JPH0710594A - 透過率又は吸光度校正用光学ガラスフィルタ - Google Patents
透過率又は吸光度校正用光学ガラスフィルタInfo
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- JPH0710594A JPH0710594A JP1127191A JP1127191A JPH0710594A JP H0710594 A JPH0710594 A JP H0710594A JP 1127191 A JP1127191 A JP 1127191A JP 1127191 A JP1127191 A JP 1127191A JP H0710594 A JPH0710594 A JP H0710594A
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Abstract
ションなどに優れ、かつ300〜400nmの波長域、
必要とあらば300〜700nmの広い波長域で使用可
能な透過率又は吸光度校正用フィルタを提供する。 【構成】 本発明は、必須成分としてSiO2 およびア
ルカリ金属酸化物を含有するガラス組成物をベースと
し、これに光の選択透過剤として、0.001〜0.5
wt%のCr2 O3 を、ソーラリゼーション防止剤とし
て、6wt%以下のNb2 O5 、5wt%以下のPb
O、2wt%以下のTiO2 、4wt%以下のWO3 を
Nb2 O5 、PbO、TiO2 およびWO3 が合計量で
0.2〜6wt%となるように含有させてなり、300
〜400nmの波長域において、肉厚2mmにおける透
過率が1〜80%で、かつ透過率曲線の勾配が零または
小なる部分を有することを特徴とする透過率又は吸光度
校正用光学ガラスフィルタに関する。
Description
用光学ガラスフィルタに関する。
定の波長において固有の吸光係数をもつという特性を利
用したもので、吸光される波長によって物質を特定し、
その波長における透過率又は吸光度によってその濃度を
測定するものである。吸光光度法に基づく分光光度計
は、水や土壌中の汚染物質の定量のために公害計測器を
はじめ、医薬品分析機器や臨床分析機器として広く利用
されており、これらの分析機器の性能及び信頼性の確保
は重要な課題となっている。これらの分光光度計の透過
率又は吸光度校正用光学フィルタには、測定したい波長
域において透過率が1〜80%のものが使用される。ま
た、前記波長域において、波長に対する透過率の勾配が
零又は小なる部分が存在することが要求される。何故な
らば、測定波長での透過率測定においては、通常、透過
率曲線の極大点、極小点、或いは平坦部にあたる波長を
選択し、換言するならば、透過率曲線の勾配が零又は勾
配が小さい波長を選択し、この波長を用いて測定を行な
う必要があり、測定波長において、透過率曲線が大きい
勾配を有している場合、測定波長のズレによって測定さ
れた透過率に差異を生ずるからである。
繰り返し精度が良いこと(測定値の安定性が良いこ
と)、(b)温度による透過率又は吸光度の変化が小さ
いこと、(c)湿気による劣化が小さいことはもちろん
のこと、それ以外に、(d)バンドパス依存性が小さい
こと(透過率測定値はバンドパス内の値の平均値となる
ため、バンドパスの波長域において透過率曲線に勾配が
あると透過率測定値に変動が生じるので、バンドパス依
存性が小さいことが要求される)、(e)光による劣化
が小さいこと(耐ソーラリゼーションに優れているこ
と)が要求される。
ルタとして、ND(ニュートラルデンシティ)ガラスフ
ィルタ、金属膜フィルタ及び2クロム酸カリウム溶液フ
ィルタが用いられている。さらに、上記フィルタ以外
に、特開平1−219038号公報には、弗燐酸ガラス
にCeO2 を添加した光学ガラスフィルタが開示されて
いる。
ガラスフィルタは、Fe、Co等の着色イオンを多量に
含み、特にFeイオンは短波長の光を強く吸収するた
め、360nmではわずかに光を通すものの350nm
より短波長では実質的に光を透過しない。そのため、3
60nm以下の波長域において透過率又は吸光度校正用
光学フィルタとして使用することはできない。
紫外域(235〜350nm)の透過率又は吸光度校正
に用いられているが、以下に列挙するような欠点があ
る。 (1)溶液フィルタであるため、その使用は1回のみ
で、再度使用できない。 (2)溶液の調製が煩雑で、調製技術に熟練を要する。 (3)溶液調製による測定値のばらつきが大きい。 (4)高純度の2クロム酸カリウム、過塩素酸などの試
薬が必要である。 (5)溶液の調製では高精度天秤、化学分析器具等の器
材が必要である。 (6)2クロム酸カリウムは公害指定物質のため、その
廃液を処理する必要がある。
示された光学ガラスフィルタは、光学ガラスフィルタと
しての特性に優れているものの使用できる波長範囲が2
00〜300nmに限定されている。このため、300
〜400nm、さらには300〜700nmの波長域で
測定値が信頼性を有する透過率又は吸光度校正用フィル
タが無く、特に医薬品分析や臨床分析分野から、当該波
長域で使用可能な光学ガラスフィルタが強く望まれてい
た。従って本発明の目的は、上記した従来の透過率又は
吸光度校正用フィルタの欠点を解消し、光学ガラスフィ
ルタとしての上記特性(a)〜(e)に優れ、かつ30
0〜400nmの波長域、必要とあらば300〜700
nmの広い波長域で使用可能な透過率又は吸光度校正用
フィルタを提供することにある。
としてSiO2 およびアルカリ金属酸化物を含有するガ
ラス組成物をベースとし、これに光の選択透過剤とし
て、0.001〜0.5wt%のCr2 O3 を、ソーラ
リゼーション防止剤として、6wt%以下のNb
2 O5 、5wt%以下のPbO、2wt%以下のTiO
2 、4wt%以下のWO3 をNb2 O5 、PbO、Ti
O2 およびWO3 が合計量で0.2〜6wt%となるよ
うに含有させてなり、300〜400nmの波長域にお
いて、肉厚2mmにおける透過率が1〜80%で、かつ
透過率曲線の勾配が零または小なる部分を有することを
特徴とする透過率又は吸光度校正用光学ガラスフィルタ
によって達成された。
透過率又は吸光度校正用光学ガラスフィルタのベースと
なるガラス組成物(以下、基礎ガラス組成物ということ
がある)は、必須成分としてSiO2およびアルカリ金
属酸化物を含有するものである。ここでSiO2 および
アルカリ金属酸化物を必須成分とした理由は、SiO2
−アルカリ金属酸化物系のガラスが、熔融性、成形性、
冷間加工性、化学的耐久性、機械的強度等に優れ、製造
上及び使用上の利点を有するばかりでなく、300〜4
00nm間に吸収を有する6価状態のCrイオン(以
下、Cr6+と記す)の出現を容易にし、かつ、熔融条件
の変化に対しても、その状態を比較的安定に保持し得る
からである。
3 と、Al2 O3 と、MgO、CaO、SrO、BaO
およびZnOより選択される1種以上の酸化物とを含有
することができる。基礎ガラス組成物を構成する各成分
の所望の組成範囲は以下の通りである。 SiO2 45〜75wt% B2 O3 0〜25 Al2 O3 0〜15 アルカリ金属酸化物 5〜25 MgO、CaO、SrO、 BaO、ZnOより選択される 0〜25 1種以上の酸化物 上記成分の合計量 90wt%以上 各成分の所望の組成範囲を上記のようにした理由は以下
の通りである。SiO2 は45%より少ないと化学的耐
久性が悪化し、75%を超えると熔融が困難となるた
め、45〜75wt%が所望範囲とされる。B2 O3 は
耐失透性や熔融性を改善するのに効果的であるが、25
wt%を超えると化学的耐久性が悪化するため、0〜2
5wt%が所望範囲とされる。Al2 O3 は化学的耐久
性を改善するのに効果的であるが、15wt%を超える
と熔融が困難となるため0〜15wt%が所望範囲とさ
れる。アルカリ金属酸化物(Li2 O、Na2 O、K2
O等)は、熔融性の改善に効果的であるが、5wt%よ
り少ないとこの効果が得にくく、25wt%を超えると
化学的耐久性が悪化するため5〜25wt%が所望範囲
とされる。MgO、CaO、SrO、BaOおよびZn
Oは耐失透性や熔融性を改善するのに効果的であるが、
25wt%を超えると化学的耐久性や脱泡性が悪化する
ため、0〜25wt%が所望範囲とされる。また、上記
成分の合計量は、ガラスの耐失透性や化学的耐久性等の
安定性のため90wt%以上とすることが好ましい。
スフィルタは、上記で述べた成分を含有する基礎ガラス
組成物をベースとし、これに光の選択透過剤としてCr
2 O3 、ソーラリゼーション防止剤としてNb2 O5 、
PbO、TiO2 、WO3 をそれぞれ所定量含有させた
ものである。Cr2 O3 は、原料としてCr2 O3 やK
2 Cr2 O7 等、異なる化合物として含有させても、遷
移金属であるCrが、上記成分を含有する基礎ガラス組
成物中で、Cr6+及びCr3+として存在する。そし
て、、Cr6+が存在することによって、300〜400
nmの波長域に光の吸収を出現させることができ、これ
によって本発明の光学ガラスフィルタは、前記波長域付
近の透過率又は吸光度校正に好適な透過率カーブを得る
ことができることを本発明者らは見い出した。その上、
このCr2 O3 は、透過率又は吸光度校正用光学ガラス
フィルタに要求されるバンドパス依存性を小さくするこ
とに寄与する。このため、本発明においてCr2 O3 は
必須成分であるが、0.001wt%より少ないと上記
の特性が得られず、また0.5wt%を超えると光の吸
収が強すぎて光を透過させず、透過率又は吸光度校正用
フィルタとして使用できない。したがってCr2 O
3 は、0.001〜0.5wt%に限定される。
びWO3 は、これらを光学ガラスフィルタに含有させる
ことにより、耐ソーラリゼーション性の向上に対して非
常に効果的に寄与することを本発明者らは見い出した。
この効果を得るため、Nb2O5 、PbO、TiO2 お
よびWO3 は、これらの合計量で0.2wt%以上必要
であるが、それぞれ順に6wt%、5wt%、2wt
%、4wt%を超えると、また合計量でも6wt%を超
えると、目的とする波長域(300〜400nm)での
光の吸収が強すぎるため好ましくない。したがってNb
2 O5 、PbO、TiO2 、WO3 はそれぞれ6wt%
以下、5wt%以下、2wt%以下、4wt%以下に、
これらの合計量は0.2〜6wt%に限定される。な
お、これら4成分の中で上記特性に対して特に効果的な
ものはNb2 O5 である。
ともに酸化ニッケルおよび/または酸化コバルトを含有
させると、300〜700nmの広い波長域にわたって
有用な透過率又は吸光度校正用光学ガラスフィルタが得
られる。この効果を発揮させるためには、酸化ニッケル
は、NiOに換算して0.01wt%以上、酸化コバル
トは、Co2 O3 に換算して0.005wt%以上必要
であるが、それぞれ1wt%、0.5wt%を超えると
光の吸収が強すぎ、目的のフィルタとして好ましくない
ので、酸化ニッケルは0.01〜1wt%、酸化コバル
トは、0.005〜0.5wt%とするのが望ましい。
酸化ニッケルとしてはNiOの外にNi2 O3 、Ni3
O4 等が、酸化コバルトとしては、Co2 O3 の外にC
oO、Co3 O4 等が用いられる。なお、本発明の光学
ガラスフィルタにおいては、通常脱泡剤として有意の量
のAs2 O3 やSb2 O3 を含有させてはならない。そ
の理由は、これらが還元作用を有するため、本発明の光
学ガラスフィルタに含有されているCr6+をCr3+に還
元してしまい、このため、300〜370nmの波長域
でCr6+によるスペクトルの吸収の出現をなくしてしま
うためである。ただし、As2 O3 やSb2O3 の量が
Cr6+のすべてを還元するに充分な量でない場合はCr
6+が残存し得る。しかしながら、その場合でも、熔融中
のコントロール不能なAs2 O3 やSb2 O3 の揮発に
より、Cr6+残存量が容易に変動するため、所望の透過
率カーブを得ることは極めて困難となる。
フィルタの製造において、調合原料中に脱泡剤として、
塩化物、弗化物、硫酸塩又は亜硫酸塩を適量含有させて
も、あるいは熔融時に塩素ガスをバブリングしても、透
過率又は吸光度校正に必要な特性を悪化させないことを
見い出した。なお、これらの脱泡剤は、ガラス化すると
きに揮発するものであるが、それぞれCl、F、SO3
の量に換算して、これらの合計量で調合組成に0.1〜
10%含有させることにより、その効果を好ましく発揮
させることができる。なお、本発明の光学ガラスにおい
ては、上記成分以外に、化学的耐久性改善や耐失透性改
善のために、La2 O3 、ZrO2 、Ta2 O5 および
P2 O5 等を10%を超えない範囲内で含有させること
ができる。
分光光度計の透過率又は吸光度の校正方法を説明する。
まず、分光光度計の電源を入れて安定してから透過率0
%および100%合せをした後、測定波長およびバンド
パスを設定する。この際、校正用光学ガラスフィルタに
表示してある指定の波長およびパンドパスを用いる。対
照光束は空気とし、試料光束側に校正用光学ガラスフル
タを装着する。なお透過率又は吸光度目盛の校正時に
は、予め波長目盛を校正しておく必要がある。このとき
の波長目盛りの校正は、重水素ランプあるいは低圧石英
水銀ランプの輝線波長および波長校正用フィルタにより
行なう。温度制御装置のある分光光度計では、23.5
℃に保ち、一定になったのを確認してから透過率の測定
を行なう。分光光度計の校正には装着した校正用光学ガ
ラスフィルタの透過率測定を3回繰り返す。この平均値
を求めて測定値とし、校正用光学ガラスフィルタの値と
の差を求め、この分光光度計の器差とする。さらに透過
率の測定には透過率の異なる2種類以上の校正用光学ガ
ラスフィルタを用いて行なうのが望ましい。又、実試料
の透過率測定において、この分光光度計固有の器差の補
正を行なうには、実測値に器差を減じて正確な透過率を
求めることができる。なお2枚以上のフィルタを重ね合
せる、いわゆるマルチフィルタ方式を採用することによ
り、高吸光度域の吸光度目盛りの校正も可能である。
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。 (1)光学ガラスフィルタの作製 原料として通常使用される硅石粉、硼酸、水酸化アルミ
ニウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、硝酸カリウ
ム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硝酸ストロン
チウム、炭酸バリウム、亜鉛華、塩化カリウム、硅弗化
カリウム、酸化ランタン、酸化ジルコニウム、酸化クロ
ム、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化ニオブ、リサー
ジ、酸化チタン、酸化タングステン、塩化ナトリウム、
弗化ナトリウム、硫酸ナトリウム、重クロム酸カリウム
等を用い、これらの原料がに表1、表2及び表3のガラ
ス組成になるように、各原料を実施例毎に秤量後、得ら
れた調合原料を白金製ルツボ(アルミナルツボを用いる
こともできる)に入れて1350〜1500℃で熔融
し、攪拌して均質化、脱泡を行なった後、Tg温度付近
に予熱した成形型に鋳込み徐冷して、計10種類の光学
ガラスフィルタNo.1〜10を作製した。なお、脱泡
剤として、光学ガラスフィルタNo.2の調合原料に
は、10.7%のK2 SiF6 と5.4%のKClを、
No.8の調合原料には、2.0%のNaClを、N
o.9の調合原料には2.0%のNaFを、No.10
の調合原料には2.0%のNa2 SO4 を含有させた。
透過率の測定 得られたガラスフィルタの肉厚2mmにおける分光透過
率曲線を、光学ガラスフィルタNo.1〜6については
図1に、光学ガラスフィルタNo.7〜10について
は、図2にそれぞれ示す。
o.1〜10は、300〜400nmの波長域におい
て、透過率曲線の勾配が零又は小なる部分を有し、かつ
透過率が1〜66%であり、前記の好ましい透過率範囲
1〜80%内にあるため、300〜400nmの波長域
において、透過率又は吸光度校正に使用できることが判
明した。さらに、No2の光学ガラスフィルタと、酸化
ニッケルや酸化コバルトを含有させたNo.3〜10の
光学ガラスフィルタは、400〜700nmの波長域に
おいても同様に本発明が目的とする透過率の測定に適し
た勾配が零又は零に近い曲線部分を有し、かつ透過率が
5〜76%であり、前記の好ましい透過率範囲1〜80
%内にあるため、300〜700nmの広い波長域にお
いて透過率又は吸光度校正に使用できることが判明し
た。
試験 本発明の光学ガラスフィルタにおいて、Cr2 O3 を含
有させることにより、得られた透過率カーブが、300
〜400nmの波長範囲において、小さなバンドパス依
存性、高い繰り返し精度、小さな温度依存性、高い耐湿
性を有すること、およびNb2 O5 、PbO、Ti
O2 、WO3 を含有させることにより耐ソーラリゼーシ
ョンが向上したことを確認するために、バンドパス依存
性試験、ソーラリゼーション試験、透過率の安定性試
験、温度特性試験、湿度特性試験も行なった。
は上記No.8の光学ガラスフィルタである。図2に示
したように、No.8の光学ガラスフィルタは、波長3
19.0nmにおいて極大点、波長350.0nmにお
いて極小点、波長398.0nmにおいて極大点をそれ
ぞれ有するため、透過率測定には、これら3点を使用す
るこのが好適である。したがって、上記の試験の結果を
示す表4〜10には、上記3点における測定値を記載す
る。 バンドパス依存性 測定時のバンドパスの値によって透過率の値に影響があ
ると考えられるため、バンドパスの変化による測定値の
変化量を調べた。その結果を表4に示す(単位:%
T)。
はバンドパスによる影響が小さいことが判明した。な
お、測定に使用する基準バンドパスは、2.0nmが適
当であるが、バンドパスが基準値に設定できない場合に
は、この結果をもとに補正することもできる。なお、N
o.1〜7及びNo.9〜10の光学ガラスフィルタに
ついてもバンドパス依存性を調べたが、バンドパスによ
る影響が小さいことを確認している。 ソーラリゼーション試験 温度約10℃中、キセノンランプで、サンプル表面での
照射エネルギー140mW/cm2 を24時間照射し、
その照射前後での透過率の変化を測定した。なお、測定
は2個のサンプル(サンプル1及びサンプル2)につい
て行なった。表5に透過率の変化量(単位:%T)を、
表6に透過率の変化率(単位:%)をそれぞれ示す。
0.26%T、変化率は最大で0.67%であった。こ
の値は、NDフィルタと同程度であり、特開平1−21
9038号公報に記載されたフィルタのそれよりも小さ
い値である。したがって、光照射による劣化は小さい。
なお、ソーラリゼーション試験はNo.1〜7及びN
o.9〜10の光学ガラスについても行なったが、透過
率の変化量はいずれも0〜−0.1%Tであり、対ソー
ラリゼーションに優れていることが判明した。
スフィルタNo.8をキュベットタイプの保持枠で支
え、これを校正用分光光度計(日立製作所製分光光度計
U3400)の試料セル内に装着して、種々の波長で透
過率の測定を繰り返し行ない、測定値の繰り返し測定精
度について検討を行なった。その結果を表7に示す(単
位:%)。
いて、その測定値に対する個々の測定値との差の比率は
0.1%以下であり無視できる程度であった。これに対
して、2クロム酸カリウム溶液の調製の繰り返しによる
透過率のばらつきは、3回の調製において調製濃度の高
いところで調製による透過率差として最大0.33%で
あることが確認されており、この大きさは測定透過率に
対しておよそ1%に相当するので、測定値の安定性に関
して本発明の光学ガラスフィルタの優位性が明らかとな
った。
スフィルタNo.8の透過率の測定を行なった。表8に
温度による透過率の変化量(単位:%T)、表9に透過
率測定値に対する前記変化量の比率を変化率(単位:
%)としてそれぞれ示す。
98.0nmにおいては温度上昇によって透過率が減少
し、波長350.0nmにおいては逆に増加するという
温度特性を有することが観測された。しかし、温度によ
る透過率の変化率は0.021〜0.026%/℃と小
さいため、通常の測定業務においては測定時の温度変化
を小さくすることにより、温度による測定値に与える影
響は無視できることが確認された。
の光学ガラスフィルタNo.8の透過率の変化量(単
位:%T)を2個のサンプル(サンプル1及びサンプル
2)について測定した。この結果を表10に示す。
0nm、398.0nmにおける透過率の変化量は−
0.012〜0.022%Tと小さく、湿度による透過
率への影響はほとんど無視できることが確認された。
の光学ガラスフィルタについても、透過率の安定性試
験、温度特性試験、湿度特性試験を行なった結果、
No.8の光学ガラスフィルタと同様の優れた結果が得
られた。以上の結果より、本発明の光学ガラスフィルタ
は、透過率又は吸光度補正用フィルタとして要求される
特性をすべて備えていることが判明した。
フィルタは、Cr2 O3 を含有するが、Nb2 O5 、P
bO、TiO2 及びWO3 のいずれも含有しない比較光
学ガラスフィルタである。この比較光学ガラスフィルタ
についてもNo.1〜10の光学ガラスフィルタと同様
に、透過率の測定及びソーラリゼーション試験を行なっ
た。その結果No.11の比較光学ガラスフィルタは、
好ましい透過率曲線を示したものの、ソーラリゼーショ
ン試験においては透過率の変化量が−5.0%Tと大き
な値を示し、透過率又は吸光度測定に適さないことが判
明した。
学ガラスフィルタは、No.7〜10の光学ガラスフィ
ルタと基本的な組成は等しいが、脱泡剤としてAs2 O
3 とSb2 O3 を含有し、さらにNb2 O5 を含有しな
い比較光学ガラスフィルタである。この比較光学ガラス
フィルタについても同様に透過率の測定及びソーラリゼ
ーション試験を行なった。その透過率曲線を、No.7
〜10の光学ガラスフィルタと同じく図2に示す。この
結果から、No.12の比較光学ガラスフィルタにおい
ては、As2 O3 とSb2 O3 が還元剤として作用し、
Cr6+をCr3+に還元したため、350nm付近にCr
6+によるスペクトルの吸収が見られず、透過率が90%
にも達した。
は、透過率の変化量が−17%Tと著しく大きな値を示
した。以上の結果から、No.12の比較光学ガラスフ
ィルタは、透過率又は吸光度測定に適しないことが判明
した。
1−219038号公報に記載された光学ガラスフィル
タの分光透過率曲線を、No.8の光学ガラスフィルタ
の分光透過率曲線とともに示す。図3より、No.8の
光学ガラスフィルタは、300〜700の波長域におい
て、透過率又は吸光度測定に適した好ましい透過率を示
すものであるのに対し、NDフィルタは360nm以下
の波長域において使用できず、さらに特開平1−219
038号公報に記載された光学ガラスフィルタは300
nm以上の長波長域においての使用に適さないことが分
かる。
と、Nb2 O5 、PbO、TiO2 およびWO3 とを含
有する本発明の光学ガラスフィルタは、300〜400
nmの波長域において好適な透過率ガーブを有し、かつ
バンドパス依存性が小さい、耐ソーラリゼーション性に
優れている、測定値の繰り返し精度が良い、温度による
透過率又は吸光度の変化が小さい、湿気による劣化が小
さい等の特性を有するものであるから、300〜400
nmの波長域での透過率又は吸光度校正用フィルタとし
て好ましく用いられる。
コバルトを含有する本発明の光学ガラスフィルタは、3
00〜700nmの波長域において好適な透過率カーブ
を有し、かつ上記の特性も有するものであるから、30
0〜700nmの波長域での透過率又は吸光度校正用フ
ィルタとして好ましく用いられる。
11の分光透過率曲線図。
o.12の分光透過率曲線図。
記載の光学ガラスフィルタおよび光学ガラスフィルタN
o.8の分光透過率曲線図。
Claims (6)
- 【請求項1】 必須成分としてSiO2 およびアルカリ
金属酸化物を含有するガラス組成物をベースとし、これ
に、光の選択透過剤として、0.001〜0.5wt%
のCr2 O3 を、ソーラリゼーション防止剤として、6
wt%以下のNb2 O5 、5wt%以下のPbO、2w
t%以下のTiO2 、4wt%以下のWO3 をNb2 O
5 、PbO、TiO2 およびWO3 が合計量で0.2〜
6wt%となるように含有させてなり、300〜400
nmの波長域において、肉厚2mmにおける透過率が1
〜80%で、かつ透過率曲線の勾配が零または小なる部
分を有することを特徴とする透過率又は吸光度校正用光
学ガラスフィルタ。 - 【請求項2】 さらにB2 O3 と、Al2 O3 と、Mg
O、CaO、SrO、BaOおよびZnOより選択され
る1種以上の酸化物とを含有する請求項1に記載の透過
率又は吸光度校正用光学ガラスフィルタ。 - 【請求項3】 SiO2 が45〜75wt%、B2 O3
が0〜25wt%、Al2 O3 が0〜15wt%、アル
カリ金属酸化物が5〜25wt%、MgO、CaO、S
rO、BaOおよびZnOより選択される1種以上の酸
化物が0〜25wt%であり、上記成分が合計量で90
%以上である、請求項1又は2に記載の透過率又は吸光
度校正用光学ガラスフィルタ。 - 【請求項4】 さらに酸化ニッケルをNiOに換算して
0.01〜1wt%および/または酸化コバルトをCo
2 O3 に換算して0.005〜0.5wt%含有する、
請求項1〜3のいずれかの1項に記載の透過率又は吸光
度校正用光学ガラスフィルタ。 - 【請求項5】 脱泡剤として塩化物、弗化物、硫酸塩お
よび亜硫酸塩より選択される1種以上の化合物を、それ
ぞれCl、F、SO3 に換算して、これらの合計量で
0.1〜10wt%含有する調合原料より得られたもの
である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の透過率又
は吸光度校正用光学ガラスフィルタ。 - 【請求項6】 調合原料の熔融時に熔融ガラス中に塩素
ガスをバブリングすることにより得られたものである、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の透過率又は吸光度
校正用光学ガラスフィルタ。
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JP3011271A JP2613978B2 (ja) | 1991-01-31 | 1991-01-31 | 透過率又は吸光度校正用光学ガラスフィルタ |
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JP2613978B2 JP2613978B2 (ja) | 1997-05-28 |
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JP3011271A Expired - Lifetime JP2613978B2 (ja) | 1991-01-31 | 1991-01-31 | 透過率又は吸光度校正用光学ガラスフィルタ |
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Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6842241B2 (en) | 2001-09-04 | 2005-01-11 | Wallac Oy | Method for checking the operation of an optical measuring device and checking device |
JP2005514590A (ja) * | 2001-12-19 | 2005-05-19 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | 加速風化装置におけるスペクトル出力分布を操作するための光学フィルタ |
JP2010072007A (ja) * | 2010-01-07 | 2010-04-02 | Canon Inc | 分光光学特性計測方法及び分光光学特性計測システム |
JP2010256290A (ja) * | 2009-04-28 | 2010-11-11 | Terametsukusu Kk | 吸光度計測装置またはその方法 |
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US10308541B2 (en) | 2014-11-13 | 2019-06-04 | Gerresheimer Glas Gmbh | Glass forming machine particle filter, a plunger unit, a blow head, a blow head support and a glass forming machine adapted to or comprising said filter |
-
1991
- 1991-01-31 JP JP3011271A patent/JP2613978B2/ja not_active Expired - Lifetime
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