JPH0699141B2 - 繊維状ケイ酸カルシウム水和物及びケイ酸カルシウム系成形体の製造方法 - Google Patents

繊維状ケイ酸カルシウム水和物及びケイ酸カルシウム系成形体の製造方法

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JPH0699141B2
JPH0699141B2 JP2026936A JP2693690A JPH0699141B2 JP H0699141 B2 JPH0699141 B2 JP H0699141B2 JP 2026936 A JP2026936 A JP 2026936A JP 2693690 A JP2693690 A JP 2693690A JP H0699141 B2 JPH0699141 B2 JP H0699141B2
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calcium silicate
silicate hydrate
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hydrate
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憲弘 井上
尚道 原
弘昭 野間
英夫 山田
和彦 陣内
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工業技術院長
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は各種の建材,保温断熱材,耐火被覆材等のバイ
ンダー又はマトリックスとして活用出来る繊維状ケイ酸
カルシウム水和物の一つであるトリカルシウムシリケー
トハイドレートを、純粋かつ効率よく合成する方法及び
このトリカルシウムシリケートハイドレートから上記建
材等として活用出来る曲げ強度に優れたケイ酸カルシウ
ム系成形体を製造する方法に関するものである。
〈従来の技術〉 従来からケイ砂やケイソウ土等のケイ酸質原料と、消石
灰やセメント等の石灰原料とをCaO/SiO2モル比で0.6〜
1.1になる様に配合し、それに適量の無機繊維や有機繊
維の補強繊維を加えて水でスラリー化した後、これを抄
造あるいは加圧等により所望形状に脱水成形し、常温あ
るいは加熱養生工程を経て硬化させることによりケイ酸
カルシウム系建材を製造する方法が知られている。
〈発明が解決しようとする課題〉 上記従来法で得られるケイ酸カルシウム系建材は、曲げ
強度が小さいという本質的欠点がある上、近年の石綿公
害の問題が起きて以来、石綿に代わる優れた繊維状無機
化合物の出現が要望されている。現在知られている25種
類のケイ酸カルシウム水和物の中、特に長い繊維状結晶
を有し、その伸長化の可能性があるトリカルシウムシリ
ケートハイドレート[Ca6(Si2O7)(OH)6]についてはそ
の利用法は殆ど取り上げられていない。トリカルシウム
シリケートハイドレートはこれまで天然鉱物としては発
見されておらず、1933年に初めて合成された。このトリ
カルシウムシリケートハイドレートは200〜350℃の飽和
蒸気圧下で再現性よく合成されるが、純粋な物は得られ
ず、250℃以下ではα−C2SHとの混合物に、又250℃以上
ではカルシオーコンドロダイトとの混合物として生成す
る。以上の様にトリカルシウムシリケートハイドレート
の合成例はあるが、トリカルシウムシリケートハイドレ
ートを純粋にしかも効率よく合成することは出来なかっ
た。
本発明は、上述の如く他のケイ酸カルシウム水和物と混
在してしか合成する事が出来なかったトリカルシウムシ
リケートハイドレートを純粋にかつ効率よく合成すると
共に、該トリカルシウムシリケートハイドレートから曲
げ強度に富むケイ酸カルシウム系成形体を製造する方法
を提供することを目的とするものである。
〈課題を解決するための手段〉 本発明の上記目的は次の如き手段を採用する事により達
成出来る。即ち、粉砕により得られたブレーン比表面積
が1000〜4000cm2/gの石英、あるいは分級により得られ
た37μm程度の粗い粒度の石英と、石灰の混合物に水を
加え、加熱反応させて繊維状ケイ酸カルシウム水和物の
一つであるトリカルシウムシリケートハイドレートを合
成する繊維状ケイ酸カルシウム水和物の製造方法、並び
にこの様にして得られたトリカルシウムシリケートハイ
ドレートを所望の形状に成形し、該成形体を乾燥あるい
は飽和水蒸気圧下に於いて養生することにより硬化させ
るケイ酸カルシウム系成形体の製造方法によって可能で
ある。
ここで石英のブレーン比表面積を1000〜4000cm2/g、あ
るいは37μm程度の粗い粒度とする理由は、反応速度を
遅らせ、反応初期に短い結晶を有するヒレブランダイト
やゾノトライトの生成を抑制させ長繊維状結晶を有する
トリカルシウムシリケートハイドレートのみの生成を促
進させるためである。
なお本発明で用いるケイ酸質原料は、非晶質及びガラス
質のものでは好ましくなく、これらを用いると単味で純
粋なトリカルシウムシリケートハイドレートは合成出来
ず、他のケイ酸カルシウム水和物との混合物として生成
される。純粋でかつ効率よくトリカルシウムシリケート
ハイドレートを合成する為の条件としては、石英と石灰
原料とを出発CaO/SiO2モル比で3.0〜4.0に配合、水/固
体重量比20〜80としてスラリー状になし、攪拌式オート
クレーブで260°〜350℃の温度で加熱攪拌してゲル化し
乍ら数時間おき、以後生成したトリカルシウムシリケー
トハイドレートの繊維状結晶を更に伸長化させる為に攪
拌をやめ、その後所定時間静置させる事が望ましい。な
お上記オートクレーブ中での攪拌速度は200〜400r.p.m.
が適している。この様にして得られた100〜200μm程度
のトリカルシウムシリケートハイドレートは、その後吸
引ろ過器構造を有する成形型枠に流し込み、吸引ろ過脱
水し乍ら成形し、該成形体は乾燥あるいは飽和蒸気圧下
に於いて養生することにより硬化させるのである。
〈実施例〉 以下本発明をその実施例及び比較例を示し乍ら更に詳述
する。
実施例1 出発原料としてブレーン比表面積が3190cm2/gに粉砕し
た石英(SiO298.13%)と、アルカリ分析用沈降製炭酸
カルシウムを1100℃で4時間仮焼して得た生石灰を用い
出発CaO/SiO2モル比で3.0に配合し、十分混合したもの
に水/固体重量比で25倍量の水を加えてスラリー状にな
し、攪拌式オートクレーブに仕込み、飽和蒸気圧下260
℃で4日間水熱反応を行った。なお昇温時最初の16時間
だけ、スラリーの分離を防ぐ為攪拌速度400r.p.m.で攪
拌し、以後は静置した。その結果幅0.2〜0.3μm,長さ10
0〜150μm程度の長繊維状結晶であるトリカルシウムシ
リケートハイドレートが純粋に合成された。得られた製
品のX線回折図を第1図に示す。
実施例2 実施例1と同一の原料及び出発CaO/SiO2モル比で水/固
体重量比を30倍とし、攪拌式オートクレーブ中飽和水蒸
気圧下350℃で4日間水熱反応を行った。攪拌は実施例
1と同様に攪拌速度400r.p.m.で昇温時最初の16時間だ
け行った。その結果幅0.2〜0.3μm,長さ170μm程度の
長繊維状結晶であるトリカルシウムシリケートハイドレ
ートが純粋に合成された。
実施例3 出発原料として37μm程度の石英(SiO299.77%)と、
アルカリ分析用沈降製炭酸カルシウムを1100℃で4時間
仮焼して得た生石灰を用い、出発CaO/SiO2モル比で3.0
に配合し、十分に混合したものに水/固体重量比で40倍
量の水を加えてスラリー状になし、攪拌式オートクレー
ブに仕込み、飽和蒸気圧下260℃で7日間水熱反応を行
った。なお攪拌は攪拌速度200r.p.m.で昇温時最初の16
時間だけ行い、以後は静置した。その結果幅0.3〜0.4μ
m,平均長さ500〜700μm,最大長さ1mmの長繊維状結晶で
あるトリカルシウムシリケートハイドレートが純粋に合
成された。
比較例1 非晶質の工業副産シリカ(SiO297.3%)を出発原料に用
い、実施例1と同様の方法で水熱反応を行ったところ細
い繊維状結晶のトリカルシウムシリケートハイドレート
も合成出来たが、長さ約20μmのヒレブランダイト〔Ca
2(SiO3)(OH)2〕及びゾノライト〔Ca6Si6O17(OH)2〕等の
結晶も共生した。そのX線回折図を第2図に示す。
比較例2 非晶質の工業副産シリカ(SiO288.52%)を出発原料に
用い、実施例3と同様の方法で水熱反応を行ったとこ
ろ、主として約20μmの結晶長を有するヒレブランダイ
トが生成しており、トリカルシウムシリケートハイドレ
ートの生成は少量であった。
比較例3 出発原料として10μm以下の石英(SiO299.77%)を用
い、実施例1と同様の方法で水熱反応を行ったところ、
幅0.2〜0.3μm,長さ20〜50μm程度のトリカルシウムシ
リケートハイドレートも合成出来たが、ヒレブランダイ
トの生成が主であった。
実施例4 上記実施例1で得られたトリカルシウムシリケートハイ
ドレートのスラリーを吸引ろ過脱水し乍ら、加圧力100k
g/cm2で成形し、その成形体を60℃で15時間乾燥したと
ころ、かさ比重0.90,曲げ強度45kg/cm2の成形体が得ら
れた。
実施例5 上記実施例3で得られたトリカルシウムシリケートハイ
ドレートのスラリーを吸引ろ過脱水し乍ら、加圧力100k
g/cm2で成形し、その成形体を180℃で24時間オートクレ
ーブ養生したところ、かさ比重0.01,曲げ強度80kg/cm2
の成形体が得られた。
比較例4 下記第1表に主なケイ酸カルシウム系成形体の平均的な
機械的強度を示す。
〈発明の効果〉 以上述べて来た如く、本発明によれば純粋なトリカルシ
ウムシリケートハイドレートを効率よく合成することが
出来、しかも得られたトリカルシウムシリケートハイド
レートは大きなアスペクト比を示すので建材分野のみな
らずフィルター材その他多くの用途に活用出来るもので
ある。また本発明のトリカルシウムシリケートハイドレ
ートから成る成形体は曲げ強度が大であるという特長を
有するので軽量建材はじめ多孔質材料としての多くの分
野に応用できるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図はそれぞれ実施例1及び比較例1で得
られた反応生成物のX線回折図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 英夫 佐賀県鳥栖市宿町字野々下807番地1 九 州工業技術試験所内 (72)発明者 陣内 和彦 佐賀県鳥栖市宿町字野々下807番地1 九 州工業技術試験所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粉砕により得られた、ブレーン比表面積が
    1000〜4000cm2/gの石英、あるいは分級により得られた3
    7μm程度の粗い粒度の石英と、石灰の混合物に水を加
    え、加熱反応させて繊維状ケイ酸カルシウム水和物の一
    つであるトリカルシウムシリケートハイドレートを合成
    することを特徴とした繊維状ケイ酸カルシウム水和物の
    製造方法
  2. 【請求項2】粉砕により得られた、ブレーン比表面積が
    1000〜4000cm2/gの石英、あるいは分級により得られた3
    7μm程度の粗い粒度の石英と、石灰の混合物に水を加
    え、加熱反応させて繊維状ケイ酸カルシウム水和物の一
    つであるトリカルシウムシリケートハイドレートを合成
    した後、所望の形状に成形し、該成形体を乾燥あるいは
    飽和水蒸気圧下に於いて養生することにより硬化させる
    ことを特徴とするケイ酸カルシウム系成形体の製造方
    法。
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