JP2613978B2 - 透過率又は吸光度校正用光学ガラスフィルタ - Google Patents

透過率又は吸光度校正用光学ガラスフィルタ

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JP2613978B2
JP2613978B2 JP3011271A JP1127191A JP2613978B2 JP 2613978 B2 JP2613978 B2 JP 2613978B2 JP 3011271 A JP3011271 A JP 3011271A JP 1127191 A JP1127191 A JP 1127191A JP 2613978 B2 JP2613978 B2 JP 2613978B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透過率又は吸光度校正
用光学ガラスフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】吸光光度法による濃度測定は、物質が特
定の波長において固有の吸光係数をもつという特性を利
用したもので、吸光される波長によって物質を特定し、
その波長における透過率又は吸光度によってその濃度を
測定するものである。吸光光度法に基づく分光光度計
は、水や土壌中の汚染物質の定量のために公害計測器を
はじめ、医薬品分析機器や臨床分析機器として広く利用
されており、これらの分析機器の性能及び信頼性の確保
は重要な課題となっている。これらの分光光度計の透過
率又は吸光度校正用光学フィルタには、測定したい波長
域において透過率が1〜80%のものが使用される。ま
た、前記波長域において、波長に対する透過率の勾配が
零又は小なる部分が存在することが要求される。何故な
らば、測定波長での透過率測定においては、通常、透過
率曲線の極大点、極小点、或いは平坦部にあたる波長を
選択し、換言するならば、透過率曲線の勾配が零又は勾
配が小さい波長を選択し、この波長を用いて測定を行な
う必要があり、測定波長において、透過率曲線が大きい
勾配を有している場合、測定波長のズレによって測定さ
れた透過率に差異を生ずるからである。
【0003】さらに上記フィルタには、(a)測定値の
繰り返し精度が良いこと(測定値の安定性が良いこ
と)、(b)温度による透過率又は吸光度の変化が小さ
いこと、(c)湿気による劣化が小さいことはもちろん
のこと、それ以外に、(d)バンドパス依存性が小さい
こと(透過率測定値はバンドパス内の値の平均値となる
ため、バンドパスの波長域において透過率曲線に勾配が
あると透過率測定値に変動が生じるので、バンドパス依
存性が小さいことが要求される)、(e)光による劣化
が小さいこと(耐ソーラリゼーションに優れているこ
と)が要求される。
【0004】従来より、透過率又は吸光度の校正用フィ
ルタとして、ND(ニュートラルデンシティ)ガラスフ
ィルタ、金属膜フィルタ及び2クロム酸カリウム溶液フ
ィルタが用いられている。さらに、上記フィルタ以外
に、特開平1−219038号公報には、弗燐酸ガラス
にCeO2 を添加した光学ガラスフィルタが開示されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記ND
ガラスフィルタは、Fe、Co等の着色イオンを多量に
含み、特にFeイオンは短波長の光を強く吸収するた
め、360nmではわずかに光を通すものの350nm
より短波長では実質的に光を透過しない。そのため、3
60nm以下の波長域において透過率又は吸光度校正用
光学フィルタとして使用することはできない。
【0006】また2クロム酸カリウム溶液フィルタは、
紫外域(235〜350nm)の透過率又は吸光度校正
に用いられているが、以下に列挙するような欠点があ
る。 (1)溶液フィルタであるため、その使用は1回のみ
で、再度使用できない。 (2)溶液の調製が煩雑で、調製技術に熟練を要する。 (3)溶液調製による測定値のばらつきが大きい。 (4)高純度の2クロム酸カリウム、過塩素酸などの試
薬が必要である。 (5)溶液の調製では高精度天秤、化学分析器具等の器
材が必要である。 (6)2クロム酸カリウムは公害指定物質のため、その
廃液を処理する必要がある。
【0007】さらに特開平1−219038号公報に開
示された光学ガラスフィルタは、光学ガラスフィルタと
しての特性に優れているものの使用できる波長範囲が2
00〜300nmに限定されている。このため、300
〜400nm、さらには300〜700nmの波長域で
測定値が信頼性を有する透過率又は吸光度校正用フィル
タが無く、特に医薬品分析や臨床分析分野から、当該波
長域で使用可能な光学ガラスフィルタが強く望まれてい
た。従って本発明の目的は、上記した従来の透過率又は
吸光度校正用フィルタの欠点を解消し、光学ガラスフィ
ルタとしての上記特性(a)〜(e)に優れ、かつ30
0〜400nmの波長域、必要とあらば300〜700
nmの広い波長域で使用可能な透過率又は吸光度校正用
フィルタを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、必須成分
としてSiO2 およびアルカリ金属酸化物を含有するガ
ラス組成物をベースとし、これに光の選択透過剤とし
て、0.001〜0.5wt%のCr2 3 を、ソーラ
リゼーション防止剤として、6wt%以下のNb
2 5 、5wt%以下のPbO、2wt%以下のTiO
2 、4wt%以下のWO3 をNb2 5 、PbO、Ti
2 およびWO3 が合計量で0.2〜6wt%となるよ
うに含有させてなり、300〜400nmの波長域にお
いて、肉厚2mmにおける透過率が1〜80%で、かつ
透過率曲線の勾配が零または小なる部分を有することを
特徴とする透過率又は吸光度校正用光学ガラスフィルタ
によって達成された。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
透過率又は吸光度校正用光学ガラスフィルタのベースと
なるガラス組成物(以下、基礎ガラス組成物ということ
がある)は、必須成分としてSiO2およびアルカリ金
属酸化物を含有するものである。ここでSiO2 および
アルカリ金属酸化物を必須成分とした理由は、SiO2
−アルカリ金属酸化物系のガラスが、熔融性、成形性、
冷間加工性、化学的耐久性、機械的強度等に優れ、製造
上及び使用上の利点を有するばかりでなく、300〜4
00nm間に吸収を有する6価状態のCrイオン(以
下、Cr6+と記す)の出現を容易にし、かつ、熔融条件
の変化に対しても、その状態を比較的安定に保持し得る
からである。
【0010】基礎ガラス組成物は、必要に応じてB2
3 と、Al2 3 と、MgO、CaO、SrO、BaO
およびZnOより選択される1種以上の酸化物とを含有
することができる。基礎ガラス組成物を構成する各成分
の所望の組成範囲は以下の通りである。 SiO2 45〜75wt% B2 3 0〜25 Al2 3 0〜15 アルカリ金属酸化物 5〜25 MgO、CaO、SrO、 BaO、ZnOより選択される 0〜25 1種以上の酸化物 上記成分の合計量 90wt%以上 各成分の所望の組成範囲を上記のようにした理由は以下
の通りである。SiO2 は45%より少ないと化学的耐
久性が悪化し、75%を超えると熔融が困難となるた
め、45〜75wt%が所望範囲とされる。B2 3
耐失透性や熔融性を改善するのに効果的であるが、25
wt%を超えると化学的耐久性が悪化するため、0〜2
5wt%が所望範囲とされる。Al2 3 は化学的耐久
性を改善するのに効果的であるが、15wt%を超える
と熔融が困難となるため0〜15wt%が所望範囲とさ
れる。アルカリ金属酸化物(Li2 O、Na2 O、K2
O等)は、熔融性の改善に効果的であるが、5wt%よ
り少ないとこの効果が得にくく、25wt%を超えると
化学的耐久性が悪化するため5〜25wt%が所望範囲
とされる。MgO、CaO、SrO、BaOおよびZn
Oは耐失透性や熔融性を改善するのに効果的であるが、
25wt%を超えると化学的耐久性や脱泡性が悪化する
ため、0〜25wt%が所望範囲とされる。また、上記
成分の合計量は、ガラスの耐失透性や化学的耐久性等の
安定性のため90wt%以上とすることが好ましい。
【0011】本発明の透過率又は吸光度校正用光学ガラ
スフィルタは、上記で述べた成分を含有する基礎ガラス
組成物をベースとし、これに光の選択透過剤としてCr
2 3 、ソーラリゼーション防止剤としてNb2 5
PbO、TiO2 、WO3 をそれぞれ所定量含有させた
ものである。Cr2 3 は、原料としてCr2 3 やK
2 Cr2 7 等、異なる化合物として含有させても、遷
移金属であるCrが、上記成分を含有する基礎ガラス組
成物中で、Cr6+及びCr3+として存在する。そし
て、、Cr6+が存在することによって、300〜400
nmの波長域に光の吸収を出現させることができ、これ
によって本発明の光学ガラスフィルタは、前記波長域付
近の透過率又は吸光度校正に好適な透過率カーブを得る
ことができることを本発明者らは見い出した。その上、
このCr2 3 は、透過率又は吸光度校正用光学ガラス
フィルタに要求されるバンドパス依存性を小さくするこ
とに寄与する。このため、本発明においてCr2 3
必須成分であるが、0.001wt%より少ないと上記
の特性が得られず、また0.5wt%を超えると光の吸
収が強すぎて光を透過させず、透過率又は吸光度校正用
フィルタとして使用できない。したがってCr2
3 は、0.001〜0.5wt%に限定される。
【0012】また、Nb2 5 、PbO、TiO2 およ
びWO3 は、これらを光学ガラスフィルタに含有させる
ことにより、耐ソーラリゼーション性の向上に対して非
常に効果的に寄与することを本発明者らは見い出した。
この効果を得るため、Nb25 、PbO、TiO2
よびWO3 は、これらの合計量で0.2wt%以上必要
であるが、それぞれ順に6wt%、5wt%、2wt
%、4wt%を超えると、また合計量でも6wt%を超
えると、目的とする波長域(300〜400nm)での
光の吸収が強すぎるため好ましくない。したがってNb
2 5 、PbO、TiO2 、WO3 はそれぞれ6wt%
以下、5wt%以下、2wt%以下、4wt%以下に、
これらの合計量は0.2〜6wt%に限定される。な
お、これら4成分の中で上記特性に対して特に効果的な
ものはNb2 5 である。
【0013】本発明においては、所望により上記成分と
ともに酸化ニッケルおよび/または酸化コバルトを含有
させると、300〜700nmの広い波長域にわたって
有用な透過率又は吸光度校正用光学ガラスフィルタが得
られる。この効果を発揮させるためには、酸化ニッケル
は、NiOに換算して0.01wt%以上、酸化コバル
トは、Co2 3 に換算して0.005wt%以上必要
であるが、それぞれ1wt%、0.5wt%を超えると
光の吸収が強すぎ、目的のフィルタとして好ましくない
ので、酸化ニッケルは0.01〜1wt%、酸化コバル
トは、0.005〜0.5wt%とするのが望ましい。
酸化ニッケルとしてはNiOの外にNi2 3 、Ni3
4 等が、酸化コバルトとしては、Co2 3 の外にC
oO、Co3 4 等が用いられる。なお、本発明の光学
ガラスフィルタにおいては、通常脱泡剤として有意の量
のAs2 3 やSb2 3 を含有させてはならない。そ
の理由は、これらが還元作用を有するため、本発明の光
学ガラスフィルタに含有されているCr6+をCr3+に還
元してしまい、このため、300〜370nmの波長域
でCr6+によるスペクトルの吸収の出現をなくしてしま
うためである。ただし、As2 3 やSb23 の量が
Cr6+のすべてを還元するに充分な量でない場合はCr
6+が残存し得る。しかしながら、その場合でも、熔融中
のコントロール不能なAs2 3 やSb2 3 の揮発に
より、Cr6+残存量が容易に変動するため、所望の透過
率カーブを得ることは極めて困難となる。
【0014】しかしながら、本発明者らは、光学ガラス
フィルタの製造において、調合原料中に脱泡剤として、
塩化物、弗化物、硫酸塩又は亜硫酸塩を適量含有させて
も、あるいは熔融時に塩素ガスをバブリングしても、透
過率又は吸光度校正に必要な特性を悪化させないことを
見い出した。なお、これらの脱泡剤は、ガラス化すると
きに揮発するものであるが、それぞれCl、F、SO3
の量に換算して、これらの合計量で調合組成に0.1〜
10%含有させることにより、その効果を好ましく発揮
させることができる。なお、本発明の光学ガラスにおい
ては、上記成分以外に、化学的耐久性改善や耐失透性改
善のために、La2 3 、ZrO2 、Ta2 5 および
2 5 等を10%を超えない範囲内で含有させること
ができる。
【0015】次に本発明の光学ガラスフィルタを用いる
分光光度計の透過率又は吸光度の校正方法を説明する。
まず、分光光度計の電源を入れて安定してから透過率0
%および100%合せをした後、測定波長およびバンド
パスを設定する。この際、校正用光学ガラスフィルタに
表示してある指定の波長およびパンドパスを用いる。対
照光束は空気とし、試料光束側に校正用光学ガラスフル
タを装着する。なお透過率又は吸光度目盛の校正時に
は、予め波長目盛を校正しておく必要がある。このとき
の波長目盛りの校正は、重水素ランプあるいは低圧石英
水銀ランプの輝線波長および波長校正用フィルタにより
行なう。温度制御装置のある分光光度計では、23.5
℃に保ち、一定になったのを確認してから透過率の測定
を行なう。分光光度計の校正には装着した校正用光学ガ
ラスフィルタの透過率測定を3回繰り返す。この平均値
を求めて測定値とし、校正用光学ガラスフィルタの値と
の差を求め、この分光光度計の器差とする。さらに透過
率の測定には透過率の異なる2種類以上の校正用光学ガ
ラスフィルタを用いて行なうのが望ましい。又、実試料
の透過率測定において、この分光光度計固有の器差の補
正を行なうには、実測値に器差を減じて正確な透過率を
求めることができる。なお2枚以上のフィルタを重ね合
せる、いわゆるマルチフィルタ方式を採用することによ
り、高吸光度域の吸光度目盛りの校正も可能である。
【0016】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。 (1)光学ガラスフィルタの作製 原料として通常使用される硅石粉、硼酸、水酸化アルミ
ニウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、硝酸カリウ
ム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硝酸ストロン
チウム、炭酸バリウム、亜鉛華、塩化カリウム、硅弗化
カリウム、酸化ランタン、酸化ジルコニウム、酸化クロ
ム、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化ニオブ、リサー
ジ、酸化チタン、酸化タングステン、塩化ナトリウム、
弗化ナトリウム、硫酸ナトリウム、重クロム酸カリウム
等を用い、これらの原料がに表1、表2及び表3のガラ
ス組成になるように、各原料を実施例毎に秤量後、得ら
れた調合原料を白金製ルツボ(アルミナルツボを用いる
こともできる)に入れて1350〜1500℃で熔融
し、攪拌して均質化、脱泡を行なった後、Tg温度付近
に予熱した成形型に鋳込み徐冷して、計10種類の光学
ガラスフィルタNo.1〜10を作製した。なお、脱泡
剤として、光学ガラスフィルタNo.2の調合原料に
は、10.7%のK2 SiF6 と5.4%のKClを、
No.8の調合原料には、2.0%のNaClを、N
o.9の調合原料には2.0%のNaFを、No.10
の調合原料には2.0%のNa2 SO4 を含有させた。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】(2)得られた光学ガラスフィルタの分光
透過率の測定 得られたガラスフィルタの肉厚2mmにおける分光透過
率曲線を、光学ガラスフィルタNo.1〜6については
図1に、光学ガラスフィルタNo.7〜10について
は、図2にそれぞれ示す。
【0021】図1及び図2より、光学ガラスフィルタN
o.1〜10は、300〜400nmの波長域におい
て、透過率曲線の勾配が零又は小なる部分を有し、かつ
透過率が1〜66%であり、前記の好ましい透過率範囲
1〜80%内にあるため、300〜400nmの波長域
において、透過率又は吸光度校正に使用できることが判
明した。さらに、No2の光学ガラスフィルタと、酸化
ニッケルや酸化コバルトを含有させたNo.3〜10の
光学ガラスフィルタは、400〜700nmの波長域に
おいても同様に本発明が目的とする透過率の測定に適し
た勾配が零又は零に近い曲線部分を有し、かつ透過率が
5〜76%であり、前記の好ましい透過率範囲1〜80
%内にあるため、300〜700nmの広い波長域にお
いて透過率又は吸光度校正に使用できることが判明し
た。
【0022】(3)得られた光学ガラスフィルタの性能
試験 本発明の光学ガラスフィルタにおいて、Cr2 3 を含
有させることにより、得られた透過率カーブが、300
〜400nmの波長範囲において、小さなバンドパス依
存性、高い繰り返し精度、小さな温度依存性、高い耐湿
性を有すること、およびNb2 5 、PbO、Ti
2 、WO3 を含有させることにより耐ソーラリゼーシ
ョンが向上したことを確認するために、バンドパス依存
性試験、ソーラリゼーション試験、透過率の安定性試
験、温度特性試験、湿度特性試験も行なった。
【0023】これらの試験に用いた光学ガラスフィルタ
は上記No.8の光学ガラスフィルタである。図2に示
したように、No.8の光学ガラスフィルタは、波長3
19.0nmにおいて極大点、波長350.0nmにお
いて極小点、波長398.0nmにおいて極大点をそれ
ぞれ有するため、透過率測定には、これら3点を使用す
るこのが好適である。したがって、上記の試験の結果を
示す表4〜10には、上記3点における測定値を記載す
る。 バンドパス依存性 測定時のバンドパスの値によって透過率の値に影響があ
ると考えられるため、バンドパスの変化による測定値の
変化量を調べた。その結果を表4に示す(単位:%
T)。
【0024】
【表4】
【0025】この結果、No.8の光学ガラスフィルタ
はバンドパスによる影響が小さいことが判明した。な
お、測定に使用する基準バンドパスは、2.0nmが適
当であるが、バンドパスが基準値に設定できない場合に
は、この結果をもとに補正することもできる。なお、N
o.1〜7及びNo.9〜10の光学ガラスフィルタに
ついてもバンドパス依存性を調べたが、バンドパスによ
る影響が小さいことを確認している。 ソーラリゼーション試験 温度約10℃中、キセノンランプで、サンプル表面での
照射エネルギー140mW/cm2 を24時間照射し、
その照射前後での透過率の変化を測定した。なお、測定
は2個のサンプル(サンプル1及びサンプル2)につい
て行なった。表5に透過率の変化量(単位:%T)を、
表6に透過率の変化率(単位:%)をそれぞれ示す。
【0026】
【表5】
【0027】
【表6】
【0028】この結果から、透過率の変化量は最大で−
0.26%T、変化率は最大で0.67%であった。こ
の値は、NDフィルタと同程度であり、特開平1−21
9038号公報に記載されたフィルタのそれよりも小さ
い値である。したがって、光照射による劣化は小さい。
なお、ソーラリゼーション試験はNo.1〜7及びN
o.9〜10の光学ガラスについても行なったが、透過
率の変化量はいずれも0〜−0.1%Tであり、対ソー
ラリゼーションに優れていることが判明した。
【0029】透過率の安定性試験 10×10×35mmのサイズにカットされた光学ガラ
スフィルタNo.8をキュベットタイプの保持枠で支
え、これを校正用分光光度計(日立製作所製分光光度計
U3400)の試料セル内に装着して、種々の波長で透
過率の測定を繰り返し行ない、測定値の繰り返し測定精
度について検討を行なった。その結果を表7に示す(単
位:%)。
【0030】
【表7】
【0031】その結果、透過率の繰り返し測定精度につ
いて、その測定値に対する個々の測定値との差の比率は
0.1%以下であり無視できる程度であった。これに対
して、2クロム酸カリウム溶液の調製の繰り返しによる
透過率のばらつきは、3回の調製において調製濃度の高
いところで調製による透過率差として最大0.33%で
あることが確認されており、この大きさは測定透過率に
対しておよそ1%に相当するので、測定値の安定性に関
して本発明の光学ガラスフィルタの優位性が明らかとな
った。
【0032】温度特性試験 基準温度(15℃)〜35℃の範囲において、光学ガラ
スフィルタNo.8の透過率の測定を行なった。表8に
温度による透過率の変化量(単位:%T)、表9に透過
率測定値に対する前記変化量の比率を変化率(単位:
%)としてそれぞれ示す。
【0033】
【表8】
【0034】
【表9】
【0035】この結果から、波長319.0nm及び3
98.0nmにおいては温度上昇によって透過率が減少
し、波長350.0nmにおいては逆に増加するという
温度特性を有することが観測された。しかし、温度によ
る透過率の変化率は0.021〜0.026%/℃と小
さいため、通常の測定業務においては測定時の温度変化
を小さくすることにより、温度による測定値に与える影
響は無視できることが確認された。
【0036】湿度特性試験 湿度90%中に24時間放置したときのその照射前後で
の光学ガラスフィルタNo.8の透過率の変化量(単
位:%T)を2個のサンプル(サンプル1及びサンプル
2)について測定した。この結果を表10に示す。
【0037】
【表10】
【0038】この結果から、319.0nm、350.
0nm、398.0nmにおける透過率の変化量は−
0.012〜0.022%Tと小さく、湿度による透過
率への影響はほとんど無視できることが確認された。
【0039】同様にNo.1〜7およびNo.9〜10
の光学ガラスフィルタについても、透過率の安定性試
験、温度特性試験、湿度特性試験を行なった結果、
No.8の光学ガラスフィルタと同様の優れた結果が得
られた。以上の結果より、本発明の光学ガラスフィルタ
は、透過率又は吸光度補正用フィルタとして要求される
特性をすべて備えていることが判明した。
【0040】
【比較例】表3に組成を示したNo.11の光学ガラス
フィルタは、Cr2 3 を含有するが、Nb2 5 、P
bO、TiO2 及びWO3 のいずれも含有しない比較光
学ガラスフィルタである。この比較光学ガラスフィルタ
についてもNo.1〜10の光学ガラスフィルタと同様
に、透過率の測定及びソーラリゼーション試験を行なっ
た。その結果No.11の比較光学ガラスフィルタは、
好ましい透過率曲線を示したものの、ソーラリゼーショ
ン試験においては透過率の変化量が−5.0%Tと大き
な値を示し、透過率又は吸光度測定に適さないことが判
明した。
【0041】また、表3に組成を示したNo.12の光
学ガラスフィルタは、No.7〜10の光学ガラスフィ
ルタと基本的な組成は等しいが、脱泡剤としてAs2
3 とSb2 3 を含有し、さらにNb2 5 を含有しな
い比較光学ガラスフィルタである。この比較光学ガラス
フィルタについても同様に透過率の測定及びソーラリゼ
ーション試験を行なった。その透過率曲線を、No.7
〜10の光学ガラスフィルタと同じく図2に示す。この
結果から、No.12の比較光学ガラスフィルタにおい
ては、As2 3 とSb2 3 が還元剤として作用し、
Cr6+をCr3+に還元したため、350nm付近にCr
6+によるスペクトルの吸収が見られず、透過率が90%
にも達した。
【0042】さらに、ソーラリゼーション試験において
は、透過率の変化量が−17%Tと著しく大きな値を示
した。以上の結果から、No.12の比較光学ガラスフ
ィルタは、透過率又は吸光度測定に適しないことが判明
した。
【0043】さらに、図3に、NDフィルタ及び特開平
1−219038号公報に記載された光学ガラスフィル
タの分光透過率曲線を、No.8の光学ガラスフィルタ
の分光透過率曲線とともに示す。図3より、No.8の
光学ガラスフィルタは、300〜700の波長域におい
て、透過率又は吸光度測定に適した好ましい透過率を示
すものであるのに対し、NDフィルタは360nm以下
の波長域において使用できず、さらに特開平1−219
038号公報に記載された光学ガラスフィルタは300
nm以上の長波長域においての使用に適さないことが分
かる。
【0044】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、Cr2 3
と、Nb2 5 、PbO、TiO2 およびWO3 とを含
有する本発明の光学ガラスフィルタは、300〜400
nmの波長域において好適な透過率ガーブを有し、かつ
バンドパス依存性が小さい、耐ソーラリゼーション性に
優れている、測定値の繰り返し精度が良い、温度による
透過率又は吸光度の変化が小さい、湿気による劣化が小
さい等の特性を有するものであるから、300〜400
nmの波長域での透過率又は吸光度校正用フィルタとし
て好ましく用いられる。
【0045】また、さらに酸化ニッケル及び/又は酸化
コバルトを含有する本発明の光学ガラスフィルタは、3
00〜700nmの波長域において好適な透過率カーブ
を有し、かつ上記の特性も有するものであるから、30
0〜700nmの波長域での透過率又は吸光度校正用フ
ィルタとして好ましく用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学ガラスフィルタNo.1〜6およびNo.
11の分光透過率曲線図。
【図2】光学ガラスフィルタNo.7〜10およびN
o.12の分光透過率曲線図。
【図3】NDフィルタ、特開平1−219038号公報
記載の光学ガラスフィルタおよび光学ガラスフィルタN
o.8の分光透過率曲線図。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 必須成分としてSiO2 およびアルカリ
    金属酸化物を含有するガラス組成物をベースとし、これ
    に、光の選択透過剤として、0.001〜0.5wt%
    のCr2 3 を、ソーラリゼーション防止剤として、6
    wt%以下のNb2 5 、5wt%以下のPbO、2w
    t%以下のTiO2 、4wt%以下のWO3 をNb2
    5 、PbO、TiO2 およびWO3 が合計量で0.2〜
    6wt%となるように含有させてなり、300〜400
    nmの波長域において、肉厚2mmにおける透過率が1
    〜80%で、かつ透過率曲線の勾配が零または小なる部
    分を有することを特徴とする透過率又は吸光度校正用光
    学ガラスフィルタ。
  2. 【請求項2】 さらにB2 3 と、Al2 3 と、Mg
    O、CaO、SrO、BaOおよびZnOより選択され
    る1種以上の酸化物とを含有する請求項1に記載の透過
    率又は吸光度校正用光学ガラスフィルタ。
  3. 【請求項3】 SiO2 が45〜75wt%、B2 3
    が0〜25wt%、Al2 3 が0〜15wt%、アル
    カリ金属酸化物が5〜25wt%、MgO、CaO、S
    rO、BaOおよびZnOより選択される1種以上の酸
    化物が0〜25wt%であり、上記成分が合計量で90
    %以上である、請求項1又は2に記載の透過率又は吸光
    度校正用光学ガラスフィルタ。
  4. 【請求項4】 さらに酸化ニッケルをNiOに換算して
    0.01〜1wt%および/または酸化コバルトをCo
    2 3 に換算して0.005〜0.5wt%含有する、
    請求項1〜3のいずれかの1項に記載の透過率又は吸光
    度校正用光学ガラスフィルタ。
  5. 【請求項5】 脱泡剤として塩化物、弗化物、硫酸塩お
    よび亜硫酸塩より選択される1種以上の化合物を、それ
    ぞれCl、F、SO3 に換算して、これらの合計量で
    0.1〜10wt%含有する調合原料より得られたもの
    である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の透過率又
    は吸光度校正用光学ガラスフィルタ。
  6. 【請求項6】 調合原料の熔融時に熔融ガラス中に塩素
    ガスをバブリングすることにより得られたものである、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の透過率又は吸光度
    校正用光学ガラスフィルタ。
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