JPH07101020A - 難燃性静電記録フイルム - Google Patents

難燃性静電記録フイルム

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JPH07101020A
JPH07101020A JP25199793A JP25199793A JPH07101020A JP H07101020 A JPH07101020 A JP H07101020A JP 25199793 A JP25199793 A JP 25199793A JP 25199793 A JP25199793 A JP 25199793A JP H07101020 A JPH07101020 A JP H07101020A
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JP
Japan
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flame
retardant
electrostatic recording
recording film
film
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Application number
JP25199793A
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English (en)
Inventor
Katsuji Nakahara
勝次 中原
Masaaki Sudo
正昭 須藤
Kazuo Matsuura
和夫 松浦
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】プラスチックフイルム、導電層および誘電層を
この順に積層せしめた静電記録フイルムにおいて、該プ
ラスチックフイルムが難燃元素を0.5〜5.0重量%
を含む線状ポリエステルA、Cと、難燃元素を0.5重
量%未満含む線状ポリエステルBとが厚さ方向にA/B
/Cの順に積層されてなるポリエステルフイルムである
ことを特徴とする難燃性静電記録フイルム。 【効果】通常のポリエステルフイルムが有する高い耐熱
性、耐加水分解性、機械特性、耐薬品性などを保持しつ
つ、優れた画像特性を有し、かつ高い難燃性を付与で
き、UL−94でVTM−2のランクを十分に達成する
静電記録フイルムを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、静電記録フイルムに関
するものであり、詳しくは電気信号を直接静電潜像に変
換したのちトナー現像して可視像化する静電記録フイル
ムに関するものである。さらに詳しくは、ポリエステル
の特徴を残しつつ、米国アンダーライターズラボラトリ
ーズ(UNDERWRITERS LABORATOR
IES)社規格UL−94に規定されたVTM−2相当
の難燃レベルを有する難燃性静電記録フイルムに関する
ものである。
【0002】特に、家電機器や自動販売機のコーション
ラベルや難燃性を要する工程管理ラベルなどの用途に適
した高い難燃性を有する難燃性静電記録フイルムを提供
するものである。
【0003】
【従来の技術】従来、CAD静電記録プロッター用等
に、プラスチックフイルム、導電層および誘電層をこの
順に積層せしめた静電記録フイルムが知られている(特
公昭43−21785、特公昭44−26753、特開
昭55−12927、特開昭55−73054号公報な
ど)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の静
電記録フイルムは良好な画像特性などは有しているもの
の難燃性が不十分で、上記のような高い難燃性を要求さ
れる用途には問題点を残している。本発明は、係る問題
点を改善し、良好な画像特性を有し、かつ高い難燃性を
有する静電記録フイルムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明の難燃性静電記録フイルムは、プラスチック
フイルム、導電層および誘電層をこの順に積層せしめた
静電記録フイルムにおいて、該プラスチックフイルムが
難燃元素を0.5〜5.0重量%を含む線状ポリエステ
ルA、Cと、難燃元素を0.5重量%未満含む線状ポリ
エステルBとが厚さ方向にA/B/Cの順に積層されて
なるポリエステルフイルムであることを特徴とする難燃
性静電記録フイルムを要旨とするものである。
【0006】本発明においていう線状ポリエステルA、
B、Cとは、芳香族ジカルボン酸を主とする酸成分とグ
リコール成分とからなる線状ポリエステルである。芳香
族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフ
タル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナ
フタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテル
ジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホンジカルボ
ン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−
ジフェニルエタンジカルボン酸などを挙げることができ
る。これらのうち、テレフタル酸および2,6−ナフタ
レンジカルボン酸が好ましく、特にテレフタル酸が好ま
しい。
【0007】グリコール成分としては、アルキレングリ
コールが好ましく、例えばエチレングリコール、トリエ
チレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサ
メチレングリコール、デカメチレングリコールなどを挙
げることができる。これらのうち、エチレングリコール
が特に好ましい。
【0008】本発明には線状ポリエステルとしてポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレ
ートが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好
ましい。
【0009】また本発明でいう線状ポリエステルは、上
記よりなるエステルの酸成分の一部またはグリコール成
分の一部が他のジカルボン酸成分、例えばイソフタル
酸、ナトリウムスルホイソフタル酸、ジフェノキシジエ
タンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸など、ある
いは他のグリコール成分、例えばジエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、
テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、
1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレング
リコール、ビスフェノールA成分などで置換された共重
合ポリエステルであってもよい。
【0010】難燃元素(難燃性元素ともいう)とはリ
ン、ハロゲン化元素などの元素、あるいは三酸化アンチ
モン、水酸化アルミニウム、酸化スズ水和物などの難燃
性化合物となるアンチモン、アルミニウム、スズなどの
元素で、これらの難燃性元素、難燃性化合物は「プラス
チックの難燃化」(英一太著、日刊工業新聞社出版、昭
和53年発行)などに詳細に記載されている。中でもリ
ン、ハロゲン元素が好ましく、特にこれらの元素が化合
物として線状ポリエステルに共重合されていることが好
ましい。特にリン元素が好ましく、中でもリン元素を含
むリン化合物が特に好ましい。さらに線状ポリエステル
中に共重合されているか、あるいは該共重合物と共重合
されていない線状ポリエステルとの混合物であることが
特に好ましい。
【0011】本発明で使用する好ましいリン化合物と
は、エステル形成性官能基を2個有するリン化合物であ
り、化7で示されるホスフェート、化8で示されるホス
フィネート、あるいは化9で示されるホスフィンオキシ
ドなどが挙げられる。
【0012】
【化7】
【化8】
【化9】 式中、R1 、R5 はそれぞれ同じかまたは異なる基であ
って炭素数が1〜18の炭化水素基をあらわし、R2
3 はそれぞれ同じかまたは異なる基であって炭素数が
1〜18の炭化水素基または炭素数が1〜18のヒドロ
キシアルキル基または水素原子をあらわし、A1 、A2
は炭素数が2〜8の2価または3価の有機残基をあらわ
し、R4 はカルボキシ基またはヒドロキシル基またはそ
のエステルをあらわし、R6 はカルボキシ基またはヒド
ロキシル基またはそのエステル、あるいは互いに下記化
10で示される基を介してA2 と環を形成する2価のエ
ステル形成性官能基をあらわす。
【0013】
【化10】 上記化7で示されるリン化合物の好ましい例としてフェ
ニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジフェニ
ルなどが挙げられる。
【0014】上記化8で示されるリン化合物の好ましい
例としては、(2−カルボキシエチル)メチルホスフィ
ン酸、(2−メトキシカルボニルエチル)メチルホスフ
ィン酸メチル、(2−カルボキシエチル)フェニルホス
フィン酸、(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル
ホスフィン酸メチル、(4−メトキシカルボニルフェニ
ル)フェニルホスフィン酸メチル、(2−(β−ヒドロ
キシエトキシカルボニル)エチル)メチルホスフィン酸
あるいはこれらのエチレングリコールエステルなどが挙
げられる。
【0015】上記化9で示されるリン化合物の好ましい
例としては、(1,2−ジカルボキシエチル)ジメチル
ホスフィンオキシド、(2,3−ジカルボキシプロピ
ル)ジメチルホスフィンオキシド、(1,2−ジメトキ
シカルボニルエチル)ジメチルホスフィンオキシド、
(2,3−ジメトキシカルボニルエチル)ジメチルホス
フィンオキシド、(1,2−ジ(β−ヒドロキシエトキ
シカルボニル)エチル)ジメチルホスフィンオキシド、
(2,3−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)エ
チル)ジメチルホスフィンオキシドなどが挙げられる。
【0016】これらの化合物の中で特に化8の化合物が
線状ポリエステルとの共重合反応性がよいこと、および
重合反応時の飛散が少ないことなどから好ましい。さら
に他の好ましいリン化合物としては、下記化11、化1
2で示されるモノアルキルアシッドホスフェートおよび
ジアルキルアシッドホスフェートあるいはこれらの混合
物である。
【0017】
【化11】
【化12】 (式中Rは炭素数1〜8のアルキル基) 上記化8の化合物のうち、特に下記化13、化14が好
ましく、これらの併用、あるいは他のリン化合物を併用
してもよい。
【0018】
【化13】
【化14】 リン元素の好ましい含有量は、線状ポリエステルA、C
では0.5〜5.0重量%、より好ましくは1.0〜
2.0重量%であり、線状ポリエステルBでは0.5重
量%未満、より好ましくは0.2重量%未満である。線
状ポリエステルA、Cのリン元素含有量が0.5重量%
未満では難燃性の効果が認められず、5.0重量%を超
えると耐加水分解性、耐熱性などの低下による品質低
下、あるいは融点の低下に伴うフイルムの製膜時の延伸
ロールへの粘着などが生じ、フイルムの製膜が著しく困
難になる。線状ポリエステルBのリン元素含有量が0.
5重量%以上になると、フイルムの耐加水分解性、耐熱
性などの品質が低下し、ポリエステルフイルムの持つ優
れた特性が損なわれる。
【0019】難燃元素を含む化合物を線状ポリエステル
に添加、あるいは共重合する方法は特に限定されない
が、例えば、特開昭51−82392、特開平2−53
821、特開昭63−133589、特開昭62−27
7429号公報などに示されている常法の重合方法にて
行なうことができる。
【0020】尚、本発明における線状ポリエステルには
従来公知の添加剤が本発明の目的を損なわない範囲に添
加されてもよい。例えば、ポリエステルフイルムに通常
用いられている顔料、安定化剤、可塑剤、アルキルベン
ゼンスルホン酸リチウム塩などの制電剤、滑剤などが添
加されていてもよい。
【0021】本発明のポリエステルフイルムは、線状ポ
リエステルA、線状ポリエステルB、線状ポリエステル
Cが厚さ方向にA/B/Cに積層されていることが後述
する導電層および誘電層を積層した場合、難燃性のUL
−94、VTM−2に適合させるために必須である。A
/B、B/A/C、A/C/B、B/A/Bなどの構成
では難燃性レベルが低下する。なお、線状ポリエステル
AとCの難燃性元素の種類、量は同じであっても、異な
ってもよいが、同じの方が製膜上有利であり、通常の用
途ではフイルムの表裏の区別がなく好ましい。
【0022】線状ポリエステルA、B、Cを積層させる
方法は、接着剤を用いて互いに積層させる方法、あるい
は互いのポリマを溶融状態で接着剤を介することなく直
接積層する方法などがとれるが、難燃性、フイルムとし
ての可とう性、機械特性、加工適性から溶融状態で積層
させることが最も好ましい。
【0023】本発明のフイルムにおける線状ポリエステ
ルA、Cの厚さは、好ましくは線状ポリエステルBの厚
さの0.01〜3倍、より好ましくは0.05〜1倍で
あり、かつA、Cの具体的な厚さは好ましくは0.5〜
200μm、より好ましくは1〜100μmである。線
状ポリエステルA、Cの厚さが線状ポリエステルBの厚
さの0.01倍未満、あるいは0.05μm未満になる
と目的とするUL−94、VTM−2に適合しなくな
り、3倍を超えるか、200μmを超えると耐熱性、耐
加水分解性などポリエステルフイルムに要求される特性
が得られなくなる。なお、線状ポリエステルAとCは同
じ厚さであっても、異なってもよいが、製膜上およびフ
イルムに表裏の差がないことからできるだけ同一厚さの
方が好ましい。また、本発明のポリエステルフイルム全
体の厚さは特に限定されないが、10〜500μmが好
ましい。
【0024】本発明において少なくとも一方向に配向し
たフイルムとは、上記積層された線状ポリエステルA/
B/Cを少なくとも一方向、好ましくは縦、横二方向に
配向させたフイルムであって、その配向度は特に限定さ
れないが、ポリエステルフイルムの特徴が発揮されるた
めには次式で定義される面配向の複屈折Δn が0.1以
上であることが好ましい。
【0025】Δn =(nγ+nβ)/2−nα ここでnは屈折率、添字αβγはポリエステルの光学的
3主軸であり、nα≦nβ≦nγと定められている。配
向したポリエステルフイルムではαが厚さ方向、β、γ
はフイルム面内にある。3方向の屈折率はアッベの屈折
計と検光子を用いて測定できる。
【0026】次に、本発明のポリエステルフイルムの製
造方法は特に限定されないが、好ましくは線状ポリエス
テルA、B、Cをそれぞれ常法により押出機A、B、C
へ供給して、Tダイに入る前、あるいはTダイ積層口金
内でA/B/Cの3層に積層し、この溶融されたシート
をドラム表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上に
静電気力で密着個化し、該未延伸フイルムを80〜12
0℃に加熱されたロール群に導き、長手方向に2〜5倍
縦延伸し、20〜50℃のロール群で冷却する。続い
て、90〜140℃に加熱された雰囲気で長手方向に垂
直な方向に横延伸する。延伸倍率は縦、横それぞれ2〜
5倍に延伸するがその面積倍率は6〜20倍であること
が好ましい。面積倍率が6倍未満では白色化が十分に行
なわれず、20倍を超えると延伸時に破れを生じやすく
なる。こうして二軸延伸されたフイルムは150〜24
0℃の熱固定を行ない、均一に徐冷後本発明のフイルム
を得る。
【0027】本発明に用いるポリエステルフイルムに
は、線状ポリエステルフイルムAおよび/またはCと導
電層をより接着せしめるために導電層と接する線状ポリ
エステルフイルムAおよび/またはCに本発明の目的を
損なわない範囲にコロナ放電処理加工、ウレタン樹脂、
アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂など公
知のアンカー処理剤を用いてアンカー処理加工を施して
もよい。
【0028】特に水酸基とリン酸の部分エステル基を含
有するビニル系共重合体とポリイソシアネート化合物と
の反応生成物を下塗りしたもの(特公昭58−3514
5公報記載)、または親水基含有ポリエステル樹脂にア
クリル系化合物をグラフト化させた共重合体と架橋結合
剤からなる組成物を下塗りしたものが、導電層とポリエ
ステルフイルム層との接着性が向上し、耐湿熱性、耐沸
水性などの耐久性に優れたフイルムとして好ましい。
【0029】本発明の導電層はプラスチックフイルムの
上に形成され、その表面電気抵抗は104 〜109 Ω/
□である。かかる導電層は通常知られたものが使用され
る。例えば、電子伝導性の金属や金属酸化物からなる
もの、イオン伝導性の高分子電解質を塗工したもの、
導電性粉末と高分子結着剤や高分子電解質からなる層
を塗工したもの、などである。かかる好ましい導電性組
成としては、Al、Cr、Cd、Ti、Fe、Cu、I
n、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、Ir、Ag、W、
Sn、Zrなどの金属や、ステンレス、真ちゅう、Ni
−Crなどの合金、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜
鉛、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化ルテニウム、酸
化タンタルなどの金属酸化物、ヨウ化銅などの金属化合
物、四級アンモニウム塩、スルホン酸塩、ポリアルコー
ルなどの高分子電解質などが挙げられる。
【0030】これらは単独でも2種以上組み合わせて使
用してもよい。なお、高分子結着剤は熱可塑性樹脂また
は硬化性樹脂からなり、通常知られた樹脂が使用され
る。かかる導電層は、メッキ、真空蒸着、化学蒸着、ス
パッタリング、コーティングなどにより形成される。こ
れらの中でもより均一な薄膜状に形成されるものは記録
の安定性がよく、良好な画像が得られるので好ましい。
かかる好ましいものとしては、上記とに加えての
中では導電性粉末の粒径が0.01〜1μmであるもの
などが挙げられる。さらに好ましいのは、Rh、Pd、
Pt、Ir、Ruからなる群から選ばれた少なくとも1
種以上の金属を主体とした材料からなる島状の不連続金
属膜が、表面電気抵抗の均一性、湿度に対する安定性、
記録の安定性などの点から特に好ましい。なお島状の不
連続金属膜とは、プラスチックフイルムの上に金属粒子
が点在しているもので、その平均サイズとしては10
−5 〜10−2 μm2 の範囲であることが特に好まし
い。島状の不連続金属膜の密度は面積分率で示すと15
〜50%であることが好ましい。なお、上記、の場
合の好ましい導電層の厚さは乾燥後の塗布量として0.
1〜5g/m2 であることが好ましく、さらに好ましく
は0.2〜2g/m2 であることが好ましい。これより
少ないと均一な導電性が得られにくく、これより多いと
記録の安定性が悪くなり好ましくない。
【0031】本発明の誘電層は、高分子結着剤あるいは
高分子結着剤と粒子からなり、高分子結着剤100重量
部に対し粒子が0〜100重量部であり、かかる該誘電
層の表面粗さは1〜20μm、さらに好ましくは1〜1
5μmであり、かつ該誘電層の平滑度が5〜1000秒
であることが好ましい。上記表面粗さおよび平滑度が上
記の範囲外では、記録の安定性が悪くなることがあり、
良好な画像が安定して得られず好ましくない。
【0032】かかる高分子結着剤は熱可塑性樹脂または
硬化性樹脂からなり、通常かかる静電記録フイルムの誘
電層に用いられる各種の樹脂が使用し得る。熱可塑性樹
脂としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリ
エステルアミド、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリイミド、ポ
リウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメ
チルペンテン、ポリオレフィン、ハロゲン化ポリオレフ
ィン、アルキド樹脂、ポリアミドイミド、ケイ素樹脂、
フッ素樹脂などやこれらの共重合体やブレンド物などが
挙げられる。また、光、熱、酸素などにより硬化する硬
化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、メラミン
樹脂、エポキシ樹脂、架橋型有機ケイ素樹脂、反応性モ
ノマを含有するポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合
体に架橋剤を加えて架橋したものなどが挙げられる。こ
れらの高分子結着剤は体積固有抵抗が1012Ω・cm以
上であることが好ましい。これより小さいと印字濃度が
低くなり好ましくない。
【0033】粒子としては、通常知られる無機粒子およ
び/または有機粒子が使用される。かかる無機粒子とし
ては、例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、アルミナ、酸
化鉛、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物、炭酸カルシ
ウム、チタン酸バリウム、硫酸バリウムなどの塩類、有
機粒子としては、例えば、スチレン−ジビニルベンゼン
共重合体、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹
脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂などから適宜選択され
る。これらの粒子は単独でも2種以上混合して用いても
よい。上記粒子の平均粒径は、放電の安定性から一般に
0.1〜20μmの範囲で適宜選択するのが好ましい。
高分子結着剤と粒子の重量比は100/0〜100/1
00であることが好ましい。これより多いと誘電層の膜
強度が弱くなり好ましくない。
【0034】誘電層の厚さは乾燥後の塗布量として、
0.5〜20g/m2 であることが好ましい。さらに好
ましくは、1〜10g/m2 、より好ましくは1〜5g
/m2であることが望ましい。これより少ないと表面電
位が低く、印字濃度が薄くなり、一方これより多いと解
像度が悪くなり好ましくない。
【0035】本発明の誘電層には本発明の目的とする静
電記録フイルムとしての特性を損なわない範囲で必要に
応じて、可塑剤、接着促進剤、安定剤、酸化防止剤、紫
外線吸収剤、滑剤、導電粉などを添加してもよい。
【0036】なお、誘電層の反対面には、帯電防止性、
易滑性、走行性のために、導電剤、無機粒子、有機粒子
等を含有する易滑・帯電防止層を付与することが好まし
い。誘電層や易滑・帯電防止層の付加方式は通常知られ
た方法が有効に使用される。例えば、グラビアコート、
リバースコート、バーコート、キスコート、ダイコート
などの中から適宜選択される。
【0037】
【物性値の評価方法】本発明の評価方法は次の通りであ
る。
【0038】(1)表面粗さ JIS B0601−1976に従い、カットオフ0.
25mm、測定長4mmで中心線平均粗さRa(μm)
および最大粗さRt(μm)を求める。
【0039】(2)表面電気抵抗 導電性フイルムを幅30mmに切り取り、その切断面に
直交し、かつ間隔が30mmの2本の平行線を想定し、
その2本の線ではさまれる区間を除く右と左にそれぞれ
導電性カーボン塗料を塗布し、それを電極とする。この
電極間の電気抵抗をケスレー製エレクトロメータ(タイ
プ610C)を用いて、20℃−65%RHで測定し
た。単位はΩ/□で示す。静電記録フイルムもこれに準
じて測定した。
【0040】(3)平滑度 旭精工(株)製、王研式透気度平滑度試験機(型式KB
15)で測定した。n=5の平均値で示した。
【0041】(4)画像特性 静電記録フイルムの表面にマルチピン電極ヘッドにより
静電潜像を形成させ、次いで静電潜像を湿式トナー現像
機によって顕像化したのち、乾燥してハードコピー画像
を得た。なお解像度は16本/mmであった。相対湿度
は20%、60%、80%で記録した。
【0042】かぶり 画像記録の余白部をサクラマイクロデンシトメータ(モ
デルPDM5)で反射濃度として測定し、反射濃度が
0.3以上のものを不良とした。
【0043】抜け 抜けとはドットが形成されないものをいう。ドットを1
0(ヘッドと同方向)×100個(ヘッドと垂直方向)
を印字して、抜けの個数を測定した。n=5の平均値が
5個以下が良好、6〜15個をやや良、16個以上を不
良とした。
【0044】ゴマシオ ゴマシオとはドット形状が異常に大きいものをいう。1
6本/mmのドットを印字し、50mm当たりのゴマシ
オの個数を測定した。40個以下を良好、41〜150
個をやや良、151個以上を不良とした。
【0045】線抜け 16ドット/mmで印字し、100mm当たりの線抜け
の個数を測定した。80個以下を良、81〜250個を
やや良、251個以上を不良とした。
【0046】(5)難燃性 米国アンダーライターズラボラトリーズ(UNDARW
RITERS LABORATORIES)社規格のU
L−94に準じて評価した。
【0047】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、これに限定されるものではない。
【0048】実施例1 テレフタル酸とエチレングリコールより直接エステル化
法でビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレートおよび
その低重合体を合成し、三酸化アンチモンおよび(2−
カルボキシエチル)メチルホスフィン酸のエチレングリ
コールエステルをポリマに対しリン元素量がAおよびC
に2.0重量%添加した後、常法通り重縮合反応を行な
って極限粘度が0.64〜0.68のポリエステルを得
た。該ポリマを押出機A、Bを用いて270〜280℃
で溶融し、Tダイ中でA/B/Cの順に3層に積層後、
28℃の冷却ドラム上でシート状に成形したのち、90
℃で縦方向に3.2倍延伸し、ついで横方向に125℃
で3.3倍に延伸し、さらに225℃で熱処理を行ない
厚さ100μmの二軸延伸フイルムを得た。
【0049】次に、得られたポリエステルフイルムのA
層面にPdをスパッタリングして(表面電気抵抗値2×
106 Ω/□)導電性フイルムを得た。この導電性フイ
ルムの上に誘電層としてアクリル樹脂(東レ製“コータ
ックス”)/炭酸カルシウム(平均粒径5μm)/難燃
剤(大八化学製“CR−509”)/導電性酸化スズ
(触媒化成製“エルコム”)=100/20/1/0.
1の20%トルエン溶液をグラビアコータで塗工して
(乾燥後の厚さ:4g/m2 、表面粗さRa=0.35
μm、Rt=7.0μm、平滑度:85秒)本発明の静
電記録フイルムを得た。
【0050】得られた静電記録フイルムの特性は表1に
示すように、画像特性が良好で難燃性もランクVTM−
2を有している。
【0051】実施例2 実施例1で用いたポリエステルのリン元素をAおよびC
に2.0重量%、Bに0.4重量%添加した他は、実施
例1と同様にして本発明の静電記録フイルムを得た。
【0052】得られた静電記録フイルムの特性は表1に
示すように、画像特性が良好で難燃性もランクVTM−
2を有している。
【0053】実施例3 テレフタル酸とエチレングリコールより直接エステル化
法でビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレートおよび
その低重合体を合成し、三酸化アンチモンおよび(2−
カルボキシエチル)メチルホスフィン酸のエチレングリ
コールエステルをポリマに対しリン元素量がAおよびC
に2.0重量%添加した後、常法通り重縮合反応を行な
って極限粘度が0.64〜0.68のポリエステルを得
た。該ポリマを押出機A、Bを用いて270〜280℃
で溶融し、Tダイ中でA/B/Cの順に3層に積層後、
28℃の冷却ドラム上でシート状に成形したのち、90
℃で縦方向に3.2倍延伸した。
【0054】次にアクリルをグラフト化させた水分散性
ポリエステル共重合体として“ペスレジン”604G
(高松油脂製)に水を加えて希釈し架橋結合剤として
“ニカラック”MW12LF(三和ケミカル製)を樹脂
固形分100重量部に対して4重量部添加し、さらに滑
剤として平均粒径0.10μmのシリカゾル“キャタロ
イド”(触媒化成製)を樹脂固形分100重量部に対し
て0.5重量部添加し、濃度を3.0重量%とした塗剤
を上記一軸延伸フイルムの片面にメタリングバー方式で
塗布したのち該塗布層を乾燥しつつ横方向に125℃で
3.3倍に延伸し、さらに225℃で熱処理を行ないア
ンカー層0.1μmが積層された厚さ100μmの二軸
延伸フイルムを得た。
【0055】次に得られたポリエステルフイルムのアク
リルをグラフトさせた親水基含有ポリエステル樹脂を下
塗りした面に、酸化スズ系の導電層(触媒化成製“エル
コム”P3001)をグラビアコータで塗工して(乾燥
後の厚さ:2g/m2 、表面抵抗値2×106 Ω/□)
導電性フイルムを得た。この導電性フイルムの上に誘電
層としてポリエステル樹脂(東レ製“ケミット”)/炭
酸カルシウム(平均粒径5μm)/難燃剤(大八化学製
“CR−509”)/導電性酸化スズ(触媒化成製“エ
ルコム”)=100/40/1/0.1の20%トルエ
ン/酢酸ブチル=1/1溶液をグラビアコータで塗工し
て(乾燥後の厚さ:3g/m2 、表面粗さRa=0.7
5μm、Rt=7.5μm、平滑度=50秒)本発明の
静電記録フイルムを得た。
【0056】得られた静電記録フイルムの特性は表1に
示すように、画像特性が良好で難燃性もランクVTM−
2を有している。
【0057】比較例1 実施例1で得られたポリエステルフイルムのみでは表1
に示すように難燃性はVTM−0と高い難燃性が得られ
たが、画像特性は不良である。このように導電層、誘電
層を施さない場合は、画像特性に優れたものは得られな
い。
【0058】比較例2 実施例1のポリエステルA、C層のリン元素の添加量を
なしにした他は全く同様の方法で100μmのフイルム
を得た。
【0059】次に、得られたポリエステルフイルムのA
層面にPdをスパッタリングして(表面電気抵抗値2×
106 Ω/□)導電性フイルムを得た。この導電性フイ
ルムの上に誘電層としてアクリル樹脂(東レ製“コータ
ックス”)/炭酸カルシウム(平均粒径5μm)/難燃
剤(大八化学製“CR−509”)/導電性酸化スズ
(触媒化成製“エルコム”)=100/20/1/0.
1の20%トルエン溶液をグラビアコータで塗工して
(乾燥後の厚さ:4g/m2 、表面粗さRa=0.35
μm、Rt=7.0μm、平滑度:85秒)静電記録フ
イルムを得た。
【0060】この静電記録フイルムの特性は表1に示す
ように画像特性は優れているが、難燃性テストではVT
M−2規格より低く、高い難燃性を得ることはできなか
った。
【0061】
【表1】
【0062】
【発明の効果】本発明はプラスチックフイルムと導電層
からなる導電性フイルムの該導電層の上に誘電層を積層
してなる静電記録フイルムにおいて特定のプラスチック
フイルムを適用することにより良好な画像特性を有し、
かつ高い難燃性を有する静電記録フイルムを得ることが
できたものである。
【0063】かくして得られた本発明の静電記録フイル
ムは優れた特性を有するので、特に、家電機器や自動販
売機のコーションラベルや難燃性を要する工程管理ラベ
ルなどの用途に適した高い難燃性を付与でき、UL−9
4でVTM−2のランクを十分に達成することができ
る。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチックフイルム、導電層および誘
    電層をこの順に積層せしめた静電記録フイルムにおい
    て、該プラスチックフイルムが難燃元素を0.5〜5.
    0重量%を含む線状ポリエステルA、Cと、難燃元素を
    0.5重量%未満含む線状ポリエステルBとが厚さ方向
    にA/B/Cの順に積層されてなるポリエステルフイル
    ムであることを特徴とする難燃性静電記録フイルム。
  2. 【請求項2】 難燃元素がリンまたはハロゲンであるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の難燃性静電記録フイル
    ム。
  3. 【請求項3】 難燃元素が、リンまたはハロゲンの化合
    物からなる難燃剤として、線状ポリエステルA、Cおよ
    びBに共重合されていることを特徴とする請求項1また
    は請求項2に記載の難燃性静電記録フイルム。
  4. 【請求項4】 線状ポリエステルA、CおよびBが芳香
    族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、エチレングリコー
    ルを主たるジオール成分とする線状ポリエステルである
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載
    の難燃性静電記録フイルム。
  5. 【請求項5】 線状ポリエステルA、CおよびBの芳香
    族ジカルボン酸がテレフタル酸または2,6−ナフタレ
    ンジカルボン酸であることを特徴とする請求項4に記載
    の難燃性静電記録フイルム。
  6. 【請求項6】 難燃元素が下記化1、化2および化3で
    示されるリン化合物から選ばれた1種以上の化合物から
    なる難燃剤として含有されていることを特徴とする請求
    項1〜請求項5のいずれかに記載の難燃性静電記録フイ
    ルム。 【化1】 【化2】 【化3】 式中、R1 、R5 はそれぞれ同じかまたは異なる基であ
    って炭素数が1〜18の炭化水素基をあらわし、R2
    3 はそれぞれ同じかまたは異なる基であって炭素数が
    1〜18の炭化水素基または炭素数が1〜18のヒドロ
    キシアルキル基または水素原子をあらわし、A1 、A2
    は炭素数が2〜8の2価または3価の有機残基をあらわ
    し、R4 はカルボキシル基またはヒドロキシル基または
    そのエステルをあらわし、R6 はカルボキシル基または
    ヒドロキシル基またはそのエステル、あるいは互いに下
    記化4で示される基を介してA2 と環を形成する2価の
    エステル形成性官能基をあらわす。 【化4】
  7. 【請求項7】 難燃元素が下記化5、化6で示されるモ
    ノアルキルアシッドホスフェート、ジアルキルアシッド
    ホスフェートのいずれかの単独、または両者の混合物か
    らなる難燃剤として含有されていることを特徴とする請
    求項1〜請求項5のいずれかに記載の難燃性静電記録フ
    イルム。 【化5】 【化6】 (式中Rは炭素数1〜8のアルキル基)
  8. 【請求項8】 線状ポリエステルA、Cがリン元素を
    1.0〜2.0重量%含有し、線状ポリエステルBがリ
    ン元素を0.2重量%未満含有することを特徴とする請
    求項1〜請求項6のいずれかに記載の難燃性静電記録フ
    イルム。
  9. 【請求項9】 線状ポリエステルA、Cの厚さが線状ポ
    リエステルBの厚さの0.01〜3倍でかつ線状ポリエ
    ステルA、Cの厚さが0.5〜200μmであることを
    特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の難燃
    性静電記録フイルム。
  10. 【請求項10】 線状ポリエステルA、Cの厚さが線状
    ポリエステルBの厚さの0.05〜1倍でかつ線状ポリ
    エステルA、Cの厚さが1〜100μmであることを特
    徴とする請求項9に記載の難燃性静電記録フイルム。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1272551B1 (de) * 2000-01-20 2004-03-24 Mitsubishi Polyester Film GmbH Weisse, schwerentflammbare, uv-stabile folie aus einem kristallisierbaren thermoplasten, verfahren zu ihrer herstellung und ihre verwendung

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EP1272551B1 (de) * 2000-01-20 2004-03-24 Mitsubishi Polyester Film GmbH Weisse, schwerentflammbare, uv-stabile folie aus einem kristallisierbaren thermoplasten, verfahren zu ihrer herstellung und ihre verwendung

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