JPH07100810B2 - 含Ni,Cr溶湯の製造方法 - Google Patents

含Ni,Cr溶湯の製造方法

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JPH07100810B2
JPH07100810B2 JP4227789A JP4227789A JPH07100810B2 JP H07100810 B2 JPH07100810 B2 JP H07100810B2 JP 4227789 A JP4227789 A JP 4227789A JP 4227789 A JP4227789 A JP 4227789A JP H07100810 B2 JPH07100810 B2 JP H07100810B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は炭材を燃料または還元材として用い、Ni鉱石
およびCr鉱石等のNi原料を転炉型製錬炉において溶融還
元し、含Ni、Cr溶湯を得る方法に関する。
[従来技術] 従来、ステンレス鋼の溶製は、スクラップ、FeCr、FeNi
等の合金鉄または電解Ni等の原料を電気炉または転炉で
再溶解することにより行われていた。この方法による
と、ステンレス鋼の主要成分であるCr,Niは予め電気炉
等で還元された合金鉄を原料としており、高価な電気エ
ネルギーを使用しているため、経済的な方法ではない。
このような観点からより経済的にステンレス鋼を製造す
る方法として、Ni源としての安価原料の使用例は、FeNi
溶解費の低減を目的とした電気炉におけるFeNi溶湯の直
接使用(鉄と鋼、69(1983)7,p.59)、転炉におけるニ
ッケルマットの溶融還元(特開昭58−104153号公報)、
あるいはニッケル酸化物に炭材を混合、成型したものを
加熱して予備還元し、これを転炉型反応容器に装入して
溶融還元する方法(特開昭60−36613号公報)、さらに
はニッケルオキサイドの利用(特開昭61−291911号公
報)がある。
一方、Cr源としてCr鉱石をを用い、これを転炉またはそ
の他の溶融炉において溶融還元する方法がいくつか提案
されている。例えば、ランスからの酸素上吹きととも
に、底吹き羽口から酸素、横吹き羽口から窒素をそれぞ
れ吹き込む方法、あるいはランスからの酸素上吹きとと
もに、底吹き羽口から酸素、横吹き羽口から酸素または
窒素をそれぞれ吹き込む方法が知られている。例えば、
後者の例としては特開昭61−279608号公報を挙げること
ができる。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、従来の含Ni溶湯の製造法は、いずれもNi
鉱石を直接溶解炉に装入して溶融還元するものではな
い。Ni鉱石は、Ni成分が2〜3%と低く、Ni鉱石重量の
約70%はスラグとなるので、溶融還元においては多量の
スラグを発生する。従って、所定のNi濃度の溶湯を得よ
うとすると、多量のスラグを発生する。例えば、8%含
Ni溶湯を得る場合は溶湯トン(T)当たり2〜3トン
(T)のスラグが発生する。これに伴って、 溶融還元の工程で還元材、または熱源として装入さ
れる炭材と酸素との反応ガスによってスロッピングが発
生し易く、定常的な操業が困難となり、操業が不安定と
なる虞があり、さらには、 スロッピングに伴う設備機器の損傷、 スロッピングに伴うNi歩留まりの低下、 が顕著になる。
こうした問題があるため、従来技術では、Ni源としてNi
鉱石を直接製錬炉に装入せず、何らかの予備処理をして
含有Ni成分の割合を増加させたものを用いている。
一方、Cr鉱石の酸化Crは難溶融性であり、また還元に多
くのエネルギーを要するので、従来の溶融還元法はいず
れも還元速度が小さく、処理に時間がかかるという大き
な問題がある。この背景には以下のような点が挙げられ
る。
従来、炉内におけるCr鉱石の還元はスラグ中でCr鉱
石が溶解した後、炭材のCが作用することにより進行す
るものであって、Cr鉱石の溶融がCr還元の律速であると
考えられ、このため処理時間を短縮するための主要な技
術的関心は、スラグ組成の特定等の点に向けられてい
た。しかし、Cr鉱石は基本的に難溶融性であり、Cr鉱石
の溶融を促進して還元速度を高めることには限界があ
る。
Cr鉱石のスラグ中での溶融速度を上げ、Cr鉱石の還
元処理速度を向上させるため、炉内のCOガスを二次燃焼
させ、その熱を利用するという方法が考えられ、従来で
も炉上部壁から二次燃焼用酸素を吹き込む方法がとられ
ている。しかし従来では、二次燃焼比を上げると排ガス
温度は上昇するものの、排ガス顕熱を効率よく溶湯へ伝
達させる技術がなく、この結果、着熱効率が低下し、高
温排ガスを排出せざるを得ない。そして、このような高
温排ガスは炉内壁耐火物や排ガスフードの耐火物を激し
く損耗させるという大きな問題があり、このため二次燃
焼比はあまり上げられないというのが一般的な考え方で
あった。
上記のように、Ni鉱石とCr鉱石の還元方法が異なる
ので、同一の反応容器を用いてNi,Cr源として、鉱石を
直接還元することは技術的困難が大きく、経済的ではな
いと考えられていた。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、Ni鉱石の
溶融還元において、多量のスラグの発生にも拘らず、安
定した操業を行うことが出来、Ni歩留まりの低下、スロ
ッピングに伴う設備機器の損傷、または耐火材の損耗等
の問題が解消できるNi鉱石の溶融還元法および二次燃焼
比を上げCr鉱石の溶融を促進して還元速度を高める方法
により、同一の反応容器を用いて、経済的な含Ni,Cr溶
湯を得る方法を提供しようとするものである。
[課題を解決するための手段、作用] 本発明による、含Ni,Cr溶湯の製造方法は、脱炭用およ
び2次燃焼用ノズルを有する上吹き酸素ランス、底吹き
羽口および横吹き羽口を備えた製錬炉において、Ni鉱石
を炭材、造滓剤とともに製錬炉に装入し、 前記上吹き酸素ランスから溶湯中へ脱炭用酸素を吹き
込むとともにスラグ中へ2次燃焼用酸素を吹き込む工
程、 前記底吹き羽口からCOガスまたは不活性ガスを吹き込
む工程、 二次燃焼比[(H2O+CO2)/(H2+H2O+CO+CO2)]
を0.3以上に保持する工程、 によりNi鉱石を溶融還元し、含Ni溶湯を得た後、前記製
錬炉にCr原料を炭材、造滓剤とともに製錬炉に装入し、
前記乃至の工程に加えて、 ガス流の少なくとも一部が、底吹きガスによる溶湯隆
起部に当たるように、横吹き羽口からCOガスまたは不活
性ガスを吹き込む工程、 によりCr原料を溶融還元することを特徴とする。
溶湯中の[C]は、脱炭用酸素によってCOガスとなって
脱炭されるが、このCOガスは2次燃焼用酸素によってCO
2ガスとなる。この脱炭および2次燃焼の発熱量が溶融
還元の主たる熱源であるが、撹拌用の底吹きガスの吹き
込みによって、溶湯およびスラグの撹拌が強化され、上
記酸化反応が促進される。こうして製錬炉内の上記二次
燃焼比率を大きくとることが出来、Ni鉱石、Cr鉱石の溶
解速度または還元速度の促進に大きな効果がある。
Ni鉱石の還元溶融においては、2次燃焼比の向上によ
り、製錬炉に投入する炭材の原単位を低減することがで
き、したがってスロッピングの発生要因であるCO、CO2
ガスが低減されるので、スロッピングの発生頻度は顕著
に低減される。また、底吹きガス量を増加させて上記2
次燃焼による発熱量の溶湯への伝達割合、すなわち、着
熱効率を向上させることにより、2次燃焼向上を同様に
スロッピングの発生頻度を低減することができる。
難還元性酸化物であるCr鉱石の溶融還元においては、ス
ラグ層の下部に滞留しているCr鉱石の溶湯中のCによる
還元を促進するため、スラグと溶湯の撹拌をさらに強化
することが効果的である。このため、底吹きガスの吹き
込みに加えて横吹きガスの吹き込みが行われる。なお、
Niの溶融還元においては、横吹きガスの有無によらず、
前述の通り、底吹きガス量の増加によりスロッピングの
低減を図ることができる。
溶湯中のCによる還元作用および上吹き酸素による二次
燃焼が阻害されないようにするため、底吹きガスおよび
横吹きガスはCOガスまたは不活性ガスとし、酸素ガスは
使わない。
本発明は上記の方法に基づいて、同一の製錬炉によりNi
鉱石、Cr鉱石を直接利用して含Ni,Cr溶湯を得ることを
可能ならしめたものである。
[実施例] 添付の図面を参照しながら、本発明の実施例について説
明する。
第1図は本実施例の製錬炉10で、図中、21は上吹き酸素
ランス、22は脱炭用ノズル、23は2次燃焼用ノズル、24
は底吹き羽口、25は横吹き羽口、11はスラグ層、12は溶
湯、26は原料であるNi鉱石、炭材または造滓剤剤を製錬
炉に投入するためのホッパである。
以上のように構成された製錬炉により、Ni鉱石またはCr
鉱石の溶融還元において、高2次燃焼比が得られる作用
について説明する。
溶解の熱エネルギーは炭材の酸素による燃焼、すなわち
C→CO,CO→CO2の反応によって供給される。上吹き酸素
ランス21に設けられた脱炭用ノズル22による酸素(第1
図でDC O2で示す)は主として溶湯中の炭素[C]と反
応してCOとなり、同じく2次燃焼用ノズル23による酸素
(第1図でPC O2で示す)は前記COと反応してCO2とな
る。上記の2つのノズル22、23と設けたことにより、2
次燃焼比率が向上される。
本発明では、2次燃焼を主としてスラグ内に形成させつ
つ、高2次燃焼を実現させるものであり、このように2
次燃焼領域をスラグ内に形成し、高2次燃焼を確保しつ
つ高い着熱効率を得ることができる。したがって、上記
2次燃焼用酸素は主としてスラグ内に2次燃焼領域が形
成されるようにスラグ中に吹き込まれることが必要であ
る。こうすることにより、2次燃料比は0.3以上が確保
され、Ni鉱石還元中のスロッピング低減、およびCr鉱石
の高い還元速度が得られる。
底吹きガスには従来例では酸素ガスを用いている例もあ
るが、本実施例では酸素ガスを使用しない。底吹きガス
に酸素ガスを用いると、溶湯中で大量のCOガスが発生し
て溶湯を強撹拌し過ぎ、溶湯のスプラッシュが2次燃焼
領域(第1図PC O2によるCOの酸化領域)に達し、溶湯
中のCが2次燃焼用酸素PC O2と反応して2次燃焼が阻
害されてしまう。加えて、酸素を使用すると羽口の温度
が上がり過ぎるため冷却ガスを添加する必要があり、こ
の冷却ガスも底吹きガスを量を増大させ、強撹拌による
溶湯スプラッシュの発生を過大に助長することになる。
第2図はN2吹き込みを行う本実施例とN2に代えてO2吹き
込みを行った比較例について、設定2次燃焼比[PC O2/
(DC O2+鉱石中O2)]に対する実際の2次燃焼比 [H2O+CO2)/(H2+H2O+CO+CO2)] の実測値との関係を調べた結果を示すもので、これによ
りO2底吹きにより2次燃焼が阻害されていることが示さ
れている。
なお、撹拌ガスであるCO,N2またはAr等の不活性ガス
は、単独または混合して使用することができる。
以上の高2次燃焼の得られる製錬炉10によるNi鉱石の溶
融還元について説明する。最初に溶銑が装入され、次い
で炭材を装入して上吹き酸素ランス21からの送酸によ
り、溶湯が1500℃程度に昇温された後、Ni鉱石の投入が
開始される。底吹き羽口26および横吹き羽口25からの撹
拌ガスの吹き込みは、溶銑が装入されたときから羽口が
閉塞されないように行われ、必要に応じてその吹き込み
量が増大される。ただし、横吹き羽口25からのガス吹き
込みはNiの溶融還元中においては撹拌用としては積極的
に行う必要はなく、羽口が閉塞されない程度でよい。こ
れは、横吹きガスによる撹拌の効果が顕著に認められな
いためである。
一般的に使用されるNi鉱石に含まれるFe,Niの酸化物は3
0%程度で、その内Ni成分は2〜3%程度である。その
他の70%はスラグ分である。スラグにはNi鉱石の他、造
滓剤が加わって、Ni鉱石重量の約8割がスラグになる。
したがって、Ni成分が8%程度の溶銑を得るには溶湯ト
ン(T)当たり、2〜3トン(T)のスラグが生成す
る。スラグの見掛け密度は、それに含まれるCOまたはCO
2ガスによって1.0乃至1.5程度であるから、その容積は
溶湯に比して約10乃至20倍にも達する。発生するCOまた
はCO2ガス量が多い場合はスロッピングが生じて、安定
な操業が阻害され、操業の中断または設備機器の損傷、
さらにはスロッピングに伴う地金流出によるNi歩留まり
低下の虞がある。
こうした観点から本発明者らはスロッピングの発生要因
について検討した。第3図は製錬炉内の2次燃料比率と
スロッピング発生頻度との関係を示すグラフ図である。
このときの試験条件は、製錬炉の溶湯容量は量は5t、溶
湯中に炭素[c]は1〜2%、送酸量は脱炭用、2次燃
焼用の両方の送酸量の合計で2,500Nm3/Hr、スラグ量は5
Tである。以下、スラグ量を、溶湯1(T)当りの値と
して比スラグ量S(単位はT/HMT)で示す。この図に示
されているように、2次燃焼比率が0.15ではスロッピン
グ頻度が約50%と高くなっており、ランス高さを変えた
り、または2次燃焼用ノズルからの送酸量を相対的に増
加させて、2次燃焼率比率を増加させるとスロッピング
頻度は低減され、2次燃焼比率が0.3以上になるとスロ
ッピングの発生は殆ど認められなくなった。
これは2次燃焼率比が増加すると発生熱量が増加し、こ
れにともなって必要な炭材の装入量が減少し、COガスの
発生が低減されるためである。2次燃焼率比の向上によ
る発熱量の増加は、2次燃焼(CO+O→CO2)による発
生熱量が、脱炭(C+O→CO)による発生熱量の約2.5
倍であることからも容易に理解される。また、第4図に
底吹きガス量とスロッピング頻度との関係を示す。これ
は、底吹きガス量を増加させることにより、前記発熱量
が効率的に溶湯に伝達され、2次燃焼比率向上の効果が
一層発揮されるためである。第4図の試験条件は底吹き
ガス量を変えた他は第3図を得た場合と同様である。
第3図または第4図ののグラフは、上記のように、比ス
ラグ量Sが1T/HMTで行われた試験の結果であるが、この
試験において比スラグ量Sを増加した場合、スロッピン
グの発生が鋼中炭素[C]に関係することが予見された
ので、これについて検討した結果が第5図である。この
第5図は、鋼中炭素[C]と上記比スラグ量Sとの関係
をスロッピングの有無について整理したグラフ図であ
る。このときの2次燃焼率は、0.3以上としてある。図
中、○印はスロッピングがなく、安定な操業が行われた
ことを示し、X印はスロッピングが起こり不安定操業に
なったことを示す。このように、Niの溶融還元におい
て、スロッピングを起こさない安定操業範囲が第5図中
破線で書かれた境界線の右側であることが示される。第
5図のグラフで前記境界線はSと[C](%)]との関
係式、 S(T/HMT)=3[C](%) で表すことができる。したがって、スロッピングの発生
しない、安定操業領域は、 S(T/HMT)≦3[C](%) と書ける。
第6図は以上の結果をふまえて、好ましい操業の実施例
を具体的に示すものである。この実施例においては、2
次燃焼比率は0.3以上、溶湯中の[C]は3〜4%で一
定としてある。
この図は共通の横軸に時間をとり、縦軸には、操業工
程、溶湯の温度、全体の送酸量、,はそれぞれ
Ni鉱石、炭材であるコークスの装入量、スラグ量およ
び溶湯量、および溶湯中のNi成分を示したグラフ図で
ある。ここで、〜は第5図のNo.1〜7に対応する数
字である。
操業工程では最初に3.1Tの溶銑が装入され、続いてNi
鉱石の溶融還元と排滓が3回繰り返される。溶湯の温度
は溶銑の装入後、直ちにコークスの投入,送酸、
が行われて昇温される。Ni鉱石の装入は,溶湯温度が
上昇して1500℃を超えところで行われる。送酸量、Ni
鉱石、およびコークスの装入量のグラフで平坦な部
分は、それぞれ2900Nm3/Hr、120kg/min、50kg/minであ
る。
比スラグ量Sは当然排滓の都度低下されるが、そのピ
ークの値は図中に示されているてある通り、0.8T/HMT〜
1.1T/HMTである。製錬炉内の溶湯量はNi鉱石が溶融還
元されてNiまたはFeが溶湯中に加わり、当初の3.1Tに対
して最終的に5.9Tとなった。また、溶湯中のNi成分
は、1回目の排滓時に4.5%Niの高含Ni溶湯が得られ、
3回のNi鉱石の装入で、溶湯中のNi成分は8.15%であっ
た。
以上のうにNi鉱石の溶融還元が終了した後に行われるCr
鉱石の溶融還元について説明する。前記製錬炉内の溶湯
にCr鉱石、炭材および造滓剤が装入される。本発明はCr
原料としてCr鉱石に限るものではないが、ここではCr鉱
石について説明する。
還元処理中は初期から終期に至るまで上吹き酸素ランス
の脱炭用酸素ノズル、2次燃焼用ノズルからの酸素の吹
き込み及び底吹き羽口24からの撹拌ガス吹き込みはNi鉱
石の溶融還元の場合と同様である。Crの溶融還元中は底
吹24からの撹拌ガス吹き込みに加えて横吹き羽口25から
撹拌ガスが吹き込まれる。
横吹き羽口25からの撹拌ガスは前述の底吹きガスと同様
に酸素ガスは用いない。横吹きガスに酸素ガスを用いる
と、Cr鉱石還元のためにスラグと混合させた溶湯中のC
が酸素ガスと反応してしまい、Cr鉱石の還元を阻害して
しまう。また、底吹き羽口の場合と同様、耐火物損傷の
問題も生じる。
第7図は第1図に示した製錬炉のCr鉱石溶融還元におけ
る模式図である。Cr鉱石中のCr酸化物は難溶融性であ
り、Cr鉱石を溶湯中のCによる還元を積極的に促進させ
るため、底吹き羽口24に加えて横吹き羽口25からの撹拌
ガスにより、スラグ層11の下部でCr鉱石が浮遊する領域
中に溶湯を混合させようとするものである。底吹き羽口
24および横吹き羽口25からのガス吹き込みは、両者の協
同作用により溶湯をスラグ中に混合させ、還元速度を飛
躍的に高める効果をもたらす。すなわち、底吹き羽口24
から撹拌ガスを供給して溶湯面に隆起面(第6図中Aで
示す)を形成し、同時に、横吹き羽口25からガス流の少
なくとも一部が上記溶湯隆起部(A)に当たるようにし
て撹拌ガスを供給するものであり、この横吹きガスによ
り溶湯隆起部(A)の溶湯がスラグ中に飛散することに
なる。スラグの見掛け比重は通常0.3乃至0.5であり、し
たがってスラグ中のCr鉱石は、第7図に示すように殆ど
スラグ層下部に浮遊している。上記のように溶湯隆起部
(A)を横吹きガスで飛散させると、この飛散溶湯は、
第6図からも明らかなようにCr鉱石が存在するスラグ下
部領域に混合され、この溶湯中のCがCr2O3を還元し、
高い還元速度が得られる。
本発明では前述のように2次燃焼比を0.3以上として還
元処理が行われるが、底吹きと横吹きとの協同作用によ
り高い着熱効率が得られ、炭材の原単位を低く抑えるこ
とができる。これにより、溶湯中のP成分の殆どが炭材
により持ちこまれることから、溶湯中のPの低減を図る
ことができる。また、2次燃焼比が高くなると、気化脱
硫現象が活発になり、溶湯中のSあも低減する。このよ
うな観点からも本発明では2次燃焼比は0.3以上とす
る。第8図は本実施例の溶融還元において、炉内2次燃
焼比の変化に対するコークス原単位、溶湯中P成分及び
S成分との関係を示すもので、2次燃焼比を0.3以上と
することにより、コークス原単位が抑えられ、かつ溶湯
中のP,Sも適切に低減している。
第9図はCrの溶融還元の好ましい操業の実施例を具体的
に示すものである。この図は第6図に示したNi鉱石の溶
融還元の操業経過で、排滓の後に続くものでる。共通の
横軸に時間をとり、縦軸には、操業工程、溶湯中の
C,Cr、溶湯の温度、ランスからの送酸量,ランス
高さ、底吹きガス量、横吹きガス量、Cr鉱石の装
入量、コークスの装入量を示したグラフ図である。こ
こで、〜は第8図のNo.1〜9に対応する数字であ
る。
[発明の効果] 本発明によれば、溶銑、Ni鉱石、炭材等の原料が装入さ
れた製錬炉に脱炭用、2次燃焼用の酸素を吹き込み、炉
底から撹拌ガスを吹き込んで2次燃焼比率を0.3以上と
して、Ni鉱石の溶融還元後、Cr原料を装入して横吹き羽
口からのガス吹き込みを加え、強撹拌としたので、Ni鉱
石の溶融還元ではスロッピングが無く、安定操業が行わ
れて、Ni歩留まりは90%以上が確保され、Cr鉱石の溶融
還元においては難溶融性のCr鉱石の溶融還元が効率よく
達成された。
【図面の簡単な説明】
第1図は本実施例の方法に用いた製錬炉の縦断面図、第
2図は設定2次燃焼比と実測2次燃焼比との関係を示す
グラフ図、第3図は製錬炉内の2次燃焼比率とスロッピ
ング発生頻度との関係を示すグラフ図、第4図は底吹き
ガス量とスロッピング発生頻度との関係を示すグラフ
図、第5図は鋼中炭素[C]と比スラグ量との関係をス
ロッピングの有無について整理したグラフ図、第6図は
Ni鉱石の溶融還元時の操業経過を示すグラフ図、第7図
はCr鉱石の溶融還元時の底吹き、横吹きの作用を示す模
式図、第8図はCr鉱石の溶融還元において炉内2次燃焼
比の変化に対するコークス原単位、溶湯中P成分及びS
成分との関係を示すグラフ図、第9図はCr鉱石の溶融還
元時の操業経過を示すグラフ図である。 10……製錬炉、11……スラグ層、12……溶湯、21……上
吹き酸素ランス、22……脱炭用ノズル、23……2次燃焼
用ノズル、24……底吹き羽口、25……横吹き羽口、26…
…ホッパ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高岡 利夫 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 審査官 鈴木 正紀

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】脱炭用および2次燃焼用ノズルを有する上
    吹き酸素ランス、底吹き羽口および横吹き羽口を備えた
    製錬炉において、Ni鉱石を炭材、造滓剤とともに製錬炉
    に装入し、 前記上吹き酸素ランスから溶湯中へ脱炭用酸素を吹き
    込むとともにスラグ中へ2次燃焼用酸素を吹き込む工
    程、 前記底吹き羽口からCOガスまたは不活性ガスを吹き込
    む工程、 二次燃焼比[(H2O+CO2)/(H2+H2O+CO+CO2)]
    を0.3以上に保持する工程、 によりNi鉱石を溶融還元し、含Ni溶湯を得た後、前記製
    錬炉にCr原料を炭材、造滓剤とともに製錬炉に装入し、
    前記乃至の工程に加えて、 ガス流の少なくとも一部が、底吹きガスによる溶湯隆
    起部に当たるように、横吹き羽口からCOガスまたは不活
    性ガスを吹き込む工程、 によりCr原料を溶融還元することを特徴とする含Ni,Cr
    溶湯の製造方法。
  2. 【請求項2】Ni鉱石を溶融還元するとき、溶湯中の炭素
    含有量[C](%)と、溶湯トン(HMT)当たり発生す
    るスラグ量Sトン(T)との関係を S(T/HMT)≦3[C](%) とすることを特徴とする請求項1の含Ni,Cr溶湯の製造
    方法。
  3. 【請求項3】溶融還元中、先端が操業中のスラグ層中に
    位置した上吹き酸素ランスにより、脱炭用酸素および二
    次燃焼用酸素を吹き込むことを特徴とする請求項1記載
    の含Ni,Cr溶湯の製造方法。
JP4227789A 1988-02-21 1989-02-21 含Ni,Cr溶湯の製造方法 Expired - Lifetime JPH07100810B2 (ja)

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