JPH0697A - 不飽和鉄結合能の定量法および定量試薬 - Google Patents

不飽和鉄結合能の定量法および定量試薬

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JPH0697A
JPH0697A JP18463492A JP18463492A JPH0697A JP H0697 A JPH0697 A JP H0697A JP 18463492 A JP18463492 A JP 18463492A JP 18463492 A JP18463492 A JP 18463492A JP H0697 A JPH0697 A JP H0697A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 被検討料に過剰な鉄を添加してトランスフェ
リンに鉄を結合させ、結合しなかった残余の鉄にアコニ
ターゼを結合させ、活性化したアコニターゼを測定する
ことにより、不飽和鉄結合能を定量する。 【効果】 体液等の不飽和鉄結合能を、熟練を要するこ
となく迅速且つ簡便に定量できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は不飽和鉄結合能(以降U
IBCと略す)の酵素的定量方法に関し、さらに詳しく
は、体液等の被検試料に既知濃度の過剰な鉄を添加し、
トランスフェリンに鉄を飽和量結合させた後、結合しな
いで残余した鉄を、鉄を加えないと不活性なアポ型アコ
ニターゼ(EC 4.2.1.3)に接触せしめて活性
型とし、アコニターゼが触媒しクエン酸から生じるイソ
クエン酸をイソクエン酸脱水素酵素(EC 1.1.
1.41,EC 1.1.1.42)を検出酵素としア
コニターゼ活性を測定することによりUIBCを測定す
るUIBCの高感度な酵素的定量方法、および定量試薬
に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】体内鉄の総量は4g前後
で、その2/3は赤血球ヘモグロビン中に、残りの1/
3は貯蔵鉄として肝・脾・骨髄その他の組織に存在す
る。血清鉄の総量は3〜4mgであり、すべて血清のβ
−グロブリンに属するトランスフェリンに結合(その1
分子は鉄2原子を結合)して存在する。血清鉄濃度は、
赤血球の生成と崩壊の程度によって左右され、骨髄にお
ける造血が減退すれば血清鉄の流れは停滞して、血清鉄
濃度は上昇し、逆の場合は低下する。このことより血清
鉄濃度は造血器の機能を反映すると考えられている。ま
た貯蔵鉄の動態も血清鉄に関係があり、肝炎などでは肝
から貯蔵鉄が動員されて他の組織に移動するため、血清
鉄は上昇する。上述のように血清鉄は血液疾患(鉄欠乏
性貧血、再生不良性貧血、悪性貧血、溶血性貧血、白血
病、真性多血症など)のみでなく、各種の疾患(感染
症、急性肝炎、肝硬変症、ヘモクロマトーシス、ネフロ
ーゼなど)と関係があり、その測定は臨床検査上重要視
されている。
【0003】血清鉄はすべてトランスフェリンに結合し
て血液中に存在するが、健常人では、トランスフェリン
はおよそ1/3が鉄によって飽和されており、残りの2
/3は鉄が結合していない不飽和の状態にある。UIB
Cとはこの鉄が結合していない不飽和のトランスフェリ
ン量を鉄の結合量で表すものである。血清鉄とUIBC
の和を総鉄結合能(以降TIBCという)というのは承
知の通りである。血清鉄の測定が臨床検査上重要である
ことは前述した通りであるが、合わせてUIBCを測定
することによってさらに詳しく病態を掌握できるように
なる。UIBCの測定は特に鉄欠乏性貧血の診断に有効
で、この場合、血清鉄量の減少とUIBC・TIBCの
増大が確認される。血清鉄が減少するその他の疾病、例
えば慢性感染症、悪性腫瘍ではUIBC・TIBCも減
少するので鉄欠乏性貧血と区別が容易につく様になる。
再生不良性貧血では血清鉄の増大とUIBC・TIBC
の減少が観察される。UIBC単独で測定することだけ
でも臨床検査上意義の大きいところであるが、血清鉄と
UIBCあるいは血清鉄とTIBCを合わせて測定する
とさらに詳しい情報が得られるのでさらに意義深いもの
となる。
【0004】これまでの主なUIBC・TIBCの測定
方法としては、59Feのようなラジオアイソトープを用
いる方法、ニトロソーPSAPのようなキレート試薬を
用いる方法や原子吸光法があげられる。TIBCの基本
的測定原理は、血清に過剰な鉄を加えすべてのトランス
フェリンを飽和させる、次にトランスフェリンに結合し
ないで残余する鉄を分離・除去する、さらにトランスフ
ェリンに結合した鉄を通常の血清鉄を測定する方法・試
薬にて測定するというものである。TIBCでのもっと
も大きな問題点は、トランスフェリンに結合しないで残
余する鉄を分離・除去する工程にある。炭酸マグネシウ
ム法では鉄の沈澱能は良好であるがその後の遠心分離で
の液層分離が困難であること、イオン交換樹脂法では分
離は容易であるがイオン交換樹脂のロット間で鉄の吸着
能に差がみられるなど満足できる除去はできてはいな
い。さらにTIBCでは器具からの鉄の汚染が心配され
ることや、鉄の分離・除去工程が必ず用手法なので全自
動分析への導入が難しく多検体処理には不向きである。
UIBCでは、59Feのようなラジオアイソトープを用
いる方法ではTIBCでの問題に加えて放射能を測定す
るため特殊な施設・機器が必要となる。ニトロソーPS
APのようなキレート試薬を用いる方法では、TIBC
ほど繁雑な工程は必要でなく操作が容易なので全自動分
析にも適応できるが、健常人のUIBCは小さい(14
0〜300ug/dl)ので感度不足・不正確さ故に多
量の検体を必要とし、ヘモグロビン・ビリルビンの干渉
が生じるようになる。原子吸光法は、前処理が必要なう
え処理方法のちがいによって測定値にかなりのばらつき
がみられる他に、高価な特殊機器を必要とする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従
来法の欠点を一挙に解決して、生体内の、特に血清のU
IBCを正確に且つ熟練を要することなく簡便、迅速に
測定することができ、自動化ないし多検体処理を可能と
する、UIBCの高感度分析システムを新規に開発する
ことを、目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされたものであって、本発明者らは、U
IBCをすみやかに、かつ、正確に定量するために、鉄
と各種酵素活性との関係を詳細に検討した結果、アコニ
ターゼがその酵素活性を発現するために、鉄を要求し、
UIBCの大小に応じてアコニターゼの活性が変化する
ことを知り、そしてその変化を測定することによってU
IBCが測定できることを確認し、本発明を完成するに
至った。
【0007】アコニターゼがその活性発現に鉄を要求す
ることは良く知られている〔蛋白質核酸 酵素 Vo
l.22, No.12 1293−1302(197
7); THE JOURNAL OF BIOLOG
ICAL CHEMISTRY Vol.236, N
o.12, December 1961; THEJ
OURNAL OF BIOLOGICAL CHEM
ISTRY Vol.242. No.8, Issu
e of April 25, pp. 1870−1
879,1967; THE JOURNAL OF
BIOLOGICAL CHEMISTRY Vol.
246, No.3, Issueof Februa
ry 10. pp. 772−779,1971;
Cell, Vol.64, 881−883, Ma
rch 8,1991〕。しかしながらUIBC測定に
アコニターゼを応用した例は、従来知られていない。本
発明の方法は、健常人のような低値のUIBCを再現性
よく高感度に測定することを可能としたものである。
【0008】本発明は、UIBCの定量を行うに際し、
体液等の被検試料に既知濃度の過剰な鉄溶解液を加えト
ランスフェリンを完全に鉄で飽和させ、トランスフェリ
ンに結合しないで残余した鉄をアポ型アコニターゼに結
合させ活性型アコニターゼを形成せしめ、アコニターゼ
が触媒しクエン酸から生ずるイソクエン酸をイソクエン
酸脱水素酵素によって酸化型ニコチンアミドアデニンジ
ヌクレオチド類(以降NAD類という)または/およ
び、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン
酸類(以降NADP類という)から、還元型NAD類
(以降NADH類という)または/および、還元型NA
DP類(以降NADPH類という)への変化量としてト
ランスフェリンに結合しないで残余した鉄濃度に依存し
て変化するアコニターゼ活性を検出することによってU
IBCを測定することを基本的測定原理とするものであ
る。
【0009】59Feのようなラジオアイソトープを用い
る方法やニトロソーPSAPのようなキレート試薬を用
いる方法および原子吸光法では1個の鉄に対して1個の
応答しか得られないのに対して、本発明の酵素的定量法
は、酵素が増幅作用を示すことにより1個の鉄に対して
多数の応答が得られるという点で高感度化、精密性につ
ながる。また鉄への特異性が高いという点で現行の測定
法より優れている。
【0010】本発明の方法を良好に実施するには、
(1)トランスフェリンを完全に鉄で飽和させるための
安定なアルカリ性既知濃度の過剰な鉄溶液を調製するこ
と、(2)自動分析に対応するため、検体と鉄溶液を混
和後速やかにトランスフェリンが完全に鉄で飽和する鉄
溶液であること、(3)鉄溶液の鉄がトランスフェリン
以外に非特異吸着しない鉄溶液であることが先ず第一に
要望される。
【0011】これらの内、要望(1)は、鉄イオン元来
の性質が、硝酸・塩酸水溶液などの酸性pH下では安定
にイオンとして存在するが、微酸性からアルカリ性にす
ると水酸化鉄を形成し沈澱や器具への吸着を起こすた
め、トランスフェリンが鉄を結合するのに好都合なp
H、例えば、pH7〜10、好ましくはpH8〜9なる
pHのもとでは鉄は安定に存在しにくいため難しいが、
通常は3価鉄より幾分安定な2価鉄(硫酸第一鉄アンモ
ニウムあるいは塩化第一鉄)を用い、アスコルビン酸な
どの還元剤共存下トリスヒドロキシルメチルアミノメタ
ン(以降トリスと略す)緩衝液中で安定化をはかってい
る。これでも不充分な場合には、ニトリロ3酢酸を添加
しさらに安定性を向上させる方法(特公昭52−916
0)を本発明の方法に適応しても良い。また特開平2−
167476とは目的は異なるがキレート剤、例えば、
エチレンジアミン−N,N′−2酢酸、ヒドロキシエチ
ルイミノ2酢酸、ニトリロ3酢酸などを添加するのも効
果的である。特開平2−167476ではこれらキレー
ト剤の添加により検体と鉄溶液を混和後速やかにトラン
スフェリンが完全に鉄で飽和するようになるので、この
事は要望(2)をも満足するようになる。
【0012】また要望(2)を満足するその他の方法と
しては、グリコール酸、乳酸、α−オキシ酪酸、グリセ
リン酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸ま
たはマンデル酸の様なオキシ酸をトリスに代えて緩衝液
とするとトリスに較べて速くトランスフェリンが飽和す
る方法(特開昭60−69557)も本発明の方法に有
効となろう。そして要望(3)は、特にアルブミンへの
非特異吸着を防止する方法を組み込むかたちになるが、
例えば界面活性剤を加えることで回避できることは知ら
れている(特開平02−156160)。
【0013】本発明の方法に特開平02−156160
にあるような界面活性剤を加えると効果的であることは
確認されている。トリスおよびオキシ酸緩衝液のpHは
7〜10、好ましくは8〜9、使用する濃度としては1
〜1,000mM、好ましくは10〜500mM。キレ
ート剤の濃度としてはトランスフェリンへの鉄の結合を
阻害しない、かつ、アコニターゼへの残余鉄の結合を皆
無にしないような程度がよく、キレート剤により最適濃
度は異なるが、0.01〜100mM、好ましくは0.
1〜10mMにて使用する。界面活性剤も種類によって
最適濃度は異なるが、0.001〜10%、好ましく
は、0.01〜5%加えることにより非特異吸着はかな
り抑えることができる。
【0014】アコニターゼが鉄を結合する時、還元剤の
存在が必要である。上記鉄の安定化を目的に鉄溶液に加
えてある還元剤の還元力でアコニターゼへ鉄を結合させ
ることは可能であるが、アコニターゼ溶液に更に還元剤
を添加しても差しつかえない。有効な還元剤としては、
アスコルビン酸、チオ−グリコール酸、チオ−マレー
ト、システイン、N−アセチルシステイン、ヒドロキシ
ルアミン、2ーメルカプトエタノール、還元型グルタチ
オン、ジチオトレイトール、ジチオエリトリオール、臭
化2−アミノエチルイソチオウロニウム及びチオ−グリ
セロールなどのほかに、アコニターゼへの鉄の結合を促
進するものであれば何を使っても構わない。試薬濃度
は、0〜1.000mM、好ましくは0.1〜500m
Mを用いる。
【0015】本発明に使用できるアコニターゼとして
は、鉄の添加無添加によって活性が変化するものであれ
ば良く、特に規定されることはない。また、アポ型アコ
ニターゼの調整法としては、キレート剤処理があげられ
る。キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸類、
ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、シクロヘキ
サンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グ
リコールエーテルジアミン四酢酸、トリエチレンテトラ
ミン六酢酸、ジアミノプロパノール四酢酸、o−フェナ
ントロリンなどが有効であり、鉄を加えていない状況で
のバックグランドができるだけ小さなものが好ましい。
また、エチレンジアミン四酢酸類は、遊離酸型、アルカ
リ金属やアンモニウムなどの塩型のアルコール沈澱物で
も結晶物でもよく、特に規定されることはない。キレー
ト剤処理をしてもバックグランドが小さくならない場合
にはCM−セファロースなどで再精製をする。添加する
酵素濃度は、0.01〜100u/ml、好ましくは
0.1〜30u/mlを用いる。
【0016】アコニターゼ活性を検出するイソクエン酸
脱水素酵素としては、イソクエン酸へのKm値が小さい
ものが好適であるが、本反応によって生成されるイソク
エン酸と反応でき得るものであれば、特に規定されるこ
とはない。NAD類に特異的なものでも、NADP類に
特異的なものでも差し支えない。添加する酵素濃度は、
0.01〜200u/ml、好ましくは0.1〜20u
/mlを用いる。また、イソクエン酸脱水素酵素および
アコニターゼが、その酵素活性を発現するために、マグ
ネシウムイオンあるいはマンガンイオンを要求するが、
その試薬濃度は、0.5μM〜100mM、好ましくは
5μM〜10mMを用いる。
【0017】NAD類または/およびNADP類として
は、遊離酸型またはアルカリ金属やアンモニウムなどの
塩型のアルコール沈澱物でも結晶物でもよく、純度の高
いものほど好適であるが、一般に市販されているNAD
類、NADP類は十分に本発明に使用できる。NAD
類、NADP類としてNAD、NADPは言うまでもな
く、チオ−NAD、チオ−NADPも本発明の方法に使
用できる。他のNAD類、NADP類もイソクエン酸脱
水素酵素と反応できうるものは本発明の方法を応用でき
る。試薬濃度は、0.01〜100mM、好ましくは
0.1〜10mMを用いる。
【0018】本発明のUIBC測定用組成物は、pH7
〜10、好ましくはpH8〜9で、少なくとも鉄を含む
第一試薬と、少なくとも0.01〜300u/ml、好
ましくは0.1〜30u/mlのアコニターゼを含む第
二試薬と、少なくとも0.01〜1,000mM、好ま
しくは0.1〜100mMのクエン酸を含む第三試薬か
らなり、還元剤、イソクエン酸脱水素酵素、NAD類ま
たは/およびNADP類、マグネシウムイオンまたはマ
ンガンイオンは、第一〜第三試薬のいずれか、または、
第1〜第三試薬の複数にまたがって添加使用される。還
元剤を第一・第二試薬に、イソクエン酸脱水素酵素、N
AD類または/およびNADP類、マグネシウムイオン
またはマンガンイオンを第三試薬に添加することが、推
奨される。以上のように、本発明は、反応系に酵素を用
いることを特徴とするUIBCの定量方法である。また
本発明は、それに用いるための試薬ないし測定キットに
も関するものである。
【0019】
【発明の効果】本発明は、酵素を用いることによって
UIBCの高感度測定が可能である、測定精度が上が
る、酵素を用いることによって温和な条件での測定が
可能である、レートアッセイもできる、操作が簡便
であるという大きな効果がある。
【0020】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げてさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定さ
れるものではない。
【0021】
【実施例1】トリス−塩酸緩衝液(160mM)、pH
9(コントロール)、または、1mMの種々のキレート
剤を含む160mMトリス−塩酸緩衝液、pH9に同一
の濃度になるように硫酸第一鉄アンモニウム水溶液を加
えた。11℃にて1週間放置後、それぞれの溶液の鉄濃
度を測定した。その結果を下記の表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】表1をみて分かるように、鉄に対するキレ
ート安定化定数が比較的大きなキレート剤、ヒドロキシ
エチルイミノ2酢酸、ニトリロ3酢酸、エチレンジアミ
ン2酢酸などを加えることで鉄溶液の安定化が図られ
た。UIBCの測定原理上、この鉄溶液が設定濃度より
低い濃度になるとUIBCの測定値に正誤差をあたえる
ので(無添加ではヒドロキシエチルイミノ2酢酸、ニト
リロ3酢酸、エチレンジアミン2酢酸などの添加区に比
べて2.4倍高値に算出される)、キレート剤による鉄
安定化効果が、本発明の方法を正確かつ再現性のよいも
のにすることがわかる。
【0024】
【実施例2】下記表2に示す組成にしたがって、各試薬
を調製した。
【0025】
【表2】
【0026】検体として、0、5、10、20%牛血清
アルブミンを用意し、これら4検体について、上記した
試薬を用い、下記する操作、算出により測定を行った。
【0027】操作 1倍量の検体に10倍量の試薬1’b〜1sを加え自動
分析機(日立7150)のサンプルとした。試薬−2
(100μl)に20μlのサンプルを加え37℃で5
分間インキュベーションした。試薬−3(90μl)を
添加し同温度にて2分間インキュベーションしたのちの
1分間の340nmにおける吸光度の増加速度を測定し
た。
【0028】算出 試薬1’bまたは試薬1’sと0%牛血清アルブミン
(BSA)の組み合わせによって得られる吸光度を差し
引き190μMの鉄(つまりUIBCが0μM)の吸光
度変化量(V0)とした。5〜20%のBSAと試薬
1’bまたは試薬1’sとの組み合わせによって得られ
る吸光度を差し引き吸光度変化量(v)とした。
【0029】UIBC(μM)=(V0−v)/V0
×190なる式に導入しUIBCをもとめた。試薬1b
または試薬1sを用いた時も同様に算出した。その結果
を下記の表3に示す。
【0030】
【表3】
【0031】表3にあるように、N−ラウロイルサルコ
シネートを鉄溶液に添加していないと、BSA濃度が大
きくなるにつれてBSAへの鉄の非特異的吸着が増え、
あたかもUIBC値が増加しているように観察される。
一方、N−ラウロイルサルコシネートを鉄溶液に添加し
ておくと、BSAへの鉄の非特異的吸着が抑えられBS
A濃度が大きくなってもUIBC値の増加は認められな
い。本発明の方法にもアルブミンなど血清蛋白質への鉄
の非特異的吸着を抑えるために界面活性剤、特に陰イオ
ン性の界面活性剤を鉄溶液に添加することが有効である
ことが分かる。
【0032】
【実施例3】下記表4に示す組成にしたがって各試薬を
調製し、下記する操作により自動分析機での測定を行っ
た。
【0033】
【表4】
【0034】操作 試薬−1’b:試薬−1’sを5:0.4:1.3:
2.2:3.1:4.0:5に混合したものを自動分析
機(日立7150)のサンプルとした。試薬−2(10
0μl)に7μlのサンプルを加え、37℃で5分間イ
ンキュベーションした。試薬−3(NAD系またはNA
DP系、90μl)を添加し同温度にて2分間インキュ
ベーションしたのちの1分間の340nmにおける吸光
度の増加速度を測定した。試薬−1’b:試薬−1’s
が5:0である吸光度の変化量をブランク値とし差し引
きプロットした。その結果を図1に示す。
【0035】図1にあるように本発明の方法は0〜19
0μMのUIBC値に対し良好な直線性を示した。
【0036】
【実施例4】下記表5に示す組成にしたがって各試薬を
調製し、下記する操作により自動分析機での測定を行っ
た。
【0037】
【表5】
【0038】操作 3種の血清に等量の試薬−1b及び試薬−1sを混合し
たものを自動分析機(日立7150)の検体サンプルと
した。0.9%のNaClに等量の試薬−1b及び試薬
−1sを混合したものを自動分析機(日立7150)の
盲検及び標準サンプルとした。試薬−2(100μl)
に5μlのサンプルを加え37℃で5分間インキュベー
ションした。試薬−3(90μl)を添加し同温度にて
2分間インキュベーションした後の1分間の340nm
における吸光度の増加速度を測定した。0.9%のNa
Clに等量の試薬−1bを混合したものから得られる吸
光度の増加速度をブランク値として0.9%のNaCl
に等量の試薬−1sを混合したものから得られる吸光度
の増加速度から差し引きUIBCのスタンダードカーブ
を作図した。検体サンプルは、血清に試薬−1sを加え
て得られる吸光度の増加速度から血清に試薬−1bを加
えて得られる吸光度の増加速度をブランク値とし差し引
きスタンダードカーブにあてはめた。その結果を図2に
示す。図中、血清の位置を矢印で示した。
【0039】図2にあるように、本発明の方法によって
3種の血清UIBCが求められ、それぞれ、4.5μ
M、13.4μM、18.3μMであることがわかっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3に記載した方法によるUIBCの測定
カーブである。
【図2】実施例4に記載した方法によるUIBCの測定
カーブ及びこれより得られる血清のUIBC値を示す。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄を活性化因子とするアコニターゼを用
    いて不飽和鉄結合能を測定することを特徴とする不飽和
    鉄結合能の酵素的定量方法。
  2. 【請求項2】 被検試料に過剰な鉄を添加し、被検試料
    中のトランスフェリンに鉄を結合させる工程と、結合し
    ないで余った鉄をアコニターゼに結合させる工程と、ア
    コニターゼ活性を測定する工程からなることを特徴とす
    る請求項1に記載の不飽和鉄結合能の酵素的定量方法。
  3. 【請求項3】 トランスフェリンに鉄を結合させる工程
    にキレート剤を添加することを特徴とする請求項1また
    は請求項2に記載の不飽和鉄結合能の酵素的定量方法。
  4. 【請求項4】 トランスフェリンに鉄を結合させる工程
    に界面活性剤を添加することを特徴とする請求項1また
    は請求項2に記載の不飽和鉄結合能の酵素的定量方法。
  5. 【請求項5】 アコニターゼ活性をイソクエン酸脱水素
    酵素によって検出することにより不飽和鉄結合能を測定
    することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1
    項に記載の不飽和鉄結合能の酵素的定量方法。
  6. 【請求項6】 イソクエン酸脱水素酵素の補酵素とし
    て、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド類または/
    および、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸
    類、を用いることを特徴とする請求項5に記載の不飽和
    鉄結合能の酵素的定量方法。
  7. 【請求項7】 鉄を活性化因子とするアコニターゼを用
    いて不飽和鉄結合能を測定することを特徴とする不飽和
    鉄結合能の酵素的定量試薬。
  8. 【請求項8】 被検試料に過剰な鉄を添加し、トランス
    フェリンに鉄を結合させる工程と、結合しないで余った
    鉄をアコニターゼに結合させる工程と、アコニターゼ活
    性を測定する工程からなることを特徴とする請求項7に
    記載の不飽和鉄結合能の酵素的定量試薬。
  9. 【請求項9】 トランスフェリンに鉄を結合させる試薬
    にキレート剤を添加することを特徴とする請求項7また
    は請求項8に記載の不飽和鉄結合能の酵素的定量試薬。
  10. 【請求項10】 トランスフェリンに鉄を結合させる試
    薬に界面活性剤を添加することを特徴とする請求項7ま
    たは請求項8に記載の不飽和鉄結合能の酵素的定量試
    薬。
  11. 【請求項11】 アコニターゼ活性をイソクエン酸脱水
    素酵素によって検出することにより不飽和鉄結合能を測
    定することを特徴とする請求項7〜請求項10のいずれ
    か1項に記載の不飽和鉄結合能の酵素的定量試薬。
  12. 【請求項12】 イソクエン酸脱水素酵素の補酵素とし
    て、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド類または/
    および、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸
    類、を用いることを特徴とする請求項11に記載の不飽
    和鉄結合能の酵素的定量試薬。
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CN111007023B (zh) * 2019-12-11 2024-05-10 天津中成佳益生物科技有限公司 一种血清总铁结合力检测试剂盒及其配制方法和检测方法

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