JPH07102065A - 高分子量ポリアリーレンスルフィドの製造法 - Google Patents
高分子量ポリアリーレンスルフィドの製造法Info
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- JPH07102065A JPH07102065A JP5269458A JP26945893A JPH07102065A JP H07102065 A JPH07102065 A JP H07102065A JP 5269458 A JP5269458 A JP 5269458A JP 26945893 A JP26945893 A JP 26945893A JP H07102065 A JPH07102065 A JP H07102065A
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- Japan
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- reaction
- pas
- temperature
- sulfide
- polyarylene sulfide
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- Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 高分子量で、成形性及び色相に優れたPAS
を、経済的に有利にかつ簡便に製造する方法を提供す
る。 【構成】 有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化物と
ジハロ芳香族化合物とを反応させてポリアリーレンスル
フィドを製造する方法において、反応缶の気相部分を冷
却することにより反応缶内の気相の一部を凝縮させ、こ
れを液相に還流せしめ、かつ生成したポリアリーレンス
ルフィドをアルカリ土類金属元素の塩、水酸化物又は酸
化物で処理することを特徴とするポリアリーレンスルフ
ィドの製造法。
を、経済的に有利にかつ簡便に製造する方法を提供す
る。 【構成】 有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化物と
ジハロ芳香族化合物とを反応させてポリアリーレンスル
フィドを製造する方法において、反応缶の気相部分を冷
却することにより反応缶内の気相の一部を凝縮させ、こ
れを液相に還流せしめ、かつ生成したポリアリーレンス
ルフィドをアルカリ土類金属元素の塩、水酸化物又は酸
化物で処理することを特徴とするポリアリーレンスルフ
ィドの製造法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリアリーレンスルフ
ィド(以下、PASと略すことがある)の製造法に関
し、更に詳しくは成形性及び色相に優れた高分子量PA
Sを製造する方法に関する。
ィド(以下、PASと略すことがある)の製造法に関
し、更に詳しくは成形性及び色相に優れた高分子量PA
Sを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、結晶化速度が遅く成形性に優れ、
かつ色相の優れたPASを製造する方法としては、特開
平2‐103232号及び特開平2‐228361号公
報記載の方法が知られている。前者の公報に記載の方法
においては、少量のメタジハロ芳香族化合物を共重合さ
せ、かつアルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属リン
酸塩等を触媒として用いて重合を実施する。従って、生
成するPASの分子量制御が難しいと共に、上記物質の
添加設備等が必要であり、工業化を図るためには大変不
利である。また、PASの結晶化速度の制御も容易では
ないという欠点がある。後者の公報に記載の方法におい
ては、PASにポリ酸化エチレンを混ぜるために、PA
S本来の諸特性、例えば耐薬品性、耐熱性、耐水性、耐
磨耗性等が発現し難いという欠点を有している。
かつ色相の優れたPASを製造する方法としては、特開
平2‐103232号及び特開平2‐228361号公
報記載の方法が知られている。前者の公報に記載の方法
においては、少量のメタジハロ芳香族化合物を共重合さ
せ、かつアルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属リン
酸塩等を触媒として用いて重合を実施する。従って、生
成するPASの分子量制御が難しいと共に、上記物質の
添加設備等が必要であり、工業化を図るためには大変不
利である。また、PASの結晶化速度の制御も容易では
ないという欠点がある。後者の公報に記載の方法におい
ては、PASにポリ酸化エチレンを混ぜるために、PA
S本来の諸特性、例えば耐薬品性、耐熱性、耐水性、耐
磨耗性等が発現し難いという欠点を有している。
【0003】また、特開昭60‐149661号公報に
は、PASをアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属塩
溶液で処理し、これによりPASの結晶化速度を低下さ
せることが記載されている。しかし、該方法で使用する
PASは、従来既知の方法により製造されたものであ
り、未だ十分に高分子量化されたものではない。また、
PASのメルトフローを減少させるべく、アルカリ金属
カルボキシレート、アルカリ金属水酸化物あるいはリチ
ウムハライド等を加えて重合を実施する。従って、PA
Sの製造コストが増大して、工業化を図るには大変不利
である。また、上記添加物を無公害に製品から分離、回
収処理を行うには、多大な付帯設備と技術と費用が必要
であり、この面からも著しく不利である。
は、PASをアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属塩
溶液で処理し、これによりPASの結晶化速度を低下さ
せることが記載されている。しかし、該方法で使用する
PASは、従来既知の方法により製造されたものであ
り、未だ十分に高分子量化されたものではない。また、
PASのメルトフローを減少させるべく、アルカリ金属
カルボキシレート、アルカリ金属水酸化物あるいはリチ
ウムハライド等を加えて重合を実施する。従って、PA
Sの製造コストが増大して、工業化を図るには大変不利
である。また、上記添加物を無公害に製品から分離、回
収処理を行うには、多大な付帯設備と技術と費用が必要
であり、この面からも著しく不利である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高分子量
で、成形性及び色相に優れたPASを、経済的に有利に
かつ簡便に製造する方法を提供する。
で、成形性及び色相に優れたPASを、経済的に有利に
かつ簡便に製造する方法を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高分子量
で、かつ成形性及び色相に優れたPASの製造に関する
上記問題を解決すべく、重合メカニズムをつぶさに吟味
した。その結果、反応缶の気相部分を冷却して気相の一
部を凝縮させ、これを液相に還流せしめることにより、
生成したPASを高分子量化することができ、更に該生
成したPASをアルカリ土類金属元素の塩、水酸化物又
は酸化物で処理することにより、PASの結晶化速度を
遅くして優れた成形性を付与せしめ、かつ同時に優れた
色相をも付与せしめることができることを見出し、本発
明に到達した。
で、かつ成形性及び色相に優れたPASの製造に関する
上記問題を解決すべく、重合メカニズムをつぶさに吟味
した。その結果、反応缶の気相部分を冷却して気相の一
部を凝縮させ、これを液相に還流せしめることにより、
生成したPASを高分子量化することができ、更に該生
成したPASをアルカリ土類金属元素の塩、水酸化物又
は酸化物で処理することにより、PASの結晶化速度を
遅くして優れた成形性を付与せしめ、かつ同時に優れた
色相をも付与せしめることができることを見出し、本発
明に到達した。
【0006】即ち、本発明は、有機アミド系溶媒中でア
ルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させて
ポリアリーレンスルフィドを製造する方法において、反
応缶の気相部分を冷却することにより反応缶内の気相の
一部を凝縮させ、これを液相に還流せしめ、かつ生成し
たポリアリーレンスルフィドをアルカリ土類金属元素の
塩、水酸化物又は酸化物で処理することを特徴とするポ
リアリーレンスルフィドの製造法である。
ルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させて
ポリアリーレンスルフィドを製造する方法において、反
応缶の気相部分を冷却することにより反応缶内の気相の
一部を凝縮させ、これを液相に還流せしめ、かつ生成し
たポリアリーレンスルフィドをアルカリ土類金属元素の
塩、水酸化物又は酸化物で処理することを特徴とするポ
リアリーレンスルフィドの製造法である。
【0007】本発明のPASの製造方法において、反応
缶の気相部分を冷却することにより反応缶内の気相の一
部を凝縮させ、これを液相に還流せしめることが必要で
ある。還流される液体は、水とアミド系溶媒の蒸気圧差
の故に、液相バルクに比較して水含有率が高い。この水
含有率の高い還流液は、反応溶液上部に水含有率の高い
層を形成する。その結果、残存のアルカリ金属硫化物
(例えばNa2 S)、ハロゲン化アルカリ金属(例えば
NaCl)、オリゴマー等が、その層に多く含有される
ようになる。従来法においては230℃以上の高温下
で、生成したPASとNa2 S等の原料及び副生成物と
が均一に混じりあった状態では、高分子量のPASが得
られないばかりでなく、せっかく生成したPASの解重
合も生じ、チオフェノールの副生成が認められる。しか
し、本発明では、反応缶の気相部分を積極的に冷却し
て、水分に富む還流液を多量に液相上部に戻してやるこ
とによって上記の不都合な現象が回避でき、反応を阻害
するような因子を真に効率良く除外でき、高分子量PA
Sを得ることができるものと思われる。但し、本発明は
上記現象による効果のみにより限定されるものではな
く、気相部分を冷却することによって生じる種々の影響
によって、高分子量のPASが得られるのである。
缶の気相部分を冷却することにより反応缶内の気相の一
部を凝縮させ、これを液相に還流せしめることが必要で
ある。還流される液体は、水とアミド系溶媒の蒸気圧差
の故に、液相バルクに比較して水含有率が高い。この水
含有率の高い還流液は、反応溶液上部に水含有率の高い
層を形成する。その結果、残存のアルカリ金属硫化物
(例えばNa2 S)、ハロゲン化アルカリ金属(例えば
NaCl)、オリゴマー等が、その層に多く含有される
ようになる。従来法においては230℃以上の高温下
で、生成したPASとNa2 S等の原料及び副生成物と
が均一に混じりあった状態では、高分子量のPASが得
られないばかりでなく、せっかく生成したPASの解重
合も生じ、チオフェノールの副生成が認められる。しか
し、本発明では、反応缶の気相部分を積極的に冷却し
て、水分に富む還流液を多量に液相上部に戻してやるこ
とによって上記の不都合な現象が回避でき、反応を阻害
するような因子を真に効率良く除外でき、高分子量PA
Sを得ることができるものと思われる。但し、本発明は
上記現象による効果のみにより限定されるものではな
く、気相部分を冷却することによって生じる種々の影響
によって、高分子量のPASが得られるのである。
【0008】反応缶の気相部分の冷却は、外部冷却でも
内部冷却でも可能であり、自体公知の冷却手段により行
える。たとえば、反応缶内の上部に設置した内部コイル
に冷媒体を流す方法、反応缶外部の上部に巻きつけた外
部コイルまたはジャケットに冷媒体を流す方法、反応缶
上部に設置したリフラックスコンデンサーを用いる方
法、反応缶外部の上部に水をかける又は気体(空気、窒
素等)を吹き付ける等の方法が考えられるが、結果的に
缶内の還流量を増大させる効果があるものならば、いず
れの方法を用いても良い。外気温度が比較的低いなら
(たとえば常温)、反応缶上部に従来備えられている保
温材を取外すことによって、適切な冷却を行うことも可
能である。外部冷却の場合、反応缶壁面で凝縮した水/
アミド系溶媒混合物は反応缶壁を伝わって液相中に入
る。従って、該水分に富む混合物は、液相上部に溜り、
そこの水分量を比較的高く保つ。内部冷却の場合には、
冷却面で凝縮した混合物が同様に冷却装置表面又は反応
缶壁を伝わって液相中に入る。
内部冷却でも可能であり、自体公知の冷却手段により行
える。たとえば、反応缶内の上部に設置した内部コイル
に冷媒体を流す方法、反応缶外部の上部に巻きつけた外
部コイルまたはジャケットに冷媒体を流す方法、反応缶
上部に設置したリフラックスコンデンサーを用いる方
法、反応缶外部の上部に水をかける又は気体(空気、窒
素等)を吹き付ける等の方法が考えられるが、結果的に
缶内の還流量を増大させる効果があるものならば、いず
れの方法を用いても良い。外気温度が比較的低いなら
(たとえば常温)、反応缶上部に従来備えられている保
温材を取外すことによって、適切な冷却を行うことも可
能である。外部冷却の場合、反応缶壁面で凝縮した水/
アミド系溶媒混合物は反応缶壁を伝わって液相中に入
る。従って、該水分に富む混合物は、液相上部に溜り、
そこの水分量を比較的高く保つ。内部冷却の場合には、
冷却面で凝縮した混合物が同様に冷却装置表面又は反応
缶壁を伝わって液相中に入る。
【0009】一方、液相バルクの温度は、所定の一定温
度に保たれ、あるいは所定の温度プロフィールに従って
コントロールされる。一定温度とする場合、 230〜275
℃の温度で 0.1〜20時間反応を行うことが好ましい。よ
り好ましくは、 240〜265 ℃の温度で1〜6時間であ
る。より高い分子量のPASを得るには、2段階以上の
反応温度プロフィールを用いることが好ましい。この2
段階操作を行う場合、第1段階は 195〜240 ℃の温度で
行うことが好ましい。温度が低いと反応速度が小さす
ぎ、実用的ではない。 240℃より高いと反応速度が速す
ぎて、十分に高分子量なPASが得られないのみなら
ず、副反応速度が著しく増大する。第1段階の終了は、
重合反応系内ジハロ芳香族化合物残存率が1モル%〜40
モル%、且つ分子量が 3,000〜20,000の範囲内の時点で
行うことが好ましい。より好ましくは、重合反応系内ジ
ハロ芳香族化合物残存率が2モル%〜15モル%、且つ分
子量が 5,000〜15,000の範囲である。残存率が40モル%
を越えると、第2段階の反応で解重合など副反応が生じ
やすく、一方、1モル%未満では、最終的に高分子量P
ASを得難い。その後昇温して、最終段階の反応は、反
応温度 240〜270 ℃の範囲で、1時間〜10時間行うこと
が好ましい。温度が低いと十分に高分子量化したPAS
を得ることができず、また 270℃より高い温度では解重
合等の副反応が生じやすくなり、安定的に高分子量物を
得難くなる。
度に保たれ、あるいは所定の温度プロフィールに従って
コントロールされる。一定温度とする場合、 230〜275
℃の温度で 0.1〜20時間反応を行うことが好ましい。よ
り好ましくは、 240〜265 ℃の温度で1〜6時間であ
る。より高い分子量のPASを得るには、2段階以上の
反応温度プロフィールを用いることが好ましい。この2
段階操作を行う場合、第1段階は 195〜240 ℃の温度で
行うことが好ましい。温度が低いと反応速度が小さす
ぎ、実用的ではない。 240℃より高いと反応速度が速す
ぎて、十分に高分子量なPASが得られないのみなら
ず、副反応速度が著しく増大する。第1段階の終了は、
重合反応系内ジハロ芳香族化合物残存率が1モル%〜40
モル%、且つ分子量が 3,000〜20,000の範囲内の時点で
行うことが好ましい。より好ましくは、重合反応系内ジ
ハロ芳香族化合物残存率が2モル%〜15モル%、且つ分
子量が 5,000〜15,000の範囲である。残存率が40モル%
を越えると、第2段階の反応で解重合など副反応が生じ
やすく、一方、1モル%未満では、最終的に高分子量P
ASを得難い。その後昇温して、最終段階の反応は、反
応温度 240〜270 ℃の範囲で、1時間〜10時間行うこと
が好ましい。温度が低いと十分に高分子量化したPAS
を得ることができず、また 270℃より高い温度では解重
合等の副反応が生じやすくなり、安定的に高分子量物を
得難くなる。
【0010】実際の操作としては、先ず不活性ガス雰囲
気下で、アミド系溶媒中のアルカリ金属硫化物中の水分
量が所定の量となるよう、必要に応じて脱水または水添
加することによって、反応系内の総対的水分量を、好ま
しくは、アルカリ金属硫化物1モル当り0.8〜1.7
モルとする。1.7モルを越えては、副反応の発生が著
しくなり、系内水分量の増加と共に反応生成物中のフェ
ノール等の副生成物量が増大する。また重合度も上がら
ない。0.8モル未満では、反応速度が速すぎ、十分な
高分子量の物を得ることができない。
気下で、アミド系溶媒中のアルカリ金属硫化物中の水分
量が所定の量となるよう、必要に応じて脱水または水添
加することによって、反応系内の総対的水分量を、好ま
しくは、アルカリ金属硫化物1モル当り0.8〜1.7
モルとする。1.7モルを越えては、副反応の発生が著
しくなり、系内水分量の増加と共に反応生成物中のフェ
ノール等の副生成物量が増大する。また重合度も上がら
ない。0.8モル未満では、反応速度が速すぎ、十分な
高分子量の物を得ることができない。
【0011】反応時の気相部分の冷却は、一定温度での
1段反応の場合では、反応開始時から行うことが望まし
いが、少なくとも 250℃以下の昇温途中から行わなけれ
ばならない。多段階反応では、第1段階の反応から冷却
を行うことが望ましいが、遅くとも第1段階反応の終了
後の昇温途中から行うことが好ましい。冷却効果の度合
いは、通常反応缶内圧力が最も適した指標である。圧力
の絶対値については、反応缶の特性、攪拌状態、系内水
分量、ジハロ芳香族化合物とアルカリ金属硫化物とのモ
ル比等によって異なる。しかし、同一反応条件下で冷却
しない場合に比べて反応缶圧力が低下すれば、還流液量
が増加して、反応溶液気液界面における温度が低下して
いることを意味しており、その相対的な低下の度合いが
水分含有量の多い層と、そうでない層との分離の度合い
を示していると考えられる。そこで、冷却は反応缶内圧
が、冷却をしない場合と比較して低くなる程度に行うの
が好ましい。冷却の程度は、都度の使用する装置、運転
条件などに応じて、当業者が適宜設定できる。
1段反応の場合では、反応開始時から行うことが望まし
いが、少なくとも 250℃以下の昇温途中から行わなけれ
ばならない。多段階反応では、第1段階の反応から冷却
を行うことが望ましいが、遅くとも第1段階反応の終了
後の昇温途中から行うことが好ましい。冷却効果の度合
いは、通常反応缶内圧力が最も適した指標である。圧力
の絶対値については、反応缶の特性、攪拌状態、系内水
分量、ジハロ芳香族化合物とアルカリ金属硫化物とのモ
ル比等によって異なる。しかし、同一反応条件下で冷却
しない場合に比べて反応缶圧力が低下すれば、還流液量
が増加して、反応溶液気液界面における温度が低下して
いることを意味しており、その相対的な低下の度合いが
水分含有量の多い層と、そうでない層との分離の度合い
を示していると考えられる。そこで、冷却は反応缶内圧
が、冷却をしない場合と比較して低くなる程度に行うの
が好ましい。冷却の程度は、都度の使用する装置、運転
条件などに応じて、当業者が適宜設定できる。
【0012】こうして得られた高分子量PASを、当業
者にとって公知の後処理法によって副生物から分離する
ことが好ましい。
者にとって公知の後処理法によって副生物から分離する
ことが好ましい。
【0013】本発明においては、上記のようにして得ら
れた高分子量PASを、更にアルカリ土類金属元素の
塩、水酸化物又は酸化物で処理する。かかる処理は、特
開昭60‐149661号公報に記載されており、本発
明において、該公報記載の処理法を使用することができ
る。
れた高分子量PASを、更にアルカリ土類金属元素の
塩、水酸化物又は酸化物で処理する。かかる処理は、特
開昭60‐149661号公報に記載されており、本発
明において、該公報記載の処理法を使用することができ
る。
【0014】本発明のアルカリ土類金属元素の塩、水酸
化物又は酸化物は、水溶性のものが好ましく、例えば、
塩化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、
水酸化マグネシウム、酢酸カルシウム又は水酸化バリウ
ム等が挙げられ、水への溶解性がより優れている塩化カ
ルシウムが好ましく使用される。塩化カルシウムを使用
した場合には、PASの−SNa末端を、−SCaS−
及び−SCaClの形態に変えることができると考えら
れる。PASの末端が−SCaS−の形態を取ることに
より、疑似的に分子鎖が延長して結晶化速度が遅くなる
と推定される。同時に−SCaClの形態を取ることに
より、色相の悪化に影響を及ぼすと考えられる−SNa
末端を減少せしめて、PASの色相の改善を図ることが
できるものと推定される。
化物又は酸化物は、水溶性のものが好ましく、例えば、
塩化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、
水酸化マグネシウム、酢酸カルシウム又は水酸化バリウ
ム等が挙げられ、水への溶解性がより優れている塩化カ
ルシウムが好ましく使用される。塩化カルシウムを使用
した場合には、PASの−SNa末端を、−SCaS−
及び−SCaClの形態に変えることができると考えら
れる。PASの末端が−SCaS−の形態を取ることに
より、疑似的に分子鎖が延長して結晶化速度が遅くなる
と推定される。同時に−SCaClの形態を取ることに
より、色相の悪化に影響を及ぼすと考えられる−SNa
末端を減少せしめて、PASの色相の改善を図ることが
できるものと推定される。
【0015】PASをアルカリ土類金属元素の塩、水酸
化物又は酸化物で処理する方法において、まずPASと
アルカリ土類金属元素の塩、水酸化物又は酸化物とが混
合される。混合は、好ましくは予めPASを水スラリー
化した後、アルカリ土類金属元素の塩、水酸化物又は酸
化物をそのまま又は水溶液として、該水スラリーと混合
する。スラリー中のPASの濃度は、該処理又は処理後
の取扱いの簡便さから、好ましくは2〜60重量%であ
り、特に好ましくは5〜30重量%である。アルカリ土
類金属元素の塩、水酸化物又は酸化物の濃度は、水重量
に対して、アルカリ土類金属カチオンとして好ましくは
100〜5000重量ppm、特に好ましくは200〜
1000重量ppmとなるように調製される。100重
量ppm未満では、PASの成形性及び色相を改善する
効果が乏しく、5000重量ppmを超えては、処理後
のPAS中に該金属塩、水酸化物又は酸化物が不純物と
して残留し、成形物の絶縁性が悪化する等の問題が生じ
る。処理温度は、好ましくは常温〜200℃、特に好ま
しくは常温〜160℃である。200℃を超えては、高
耐圧の設備が必要となり設備費が増大する。処理時間
は、処理温度及び処理されるPASの性質等により非常
に大きく変化し得る。好ましくは5分〜24時間、特に
好ましくは30分〜10時間である。また、圧力は、混
合物中の水を液相として維持することができればよく、
好ましくは大気圧〜約10kg/cm2である。上記圧
力を超えては、上記同様設備費が高くなり好ましくな
い。
化物又は酸化物で処理する方法において、まずPASと
アルカリ土類金属元素の塩、水酸化物又は酸化物とが混
合される。混合は、好ましくは予めPASを水スラリー
化した後、アルカリ土類金属元素の塩、水酸化物又は酸
化物をそのまま又は水溶液として、該水スラリーと混合
する。スラリー中のPASの濃度は、該処理又は処理後
の取扱いの簡便さから、好ましくは2〜60重量%であ
り、特に好ましくは5〜30重量%である。アルカリ土
類金属元素の塩、水酸化物又は酸化物の濃度は、水重量
に対して、アルカリ土類金属カチオンとして好ましくは
100〜5000重量ppm、特に好ましくは200〜
1000重量ppmとなるように調製される。100重
量ppm未満では、PASの成形性及び色相を改善する
効果が乏しく、5000重量ppmを超えては、処理後
のPAS中に該金属塩、水酸化物又は酸化物が不純物と
して残留し、成形物の絶縁性が悪化する等の問題が生じ
る。処理温度は、好ましくは常温〜200℃、特に好ま
しくは常温〜160℃である。200℃を超えては、高
耐圧の設備が必要となり設備費が増大する。処理時間
は、処理温度及び処理されるPASの性質等により非常
に大きく変化し得る。好ましくは5分〜24時間、特に
好ましくは30分〜10時間である。また、圧力は、混
合物中の水を液相として維持することができればよく、
好ましくは大気圧〜約10kg/cm2である。上記圧
力を超えては、上記同様設備費が高くなり好ましくな
い。
【0016】上記処理は、バッチ方式又は連続方式のい
ずれでも実施することができる。該処理を実施するのに
便利な方法は、例えばPASの水スラリーとアルカリ土
類金属元素の塩、水酸化物又は酸化物とを攪拌機付の密
閉タンク内で接触させることである。該接触は、単一又
は複数の容器中で行うことができる。接触後のスラリー
からPASの分離及びその乾燥は、通常公知の方法を使
用して行うことができる。
ずれでも実施することができる。該処理を実施するのに
便利な方法は、例えばPASの水スラリーとアルカリ土
類金属元素の塩、水酸化物又は酸化物とを攪拌機付の密
閉タンク内で接触させることである。該接触は、単一又
は複数の容器中で行うことができる。接触後のスラリー
からPASの分離及びその乾燥は、通常公知の方法を使
用して行うことができる。
【0017】こうして得られた高分子量PASは、好ま
しくは50〜3000重量ppm、特に好ましくは10
0〜1000重量ppmのアルカリ土類金属カチオンを
有している。該高分子量PASは、その結晶化速度が遅
く、優れた成形性を有し、かつ同時に優れた色相をも有
し、繊維、ブロー成形及び押出し成形用途に最適な性状
を有する。
しくは50〜3000重量ppm、特に好ましくは10
0〜1000重量ppmのアルカリ土類金属カチオンを
有している。該高分子量PASは、その結晶化速度が遅
く、優れた成形性を有し、かつ同時に優れた色相をも有
し、繊維、ブロー成形及び押出し成形用途に最適な性状
を有する。
【0018】本発明において使用する有機アミド系溶媒
は、PAS重合のために知られており、たとえばN‐メ
チルピロリドン(NMP)、N,N‐ジメチルホルムア
ミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチルカプ
ロラクタム等、及びこれらの混合物を使用でき、NMP
が好ましい。これらは全て、水よりも低い蒸気圧を持
つ。
は、PAS重合のために知られており、たとえばN‐メ
チルピロリドン(NMP)、N,N‐ジメチルホルムア
ミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチルカプ
ロラクタム等、及びこれらの混合物を使用でき、NMP
が好ましい。これらは全て、水よりも低い蒸気圧を持
つ。
【0019】本発明で用いられるアルカリ金属硫化物も
公知であり、たとえば、硫化リチウム、硫化ナトリウ
ム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム及び
これらの混合物である。これらの水和物及び水溶液であ
っても良い。又、これらにそれぞれ対応する水硫化物及
び水和物を、それぞれに対応する水酸化物で中和して用
いることができる。安価な硫化ナトリウムが好ましい。
公知であり、たとえば、硫化リチウム、硫化ナトリウ
ム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム及び
これらの混合物である。これらの水和物及び水溶液であ
っても良い。又、これらにそれぞれ対応する水硫化物及
び水和物を、それぞれに対応する水酸化物で中和して用
いることができる。安価な硫化ナトリウムが好ましい。
【0020】本発明で用いられるジハロ芳香族化合物
は、たとえば特公昭45‐3368号公報記載のものか
ら選ぶことができるが、好ましくはp‐ジクロロベンゼ
ンである。又、少量(20モル%以下)のジフェニルエ
ーテル、ジフェニルスルホン又はビフェニルのパラ、メ
タ又はオルトジハロ物を1種類以上用いて共重合体を得
ることができる。例えば、m‐ジクロロベンゼン、o‐
ジクロロベンゼン、p,p´‐ジクロロジフェニルエー
テル、m,p´‐ジクロロジフェニルエーテル、m,m
´‐ジクロロジフェニルエーテル、p,p´‐ジクロロ
ジフェニルスルホン、m,p´‐ジクロロジフェニルス
ルホン、m,m´‐ジクロロジフェニルスルホン、p,
p´‐ジクロロビフェニル、m,p´‐ジクロロビフェ
ニル、m,m´‐ジクロロビフェニルである。
は、たとえば特公昭45‐3368号公報記載のものか
ら選ぶことができるが、好ましくはp‐ジクロロベンゼ
ンである。又、少量(20モル%以下)のジフェニルエ
ーテル、ジフェニルスルホン又はビフェニルのパラ、メ
タ又はオルトジハロ物を1種類以上用いて共重合体を得
ることができる。例えば、m‐ジクロロベンゼン、o‐
ジクロロベンゼン、p,p´‐ジクロロジフェニルエー
テル、m,p´‐ジクロロジフェニルエーテル、m,m
´‐ジクロロジフェニルエーテル、p,p´‐ジクロロ
ジフェニルスルホン、m,p´‐ジクロロジフェニルス
ルホン、m,m´‐ジクロロジフェニルスルホン、p,
p´‐ジクロロビフェニル、m,p´‐ジクロロビフェ
ニル、m,m´‐ジクロロビフェニルである。
【0021】PASの分子量をより大きくするために、
例えば1,3,5‐トリクロロベンゼン、1,2,4‐
トリクロロベンゼン等のポリハロ化合物をアルカリ金属
硫化物に対して好ましくは0.005〜1.5モル%、
特に好ましくは0.02〜0.75モル%の量で使用す
ることもできる。
例えば1,3,5‐トリクロロベンゼン、1,2,4‐
トリクロロベンゼン等のポリハロ化合物をアルカリ金属
硫化物に対して好ましくは0.005〜1.5モル%、
特に好ましくは0.02〜0.75モル%の量で使用す
ることもできる。
【0022】また、他の少量添加物として、末端停止
剤、修飾剤としてのモノハロ化物を併用することもでき
る。
剤、修飾剤としてのモノハロ化物を併用することもでき
る。
【0023】以下、本発明を実施例により更に詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例により限定されるもの
ではない。
明するが、本発明はこれら実施例により限定されるもの
ではない。
【0024】
【実施例】実施例1〜5及び比較例1〜3で得られた各
ポリフェニレンスルフィド(以下ではPPSと略すこと
がある)について、結晶化速度TC2、色度(L,a,
b)、Ca2+濃度及び分子量を測定した。
ポリフェニレンスルフィド(以下ではPPSと略すこと
がある)について、結晶化速度TC2、色度(L,a,
b)、Ca2+濃度及び分子量を測定した。
【0025】上記の各物性の測定方法は以下の通りであ
る。
る。
【0026】結晶化速度TC2は、セイコー電子製示差走
査熱量計SSC/5200を用いて以下のようにして測
定した。試料10mgを窒素気流中にて、20℃/分の
昇温速度で室温から320℃まで昇温した後、320℃
で5分間保持して溶融し、次いで10℃/分の速度で冷
却した。この時の発熱ピークの温度を、溶融状態からの
結晶化温度TC2とした。ここで、TC2が低いことは、結
晶化速度が遅いことを意味する。
査熱量計SSC/5200を用いて以下のようにして測
定した。試料10mgを窒素気流中にて、20℃/分の
昇温速度で室温から320℃まで昇温した後、320℃
で5分間保持して溶融し、次いで10℃/分の速度で冷
却した。この時の発熱ピークの温度を、溶融状態からの
結晶化温度TC2とした。ここで、TC2が低いことは、結
晶化速度が遅いことを意味する。
【0027】色度[Hunter(L,a,b)UCS
(均等知覚空間)]は、PPS粉末を320℃で1.5
分間予熱後、320℃で1.5分間、続けて130℃で
1.5分間、30kg/cm2 の圧力でホットプレスに
より加圧成形して円盤状プレートを作り、これについ
て、色彩色差計(東京電色株式会社製Color Ac
e)を用いて測定した。ここで、L値が高いことは、明
度が高いことを意味する。a値、b値が低いことは、夫
々赤味、黄味が少ないことを意味する。
(均等知覚空間)]は、PPS粉末を320℃で1.5
分間予熱後、320℃で1.5分間、続けて130℃で
1.5分間、30kg/cm2 の圧力でホットプレスに
より加圧成形して円盤状プレートを作り、これについ
て、色彩色差計(東京電色株式会社製Color Ac
e)を用いて測定した。ここで、L値が高いことは、明
度が高いことを意味する。a値、b値が低いことは、夫
々赤味、黄味が少ないことを意味する。
【0028】Ca2+濃度は、PPS粉末を700℃マッ
フル炉で燃焼し、その残渣を塩酸で溶解して、原子吸光
分析計(島津製作所株式会社製、AA‐670)で測定
した。
フル炉で燃焼し、その残渣を塩酸で溶解して、原子吸光
分析計(島津製作所株式会社製、AA‐670)で測定
した。
【0029】分子量は1‐クロロナフタレンを移動層と
してゲルパーミエーションクロマトグラフィーで210
℃において測定した保持時間を、標準ポリスチレン分子
量換算し、更にユニバーサルキャリブレーション法で補
正したピークトップ分子量である。装置はセンシュー科
学製SSC‐7000を用いた。
してゲルパーミエーションクロマトグラフィーで210
℃において測定した保持時間を、標準ポリスチレン分子
量換算し、更にユニバーサルキャリブレーション法で補
正したピークトップ分子量である。装置はセンシュー科
学製SSC‐7000を用いた。
【0030】
【実施例1】150リットルオートクレーブに、フレー
ク状硫化ソーダ(60.9重量%Na2 S)19.22
2kgと、N‐メチル‐2‐ピロリドン(以下ではNM
Pと略すことがある)45.0kgを仕込んだ。窒素気
流下攪拌しながら204℃まで昇温して、水4.600
kgを留出させた(残存する水分量は硫化ソーダ1モル
当り1.08モル)。その後、オートクレーブを密閉し
て180℃まで冷却し、パラジクロロベンゼン(以下で
はp‐DCBと略すことがある)21.940kgとN
MP18.0kgを仕込んだ。液温150℃で窒素ガス
を用いて1kg/cm2 Gに加圧して昇温を開始した。
液温220℃で3時間攪拌しつつ、オートクレーブ上部
の外側に巻き付けたコイルに80℃の冷媒を流し冷却し
た。その後昇温して、液温260℃で3時間攪拌し、次
に降温させると共にオートクレーブ上部の冷却を止め
た。オートクレーブ上部を冷却中、液温が下がらないよ
うに一定に保持した。反応中の最高圧力は、8.71k
g/cm2 Gであった。
ク状硫化ソーダ(60.9重量%Na2 S)19.22
2kgと、N‐メチル‐2‐ピロリドン(以下ではNM
Pと略すことがある)45.0kgを仕込んだ。窒素気
流下攪拌しながら204℃まで昇温して、水4.600
kgを留出させた(残存する水分量は硫化ソーダ1モル
当り1.08モル)。その後、オートクレーブを密閉し
て180℃まで冷却し、パラジクロロベンゼン(以下で
はp‐DCBと略すことがある)21.940kgとN
MP18.0kgを仕込んだ。液温150℃で窒素ガス
を用いて1kg/cm2 Gに加圧して昇温を開始した。
液温220℃で3時間攪拌しつつ、オートクレーブ上部
の外側に巻き付けたコイルに80℃の冷媒を流し冷却し
た。その後昇温して、液温260℃で3時間攪拌し、次
に降温させると共にオートクレーブ上部の冷却を止め
た。オートクレーブ上部を冷却中、液温が下がらないよ
うに一定に保持した。反応中の最高圧力は、8.71k
g/cm2 Gであった。
【0031】得られた反応スラリーについて濾過、温水
洗を繰り返した。次に、得られたPPSを水スラリーと
し、これにCaCl2 水溶液を加えて、水に対するCa
2+濃度が400重量ppm、PPSの濃度を10重量%
とした。これを大気圧下、常温で0.5時間攪拌処理し
た。その後、濾過、温水洗を行い、130℃で4時間熱
風乾燥機を用いて乾燥し、白色粉末状の製品を得た。
洗を繰り返した。次に、得られたPPSを水スラリーと
し、これにCaCl2 水溶液を加えて、水に対するCa
2+濃度が400重量ppm、PPSの濃度を10重量%
とした。これを大気圧下、常温で0.5時間攪拌処理し
た。その後、濾過、温水洗を行い、130℃で4時間熱
風乾燥機を用いて乾燥し、白色粉末状の製品を得た。
【0032】得られたPPSは線状であり、その分子量
は42000であった。
は42000であった。
【0033】
【実施例2】水に対するCa2+濃度を4000重量pp
mに調整した以外は、実施例1と同一の条件及び装置を
用いて実施した。
mに調整した以外は、実施例1と同一の条件及び装置を
用いて実施した。
【0034】
【実施例3】水に対するCa2+濃度を400重量ppm
に調製した後、これをオートクレーブ中、150℃で2
時間攪拌処理した以外は、実施例1と同一の条件及び装
置を用いて実施した。
に調製した後、これをオートクレーブ中、150℃で2
時間攪拌処理した以外は、実施例1と同一の条件及び装
置を用いて実施した。
【0035】
【実施例4】Ca(OH)2 水溶液を用いて、水に対す
るCa2+濃度を400重量ppmに調製した以外は、実
施例1と同一の条件及び装置を用いて実施した。
るCa2+濃度を400重量ppmに調製した以外は、実
施例1と同一の条件及び装置を用いて実施した。
【0036】
【実施例5】CaO水溶液を用いて、水に対するCa2+
濃度を300重量ppmに調製した以外は、実施例1と
同一の条件及び装置を用いて実施した。
濃度を300重量ppmに調製した以外は、実施例1と
同一の条件及び装置を用いて実施した。
【0037】
【比較例1】オートクレーブ上部コイルに冷媒を流さな
かった以外は、実施例1と同一の条件及び装置を用いて
実施した。反応中の最高圧力は、10.3kg/cm2
Gであった。
かった以外は、実施例1と同一の条件及び装置を用いて
実施した。反応中の最高圧力は、10.3kg/cm2
Gであった。
【0038】得られたPPSの分子量は27,500で
あった。
あった。
【0039】
【比較例2】実施例1と同一の方法で得た反応スラリー
について、濾過、温水洗を繰り返した後、CaCl2 水
溶液で処理することなく130℃で4時間熱風乾燥機を
用いて乾燥し、白色粉末状の製品を得た。
について、濾過、温水洗を繰り返した後、CaCl2 水
溶液で処理することなく130℃で4時間熱風乾燥機を
用いて乾燥し、白色粉末状の製品を得た。
【0040】
【比較例3】実施例1と同一の方法で得た反応スラリー
について、濾過、温水洗を繰り返した。次に、得られた
PPSに酢酸水溶液を加えてpHを4.5に調製した
後、これを大気圧下、常温で30分間攪拌処理した。そ
の後、濾過、温水洗繰り返し、次いで130℃で4時間
熱風乾燥機を用いて乾燥し、白色粉末状の製品を得た。
について、濾過、温水洗を繰り返した。次に、得られた
PPSに酢酸水溶液を加えてpHを4.5に調製した
後、これを大気圧下、常温で30分間攪拌処理した。そ
の後、濾過、温水洗繰り返し、次いで130℃で4時間
熱風乾燥機を用いて乾燥し、白色粉末状の製品を得た。
【0041】以上の結果を表1に示した。
【0042】
【表1】 実施例1は、オートクレーブ気相部の冷却を実施しなか
った比較例1と比べて、PPSの分子量は非常に大き
く、高分子量のPPSが得られることが分かった。ま
た、実施例1は比較例1と比べて、結晶化温度は低く、
色相は優れていることが分かった。比較例2は、アルカ
リ土類金属塩による処理を実施しなかったものである。
実施例1は、比較例2に比べて、結晶化温度が低い。ま
た、色相も優れていることが分った。比較例3は、アル
カリ土類金属塩での処理に代えて酸処理を施したもので
ある。実施例1は、比較例3と比べて、結晶化温度が非
常に低い。色相については、明度及び赤味の点で優れて
いた。実施例2は、実施例1に対してアルカリ土類金属
濃度を4000重量ppmと増やしたものである。アル
カリ土類金属濃度を増すと処理後のPPS中のアルカリ
土類金属濃度が増加し、色相を更に向上させることがで
きることが分った。実施例3は、実施例1に対してアル
カリ土類金属塩による処理条件を変化させたものであ
る。処理温度及び処理時間を増加させると、PPS中の
アルカリ土類金属濃度が低減するが、結晶化温度が低
く、かつ色相に優れたPPSを製造することができるこ
とが分かった。実施例4は、実施例1で使用したアルカ
リ土類金属塩をアルカリ土類金属水酸化物に代えたもの
である。PPS中のアルカリ土類金属濃度は、幾分少
く、色相は多少劣るが、結晶化温度は実施例1とほぼ同
じであることが分かった。実施例5は、アルカリ土類金
属酸化物を用いて処理したものである。PPS中のアル
カリ土類金属濃度は少く、色相は多少劣るが、結晶化温
度は実施例1とほぼ同じである。
った比較例1と比べて、PPSの分子量は非常に大き
く、高分子量のPPSが得られることが分かった。ま
た、実施例1は比較例1と比べて、結晶化温度は低く、
色相は優れていることが分かった。比較例2は、アルカ
リ土類金属塩による処理を実施しなかったものである。
実施例1は、比較例2に比べて、結晶化温度が低い。ま
た、色相も優れていることが分った。比較例3は、アル
カリ土類金属塩での処理に代えて酸処理を施したもので
ある。実施例1は、比較例3と比べて、結晶化温度が非
常に低い。色相については、明度及び赤味の点で優れて
いた。実施例2は、実施例1に対してアルカリ土類金属
濃度を4000重量ppmと増やしたものである。アル
カリ土類金属濃度を増すと処理後のPPS中のアルカリ
土類金属濃度が増加し、色相を更に向上させることがで
きることが分った。実施例3は、実施例1に対してアル
カリ土類金属塩による処理条件を変化させたものであ
る。処理温度及び処理時間を増加させると、PPS中の
アルカリ土類金属濃度が低減するが、結晶化温度が低
く、かつ色相に優れたPPSを製造することができるこ
とが分かった。実施例4は、実施例1で使用したアルカ
リ土類金属塩をアルカリ土類金属水酸化物に代えたもの
である。PPS中のアルカリ土類金属濃度は、幾分少
く、色相は多少劣るが、結晶化温度は実施例1とほぼ同
じであることが分かった。実施例5は、アルカリ土類金
属酸化物を用いて処理したものである。PPS中のアル
カリ土類金属濃度は少く、色相は多少劣るが、結晶化温
度は実施例1とほぼ同じである。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、高分子量で、成形性及
び色相に優れたPASを、経済的に有利にかつ簡便に製
造する方法を提供することができる。
び色相に優れたPASを、経済的に有利にかつ簡便に製
造する方法を提供することができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化
物とジハロ芳香族化合物とを反応させてポリアリーレン
スルフィドを製造する方法において、反応缶の気相部分
を冷却することにより反応缶内の気相の一部を凝縮さ
せ、これを液相に還流せしめ、かつ生成したポリアリー
レンスルフィドをアルカリ土類金属元素の塩、水酸化物
又は酸化物で処理することを特徴とするポリアリーレン
スルフィドの製造法。 - 【請求項2】 反応系内の水分量を、アルカリ金属硫化
物1モル当り0.8〜1.7モルとする請求項1記載の
方法。 - 【請求項3】 反応を、温度が異なる二段階以上で行う
請求項1記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5269458A JPH07102065A (ja) | 1993-10-04 | 1993-10-04 | 高分子量ポリアリーレンスルフィドの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5269458A JPH07102065A (ja) | 1993-10-04 | 1993-10-04 | 高分子量ポリアリーレンスルフィドの製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07102065A true JPH07102065A (ja) | 1995-04-18 |
Family
ID=17472722
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5269458A Pending JPH07102065A (ja) | 1993-10-04 | 1993-10-04 | 高分子量ポリアリーレンスルフィドの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07102065A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012251022A (ja) * | 2011-05-31 | 2012-12-20 | Toray Ind Inc | ポリフェニレンサルファイド樹脂発泡体およびその製造方法 |
WO2020125048A1 (zh) | 2018-12-18 | 2020-06-25 | 浙江新和成股份有限公司 | 高分子量聚苯硫醚树脂及其制备方法和用途 |
-
1993
- 1993-10-04 JP JP5269458A patent/JPH07102065A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012251022A (ja) * | 2011-05-31 | 2012-12-20 | Toray Ind Inc | ポリフェニレンサルファイド樹脂発泡体およびその製造方法 |
WO2020125048A1 (zh) | 2018-12-18 | 2020-06-25 | 浙江新和成股份有限公司 | 高分子量聚苯硫醚树脂及其制备方法和用途 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20040127 |