JPH069847Y2 - ダブルリンク式サスペンション装置 - Google Patents

ダブルリンク式サスペンション装置

Info

Publication number
JPH069847Y2
JPH069847Y2 JP15981287U JP15981287U JPH069847Y2 JP H069847 Y2 JPH069847 Y2 JP H069847Y2 JP 15981287 U JP15981287 U JP 15981287U JP 15981287 U JP15981287 U JP 15981287U JP H069847 Y2 JPH069847 Y2 JP H069847Y2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wheel
extension member
knuckle
stabilizer
vehicle body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP15981287U
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0163506U (ja
Inventor
拓也 村上
洋一郎 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP15981287U priority Critical patent/JPH069847Y2/ja
Priority to US07/259,193 priority patent/US4883287A/en
Priority to EP88117352A priority patent/EP0312997B1/en
Priority to DE88117352T priority patent/DE3886340T2/de
Publication of JPH0163506U publication Critical patent/JPH0163506U/ja
Application granted granted Critical
Publication of JPH069847Y2 publication Critical patent/JPH069847Y2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、ダブルリンク式サスペンション装置に関
し、特にアッパ及びロアの2つのサスペンションアーム
を備えたダブルウィッシュボーン式サスペンション装置
に関する。
〔従来の技術〕
従来のダブルリンク式サスペンション装置としては、例
えば、特開昭59−96007号公報に記載されるもの
(第1従来例)や、特開昭60−135314号公報に
記載されるもの(第2従来例)がある。即ち、第1従来
例のサスペンション装置は、ナックルの上部を車輪上方
に至るまで延長して、その上端と車体との間にアッパア
ームを介在させると共に、ナックルの下部と車体との間
にロアアームを介在させる構成となっている。また第2
従来例のサスペンション装置は、アッパアームを長くす
るとともに、キングピン軸をアッパアームには係わりな
く設定する構成となっている。さらに昭和59年6月8
日トヨタ自動車株式会社発行の「トヨタMR2修理書」
第5−21頁に記載されるサスペンション装置(第3従
来例)は、ダブルリンク式サスペンションではないが、
スタビライザの端部が、ナックルに下端が固定されるス
トラットに取付けられて、車輪の上下動に伴いストラッ
トを介してスタビライザに捩じりが加えられるようにな
っている。
〔考案が解決しようとする問題点〕
ところで、ダブルリンク式サスペンションのアッパアー
ムは、ロアアームも同様であるが、サスペンションジオ
メトリを好適に設定するために、あまり短くすることは
できず所定の長さを確保する必要があり、またサスペン
ションの構造自体からもたらされる操舵に必要な力は、
最大操舵角内のいずれの角度においても常に等しいこと
が望まれる。
そこで、前記従来の技術について検討すると、第1従来
例の場合は、アッパアームの内端が車体に支持され且つ
外端にナックルの上端が連結されているため、前記理由
で短くするさことができないアッパアームであるから、
その長さに対応してホィールハウスがエンジンルーム側
に広がっている。またナックルの上部がタイヤ上方にま
で延び且つこれと平行するようにショックアブソーバが
その内側に配置されている。このような2つの理由か
ら、第1従来例の技術にあってはホィールハウスの幅が
大になって、その結果エンジンルームの幅が小さくなる
ことが余儀なくされるという問題点がある。特に、第1
従来例においては、ナックルの上部とショックアブソー
バが平行するように配置されているが、一方のナックル
は操舵時に車輪とともに旋回するものであるから、この
旋回時にショックアブソーバと干渉しないように両者間
は充分な間隙を必要とする。このため、この従来例にあ
ってはホィールハウスの幅がとりわけ大になる。またこ
の第1従来例の場合には、操舵時にナックルが車輪とと
もに旋回するため、ナックルの上端とアッパアームの連
結は、連結部材としては高さ寸法の大なボールジョイン
トによって連結される構造となっていたから、その分ホ
ィールハウスの高さを大きくすることが余儀なくされる
という問題点もある。
また第2実施例にあっては、アッパアームとロアアーム
との間隔が小さいから、サスペンション構成部材の組付
誤差によるキャンバ角やキャスタ角の変化が大きく表
れ、かかるキャンバ角やキャスタ角は、両アームの上下
揺動によっても大きく変化するため操縦安定性が充分で
はないという問題点がある。
さらに第3従来例にあっては、操舵に伴って旋回する、
ストラットにおけるショックアブソーバのチューブに、
スタビライザの端部が取付けられる構造となっているた
め、操舵時にスタビライザ取付け部が振れ回ることにな
って、スタビライザの弾性が操舵角の変化に対応して操
舵力に変動を与えるという問題点があり、一方この振れ
回りを防止するためにはスタビライザ端部と前記ストラ
ットとの間にピローボール構造等の、振れ回り吸収構造
を介在させる必要が生じて、構造の複雑化とコスト高を
招くという問題点があった。
またさらに、車両の旋回時においては、車体にロールが
発生して車体の外輪側が沈み込み、内輪側が浮き上がる
ようになり、かかる変化に基づいて外輪の対地キャンバ
角がポジティブ方向に大きくなり車輪の接地面積が減少
して、車輪のグリップ力が低下し操舵安定性が損なわれ
るという問題点もあった。
この考案は、このような従来技術の問題点に着目してな
されたものであって、キングピン軸の設定とキャンバ角
の設定との要素を分離することにより、アッパアームの
外端位置設定の自由度を高めて、ホィールアライメント
を好適に設定しつつ、ホィールハウスの幅や高さを可及
的に小さくしてその内側のエンジンルーム等の幅を拡大
することを可能にし、操舵角度の変化に伴う操舵力の変
動を防止し、さらに旋回時における車輪のグリップ力の
低下を防止することを目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
この考案は、車輪を支持するナックルの下部と車体側と
の間をロアアームで揺同可能に結合し、上方へ延びる延
長部材を、ナックルとロアアームとの前記結合部を通る
線を回転中心として回転自在に前記ナックルの上部に連
結し、前記延長部材の上部と車体側との間をアッパアー
ムで揺動可能に結合するとともに、スタビライザの端部
を、前記延長部材の、前記車輪の中心よりも後方側の位
置に取付けてなる。
〔作用〕
キングピン軸を、ナックルと延長部材との結合部及びナ
ックルとロアアームとの結合部の両結合部を通した線と
して、キングピン軸をアッパアームとは無縁とし、且つ
操舵時に車輪とともに旋回する部材を前記両結合部間と
いう車輪に近い部分に限定した。このため、操舵時に生
じる部材間の干渉、特に延長部材とショックアブソーバ
との干渉を押さえることができる。このように延長部材
は操舵により旋回しない構成になるため、これにスタビ
ライザの端部を取付けても、操舵によってはスタビライ
ザの端部が移動することがなくなり、スタビライザによ
る車体姿勢の安定機能と操舵機能とを完全に分離できる
ことになった。また、延長部材とショックアブソーバと
の不干渉によって、ショックアブソーバと車輪との間に
必要なスペースは小さくすることができるから、ホィー
ルハウスの幅をより狭くすることができ、エンジンルー
ムの幅を拡大することが可能となる。
また、車輪の上下動に伴う対車体キャンバ角の変化は、
アッパ及びロアの両アームにより決定されるが、アッパ
アームは前記の通りキングピン軸の設定に無縁となった
ため長くすることができ、且つ延長部材によってロアア
ームとの上下間隔を拡大できるから、車輪の上下動に起
因する対車体キャンバ角の変化を小さく押さえることが
できる等、ホィールアライメントを好適に設定すること
ができる。
また、前記スタビライザを、車輪と共に上下動する延長
部材に取付けたから、車輪の上下動を的確に一対一の割
合でスタビライザに伝えることができ、さらに、延長部
材におけるスタビライザの取付け位置を車輪の中心より
も後方側とし且つその延長部材下端部にはキングピン角
を決めるナックルの上端が連結されているため、旋回に
よるロール発生時におけるスタビライザの反力は、キャ
スタ角を増大させる方向に働くようになる。すると、車
重の大部分がかかっている外輪は、転舵角が増大するに
従いキャンバ角がネガティブ方向に増大するようになる
ため、外輪の接地面積が減少しにくくなり、グリップ力
の低減を防止することができる。
〔実施例〕
第1〜5図は、本考案の第1実施例であり、第1図は本
考案を実施したサスペンション装置の正面図、第2図は
その側面図である。
この実施例はウィッシュボーン式フロントサスペンショ
ン装置であり、1は車輪、2はブレーキディスク、3は
ナックルである。ナックル3は車輪1を回転自在に支持
していて、その下部3bはボールジョイント6を介して
ロアアーム7に結合され、ロアアーム7の内端はゴムブ
ッシュ8を介して車体9のブラケットに結合される。
ナックル3の上部3aは、第2図に示すように延長部材
4の下端に、ホィールセンタWCより後方側で回動結合
機構10を介して結合され、延長部材4の上端はアッパ
アーム5に揺動可能に結合される。回動結合機構10
は、延長部材4下端に固定され且つ二つの転がり軸受1
0c,10dが、その外輪において内嵌された軸筒10
aと、ナックル3上部3aに圧入され、筒軸10aに下
側から挿入されて連結ブラケット10a内に転がり軸受
10c,10dの内輪に支持される枢軸10bとを備え
ている。なお、枢軸10bの中心軸線が後述のキングピ
ン軸11に一致している。かくして、ナックル3は、ナ
ックル3の上部3aと延長部材4との結合部と、ナック
ル3の下部3aと延長部材4との結合部と、ナックル3
の下部3bとロアアーム7との結合部(ボールジョイン
ト6の回転中心)との、両結合部を通る軸線(すなわち
キングピン軸11)まわりに回動可能となる。
延長部材4は、上方に延びるに従って車輪1の上方部分
を迂回するように車体外側にカーブしており、その上端
は、車輪1の上側に位置し、アッパアーム5の外端に結
合される。この結合は、第5図に示すように、アッパア
ーム5外端に固定されたゴムブッシュ12を、その端面
及び車輪側の面において延長部材4が覆うとともに、延
長部材4とゴムブッシュ12の中心とに取付けボルト4
aを貫通させて行われる。ゴムブッシュ12は、第5図
に示すように、取付けボルト4aが貫通される内筒12
aと、アッパアーム5に固定される外筒12bと、両者
12a,12b間に加硫接着された筒状ゴム12cとに
より構成される。かくして、延長部材4とアッパアーム
5とは、ゴムブッシュ12における筒状ゴム12cの捩
れにより揺動可能となる。アッパアーム5の内端は車体
9のブラケットに対してゴムブッシュ13を介して揺動
可能に結合される。アッパアーム5と延長部材4との結
合は、延長部材4がアッパアーム5に対して揺動のみの
運動をするため、結合部材としては高さ寸法の小さいゴ
ムブッシュ12による結合で足りる。
また、車体9と延長部材4の下部の間には、該延長部材
4の前側にこれと略並行してショックアブソーバ14b
が上下方向に架設されている。ショックアブソーバ14
bのシリンダチューブの下端は、特に第3図に示すよう
に、前記延長部材4の下端の両側壁を貫通して取付けら
れた枢軸4cの延長部材4から前方に突出する突出部に
カラー14d及びゴムブッシュ14eを介して連結さ
れ、シリンダチューブから突出したビストンロッドの上
端部は車体9にマウントラバー14aを介して連結され
る。またショックアブソーバ14bの外周にはコイルス
プリング14cが同軸に配置されている。このように、
ショックアブソーバ14bを延長部材4の前方位置に配
置することにより、ショックアブソーバ14bに対する
風当たりを良好して冷却効果を大きくすることができ
る。
また、第2図に示すように、車輪の中心、いわゆるホィ
ールセンタWCよりも後方になるように延長部材4の内
部で、前記枢軸4cよりも高い位置に、スタビライザ2
1のコントロッド22が取付けられている。ここで、コ
ンロッド22は、その上下両端部にボールジョイント2
3,24のソケット25,26が取付けられ、上端のソ
ケット25に支持されたボールスタッド27が延長部材
4の側壁に内側から挿入されてナット締めされ、下端の
ソケット26に支持されたボールスタッド28にスタビ
ライザ21の端部が固定されている。なお、18は車輪
である。
而して、この実施例においては、車輪1の幅方向中心線
19とキングピン軸11とが車輪1の接地面20上方に
おいて交叉しており、接地面20とキングピン軸11と
の交点を車輪1の幅方向中心線19より車両外側へ位置
させて、ネガティブスクラブとしているが、キングピン
軸11の設定は前記ナックル3と延長部材4との結合部
10(具体的にはボルト10bの軸線),そしてナック
ル3とロアアーム7との結合部(ボールジョイント6の
回転中心)の両結合部位置によってなされるものである
から、スクラブをネガティブ,ポジティブ又はゼロに設
定することに関しては、アッパアーム5にはかかわりが
ない。従ってアッパアーム5と延長部材4との連結部分
は、キングピン軸11に拘束されることなく配置できる
ため、この実施例では該連結部分を車輪1の上側に配置
して車両外側へ寄せこれらを車両幅方向へオーバラップ
させることによって、最適なホィールアライメントを得
ることができるアッパアーム5の長さを確保しつつアッ
パアーム5の車体側連結点も車両の幅方向外側近くに位
置づけている。このことが、ホィールハウスの幅を狭く
してその内側のエンジンルーム等の幅を拡げ得ることの
1つの理由になっている。
かくして、アッパアーム5の長さを確保することができ
てロアアーム7との長さの差を小さくすることにより最
適なホイールアライメントを得ることができるし、両ア
ーム5,7の上下方向の間隔を拡大し得たから、サスペ
ンション構成部材の組付誤差によるキャンバ角やキャス
タ角の変化を小さくすることができるとともに、車輪1
の上下動時における対車体キャンバ角の変化が発生しに
くくなり、且つこのキャンバ角の変化に対する両アーム
5,7の剛性は、これらの間隔の自乗に比例して大にな
るから、これらの剛性は大となって、キャンバ角変化の
限界性能が向上する。
また、車体重量はマウントラバー14aとコイルスプリ
ング14cとショックアブソーバ14bのチューブと、
延長部材4の下部と、ナックル3の上部3aとを介して
車輪1に支持され、車輪1の上下動はショックアブソー
バ14bの伸縮によって減衰されるとともに、コイルス
プリング14cの撓みによって吸収される。
ここで、車輪1の上下動時には、これと一体にナックル
3と延長部材4とが上下動をしてロアアーム7とアッパ
アーム5とが上下に揺動し、これに伴って、前記ショッ
クアブソーバ14bとコイルスプリング14cとが伸縮
するが、いずれも上下方向の運動であるため、ナックル
3の上部3a及び延長部材4と、ショックアブソーバ1
4b及びコイルスプリング14cとの干渉は発生しな
い。
また、図示しないステアリングリンケージからナックル
アームを介してナックル3に操舵力が入ると、ナックル
3にキングピン軸11を中心とする回転が発生して車輪
1は転舵される。このときキングピン軸11を中心とし
て回転するのはナックル3と車輪1と車軸18であっ
て、ナックル3は連結部10の一部であるボルト10b
を中心として回転自在になっているから、延長部材4は
回転しない。その結果、延長部材4には車輪1と一体を
なす前記上下動のみが発生して、アッパアーム5との相
対運動は揺動のみとなるから、延長部材4とアッパアー
ム5との結合にボールジョイントを用いる必要がなく、
ゴムブッシュ12で足りる。そして、ゴムブッシュ12
はボールジョイントよりも高さ寸法が小さい(ダブルウ
ィッシュボーン式サスペンションのアームに通常使用さ
れるボールジョイントとゴムブッシュとでは、ゴムブッ
シュが大体40mm小さい。)から、ホィールハウスの高
さを小さくすることができる。このことは、エンジンル
ームのフードを低くできることにもなる。
また、前記の通り操舵時に延長部材4に回転が発生する
ことがないから、延長部材4に端部が取付けられたスタ
ビライザ21へは、操舵に起因する入力がない。従って
スタビライザ21の端部に振れ回りを生じることがない
から、スタビライザ21による車体姿勢の安定機能と、
前記操舵機能とを完全に分離できることになった。この
ため、操舵時にスタビライザ21の端部の振れ回りに起
因する操舵力変動を生じるころがない。
一方、車両の旋回時における車両の変化について第6図
を伴って説明する。第6図(a)は左旋回時における車両
の背面を概念的に示した説明図であり、旋回中心に対し
て外側の車輪を外輪1a、内側の車輪を内輪1bとす
る。車両のロール時には車重の大部分は外輪にかかるた
め、外輪のグリップ力が旋回時の車両の操縦安定性に多
大な影響を与えるのであるが、ロール時の外輪1aは、
通常は車体30に対して上昇するように働くから、その
対地キャンバ角がポジィティブ方向に増大して車輪の接
地面積が減少し、グリップ力が低下してしまう。これを
防止するには、旋回時の外輪1aのキャンバ角をネガテ
ィブ方向に増大させる必要がある。
そこで、本実施例では、前記スタビライザ21を、車輪
と共に上下動する延長部材4に取付けたから、車輪の上
下動を的確に一対一の割合でスタビライザ21に伝える
ことができ、しかも延長部材4におけるスタビライザ2
1の取付け位置を第2図に示すようにホィールセンタW
Cよりも後方にし、且つ延長部材4の下端部にはキング
ピン角を決めるナックルの上端が連結されているため、
第6図(b)(図中、左側を前方とする。)に示すよう
に、スタビライザ21のロール剛性による反力Fsはキ
ャスタ角θcを増大させる方向に働く。従って、車両の
ロール時における外輪の対地キャンバ角γはネガティブ
方向に増大することになり、外輪の接地面積が減少しに
くくなって、グリップ力の低下を防止することができ、
車両の操縦安定性は向上する。
すなわち、車輪の転舵角をθ、キャスタ角をθc、キン
グピン角をθkとすると、車輪の対地キャンバ角γは、 γ=θc×sinθ+θk×(1ーcosθ)……(1) で表すことができ、この(1)式に基づいてキングピン角
θkを13°とし、キャスタ角θcを10°及び5°に
設定したときの転舵角θに対する対地キャンバ角γの関
係を示すと、第7図の曲線L1及びL2のようになる。
この第7図から明らかなように、転舵がマイナスとなる
外輪は転舵角θが大きくなるにつれて曲線L1の方が対
地キャンバ角γがネガティブ方向に増大する傾向とな
る。したはって、キャスタ角を増大させることが旋回時
の外輪のキャンバ角をネガティブ方向に増大させるため
に有効であることがわかる。
また、前記スタビライザ21の取付け位置を、ホィール
センタよりも後方にするとともに、車体中心寄りとすれ
ば、さらに旋回時の外輪のキャンバ角がよりネガティブ
方向に増大し、充分なグリップ力を確保でき、車両の安
定性はより向上する。
さらにまた、車両の発進時及び制動時に車体と車輪1と
の間に発生する前後方向の相対移動力は、アッパアーム
5にはキングピン軸11の延長線上である、アッパアー
ム5の中途の点Pに入力されることになるため、この入
力がアッパアーム5の先端である場合と比較して車体に
近い位置となり、従って前記入力に起因するアッパアー
ム5の車体取付部への負荷が小さくなる。このため、車
体取付部の軽量化、ゴムブッシュ13の小型化及びソフ
ト化が可能になる。ゴムブッシュ13のソフト化が可能
になることは、車輪1側からの振動入力に対する吸収力
が増大することを意味し、その結果、車体の振動やこれ
に起因するこもり音を低減することができる。
なお、この実施例においては、ショックアブソーバ14
bの下端をナックル3の上部3aに連結する構成をとっ
ていて、ロアアーム7には車体重量を支持させていない
ため、ロアアーム7やゴムブッシュ8の剛性を小さくす
ることができるし、場合によってはショックアブソーバ
14bの下端をロアアーム7に支持することもできる。
また、延長部材4とアッパアーム5との結合部分は、車
輪1の上部に位置するため、飛び石等の外的付加により
損傷しやすいが、この実施例では、延長部材4の上端が
アッパアーム5の外端を覆うような構成としたため、そ
のような外的付加から揺動部分等を保護することができ
る。
第8図乃至第10図は、この考案の第2実施例を示すも
のであって、この実施例では、FF(フロントエンジン
・フロントドライブ)又は4WD(四輪駆動)の駆動形
式を持つ自動車のフロントサスペンションが示される。
なお、前記第1実施例と同様の部材については、同一の
符号を付してその説明を省略する。
第8図に示す16はドライブシャフトであり、これは等
速ジョイント17を介して車軸18に結合している。そ
して、この実施例では、ショックアブソーバ14bのシ
リンダチューブの下端は、第9図に示すように、前記延
長部材4の下端内部に橋架された枢軸4cにゴムブッシ
ュ14eを介して連結されていて、ショックアブソーバ
14bのシリンダチューブ外側とコイルスプリング14
c下半部の外側が延長部材4で覆われている。即ち、延
長部材4は第9図に示すようにプレス成形された板材か
らなりコ字状の開断面をなし、その内部にショックアブ
ソーバ14b等の前記部分を抱き込むようにしていて、
ショックアブソーバ14bとコイルスプリング14cの
周囲の大体半分を覆っている。延長部材4の前記断面形
状によって延長部材4自体の強度が確保され、且つショ
ックアブソーバ14bを内装することによってこれと車
輪1との間隙を狭くして、ホィールハウス内に示すスペ
ースを小さくしてエンジンルームを広げることを可能と
している。
この場合、ショックアブソーバ14bのチューブやコイ
ルスプリング14c下方が延長部材4により覆われてい
るので、飛石等によりショックアブソーバ14bやコイ
ルスプリング14cが損傷する恐れもない。
また、前記延長部材4の下端部は、前記第1実施例と同
様に、ホィールセンタWCより後方側とされ、この下端
部にスタビライザ21が取付けられている。即ち、第1
0図に示すように、延長部材4の下端部に車体中心寄り
に位置する開口部を塞ぐように取付け板4bが設けられ
ていて、この取付け板4bの後方側には、コンロッド2
2と取付けブラケット40とを介してスタビライザ21
が取付けられている。取付けブラケット40は、取付け
板4bに溶接又はボルト締め等の公知の手段によって固
着されている。取付けブラケット40とコンロッド22
との間、及びコンロッド22とスタビライザ21との間
には、コンロッド22の軸方向への緩衝機能を有する緩
衝ゴム41が介在されている。42は、上下の緩衝ゴム
41の組の間隙を確保するスペーサである。なお、この
スタビライザ21の延長部材4への取付けには、前記第
1実施例と同様にボールジョイントを利用することもで
きる。
この実施例においても、スタビライザ21の取付け位置
が車輪と一体となって上下動する延長部材4の、ホィー
ルセンタよりも後方側にしたため、前記第1実施例と同
様の効果があり、さらに、その取付け位置を車体の効果
があり、さらに、その取付け位置を車体中心寄りとした
から、ロール時における車輪のキャンバ角をよりネガテ
ィブ方向に増大させることができる。そのため、車輪の
接地面積がさらに増大して操縦安定性を向上させること
ができる。
その他の構成及び作用は、前記第1実施例と同様であ
る。
なお、上記各実施例において、延長部材4に対するスタ
ビライザ21を取付けた位置は、延長部材4の下端部自
体がホィールセンタWCよりも後方側に位置するので、
任意の位置に取付けることができ、特に延長部材4の後
方側に取付けるとスタビライザ21の反力の作用点がよ
り後方となるので望ましい。
〔考案の効果〕
以上説明したように、この考案によれば、キングピン軸
を、ナックルとこれに回転可能に連結した延長部材との
結合部,ナックルとロアアームと結合部の両結合部を通
した線として、キングピン軸をアッパアームとは無縁と
し、且つ操舵時に車輪とともに旋回する部材を前記両結
合部間という車軸に近い部分に限定した。このため、操
舵時に生じる部材間の干渉を可及的に押さえることがで
きる。また、車輪の上下動にともなう対車体キャンバ角
の変化は、アッパ及びロアの両アームにより決定される
が、アッパアームは前記の通りキングピン軸の設定に無
縁となったため必要な分だけ長くすることができ、且つ
延長部材によってロアアームとの上下方向の間隔を拡大
できるから、車輪の上下動に起因する対車体キャンバ角
の変化を小さく押さえることができる等、ホィールアラ
イメントを好適に設定することができるという効果があ
る。
そして、操舵時に延長部材とショックアブソーバの相対
移動がないから、両者間のスペースを狭くすることが可
能であるため、ホィールハウスを狭くしてエンジンルー
ムの幅を拡大することができるという効果もある。
さらに、この考案によれば、以上のような第1従来例か
ら生じる効果と第2従来例から生じる効果とを併せ持つ
ことに加えて、 アッパアームがキングピン軸の設定に無縁となったか
ら、アッパアームの車体への取付位置を車体幅方向外側
に出して、その先端位置を自由に設定することができ
る。この理由から、エンジンルームの幅を拡大すること
ができるし、アッパアームの長さをホィールアライメン
トの設定上好適に決めることができる。
延長部材が操舵時に旋回することがないから、その延
長部材に取付けたスタビライザも操舵によって端部が振
れ回ることがないため、スタビライザによる車体姿勢の
安定機能と、前記操舵機能とを完全に分離できることに
なった。このため、操舵時にスタビライザの端部の振れ
回りに起因する操舵力変動を生じることがないから、前
記振れ回りを吸収する機構を必要とすることなく、操舵
角度の変化に伴う操舵力の変動を防止することができ
る。
スタビライザの取付け位置を、車輪と一体となって上
下動する延長部材に位置させたから、車輪の上下動を的
確に一対一の割合でスタビライザに伝えることができる
し、また、スタビライザの取付け位置を、ホィールセン
タよりも後方としたから、転舵に伴う車体ロール時にお
けるスタビライザのロール剛性によって、外輪のキャス
タ角が増大するので旋回時の外輪のキャンバ角がネガテ
ィブ方向に増大することになる。したがって、外輪の接
地面積が増大するため、旋回時等においても車輪の路面
に対するグリップ力が低下することがないから、安全性
を向上させることができる。
という独自の効果もある。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの考案の第1実施例を示す一部破断正面図、
第2図は第1図の側面図、第3図は延長部材の下端の断
面図、第4図はスタビライザの取付け部の断面図、第5
図は延長部材とアッパアームとの結合部の断面図、第6
図はロール時の車体の変化を示す説明図であり、同図
(a)は車体の背面図、(b)は外輪の側面図である。第7図
は、転舵角とキャンバ角との関係を示した線図、第8図
はこの考案の第2実施例を示す一部破断正面図、第9図
は第8図の延長部材の下端の断面図、第10図は第2実
施例のスタビライザの取付け部の断面図である。 1…車輪、3…ナックル、3a…上部、3b…下部、4
…延長部材、5…アッパアーム、6…ボールジョイン
ト、7…ロアアーム、8,12,13…ゴムブッシュ、
9…車体、10…回動結合機構、11…キングピン軸、
14b…ショックアブソーバ、14c…コイルスプリン
グ、21…スタビライザ、22…コンロッド

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】車輪を支持するナックルの下部と車体側と
    の間をロアアームで揺動可能に結合し、上方へ延びる延
    長部材を、ナックルとロアアームとの前記結合部を通る
    線を回転中心として回転自在に前記ナックルの上部に連
    結し、前記延長部材の上部と車体側との間をアッパアー
    ムで揺動可能に結合するとともに、スタビライザの端部
    を、前記延長部材の、前記車輪の中心よりも後方側の位
    置に取付けたことを特徴とするダブルリンク式サスペン
    ション装置。
JP15981287U 1987-10-19 1987-10-19 ダブルリンク式サスペンション装置 Expired - Lifetime JPH069847Y2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15981287U JPH069847Y2 (ja) 1987-10-19 1987-10-19 ダブルリンク式サスペンション装置
US07/259,193 US4883287A (en) 1987-10-19 1988-10-18 Double link type suspension system with stabilizer bar
EP88117352A EP0312997B1 (en) 1987-10-19 1988-10-18 Double link type suspension system with stabilizer bar
DE88117352T DE3886340T2 (de) 1987-10-19 1988-10-18 Doppelquerlenkeraufhängung mit Stabilisator.

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15981287U JPH069847Y2 (ja) 1987-10-19 1987-10-19 ダブルリンク式サスペンション装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0163506U JPH0163506U (ja) 1989-04-24
JPH069847Y2 true JPH069847Y2 (ja) 1994-03-16

Family

ID=31441342

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15981287U Expired - Lifetime JPH069847Y2 (ja) 1987-10-19 1987-10-19 ダブルリンク式サスペンション装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH069847Y2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0163506U (ja) 1989-04-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0524563Y2 (ja)
USRE34151E (en) Double link type suspension system
JP4765484B2 (ja) サスペンション装置
JPS6357307A (ja) ダブルリンク式サスペンシヨン装置
GB2130979A (en) Vehicle suspensions
JPS6311165B2 (ja)
US5405162A (en) Vehicle suspension system for steerable wheel
JPH10109510A (ja) フロントサスペンション装置
JPH069847Y2 (ja) ダブルリンク式サスペンション装置
JPS6248602B2 (ja)
JPH0634162Y2 (ja) ダブルリンク式サスペンション装置
JPS6248608B2 (ja)
JP4301874B2 (ja) サスペンション
JP2646747B2 (ja) 車両用サスペンション
JPH0659768B2 (ja) ダブルリンク式サスペンシヨン装置
JPH0451363B2 (ja)
JPH03253413A (ja) 車両の懸架装置
KR20220100176A (ko) 피봇 너클 스트럿 타입 서스펜션
JPS641130Y2 (ja)
JPH05169943A (ja) 車両のサスペンション装置
JPH0338006Y2 (ja)
JP2590542Y2 (ja) 車両のサスペンション取付構造
KR100316888B1 (ko) 자동차의 트레일링 아암형 현가장치
JPS5831690Y2 (ja) 自動車の懸架装置
JPH106726A (ja) 操舵輪用サスペンション装置