JPH07106983B2 - グリゼオール酸ジエステル誘導体 - Google Patents

グリゼオール酸ジエステル誘導体

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JPH07106983B2
JPH07106983B2 JP30619987A JP30619987A JPH07106983B2 JP H07106983 B2 JPH07106983 B2 JP H07106983B2 JP 30619987 A JP30619987 A JP 30619987A JP 30619987 A JP30619987 A JP 30619987A JP H07106983 B2 JPH07106983 B2 JP H07106983B2
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正勝 金子
美佐子 木村
誠 鴨狩
富久 横山
光郎 山崎
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Description

【発明の詳細な説明】 [目的] (産業上の利用分野) 本発明は、優れた眼圧低下作用を有する新規なグリゼオ
ール酸ジエステル誘導体に関する。
(従来の技術) グリゼオール酸ジエステル誘導体としては、特開昭60−
94992号公報及び特開昭第61−100593号公報記載の以下
の化合物が公知である。
(上記式中、R1及びR2は前記と同意義を示し、R5′及び
R6′はメチル基又はジフェニルメチル基を示す。) しかしながら、これらの化合物は眼圧低下作用を有しな
い。
(当該発明が解決しようとする問題点) 本発明者等は、眼圧低下作用を有するグリゼオール酸誘
導体の合成とその薬理活性について永年に亘り鋭意研究
を行なった結果、既知のエステル誘導体とは構造を異に
する新規なメチルエステル誘導体、即ち、メチルエステ
ルのメチル基が、ジオキソレン環又は置換カルボニルオ
キシ基で修飾された誘導体が良好な眼圧低下作用を有
し、優れた緑内症治療薬となりうることを見出し、本発
明を完成した。
[構成] 本発明の新規なグリゼオール酸ジエステル誘導体は、 一般式 [式中、R1及びR2は同一又は異なって、水素原子又は保
護されていてもよい水酸基を示し、R3及びR4は同一で水
素原子を示すか又はR3とR4が一緒になって単結合を示
し、R5及びR6は同一又は異なって、 一般式 R7−COOCH(R8)− (II)、 R9−OCOOCH(R10)− (III)又は (式中、R7及びR9は、同一又は異なって、炭素数1乃至
10個の直鎖若しくは分枝鎖アルキル基又は炭素数3乃至
10個のシクロアルキル基を示し、R8及びR10は、同一又
は異なって、水素原子、炭素数1乃至10個の直鎖若しく
は分枝鎖アルキル基又は炭素数3乃至10個のシクロアル
キル基を示し、R11は、炭素数1乃至10個の直鎖若しく
は分枝鎖アルキル基、炭素数3乃至10個のシクロアルキ
ル基又は炭素数6乃至10個のアリール基を示す。)を有
する基を示す。]を有する。
上記一般式(I)において、R1及びR2で定義された「保
護されていてもよい水酸基」の「保護基」分としては、
反応における保護基及び生体に投与する際のプロドラッ
グ化のための保護基を示し、例えば、ホルミル、アセチ
ル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ペンタノ
イル、ピバロイル、バレリル、イソバレリル、オクタノ
イル、ラウロイル、ミリストイル、トリデカノイル、パ
ルミトイル、ステアロイルのようなアルキルカルボニル
基、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロア
セチル、トリフルオロアセチルのようなハロゲン化アル
キルカルボニル基、メトキシアセチルのような低級アル
コキシアルキルカルボニル基、(E)−2−メチル−2
−ブテノイルのような不飽和アルキルカルボニル基等の
脂肪族アシル基;ベンゾイル、α−ナフトイル、β−ナ
フトイルのようなアリールカルボニル基、2−ブロモベ
ンゾイル、4−クロロベンゾイルのようなハロゲン化ア
リールカルボニル基、2,4,6−トリメチルベンゾイル、
4−トルオイルのような低級アルキル化アリールカルボ
ニル、4−アニソイルのような低級アルコキシ化アリー
ルカルボニル基、4−ニトロベンゾイル、2−ニトロベ
ンゾイルのようなニトロ化アリールカルボニル基、2−
(メトキシカルボニル)ベンゾイルのような低級アルコ
キシカルボニル化アリールカルボニル基、4−フェニル
ベンゾイルのようなアリール化アリールカルボニル基等
の芳香族アシル基;テトラヒドロピラン−2−イル、3
−ブロモテトラヒドロピラン−2−イル、4−メトキシ
テトラヒドロピラン−4−イル、テトラヒドロチオピラ
ン−2−イル、4−メトキシテトラヒドロチオピラン−
4−イルのようなテトラヒドロピラニル又はテトラヒド
ロチオピラニル基;テトラヒドロフラン−2−イル、テ
トラヒドロチオフラン−2−イルのようなテトラヒドロ
フラニル又はテトラヒドロチオフラニル基;トリメチル
シリル、トリエチルシリル、イソプロピルジメチルシリ
ル、t−ブチルジメチルシリル、メチルジイソプロピル
シリル、メチルジ−t−ブチルシリル、トリイソプロピ
ルシリルのようなトリ低級アルキルシリル基、ジフェニ
ルメチルシリル、ジフェニルブチルシリル、ジフェニル
イソプロピルシリル、フェニルジイソプロピルシリルの
ような1乃至2個のアリール基で置換されたトリ低級ア
ルキルシリル基等のシリル基;メトキシメチル、1,1−
ジメチル−1−メトキシメチル、エトキシメチル、プロ
ポキシメチル、イソプロポキシメチル、ブトキシメチ
ル、t−ブトキシメチルのような低級アルコキシメチル
基、2−メトキシエトキシメチルのような低級アルコキ
シ化低級アルコキシメチル基、2,2,2−トリクロロエト
キシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチルのよう
なハロゲン化低級アルコキシメチル等のアルコキシメチ
ル基;1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエ
チル、1−(イソプロポキシ)エチルのような低級アル
コキシ化エチル基、2,2,2−トリクロロエチルのような
ハロゲン化エチル基、2−(フェニルゼレニル)エチル
のようなアリールゼレニル化エチル基等の置換エチル
基;ベンジル、フェネチル、3−フェニルプロピル、α
−ナフチルメチル、β−ナフチルメチル、ジフェニルメ
チル、トリフェニルメチル、α−ナフチルジフェニルメ
チル、9−アンスリルメチルのような1乃至3個のアリ
ール基で置換された低級アルキル基、4−メチルベンジ
ル、2、4、6−トリメチルベンジル、3,4,5−トリメ
チルベンジル、4−メトキシベンジル、4−メトキシフ
ェニルジフェニルメチル、2−ニトロベンジル、4−ニ
トロベンジル、4−クロロベンジル、4−ブロモベンジ
ル、4−シアノベンジル、4−シアノベンジルジフェニ
ルメチル、ビス(2−ニトロフェニル)メチル、ピペロ
ニルのような低級アルキル、低級アルコキシ、ニトロ、
ハロゲン、シアノ基でアリール環が置換された1乃至3
個のアリール基で置換された低級アルキル基等のアラル
キル基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t
−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニルのよう
な低級アルコキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエ
トキシカルボニル、2−トリメチルシリルエトキシカル
ボニルのようなハロゲン又はトリ低級アルキルシリル基
で置換された低級アルコキシカルボニル基等のアルコキ
シカルボニル基;ビニルオキシカルボニル、アリルオキ
シカルボニルのようなアルケニルオキシカルボニル基;
ベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキ
シカルボニル、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボ
ニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニル、4−ニト
ロベンジルオキシカルボニルのような、1乃至2個の低
級アルコキシ又はニトロ基でアリール環が置換されてい
てもよいアラルキルオキシカルボニル基のような反応に
おける保護基及びピバオイルオキシメチルオキシカルボ
ニルのような生体に投与する際のプロドラッグ化のため
の生体内で加水分解され易い保護基を示し、好適には脂
肪族アシル基及び芳香族アシル基である。
R7、R8、R9、R10及びR11で定義された「炭素数1乃至10
個の直鎖若しくは分枝鎖アルキル基」としては、メチ
ル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブ
チル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチ
ル、2−メチルブチル、ネオペンチル、1−エチルプロ
ピル、ヘキシル、4−メチルペンチル、3−メチルペン
チル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、3,3
−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、1,1−ジメチ
ルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチ
ル、2,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、ヘプチ
ル、1−メチルヘキシル、2−メチルヘキシル、3−メ
チルヘキシル、4−メチルヘキシル、5−メチルヘキシ
ル、1−プロピルブチル、4,4−ジメチルペンチル、オ
クチル、1−メチルヘプチル、2−メチルヘプチル、3
−メチルヘプチル、4−メチルヘプチル、5−メチルヘ
プチル、6−メチルヘプチル、1−プロピルペンチル、
2−エチルヘキシル、5,5−ジメチルヘキシル、ノニ
ル、3−メチルオクチル、4−メチルオクチル、5−メ
チルオクチル、6−メチルオクチル、1−プロピルヘキ
シル、2−エチルヘプチル、6,6−ジメチルヘプチル、
デシル、1−メチルノニル、3−メチルノニル、8−メ
チルノニル、3−エチルオクチル、3、7−ジメチルオ
クチル、7、7−ジメチルオクチルをあげることができ
るが、好適には炭素数1乃至6の直鎖又は分枝鎖アルキ
ル基である。
R7、R8、R9、R10及びR11で定義された「炭素数3乃至10
個のシクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロ
ピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシ
ル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、
シクロデシルのような3乃至10員飽和環状炭化水素基を
示し、好適には5乃至7員飽和環状炭化水素基である。
R11で定義された「炭素数6乃至10個のアリール基」と
しては、例えば、フェニル、ナフチルのような6乃至10
員環状芳香炭化水素基を示し、好適には6員環状芳香炭
化水素基である。
本発明の化合物(I)は、塩にすることができるが、そ
のような塩としては、好適には、弗化水素酸塩、塩酸
塩、臭化水素酸塩、沃化水素酸塩のようなハロゲン化水
素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、燐酸塩等の無機
酸塩及びメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスル
ホン酸塩、エタンスルホン酸塩のような低級アルキルス
ルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスル
ホン酸塩のようなアリールスルホン酸塩、フマール酸
塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、蓚酸塩、マレ
イン酸塩等の有機酸塩をあげることができる。
本発明の化合物(I)は、分子内に不斉炭素を有し、各
々がS配位、R配位である立体異性体が存在するが、そ
の各々、或いはそれらの混合物のいずれも本発明に包含
される。
化合物(I)において、好適な化合物としては、 (1)R1及びR2が同一又は異なって、水素原子又は脂肪
族アシル基又は芳香族アシル基で保護されていてもよい
水酸基である化合物 (2)R1及びR2が同一又は異なって、水素原子又は水酸
基である化合物 (3)R3及びR4が同一で水素原子を示すか又はR3とR4
一緒になって単結合を示す化合物 (4)R3とR4が一緒になって単結合を示す化合物 (5)R5及びR6が同一で、 一般式 R7−COOCH(R8)− (II)、 R9−OCOOCH(R10)− (III) 又は である化合物 (6)R7が炭素数1乃至6個の直鎖若しくは分枝鎖アル
キル基又は炭素数5乃至7個のシクロアルキル基である
化合物 (7)R8が、水素原子又は炭素数1乃至6個の直鎖若し
くは分枝鎖アルキル基である化合物 (8)R8が、水素原子又は炭素数1乃至3個の直鎖若し
くは分枝鎖アルキル基である化合物 (9)R9が、炭素数1乃至6個の直鎖若しくは分枝鎖ア
ルキル基である化合物 (10)R10が、水素原子又は炭素数1乃至6個の直鎖若
しくは分枝鎖アルキル基である化合物 (11)R10が、水素原子又は炭素数1乃至3個の直鎖若
しくは分枝鎖アルキル基である化合物 (12)R11が、フェニル基、炭素数1乃至6個の直鎖若
しくは分枝鎖アルキル基又は炭素数5乃至7個のシクロ
アルキル基である化合物 (13)R11が、炭素数1乃至6個の直鎖若しくは分枝鎖
アルキル基である化合物 (14)R1及びR2が同一又は異なって、水素原子又は脂肪
族アシル基又は芳香族アシル基で保護されていてもよい
水酸基であり、R3及びR4が同一で水素原子を示すか又は
R3とR4が一緒になって単結合を示し、R5及びR6が同一
で、 一般式R7−COOCH(R8)− (II)、 R9−OCOOCH(R10)− (III) 又は であり、R7が、炭素数1乃至6個の直鎖若しくは分枝鎖
アルキル基又は炭素数5乃至7個のシクロアルキル基で
あり、R8が、水素原子又は炭素数1乃至6個の直鎖若し
くは分枝鎖アルキル基であり、R9が、炭素数1乃至6個
の直鎖若しくは分枝鎖アルキル基であり、R10が、水素
原子又は炭素数1乃至6個の直鎖若しくは分枝鎖アルキ
ル基であり、R11が、フェニル基、炭素数1乃至6個の
直鎖若しくは分枝鎖アルキル基又は炭素数5乃至7個の
シクロアルキル基である化合物 (15)R1及びR2が同一又は異なって、水素原子又は水酸
基であり、R3とR4が一緒になって単結合を示し、R5及び
R6が同一で、 一般式R7−COOCH(R8)− (II)、 R9−OCOOCH(R10)− (III) 又は であり、R7が、炭素数1乃至6個の直鎖若しくは分枝鎖
アルキル基又は炭素数5乃至7個のシクロアルキル基で
あり、R8が、水素原子又は炭素数1乃至3個の直鎖若し
くは分枝鎖アルキル基であり、R9が、炭素数1乃至6個
の直鎖若しくは分枝鎖アルキル基であり、R10が、水素
原子又は炭素数1乃至3個の直鎖若しくは分枝鎖アルキ
ル基であり、R11が、炭素数1乃至6個の直鎖若しくは
分枝鎖アルキル基である化合物 をあげることができる。
本発明の代表的化合物としては、例えば、第1〜3表に
記載する化合物を挙げることができるが、本発明はこれ
らの化合物に限定されるものではない。
上記例示化合物のうち、好適な化合物としては、2,3,4,
5,6,8,9,11,12,14,15,16,17,18,19,22,25,27,30,31,35,
41,42,44,45,46,47,49,51,52,53,54,55及び56の化合物
をあげることができる。
更に、好適な化合物としては、8,9,11,12,14,15,16,17,
18,19,22,31,45,46,47,49,51,55及び56の化合物をあげ
ることができる。
本発明のグリゼオール酸ジエステルは、以下に記載する
方法によって製造することができる。
上記式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は前記と同意義を
示し、R12は、メチリデン、エチリデン、イソプロピリ
デンのような低級アルキリデン基;ベンジリデンのよう
なアラルキリデン基又はメトキシエチリデン、エトキシ
エチリデンのようなアルコキシエチリデン基等のジヒド
ロキシ基の保護基を挙げることができ、好適にはイソプ
ロピリデンである。
第A−1工程は、原料化合物(1)を溶媒中で脱酸剤の
存在下に、1当量の 一般式R7−COOCH(R8)−X (II)、 R9−OCOOCH(R10)−X (III)又は (式中、R7、R8、R9、R10及びR11は、前記と同意義を示
し、Xは、塩素、臭素、沃素のようなハロゲン原子;ア
セトキシ、プロピオニルオキシのようなアルキルカルボ
ニルオキシ基、クロロアセチルオキシ、ジクロロアセチ
ルオキシ、トリクロロアセチルオキシ、トリフルオロア
セチルオキシのようなハロゲン化アルキルカルボニルオ
キシ基、メトキシアセチルオキシのような低級アルコキ
シアルキルカルボニルオキシ基、(E)−2−メチル−
2−ブテノイルオキシのような不飽和アルキルカルボニ
ルオキシ基等の脂肪族アシルオキシ基;ベンゾイルオキ
シのようなアリールカルボニルオキシ基、2−ブロモベ
ンゾイルオキシ、4−クロロベンゾイルオキシのような
ハロゲン化アリールカルボニルオキシ基、2,4,6−トリ
メチルベンゾイルオキシ、4−トルオイルオキシのよう
な低級アルキル化アリールカルボニルオキシ基、4−ア
ニソイルオキシのような低級アルコキシ化アリールカル
ボニルオキシ基、4−ニトロベンゾイルオキシ、2−ニ
トロベンゾイルオキシのようなニトロ化アリールカルボ
ニルオキシ基等の芳香族アシルオキシ基;トリクロロメ
チルオキシのようなトリハロゲノメチルオキシ基;メタ
ンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシのような
低級アルカンスルホニルオキシ基;トリフルオロメタン
スルホニルオキシ、ペンタフルオロエタンスルホニルオ
キシのようなハロゲノ低級アルカンスルホニルオキシ
基;ベンゼンスルホニルイオキシ、p−トルエンスルホ
ニルオキシのようなアリールスルホニルオキシ基等の脱
離基を示す。)で示されるエステル化試薬を反応させ、
所望により、R1又はR2の水酸基の保護基を除去し、8′
−モノエステル体(2)及び9′−モノエステル体
(3)を製造する工程である。
使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質を
ある程度溶解するものであれば特に限定はないが、好適
には、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、
ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド類;ジ
メチルスルホキシドのようなスルホキシド類又はアセト
ニトリルのようなニトリル類及び上記溶媒の混合溶媒を
挙げることができる。
使用される脱酸剤としては、通常の反応において脱酸剤
として使用されるものであれば特に限定はないが、好適
にはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、
N−メチルモルホリン、ピリジン、4−(N,N−ジメチ
ルアミノ)ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、1,5−ジ
アザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,4−ジアザビ
シクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.
0]ウンデク−7−エン(DBU)のような有機塩基類を挙
げることができ、特に好適にはDBUである。
エステル化試薬の脱離基Xとしては、好適には塩素、臭
素、沃素のようなハロゲン原子であり、特に好適には沃
素原子である。
反応温度は0℃乃至100℃で行なわれるが、好適には、2
0℃乃至70℃であり、特に好適には室温である。
反応時間は、主に反応温度、原料化合物又は使用される
溶媒、脱酸剤の種類によって異なるが、通常1時間乃至
4日間である。
所望の水酸基保護基の脱保護の工程はその保護基の種類
によって異なるが、一般にこの分野の技術において周知
の方法によって以下の様に実施される。
水酸基の保護基として、トリ低級アルキルシリル基を使
用した場合には、通常弗化テトラブチルアンモニウムの
ような弗素アニオンを生成する化合物で処理することに
より除去する。反応溶媒は反応を阻害しないものであれ
ば特に限定はないが、テトラヒドロフラン、ジオキサン
のようなエーテル類が好適である。反応温度及び反応時
間は特に限定はないが、通常室温で10乃至18時間反応さ
せる。
水酸基の保護基が、アラルキルオキシカルボニル基又は
アラルキル基である場合には、通常、還元剤と接触させ
ることにより除去することができる。例えば、パラジウ
ム炭素、白金、ラネーニッケルのような触媒を用い、常
温にて接触還元を行なうことにより達成される。反応は
溶媒の存在下に行なわれ、使用される反応溶媒としては
本反応に関与しないものであれば特に限定はないが、メ
タノール、エタノールのようなアルコール類、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、酢酸のよ
うな脂肪酸又はこれらの有機溶媒と水との混合溶媒が好
適である。反応温度及び反応時間は出発物質及び使用す
る還元剤等によって異なるが、通常は0℃乃至室温で、
5分乃至12時間である。
又、液体アンモニア中若しくはメタノール、エタノール
のようなアルコール中において、−78℃〜−20℃で、金
属リチウム若しくはナトリウムを作用させることによっ
ても除去できる。
更に、塩化アルミニウム−沃化ナトリウム又はトリメチ
ルシリルイオダイドのようなアルキルシリルハライド類
を用いても除去することができる。反応は溶媒の存在下
に行なわれ、使用される反応溶媒としては本反応に関与
しないものであれば特に限定はないが、好適には、アセ
トニトリルのようなニトリル類、メチレンクロリド、ク
ロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類又はこれらの
混合溶媒が使用される。反応温度は出発物質等によって
異なるが、通常は0℃乃至50℃である。
尚、反応基質が硫黄原子を有する場合においては、好適
には、塩化アルミニウム−沃化ナトリウムが用いられ
る。
水酸基の保護基が、脂肪族アシル基、芳香族アシル基又
はアルコキシカルボニル基である場合には、溶媒の存在
下に、塩基で処理することにより除去することができ
る。塩基としては、化合物の他の部分に影響を与えない
ものであれば特に限定はないが、好適にはナトリウムメ
トキシドのような金属アルコラート類、アンモニア水、
炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのようなアルカリ金属炭
酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアル
カリ金属水酸化物又は濃アンモニア−メタノールを用い
て実施される。使用される溶媒としては通常の加水分解
反応に使用されるものであれば特に限定はなく、水、メ
タノール、エタノール、n−プロパノールのようなアル
コール類若しくはテトラヒドロフラン、ジオキサンのよ
うなエーテル類のような有機溶媒又は水と有機溶媒との
混合溶媒が好適である。反応温度及び反応時間は出発物
質及び用いる塩基等によって異なり特に限定はないが、
副反応を抑制するために、通常は0℃乃至150℃で、1
乃至10時間である。
水酸基の保護基が、アルコキシメチル基、テトラヒドロ
ピラニル基、テトラヒドロフラニル基又は置換されたエ
チル基である場合には、通常溶媒中で酸で処理すること
により除去することができる。使用される酸としては、
好適には塩酸、酢酸−硫酸、p−トルエンスルホン酸又
は酢酸等である。使用される溶媒としては本反応に関与
しないものであれば特に限定はないが、メタノール、エ
タノールのようなアルコール類;テトラヒドロフラン、
ジオキサンのようなエーテル類又はこれらの有機溶媒と
水との混合溶媒が好適である。反応温度及び反応時間は
出発物質及び用いる酸の種類等によって異なるが、通常
は0℃乃至50℃で、10分乃至18時間である。
水酸基の保護基が、アルケニルオキシカルボニル基であ
る場合は、通常前記水酸基の保護基が脂肪族アシル基、
芳香族アシル基又はアルコキシカルボニル基である場合
の除去反応の条件と同様にして塩基と処理することによ
り脱離させることができる。尚、アリルオキシカルボニ
ルの場合は、特にパラジウム及びトリフェニルホスフィ
ン若しくはニッケルテトラカルボニルを使用して除去す
る方法が簡便で、副反応が少なく実施することができ
る。
反応終了後、本反応の目的化合物(2)又は(3)は常
法に従って、反応混合物から採取される。例えば、反応
混合物に水と混和しない有機溶媒を加え、水洗後、溶剤
を留去することによって得られる。得られた目的化合物
は必要ならば、常法、例えば再結晶、再沈殿又はクロマ
トグラフィー等によって更に精製でき、単一の(2)又
は(3)を得ることができる。
第A−2工程は、原料化合物(1)の7′位水酸基と
9′位カルボキシ基の水酸基を、溶媒の存在又は非存在
下に、酸触媒の存在下、ジヒドロキシ基の保護基で保護
し、化合物(4)を製造する工程である。この工程にお
いては、硫酸銅、硫酸ナトリウム、炭化カルシウムのよ
うな脱水剤やモレキュラーシーブを用いたり、共沸を利
用して水を除きながら行なうこともできる。
ジヒドロキシ基の保護化工程に用いられる試薬として
は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトンの
ような低級アルキルカルボニル化合物;ベンズアルデヒ
ドのようなアリールカルボニル化合物又はトリメチルオ
ルトギ酸エステル、トリエチルオルトギ酸エステルのよ
うな低級アルキルオルトギ酸エステルを挙げることがで
き、好適には低級アルキルカルボニル化合物であり、更
に好適にはアセトンである。
使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質を
ある程度溶解するものであれば特に限定はないが、好適
には、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭
化水素類;メチレンクロリド、クロロホルムのようなハ
ロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピル、のよ
うなエステル類;エーテル、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類;メタノ
ール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル、n−ブタノール、イソブタノール、イソアミルアル
コールのようなアルコール類;ジメチルホルムアミド、
ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホロトリアミ
ドのようなアミド類;ジメチルスルホキシドのようなス
ルホキシド類;アセトンのようなケトン類を挙げること
ができ、保護化の試薬としてアセトンが使用される場合
には溶媒を兼ねてアセトンが用いられる。
使用される酸触媒としては、通常の反応において酸触媒
として使用されるものであれば特に限定はないが、好適
には塩酸、臭化水素酸、硫酸、過塩素酸のような無機酸
又はパラトルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリ
フルオロメタンスルホン酸のような有機酸等のブレンス
テッド酸或いは塩化亜鉛、四塩化スズのようなルイス酸
をあげることができ、好適には有機酸であり、更に好適
には有機強酸である。
反応温度は−10℃乃至100℃で行なわれるが、好適に
は、0℃乃至室温である。
反応時間は、主に反応温度、原料化合物又は使用される
溶媒、酸触媒の種類によって異なるが、通常10分間乃至
3日間である。
反応終了後、本反応の目的化合物(4)は常法に従っ
て、反応混合物から採取できる。例えば、反応混合物に
水と混和しない有機溶媒を加え、水洗後、溶剤を留去す
ることによって得られる。得られた目的化合物は必要な
らば、常法、例えば再結晶、再沈殿又はクロマトグラフ
ィー等によって更に精製できるが、好適には、炭酸ナト
リウム、炭酸カリウムのようなアルカリ金属炭酸塩;炭
酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのようなアルカリ
金属炭酸水素塩;水素化リチウム、水素化ナトリウム、
水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物;水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウムのような
アルカリ金属水酸化物等の有機溶媒に不溶性の塩基を用
いて中和し、不溶物を瀘去した後、溶媒を留去する操作
をするのみで、特に単離精製することなく、第A−3工
程に付される。
第A−3工程は、化合物(4)を、第A−1工程と同様
に処理して化合物(5)を製造する工程である。
第A−4工程は、化合物(5)のジヒドロキシ基の保護
基を、溶媒の存在又は非存在下に、酸触媒で除去し、更
に所望により、7′位水酸基を保護して、化合物(2)
を製造する工程である。
使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質を
ある程度溶解するものであれば特に限定はないが、好適
には、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭
化水素類;メチレンクロリド、クロロホルムのようなハ
ロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピル、のよ
うなエステル類;エーテル、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類、メタノ
ール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル、n−ブタノール、イソブタノール、イソアミルアル
コールのようなアルコール類;ジメチルホルムアミド、
ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホロトリアミ
ドのようなアミド類;ジメチルスルホキシドのようなス
ルホキシド類;アセトンのようなケトン類を挙げること
ができる。
使用される酸触媒としては、通常の反応において酸触媒
として使用されるものであれば特に限定はないが、好適
には塩酸、臭化水素酸、硫酸、過塩素酸のような無機酸
又はパラトルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリ
フルオロメタンスルホン酸、クエン酸のような有機酸等
のブレンステッド酸をあげることができ、好適には有機
酸であり、更に好適にはトリフルオロ酢酸である。
反応温度は−10℃乃至100℃で行なわれるが、好適に
は、0℃乃至室温である。
反応時間は、主に反応温度、原料化合物又は使用される
溶媒、酸触媒の種類によって異なるが、通常10分間乃至
1日間である。
反応終了後、本発明の目的化合物(2)は常法に従っ
て、反応混合物から採取される。例えば、反応混合物に
水と混和しない有機溶媒を加え、水洗後、溶剤を留去す
ることによって得られる。得られた目的化合物は必要な
らば、常法、例えば再結晶、再沈殿又はクロマトグラフ
ィー等によって更に精製できる。
第A−5工程は、化合物(2)又は(3)を原料とし
て、第A−1工程で使用したエステル化試薬と同一又は
異なったエステル化試薬を用い、第A−1工程と同様に
処理して本発明化合物(6)を製造する工程である。
上記式中、R1、R2、R3、R4及びR5は前記と同意義を示
す。
第B工程は、原料化合物(1)と、大過剰のエステル化
試薬を用い、第A−1工程と同様に処理、8′位カルボ
キシ基と9′位カルボキシ基が同一の基で保護された本
発明化合物(7)を製造する工程である。
本発明の原料化合物は、公知化合物であり、例えば、特
開昭第60−94992号公報、特開昭第60−149394号公報、
特開昭60−246396号公報及び特開昭第61−100593号公報
に記載の方法で製造することができる。又、本発明のエ
ステル化試薬 R7−COOCH(R8)−X (II)、 R9−OCOOCH(R10)−X (III)又は (式中、R7、R8、R9、R10、R11及びXは前記と同意義を
示す。)は、次のようにして製造されるか、又は市販の
試薬が用いられる。
(式中、R7、R8、R9、R10及びXは前記と同意義を示
す。) 即ち、カルボン酸R7COOHの活性誘導体R7COXとアルデヒ
ド化合物R8CHOを、溶媒中、塩基の存在下、常法に従っ
て反応させることによって、化合物(II)を製造でき
る。
ホスゲン誘導体COX2とアルデヒド化合物R10CHOを、溶媒
中、塩基の存在下、常法に従って反応させ、更にアルコ
ール化合物R9OHと常法に従って反応させることによっ
て、化合物(III)を製造できる。
(式中、R11及びXは前記と同意義を示す。) 公知の方法[例えば、ケミカル・ファーム・ブレティ
ン、32巻、4316頁(1984年)、同22418頁(1984年)、3
3巻、4870頁(1985年)記載の方法)に従って、アルデ
ヒド化合物R11CHOとアセトアルデヒドを、常法に従っ
て、アシロイン縮合させ、生成物に、溶媒中、ホスゲン
誘導体を反応させる。生成物のメチル基を、常法に従っ
て、ハロゲン分子でラジカル反応によりハロゲン化し、
所望によりハロゲン原子をX基に置換し、化合物(IV)
を製造することができる。
[効果] 正常家兎眼圧低下作用 本化合物の眼圧降下作用の検討は、眼に異常のない雄性
ニュージーランド ホワイト兎(体重約2.5kg)を1群
3羽として使用し実施した。動物は温度23℃、湿度60%
の飼育室にて飼育し、餌は制限給餌、水は自由摂取させ
た。被検物質は本化合物を0.4%の塩化ナトリウムを含
有する。
50mMリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、その濃度を基本
的には1%としたものを使用した。
兎の両眼を眼科用表面麻酔剤(0.4%ベノキシール:参
天製薬)を用いて点眼麻酔後、両眼の眼圧をPTG(Pheum
atonograph:Alcon)にて測定した。その後、被検物質を
左右いずれかの眼(実験眼)に50μl点眼し(0.5%チ
モロールは30μl)、その60分後に再び同量を点眼した
(合計2回)。一方、反対側の眼には点眼を行なわず対
照眼とした。被検物質の初回点眼後、30、60、90、12
0、150、180分後に両眼の眼圧を測定し、得た実測値を
下記の式に代入し被検物質の眼圧降下値を算出した。
眼圧降下(mmHg)=対照眼眼圧値−実験眼眼圧値)−
(初回点眼直前の対照眼眼圧値−初回点眼直前の実験眼
眼圧値) そして、各測定時間の眼圧降下値の平均値を求め、0.5
%チモロールの値を1とした場合の被検物質の値を算出
した。
上記の様に、本発明の新規なグリゼオール酸ジエステル
誘導体は、優れた眼圧低下作用を有し、且つ、毒性もな
いので、緑内障の治療剤として有用である。
本発明の化合物(I)の投与形態としては、溶液、懸濁
液、ゲル、軟膏または固形挿入剤の如き、眼への局所投
与に適した眼科用医薬組成物の形で投与されるのが好ま
しい。これらの組成物の処方は0.01乃至10%、特に0.1
乃至5%の本願発明化合物を含むことができる。また本
願発明化合物を単一の医薬として含む以外にマレイン酸
チモロールのようなβ−ブロッカー剤もしくは副交感神
経刺激興奮剤であるピロカルピンのような薬剤を共に含
むこともできる。
活性組成物を含む医薬製剤は、好便に無毒の医薬用無機
または有機担体を混合することができる。典型的な医薬
的に受容し得る担体は、例えば水、低級アルカノールま
たはアラルカノールのような水と混和する溶剤と水との
混合物、植物油、ポリアルキレングリコール、石油を基
剤とするジェリー、エチルセルロース、オレイン酸エチ
ル、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリド
ン、ミリスチン酸イソプロピル及びその他の好便に使用
する受容可能な担体である。また医薬製剤は、乳化剤、
防腐剤、湿潤剤、賦形剤などのような無毒の補助物質、
例えばポリエチレングリコール200、300、400及び600、
カーボワックス1,000、1,500、4,000、6,000及び10,00
0、低温殺菌性を持つことが知られており且つ使用して
無毒な、第四級アンモニウム化合物、フェニル水銀塩の
ような抗菌剤、チメロサール、メチル及びプロピルパラ
ベン、ベンジルアルコール、フェニルエタノール、食
塩、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウムのような緩衝剤
成分、グルコン酸緩衝剤、及びソルビタンモノラウレー
ト、トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンソルビ
タンモノパルミチレート、ジオクチルナトリウムスルホ
サクシネート、モノチオグリセロール、チオソルビトー
ル、エチレンジアミン四酢酸などを含むこともできる。
更に適当な眼科用賦形剤を本発明の目的の担体媒質とし
て使用することができ、それらには通常のリン酸緩衝賦
形剤系、等張性ホウ酸賦形剤、等張性食塩賦形剤、等張
性ホウ酸ナトリウム賦形剤などが含まれる。
また医薬製剤は、薬剤を投与した後にほぼ完全な状態で
残存する固形挿入剤の形、または涙液に溶解するか又は
他の方法で崩壊する生崩壊性挿入剤の形をとることもで
きる。
一般に本発明の化合物の体重kg当り約0.001乃至約50m
g、好ましくは約0.01乃至約20mgを使用することができ
る。必要な1日当り投与量により、投与は単一または頻
回投与とし、また単位投与とすることができる。
以下に、実施例、参考例及び製剤例をあげて本発明を更
に具体的に説明する。
実施例1 グリゼオール酸8′,9′−ジピバロイルオキシメチルエ
ステル グリゼオール酸1gにアセトニトリル100mlを加え、撹拌
下に、窒素気流下で1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7
−ウンデセン1.21gを加えた後、氷冷下にヨードメチル
ピバレート2.56gを加えて、室温で1時間撹拌した。
溶媒を留去し、残留物に酢酸エチル60mlと希塩酸30mlに
溶かし、酢酸エチル層を分離後、希塩酸、5%炭酸水素
ナトリウム水溶液、及び飽和塩化ナトリウム水溶液で順
次洗い、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留
去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸
エチル:アセトニトリル2:1)で分離精製し、ベンゼン
より凍結乾燥して目的化合物970mg(60.5%)を得た。
NMRスペクトル δ,ppm(DMSO−d6) 8.30,1H,s, 8.17,1H,s(2又は8−H); 6.54,1H,s(1′−H); 6.08,1H,dd(2.4,4.9)(3′−H); 5.07,1H,d(2.0)(5′−H); 4.63,2H,m(2′及び7′−H); 7.39,2H,br s(NH2); 6.20,1H,d(4,4)(2′−OH); 5.68〜5.77,5H,m(CH2,7′−OH); 1.17,3H,s(CH3); 1.09,3H,s(CH3)。
実施例2 グリゼオール酸8′,9′−ジ[1−(イソプロピルオキ
シカルボニルオキシ)エチル]エステル グリゼオール酸380mgをジメチルスルホキシド1.5mlに溶
かし、窒素気流下1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−
ウンデセン0.17mlを加え、更にアセトニトリル1mlを加
えた後、氷冷下1−ブロモエチル イソプロピルオキシ
カルボキシレートを加え、室温で3時間反応させた。ア
セトニトリルを留去し、残留物を酢酸エチル20mlと氷を
含む3%炭酸水素ナトリウム水溶液に溶かし、酢酸エチ
ル層を分離後、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗った後、
硫酸マグネシウムで乾燥し、活性炭処理後、溶媒を留去
すると、無色のほぼ単一スポットの目的化合物が得られ
た。これをシリカゲルクロマトグラフィーで分離精製
(酢酸エチル:アセトニトリル5:2)して目的化合物120
mg(18.8%)を得た。
NMRスペクトル δ,ppm(DMSO−d6) 8.31及び8.34,1H,各s, 8.17及び8.18,1H,m(2又は8−H); 6.50及び6.51,1H,各s(1′−H); 6.09及び6.14,1H,各dd(2.4,5.4)(3′−H); 5.03及び5.10,1H,各d(2.4)(5′−H); 4.62,2H,m(2′及び7′−H); 7.38,2H,br s(NH2); 6.67,2H,m(CH); 6.35及び6.19,1H,m(2′−OH); 5.60,1H,m(7′−OH); 4.65〜4.83,2H,m(CH); 1.17〜1.52,18H,m(CH3)。
実施例3 グリゼオール酸8′,9′−ジ−(5−メチル−2−オキ
ソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル グリゼオール酸3gをジメチルスルホキシド30mlに溶か
し、窒素気流下に1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−
ウンデセン2.4mlを加えた後、氷冷下にヨウ化(5−メ
チル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メ
チル7.6gを加えて、室温で4時間反応させた。反応液に
酢酸エチル300mlと水300mlを加え、有機層を分離後、再
度水洗した後、硫酸マグネシウムで乾燥後、活性炭処理
をして溶媒を留去した。残留物をシリカゲルクロマトグ
ラフィー(4%エタノールを含む塩化メチレン)で分離
精製し、塩化メチレンより結晶化させることにより、目
的化合物715mg(15.0%)を得た。
NMRスペクトル δ,ppm(DMSO−d6) 8.33,1H,s, 8.17,1H,s(2又は8−H); 6.52,1H,s(1′−H); 6.10,1H,dd(2.4,5.4)(3′−H); 5.12,1H,d(2.4)(5′−H); 4.59,1H,t(4.4)(2′−H); 4.64,1H,d(9.3)(7′−H); 7.40,2H,br s(NH2); 6.28,1H,d(4.4)(2′−OH); 5.64,1H,d(9.3)(7′−OH); 5.03,2H,s(CH2); 4.95,2H,s(CH2); 2.18,3H,s(CH3); 2.17,3H,s(CH3)。
実施例4 7′−デスオキシグリゼオール酸8′,9′−ジピバロイ
ルオキシメチルエステル 7′−デスオキシグリゼオール酸450mgをジメチルスル
ホキシド2.5mlに溶かし窒素気流中に1,8−ジアザビシク
ロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン0.22ml、及びアセトニト
リル2mlを加えた後、氷冷下ヨードメチル ピバレート4
10mgを加え室温で3時間、更に5℃で16時間反応させ
た。アセトニトリルを留去し、残留物を酢酸エチル50ml
と3%炭酸水素ナトリウム水溶液50mlに溶かし、酢酸エ
チル層を分取し、水層をさらに酢酸エチル20mlで抽出
し、酢酸エチル層を合せて、硫酸マグネシウムで乾燥
後、活性炭処理し、溶媒を留去して、ほぼ単一のスポッ
トの結晶性物質を得た。ベンゼンより凍結乾燥して290m
g(40.2%)の目的化合物を得た。
NMRスペクトル δ,ppm(DMSO−d6) 8.29,1H,s, 8.18,1H,s(2又は8−H); 6.46,1H,s(1′−H); 6.03,1H,dd(2.4,4.9)(3′−H); 5.03,1H,d(2.4)(5′−H); 4.59,1H,t(4.4,4.9)(2′−H); 2.90,1H,d(17.1)(7′−H); 3.30,1H,d(17.1)(7′−H); 7.39,2H,br s(NH2); 5.99,1H,d(3.9)(2′−OH); 5.66〜5.80,4H,m(CH2)。
製剤例1(点眼剤) 実施例1の化合物 0.002g リン酸二ナトリウム 0.716g リン酸一ナトリウム 0.728g 塩化ナトリウム 0.400g p−ヒドロキシ安息香酸メチル 0.026g p−ヒドロキシ安息香酸プロピル 0.014g 滅菌精製水 適量 水酸化ナトリウム 適量 全 量 100ml pH7.0として、常法により点眼液を調製した。
製剤例2(点眼剤) 実施例2の化合物 0.002g リン酸二ナトリウム 0.500g リン酸一ナトリウム 1.100g 塩化ナトリウム 0.300g 塩化ベンザトニウム 0.010g滅菌精製水 適量 全 量 100ml pH7.0として常法により点眼液を調製した。
製剤例3(点眼剤) 実施例4の化合物 0.002g リン酸二ナトリウム 0.400g リン酸一ナトリウム 1.000g 塩化ナトリウム 0.690g 10%塩化ベンザルコニウム溶液 100μl滅菌精製水 適量 全 量 100ml pH7.0として常法により点眼液を調製した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横山 富久 東京都品川区広町1丁目2番58号 三共株 式会社内 (72)発明者 山崎 光郎 東京都品川区広町1丁目2番58号 三共株 式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の化合物を含有する眼圧低下剤又は緑
    内障治療剤。 一般式 [式中、 R1及びR2は同一又は異なって、水素原子又は[保護基群
    A]より選択される基で保護されていてもよい水酸基を
    示し、 R3及びR4は同一で水素原子を示すか又はR3とR4が一緒に
    なって単結合を示し、 R5及びR6は同一又は異なって、 一般式 R7−COOCH(R8)− (II)、 R9−OCOOCH(R10)− (III)又は (式中、 R7及びR9は、同一又は異なって、炭素数1乃至10個の直
    鎖若しくは分枝鎖アルキル基又は炭素数3乃至10個のシ
    クロアルキル基を示し、 R8及びR10は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1
    乃至10個の直鎖若しくは分枝鎖アルキル基又は炭素数3
    乃至10個のシクロアルキル基を示し、 R11は、炭素数1乃至10個の直鎖若しくは分枝鎖アルキ
    ル基、炭素数3乃至10個のシクロアルキル基又は炭素数
    6乃至10個のアリール基を示す。)を有する基を示
    す。]で表わされる化合物及びその塩。 [保護基群A] 脂肪族アシル基、芳香族アシル基、テトラヒドロピラニ
    ル又はテトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロフラ
    ニル又はテトラヒドロチオフラニル基、シリル基、アル
    コキシメチル基、置換エチル基、アラルキル基、アルコ
    キシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、ア
    ラルキルオキシカルボニル基、及び、プロドラッグ化の
    ための保護基
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