4〜18のアルキル基もしくはアルコキ
    シ基で、mは1または2である))で表わされる液晶性
    の乳酸誘導体。
  2. 【請求項2】一般式(I) (上記一般式中Rは炭素数1〜18の直鎖状のアルキル基
    を示す。nは1または2であり、Cは不斉炭素原子を
    示す。Xは (但しR1は炭素数4〜18のアルキル基もしくはアルコキ
    シ基で、mは1または2である))で表わされる液晶性
    の乳酸誘導体を少なくとも1種類配合成分として含有す
    ることを特徴とする液晶組成物。
  3. 【請求項3】一般式(I) (上記一般式中Rは炭素数1〜18の直鎖状のアルキル基
    を示す。nは1または2であり、Cは不斉炭素原子を
    示す。Xは (但しR1は炭素数4〜18のアルキル基もしくはアルコキ
    シ基で、mは1または2である))で表わされる液晶性
    の乳酸誘導体を少なくとも1種類配合成分として含有す
    る液晶組成物を使用することを特徴とする液晶素子。
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