JPH106726A - 操舵輪用サスペンション装置 - Google Patents

操舵輪用サスペンション装置

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JPH106726A
JPH106726A JP16024796A JP16024796A JPH106726A JP H106726 A JPH106726 A JP H106726A JP 16024796 A JP16024796 A JP 16024796A JP 16024796 A JP16024796 A JP 16024796A JP H106726 A JPH106726 A JP H106726A
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JP
Japan
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shock absorber
wheel
point
connection point
wheel support
Prior art date
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Pending
Application number
JP16024796A
Other languages
English (en)
Inventor
Tamiyoshi Kasahara
民良 笠原
Yoshihiro Kawabe
喜裕 川辺
Kenji Kawagoe
健次 川越
Takuya Murakami
拓也 村上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
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Publication of JPH106726A publication Critical patent/JPH106726A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60GVEHICLE SUSPENSION ARRANGEMENTS
    • B60G3/00Resilient suspensions for a single wheel
    • B60G3/18Resilient suspensions for a single wheel with two or more pivoted arms, e.g. parallelogram
    • B60G3/20Resilient suspensions for a single wheel with two or more pivoted arms, e.g. parallelogram all arms being rigid
    • B60G3/26Means for maintaining substantially-constant wheel camber during suspension movement ; Means for controlling the variation of the wheel position during suspension movement
    • B60G3/265Means for maintaining substantially-constant wheel camber during suspension movement ; Means for controlling the variation of the wheel position during suspension movement with a strut cylinder contributing to the suspension geometry by being linked to the wheel support via an articulation

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Vehicle Body Suspensions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】車輪支持部材及びショックアブソーバを車体に
連結する仮想アッパアームの長さを長くしてアライメン
トの向上やジオメトリ変化の抑制を可能にすると共に、
ショックアブソーバへの曲げ力を回避して乗心地を確保
する。 【解決手段】ショックアブソーバ15上端の車体側部材
への連結点U及び車輪支持部材1とショックアブソーバ
15との連結点M点間の距離UMが、当該連結点U点及
びショックアブソーバ15とアッパアーム6との連結点
L間の距離ULより短くなるようにアッパアーム6を下
方に配置することで、前記M点を車体に連結する仮想ア
ッパアームを長くする。また、コイルスプリング16の
軸線mが、前記M点及びロアアーム4の延長線とホイル
センタ面との交点Pを結ぶ直線と、アッパアーム6の延
長線との交点Qを通るように配置してショックアブソー
バ15への曲げ力がコイルスプリング16の反力で相殺
されるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のフロント
サスペンション装置など、車両の操舵輪用サスペンショ
ン装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の操舵輪用(フロント)サスペンシ
ョン装置としては例えば特開平1−136804号公報
に記載されているものがある。
【0003】この従来例に記載される操舵輪用サスペン
ション装置では、車輪を回転自在に支持する車輪支持部
材の下部領域が、A型アーム部材からなる下部アーム又
はリンク部材によって上下方向に揺動可能に且つ転舵可
能に車体側部材に取付けられている。また、この車輪支
持部材の上部領域においては、ショックアブソーバ部材
の下部ケース部材に一体に取付けられた中間部材が、当
該車輪支持部材の上部領域に、上下方向に揺動可能に且
つ転舵可能に取付けられている。そして、このショック
アブソーバ部材に一体に取付けられた中間部材が、H型
アーム部材からなる上部アーム部材によって、前記車輪
支持部材との連結点と同等又はほぼ同等の高さ位置で上
下方向に揺動可能に車体側部材に取付けられている。勿
論、この操舵輪用サスペンション装置の前記車輪支持部
材には、操向装置に接続されるタイロッド部材が取付け
られており、このタイロッド部材の操作によって、前記
中間部材と車輪支持部材の上部領域との連結点,即ちシ
ョックアブソーバ部材の下部ケース部材と車輪支持部材
との連結点及び当該車輪支持部材の下部領域と前記A型
下部アーム部材との連結点を結ぶ直線を転舵軸,即ちキ
ングピン軸として車輪支持部材及び車輪の転舵が行われ
る。
【0004】この操舵輪用サスペンション装置によれ
ば、操舵の応答性を向上させることができると共に、シ
ョックアブソーバ部材上端の車体側部材への取付け点を
低くすることができるから、結果的にボンネットフード
等の高さを低くすることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来の操舵輪用サスペンション装置にあっては、以下の
ような問題がある。
【0006】即ち、この従来の操舵輪用サスペンション
装置を車両正面視において骨格図的に表すと図11のよ
うになる。前述のようにショックアブソーバ部材の下部
ケース部材に一体に取付けられている中間部材が車輪支
持部材に連結されると共に、その連結点と同等又はほぼ
同等の高さ位置において、前記H型アーム部材からなる
上部アーム部材(以下、H型上部アーム部材とも記す)
にも連結されているために、この従来の操舵輪用サスペ
ンション装置を、所謂前置きエンジンの前輪操舵車両な
どに適用すると、前記H型上部アーム部材の車体側連結
点近傍にはエンジンルームが接近しているなどの実情か
ら、当該H型上部アーム部材の長さを十分に確保するこ
とができない。
【0007】このように上部アーム部材の長さを十分に
確保できないと、図11に矢印で示すように車輪及び車
輪支持部材の上下動に伴ってサスペンションが上下方向
にストロークする際に、上部アーム部材と中間部材(=
ショックアブソーバ部材)との連結点の描く軌跡が小さ
な半径の円弧状になり、上部アーム部材の外側端部の車
両内側への引き込み量が大きくなる。これに伴って、車
輪支持部材の上部領域が車両内側に大きく引き込まれる
ことになるから、ストローク時のキャンバ角変化が大き
くなったり、ロールセンタ高の高さ及び変化特性を所望
する特性にできなくなったりするというサスペンション
アライメント/ジオメトリ上の問題が生じると共に、車
輪(タイヤ)とショックアブソーバ或いは車体側部材と
の間に干渉が発生するなどの問題も生じ易い。
【0008】本発明は、前記諸問題を解決すべく開発さ
れたものであり、操舵の応答性を確保すると共にショッ
クアブソーバ部材上端の車体側部材への取付け点を低く
しながら、車輪支持部材の上部領域を過大に車両内側に
引き込むことなく、同時にショックアブソーバ部材に曲
げ力がかからないようにして乗心地を確保可能な操舵輪
用サスペンション装置を提供することを目的とするもの
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のうち請求項1に係る操舵輪用サスペンショ
ン装置は、車両の操舵輪用サスペンション装置であっ
て、上端が車体側部材に取付けられて車輪の上下動に伴
って伸縮するショックアブソーバ部材を有し、車輪を回
転可能に支持する車輪支持部材には、操向装置に接続さ
れるタイロッド部材が連結されると共に、当該車輪支持
部材の下部領域が少なくとも1本以上の下部アーム又は
リンク部材によって上下方向に揺動可能に且つ転舵可能
に車体側部材に連結され、当該車輪支持部材の上部領域
が前記ショックアブソーバ部材の下部ケース部材に上下
方向に揺動可能に且つ転舵可能に連結され、当該ショッ
クアブソーバ部材の下部ケース部材が上部アーム部材に
よって上下方向に揺動可能に車体側部材に連結されてい
て、前記ショックアブソーバ部材と車体側部材との連結
点(以下、U点とも記す)及び前記車輪支持部材とショ
ックアブソーバ部材の下部ケース部材との連結点(以
下、M点とも記す)を結ぶ線分の長さが、当該ショック
アブソーバ部材と車体側部材との連結点(U点)及び前
記ショックアブソーバ部材の下部ケース部材と上部アー
ム部材との連結点(以下、L点とも記す)を結ぶ線分の
長さより短くなるように、各部材及び各連結点が配置さ
れたことを特徴とするものである。
【0010】この発明では、互いに転舵可能に連結され
る前記車輪支持部材とショックアブソーバ部材の下部ケ
ース部材との連結点(M点)及び当該車輪支持部材と下
部アーム又はリンク部材との連結点(以下、B点とも記
す)を結ぶ直線を転舵軸,即ちキングピン軸として、前
記操向装置に接続されるタイロッドを操作することによ
って車輪支持部材並びに車輪が転舵される。一方、本発
明の操舵輪用サスペンション装置では、前記ショックア
ブソーバ部材と車体側部材との連結点(U点)及び前記
M点を結ぶ線分UMの長さが、当該U点及び前記ショッ
クアブソーバ部材の下部ケース部材と上部アーム部材と
の連結点(L点)を結ぶ線分ULの長さより短くなるよ
うに、各部材及び各連結点が配置されているため、前記
U点がショックアブソーバ部材の上端連結点であること
を考慮すれば、L点はM点より下方にある。ここで、本
発明の操舵輪用サスペンション装置を、例えば所謂前置
きエンジン前輪操舵車両に採用したとき、上部アーム部
材の車体側部材への連結点にエンジンルームが接近して
いるような場合、実質的な上部アーム部材の長さが限定
されてしまう場合もあり得る。しかしながら、前述のよ
うに、この上部アーム部材とショックアブソーバ部材の
下部ケース部材との連結点L点が前記M点より下方にあ
るということは、車輪及び車輪支持部材の上下動に伴う
サスペンションの上下方向へのストローク時に、当該車
輪支持部材の上部領域とショックアブソーバ部材の下部
ケース部材との連結点M点が、前記上部アーム部材と車
体側部材との連結点を中心に回動する回動半径,所謂仮
想上部アーム部材は、実際の上部アーム部材の長さより
も長く(半径の場合は大きく)なる。この仮想上部アー
ム部材の長さの実際の上部アーム部材の長さに対する比
は、前記線分UMの線分ULに対する比の逆比になる。
更に、上部アーム部材の車体側連結点を、例えばサイド
メンバ等の車体側部材の更に下方に設定すれば、当該上
部アーム部材自体の長さを更に長くすることができ、従
ってその分だけ前記仮想上部アーム部材の長さを更に長
くすることができる。このようにして、仮想上部アーム
部材の長さが長くなれば、前記サスペンションのストロ
ーク時に、車輪支持部材の上部領域が車両内側に引き込
まれる変位量が小さくなり、従ってキャンバ角変化が小
さくなったり、ロールセンタ高さを確保したりすること
ができるなど、サスペンションアライメント/ジオメト
リの面で有利であると共に、車輪(タイヤ)とショック
アブソーバ部材などとの干渉を回避することができる。
【0011】また、本発明のうち請求項2に係る操舵輪
用サスペンション装置は、前記ショックアブソーバ部材
の下部ケース部材と車体側部材との間にバネ部材を配置
し、車両正面視において、前記車輪支持部材とショック
アブソーバ部材の下部ケース部材との連結点(M点)及
び車輪のホイルセンタ面間の車両幅方向の距離をd,前
記車輪支持部材と下部アーム又はリンク部材との連結点
(B点)及び前記車輪支持部材とショックアブソーバ部
材の下部ケース部材との連結点(M点)間の上下方向の
距離をH,前記ショックアブソーバ部材の下部ケース部
材と上部アーム部材との連結点(L点)及び前記車輪支
持部材とショックアブソーバ部材の下部ケース部材との
連結点(M点)間の上下方向の距離をa,前記バネ部材
の軸線と前記ショックアブソーバ部材の摺動軸線との交
点(以下、X点とも記す)及び前記ショックアブソーバ
部材の下部ケース部材と上部アーム部材との連結点(L
点)間の上下方向の距離をbとしたときに、前記バネ部
材の軸線と鉛直線とのなす角度θが、 a×d/H=b× tanθ を満足することを特徴とするものである。
【0012】また、本発明のうち請求項3に係る操舵輪
用サスペンション装置は、前記ショックアブソーバ部材
の下部ケース部材と車体側部材との間にバネ部材を配置
し、車両正面視において、前記下部アーム又はリンク部
材の延長線と車輪のホイルセンタ面との交点(以下、P
点とも記す)及び前記車輪支持部材とショックアブソー
バ部材の下部ケース部材との連結点(M点)を結ぶ直線
と、前記上部アーム部材の延長線との交点(以下、Q点
とも記す)を、前記バネ部材の軸線が通ると共に、当該
バネ部材の軸線と前記ショックアブソーバ部材の摺動軸
線との交点(X点)が、前記車輪支持部材とショックア
ブソーバ部材の下部ケース部材との連結点の鉛直上に存
在することを特徴とするものである。
【0013】これらの発明は、実質的に同じ特徴を有し
ており、請求項3に係る操舵輪用サスペンション装置の
構造的特徴を幾何学的に表したものが請求項2に係る操
舵輪用サスペンション装置の特徴になる。つまり、前記
請求項2に係る発明の符号の下に、前記距離dは、前記
請求項3に係る発明のM点及びP点間の距離であり、前
記距離Hは、同じく前記B点及びM点間の距離であり、
前記距離aは、同じく前記L点及びM点間の距離である
ことから、前記M点及びQ点間の車幅方向への距離y
は、両点を結ぶ直線が鉛直線となす角度をψとしたと
き、 y=a× tanψ=a×d/H で表される。一方、前記距離bは、前記請求項3に係る
発明のQ点及びX点間の距離であることから、前記距離
yは、前記X点がM点の鉛直上にあるという条件の下
に、 y=b× tanθ で表される。両式の右辺を等号で結べば、前記請求項2
に記載の等式を得る。従って、請求項2に係る発明と請
求項3に係る発明の幾何学的構成要件は等価であること
になる。一方、この幾何学的構成要件を満足すれば、車
輪のホイルセンタに作用する荷重(入力)によって、前
記M点からショックアブソーバ部材に作用するL点回り
の車幅方向へのモーメントと、この荷重(入力)によっ
て、前記X点からショックアブソーバ部材に作用するL
点回りのバネ部材の車幅方向へのモーメントとが、互い
に逆方向で大きさが等しくなるため、両モーメントが相
殺されてショックアブソーバ部材に曲げ力が作用しなく
なり、例えばピストンとシリンダチューブとの間などに
発生する摩擦力(フリクション)を低減して乗心地を向
上することなどが可能となる。
【0014】また、本発明のうち請求項4に係る操舵輪
用サスペンション装置は、前記下部アーム又はリンク部
材が、その一端が車輪支持部材に一点で連結され且つそ
の他端が車体側部材に二点で連結されたA型アーム部材
で構成されることを特徴とするものである。
【0015】この発明では、下部アーム又はリンク部材
の一端が車輪支持部材に一点で,他端が車体側部材に二
点で連結される,所謂A型アーム部材であるために、従
来のA型下部アーム式サスペンションと同様に、例えば
特に車両側面視におけるサスペンションアライメントの
角度変化を抑制して操安性を向上すると共に乗心地も向
上することが可能となる。
【0016】また、本発明のうち請求項5に係る操舵輪
用サスペンション装置は、前記下部アーム又はリンク部
材が、一端及び他端が車輪支持部材及び車体側部材の夫
々に一点で連結された二本のリンク部材で構成されるこ
とを特徴とするものである。
【0017】この発明では、下部アーム又はリンク部材
が、一端及び他端が車輪支持部材及び車体側部材の夫々
に一点で連結された二本のリンク部材で構成されるた
め、この二本の下部リンク部材が、所謂A型アームを分
割した形状の所謂ダブルピボット式サスペンションと同
様のアライメントを可能とし、従って二本の下部リンク
部材の交点をより車両横方向外側にとることができるか
ら、この交点及び前記ショックアブソーバと車輪支持部
材との連結点を結ぶ仮想キングピン軸の設定自由度が高
まり、これを適切な状態に設定する,即ちキングピン傾
角を適切に設定して乗心地や操安性をより一層向上する
ことができる。
【0018】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち請求
項1に係る操舵輪用サスペンション装置によれば、仮想
上部アーム部材の長さを長くすることができるので、前
記サスペンションのストローク時に、車輪支持部材の上
部領域が車両内側に引き込まれる変位量が小さくなり、
従ってキャンバ角変化が小さくなったり、ロールセンタ
高さの変化特性を適度なものに確保したりすることがで
きるなど、サスペンションアライメント/ジオメトリの
面で有利であると共に、車輪(タイヤ)とショックアブ
ソーバ部材などとの干渉を回避することができる。
【0019】また、本発明のうち請求項2又は3に係る
操舵輪用サスペンション装置によれば、車輪のホイルセ
ンタに作用する荷重(入力)によって、ショックアブソ
ーバ部材に作用する車幅方向へのモーメントと、この荷
重(入力)によって、ショックアブソーバ部材に作用す
るバネ部材の車幅方向へのモーメントとが、互いに逆方
向で大きさが等しくなるため、両モーメントが相殺され
てショックアブソーバ部材に曲げ力が作用しなくなり、
例えばピストンとシリンダチューブとの間などに発生す
る摩擦力(フリクション)を低減して乗心地を向上する
ことなどが可能となる。
【0020】また、本発明のうち請求項4に係る操舵輪
用サスペンション装置によれば、下部アーム又はリンク
部材の一端が車輪支持部材に一点で,他端が車体側部材
に二点で連結される,所謂A型アーム部材であるため
に、従来のA型下部アーム式サスペンションと同様に、
例えば特に車両側面視におけるサスペンションアライメ
ントでの角度変化を抑制して操安性を向上すると共に乗
心地も向上することが可能となる。
【0021】また、本発明のうち請求項5に係る操舵輪
用サスペンション装置によれば、下部アーム又はリンク
部材が、一端及び他端が車輪支持部材及び車体側部材の
夫々に一点で連結された二本のリンク部材で構成される
ため、この二本の下部リンク部材が、所謂A型アームを
分割した形状の所謂ダブルピボット式サスペンションと
同様のアライメントを可能とし、従って二本の下部リン
ク部材の交点をより車両横方向外側にとることができる
から、この交点及び前記ショックアブソーバと車輪支持
部材との連結点を結ぶ仮想キングピン軸の設定自由度が
高まり、これを適切な状態に設定する,即ちキングピン
傾角を適切に設定して乗心地や操安性をより一層向上す
ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。ここでは、前置きエンジン前輪操
舵車両の前左右輪に反転して実施化された本発明の操舵
輪用サスペンション装置のうち、特に前左輪のフロント
サスペンション装置に代表して説明を行う。勿論、前右
輪のそれについては図面を反転し、説明中の「右」を
「左」に、「左」を「右」に置換して考えればよい。
【0023】図1は、本発明の第1実施形態を示す概略
構成を示す斜視図であり、図中、1は、図示されない前
輪を回転自在に支持する車輪支持部材であって、中央部
に前輪の車軸を挿通支持する円筒部1aが形成されてい
ると共に、下端部(下部領域)1bにボールジョイント
3を介してロアアーム(下部アーム又はリンク部材)4
が連結され、上端部(上部領域)1cには、後述する連
結機構5を介してショックアブソーバ(ショックアブソ
ーバ部材)15のシリンダチューブ(下部ケース部材)
15aが回転自在に連結され、また中央部後方側に突出
延長する支持部1dにタイロッド8が連結されており、
前記ショックアブソーバ15の下端部が後述する連結機
構9を介してH型アッパアーム(上部アーム部材)6に
連結されている。
【0024】本実施形態のロアアーム4は、車幅方向に
延長して配設され、その車幅方向外側端がボールジョイ
ント3を介して車輪支持部材1の下端部1bに回転自在
に連結され、内側端が二股に分岐されて夫々の端部が弾
性ブッシュ4a,4bを介してサイドメンバー等の車体
側部材(図示せず)に連結され、平面からみて凡そA字
状のA型アームに形成されている。従って、このロアア
ーム4では、車輪支持部材1の上下方向の移動即ちバウ
ンド及びリバウンドは許容するが、車輪支持部材1の前
後方向の移動に対してはこれを阻止することになるか
ら、当該車輪支持部材1の,所謂ワインドアップ角変化
を抑制することができる。また、車輪支持部材1の下端
部1bとロアアーム4とがボールジョイント3を介して
回転自在,つまり転舵可能に連結されているため、この
連結点B点が、後述するキングピン軸の下側の1点を構
成する。
【0025】前記ショックアブソーバ15は、その下部
に配設されたシリンダチューブ15aの凡そ中央部が、
後述する連結機構5を介して前記車輪支持部材1の上端
部1cに回転自在に連結されていると共に、このシリン
ダチューブ15aから上方に突出するピストンロッド1
5bの上端が図示されない取付板やマウントラバーなど
を介して車体側部材(図示せず)に取付けられている。
なお、このショックアブソーバ15と車体側部材との連
結点をU点と称し、本実施形態では、このU点は、ショ
ックアブソーバ15の摺動軸線,即ち凡そ前記ピストン
ロッド15bの移動方向中心線上に位置する。また、本
実施形態では、当該ショックアブソーバ15の摺動軸線
は略鉛直方向になるように配置されている。
【0026】このうち、ショックアブソーバ15のシリ
ンダチューブ15aを車輪支持部材1の上端部1cに連
結するための連結機構5を図2に示す。この連結機構5
は、所謂球面座を応用したものであり、まず、シリンダ
チューブ15aのほぼ中央部に形成された小径部15a
1 に、外周の中央部が、所定の曲率半径で外側に球状に
突出する凡そ円筒状の雄側球面部材5aが緊密に嵌合さ
れて固定されている。そして、この雄側球面部材5aの
外周には、前記球状突出部と同等の曲率半径で、内周の
中央部が球状に窪んだ雌側球面部材5bが緊密に被嵌さ
れている。従って、この雌側球面部材5bは、前記雄側
球面部材5aの球状突出部に沿って、図2のM点を中心
に自在に回転可能である。そして、この雌側球面部材5
bを、前記車輪支持部材1の上端部1cに形成された凡
そ上下方向に貫通する貫通孔1c 1 内に嵌入し、当該雌
側球面部材5bの下端部を、当該貫通孔1c1 の下端鍔
部1c2 で支持した状態で、内孔上端に上端鍔部5c2
が形成されたナット部材5cを、ショックアブソーバ1
5の上端からその外側を通して、前記貫通孔1c1の上
部に形成されたネジ孔1c3 に螺合し、締付けて、前記
ナット部材5cの上端鍔部5c2 と前記貫通孔1c1
下端鍔部1c2 とで前記雌側球面部材5bの上下端部を
締付けるようにして当該雌側球面部材5bを車輪支持部
材1の上端部1cに固定する。これにより、ショックア
ブソーバ15と車輪支持部材1とは互いに、前記M点を
中心に自由に回転する。このM点を、ショックアブソー
バ15と車輪支持部材1との連結点と称し、本実施形態
では、この連結点M点が、前記ショックアブソーバ15
の摺動軸線,即ち前記ピストンロッド15bの移動方向
中心線上に位置する。ちなみに、このショックアブソー
バ15と車輪支持部材1との連結点M点は、後述するキ
ングピン軸の上側の1点を構成する。
【0027】ちなみに、本実施形態では、前記ショック
アブソーバ15の上部,即ち凡そ前記ピストンロッド1
5bの周囲にコイルスプリング16からなるバネ部材が
配設され、このコイルスプリング16は前記シリンダチ
ューブ15aに一体に固定された受部15cと図示され
ない車体側部材との間に介装されている。また、後段に
詳述するように、本実施形態では、このコイルスプリン
グ16の軸線が、前記ロアアーム4の延長線とホイルセ
ンタ面との交点及び前記M点を結ぶ直線と、前記H型ア
ッパアーム6の延長線との交点を通るように配置されて
いる。
【0028】一方、前記H型アームに形成されたH型ア
ッパアーム6は、車幅方向に延長して配設され、その車
幅方向外側端部が連結機構9を介して前記ショックアブ
ソーバ15のシリンダチューブ15aの下端部15a1
に上下方向にのみ揺動可能に連結され、二股に分岐され
た夫々の内側端部が弾性ブッシュ6a,6bを介してサ
スペンションメンバー等の車体側部材(図示せず)に連
結されている。このうち、このH型アッパアーム6の二
股に分岐された前記車幅方向外側端部の夫々には、車両
前後方向に貫通する貫通孔が穿設され、この二股の外側
端部の間に、前記ショックアブソーバ15のシリンダチ
ューブ15aの下端部15a1 を差し込み、二つの外側
端部の前記貫通孔と当該シリンダチューブ15aの下端
部15a 1 に穿設された車両前後方向への貫通孔とを直
線上に並ぶように位置決めし、何れか一方の外側端部の
外側から回動支持軸9aを挿通して、それらを連結す
る。従って、このH型アッパアーム6では、前記回動支
持軸9a回りのショックアブソーバ15の上下方向の移
動は許容するが、当該ショックアブソーバ15の下端部
15c1 の前後方向の移動に対してはこれを阻止するこ
とになる。つまり、ショックアブソーバ15とH型アッ
パアーム6とは、前記回動支持軸9aの中心軸に相当す
る軸線l回りに回転可能であるが、この軸線lが車両前
後方向に配置されているため、この軸線lとショックア
ブソーバ摺動軸線との交点を、H型アッパアーム6とシ
ョックアブソーバ15の下端部15c1 との上下方向に
揺動可能な連結点L点と称する。
【0029】さらに、前記タイロッド8は、図示しない
ステアリング装置(操向装置)に連結されている。次
に、上記実施形態の作用を説明する。
【0030】上記構成を有するサスペンションを車両正
面視において骨格図的に表したのが図3である。本実施
形態で、前記タイロッド8を操作すると、車輪支持部材
1及び車輪(前左輪)2は、互いに回転可能,即ち転舵
可能に連結されている前記車輪支持部材1とショックア
ブソーバ15との連結点M点及び前記車輪支持部材1と
ロアアーム4との連結点B点を中心として回転転舵され
るから、このM点及びB点を通る直線が転舵軸,即ちキ
ングピン軸kになる。
【0031】一方、前記車輪支持部材1とショックアブ
ソーバ15との連結点M点は、当該ショックアブソーバ
15のシリンダチューブ15aの下端部15a1 とH型
アッパアーム6との連結点L点より上方にあることか
ら、車輪2及び車輪支持部材1の上下動に伴ってサスペ
ンションが上下方向にストロークすると、当該車輪支持
部材1とショックアブソーバ15との連結点M点は、H
型アッパアーム6の車体側部材への連結点J点及び前記
L点の2点を中心に回動することになる。また、前記L
点がM点より下方である,即ちH型アッパアーム6をよ
り下方に配置することができることから、本実施形態で
は当該H型アッパアーム6を、エンジンルーム下方左側
を規制するサイドメンバより更に下方に配置することに
より、当該H型アッパアーム6の長さを長くした。な
お、エンジンルームによって車両幅方向に規制を受けに
くいロアアーム4は十分に長く設定することができるか
ら、前記車輪支持部材1とロアアーム4との連結点B点
は、当該ロアアーム4と車体側部材との連結点Kを中心
に、十分に大きい回動半径で回動する。
【0032】このうち、前記ショックアブソーバ15と
H型アッパアーム6との連結点L点が当該ショックアブ
ソーバ15と車輪支持部材1との連結点M点より下方に
あることから、図4に示すように、前記ショックアブソ
ーバ15と車体側部材との連結点Uからの双方の線分U
L,UMの長さ(距離)の比は、例えば線分ULを
“1”としたとき、線分UMはγ(<1)と表される。
従って、サスペンションの上下方向へのストロークに伴
って、前記J点及びL点の2点を中心に回動する車輪支
持部材1とショックアブソーバ15との連結点M点の車
幅方向への引き込み量は、前記ショックアブソーバ15
とH型アッパアーム6との連結点Lの引き込み量のγ
(<1)倍となって、引き込み量が減少する。これは、
前記H型アッパアーム6の実際の長さの1/γ倍の長さ
を有する仮想アッパアーム6’を、前記M点と同じ高さ
に設けた場合と等価である。従って、図3に示すよう
に、現実にはM点と同じ高さには、エンジンルームの規
制によって長いアッパアームを配設できなくても、M点
より下方にL点を配置してH型アッパアーム6をより下
方に配設することにより、当該M点に長いアッパアーム
を配設したのと同様にM点の車幅方向への引き込み量を
低減することができる。更に、本実施例では、このH型
アッパアーム6をサイドメンバより下方に配設すること
により当該H型アッパアーム6自体の長さを長くしたこ
とによって、1/γ倍される仮想アッパアームの長さを
より長くすることができ、前記引き込み量の低減効果は
更に向上する。従って、本実施形態では、車輪ストロー
ク時のキャンバ角変化を小さくしたり、必要なロールセ
ンタ変化特性を確保したりするなどサスペンションアラ
イメント/ジオメトリ上で有利であると共に、車輪(タ
イヤ)の引き込み量も小さくなってそれがショックアブ
ソーバやバネ部材に干渉するのも回避できる。
【0033】一方、前記図3に、ショックアブソーバ1
5の摺動軸線nやコイルスプリング16の軸線mの幾何
学的構成を加えたのが図5である。本実施形態では、前
述のように、ロアアーム4の延長線とホイルセンタW/
CTR面との交点(P点)及び前記M点を通る直線と、
H型アッパアーム6の延長線との交点(Q点)を、コイ
ルスプリング16の軸線mが通る。更に、本実施形態で
はショックアブソーバ15の摺動軸線nが鉛直で、その
摺動軸線n上に、前記M点,L点,及びU点が配置され
ているために、この摺動軸線nとコイルスプリング16
の軸線mとの交点X点も、前記M点の鉛直上に存在す
る。この幾何学的構成要件が、前記した a×d/H=b× tanθ ……… (1) と等価であることは前述の通りである(図5参照)。
【0034】ここで、図6に示すように、車両正面視に
おいて、例えば車輪2のホイルセンタw/ctr面に荷
重(入力)Wが作用すると、このホイルセンタw/ct
r面から前記距離dだけ離れたM点にも同じ大きさで逆
向きの力Wが偶力として発生し、その結果、発生するモ
ーメントによって、上下方向に距離Hだけ離れたM点及
びB点には、夫々大きさがW・d/Hで逆向きの偶力が
車両正面視において車幅方向に作用する。しかしなが
ら、前記M点にはショックアブソーバ15のシリンダチ
ューブ15aのほぼ中央部が連結されているために、図
7に示すように、前記車幅方向への横力W・d/Hはシ
ョックアブソーバ15に曲げ力として作用する。ここ
で、例えば同図7に示すように、ショックアブソーバ1
5の摺動軸線nとコイルスプリング16の軸線mとが車
両正面視において一致していると、前記荷重(入力)W
に応じたコイルスプリング16の反力(弾性力)Wは単
に当該荷重入力Wを相殺するだけであって、横力W・d
/Hは全く解消されない。すると、例えばピストンとシ
リンダチューブとの間などに発生する摩擦力(フリクシ
ョン)が増大し、ショックアブソーバ15のスムーズな
伸縮を阻害して乗心地が低下するなどの問題が発生す
る。
【0035】そこで、本実施形態では、前述のようにP
点及び前記M点を通る直線と、H型アッパアーム6の延
長線との交点Q点を、コイルスプリング16の軸線mが
通るように設定した。このようにコイルスプリング16
の軸線mを設定すると、この軸線mが前記ショックアブ
ソーバ摺動軸線nと交わる交点X点には、図8に示すよ
うに、当該コイルスプリング16の軸線mが鉛直線とな
す角度がθである場合に、荷重(入力)Wと大きさが等
しく逆向き,即ち上下方向への縦力Wと、大きさがW・
tanθで、前記横力W・d/Hと逆向きの横力とが作用
する。そこで、この二つの横力W・d/H,W・ tanθ
に、夫々前記L点からの距離a,bを乗じた値a・W・
d/H,b・W・ tanθが等しくなれば、当該L点回り
にショックアブソーバ15に作用するモーメントが相殺
される。従って、この条件を満足する,即ち前記1式を
満足すれば、ショックアブソーバ15には、荷重(入
力)の大きさに係わらず、曲げ力が作用せず、従ってフ
リクションを低減して乗心地を確保することができる。
【0036】次に、本発明の第2実施形態を図9,図1
0について説明する。この第2実施形態は、上述した第
1実施形態と同様の構成を有する部分が多いため、同等
の構成部材には同等の符号を附してその詳細説明はこれ
を省略する。本実施形態と、第1実施形態との最も大き
な差異は、前述したショックアブソーバ15のシリンダ
チューブ15aと車輪支持部材1との連結機構5が、単
純なボールジョイントに変更されたことであり、これに
伴って当該シリンダチューブ15aに取付けられた連結
部材17から連結用突起17aが、車幅方向外側に向け
て突設され、この連結用突起17aと前記車輪支持部材
1の上端部1cとがボールジョイントによる連結機構5
によって回転自在に連結されている。また、このように
ショックアブソーバ15のシリンダチューブ15aと車
輪支持部材1との連結点Mが、当該ショックアブソーバ
15の摺動軸線n上から外れ、しかしながら前記1式を
満足するために、本実施例ではショックアブソーバ摺動
軸線nが鉛直ではなく、やや右斜め上方に傾いて配置さ
れている。
【0037】この第2実施形態の幾何学的構成要件を骨
格図的に表したのが図10である。この図10におい
て、前記荷重(入力)WによりM点からショックアブソ
ーバ15に作用するL点回りのモーメントa・W・d/
Hと、コイルスプリング16の反力によりX点からショ
ックアブソーバ15に作用するL点回りのモーメントb
・W・ tanθとが等しくなる(本実施形態においては、
厳密にはショックアブソーバ15の摺動軸線nの傾斜角
の正弦値倍された値同士が等しくなる)ため、つまり前
記1式が満足されるためには、少なくともコイルスプリ
ング16の軸線mとショックアブソーバ15の摺動軸線
nとの交点X点が、前記M点の鉛直上に存在しなければ
ならない。ところが、前述のように当該M点がショック
アブソーバ15の摺動軸線nから車幅方向外側にずれて
いるため、この条件を満足するために当該ショックアブ
ソーバ摺動軸線nがやや右斜め上方に傾くようにショッ
クアブソーバ15が配設されている。しかしながら、こ
の結果、前記荷重入力によってショックアブソーバに作
用するL点回りのモーメントと、コイルスプリングの反
力によってショックアブソーバに作用するL点回りのモ
ーメントとが互いに相殺され、従って当該ショックアブ
ソーバ15には曲げ力が作用せず、乗心地が確保され
る。また、前記第1実施形態と同様に、L点がM点より
下方に配置されているため、当該M点を車体側部材に直
接連結するための仮想アッパアームの長さが長くなり、
前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0038】次に、本発明の第3実施形態を図11につ
いて説明する。この第3実施形態は、上述した第2実施
形態と同様の構成を有する部分が多いため、同等の構成
部材には同等の符号を附してその詳細説明はこれを省略
する。本実施形態と、第2実施形態との最も大きな差異
は、前述した上部アーム部材に相当するH型アッパアー
ムがA型アッパアーム6’に変更された点にあり、更に
ショックアブソーバ15の回転を抑制するためにアッパ
リンク6”が追加されている。このうち、二股に分岐さ
れた車幅方向内側端部が夫々弾性ブッシュ6’a,6’
bを介して車体側部材に連結されたA型アッパアーム
6’の外側端部は、ショックアブソーバ15のシリンダ
チューブ15aの下端部15a1 から後方に突設された
連結部と、図示されないボールジョイントを介して回転
可能に連結されている。また、車幅方向内側端部が弾性
ブッシュ6”aを介して車体側部材に連結された棒状の
アッパリンク6”の外側端部は、略車両前後方向に配設
された回動支持軸10及び弾性ブッシュ6”bを介し
て、ショックアブソーバ15のシリンダチューブ15a
の下端部15a1 から前方に突設された連結部と、上下
方向に揺動可能に連結されている。このうち、前記回動
支持軸10は、その軸線が、前記A型アッパアーム6’
とショックアブソーバ15のシリンダチューブ15aの
下端部15a1 との連結点を通るように配設されてお
り、この回動支持軸10の外周に被嵌された弾性ブッシ
ュ6”bを介して前記アッパリンク6”が連結されてい
る。従って、これらA型アッパアーム6’及びアッパリ
ンク6”からなる上部アーム部材とショックアブソーバ
15とは、前記回動支持軸10の軸線l回りに上下方向
に揺動可能であるが、ここではその中点に相当する点
を、前記両者の連結点L点と考える。
【0039】また、本実施形態では、前記車輪支持部材
1の下端部1bを車体側部材に上下方向に揺動可能に且
つ転舵可能に連結するためのロアリンク(下部アーム又
はリンク部材)4’が二本のロアリンク部材41,42
から構成されている。より具体的には、当該ロアリンク
4’の二本のロアリンク部材のうち、車両前方に配設さ
れたほぼI型の前方ロアリンク部材41は、ほぼ車幅方
向に延長して配設され、その車幅方向外側端部がボール
ジョイント31を介して車輪支持部材1の下端部1bの
うちの前方部位に回転自在に連結され、その内側端部が
弾性ブッシュ41aを介してサスペンションメンバー等
の車体側部材(図示せず)に連結されている。また、車
両後方に配設され、中央部が車両前方に向けて湾曲され
たほぼI型の後方ロアリンク部材42は、全体として車
幅方向内側端部が後方に,外側端部が前方になるように
斜めに配設され、その車幅方向外側端部がボールジョイ
ント32を介して、車輪支持部材1の下端部1bのう
ち,前記ボールジョイント31から所定距離だけ後方部
位に回転自在に連結され、その内側端部が弾性ブッシュ
42aを介して、同じくサスペンションメンバー等の車
体側部材に上下軸回りに揺動可能に連結されている。
【0040】前記構成を有するサスペンションでは、ロ
アリンク4’を二本のロアリンク部材41,42に分割
したことにより、図11に示すように車輪支持部材1と
このロアリンク4’との実質的な連結点Bは、周知のよ
うに前方ロアアーム部材41の車体側連結点及び車輪支
持部材1との連結点を結ぶ直線と、後方ロアアーム部材
42の車体側連結点及び車輪支持部材1との連結点を結
ぶ直線との交点になる。従って、本実施形態の転舵軸,
即ちキングピン軸(仮想キングピン軸)kは、このロア
リンク4’と車輪支持部材1との実質的な連結点B及び
前記ボールジョイント10を介したショックアブソーバ
15と車輪支持部材1との連結点M点を結ぶ直線とな
る。しかしながら、この点を除いて、本実施形態のサス
ペンション装置の幾何学的構成要件は、前記第2実施形
態の図10に示すものと同様又はほぼ同様であるため
に、前記第2実施形態及び第1実施形態と同様の効果が
得られる。
【0041】一方、前記二本のロアリンク部材41,4
2からなるロアリンク4’による車輪支持部材1の拘束
作用そのものについては、これが前記A型ロアアームを
分割したものであると考えて問題はない。そして、キン
グピン軸(仮想キングピン軸)kが、前記ロアリンク
4’と車輪支持部材1との実質的な連結点B及び前記ボ
ールジョイント10を介したショックアブソーバ15と
車輪支持部材1との連結点M点を結ぶ直線となるため
に、前記第2実施形態よりもキングピン傾角を大きくと
ることも可能である。このことは、例えば前輪駆動車に
本実施形態のフロントサスペンション装置を採用し、前
記キングピン傾角を大きくして、その路面との交点とタ
イヤ接地面の中心点との距離,即ち所謂スクラブをネガ
ティブに設定することにより、駆動時のトルクステアに
よるトーイン変化を抑制したり、何れか一方の前輪にの
み大きな制動力が作用するような制動時の旋回モーメン
トを打ち消したりして走行安定性を向上することが可能
となる。また、本実施形態では、前述のように(仮想)
キングピン軸を構成する上側の1点となるショックアブ
ソーバ15と車輪支持部材1との連結点M点がショック
アブソーバ摺動軸線nより車両幅方向外側にあるため、
このM点と前記仮想B点とを結んでできる(仮想)キン
グピン軸kをホイールセンタ面に近づけて転舵時のキャ
ンバ角変化特性を向上したり、路面からの入力でステア
リング装置が共振し、それがステアリングホイールまで
伝達されるシミー現象も抑制防止したりすることも可能
であり、それにより乗心地を向上することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の操舵輪用サスペンション装置の第1実
施形態の概要を示す斜視図である。
【図2】図1の操舵輪用サスペンション装置におけるシ
ョックアブソーバと車輪支持部材との連結機構の一例を
示す説明図である。
【図3】図1の操舵輪用サスペンション装置における幾
何学的構成要件を説明する骨格図である。
【図4】図3からショックアブソーバと上部アーム部材
とだけを抜き出した説明図である。
【図5】図3にショックアブソーバ摺動軸線とコイルス
プリングの軸線とを加えた説明図である。
【図6】図5から車輪と車輪支持部材とだけを抜き出し
た説明図である。
【図7】図5からショックアブソーバと上部アーム部材
とだけを抜き出した説明図である。
【図8】図5からショックアブソーバと上部アーム部材
とコイルスプリングとだけを抜き出した説明図である。
【図9】本発明の操舵輪用サスペンション装置の第2実
施形態の概要を示す斜視図である。
【図10】図9の操舵輪用サスペンション装置における
幾何学的構成要件を説明する骨格図である。
【図11】本発明の操舵輪用サスペンション装置の第3
実施形態の概要を示す斜視図である。
【図12】従来の操舵輪用サスペンション装置の説明図
である。
【符号の説明】
1は車輪支持部材 2は前輪 3はボールジョイント 4はロアアーム(下部アーム又はリンク部材) 4’はロアリンク(下部アーム又はリンク部材) 5は連結機構 6はH型アッパアーム(上部アーム部材) 6’はA型アッパアーム(上部アーム部材) 6”はアッパリンク 8はタイロッド 9は連結機構 15はショックアブソーバ 16はコイルスプリング 41はロアリンク部材 42はロアリンク部材 nはショックアブソーバ部材の摺動軸線 mはバネ部材の軸線 Uはショックアブソーバ部材と車体側部材との連結点 Mはショックアブソーバ部材と車輪支持部材との連結点 Lはショックアブソーバ部材とA型上部アーム部材との
連結点 Bは車輪支持部材と下部アーム又はリンク部材との連結
点 Pは下部アーム又はリンク部材の延長線と車輪のホイル
センタ面との交点 QはP点及びM点を結ぶ直線と前記上部アーム部材の延
長線との交点 Xはバネ部材の軸線mとショックアブソーバ部材の摺動
軸線nとの交点 dはM点及び車輪のホイルセンタ面間の車両幅方向の距
離 HはB点及びM点間の上下方向の距離 aはL点及びM点間の上下方向の距離 bはX点及びL点間の上下方向の距離 θはバネ部材の軸線mと鉛直線とのなす角度 kはキングピン軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 拓也 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の操舵輪用サスペンション装置であ
    って、上端が車体側部材に取付けられて車輪の上下動に
    伴って伸縮するショックアブソーバ部材を有し、車輪を
    回転可能に支持する車輪支持部材には、操向装置に接続
    されるタイロッド部材が連結されると共に、当該車輪支
    持部材の下部領域が少なくとも1本以上の下部アーム又
    はリンク部材によって上下方向に揺動可能に且つ転舵可
    能に車体側部材に連結され、当該車輪支持部材の上部領
    域が前記ショックアブソーバ部材の下部ケース部材に上
    下方向に揺動可能に且つ転舵可能に連結され、当該ショ
    ックアブソーバ部材の下部ケース部材が上部アーム部材
    によって上下方向に揺動可能に車体側部材に連結されて
    いて、前記ショックアブソーバ部材と車体側部材との連
    結点及び前記車輪支持部材とショックアブソーバ部材の
    下部ケース部材との連結点を結ぶ線分の長さが、当該シ
    ョックアブソーバ部材と車体側部材との連結点及び前記
    ショックアブソーバ部材の下部ケース部材と上部アーム
    部材との連結点を結ぶ線分の長さより短くなるように、
    各部材及び各連結点が配置されたことを特徴とする操舵
    輪用サスペンション装置。
  2. 【請求項2】 前記ショックアブソーバ部材の下部ケー
    ス部材と車体側部材との間にバネ部材を配置し、車両正
    面視において、前記車輪支持部材とショックアブソーバ
    部材の下部ケース部材との連結点及び車輪のホイルセン
    タ面間の車両幅方向の距離をd,前記車輪支持部材と下
    部アーム又はリンク部材との連結点及び前記車輪支持部
    材とショックアブソーバ部材の下部ケース部材との連結
    点間の上下方向の距離をH,前記ショックアブソーバ部
    材の下部ケース部材と上部アーム部材との連結点及び前
    記車輪支持部材とショックアブソーバ部材の下部ケース
    部材との連結点間の上下方向の距離をa,前記バネ部材
    の軸線と前記ショックアブソーバ部材の摺動軸線との交
    点及び前記ショックアブソーバ部材の下部ケース部材と
    上部アーム部材との連結点間の上下方向の距離をbとし
    たときに、前記バネ部材の軸線と鉛直線とのなす角度θ
    が、 a×d/H=b× tanθ を満足することを特徴とする請求項1に記載の操舵輪用
    サスペンション装置。
  3. 【請求項3】 前記ショックアブソーバ部材の下部ケー
    ス部材と車体側部材との間にバネ部材を配置し、車両正
    面視において、前記下部アーム又はリンク部材の延長線
    と車輪のホイルセンタ面との交点及び前記車輪支持部材
    とショックアブソーバ部材の下部ケース部材との連結点
    を結ぶ直線と、前記上部アーム部材の延長線との交点
    を、前記バネ部材の軸線が通ると共に、当該バネ部材の
    軸線と前記ショックアブソーバ部材の摺動軸線との交点
    が、前記車輪支持部材とショックアブソーバ部材の下部
    ケース部材との連結点の鉛直上に存在することを特徴と
    する請求項1に記載の操舵輪用サスペンション装置。
  4. 【請求項4】 前記下部アーム又はリンク部材が、その
    一端が車輪支持部材に一点で連結され且つその他端が車
    体側部材に二点で連結されたA型アーム部材で構成され
    ることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の操
    舵輪用サスペンション装置。
  5. 【請求項5】 前記下部アーム又はリンク部材が、一端
    及び他端が車輪支持部材及び車体側部材の夫々に一点で
    連結された二本のリンク部材で構成されることを特徴と
    する請求項1乃至3の何れかに記載の操舵輪用サスペン
    ション装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007061342A (ja) * 2005-08-31 2007-03-15 Enax Inc 電動6輪車椅子
KR100872635B1 (ko) * 2007-08-17 2008-12-09 현대자동차주식회사 승용차의 프론트 서스펜션 구조
WO2016078842A1 (de) * 2014-11-19 2016-05-26 Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft Achse für räder eines zweispurigen kraftfahrzeugs und zweispuriges kraftfahrzeug mit einer solchen achse

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