JPH0696745A - ハロゲン電球及びその製造方法 - Google Patents

ハロゲン電球及びその製造方法

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JPH0696745A
JPH0696745A JP26907292A JP26907292A JPH0696745A JP H0696745 A JPH0696745 A JP H0696745A JP 26907292 A JP26907292 A JP 26907292A JP 26907292 A JP26907292 A JP 26907292A JP H0696745 A JPH0696745 A JP H0696745A
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bulb
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light
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Takeshi Sasagawa
健 笹川
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GIKEN KAGAKU KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 黄色反射光による色むらを解消し、高純度の
白色光を放射する光干渉膜を備えたハロゲン電球及びそ
の製造方法を提供する。 【構成】 石英ガラス等の耐熱性透光性ガラスで形成し
たハロゲン電球バルブ1内にフィラメント2a,2bを
配置し、バルブ1の外面には、コバルトとアルミウニム
とリンの複合酸化物からなる黄色吸収膜111 と、SiO2
膜からなる低屈折率層82と、TiO2 膜からなる高屈折率
層81とを交互に積層してなる光干渉膜11を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ハロゲン電球及びそ
の製造方法に関し、特に高純度の白色光を放射する、自
動車等のヘッドライト及びフォグランプに適するハロゲ
ン電球及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ヘッドライト又はフォグランプ
に用いられている自動車用ハロゲン電球は、やや赤味を
帯びている白色光である。この赤味を減少させることに
より、更に白色度を向上させることができる。この赤味
を減少させる手段として光干渉理論における多層干渉膜
を施すことは一つの有効的な手段であり、従来より提案
されている。そしてこの多層干渉膜を施したハロゲン電
球は、白色度が向上することにより運転者や歩行者に対
して視認性が向上し、ひいては安全性の向上に寄与して
いる。
【0003】次に、従来の多層干渉膜付のハロゲン電球
の構成例を、図4に基づいて説明する。このハロゲン電
球は、アルミノケイ酸ガラス又はバイコールガラス、あ
るいは石英ガラス製のガラスバルブ1内に、その中心軸
に平行に2つのフィラメント2a,2bが備え付けられ
ている。上側のサブフィラメント2aには、対向車側に
光が当たらないようにするために、リード線3に接続さ
れたシェード板4が設けられており、サブフィラメント
2aの両端部は該シェード板4とリード線5に接続され
ている。また、メインフィラメント2bの両端部はリー
ド線3,6に接続されている。リード線3,5,6はブ
リッジガラス7で一体化されている。そしてガラスバル
ブ1の外面には多層干渉膜8が形成されており、ガラス
バルブ1の端部には口金9が取り付けられている。な
お、ガラスバルブ1の頂部外面には遮光膜10が形成され
ている。
【0004】次に、前記多層干渉膜8の構成について説
明する。図5は、この多層干渉膜部分の構成を拡大して
示す模式的な断面図である。この多層干渉膜8は、図5
で示すようにガラスバルブ1の外面に高屈折率層である
酸化チタン薄層81、次に低屈折率層である酸化ケイ素薄
層82、更に高屈折率層である酸化チタン薄層81で形成さ
れる高色温度型フィルターで構成されている。この高色
温度型フィルターである多層干渉膜8の分光透過率曲線
を図6に示す。この分光透過率曲線からわかるように、
400 nm〜500 nmの光を透過し、600 nm〜700 nmを中心と
する光を反射する特性を有している。そして、このよう
な多層干渉膜8を施したハロゲン電球は、青色を中心と
する光を透過するため淡い青色を呈し、その外観は黄色
を中心とする光を反射するため黄色に見える。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような多
層干渉膜を施したハロゲン電球をヘッドライトに装着し
て用いると、次のような不都合な点があることが判明し
た。すなわち、この多層干渉膜とヘッドライト内の反射
板との複雑な光の反射及び屈折により、その外観上、黄
色の反射光が視認される。また、ランプ点灯時も上記と
同様の理由により、その放射する光は黄色を含む色温度
の高い白色光となり、黄色と白色光が混色した状態とな
って色むらが生じるという問題があった。本発明は、従
来の多層干渉膜を施したハロゲン電球の上記問題点を解
決するためになされたもので、色むらを解消する光干渉
膜を具備した高純度の白色光を放射するハロゲン電球及
びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】上記問題点を解
決するため、本発明は、内部にフィラメントを有する耐
熱透光性基体からなるハロゲン電球バルブの外面に、高
屈折率層と低屈折率層を交互に積層して形成される多層
干渉膜内に少なくとも一層以上の黄色吸収膜を含むこと
により構成される光干渉膜を設けてハロゲン電球を構成
するものである。
【0007】本件発明者は、黄色光を透過し青色を中心
とする光を反射する多層干渉膜を施したハロゲン電球に
おいて、その青色を中心とする光と黄色光との混色を防
止した光干渉膜付ハロゲン電球を先に提案した(特願平
3−180443号参照)。この光干渉膜は、黄色着色
膜と高屈折率層である酸化チタンと低屈折率層である酸
化ケイ素とで構成することにより、青色を中心とする光
が混色する状態を防止し、黄色光のみを放射するという
特性がある。
【0008】本件発明者は、上記先に提案した光干渉膜
の特性から、同様に高色温度型フィルターにおける黄色
反射光と色温度の高い白色光との混色は、黄色吸収膜で
ある青色着色膜により防止できるものと着眼し検討を行
った。そこでまず青色着色膜について検討を行った。そ
の結果、ガラス等の耐熱透光性基体表面へ、コバルトと
アルミウニムとリンの有機金属化合物を、所定の割合で
混合した後、有機溶剤に可溶せしめ上記耐熱透光性基体
にディップコーテングを行い、300 ℃以上で、その基体
が変形もしくは変質を起こす温度未満の温度で熱処理す
ると、コバルトとアルミウニムとリンの複合酸化物が形
成され、それにより基体表面が淡い青色に変化すること
を見出した。
【0009】そこで、この黄色吸収膜である淡い青色着
色膜に、酸化チタン等の高屈折率膜と酸化ケイ素等の低
屈折率膜による誘電体を利用した多層干渉膜を含ませて
構成した交互積層膜からなる光干渉膜をハロゲン電球に
用いたところ、従来の高色温度型フィルターである多層
干渉膜の問題点である黄色反射光による色むらを解消
し、高純度の白色光が得られることが確認された。よっ
て本発明は上記構成の光干渉膜を用いるものである。
【0010】なお上記記載の青色着色膜を形成する有機
溶剤可溶性有機金属化合物としては、例えば、コバルト
化合物としては、一般式:Co(OR)2 で表され、式中
のRが炭素数1〜18の一価の炭化水素基の同種であるジ
エトキシコバルト,ジイソプロポキシコバルト,ジノル
マルブトキシコバルト等のコバルトアルコキシド・モノ
マー、前記コバルトアルコキシド・モノマーの加水分解
縮合物(コバルトアルコキシド・ポリマー)及び前記コ
バルトアルコキシド・モノマーとコバルトアルコキシド
・ポリマーとの混合物が使用される。また、前記コバル
トアルコキシド・モノマー,コバルトアルコキシド・ポ
リマー及びそれらの混合物と、酢酸,プロピオン酸,高
級脂肪酸等のカルボン酸及びあるいは、アセチルアセト
ン等のβ−ジケトン類,アセト酢酸メチル,アセト酢酸
エチル等のβ−ケトエステル類,乳酸,リンゴ酸等のヒ
ドロキシ酸,ジエタノールアミン,トリエタノールアミ
ン等のアミルアルコール類等又はこれらの混合物など
の、コバルト原子とキレート環を形成し得るキレート化
剤とを、反応させて得られるコバルト化合物等が使用さ
れる。
【0011】また、オクチル酸コバルト,ステアリン酸
コバルト等の有機金属塩及び、硝酸コバルト,塩化コバ
ルト等の無機金属塩等、上記記載のキレート化剤を使用
することにより有機溶剤可溶性物質として使用できる。
【0012】アルミニウム化合物としては、例えば、一
般式:Al(OR)3 で表され、式中のRが炭素数1〜18
の一価の炭化水素基の同種又は異種であるトリエトキシ
アルミニウム,トリイソプロポキシアルミニウム,モノ
sec−ブトキシジイソプロポキシアルミニウム,エチ
ルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート,
アルミニウムトリスエチルアセトアセテート,アルキル
アセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等の
アルミウニムアルコキシド・モノマー、前記アルミニウ
ムアルコキシド・モノマーの加水分解縮合物(アルミニ
ウムアルコキシド・ポリマー)及び前記アルミニウムア
ルコキシド・モノマーとアルミニウムアルコキシド・ポ
リマーとの混合物が使用される。
【0013】また、前記アルミニウムアルコキシド・モ
ノマー,アルミニウムアルコキシド・ポリマー及びそれ
らの混合物と、酢酸,プロピオン酸,高級脂肪酸等のカ
ルボン酸及びあるいは、アセチルアセトン等のβ−ジケ
トン類,アセト酢酸メチル,アセト酢酸エチル等のβ−
ケトエステル類,乳酸,リンゴ酸等のヒドロキシ酸,ジ
エタノールアミン,トリエタノールアミン等のアミノア
ルコール類等又はこれらの混合物などのアルミニウム原
子とキレート環を形成し得るキレート化剤とを、反応さ
せて得られるアルミニウム化合物等が使用される。
【0014】リン化合物としては、五酸化二燐,リン酸
等の無機化合物,トリエチルホスヘート,トリブチルホ
スヘート等の正リン酸エステル,メチルアシッドホスヘ
ート,イソプロピルアシッドホスヘート等の酸性リン酸
エステル,トリストリデシルホスファイト,ジブチルハ
イドロジエンホスファイト等の亜リン酸エステル等の有
機リン酸化合物及びこれらの混合物が使用される。
【0015】
【実施例】次に実施例について説明する。図1は、本発
明に係るハロゲン電球の一実施例を示す断面図であり、
図2は、その光干渉膜部分の構成を拡大して示す模式的
断面図である。この実施例のハロゲン電球も従来例と同
様に、アルミノケイ酸ガラス又はバイコールガラスある
いは石英ガラス等の耐熱性で透明なガラスバルブ1を備
え、該ガラスバルブ1内にその中心軸に平行に2つのフ
ィラメント2a,2bが備え付けられている。上側のサ
ブフィラメント2aには、対向車側に光が当たらないよ
うにするために、リード線3に接続されたシェード板4
が設けられており、サブフィラメント2aの両端部は該
シェード板4とリード線5に接続されている。また、メ
インフィラメント2bの両端部はリード線3,6に接続
されている。リード線3,5,6はブリッジガラス7で
一体化されている。そしてガラスバルブ1の外面には光
干渉膜11が形成されており、ガラスバルブ1の端部には
口金9が取り付けられている。なお、ガラスバルブ1の
頂部外面には遮光膜10が形成されている。
【0016】次に、上記光干渉膜11の構成について説明
する。光干渉膜11は、図2の拡大断面図に示すように、
コバルトとアルミウニムとリンの複合酸化物からなる黄
色吸収膜111 と、SiO2 薄層などの低屈折率層82と、Ti
2 薄層などの高屈折率層81を交互に積層し、この実施
例では5層膜で構成されている。そして、この5層膜で
構成された光干渉膜11は、図3の分光透過率曲線(実
線)に示すように、400nm〜500 nmの光を透過し、600 n
m〜700 nmの光を反射する機能を有し、更に点灯時に黄
色による光の混色を防止する機能を有するものである。
なお図3に、比較のため従来の多層干渉膜の分光透過率
曲線を点線で示している。
【0017】次に上記光干渉膜11を構成する黄色吸収膜
111 、及び高屈折率層(TiO2 )81並びに低屈折率層
(SiO2 )82の各形成剤について説明する。
【0018】(1)黄色吸収膜形成剤 まず、コバルトのアルコキシド、例えばジイソプロポキ
シコバルトCo(O−i−C3 7 2 、及びアルミニウ
ムのアルコキシド、例えばトリイソプロポキシアルミニ
ウムAl(O−i−C3 7 3 を所定の比率で溶解した
ベンゼン溶液を用意し、数時間乾燥窒素を流しながら混
合する。次に、所定量の水を含むエタノール溶液を加
え、更にキレート化剤としてアセト酢酸エチル(C6
103 )等を加え、更に数時間反応をさせた後、減圧蒸
留にてベンゼン,エタノール等を取り出す。反応生成物
を暫く放置した後、所定量の五酸化二燐を溶解したエタ
ノール溶液を加える。更に、酢酸エチル等の有機溶媒を
加え、溶液の濃度及び粘度を所定の値に調整する。
【0019】(2)高屈折率層(TiO2 )形成剤 チタンアルコキシド,例えばテトラブトキシチタンTi
(O−C4 9 4 をアセチルアセトン(C5
8 2 )等によりキレート化した有機チタン化合物に、
エタノール,酢酸エチル等の有機溶媒を加え、溶液の濃
度及び粘度を所定の値に調整する。
【0020】(3)低屈折率層(SiO2 )形成剤 ケイ素アルコキシド,例えばテトラエトキシシランSi
(O−C2 5 4 を加水分解し脱水縮合を経て作成し
た有機ケイ素ポリマーに、エタノール,酢酸エチル等の
有機溶媒を加え、溶液の濃度及び粘度を所定の値に調整
する。
【0021】次に、上記各形成剤を用いた光干渉膜11の
形成方法について説明する。まず第一層目として、上記
黄色吸収膜形成剤を使用し、この溶液にハロゲン電球の
バルブ1を浸漬し、一定速度で引き上げ、乾燥した後、
約550 〜650 ℃の大気中で数分間熱処理を行い、バルブ
1の外表面に光学膜厚nd=150 〜180 nm前後の膜厚を
有する第一層目の黄色吸収膜111 を形成する。次に、第
二層目として、低屈折率層形成剤を使用して、上記黄色
吸収膜111 を形成したバルブ1を浸漬し、一定速度でこ
れを引き上げ乾燥した後、約550 〜650 ℃の大気中で数
分間熱処理して、光学膜厚nd=75〜90nm前後の膜厚を
有する第二層目のSiO2 薄膜からなる低屈折率層82を形
成する。更に、第三層目として、黄色吸収膜111 を上記
と同様の操作により形成し、また更に第四層目として、
SiO2 薄膜からなる低屈折率層82を上記同様の操作によ
り形成する。そして最終層である第五層目に、高屈折率
層形成剤を使用して、第一層から第四層まで交互に積層
したバルブ1を浸漬し、一定速度で引き上げ、乾燥した
後、約550 〜650 ℃の大気中で数分間熱処理を行い、光
学膜厚nd=150 〜180 nm前後の膜厚を有するTiO2
らなる高屈折率層81を形成する。このようにして、少な
くとも一層の黄色吸収膜111 、及び高屈折率層81、更に
低屈折率層82を交互に積層して構成された光干渉膜11が
形成される。
【0022】以上のように、バルブの外表面に本発明に
係る光干渉膜を施したハロゲン電球と、従来の多層干渉
膜等の光学薄膜を施したハロゲン電球と、バルブの外表
面に光学薄膜を施さないハロゲン電球を点灯し、JIS
規格D5500−1984で定められている測定点によ
り特性を測定した結果を、表1〜5に示す。表1は、本
発明に係る光干渉膜を施したハロゲン電球を、角度H−
V地点で測定した結果を示している。表2は、TiO2
の高屈折率層とSiO2 等の低屈折率層を交互に積層した
多層干渉膜のみを施した従来のハロゲン電球を、角度H
−V地点で測定した結果である。表3は、表1と同様
に、本発明に係る光干渉膜を施したハロゲン電球を、角
度2D−V〜3D−V地点で測定した結果である。表4
は、表2と同様に、多層干渉膜を用いた従来のハロゲン
電球を、角度2D−V〜3D−V地点で測定した結果で
ある。表5には、バルブ外表面に光学薄膜を施さないハ
ロゲン電球の測定した結果を示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】
【表5】
【0028】上記表1から表5において、色度座標x,
yは、JIS規格のZ8724−1983によるXYZ
表色系の色度座標より計算した値を示している。また、
色温度は、JIS規格のZ8725−1987により求
めた値を示している。
【0029】ガラスバルブ表面に何も光学薄膜を施さな
い一般的なハロゲン電球を基準とした場合、測定点を角
度H−V地点とした測定において、上記表1及び表2と
表5の測定結果の比較から分かるように、光干渉膜を施
したハロゲン電球及び多層干渉膜を施したハロゲン電球
の色度座標x,yは、JIS規格のD5500−198
4で定められている白色光の色度座標、0.500 ≧x≧0.
310 ,y≦0.15+0.640 x,y≧0.050 +0.75x,0.44
0 ≧y≧0.382 内に十分収まっており、且つメイン,
サブフィラメント共に色度座標は、より白色側に近付い
ている。このことは、色温度を比較しても良く分かる。
そして、光干渉膜を施したハロゲン電球と多層干渉膜を
施したハロゲン電球の優位差は殆ど見られない。
【0030】一方、上記と同様に測定点を角度2D−V
〜3D−Vとした測定においては、上記表3,表4及び
表5の測定結果の比較から分かるように、黄色吸収膜を
含む光干渉膜を施した本発明に係るハロゲン電球の色度
座標は、メイン,サブフィラメント共に表1に示した角
度H−V地点の測定値と殆ど変わらず、上記JIS規格
のD5500−1984で定められている白色光の色度
座標を十分に満足するものである。これに対し、多層干
渉膜を施した従来のハロゲン電球の色度座標は、メイ
ン,サブフィラメント共にJIS規格の白色光の範囲内
の値を有しているが、淡い黄色を含む白色側に、より移
動している。したがって、角度2D−V〜3D−Vの範
囲において、光の混色による色むらが生じていることを
示すものである。
【0031】以上の測定結果は、全体として黄色吸収膜
を含む光干渉膜が多層干渉膜より純粋な色温度の高い白
色光を放射し、且つ酸化コバルト,酸化アルミニウム,
リン酸化物からなる複合酸化物が黄色吸収特性を十分有
することを示している。このように上記測定結果から分
かるように、本発明においては、上記JIS規格を十分
に満足するものであり、なお且つ従来の多層干渉膜の欠
点である黄色による混色を防止し、より純粋な色温度の
高い白色光を放射する従来にはない特性を有するもので
あることが確認された。
【0032】上記実施例では、黄色吸収膜を第一層及び
第三層に設け、最終層である第五層目に酸化チタンを施
して光干渉膜を構成したものを示したが、黄色吸収膜の
配置位置は奇数層であれば任意の位置で良い。(但し、
第一層目に光学膜厚nd=75〜90nm以下の膜厚を有する
SiO2 層を設けた場合は、光干渉膜は偶数層になる。)
そして上記のように黄色吸収層を任意の位置に設けた場
合、酸化チタン層も最終層とは限らない。また一層とし
た高屈折率層についても、例えば第一層目に黄色吸収膜
を、第三層目に酸化ジルコニウム,酸化タンタル及び酸
化チタンまたこれらの複合酸化物等からなる高屈折率層
を、第五層目にも第三層目と同様の物質を使用して高屈
折率層を設けて光干渉膜を構成することも可能である。
【0033】また上記実施例では光干渉膜の層数を五層
としたものを示したが、もちろんこれ以上の層数によっ
ても光干渉膜を構成できる。しかし、層数の増加は光束
の低下及びコストアップに繋がり、あまり好ましいもの
でない。
【0034】また上記実施例では、黄色吸収膜として、
酸化コバルトと酸化アルミニウムとリン酸化物との複合
酸化物によって形成したが、この組成比は、次に示すモ
ル分率の範囲内に入る。 M1=Co M2=Al M3=P (M=金属) 0.157 ≦M1≦0.546 0.234 ≦M2≦0.662 0.111 ≦M3≦0.394 M1=1.000 −(M2+M3) M2=1.000 −(M1+M3) M3=1.000 −(M1+M2) 且つ、M1+M2+M3=1.000
【0035】また本発明においては、光干渉膜を構成す
る多層干渉膜の高屈折率層には、上記酸化チタンに限ら
ず、酸化ジルコニウム,酸化タンタルなどの高屈折率層
として従来から用いられている物質のいずれでも用いる
ことができるが、好ましくは、有機溶剤可溶性の有機金
属化合物からできる酸化物の中で最も屈折率が高く、且
つ取り扱いが簡便な酸化チタンが最も好ましい。一方、
低屈折率層には上記酸化ケイ素以外に、酸化アルミニウ
ム,酸化アルミニウムと酸化ケイ素の複合酸化物等のい
ずれでも用いることができるが、好ましくは、有機溶剤
可溶性の有機金属化合物からできる酸化物の中で最も屈
折率が低く、且つ取り扱いが簡便な酸化ケイ素が最も好
ましい。また光干渉膜を形成する、チタン,ケイ素,コ
バルト,アルミニウム,リンの出発原料は上記実施例で
説明したものに限られないことも勿論である。
【0036】
【発明の効果】以上実施例に基づいて説明したように、
本発明によれば、ハロゲン電球バルブの外表面に、少な
くとも一層の黄色吸収膜と、高屈折率層と低屈折率層を
含む交互積層により構成された光干渉膜を設けたので、
白色光と黄色光との混色が極めて少なく、色むらを解消
したより純粋な且つ色温度の高い白色光を放射するハロ
ゲン電球を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るハロゲン電球の一実施例を示す断
面図である。
【図2】図1に示したハロゲン電球の光干渉膜部分を拡
大して示す模式的断面図である。
【図3】図2に示した光干渉膜の分光透過率曲線を示す
図である。
【図4】従来の多層干渉膜を設けたハロゲン電球の構成
例を示す断面図である。
【図5】図4に示したハロゲン電球の多層干渉膜部分を
拡大して示す模式的断面図である。
【図6】図5に示した多層干渉膜の分光透過率曲線を示
す図である。
【符号の説明】
1 バルブ 2a,2b フィラメント 3,5,6 リード線 4 反射鏡 7 ブリッジガラス 8 多層干渉膜 9 口金 10 遮光膜 11 光干渉膜 81 高屈折率層 82 低屈折率層 111 黄色吸収膜

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部にフィラメントを有する耐熱透光性
    基体からなるハロゲン電球バルブの外面に、高屈折率層
    と低屈折率層を交互に積層して形成される多層干渉膜内
    に少なくとも一層以上の黄色吸収膜を含むことにより構
    成される光干渉膜を具備することを特徴とするハロゲン
    電球。
  2. 【請求項2】 前記黄色吸収膜は、酸化コバルトと酸化
    アルミニウム及びリン酸化物の複合酸化物からなる薄膜
    で構成されることを特徴とする請求項1記載のハロゲン
    電球。
  3. 【請求項3】 内部にフィラメントを有する耐熱透光性
    基体からなるハロゲン電球バルブの外面に、高屈折率層
    と低屈折率層を交互に積層して形成される多層干渉膜内
    に少なくとも一層以上の黄色吸収膜を含むことにより構
    成される光干渉膜を備えたハロゲン電球の製造方法にお
    いて、前記黄色吸収膜は、有機溶剤可溶性のコバルト化
    合物とアルミニウム化合物とリン化合物との混合物の有
    機溶剤溶液、又は前記各化合物とそれらの間の反応生成
    物を含有する混合物の有機溶剤溶液を、ハロゲン電球バ
    ルブの外面に塗布し熱処理することにより形成すること
    を特徴とするハロゲン電球の製造方法。
JP26907292A 1992-09-14 1992-09-14 ハロゲン電球及びその製造方法 Pending JPH0696745A (ja)

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