JPH0695441A - 電子写真式平版印刷用原版 - Google Patents

電子写真式平版印刷用原版

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JPH0695441A
JPH0695441A JP1936093A JP1936093A JPH0695441A JP H0695441 A JPH0695441 A JP H0695441A JP 1936093 A JP1936093 A JP 1936093A JP 1936093 A JP1936093 A JP 1936093A JP H0695441 A JPH0695441 A JP H0695441A
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group
resin
polymer
acid
polymer component
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JP1936093A
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English (en)
Inventor
Eiichi Kato
栄一 加藤
Hiroshi Tashiro
宏 田代
Akihisa Oda
晃央 小田
Kazuo Ishii
一夫 石井
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 光導電層に、−COOH基並びに−SO3
H基、−SO2 H基及び−PO3 2 基の少なくとも1
つを生成する官能基を含有し架橋構造を有する樹脂を含
有する電子写真式平版印刷用原版である。 【効果】 樹脂の特定の親水性基により、地汚れのな
い不感脂化性に優れた、高耐刷性を有する平版印刷用原
版を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真方式で製版さ
れる電子写真式平版印刷用原版に関するものであり、特
に、該平版印刷用原版の光導電層形成用組成物の改良に
関する。
【0002】
【従来の技術】現在ダイレクト製版用のオフセット原版
には多種のものが提案され且つ実用化されている。中で
も、導電性支持体上に酸化亜鉛のごとき光導電性粒子及
び結着樹脂を主成分とした光導電層を設けた感光体を通
常の電子写真工程を経て、感光体表面に親油性の高いト
ナー画像を形成させ、続いて該表面をエッチ液と言われ
る不感脂化液で処理し非画像部分を選択的に親水化する
ことによってオフセット原版を得る技術が広く用いられ
ている。
【0003】良好な印刷物を得るには、先ずオフセット
原版に原画が忠実に複写されると共に、感光体表面が不
感脂化処理液となじみ易く、非画像部が充分に親水化さ
れると同時に耐水性を有し、更に印刷においては画像を
保持する光導電層表面が離脱しないこと、及び湿し水と
のなじみがよく、印刷枚数が多くなっても汚れが発生し
ないように充分に非画像部の親水性が保持されること、
等の性能を有する必要がある。
【0004】これらの性能には、光導電層中の酸化亜鉛
と結着樹脂の比率が影響することは既に知られており、
例えば、光導電層の酸化亜鉛粒子に対する結着樹脂の比
率を小さくすれば、光導電層表面の不感脂化性が向上
し、地汚れは少なくなるが、他方で光導電層自体の内部
凝集力が低下し、機械的強度不足による耐刷力の低下が
生じる。逆に、結着樹脂の比率を大きくすると、耐刷力
は向上するが、地汚れが増大する。特に地汚れは、光導
電層表面の不感脂化性の良否に関係する現象であること
は言うまでもないが、光導電層表面の不感脂化性は、光
導電層中の酸化亜鉛と結着樹脂の比率のみによって左右
されるものではなく、結着樹脂の種類によっても、大き
く左右されることが明らかになってきている。
【0005】特に、オフセット原版としては、前記のよ
うに不感脂化性不充分による地汚れ発生が大きな問題で
あり、これを改良するために、不感脂化性を向上させる
酸化亜鉛結着用樹脂の開発が種々検討されてきている。
例えば、特公昭50−31011号公報では、フマル酸
存在下で(メタ)アクリレート系モノマーと他のモノマ
ーと共重合させた、重量平均分子量1.8〜10×10
4 で、ガラス転移点(Tg)が10〜80℃の樹脂と、
(メタ)アクリレート系モノマーとフマル酸以外の他の
モノマーとから成る共重合体とを併用したもの、又特開
昭53−54027号公報では、カルボン酸基をエステ
ル結合から少なくとも原子数7個離れて有する置換基を
もつ(メタ)アクリル酸エステルを含む3元共重合体を
用いるもの、又特開昭54−20735、同57−20
2544各号公報では、アクリル酸及びヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレートを含む4元又は5元共重合体を
用いるもの、又特開昭58−68046号公報では、炭
素数6〜12のアルキル基を置換基とする(メタ)アク
リル酸エステル及びカルボン酸含有のビニルモノマーを
含む3元共重合体を用いるもの等が光導電層の不感脂化
性の向上に効果があると記載されている。
【0006】しかし、上記した不感脂化性向上に効果が
あるとされる樹脂であっても、現実に評価してみると、
地汚れ、耐刷力において未だ満足できるものではなかっ
た。又は、これら光導電性酸化亜鉛を利用した平版印刷
用原版は、公知の如く、酸化亜鉛を酸性条件下の不感脂
化処理液で化学処理することで表面を親水化するが、良
好な不感脂化能を示す処理液としては、黄血塩を主剤と
して含有するものに限定されている。これらの制約によ
り、主剤として黄血塩を含有する不感脂化処理液の廃液
処理方法の限定が必要となっている事、又、酸性条件を
維持して印刷する必要がある事から、中性紙印刷用紙を
用いると、印刷可能な枚数が急激に減少してしまうこと
(即ち、耐刷性の劣化)、あるいは、不感脂化の原理が
キレート化反応による親水化物の生成であることから、
印刷中に色インキ中に含有される多価金属イオンと相互
作用を生じ易く、それによりインキの異常乳化を生じ、
結果として、特にカラー印刷を行なう場合に、耐刷枚数
が低下してしまうこと等の種々の問題及び制約があっ
た。
【0007】こうした問題点を軽減もしくは、解決する
手段として、光導電層の結着樹脂を化学反応処理で親水
性に改質して、非画像部に親水性を付与する技術が開示
された。例えば、結着樹脂として、分解により親水性基
を生成する官能基を含有する樹脂を用いるものが検討さ
れており、例えば分解によりヒドロキシル基を生成する
官能基を含有するもの(特開昭62−195684、同
62−210475、同62−210476各号公報)
や、分解によりカルボキシル基を生成する官能基を含有
するもの(特開昭62−212669号、同62−28
6064号、特開平1−63977号各公報等)や、分
解によりスルホ基、ホスホノ基等を生成する官能基を含
有するもの(特開昭63−260439、特開平1−7
0767号公報等)等が挙げられる。更には、これら分
解してカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基又はヒド
ロキシル基を生成する各重合体成分を含有する樹脂粒子
を光導電層中に含有させる光導電層組成物の改良が検討
されており、例えば、特開平1−261658号、同1
−284856号、同1−287571号各公報等が挙
げられる。これらの技術を用いた平版は、明らかに、従
来の版に比べ保水性が向上することが確認された。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、平版印刷用原
版として、更に詳細に評価して見ると、オフセット印刷
機上での印刷条件の変動(例えば印刷中での湿し水の供
給量の変動等)あるいは印刷機の種類(シンフロー方式
かモルトン方式)によって、印刷時に地汚れが発生し、
刷り出してから地汚れのない印刷物が得られるまでの印
刷枚数の増加,地汚れを生じない印刷枚数の低下等、印
刷時に安定して高耐刷を得るためのラチチュードが狭い
ことが問題となった。
【0009】本発明は、以上のような従来の電子写真式
平版印刷用原版の有する問題点を改良するものである。
すなわち、本発明の1つの目的は、オフセット原版とし
て、印刷工程における印刷条件が変動しても且つカラー
印刷をしても安定して、全面一様な地汚れは勿論、点状
の地汚れをも発生させない、不感脂化性の優れた平版印
刷用原版を提供することである。本発明のもう1つの目
的は、印刷方式の異なるいかなるオフセット印刷機に対
しても刷り出し時の損紙が非常に少なく、かつ高耐刷力
を有する平版印刷用原版を提供することである。本発明
の更にもう1つの目的は、不感脂化処理液及び湿し水に
環境衛生上問題のない処理液を組み合せて用いることが
できる高耐刷性をもつ平版印刷用原版を提供することで
ある。
【0010】本発明の更にもう1つの目的は、印刷用紙
として中性紙を用いても、酸性紙と同様に印刷工程に問
題を生じないで、高耐刷可能な平版印刷用原版を提供す
ることである。本発明の他の目的は以下の記載から明ら
かになるであろう。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のこれらの目的
は、導電性支持体上に、光導電性化合物及び結着樹脂を
含有してなる光導電層を少なくとも1層設けてなる電子
写真式平版印刷用原版において、該光導電層中の結着樹
脂として、下記の結着樹脂〔A〕を少なくとも1種含有
することを特徴とする電子写真式平版印刷用原版によっ
て達成された。 結着樹脂〔A〕:化学反応処理で−COOH基を生成す
る官能基を少なくとも1種含有する重合体成分(a)及
び該処理で−SO3 H基、−SO2 H基、−PO3 2
基を生成する官能基から選ばれた少なくとも一種の官能
基を含有する重合体成分(b)を含有し、更に熱及び/
又は光硬化性基を少なくとも1種含有する重合体成分
(c)から形成された架橋構造を有する共重合体。
【0012】本発明の電子写真式平版印刷用原版は、そ
の光導電層中の結着樹脂として、化学反応処理により、
−COOH基を生成する官能基と−SO3 H基、−SO
2 H基又は−PO3 2 基を生成する官能基との両方を
有し、且つ含まれる熱及び/又は光硬化性基から形成さ
れた架橋構造を有する重合体を用いることを特徴として
いる。本発明の1つの好ましい態様によれば、上記結着
樹脂〔A〕において、重合体成分(a)は、−COOH
基を生成する官能基の少なくとも1種が、該重合体の高
分子主鎖に直接結合しているものである。本発明のもう
1つの好ましい態様によれば、上記結着樹脂〔A〕とと
もに、熱及び/又は光硬化性化合物を含有するものであ
る。本発明の更にもう1つの好ましい態様によれば、上
記光導電層が光導電性酸化亜鉛及び/又は光導電性酸化
チタンから成る光導電性化合物及び分光増感色素を含有
するものである。本発明の更なる好ましい態様によれ
ば、上記光導電層が更に下記結着樹脂〔B〕の少なくと
も1種を含有するものである。 結着樹脂〔B〕 1 ×103 〜 2×104 の重量平均分子量を有し、下記一般
式(I)で示される繰返し単位に相当する重合体成分を
30重量%以上含有し、且つ−PO3 2 、−SO
3 H、−COOH、−P(=O)(OH)Q1 (Q1
炭化水素基又は−OQ2 (Q2 は炭化水素基を表わす)
を表わす)及び環状酸無水物基から選ばれる少なくとも
1種の極性基を有する重合体成分を0.05〜15重量
%含有する樹脂。
【0013】
【化2】
【0014】〔式中、a1 ,a2 は各々、水素原子、ハ
ロゲン原子、シアノ基又は炭化水素基を表わし、Q3
炭化水素基を表わす。〕本発明の電子写真式平版印刷用
原版は、従来の酸化亜鉛を化学処理して親水性を発現さ
せ、印刷インキに対する不感脂化性を利用するシステム
とは異なり、親水性発現のためには酸化亜鉛を全く利用
せず、用いた結着樹脂を水不溶性で且つ親水性となる様
に設計されたものである。従って、光導電体としては、
樹脂分散型で用いられるものであればいずれのものでも
用いることができるが、平版印刷用原版としてのコスト
及び無公害性を勘案すれば、光導電性酸化亜鉛及び/又
は酸化チタンが好都合である。
【0015】従来の酸化亜鉛を利用した電子写真式平版
印刷用原版は、特定の限られた条件の中でのみ1万枚程
度の耐刷性を有している。そこで本発明者らは、より広
い状況下で原稿に対して、出来るだけ良好な再現性を示
す複写画像を形成する電子写真感光体としての性能を有
し、且つこれを不感脂化処理をして、印刷版として用い
た時に、前記した様な、印刷時の種々の制約をなくし且
つ1万枚以上の高耐刷性を保持させるために、更に鋭意
検討を進めた結果、本発明の結着樹脂〔A〕を用いるこ
とにより、優れた性能を示す電子写真式平版印刷用原版
がえられることを見出した。つまり、電子写真方式で良
好な複写画像を形成し、且つ、結着樹脂のみを利用し
て、化学反応による不感脂化処理で印刷版とするもので
ある。結着樹脂のみを利用して化学処理後の印刷版の性
能が優れた特性を示すためには、不感脂化された後の膜
(非画像部)の水への濡れ性が極めて良好なこと(具体
的には、蒸留水への接触角値で0°)と同時に、不感脂
化処理後の光導電層全体が適切な吸水量を保有すること
が極めて重要であり、このことが印刷方式の違いあるい
は印刷時の湿し水の供給量(即ち、印刷機上の湿し水と
印刷インキのバランス)変化に対し大きく影響するか、
安定しているかを支配していることが明らかとなってき
た。更に、この状態が印刷を続けていく際に維持できる
か否かが高耐刷性に影響することも明らかになった。
【0016】この様な平版印刷版の膜構造を達成し維持
していくには、本発明の結着樹脂〔A〕に示される様
に、不感脂化処理で生成する親水基として、カルボキシ
ル基と、スルホ基・スルフィノ基・ホスホノ基より選ば
れた少なくとも1つの基とを同一高分子鎖中に含有して
いることが有効である。好ましくは、該カルボキシル基
は高分子主鎖に直結している。また、結着樹脂〔A〕
は、光及び/又は熱硬化性基を含有しており、成膜後の
光導電層は高次架橋構造を形成していることが特徴であ
る。この高次架橋構造の形成を充分ならしめるために
は、光及び/又は熱硬化性化合物を組み合せて用いるこ
とが好ましい。
【0017】即ち、本発明の不感脂化処理で親水基を発
現した高分子鎖は、充分な不感脂化性を示し、且つ高次
架橋構造を形成していることで,親水化した高分子を水
不溶性化して膜の強度を維持するとともに、膜が吸水し
て一定の吸水量を保持する。この際、膜の高次架橋構造
の形成の程度で膜の膨潤性が異なり膜の吸水量に影響を
与えると考えられる。従来公知のカルボキシル基を生成
する樹脂を用いた場合、膜の膨潤を抑制して、ある程度
耐刷性のある膜強度がえられるが、膜が破損しない程度
にまで高次架橋構造を形成すると、表面濡れ性と膜の吸
水量が不足し、前記した様な印刷条件等によっては、刷
り出しから印刷物に地汚れが発生してしまった。このこ
とは、カルボキシル基のみでは親水化力が不充分である
ため、膜強度は良好であっても、膜の状態が充分な濡れ
性と吸水量を保持できないものと推定される。
【0018】他方、従来公知のスルホン基あるいはホス
ホノ基を生成する樹脂を用いた場合には、膜の膨潤性を
抑制して、高耐刷性を維持できるまで充分に架橋するた
めに必要な架橋成分を導入すると、これら架橋成分が親
油性のために、結果として樹脂の表面濡れ性の低下を招
き刷り出しから地汚れが発生してしまった。一方、上記
スルホン基あるいはホスホノ基を生成する樹脂を用い親
油性の架橋成分の導入を抑えた場合には、生成したスル
ホ基、あるいはホスホノ基は、カルボキシル基と比べ親
水性が非常に高く、且つ高次架橋構造の膜で吸水量を充
分に保有することができ、刷り出しから地汚れのない印
刷物を得ることができた。しかし、印刷時の印圧が過酷
となる大型印刷機上では耐刷性の低下を生じた。この事
は、膜の強度と膜の表面濡れ性・膜の吸水量との両立が
難しいことによると考えられる。
【0019】そこで印刷時のラチチュードの拡大と、高
耐刷性をともに満足するための手段として前記したカル
ボキシル基生成の樹脂と、スルホ基及び/又はホスホノ
基生成の樹脂を混合した印刷原版を検討したが、性能の
向上は見られなかった。これに対して、本発明の結着樹
脂〔A〕を用いることにより前記した様に原版としての
膜の状態を制御することが可能となり、高性能な原版を
提供できることが確認された。更には、生成するカルボ
キシル基の少なくとも1つが高分子主鎖に直結した化学
構造の重合体を用いることで、表面濡れ性が更に向上
し、印刷条件のラチチュードがより拡大することを見出
した。以下に本発明の結着樹脂〔A〕について詳しく説
明する。樹脂〔A〕の重量平均分子量は、好ましくは5
×103 〜1×106 、より好ましくは、1×104
5×105 であり、樹脂〔A〕のガラス転移点は好まし
くは−10℃〜110℃、より好ましくは−5℃〜10
0℃である。樹脂〔A〕の分子量が5×103 より小さ
くなると、光導電層を形成後の高次構造の橋かけの効果
が不充分で、印刷原版としての膜強度の維持が難しくな
ってしまう。一方分子量が1×106 より大きくなると
感光体としての静電特性の劣化を生じる可能性がある。
【0020】以下に樹脂〔A〕中に含有される各重合体
成分の詳細について説明する。まず、本発明において用
いられる化学反応により少なくとも1個のカルボキシル
基を生成する官能基(以下単に、カルボキシル基生成官
能基と称することもある)について詳しく説明する。本
発明のカルボキシル基生成官能基は分解によってカルボ
キシル基を生成するが、1つの官能基から生成するカル
ボキシル基は1個でも2個以上でもよい。
【0021】本発明の1つの好ましい態様によれば、カ
ルボキシル基生成官能基は下記一般式(II)で示され
る。 一般式(II) −COO−L1 式中、L1
【0022】
【化3】
【0023】を表わす。但し、R1 ,R2 は互いに同じ
でも異なっていてもよく、水素原子又は炭化水素基を表
わし、Xは芳香族基を表わし、Zは水素原子、ハロゲン
原子、トリハロメチル基、アルキル基、−CN,−NO
2 ,−SO2 1 ′、−COOR2 ′、−O−R3 ′又
は−CO−R4 ′(但し、R1 ′、R2 ′、R3 ′、R
4 ′はそれぞれ炭化水素基を示す)を表わし、n,mは
0,1又は2を表わす。但しn及びmが共に0の場合、
Zは水素原子ではない。A1 ,A2 は同じでも異なって
もよくHammettの置換基定数σ値が正の値を示す
電子吸引性基を表わす。R3 は、水素原子又は炭化水素
基を表わす。R4 、R5 、R6 、R10、R11は同じでも
異なっていてもよく、炭化水素基又は−O−R5 ′(但
し、R5 ′は炭化水素基を示す)を表わす。
【0024】Y1 は酸素原子又はイオウ原子を表わし、
7 ,R8 ,R9 は同じでも異なってもよく、各々水素
原子、炭化水素基又は−O−R6 ′(但し、R6 ′は炭
化水素基を示す)を表わし、pは3又は4の整数を表わ
す。Y2 は環状イミド基を形成する有機残基を表わす。
一般式(II)で示される官能基は分解によってカルボ
キシル基を生成するものであり、以下更に詳しく説明す
る。L1
【0025】
【化4】
【0026】を表わす場合において、R1 ,R2 は互い
に同じでも異なっていてもよく、好ましくは水素原子、
又は置換されてもよい炭素数1〜12の直鎖状又は分枝
状アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメ
チル基、トリフルオロメチル基、ブチル基、ヘキシル
基、オクチル基、デシル基、ヒドロキシエチル基、3−
クロロプロピル基等)を表わし、Xは好ましくは置換さ
れてもよいフェニル基又はナフチル基(例えばフェニル
基、メチルフェニル基、クロロフェニル基、ジメチルフ
ェニル基、クロロメチルフェニル基、ナフチル基等)を
表わし、Zは好ましくは水素原子、ハロゲン原子(例え
ば塩素原子、フッ素原子等)、トリハロメチル基(例え
ばトリクロロメチル基、トリフルオロメチル基等)、炭
素数1〜12の置換されてもよい直鎖状又は分枝状アル
キル基(例えばメチル基、クロロメチル基、ジクロロメ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基、テトラフルオロエチル基、オクチル基、シアノエチ
ル基、クロロエチル基等)、−CN、−NO2 、−SO
2 1 ′〔R1 ′は脂肪族基(例えば炭素数1〜12の
置換されてもよいアルキル基:具体的にはメチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、クロロエチル基、ペン
チル基、オクチル基等、炭素数7〜12の置換されても
よいアラルキル基:具体的にはベンジル基、フェネチル
基、クロロベンジル基、メトキシベンジル基、クロロフ
ェネチル基、メチルフェネチル基等)又は芳香族基(例
えば置換基を含有してもよいフェニル基又はナフチル
基:具体的には、フェニル基、クロロフェニル基、ジク
ロロフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル
基、アセチルフェニル基、アセトアミドフェニル基、メ
トキシカルボニルフェニル基、ナフチル基等)を表わ
す〕、−COOR2 ′(R2 ′は上記R1 ′と同義であ
る)、−O−R3 ′(R3 ′は上記R1 ′と同義であ
る)又は−CO−R4 ′(R4 ′は上記R1 ′と同義で
ある)を表わす。n,mは、0,1又は2を表わす。但
しn及びmが共に0の場合、Zは水素原子ではない。L
1
【0027】
【化5】
【0028】を表わす場合において、R4 ,R5 ,R6
は互いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは炭素
数1〜18の置換されてもよい脂肪族基〔脂肪族基はア
ルキル基、アルケニル基、アラルキル基又は脂環式基を
示し、置換基としては例えばハロゲン原子、−CN基、
−OH基、−O−Q′(Q′はアルキル基、アラルキル
基、脂環式基、アリール基を示す)等が挙げられる〕、
炭素数6〜18の置換されてもよい芳香族基(例えばフ
ェニル基、トリル基、クロロフェニル基、メトキシフェ
ニル基、アセトアミドフェニル基、ナフチル基等)又は
−O−R5 ′〔R5 ′は置換されてもよい炭素数1〜1
2のアルキル基、置換されてもよい炭素数2〜12のア
ルケニル基、置換されてもよい炭素数7〜12のアラル
キル基、炭素数5〜18の置換されてもよい脂環式基、
炭素数6〜18の置換さてもよいアリール基を示す〕を
表わす。L1
【0029】
【化6】
【0030】を表わす場合において、A1 、A2 は、互
いに同じでも異なってもよく、各々、少なくとも一方が
電子吸引基であり、−A1 、−A2 のHammettの
σp 値の和が0.45以上であればよい。ここで言う電
子吸引基の例としては、例えばアシル基、アロイル基、
ホルミル基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカル
ボニル基、アルキルスルホニル基、アロイルスルホニル
基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化ア
ルキル基、カルバモイル基等が挙げられる。
【0031】Hammettのσp 値は、通常置換基の
電子吸引・供与の度合いを見積もる指標として用いられ
ており、+側に大きいほど強い電子吸引基として扱われ
る。各置換基に対する具体的な数値については、稲本直
樹著「ハメット則−構造と反応性」丸善(1984年
刊)等に記載されている。また、この系におけるHam
mettのσp 値は加成性が成り立つと考えられ、−A
1 、−A2 の両方が電子吸引基である必要はない。従っ
て、一方例えば−A1 が電子吸引基である場合、他方の
−A2 の置換基は、−A1 、−A2 のσp値の和が0.
45以上になるものであればいずれでもよく、特に制限
されるところはない。L1 が、
【0032】
【化7】
【0033】を表わす場合において、Y1 は酸素原子又
はイオウ原子を表わす。R7 、R8 、R9 は互いに同じ
でも異なっていてもよく、好ましくは水素原子、置換さ
れてもよい炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状アルキル
基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、
オクタデシル基、クロロエチル基、メトキシエチル基、
メトキシプロピル基等)、置換されてもよい脂環式基
(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、置
換されてもよい炭素数7〜12のアラルキル基(例えば
ベンジル基、フェネチル基、クロロベンジル基、メトキ
シベンジル基、等)、置換されてもよい芳香族基(例え
ばフェニル基、ナフチル基、クロロフェニル基、トリル
基、メトキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル
基、ジクロロフェニル基等)又は−O−R6 ′(R6
は炭化水素基を表わし、具体的には上記R7 、R8 、R
9 の炭化水素基と同一の置換基類を示す)を表わす。p
は3又は4の整数を表わす。L1 が、
【0034】
【化8】
【0035】を表わす場合において、Y2 は、環状イミ
ド基を形成する有機残基を表わす。好ましくは、一般式
(III)又は(IV)で示される有機残基を表わす。
【0036】
【化9】
【0037】式(III)中、R12、R13は各々同じで
も異なってもよく、各々水素原子、ハロゲン原子(例え
ば塩素原子、臭素原子等)、炭素数1〜18の置換され
てもよいアルキル基〔例えばメチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル
基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2
−クロロエチル基、2−メトキシエチル基、2−シアノ
エチル基、3−クロロプロピル基、2−(メタンスルホ
ニル)エチル基、2−(エトキシオキシ)エチル基
等〕、炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基
(例えばベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロ
ピル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、メト
キシベンジル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基
等)、炭素数3〜18の置換されてもよいアルケニル基
(例えばアリル基、3−メチル−2−プロペニル基、2
−ヘキセニル基、4−プロピル−2−ペンテニイル基、
12−オクタデセニル基等)、−S−R7 ′〔R7 ′は
前記R12又はR13のアルキル基、アラルキル基、アルケ
ニル基と同一の内容を表わす置換基、又は置換されても
よいアリール基(例えばフェニル基、トリル基、クロロ
フェニル基、ブロモフェニル基、メトキシフェニル基、
エトキシフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基
等)〕、又は−NHR8 ′(R8 ′は前記R7 ′と同一
の内容を表わす)を表わす。又、R12とR13で環を形成
する残基を表わしてもよい〔例えば5〜6員環の単環
(例えばシクロペンチル環、シクロヘキシル環)、又は
5〜6員環のビシクロ環(例えばビシクロヘプタン環、
ビシクロヘプタン環、ビシクロオクタン環、ビシクロオ
クテン環等)、更にはこれらの環は置換されなくてもよ
く、置換基としては R12、R13で前記した内容と同一
のものを含む〕。qは2又は3の整数を表わす。式(I
V)中、R14、R15は同一でも異なってもよく、前記R
12、R13と同一の内容のものを表わす。更には、R14
15は連続して芳香族環を形成する有機残基を表わして
もよい(例えばベンゼン環、ナフタレン環等)。6員環
の単環(例えばシクロペンチル環、シクロヘキシル環
等)、5員〜12員環の芳香族環(例えばベンゼン環、
ナフタレン環、チオフェン環、ピロール環、ピラン環、
キノリン環等)等を表わす。L1
【0038】
【化10】
【0039】を表わす場合において、R10、R11は前記
6 と同義である。更に、本発明の好ましい他の1つの
態様によれば、カルボキシル基生成官能基は下記一般式
(V)で示されるオキサゾロン環を含む基である。
【0040】
【化11】
【0041】式中、R16、R17は互いに同じでも異なっ
ていてもよく、各々水素原子、炭化水素基を表わすか、
又はR16とR17とが結合して環を形成してもよい。好ま
しくは、R16、R17は互いに同じでも異なってもよく、
各々水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜12の
直鎖状又は分岐状アルキル基(例えばメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、2−クロロエ
チル基、2−メトキシエチル基、2−メトキシカルボニ
ルエチル基、3−ヒドロキシプロピル基等)、置換され
ていてもよい炭素数7〜12のアラルキル基(例えばベ
ンジル基、4−クロロベンジル基、4−アセトアミドベ
ンジル基、フェネチル基、4−メトキシベンジル基
等)、置換されていてもよい炭素数2〜12のアルケニ
ル基(例えばエチレン基、アリル基、イソプロペニル
基、ブテニル基、ヘキセニル基等)、置換されていても
よい5〜7員環の脂環式基(例えばシクロペンチル基、
シクロヘキシル基、クロロシクロヘキシル基等)、置換
されてもよい芳香族基(例えばフェニル基、クロロフェ
ニル基、メトキシフェニル基、アセトアミドフェニル
基、メチルフェニル基、ジクロロフェニル基、ニトロフ
ェニル基、ナフチル基、ブチルフェニル基、シメチルフ
ェニル基等)を表わすか、又はR16とR17とが結合して
4〜7員環(例えばテトラメチレン環、ペンタメチレン
環、ヘキサメチレン環等)を形成してもよい。
【0042】化学反応により少なくとも1つのスルホ基
を生成する官能基としては、例えば一般式(VI)又は
(VII)で表わされる官能基が挙げられる。 一般式(VI) −SO2 −O−L2 一般式(VII) −SO2 −S−L2 式中L2 は、
【0043】
【化12】
【0044】を表わす。具体的には、一般式(II)の
該当する保護基と同一の内容を表わす。又、化学反応に
より少なくとも1つのスルフィン酸基を生成する官能基
としては、例えば一般式(VIII)で表わされる官能基が
挙げられる。
【0045】
【化13】
【0046】更に、化学反応により少なくとも1つの−
PO3 2 基を生成する官能基としては、例えば一般式
(IX)で示される官能基が挙げられる。
【0047】
【化14】
【0048】式中L3 、L4 は同じでも異なってもよ
く、具体的には一般式(II)の保護基L1 と同一の内
容を表わす。以下に前記した一般式(II)〜(IX)で
示される官能基の具体例を例示する。但し、本発明は、
これらに限定されるものではない。下記具体例におい
て、各記号は下記の内容を表わす。
【0049】
【化15】
【0050】
【化16】
【0051】
【化17】
【0052】
【化18】
【0053】
【化19】
【0054】本発明において用いられる、前記した様な
化学反応して−COOH、−SO3H、−SO2 Hある
いは−PO3 2 の親水性基を生成する官能基を含有す
る重合体成分としては、特に限定されるものではない。
好ましくは下記一般式(X)で示すものが挙げられる。
【0055】
【化20】
【0056】〔式中、Z’は−COO−、−OCO−、
−O−、−CO−、−CON(r1 )−、−SO2
(r1 ) −(r1 は水素原子又は炭化水素基を表わ
す)、−CONHCOO−、−CONHCONH−、−
CH2 COO−、−CH2 OCO−又は
【0057】
【化21】
【0058】を表わす。Y′は、−Z′−と−W0 との
直接結合又は両者を連結する有機残基を表す。さらに−
Z′−Y′−は存在せず、従って
【0059】
【化22】
【0060】が−W0 と直接結合してもよい。−W0
前記一般式(II)〜(IX)で示される官能基を表す。
1 、b2 は互いに同じでも異なってもよく、各々、水
素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭化水素基を表
す。〕一般式(X)を更に詳細に説明する。好ましく
は、Z′は
【0061】
【化23】
【0062】を表わす。但し、r1 は水素原子、炭素数
1〜8の置換されてもよいアルキル基(例えばメチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘ
キシル基、オクチル基、2−クロロエチル基、2−ブロ
モエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル
基、2−ヒドロキシエチル基、3−ブロモプロピル基
等)、炭素数7〜9の置換されてもよいアラルキル基
(例えばベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロ
ピル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチル
ベンジル基、メトキシベンジル基、クロロ−メチル−ベ
ンジル基、ジブロモベンジル基等)、置換されてもよい
アリール基(例えばフェニル基、トリル基、キシリル
基、メシチル基、メトキシフェニル基、クロロフェニル
基、ブロモフェニル基、クロロ−メチル−フェニル基
等)等が挙げられる。
【0063】Y′は直接結合か、−Z′−と−W0 を連
結する有機残基を表す。Y′が連結する有機残基を表す
場合、この連結基は炭素原子及びヘテロ原子から選ばれ
た原子及びその組合せからなり(ヘテロ原子としては、
酸素原子、イオウ原子、窒素原子を示す)、例えば、
【0064】
【化24】
【0065】等の結合単位の単独又は組合わせの構成よ
り成るものである。(但しr2 、r3、r4 、r5 、r
6 は、各々前記のr1 と同一の内容を表す)。b1 、b
2 は同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子
(例えば塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、炭化水素
基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プ
ロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシ
ルオキシカルボニル基、メトキシカルボニルメチル基、
エトキシカルボニルメチル基、ブトキシカルボニルメチ
ル基等の置換されてもよい炭素数1〜12のアルキル
基、ベンジル基、フェネチル基等の置換されてもよいア
ラルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、クロ
ロフェニル基等の置換されてもよいアリール基等)を表
す。以下に本発明の一般式(II)〜(IX)で表される
官能基を含有する重合体成分の具体例を示す。但し、本
発明はこれらに限定されるものではない。下記、具体例
において、bは−H又は−CH3 を表わし、nは2〜8
の整数を表わし、mは0〜8の整数を表わす。
【0066】
【化25】
【0067】
【化26】
【0068】本発明に用いられる前記した様な−COO
H、−SO3 H、−PO3 2 及び−SO2 Hを化学反
応で発現する官能基は、該親水性基を保護した官能基で
あり、これら保護基の該親水性基への化学結合による導
入の方法は、従来公知の方法によって、容易に行なうこ
とができる。例えばJ.F.W.McOmie「Pro
tective groups in Organic
Chemistry」(Plenum Press.
1973年刊)、F.W.Greene,「Prote
ctive groupsin Organic Sy
nthesis」(Wiley−lnterscien
ce、1981年刊)、日本化学会編「新実験化学講
座、第14巻、有機化合物の合成と反応」〔丸善(株)
1978年刊〕岩倉義男・栗田恵輔著「反応性高分子」
(講談社)等に記載された各単位反応が用いられる。
【0069】これら本発明に供せられる官能基を樹脂
〔A〕中に導入する方法としては、本発明にとって重要
な、−COOH及び−SO3 H、−PO3 2 、−SO
2 Hから選ばれた少なくとも1種の親水性基を各々含有
する重合体を、反応によって各々の親水基を保護した官
能基に変換する言わゆる高分子反応による方法、あるい
は、前記した一般式で示される如き官能基を1種又はそ
れ以上含有する1種又はそれ以上の単量体を合成した
後、これと共重合し得る他の任意の単量体との重合反応
により重合体とする方法により得られる。
【0070】重合体中に、本発明に必要な官能基を任意
に調整し得ること、あるいは、不純物(高分子反応の場
合、用いる触媒あるいは副生物等)を混入しない事等の
理由から後者の方法(予め、所望の単量体を得、後重合
反応を行なう)により製造する事が好ましい。例えば−
COOHを生成する官能基を導入する場合、具体的には
重合性の二重結合を含むカルボン酸類あるいはその酸ハ
ライド類を、例えば前記した公知文献等に記載された方
法に従って、そのカルボキシル基を一般式(II)で示
される如き官能基に変換した後、重合反応を行ない製造
するという方法で行なうものである。また、反応でカル
ボン酸を生成する官能基としての一般式(V)で示され
るオキサゾロン環を含有する樹脂は、該オキサゾロン環
を含有する1種又はそれ以上の単量体の、又は該単量体
及びこれと共重合し得る他の単量体の重合反応により重
合体とする方法により得られる。このオキサゾロン環を
含有する単量体は、重合性不飽和結合を含有するN−ア
シロイル−α−アミノ酸類の脱水閉環反応により製造す
ることができる。具体的には、岩倉義男:栗田恵輔著
「反応性高分子」第3章(講談社刊)の総説引例の文献
記載の方法によって製造することができる。
【0071】次に、本発明の樹脂〔A〕に含有される、
熱及び/又は光硬化性基を含有する共重合体成分につい
て説明する。「熱及び/又は光硬化性基」とは、熱及び
光のうちの少なくともいずれかにより樹脂の硬化反応を
行なう官能基をいう。光硬化性基として具体的には、乾
英夫、永松元太郎、「感光性高分子」(講談社、197
7年刊)、角田隆弘、「新感光性樹脂」(印刷学会出版
部、1981年刊)、G.E.Green and
B.P.Strak,J.Macro.Sci.Rea
s.Macro.Chem.,C21(2)、187〜
273(1981〜82)、C.G.Rattey,
「Photopolymirization of S
urface Cootings」(A.WileyI
nter Science Pub.1982年刊)、
等の総説に引例された光硬化性樹脂として従来公知の感
光性樹脂等に用いられる官能基が用いられる。また、本
発明における熱硬化性基としては、例えば、遠藤剛、
「熱硬化性高分子の精密化」(C.M.C.(株)、1
986年刊)、原崎勇次「最新バインダー技術便覧」第
II−I章(総合技術センター、1985年刊)、大津
隆行「アクリル樹脂の合成・設計と新用途開発」(中部
経営開発センター出版部、1985年刊)、大森英三
「機能性アクリル系樹脂」(テクノシステム、1985
年刊)等の総説に引例の官能基を用いることができる。
【0072】例えば−COOH基、−PO3 2 基、−
SO2 H基、−OH基、−SH基、−NH2 基、−NH
A 基〔RA は炭化水素基を表わし、例えば炭素数1〜
8のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−クロロエ
チル基、2−メトキシエチル基、2−シアノエチル基
等)が挙げられる。〕、環状酸無水物含有基〔環状酸無
水物含有基とは、少なくとも1つの環状酸無水物を含有
する基であり、含有される環状酸無水物としては、脂肪
族ジカルボン酸無水物、芳香族ジカルボン酸無水物が挙
げられる。脂肪族ジカルボン酸無水物の例としては、コ
ハク酸無水物環、グルタコン酸無水物環、マレイン酸無
水物環、シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸無水物
環、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物環、
シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物環、2,
3−ビシクロ〔2,2,2〕オクタンジカルボン酸無水
物環等が挙げられ、これらの環は、例えば塩素原子、臭
素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、ブチル
基、ヘキシル基等のアルキル基等が置換されていてもよ
い。
【0073】又、芳香族ジカルボン酸無水物の例として
は、フタル酸無水物環、ナフタレン−ジカルボン酸無水
物環、ピリジン−ジカルボン酸無水物環、チオフェン−
ジカルボン酸無水物環等が挙げられ、これらの環は、例
えば、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、
ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカル
ボニル基(アルコキシ基としては、例えば、メトキシ
基、エトシキ基等)等が置換されていてもよい。〕、−
N=C=O基、ブロック化イソシアナート基〔イソシア
ナート基と活性水素化合物との付加体で熱により分解し
てイソシアナート基を生成する官能基、例えば活性水素
化合物としては、2,2,2−トリフロロエタノール、
2,2,2,2′,2′,2′−ヘキサフロロイソプロ
ピルアルコールフェノール類(フェノール、クロロフェ
ノール、シアノフェノール、クレゾール、メトキシフェ
ノール等)、活性メチレン化合物(アセチルアセトン、
アセト酢酸エステル類、マロン酸ジエステル類、マロン
ジニトリル等)、環状N原子含有化合物(例えばイミダ
ゾール、ピペラジン、モルホリン等)等が挙げられ
る〕、−CONHCH2 ORB 〔RB は水素原子又は炭
素数1〜8のアルキル基(具体的にはRA のアルキル基
と同一内容)を表わす。〕、−OR基を少なくとも1個
含有するシランカップリング基〔例えば−Si(OR)
3 、−Si(OR)2 (R)、−Si(OR)(R)2
であり、−OR、又は−Rは、炭化水素基を表わし、具
体的には前記一般式(II)で示したR1 と同一の内容
を表わす。〕、−OR基を少なくとも1個含有するチタ
ネートカップリング基、
【0074】
【化27】
【0075】等の開環反応が容易に進行するヘテロ原子
含有の立体的に嵩をもつ環状官能基、−Cd1 =CHd
2 基(d1 、d2 は、各々水素原子、ハロゲン原子(例
えば塩素原子、臭素原子等)又は炭素数1〜4のアルキ
ル基(例えばメチル基、エチル基等)を表わす)等を挙
げることができる。又該重合性二重結合基として、具体
的には
【0076】
【化28】
【0077】を挙げることができる。以上の様な熱及び
/又は光硬化基を含有する重合体成分は、前記した親水
性基を発現する官能基を含有した重合体成分に相当する
単量体と共重合し得うる相当する単量体であればいずれ
でもよい。好ましくは共重合体成分として一般式(X
I)が示される。
【0078】
【化29】
【0079】W1 は熱及び/又は光硬化性基を表わす。
更に、本発明の樹脂〔A〕は、前記した親水性基を発現
する官能基含有の重合体成分、光及び/又は熱硬化性基
含有の重合体成分とともに、これら以外の重合体成分を
含有してもよい。他の重合体成分としては、上記重合体
成分に相当する単量体と共重合するものであればいずれ
でもよく、例えば、高分子学会編「高分子データ・ハン
ドブック〔基礎編〕」培風館(1986年刊)、J.B
randrup.E.H.Immergut.「Pol
ymer Hand book」(John Wile
yd Sons,1989年刊)等に記載された化合物
が挙げられる。
【0080】具体的には、アクリル酸、α及び/又はβ
置換アクリル酸(例えばα−アセトキシ体、α−アセト
キシメチル体、α−(2−アミノ)メチル体、α−クロ
ロ体、α−ブロモ体、α−フロロ体、α−トリブチルシ
リル体、α−シアノ体、β−クロロ体、β−ブロモ体、
α−クロロ−β−メトキシ体、α,β−ジクロロ体
等)、メタクリル酸、イタコン酸、イタコン酸半エステ
ル類、イタコン酸半アミド類、クロトン酸、2−アルケ
ニルカルボン酸類(例えば2−ペンテン酸、2−メチル
−2−ヘキセン酸、2−オクテン酸、4−メチル−2−
ヘキセン酸、4−エチル−2−オクテン酸等)、マレイ
ン酸、マレイン酸半エステル類、マレイン酸半アミド
類、ビニルベンゼンカルボン酸、ビニルベンゼンスルホ
ン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、ジカルボ
ン酸類のビニル基又はアリル基の半エステル誘導体、メ
タクリル酸エステル類、アクリル酸エステル類、クロト
ン酸エステル類に加え、α−オレフィン類、カルボン酸
ビニル又はアクリル酸エステル類(例えばカルボン酸と
して、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、安息香酸、
ナフタレンカルボン酸等)、アクリロニトリル、メタク
リロニトリル、ビニルエーテル類、イタコン酸エステル
類(例えばジメチルエステル、ジエチルエステル等)、
アクリルアミド類、メタクリルアミド類、スチレン類
(例えばスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、
ヒドロキシスチレン、N,N−ジメチルアミノメチルス
チレン、メトキシカルボニルスチレン、メタンスルホニ
ルオキシスチレン、ビニルナフタレン等)、ビニルスル
ホン含有化合物、ビニルケトン含有化合物、複素環ビニ
ル類(例えばビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニ
ルイミダゾール、ビニルチオフェン、ビニルイミダゾリ
ン、ビニルピラゾール、ビニルジオキサン、ビニルキノ
リン、ビニルテトラゾール、ビニルオキサジン等)等が
挙げられる。
【0081】本発明の樹脂〔A〕の各重合体成分の存在
割合は、全重合体100重量部中、親水性基発現の官能
基含有成分総量〔即ち、重合体成分(a)と重合体成分
(b)の総量〕は60〜95重量%で、好ましくは60
〜90重量%である。且つ、重合体成分(a)と重合体
成分(b)の割合は、成分(a)と成分(b)の総量1
00重量部として、成分(a)/成分(b)が5〜90
重量%/95〜10重量%で、好ましくは10〜80重
量%/90〜20重量%である。光及び/又は熱硬化性
基含有成分(c)の存在割合は、5〜40重量%で、好
ましくは10〜30重量%である。又、これら以外の他
の重合体成分は多くても35重量%である。以上述べた
各重合体成分の範囲をはずれると、印刷用原版としての
本発明の効果が低下してしまう傾向がある。即ち、印刷
時の刷り出しからの地汚れ抑制の低下、印刷枚数の低下
等を生じることがある。上記樹脂〔A〕における各重合
体成分の範囲は、光導電層の形成時に使用される樹脂
〔A〕について述べたものである。以下に樹脂〔A〕の
具体例を示す。
【0082】
【化30】
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】
【表4】
【0087】
【表5】
【0088】
【化31】
【0089】
【表6】
【0090】本発明の電子写真式平版印刷用原版の光導
電層にあっては、樹脂〔A〕は光導電層の形成過程にお
ける光及び/又は熱の作用により重合体成分(C)に基
づく架橋構造を有していることに注目すべきである。本
発明の平版印刷用原版の光導電層に結着樹脂〔B〕を併
用すると静電特性、複写画像の再現性が更に向上する。
即ち、特定の極性基を含有する低分子量の樹脂〔B〕を
結着樹脂〔A〕、光導電体粒子、更には、必要により各
種増感剤とともに用いた分散系においては、該樹脂
〔B〕は、光導電体粒子に充分吸着して該粒子を均一に
分散し、その高分子鎖が非常に短いことにより該粒子間
の凝集を抑制する事、又、分光増感色素・化学増感剤等
の増感剤分子が該粒子表面に充分吸着されることを疎外
しない事及び光導電体表面の余分な活性サイトを結着樹
脂が充分に吸着してトラップを補償している事等の重要
な作用を有し、これらの働きによって、電子写真感光体
としての静電特性、実際の複写画像再現性(撮像性)を
良好にするものと考えられる。
【0091】更には、樹脂〔B〕において、一般式
(I)の重合体成分か下記一般式(Ia)及び一般式
(Ib)で示される、ベンゼン環又はナフタレン環を含
有する特定の置換基をもつメタクリレート成分であるも
の(以降この樹脂を特に樹脂〔BB〕と称することもあ
る)を用いると、一層電子写真特性(特にV10、D.
R.R.、E1/10)の向上が達成できる。この事の理由
は不明であるが、1つの理由として、メタクリレートの
エステル成分である、平面性のベンゼン環又はナフタレ
ン環の効果により、膜中の光導電体粒子界面でのこれら
ポリマー分子鎖の配列が適切に行われることによるもの
と考えられる。この効果は近赤外〜赤外光の分光増感用
色素として有効なポリメチン色素あるいはフタロシアニ
ン系顔料を用いた場合特に顕著である。
【0092】
【化32】
【0093】〔式中、T1 及びT2 は各々水素原子、炭
素数1〜10の炭化水素基、塩素原子、臭素原子、−C
OQ4 又は−COOQ5 (Q4 及びQ5 は各々炭素数1
〜10の炭化水素基を表す)を表し、X1 及びX2 は各
々−COO−とベンゼン環を結合する単結合又は連結原
子数1〜4個の連結基を表す〕以下樹脂〔B〕について
詳細に説明する。
【0094】樹脂〔B〕は前述の如く特定の分子量を有
し、特定の重合体成分を含有するが、その構造は線状、
マクロモノマーから形成されるグラフト型、スター型等
をとりうる。また、各重合体成分はランダム又はブロッ
クとして存在し得る。本発明において好ましく用いられ
る樹脂〔B〕の典型例を以下に示す。 結着樹脂〔B1 〕:一般式(I)で示される繰り返し単
位に相当する重合体成分を含有し、且つ重合体鎖中及び
/又は重合体主鎖の片末端に結合して極性基を有するラ
ンダム重合体。 結着樹脂〔B2 〕:一般式(I)で示される繰り返し単
位に相当する重合体成分を含有するAブロックと、極性
基を含有する重合体成分を含有するBブロックとを含む
AB型又はABA型ブロック重合体。 結着樹脂〔B3 〕:一般式(I)で示される繰り返し単
位に相当するモノマーと極性基を含有する重合体成分を
有し、重合体主鎖の片末端に重合性二重結合基を結合し
て成る重量平均分子量1×104 以下の一官能性マクロ
モノマー(M1 )とからなるグラフト型共重合体。 結着樹脂〔B4 〕:極性基を含有する重合体成分を含有
するAブロックと、一般式(I)で示される繰返し単位
に相当する重合体成分を含有するBブロックとから構成
されるABブロック共重合体のBブロックの重合体主鎖
の末端に重合性二重結合基を結合して成る一官能性マク
ロモノマー(M2 )からなるグラフト型共重合体。 結着樹脂〔B5 〕:一般式(I)で示される繰り返し単
位に相当する重合体成分と極性基を含有する重合体成分
をランダムに含有する高分子鎖を有機分子中に少なくと
も3個結合して成るスター型共重合体。 結着樹脂〔B6 〕:一般式(I)で示される繰り返し単
位に相当する重合体成分を含有するAブロックと、極性
基を含有する重合体成分を含有するBブロックとから構
成されるAB型ブロック高分子鎖を有機分子中に少なく
とも3個結合してなるスター型共重合体。 ないと、初期電位が低くて充分な画像濃度を得ることが
できない。一方該極性基含有重合体成分が15重量%よ
り多いと、いかに低分子量体といえども分散性が低下
し、静電特性が低下してしまう。
【0095】また、低分子量の樹脂〔B1 〕としては、
前記した一般式(Ia)又は一般式(Ib)で示され
る、無置換のベンゼン環又は無置換のナフタレン環もし
くは、2位に及び/又は6位に特定の置換基を有するベ
ンゼン環という特定の置換基を持つメタクリレート成分
を含有し、且つ片末端に極性基を結合した樹脂〔B1
(以降、この低分子量体を樹脂〔BB1 〕とする)であ
ることが好ましい。次に樹脂〔B1 〕中に30重量%以
上含有される、前記一般式(I)で示される繰り返し単
位を更に説明する。一般式(I)においてa1 ,a
2 は、好ましくは水素原子、シアノ基、炭素数1〜4の
アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基等)、−COO−Q8 又は炭化水素基を介した
−COO−Q8 (Q8 は炭化水素基、例えば、アルキル
基、アルケニル基、アラルキル基、脂環式基又はアリー
ル基を表し、これらは置換されていてもよく、具体的に
は、下記Q3 について説明したものと同様の内容を表
す)を表す。上記炭化水素基を介した−COO−Q8
における炭化水素基としては、メチレン基、エチレン
基、プロピレン基などが挙げられる。
【0096】Q3 は、好ましくは炭素数1〜18の置換
されてもよいアルキル基(例えばメチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オク
チル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラ
デシル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、
2−シアノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−メ
トキシエチル基、2−エトキシエチル基、3−ヒドロキ
シプロピル基等)、炭素数2〜18の置換されてもよい
アルケニル基(例えばビニル基、アリル基、イソプロペ
ニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オ
クテニル基等)、炭素数7〜12の置換されてもよいア
ラルキル基(例えばベンジル基、フェネチル基、ナフチ
ルメチル基、2−ナフチルエチル基、メトキシベンジル
基、エトキシベンジル基、メチルベンジル基等)、炭素
数5〜8の置換されてもよいシクロアルキル基(例えば
シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル
基等)、又は炭素数6以上の置換されていてもよいアリ
ール基(例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、メ
シチル基、ナフチル基、メトキシフェニル基、エトキシ
フェニル基、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル
基、ブロモフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフ
ェニル基、ヨードフェニル基、メトキシカルボニルフェ
ニル基、エトキシカルボニルフェニル基、シアノフェニ
ル基等)等が挙げられる。 更に好ましくは、前記一般
式(I)の繰り返し単位に相当する共重合体成分におい
て、前記一般式(Ia)及び/又は一般式(Ib) で示
される特定のアリール基を含有するメタクリレート成分
で表される共重合体成分(樹脂〔BB1 〕)が挙げられ
る。
【0097】
【化33】
【0098】式(Ia)において、好ましいT1 及びT
2 としては、各々水素原子、塩素原子及び臭素原子の他
に、炭素数1〜10の炭化水素基として、好ましくは炭
素数1〜4のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基等)、炭素数7〜9のアラルキル
基(例えばベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプ
ロピル基、クロロベンジル基、ジクロロベンジル基、ブ
ロモベンジル基、メチルベンジル基、メトキシベンジル
基、クロロ−メチル−ベンジル基)及びアリール基(例
えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ブロモフェニ
ル基、メトキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロ
ロフェニル基)、並びに−COQ4 及び−COOQ
5 (好ましいQ4 ,Q5 としては上記の炭素数1〜10
の好ましい炭化水素基として記載したものを挙げること
ができる)を挙げることができる。式(Ia)及び(I
b)において、L1 及びL2 は各々−COO−とベンゼ
ン環を結合する直接結合又は−(CH2 n1−(n1
1〜3の整数を表す)、−CH2 OCO−、−CH2
2 OCO−、−(CH2 O)m1−(m1 は1又は2の
整数を表す)、−CH2 CH2 O−等の如き連結原子数
1〜4個の連結基であり、より好ましくは直接結合又は
結合原子数1〜2個の連結基を挙げることができる。
【0099】本発明の樹脂〔B1 〕で用いられる式(I
a)又は(Ib)で示される繰り返し単位に相当する共
重合体成分の具体例を以下に挙げる。しかし、本発明は
これに限定されるものではない。以下の(a−1)〜
(a−20)において、nは1〜4の整数、mは0〜3
の整数、p1 は1〜3の整数、R9 〜R12はいずれも−
n 2n+1又は−(CH2 m−C6 5 (ただし、
n,mは各々上と同じ)、X1 及びX2 は同じでも異な
ってもよく、水素原子、−Cl、−Br、−Iのいずれ
かを表す。
【0100】
【化34】
【0101】
【化35】
【0102】
【化36】
【0103】
【化37】
【0104】
【化38】
【0105】次に、樹脂〔B1 〕に含有される特定の極
性基含有重合体成分について説明する。特定の極性基含
有重合体成分は樹脂〔B1 〕の重合体鎖中(繰り返し単
位中)に存在してもよいし、重合体鎖の片末端に存在し
てもよいし、その両方でもよい。極性基は、前述の通
り、−PO3 2 、−SO3 H、−COOH、−P(=
O)(OH)Q1 及び環状酸無水物基から選ばれる。−
P(=O)(OH)Q1 は、下記式で表わされる基を示
す。
【0106】
【化39】
【0107】式中Q1 は炭化水素基又は−OQ2 基(Q
2 は炭化水素基を表す)を表す。炭化水素基は具体的に
は炭素数1〜22脂肪族基(例えばメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、
デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、2−クロロエ
チル基、2−メトキシエチル基、3−エトキシプロピル
基、アリル基、クロトニル基、ブテニル基、シクロヘキ
シル基、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロ
ピル基、メチルベンジル基、クロロベンジル基、フルオ
ロベンジル基、メトキシベンジル基等)、又は置換され
てもよいアリール基(例えばフェニル基、トリル基、エ
チルフェニル基、プロピルフェニル基、クロロフェニル
基、フルオロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロ−
メチル−フェニル基、ジクロロフェニル基、メトキシフ
ェニル基、シアノフェニル基、アセトアミドフェニル
基、アセチルフェニル基、ブトキシフェニル基等)等で
ある。Q2 はQ1 と同義である。また、環状酸無水物基
とは、少なくとも1つの環状酸無水物を含有する基であ
り、含有される環状酸無水物としては、脂肪族ジカルボ
ン酸無水物、芳香族ジカルボン酸無水物が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸無水物の例としては、コハク酸無水
物環、グルタコン酸無水物環、マレイン酸無水物環、シ
クロペンタン−1,2−ジカルボン酸無水物環、シクロ
ヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物環、シクロヘキ
セン−1,2−ジカルボン酸無水物環、2,3−ビシク
ロ〔2,2,2〕オクタジカルボン酸無水物環等が挙げ
られ、これらの環は、例えば塩素原子、臭素原子等のハ
ロゲン原子、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル
基等のアルキル基等が置換されていてもよい。また、芳
香族ジカルボン酸無水物の例としては、フタル酸無水物
環、ナフタレン−ジカルボン酸無水物環、ピリジン−ジ
カルボン酸無水物環、チオフェン−ジカルボン酸無水物
環等が挙げられ、これらの環は、例えば塩素原子、臭素
原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基等のアルキル基、ヒドロキシル基、シアノ
基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基(アルコキシ基
としては、例えばメトキシ基、エトキシ基等)等が置換
されていてもよい。極性基が、重合体主鎖の片末端に結
合している場合、直接結合してもよいし、連結基を介し
て結合してもよい。連結基としては、いずれの結合する
基でもよいが、例えば具体的に挙げるとすれば、−〔C
(d1 )(d2 ) 〕−〔d1 、d2は同じでも異なって
もよく、各々水素原子、ハロゲン原子(塩素原子、臭素
原子等)、OH基、シアノ基、アルキル基(メチル基、
エチル基、2−クロロエチル基、2−ヒドロキシエチル
基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等)、アラルキ
ル基(ベンジル基、フェネチル基等)、フェニル基等を
表す〕、−〔C(d3)=C(d4 ) 〕−(d3 、d4
はd1 、d2 と同一の内容を表す)、
【0108】
【化40】
【0109】−O−、−S−、−N(d5 )−〔d5
水素原子又は炭化水素基を表す(炭化水素基として具体
的には炭素数1〜12の炭化水素基(例えばメチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチ
ル基、デシル基、ドデシル基、2−メトキシエチル基、
2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、ベンジル
基、メチルベンジル基、フェネチル基、フェニル基、ト
リル基、クロロフェニル基、メトキシフェニル基、ブチ
ルフェニル基等)が挙げられる)〕、−CO−、−CO
O−、−OCO−、−CON(d5)−、−SO 2N(d
5)−、−SO2 −、−NHCONH−、−NNHCOO
−、−NHSO2 −、−CONHCOO−、−CONH
CONH−、複素環(ヘテロ原子として、O、S、N等
を少なくとも1種含有する5〜6員環又はこれらの縮合
環であればいずれでもよい:例えばチオフェン環、ピリ
ジン環、フラン環、イミダゾール環、ピペリジン環、モ
ルホリン環等が挙げられる)又は−Si(d6
(d7 )−〔d6 、d7 は同じでも異なってもよく、炭
化水素基又は −Od8 (d8 は炭化水素基)を表す。
これらの炭化水素基としては、d5 で挙げたものと同一
のものを挙げることができる〕等の結合基の単独又はこ
れらの組合わせにより構成された連結基等が挙げられ
る。本発明の樹脂〔B1 〕において、重合体成分として
含有される極性基と、重合体主鎖の片末端に結合された
極性基の存在割合は、本発明の光導電層を構成する他の
結着樹脂、樹脂粒子、分光増感色素、化学増感剤あるい
はそれ以外の添加剤の種類・量によって異なり、その割
合は任意に調節しうる。重要なことは、両者の極性基含
有成分の総量が0.05〜15重量%の範囲の内で使用
されることである。樹脂〔B1 〕に用いられる極性基を
含有する重合体成分は、例えば一般式(I)〔一般式
(Ia)、(Ib)も含む〕で示される繰り返し単位に
相当する単量体と共重合し得る当該極性基を含有するビ
ニル系化合物から導かれるものであればいずれでもよ
い。例えば、これら化合物は高分子学会編「高分子デー
タ・ハンドブック〔基礎編〕」培風館(1986年刊)
等に記載されている。具体的には、アクリル酸、α及び
/又はβ置換アクリル酸(例えばα−アセトキシ体、α
−アセトキシメチル体、α−(2−アミノ)エチル体、
α−クロロ体、α−ブロモ体、α−フロロ体、α−トリ
ブチルシリル体、α−シアノ体、β−クロロ体、β−ブ
ロモ体、α−クロロ−β−メトキシ体、α,β−ジクロ
ロ体等)、メタクリル酸、イタコン酸、イタコン酸半エ
ステル類、イタコン酸半アミド類、クロトン酸、2−ア
ルケニルカルボン酸類(例えば2−ペンテン酸、2−メ
チル−2−ヘキセン酸、2−オクテン酸、4−メチル−
2−ヘキセン酸、4−エチル−2−オクテン酸等)、マ
レイン酸、マレイン酸半エステル類、マレイン酸半アミ
ド類、ビニルベンゼンカルボン酸、ビニルベンゼンスル
ホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、ジカル
ボン酸類のビニル基又はアリル基の半エステル誘導体、
及びこれらのカルボン酸又はスルホン酸のエステル又は
アミド誘導体の置換基中に該極性基を含有する化合物等
が挙げられる。以下にこのようなタイプの極性基含有重
合成分について例示する。ここでe1はH又はCH3
示し、e2 はH、CH3 又はCH2COOCH3 を示
し、R14は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R15は炭
素数1〜6のアルキル基、ベンジル基又はフェニル基を
示し、cは1〜3の整数を示し、dは2〜11の整数を
示し、eは1〜11の整数を示し、fは2〜4の整数を
示し、gは2〜10の整数を示す。
【0110】
【化41】
【0111】
【化42】
【0112】
【化43】
【0113】
【化44】
【0114】
【化45】
【0115】
【化46】
【0116】
【化47】
【0117】
【化48】
【0118】
【化49】
【0119】
【化50】
【0120】
【化51】
【0121】
【化52】
【0122】本発明の樹脂〔B1 〕(〔BB1 〕を含
む)は、前記一般式(I),(Ia)及び/又は(I
b)で示される重合体成分及び極性基含有重合体成分と
ともに、光及び/又は熱硬化性基を含有する重合体成分
を含むことも好ましい。硬化性基含有の重合体成分の具
体的内容は、樹脂〔A〕が含有する硬化性基含有重合体
成分と同様である。硬化性基含有重合体成分の含有量は
樹脂〔B1 〕中の全重合体成分100重量部中20重量
以下である。あまりに多くなると、電子写真特性の低下
を生じることがある。更に、樹脂〔B1 〕はこれら以外
の重合体成分を含有してもよい。このような他の重合体
成分としては、例えば一般式(I)で説明した以外の置
換基を含有するメタクリル酸エステル類、アクリル酸エ
ステル類、クロトン酸エステル類に加え、α−オレフィ
ン類、カルボン酸ビニル又はアクリル酸エステル類(例
えばカルボン酸として、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉
草酸、安息香酸、ナフタレンカルボン酸等) 、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル、ビニルエーテル類、イ
タコン酸エステル類(例えばジメチルエステル、ジエチ
ルエステル等) 、アクリルアミド類、メタクリルアミド
類、スチレン類(例えばスチレン、ビニルトルエン、ク
ロロスチレン、ヒドロキシスチレン、N,N−ジメチル
アミノメチルスチレン、メトキシカルボニルスチレン、
メタンスルホニルオキシスチレン、ビニルナフタレン
等)、ビニルスルホン含有化合物、ビニルケトン含有化
合物、複素環ビニル類(例えばビニルピロリドン、ビニ
ルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルチオフェン、
ビニルイミダゾリン、ビニルピラゾール、ビニルジオキ
サン、ビニルキノリン、ビニルテトラゾール、ビニルオ
キサジン等)等が挙げられる。これらの他の単量体は樹
脂〔B1 〕中30重量%を越えないことが望ましい。樹
脂〔B1 〕において、重合体主鎖の片末端に極性基を結
合する方法としては、従来公知のアニオン重合あるいは
カチオン重合によって得られるリビングポリマーの末端
に種々の試薬を反応させる方法(イオン重合法による方
法)、分子中に特定の極性基を含有した重合開始剤及び
/又は連鎖移動剤を用いてラジカル重合させる方法(ラ
ジカル重合法による方法)、あるいは以上の如きイオン
重合法もしくはラジカル重合法によって得られた末端に
反応性基(例えばアミノ基、ハロゲン原子、エポキシ
基、酸ハライド基等)含有の重合体を高分子反応によっ
て本発明の特定の極性基に変換する方法等の合成法によ
って容易に製造することができる。具体的には、P.D
reyfuss,R.P.Quirk,Encycl.
Polym,Sci.Eng,、551(198
7)、中条善樹、山下雄也「染料と薬品」30、232
(1985)、上田明、永井進「化学と工業」60、5
7(1986)等の総説及びそれに引用の文献等に記載
の方法によって製造することができる。具体的には、用
いる連鎖移動剤としては、例えば、該極性基あるいは上
記反応性基(即ち該極性基に誘導しうる基)を含有する
メルカプト化合物(例えばチオグリコール酸、チオリン
ゴ酸、チオサリチル酸、2−メルカプトプロピオン酸、
3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸、N
−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン、2−メル
カプトニコチン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチ
ル)カルバモイル〕プロピオン酸、3−〔N−(2−メ
ルカプトエチル)アミノ〕プロピオン酸、N−(3−メ
ルカプトプロピオニル)アラニン、2−メルカプトエタ
ンスルホン酸、2−メルカプトエタノール、3−メルカ
プト−1,2−プロパンジオール、1−メルカプト−2
−プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノール、メ
ルカプトフェノール、2−メルカプトエチルアミン、2
−メルカプトイミダゾール、2−メルカプト−3−ピリ
ジノール、4−(2−メルカプトエチルオキシカルボニ
ル)フタル酸無水物、2−メルカプトエチルホスホノ
酸、2−メルカプトエチルホスホノ酸モノメチルエステ
ル等)、あるいは上記極性基又は置換基含有のヨード化
アルキル化合物(例えばヨード酢酸、ヨードプロピオン
酸、2−ヨードエタノール、2−ヨードエタンスルホン
酸、3−ヨードプロパンスルホン酸等)等が挙げられ
る。好ましくはメルカプト化合物である。用いることの
できる該極性基又は特定の反応性基を含有する重合開始
剤としては、例えば、4,4′−アゾビス(4−シアノ
吉草酸)、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸クロ
ライド)、2,2′−アゾビス(2−シアノプロパノー
ル)、2,2′−アゾビス(2−シアノペンタノー
ル)、2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒ
ドロキシエチル)プロピオンアミド〕、2,2′−アゾ
ビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメ
チル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}、
2,2′−アゾビス{2−〔1−(2−ヒドロキシエチ
ル)−2−イミダゾリン−2−イル〕プロパン}、2,
2′−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)
プロパン〕、2,2′−アゾビス〔2−(4,5,6,
7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゾピン−2−イ
ル)プロパン〕等又はこれらの誘導体等が挙げられる。
これらの連鎖移動剤又は重合開始剤は、全単量体100
重量部に対して好ましくは0.1〜15重量部、より好
ましくは2〜10重量部用いられる。次に本発明の一般
式(I)で示される重合体成分を含有し、且つ特定の極
性基含有成分を含有しないAブロックと、特定の極性基
含有成分を含有するBブロックとから構成されるAB型
もしくはABA型ブロック重合体である樹脂〔B2 〕に
ついて説明する。樹脂〔B2 〕において、Bブロックに
含有される特定の極性基含有重合体成分の存在量は、樹
脂〔B2 〕全体の100重量部当たり0.05〜15重
量部、好ましくは、0.1〜10重量部の割合である。
樹脂〔B2 〕における極性基含有量が0.05重量部よ
り少ないと、初期電位が低くて充分な画像濃度を得るこ
とができず、該極性基含有量が15重量部よりも多い
と、分散性が低下し、膜平滑度及び電子写真特性の高温
高湿が低下し、更にオフセットマスターとして用いると
きに地汚れが増大するため、好ましくない。 樹脂〔B
2 〕の重量平均分子量は1×103 〜2×104 、好ま
しくは3×103 〜1×104 である。樹脂〔B2 〕の
分子量が1×103 より小さくなる、あるいはまた分子
量が2×104 より大きくなると本発明の樹脂〔B2
の効果が少なくなり、従来公知の樹脂と同程度の電子写
真特性になってしまう。樹脂〔B2 〕のガラス転移点
は、−30℃〜100℃の範囲のものが好ましく、より
好ましくは0℃〜90℃である。本発明のABもしくは
ABA型ブロック重合体(樹脂〔B2 〕)のAブロック
成分を構成する重合体成分について詳しく説明する。A
ブロック成分は、少なくとも前記一般式(I)で示され
る繰り返し単位で示される重合体成分を含有し、該式
(I)で示される成分は好ましくはAブロック成分中、
好ましくは30〜100重量%、より好ましくは50〜
100重量%含有される。Aブロックにおいては、Bブ
ロックで含有される特定の極性基含有成分を含有しない
ことが好ましい。AB型/ABA型ブロック重合体の樹
脂〔B2 〕における前記一般式(I)で示される繰り返
し単位については、前記樹脂〔B1 〕の式(I)につい
て述べたものと同様である。前記一般式(I)の繰り返
し単位に相当する重合体成分において、好ましくは前記
樹脂〔B1 〕と同様の一般式(Ia)及び/又は一般式
(Ib)で示される繰り返し単位の重合体成分が挙げら
れる。Aブロック中に含有される他の重合体成分として
は、例えば下記一般式(XII)で示される成分が挙げ
られる。
【0123】
【化53】
【0124】〔式中、X1 は−COO−、−OCO−、
−(CH2 p −OCO−、−(CH2 p −COO−
(pは1〜3の整数を表す)、−O−、−SO2 −、−
CO−、−CON(Q2 )−、−SO2 N(Q2 )−、
−CONHCOO−、−CONHCONH−又は−C6
4 −を表す(ここでQ2 は水素原子又は炭化水素基を
表す)。Q1 は炭化水素基を表す。m1 及びm2 は、互
いに同じでも異なってもよく、前記式(I)中のa1
2 と同義である。〕Q2 で示される好ましい炭化水素
基としては、炭素数1〜18の置換されてもよいアルキ
ル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル
基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2
−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエ
チル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキ
シエチル基、3−ブロモプロピル基等)、炭素数4〜1
8の置換されてもよいアルケニル基(例えば、2−メチ
ル−1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ぺンテニ
ル基、3−メチル−2−ぺンテニル基、1−ぺンテニル
基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル
−2−ヘキセニル基等)、炭素数7〜12の置換されて
もよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル
基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−
ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル
基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベ
ンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基
等)、炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式基(例え
ば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、
2−シクロぺンチルエチル基等)又は炭素数6〜12の
置換されてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナフ
チル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、
ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェ
ニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブ
トキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフ
ェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、シ
アノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボ
ニルフェニル基、エトキシカルボキシフェニル基、ブト
キシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、
プロピオアミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニ
ル基等)が挙げられる。X1 が−C6 4 −を表わす場
合、ベンゼン環は置換基を有してもよい。置換基として
は、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子等)、ア
ルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、クロロメチル基、メトキシメチル基等)、アル
コキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピオキ
シ基、ブトキシ基等)等が挙げられる。Q1 で示される
好ましい炭化水素基としては、炭素数1〜22の置換さ
れてもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オク
チル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラ
デシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−クロ
ロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル
基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエ
チル基、3−ブロモプロピル基等)、炭素数4〜18の
置換されてもよいアルケニル基(例えば、2−メチル−
1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル
基、3−メチル−2−ぺンテニル基、1−ぺンテニル
基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル
−2−ヘキセニル基等)、炭素数7〜12の置換されて
もよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル
基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−
ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル
基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベ
ンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基
等)、炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式基(例え
ば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、
2−シクロぺンチルエチル基等)、炭素数6〜12の置
換されてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチ
ル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブ
チルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニ
ル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブト
キシフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフェ
ニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、シア
ノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボニ
ルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキ
シカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プ
ロピオアミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニル
基等)が挙げられる。更に好ましくは、一般式(XI
I)において、X1 は−COO−、−OCO−、−CH
2 OCO−、−CH2 COO−、−O−、−CONH
−、−SO2 NH−又は−C6 4 −を表す。一般式
(XII)に示される重合体成分とともにAブロック中
に含有され得る重合体成分として、該式(XII)の重
合体成分と共重合しうる他の繰り返し単位に相当する単
量体、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、
複素環ビニル類(例えばビニルピリジン、ビニルイミダ
ゾール、ビニルピロリドン、ビニルチオフェン、ビニル
ピラゾール、ビニルジオキサン、ビニルオキサジン等)
等に相当する重合体成分が挙げられる。これら他の重合
体成分はAブロックの全重合体成分100重量部中20
重量部を超えない範囲で用いられる。次にABブロック
又はABAブロック型重合体の高分子鎖を構成するBブ
ロックについて詳述する。Bブロックを構成する極性基
含有成分について説明する。樹脂〔B2 〕におけるBブ
ロックを構成する極性基含有重合体成分は前記樹脂〔B
1 〕において述べた極性基を含有する繰り返し単位に相
当する重合体成分と同様である。かかる特定の極性基を
含有する重合体成分は該Bブロック中に2種以上含有さ
れていてもよく、その場合における2種以上の極性基含
有成分はBブロック中においてランダム共重合又はブロ
ック共重合のいずれの態様で含有されていてもよい。ま
た、上記極性基含有重合体成分以外の重合体成分をBブ
ロック中に含有していてもよく、かかる重合体成分とし
ては好ましくは前記一般式(I)及び(XII)の繰り
返し単位に相当する重合体成分が挙げられる。更にこれ
ら以外の他の重合体成分として含有してもよい。このよ
うな他の重合体成分としては、前記樹脂〔B1 〕の説明
における他の重合体成分と同様のものが挙げられる。こ
のような他の重合体成分はBブロックの全重合体成分1
00重量部中20重量部を越えない範囲で用いられる。
本発明のABブロック及びABAブロック重合体の樹脂
〔B2 〕は、従来公知の重合反応法によって製造するこ
とができる。具体的には、該特定の極性基を含有する重
合体成分に相当する単量体において該極性基を予め保護
した官能基としておき、有機金属化合物(例えばアルキ
ルリチウム類、リチウムジイソプロピルアミド、アルキ
ルマグネシウムハライド類等)もしくはヨウ化水素/ヨ
ウ素系等によるイオン重合反応、ポルフィリン金属錯体
を触媒とする光重合反応又はグループ移動重合反応等の
公知のいわゆるリビング重合反応で該ブロック共重合体
を合成した後、極性基を保護した官能基を加水分解反
応、加水素分解反応、酸化分解反応又は光分解反応等に
よって脱保護反応を行ない、極性基を形成させる方法が
挙げられる。その1つの例を下記の反応スキーム(1)
に示した。
【0125】
【化54】
【0126】これらは、例えば、P.Lutz、P.M
asson etal、Polym.Bull.
.,79(1984)、B.C.Anderson、
G.D.Andrews etal、Macromol
ecules、14、1601(1981)、K.Ha
tada、K.Ute.etal、Polym.J.
、977(1985)、18、1037(198
6)、右手浩一、畑田耕一、高分子加工、36、366
(1987)、東村敏延、沢本光男、高分子論文集、
、189(1989)、M.Kuroki、T.Ai
da、J.Am.Chem.Soc.109、4737
(1987)、相田卓三、井上祥平、有機合成化学、
、300(1985)、D.Y.Sogah、W.
R.Hertleretal.Macromolecu
les、20、1473(1987)等に記載の合成方
法に従って容易に合成することができる。更に、該ブロ
ック共重合体の樹脂〔B2 〕は、極性基を保護しないま
まの単量体を用い、ジチオカーバメート基を含有する化
合物及び/又はザンテート基を含有する化合物を開始剤
として、光照射下に重合反応を行なって合成することも
できる。例えば、大津隆行、高分子、37,248(1
988)、檜森俊一、大津隆一、Polym.Rep.
Jap.37.3508(1988)、特開昭64−1
11号、特開昭64−26619号、東信行等、Pol
ymer Preprints、Japan、36
(6)、1511(1987)、M.Niwa、N.H
igashi、etal、J.Macromol.Sc
i.Chem.A24(5)、567(1987)等に
記載の合成方法に従って合成することができる。
【0127】又、本発明の樹脂〔B2 〕の特定の極性基
の保護基による保護及びその保護基の脱離(脱保護反
応)については、従来公知の知見を利用して容易に行な
うことができる。例えば前記引用文献にも種々記載され
ており、更には、岩倉義男、栗田恵輔、「反応性高分
子」(株)講談社刊(1977年)、T.W.Gree
ne、「Protective Groups in
Organic Synthesis」,John W
iley & Sons(1981年)、J.F.W.
McOmie、「Protective Groups
in Organic Chemistry」Ple
num Press、(1973年)等の総説に詳細に
記載されている方法を適宜選択して行なうことができ
る。更には、ABブロック共重合体を合成する他の方法
としてはAブロック又はBブロックのいずれかの部分を
含有するアゾビス化合物(即ち、高分子アゾビス開始
剤)を合成し、これを開始剤として他の一方のブロック
を形成するに相当する単量体類をラジカル重合反応で合
成する方法を用いることもできる。具体的には、上田
明、永井進、高分子論文集、44、469(198
7)、上田明、大阪市立工業研究所報告、84 (19
89)等に記載された方法で合成することができる。本
反応を利用して合成する場合には、高分子アゾビス開始
剤の合成のし易さ及びブロック化の重合反応の規則性等
から該高分子開始剤の重量平均分子量は、2×104
下が好ましい。本発明の樹脂〔B2 〕は、Aブロックの
方がBブロックよりも高分子鎖が長い方が好ましい。以
上のことから、本反応で合成する場合、Bブロック含有
の高分子開始剤を用いる方法が好ましい。例えば下記に
示す様な反応スキーム(2)で反応することができる。
【0128】
【化55】
【0129】次に樹脂〔B〕として、前記一般式(I)
に対応するモノマーと、特定の極性基含有の一官能性マ
クロモノマー(M1 )とから少なくとも形成されるグラ
フト型共重合体である樹脂〔B3 〕について以下に説明
する。樹脂〔B3 〕の重量平均分子量は1×103 〜2
×104 、好ましくは3×103 〜1×104 であり、
樹脂〔B3 〕のガラス転移点は、好ましくは120℃以
下であり、より好ましくは90℃以下である。樹脂〔B
3 〕の分子量が1×103 より小さくなるあるいは2×
104 より大きくなると、本発明の樹脂であっても、静
電特性の低下を生じ、本発明の効果が失われてしまう。
樹脂〔B3 〕において用いられるマクロモノマー
(M1 )は、特定の極性基含有重合体成分を有してお
り、該極性基含有成分の樹脂〔B3 〕中における含有量
は0.05〜15重量%、好ましくは1〜10重量%で
ある。樹脂〔B3 〕における極性基含有重合体成分量が
0.05重量%より少ないと、初期電位が低くて充分な
画像濃度を得ることができない。一方、該極性基含有量
が15重量%よりも多いと、いかに低分子量体といえど
も分散性が低下し、更にオフセットマスターとして用い
るときに地汚れが増大する。樹脂〔B3 〕における前記
一般式(I)の繰り返し単位に相当する重合体成分の存
在割合は30重量%以上、好ましくは50〜97重量%
であり、マクロモノマー(M1 )に相当する重合体成分
の存在割合は3〜50重量%、好ましくは3〜40重量
%である。上記所定量の範囲を越えると、静電特性(特
に、暗減衰保持率及び光感度)の低下を招き、更に又、
特に近赤外〜赤外分光増感色素を用いた感光体におい
て、高温・高湿、低温・低湿の苛酷な条件下での暗減衰
保持率及び光感度の変動が多少大きくなり安定した複写
画像が得られるという本発明の効果が薄れてしまう。樹
脂〔B3 〕においても前記一般式(I)の繰り返し単位
の好ましいものとして一般式(Ia)及び/又は一般式
(Ib)で示される繰り返し単位が挙げられる。次に本
発明の樹脂〔B3 〕において用いられる一官能性マクロ
モノマー(M1)について詳しく説明する。一官能性マ
クロモノマー(M1 )は、重合性二重結合基を、特定の
極性基を含有する重合成分を少なくとも1種含有して成
る重合体主鎖の一方の末端にのみ結合して成る、重量平
均分子量1×104以下のものである。マクロモノマー
(M1 )において、好ましい重合性二重結合基として
は、下記一般式(IIA )で示されるものが挙げられ
る。
【0130】
【化56】
【0131】〔式(IIA )中、V1 は−COO−、−
OCO−、−CH2 OCO−、−CH2 COO−、−O
−、−SO2 −、−CO−、−CONHCOO−、−C
ONHCONH−、−CONHSO2 −、−CON(T
1 )−、−SO2 N(T1 )−又は−C6 4 −を表わ
す(ここで、T1 は水素原子又は炭化水素基を表す)。
1 及びb2 は各々水素原子、ハロゲン原子、シアノ
基、炭化水素基、−COOZ11又は炭化水素を介した−
COOZ11(Z11は、水素原子又は炭化水素基を表す)
を表わす。〕T1 で示される好ましい炭化水素基として
は、前記樹脂〔B2 〕の式(XII)中のX1 の説明中
のQ2 と同様のものが挙げられる。V1 が−C6 4
を表す場合、ベンゼン環は置換基を有してもよい。置換
基としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子
等)、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、クロロメチル基、メトキシメチル基
等)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、
プロピオキシ基、ブトキシ基等)等が挙げられる。b1
及びb2 は、互いに同じでも異なっていてもよく、好ま
しくは水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭
素原子等)、シアノ基、炭素数1〜4のアルキル基(例
えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基
等)、−COOZ11又は炭化水素を介した−COOZ11
(Z11は、水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基、
アルケニル基、アラルキル基、脂環式基又はアリール基
を表わし、これらは置換されていてもよく、具体的に
は、上記T1 について説明したものと同様の内容を表わ
す)を表わす。上記炭化水素を介した−COOZ11基に
おける炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、
プロピレン基等が挙げられる。更に好ましくは、一般式
(IIA )において、V1 は、−COO−、−OCO
−、−CH2 OCO−、−CH2 COO−、−O−、−
CONHCOO−、−CONHCONH−、−CONH
−、−SO2 NH−又は−C6 4 −を表し、b1 、b
2 は互いに同じでも異なってもよく、水素原子、メチル
基、−COOZ11又は−CH2 COOZ11{Z11は、水
素原子又は炭素数1〜6のアルキル基(例えばメチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等)
を表わす。}を表し、更により好ましくはb1 、b2
おいていずれか一方が必ず水素原子を表わす。
【0132】即ち、一般式(IIA )で表わされる重合
性二重結合基として、具体的には、CH2 =CHCO
−、CH2 =C(CH3 )COO−、CH(CH3 )=
CHCOO−、CH2 =C(CH2 COOCH3 )CO
O−、CH2 =C(CH2 CN)COO−、CH2 =C
HCONH−、CH2 =C(CH3 )CONH−、C
(CH3 )H=CHCONH−、CH2 =CHOCO
−、CH2 =CHCH2 OCO−、CH2 =CHO−、
CH2 =C(Cl)CH2 COO−、CH2 =C(CO
OCH3 )CH2 COO−、CH2 =C(CH3 )CO
NHCOO−、CH2=C(CH3 )CONHCONH
−、CH2 =CH−C6 4 −等を挙げることができ
る。本発明のマクロモノマー(M1 )は、その重合体主
鎖の重合体成分として、特定の極性基を有する重合体成
分を含有する。かかる極性基含有重合体成分は、前記樹
脂〔B1 〕における極性基含有重合体成分と同様であ
る。本発明の樹脂〔B3 〕のマクロモノマー(M1
は、前記特定の極性基含有重合体成分とともに、他の重
合体成分を含有しうる。このような重合体成分として
は、下記一般式(IIIA )の繰り返し単位が含まれ
る。
【0133】
【化57】
【0134】式中、V2 は前記一般式(IIA )中のV
1 と同義である。R6 は、炭化水素基を表わす。但し、
一般式(IIIA )中のV2 が−C6 4 −を表わす場
合、R6 は水素原子又は炭化水素基を表わす。好ましい
炭化水素基としては、前記樹脂〔B2 〕における式(X
II)中のQ1 と同様の内容を示す。また、V2 が−C
6 4 −を表わす場合、ベンゼン環は置換基を有しても
よい。置換基としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原
子、臭素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、クロロメチル基、メト
キシメチル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ
基、エトキシ基、プロピオキシ基、ブトキシ基等)等が
挙げられる。c1 及びc2 は、互いに同じでも異なって
いてもよく、好ましくは前記式(IIA )中のb1 及び
2 と同様の内容を示す。更に好ましくは、一般式(I
IIA )において、V2 は−COO−、−OCO−、−
CH2 OCO−、−CH2COO−、−O−、−CON
H−、−SO2 NH−又はC6 4 −を表わし、c1
びc2 は互いに同じでも異なってもよく、水素原子、メ
チル基、−COOZ3 又は−CH2 COOZ3 {Z3
好ましくは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基(例
えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキ
シル基等)を表わす}を表わす。更により好ましくは、
1及びc2 においていずれか一方が水素原子を表わ
す。これらの重合体成分のマクロモノマー(M1 )の全
重合体成分100重量部中の含有量は、好ましくは50
〜99重量%で、より好ましくは70〜95重量%であ
る。重合体成分の割合が上記範囲を越えると、静電特性
の低下を生じる傾向がある。又、該マクロモノマー(M
1 )の重合体成分として、更に、前記樹脂〔B1 〕にお
ける他の重合体成分として述べたものを用いてもよい。
このような他の重合体成分は樹脂〔B3 〕において高分
子鎖の全重合体成分100重量部中20重量部を超えな
い範囲で用いられることが好ましい。本発明の樹脂〔B
3 〕のマクロモノマー(M1 )は、従来公知の合成方法
によって製造することができる。例えば、該特定の極性
基を含有する重合体成分に相当する単量体において、極
性基を予め保護した官能基としておき、有機金属化合物
(例えばアルキルリチウム類、リチウムジイソピルアミ
ド類、アルキルマグネシウムハライド類等)あるいはヨ
ウ化水素/ヨウ素系等によるイオン重合反応、ポルフィ
リン金属錯体を触媒とする光重合反応、あるいはグルー
プ移動重合反応等の公知のいわゆるリビング重合反応で
ABブロック共重合体を合成した後、このリビングポリ
マーの末端に種々の試薬を反応させて重合性二重結合基
を導入する。この後、極性基を保護した官能基を加水分
解反応、加水素分解反応、酸化分解反応あるいは光分解
反応等によって脱保護反応を行ない、極性基を形成させ
る方法が挙げられる。その1つの例を下記の反応スキー
ム(3)に示した。
【0135】
【化58】
【0136】例えば、P.Lutz、P.Masson
et al、Polym. Bul.、12、79
(1984)、B.C.Anderson、G.D.A
ndrews et el、Macromolecul
es、14、1601(1981)、K.Hatad
a、K.Ute et al、Polym.J.17、
977(1985)、18、1037(1986)、右
手浩一、畑田耕一、高分子加工、36、366(198
7)、東村敏延、沢本光男、高分子論文集、46、18
9(1989)、M.Kuroki、T.Aida、
J.Am.Chem.Soc.109、4737(19
87)、相田卓三、井上祥平、有機合成化学、43、3
00(1985)、D.Y.Sogoh、W.R.He
rtler etal、Macromolecule
s、20、1473(1987)等に記載の合成方法に
従って容易にリビングポリマーを合成することができ
る。又、該リビングポリマーの末端に重合性二重結合基
を導入する方法としては、従来公知のマクロモノマー法
の合成法に従って容易に本発明のマクロモノマーとする
ことができる。具体的には、P.Dreyfuss a
nd R.P.Quirk、Encycl.Poly
m.Sci.Eng.、、551(1987)、P.
F.Rempp、E.Franta、Adv.Poly
m.Sci.、58、1(1984)、V.Perce
c、Appl.Polym.Sci.、285、95
(1984)、R.Asami、M.Takari、M
akramol.Chem.Suppl.、12、16
3(1985)、P.Rempp et al、Mak
ramol.Chem.Suppl.、8、3(198
4)、川上雄資、化学工業、38、56(1987)、
山下雄也、高分子、31、988(1982)、小林四
郎、高分子、30、625(1981)、東村敏延、日
本接着協会誌18、536(1982)、伊藤浩一、高
分子加工、35、262(1986)、東貴四郎、津田
隆、機能材料、1987、No.10、5等の総説及び
それに引例の文献、特許等に記載の方法に従って合成す
ることができる。又、本発明の樹脂〔B3 〕において特
定の極性基を保護する保護基及びその保護基の脱離(脱
保護反応)については、従来公知の知見を利用して容易
に行なうことができる。例えば前記した引用文献にも種
々記載されており、更には、岩倉義男、栗田恵輔「反応
性高分子」(株)講談社刊(1977年)、T.W.G
reene「Protective Groups i
n Organic Synthesis」John
Wiley & Sons(1981)、J.F.W.
McOmie「Protective Groups
in Organic Chemistry」Plen
um Press(1973)等の総説に詳細に記載さ
れている方法を適宜選択して行なうことができる。他の
合成法としては、ジチオカーバメ−ト化合物を開始剤と
した光イニファーター重合法によって合成することもで
きる。例えば、大津隆行、高分子、37、248(19
88年)檜森俊一、大津隆一、Polym.Rep.J
ap.37、3508(1988年)、特開昭64−1
11号、特開昭64−26619号等に記載の合成方法
に従って合成され、これを上記したマクロモノマー合成
法を利用して本発明のマクロモノマーを得ることができ
る。次に本発明の樹脂〔B〕として、極性基含有のAブ
ロックと前記一般式(I)で示される重合体成分を含む
Bブロックから成るABブロック共重合体のBブロック
の末端に重合性二重結合基を有する一官能性マクロモノ
マー(M2 )から少なくとも形成されるグラフト型共重
合体である樹脂〔B4 〕について説明する。樹脂
〔B4 〕の重量平均分子量は1×103 〜2×104
好ましくは3×103 〜1×104 であり、樹脂
〔B4 〕のガラス転移点は好ましくは−40℃〜110
℃、より好ましくは−20℃〜90℃である。樹脂〔B
4 〕の分子量が1×103 より小さくなると、皮膜形成
能が低下し充分な膜強度を保てず、一方分子量が2×1
4 より大きくなると本発明の樹脂であっても、特に近
赤外〜赤外分光増感色素を用いた感光体において、高温
・高湿、低温・低湿の苛酷な条件下での電子写真特性
(特に初期電位、暗減衰保持率及び光感度)の変動が多
少大きくなり、安定した複写画像が得られるいとう本発
明の効果が薄れてしまう。本発明のグラフト型共重合体
の樹脂〔B4 〕において、マクロモノマー(M2)の存
在割合は、1〜60重量%であり、好ましくは5〜40
重量%である。結着樹脂〔B4 〕におけるマクロモノマ
ー(M2 )含有量が1重量%より少ないと電子写真特性
(特に暗減衰率、光感度)が低下し、又環境条件での電
子写真特性の変動が特に近赤外〜赤外光分光増感色素と
の組み合わせにおいて大きくなる。これはグラフト部と
なるマクロモノマー(M2 )が微かとなることで結果と
して従来のホモポリマーあるいはランダム共重合体と殆
んど同じ組成になってしまうことによると考えられる。
一方マクロモノマー(M2 )の含有量が60重量%を越
えると、他の共重合体成分に相当する単量体とマクロモ
ノマー(M2 )との共重合性が充分でなくなり、結着樹
脂として用いても充分な電子写真特性が得られなくなっ
てしまう。本発明の樹脂〔B4 〕における、マクロモノ
マー(M2 )中に含有される極性基含有成分の存在量
は、樹脂〔B4 〕100重量部中に0.05〜15重量
部であり、好ましくは3〜15重量部である。樹脂〔B
4 〕中での極性基の存在割合は、マクロモノマー
(M2 )中でのAブロックの組成比及び樹脂〔B4 〕で
のマクロモノマー(M2 )の共重合比によって、望まし
い比率に調整することができる。樹脂〔B4 〕における
極性基含有量が0.05重量%より少ないと、初期電位
が低くて充分な画像濃度を得ることができない。一方、
該極性基含有量が15重量%よりも多いと、いかに低分
子量体といえども分散性が低下し、更にオフセットマス
ターとして用いるときに地汚れが増大する。本発明のグ
ラフト型共重合体に供される一官能性マクロモノマー
(M2 )について更に具体的に説明する。本発明の樹脂
〔B4 〕における該マクロモノマー(M2 )中の共重合
体成分は、上記の如く、AブロックとBブロックとから
構成されるが、このAブロック/Bブロックの存在割合
は、好ましくは1〜70/99〜30(重量比)であ
り、より好ましくは3〜50/97〜50(重量比)で
ある。マクロモノマー(M2 )のAブロックを構成する
成分中に含有される極性基含有重合体成分は前記樹脂
〔B1 〕に含有される極性基含有重合体成分と同様であ
る。上記の如き極性基含有成分はAブロック中に2種以
上含有されていてもよく、これら2種以上の極性基含有
成分はAブロック中においてランダム共重合又はブロッ
ク共重合のいずれで含有されていてもよい。更に、極性
基含有成分とともに、極性基を含有しない成分{例えば
前記式(I)で示される成分}をAブロック中に含有し
ていてもよいが、極性基含有成分はAブロック中におい
て30〜100重量%存在することが好ましい。更には
マクロモノマー(M2 )を構成するBブロック中には式
(I)の重合体成分以外の重合体成分が含有されていて
もよい。例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、複素環ビニル類(例えばビニルピリジン、ビニルイ
ミダゾール、ビニルピロリドン、ビニルチオフェン、ビ
ニルピラゾール、ビニルジオキサン、ビニルオキサジン
等)に相当する成分が挙げられる。これら他の重合体成
分はBブロックの全重合体成分100重量部中20重量
部を越えない範囲で用いられる。Bブロック中には、A
ブロックの構成成分である極性基を含有する重合体成分
を含有しない事が好ましい。Bブロックにおいて2種以
上の共重合成分が存在する場合には、これら2種以上の
共重合成分はBブロックにおいてランダム共重合又はブ
ロック共重合のいずれで含有されていてもよい。合成の
簡便さからはランダムに含有されることが好ましい。次
に本発明のマクロモノマー(M2 )において上記した極
性基を含有する重合体成分から成るAブロックと前記一
般式(I)で示される重合体成分を含有することから成
るBブロックをA−B型で連結し且つAブロックと連結
するBブロックの他の末端に連結される重合性二重合基
について説明する。具体的には前記樹脂〔B3 〕におけ
る一般式(IIA ) で示される重合性二重結合基が例と
して挙げられる。本発明に供されるマクロモノマー(M
2 )は上述の如きBブロックの片末端に、前記一般式
(IIA )で示される如き重合性二重結合基が、直接結
合するか、あるいは、任意の連結基で結合された化学構
造を有するものである。連結する基としては、炭素−炭
素結合(一重結合あるいは二重結合)、炭素−ヘテロ原
子結合(ヘテロ原子としては例えば、酸素原子、イオウ
原子、窒素原子、ケイ素原子等)、ヘテロ原子−ヘテロ
原子結合の原子団の任意の組合せで構成されるものであ
る。即ち、具体的には、単なる結合または、−C
(Z4 )(Z4 ) −〔Z4 は同じでも異なってもよく、
水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原
子、臭素原子等)、シアノ基、ヒドロキシル基、アルキ
ル基(例えはメチル基、エチル基、プロピル基等)等を
示す〕、−(CH=CH)−、−C6 10−、−C6
4 − 、−O−、−S−、−CO−、−N(Z5 )−、
−COO−、−C(=S)−、−SO2 −、−CON
(Z5 )−、−SO2 N(Z5 )− 、−NHCOO
−、−NHCONH−、−C(Z5 )(Z5 )−〔Z5
はそれぞれ水素原子、前記式(I)におけるQ3 と同様
の内容を表わす炭化水素基等を示す〕等の原子団から選
ばれた単独の連結基もしくは任意の組合せで構成された
連結基を表わす。マクロモノマー(M2 )の重量平均分
子量が2×104 を超えると、他のモノマー(例えば前
記の式(I)に相当するモノマー)との共重合性が低下
するため好ましくない。他方、重量平均分子量が小さす
ぎると、感光層の電子写真特性の向上効果が小さくなる
ため、1×103 以上であることが好ましい。本発明の
樹脂〔B4 〕のマクロモノマー(M2 )は、従来公知の
合成方法によって製造することができる。例えば、前記
樹脂〔B3 〕のマクロモノマー(M1)と同様の方法で製
造することができる。その1つの例を下記の反応スキー
ム(4)に示した。
【0137】
【化59】
【0138】リビングポリマーの合成方法および、該リ
ビングポリマーの末端に重合性二重結合基を導入する方
法は、前記マクロモノマー(M1 )において記載した方
法と同様である。又、本発明の特定の極性基を保護する
保護基及びその保護基の脱離(脱保護反応)について
は、従来公知の知見を利用して容易に行なうことができ
る。例えば前記樹脂〔B3 〕における極性基への脱保護
反応と同様である。本発明のマクロモノマー(M2
は、具体的には、下記の化合物を例として挙げることが
できる。但し本発明はこれらに限定されるものではな
い。下記化合物例において、p3 、p4 及びp5 はそれ
ぞれ、−H、−CH3 又は−CH2 COOCH3 を示
し、p6 は−H又は−CH3 を示し、R11は−Cp
2p+1(pは1〜18の整数) 、−(CH2 ) q 6 5
(qは1〜3の整数)、−C6 4 −Y1 (Y1 は−
H、−Cl、−Br 、−CH3 、−OCH3 又は−CO
CH3 を示す)又は−(CH2 r −C107 (rは0
〜3の整数)を示し、R12は−Cs 2s+1(sは1〜8
の整数)又は−(CH2 q 6 5 を示し、Y2 は−
OH、−COOH、−SO3 H、−OP(=O)(OH)
2 又は−OP(=O)(OH)OCH3 を示し、Y3 は−
COOH、−SO3 H、−OP(=O)(OH)2 又は−
OP(=O)(OH)OCH3 を示し、t=2〜12の整数
を示し、uは2〜6の整数を示す。
【0139】
【化60】
【0140】
【化61】
【0141】
【化62】
【0142】
【化63】
【0143】樹脂〔B4 〕において、マクロモノマー
(M1 )と共重合する成分として、前記一般式(I)で
示される成分が好ましい。樹脂〔B4 〕の重合体主鎖中
にはAブロックの極性基を含有する重合体成分を含有し
ないことが好ましい。樹脂〔B4 〕中の成分である一般
式(I)の繰り返し単位において、前記樹脂〔B1 〕に
おける一般式(Ia)及び/又は一般式(Ib)で示さ
れるメタクリレート成分であることが好ましい。更に、
本発明のグラフト型共重合体の樹脂〔B4 〕において上
記マクロモノマー(M2 )と共重合する成分としては、
一般式(I)、(Ia)又は(Ib)以外の重合体成分
であってもよく、例えば一般式(I)で説明した以外の
置換基を含有する、前記樹脂〔B1 〕における他の重合
体成分として示したものが挙げられる。好ましい例とし
ては、炭素数1〜3のアルカン酸ビニル又はアリルエス
テル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチ
レン及びスチレン誘導体(例えばビニルトルエン、ブチ
ルスチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ジク
ロロスチレン、ブロモスチレン、エトキシスチレン等)
等が挙げられる。本発明の結着樹脂〔B4 〕は、前記マ
クロモノマー(M2 )及び他の単量体(例えば一般式
(I)に相当する単量体)のうちから各々少なくとも1
種選ばれた化合物を所望の割合で共重合させることによ
って製造することができる。重合方法としては溶液重
合、懸濁重合、沈殿重合、乳化重合等の公知の方法を用
いることにより製造することができる。例えば溶液重合
ではベンゼン、トルエン等の溶媒中、単量体を所定の割
合で添加し、アゾビス系化合物、過酸化化合物、ラジカ
ル重合開始剤によって重合せしめ共重合体溶液を製造
し、これを乾燥または負溶剤に添加することにより所望
の共重合体を得ることができる。また、懸濁重合ではポ
リビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の分散剤
の存在下、単量体を懸濁させ、ラジカル重合開始剤の存
在下で共重合せしめ共重合体を得ることができる。次に
本発明のスター型共重合体である結着樹脂〔B〕につい
て詳しく説明する。スター型共重合体の樹脂〔B〕は、
前記一般式(I)で示される重合体成分(イ)と特定の
極性基含有の重合体成分(ロ)とを少なくとも含有する
高分子鎖を少なくとも3個同一有機分子内に結合したス
ター型共重合体からなる樹脂〔B5〕及び前記一般式
(I)で示される重合体成分を少なくとも含有するAブ
ロックと、特定の極性基を含有する重合体成分を少なく
とも含有するBブロックとから構成されるAB型ブロッ
ク高分子鎖を有機分子中に少なくとも3個結合してなる
スター型共重合体からなる樹脂〔B6 〕を含む。重合体
成分(イ)、(ロ)からなるスター型共重合体の樹脂
〔B5 〕を模式的に示すと例えば下記のように表され
る。
【0144】
【化64】
【0145】上記において、Xは有機分子を表し、〔P
olymer〕は高分子鎖を表す。ここで、有機分子に
結合した3個以上存在する高分子鎖は、それぞれ構造的
に同一であっても異なっていてもよく、それぞれ少なく
とも一般式(I)で示される重合体成分と極性基含有重
合体成分とを含有していればよい。またそれぞれの高分
子鎖の長さも同じであっても異なっていてもよい。ま
た、かかる高分子鎖が有機分子中に含まれる上限は多く
ても15個、通常10個程度である。また、AB型ブロ
ックのスター型共重合体の樹脂〔B6 〕において、Aブ
ロックとBブロックの高分子鎖中における配列の順序は
いずれでもよい。即ち、該樹脂〔B6 〕の重合体を模式
的に示すと下記の如くになる。
【0146】
【化65】
【0147】上記において、Xは有機分子を表し、
(A)はAブロックを、(B)はBブロックを表し、
(A)−(B)は高分子鎖を表す。また、かかるAB型
ブロック高分子鎖は、有機分子中に含まれる上限は多く
ても15個、通常10個程度である。スター型共重合体
の樹脂〔B5 〕および〔B6 〕の重量平均分子量は1×
103 〜2×104 、好ましくは3×103 〜1×10
4 であり、樹脂〔B5 〕,〔B6 〕のガラス転移点は好
ましくは−40℃〜110℃、より好ましくは−20℃
〜90℃である。樹脂〔B5 〕,〔B6 〕の分子量が1
×103 より小さくなると、皮膜形成能が低下し充分な
膜強度を保てず、一方分子量が2×104 より大きくな
ると本発明の樹脂であっても、特に近赤外〜赤外分光増
感色素を用いた感光体において、高温・高湿、低温・低
湿の苛酷な条件下での電子写真特性(特に初期電位、暗
減衰保持率及び光感度)の変動が多少大きくなり、安定
した複写画像が得られるいとう本発明の効果が薄れてし
まう。本発明の樹脂〔B5 〕は、上記の様に枝分れした
スター型共重合体となっているが、樹脂〔B5 〕の高分
子鎖中に含有される極性基含有成分(ロ)の存在量は、
樹脂〔B5 〕100重量部中に0.05〜15重量部、
好ましくは3〜15重量部である。樹脂〔B5 〕におけ
る極性基含有量が0.05重量%より少ないと、初期電
位が低くて充分な画像濃度を得ることができない。一
方、該樹脂〔B5 〕における極性基含有量が15重量%
よりも多いと、いかに低分子量体といえども分散性が低
下し、更にオフセットマスターとして用いるときに地汚
れが増大する。かかる樹脂〔B5 〕中の特定の極性基を
含有する重合体成分は該高分子鎖中に2種以上含有され
ていてもよい。また、重合成分(イ),(ロ)からなる
樹脂〔B5 〕の高分子鎖中における前記一般式(I)の
繰り返し単位に相当する重合体成分の存在割合は、樹脂
〔B5〕100重量部中30重量部以上、好ましくは3
0重量部〜99.95重量部、より好ましくは50重量
部〜99.5重量部である。本発明のAB型ブロックの
樹脂〔B6 〕中に含有される極性基含有成分の存在量
は、樹脂〔B6 〕100重量部中に0.05〜15重量
部、好ましくは3〜15重量部である。AB型ブロック
の樹脂〔B6 〕における極性基含有量が0.05重量%
より少ないと、初期電位が低くて充分な画像濃度を得る
ことができない。一方、該極性基含有量が15重量%よ
りも多いと、いかに低分子量体といえども分散性が低下
し、更にオフセットマスターとして用いるときに地汚れ
が増大する。AB型ブロックの樹脂〔B6 〕のAブロッ
ク成分における前記一般式(I)の繰り返し単位に相当
する重合体成分の存在割合は好ましくはAブロック成分
中30〜100重量%、より好ましくは50〜100重
量%である。また、Aブロックにおいては、Bブロック
で含有される特定の極性基含有成分を含有しないことが
好ましい。
【0148】本発明のスタ−型共重合体(樹脂
〔B5 〕,〔B6 〕)の高分子鎖を構成する各重合体成
分について述べる。スター型共重合体における前記一般
式(I)で示される繰り返し単位は前記の樹脂〔B1
で述べたものと同様である。スター型共重合体におい
て、前記一般式(I)の繰り返し単位において、より好
ましくは前記の樹脂〔B1 〕と同様に一般式(Ia)及
び/又は一般式(Ib)で示される繰り返し単位の重合
体成分が挙げられる。樹脂〔B5 〕の高分子鎖中に含有
される、及び、樹脂〔B6 〕のBブロック中に含有され
る極性基含有重合体成分は前記樹脂〔B1 〕に記載のも
のと同様である。前記の如き特定の極性基を含有する重
合成分は該樹脂〔B5 〕の高分子鎖中に2種以上含有さ
れていてもよい。また、前記の如き特定の極性基を含有
する重合成分は該樹脂〔B6 〕のブロック中に2種以上
含有されていてもよく、この場合における該2種以上の
極性基含有成分は該Bブロック中においてランダム共重
合又はブロック共重合のいずれの態様で含有されていて
もよい。重合体成分(イ)、(ロ)からなる樹脂
〔B5 〕の高分子鎖中には上記極性基含有重合体成分及
び式(I)で示される重合体成分以外の重合体成分を含
有していてもよく、また、AB型ブロック重合体の樹脂
〔B6 〕のAブロック中には式(I)以外の他の重合体
成分を含有してもよく、それぞれ含有され得る他の重合
体成分としては、例えば前記樹脂〔B2 〕の説明中に記
載の一般式(XII)で示される成分が挙げられる。樹
脂〔B5 〕の高分子鎖中に、更に他の重合体成分を含有
することができ、該含有され得る他の重合体成分とし
て、前記式(XII)の重合体成分と共重合しうる他の
繰り返し単位に相当する成分、例えば一般式(I)で説
明した以外の置換基を含有する前記樹脂〔B1 〕におけ
る他の共重合成分が挙げられる。このような他の重合体
成分は高分子鎖の全重合体成分100重量部中20重量
部を超えない範囲で用いられることが好ましい。樹脂
〔B6 〕において式(XII)に示される重合体成分と
ともに該Aブロック中に含有され得る重合体成分とし
て、前記式(XII)の重合体成分と共重合しうる他の
繰り返し単位に相当する単量体、例えばアクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、複素環ビニル類(例えばビニ
ルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン、
ビニルチオフェン、ビニルピラゾール、ビニルジオキサ
ン、ビニルオキサジン等)に相当する成分が挙げられ
る。これら他の成分はAブロックの全重合体成分100
重量部中20重量部を超えない範囲で用いられる。ま
た、樹脂〔B6 〕において、前記極性基含有の重合体成
分以外の重合体成分をBブロック中に含有していてもよ
く、かかる重合体成分としては好ましくは前記一般式
(I)及び(XII)の繰り返し単位に相当する重合体
成分が挙げられる。更にこれら以外の他の成分を重合体
成分として含有してもよい。このような他の重合体成分
としては、前記式(XII)の重合体成分と共重合し、
前記樹脂〔B1 〕における式(I)で説明した以外の置
換基を含有する他の重合体成分が挙げられる。本発明の
スター型共重合体〔B5 〕,〔B6 〕において、高分子
鎖を少なくとも3個以上結合してなる有機分子として
は、該分子の分子量が1000以下のものであれば特に
限定されるものではない。例を挙げれば、下記式の如き
3価以上の炭化水素残基が挙げられる。
【0149】
【化66】
【0150】〔ここで、r1 〜r4 はそれぞれ水素原子
又は炭化水素基を表す。但し、r1 及びr2 又はr3
4 のうちの少なくとも1つは高分子鎖に連結する。〕
これらの有機残基は、単独又はこれらの任意の組合せの
構成からなり、組合せの場合は、−O−、−S−、−N
(r5)−、−COO−、−CON(r5)−、−SO
2 −、−SO2 N(r5)−{ここでr5 はそれぞれ水素
原子又は炭化水素基を表す}、−NHCOO−、−NH
CONH−、酸素原子、イオウ原子、窒素原子等のヘテ
ロ原子含有の複素環(例えばチオフェン環、ピリジン
環、ピラン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール
環、フラン環、ピペリジン環、ピラジン環、ピロール
環、ピペラジン環等)等の結合単位の組合せを含んでい
てもよい。他の該高分子鎖を結合する有機分子の例とし
ては、下記式(i)又は式(ii)と上記結合単位との
組合せから構成されるものが挙げられる。しかしなが
ら、本発明に従う有機分子の具体例としては、これらに
限定されるものではない。
【0151】
【化67】
【0152】本発明のスター型共重合体は、従来公知の
極性基含有で且つ重合性二重結合基をもつ単量体のスタ
ー型ポリマーの合成法を利用して合成することができ
る。例えばその一つとしてカルバニオンを開始剤とする
重合反応が挙げられる。具体的には、M.Morto
n、T.E.Helminiak etal、J.Po
lym.Sci.、57、471(1962)、B.G
ordonlll、M.Blumenthal、J.
E.Loftus、etal、Polym.Bul
l.、11、349(1984)、R.B.Bate
s、W.A.Beavers、etal、J.Org.
Chem.、44、3800(1979)に記載の方法
に従って合成できる。但し、本反応を用いる際には、本
発明の「特定の極性基」は、保護した官能基として用い
て重合させた後、保護基の脱離を行う。これらの、本発
明の特定の極性基の保護基による保護及びその保護基の
脱離(脱保護反応)については、従来公知の知見を利用
して容易に行なうことができる。例えば前記引用文献に
も種々記載されており、更には、岩倉義男、栗田恵輔
「反応性高分子」(株)講談社刊(1977年)、T.
W.Greene「Protective Group
sin Organic Synthesis」Joh
n Wiley &Sons(1981年)、J.F.
W.McOmic「Protective Group
s in Organic Chemistry」Pl
enum Press(1973年)等の総説に詳細に
記載されている方法を適宜選択して行なうことができ
る。他の方法としては、本発明の特定の極性基を保護し
ないままの単量体を用い、ジチオカーバメート基を含有
する化合物及び/又はザンテート基を含有する化合物を
開始剤として、光照射下に重合反応を行なって合成する
こともできる。例えば、大津隆行「高分子」37、24
8(1988)、檜森俊一、大津隆一、Polym.R
ep.Jap.37.3508(1988)、特開昭6
4−111号、特開昭64−26619号、東信行等、
Polymer Preprints、Japan、
(6)、1511(1987)、M.Niwa、N.
Higashi、etal、J.Macromol.S
ci.Chem.A24(5)、567(1987)等
に記載の合成方法に従って合成することができる。本発
明のスター型共重合体の樹脂〔B5 〕および樹脂
〔B6 〕の重量平均分子量の調整は、重合反応において
従来公知の如く、重合に用いる全単量体総量と各種重合
開始剤量との使用割合あるいは重合温度等によって容易
に調整することができる。具体的には、用いる単量体の
種類及び開始剤の種類によって任意に合成できるもので
ある。本発明の光導電層に用いる全結着樹脂100重量
部中、結着樹脂〔B〕は好ましくは3〜50重量部、よ
り好ましくは5〜20重量部である。次に本発明の樹脂
とともに用いられる光及び/又は熱硬化性化合物につい
て説明する。光及び/又は熱硬化性化合物とは、光及び
/又は熱硬化性基を少なくとも1種含有する低分子化合
物、オリゴマー、ポリマーのいずれのものでもよい。光
及び/又は熱硬化性基とは、前述の通り熱及び光のうち
の少なくともいずれかにより樹脂の硬化を行なう官能基
を言う。具体的な「光硬化性基」、「熱硬化性基」とし
ては前記した樹脂〔A〕に含有される重合体成分(c)
の官能基と同一の内容のものが挙げられる。これら硬化
性化合物としては、通常架橋剤として用いられる化合物
を挙げることができる。具体的には、山下晋三、金子東
助編「架橋剤ハンドブック」大成社刊(1981年)、
高分子学会編「高分子データハンドブック 基礎編」培
風館(1986年)等に記載されている化合物を用いる
ことができる。例えば、有機シラン系化合物(例えば、
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリブトキシシラ
ン、γ−グリシドキヒプロピルトリメトキシシラン、γ
−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノ
プロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤
等)、ポリイソシアナート系化合物(例えば、トルイレ
ンジイソシアナート、o−トルイレンジイソシアナー
ト、ジフェニルメタンジイソシアナート、トリフェニル
メタントリイソシアナート、ポリメチレンポリフェニル
イソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イ
ソホロンジイソシアナート、高分子ポリイソシアナート
等)、ポリブロック化イソシアナート系化合物( ブロッ
ク化剤としては、重合体(C)成分で記載したと同様の
内容のものが挙げられる)、ポリカルボン酸系化合物及
びそれらのカルボン酸無水物(例えば、フタル酸、マレ
イン酸、コハク酸、グルタル酸、イタコン酸、ピロメリ
ット酸、ベンゼン1,2,4,5−テトラカルボン酸、
3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン
酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカ
ルボン酸等及びこれらの無水物等)、ポリオール系化合
物(例えば、1,4−ブタンジオール、ポリオキシプロ
ピレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、
1,1,1−トリメチロールプロパン等)、ポリアミン
系化合物(例えば、エチレンジアミン、γ−ヒドロキシ
プロピル化エチレンジアミン、フェニレンジアミン、ヘ
キサメチレンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、
変性脂肪族ポリアミン類等)、チタネートカップリング
系化合物(例えば、テトラブトキシチタネート、テトラ
プロポキシチタネート、イソプロピルトリステアロイル
チタネート等)、アルミニウムカップリング系化合物
〔例えば、アルミニウムブチレート、アルミニウムアセ
チルアセテート、アルミニウムオキシドオクテート、ア
ルミニウムトリス(アセチルアセテート)等〕、ポリエ
ポキシ基含有化合物及びエポキシ樹脂(例えば、垣内弘
編著「新エポキシ樹脂」昭晃堂(1985年刊)、橋本
邦之編著「エポキシ樹脂」日刊工業新聞社(1969年
刊)等に記載された化合物類)、メラミン樹脂(例え
ば、三輪一郎、松永英夫編著「ユリア・メラミン樹脂」
日刊工業新聞社(1969年刊)等に記載された化合物
類)、ポリ(メタ)アクリレート系化合物(例えば、大
河原信、三枝武夫、東村敏延編「オリゴマー」講談社
(1976年刊)、大森英三「機能性アクリル系樹脂」
テクノシステム(1985年刊)等に記載された化合物
類が挙げられ、具体的には、ジビニルベンゼン、トリビ
ニルベンゼン等のスチレン誘導体:多価アルコール(例
えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール、ポリエチレングリコール#20
0、#400、#600、1,3−ブチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパ
ン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールな
ど)、又はポリヒドロキシフェノール(例えばヒドロキ
ノン、レゾルシン、カテコールおよびそれらの誘導体)
のメタクリル酸、アクリル酸又はクロトン酸のエステル
類、ビニルエーテル類又はアリルエーテル類:二塩基酸
(例えはマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、イタコン酸
等)のビニルエステル類、アリルエステル類、ビニルア
ミド類又はアリルアミド類:ポリアミン(例えばエチレ
ンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブチ
レンジアミン等)とビニル基を含有するカルボン酸(例
えば、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、アリル
酢酸等)との縮合体、ビニル基を含有するカルボン酸
(例えばメタクリル酸、アクリル酸、メタクリロイル酢
酸、アクリロイル酢酸、メタクリロイルプロピオン酸、
アクリロイルプロピオン酸、イタコニロイル酢酸、イタ
コニロイルプロピオン酸、カルボン酸無水物等)とアル
コール又はアミンの反応体(例えばアリルオキシカルボ
ニルプロピオン酸、アリルオキシカルボニル酢酸、2−
アリルオキシカルボニル安息香酸、アリルアミノカルボ
ニルプロピオン酸等)等のビニル基を含有したエステル
誘導体又はアミド誘導体(例えばメタクリル酸ビニル、
アクリル酸ビニル、イタコン酸ビニル、メタクリル酸ア
リル、アクリル酸アリル、イタコン酸アリル、メタクリ
ロイル酢酸ビニル、メタクリロイルプロピオン酸ビニ
ル、メタクリロイルプロピオン酸アリル、メタクリル酸
ビニルオキシカルボニルメチルエステル、アクリル酸ビ
ニルオキシカルボニルメチルオキシカルボニルエチレン
エステル、N−アリルアクリルアミド、N−アリルメタ
クリルアミド、N−アリルイタコン酸アミド、メタクリ
ロイルプロピオン酸アリルアミド等)又はアミノアルコ
ール類(例えばアミノエタノール、1−アミノプロパノ
ール、1−アミノブタノール、1−アミノヘキサノー
ル、2−アミノブタノール等)とビニル基を含有したカ
ルボン酸との縮合体などが挙げられる。又、樹脂〔A〕
で含有されると同様な光及び/又は熱硬化性基含有重合
体成分を含有する重合体が挙げられる。これら光及び/
又は熱硬化性樹脂の重量平均分子量は1×103 〜1×
106、好ましくは3×103 〜1×105 の範囲であ
る。以上の如く、本発明の光導電層の結着樹脂は、更に
は硬化性化合物共存下で、高分子鎖間の化学結合が進行
し易い組み合せで用いることが好ましい。例えば官能基
の組み合せによる高分子反応としては、通常よく知られ
た方法が挙げられ、下記表−A0 のようなA群の官能基
とB群の官能基の組合せが例示される。但し、これらに
限定されるものではない。
【0153】
【表7】
【0154】表−A0 において、R1 0 、R2 0 はアル
キル基を表す。R3 0 〜R5 0 はアルキル基又はアルコ
キシ基を表し、且つ置換基中少なくとも1つはアルコキ
シ基を表す。本発明では、感光層膜中での架橋反応を促
進させるために、主成分の樹脂に必要に応じて反応促進
剤を添加してもよい。架橋反応が官能基間の化学結合を
形成する反応様式の場合には、例えば有機酸(酢酸、プ
ロピオン酸、酪酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエン
スルホン酸等)、フェノール類(フェノール、クロロフ
ェノール、ニトロフェノール、シアノフェノール、ブロ
モフェノール、ナフトール、ジクロロフェノール等)、
有機金属化合物(アセチルアセトナートジルコニウム
塩、アセチルアセトンジルコニウム塩、アセチルアセト
コバルト塩等、ジラウリン酸ジブトキシスズ等)、ジチ
オカルバミン酸化合物(ジエチルジチオカルバミン酸塩
等)、チウラムジスルフィド化合物(テトラメチルチウ
ラムジスルフィド等)、カルボン酸無水物(無水フタル
酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、ブチルコハク酸無
水物等、3,3′,4,4′−テトラカルボン酸ベンゾ
フェノンジ無水物、トリメリット酸無水物等)等が挙げ
られる。架橋反応が重合性反応様式の場合には、重合開
始剤(過酸化物、アゾビス系化合物等が挙げられる)を
用いることができる。本発明の感光層の主成分である樹
脂は、感光層形成物を塗布した後、光及び/又は熱硬化
される。熱硬化を行なうためには、例えば、乾燥条件を
従来の感光体作製時の乾燥条件より厳しくする。例え
ば、乾燥条件を高温及び/または長時間とする。あるい
は、塗布溶剤の乾燥後、更に加熱処理することが好まし
い。例えば60℃〜150℃で5〜120℃間処理す
る。上述の反応促進剤を併用すると、より穏やかな条件
で処理することができる。本発明の感光層の主成分であ
る樹脂中の特定の官能基を光照射で硬化する方法として
は、化学的活性光線で光照射する工程を入れるようにす
ればよい。本発明に用いられる「化学的活性光線」とし
ては、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線、γ
線、α線などいずれでもよいが、好ましくは紫外線が挙
げられる。より好ましくは、波長310nmから波長5
00nmの範囲での光線を発しうるものであり、一般に
は低圧、高圧あるいは超高圧の水銀ランプ、ハロゲンラ
ンプ等が用いられる。光照射の処理は通常5cmから5
0cmの距離から10秒〜10分間の照射で充分に行な
うことができる。本発明の光導電層に用いる樹脂とし
て、更に他の結着樹脂を併用してもよい。これら用いる
ことのできる樹脂としては従来公知の電子写真感光層用
の結着樹脂類が挙げられ、例えば、柴田隆治・石渡次
郎、高分子、第17巻、第278頁(1968年)宮本
晴視,武井秀彦、イメージング,1973(No.8)
中村孝一編「記録材料用バインダーの実際技術」第10
章、C.H.C.出版(1985年)電子写真学会編、
「電子写真用有機感光体の現状シンポジウム」予稿集
(1985年)、小門宏編、「最近の光導電材料と感光
体の開発・実用化」日本科学情報(株)(1986
年)、電子写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」第
5章、コロナ社(株)(1988年)、D.Tatt,
S.C.Heidecker,Tappi,49(N
o.10),439(1966)、E.S.Balta
zzi,R.G.Blanclotte et al,
Phot.Sci.Eng.16(No.5),354
(1972)、グエン・チャン・ケー、清水勇,井上英
一,電子写真学会誌18(No.2),22(198
0)等の成書・総説に記載の化合物等が挙げられる。具
体的には、オレフィン重合体及び共重合体、塩化ビニル
共重合体、塩化ビニリデン共重合体、アルカン酸ビニル
重合体及び共重合体、アルカン酸アリル重合体及び共重
合体、スチレン及びその誘導体、重合体及び共重合体、
ブタジエン−スチレン共重合体、イソプレン−スチレン
共重合体、ブタジエン−不飽和カルボン酸エステル共重
合体、アクリロニトリル共重合体、メタクリロニトリル
共重合体、アルキルビニルエーテル共重合体、アクリル
酸エステル重合体及び共重合体、メタクリル酸エステル
重合体及び共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共
重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、イ
タコン酸ジエステル重合体及び共重合体、無水マレイン
酸共重合体、アクリルアミド共重合体、メタクリルアミ
ド共重合体、水酸基変性シリコン樹脂、ポリカーボネー
ト樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹
脂、アミド樹脂、水酸基及びカルボキシル基変性ポリエ
ステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹
脂、環化ゴム−メタクリル酸エステル共重合体、環化ゴ
ム−アクリル酸エステル共重合体、窒素原子を含有しな
い複素環を含有する共重合体(複素環として例えば、フ
ラン環、テトラヒドロフラン環、チオフェン環、ジオキ
サン環、ジオキソフラン環、ラクトン環、ベンゾフラン
環、ベンゾチオフェン環、1,3−ジオキセタン環
等)、エポキシ樹脂等が挙げられる。これら、含有して
もよい他の結着樹脂は、本発明の感光材料を不感脂化処
理後、保水性を発現する働きを阻害しない範囲内で用い
られる。具体的には、全結着樹脂100重量部中、多く
ても30重量%以内であり、好ましくは20重量%以内
で併用される。本発明において用いられる光導電性化合
物は無機化合物あるいは有機化合物のいずれでもよい。
本発明の光導電性化合物として用いられる無機化合物と
しては、例えば酸化亜鉛、酸化チタン、硫化亜鉛、硫化
カドミウム、セレン、セレン−テルル、硫化鉛等従来公
知の無機光導電性化合物が挙げられ、公害性の観点か
ら、酸化亜鉛、酸化チタンが好ましい。光導電性化合物
として、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機光導電性化合物
を用いる場合は、無機光導電性化合物100重量部に対
して上記した結着樹脂を10〜100重量部なる割合、
好ましくは15〜40重量部なる割合で使用する。一
方、有機化合物としては、従来公知の化合物のいずれで
もよく、具体的に電子写真式平版印刷用原版としては次
の二種が従来公知の例として知られている。第一は、特
公昭37−17162、同62−51462、特開昭5
2−2437、同54−19803、同56−1072
46、同57−161863各号公報などに記載のよう
な、有機光導電性化合物、増感染料、結合樹脂を主体と
する光導電層を有するものであり、第二は、特開昭56
−146145、同60−17751、同60−177
52、同60−17760、同60−254142、同
62−54266各号公報などに記載のような電荷発生
剤、電荷輸送剤、結合樹脂を主体とする光導電層を有す
るものである。第二の例の特別な場合として特開昭60
−230147、同60−230148、同60−23
8853各号公報などに記載のような電荷発生剤と電荷
輸送剤とをそれぞれ別の層に含有した二層構成の光導電
層も知られている。本発明の電子写真式平版印刷用原版
は上記の二種の光導電層のいずれの形態をとっていても
よい。本発明における有機光導電性化合物としては、
(a)米国特許第3112197号明細書等に記載のト
リアゾール誘導体、(b)米国特許第3189447号
明細書等に記載のオキサジアゾール誘導体、(c)特公
昭37−16096号公報に記載のイミダゾール誘導
体、(d)米国特許第3615402、同382098
9、同3542544各号明細書、特公昭45−55
5、同51−10983各号公報、特開昭51−932
24、同55−108667、同55−156953、
同56−36656各号公報等に記載のポリアリールア
ルカン誘導体、(e)米国特許第3180729、同4
278746各号明細書、特開昭55−88064、同
55−88065、同49−105537、同55−5
1086、同56−80051、同56−88141、
同57−45545、同54−112637、同55−
74546各号公報等に記載のピラゾリン誘導体及びピ
ラゾロン誘導体、(f)米国特許第3615404号明
細書、特公昭51−10105、同46−3712、同
47−28336各号公報、特開昭54−83435、
同54−110836、同54−119925各号公報
等に記載のフェニレンジアミン誘導体、(g)米国特許
第3567450、同3180703、同324059
7、同3658520、同4232103、同4175
961、同4012376各号明細書、特公昭49−3
5702号公報、西独国特許(DAS)第111051
8号明細書、特公昭39−27577、特開昭55−1
44250、同56−119132、同56−2243
7各号公報などに記載されているアリールアミン誘導
体、(h)米国特許第3526501号明細書等に記載
のアミノ置換カルコン誘導体、(i)米国特許第354
2546号明細書などに記載のN,N−ビカルバジル誘
導体、(j)米国特許第3257203号明細書などに
記載のオキサゾール誘導体、(k)特開昭56−462
34号公報等に記載のスチリルアントラセン誘導体、
(l)特開昭54−110837号公報等に記載のフル
オレノン誘導体、(m)米国特許第3717462号明
細書、特開昭54−59143号公報(米国特許第41
50987号明細書に対応)、特開昭55−5206
3、同55−52064、同55−46760、同55
−85495、同57−11350、同57−1487
49、同57−104144各号公報等に記載されてい
るヒドラゾン誘導体、(n)米国特許第404794
8、同4047949、同4265990、同4273
846、同4299897、同4306008各号明細
書などに記載のベンジジン誘導体、(o)特開昭58−
190953、同59−95540、同59−9714
8、同59−195658、同62−36674各号公
報などに記載されているスチルベン誘導体、(p)特公
昭34−10966号公報記載のポリビニルカルバゾー
ル及びその誘導体、(q)特公昭43−18674、同
43−19192各号公報記載のポリビニルピレン、ポ
リビニルアントラセン、ポリ−2−ビニル−4−(4′
−ジメチルアミノフェニル)−5−フェニル−オキサゾ
ール、ポリ−3−ビニル−Nエチルカルバゾール等のビ
ニル重合体、(r)特公昭43−19193号公報記載
のポリアセナフチレン、ポリインデン、アセナフチレン
とスチレンの共重合体等の重合体、(s)特公昭56−
13940号公報などに記載のピレン−ホルムアルデヒ
ド樹脂、ブロムピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチル
カルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂等の縮合樹脂、
(t)特開昭56−90833、同56−161550
各号公報に記載の各種のトリフェニルメタンポリマー、
などがある。なお本発明において、有機光導電性化合物
は、(a)〜(t)に挙げられた化合物に限定されず、
これまで公知の全ての有機光導電性化合物を用いること
ができる。これらの有機光導電性化合物は場合により2
種類以上併用することが可能である。第一の例の光導電
層に含有される増感色素としては、電子写真感光体に使
用される従来公知の増感色素が使用可能である。これら
は、「電子写真」12 9,(1973)、「有機合成
化学」24(11),1010,(1966)等に記載
されている。例えば、米国特許第31−41770、同
4283475各号明細書、特開昭48−25658号
公報、特開昭62−71965号公報等に記載のピリリ
ウム系染料、Applied Optics Supp
lement 50(1969)、特開昭50−39
548号公報等に記載のトリアリールメタン系染料、米
国特許第3597196号明細書等に記載のシアニン系
染料、特開昭60−163047、同59−16458
8、同60−252517各号公報等に記載のスチリル
系染料などが有利に使用される。第二の例の光導電層に
含有される電荷発生剤としては、電子写真感光体におい
て従来公知の有機及び無機の各種の電荷発生剤が使用で
きる。例えば、セレン、セレン−テルル、硫化カドミウ
ム、酸化亜鉛、及び以下(1)〜(9)に示す有機顔料
を使用することができる。 (1)米国特許第4436800、同4439506各
号明細書、特開昭47−37543、同58−1235
41、同58−192042、同58−219263、
同59−78356、同60−179746、同61−
148453、同61−238063各号公報、特公昭
60−5941、同60−45664各号公報等に記載
されたモノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ顔料などのアゾ
顔料、(2)米国特許第3397086、同46668
02各号明細書、特開昭51−90827、同52−5
5643各号公報等に記載の無金属あるいは金属フタロ
シアニン等のフタロシアニン顔料、(3)米国特許第3
371884号明細書、特開昭47−30330号公報
等に記載のペリレン系顔料、(4)英国特許第2237
680号明細書、特開昭47−30331号公報等に記
載のインジゴ、チオインジゴ誘導体、(5)英国特許第
2237679号明細書、特開昭47−30332号公
報等に記載のキナクリンドン系顔料(6)英国特許第2
237678号明細書、特開昭59−184348、同
62−28738、同47−18544各号公報等に記
載の多環キノン系顔料、(7)特開昭47−3033
1、同47−18543各号公報等に記載のビスベンズ
イミダゾール系顔料、(8)米国特許第439661
0、同4644082各号明細書等に記載のスクアリウ
ム塩系顔料、(9)特開昭59−53850、同61−
212542各号公報等に記載のアズレニウム塩系顔
料、などである。これらは単独もしくは2種以上を併用
して用いることもできる。
【0155】また、有機光導電性化合物と結合樹脂の混
合比は、有機光導電性化合物と結合樹脂との相溶性によ
って有機光導電性化合物の含有率の上限が決まり、これ
を上回る量を添加すると有機光導電性化合物の結晶化が
起こり好ましくない。有機光導電性化合物の含有量が少
ないほど電子写真感度は低下するので、有機光導電性化
合物の結晶化が起こらない範囲で、できるだけ多くの有
機光導電性化合物を含有させるのが好ましい。本発明の
平版印刷用原版においては、光導電性化合物100重量
部に対して上記した結合樹脂を10〜100重量部なる
割合、好ましくは15〜50重量部なる割合で使用す
る。本発明では、可視光の露光又は半導体レーザー光の
露光等光源の種類によって必要に応じて各種の色素を分
光増感剤として併用することができる。例えば、宮本晴
視,武井秀彦:イメージング1973(No.8)第1
2頁、C.J.Young等:RCA Review
15,469頁(1954年)、清田航平等:電気通信
学会論文誌,J63−C(No.2)、97頁(198
0年)、原崎勇次等、工業化学雑誌,66,78及び1
88頁(1963年)、谷忠昭,日本写真学会誌
,208頁(1972年)等の総説引例のカーボニウ
ム系色素、ジフェニルメタン色素、トリフェニルメタン
色素、キサンテン系色素、フタレイン系色素、ポリメチ
ン色素(例えば、オキソノール色素、メロシアニン色
素、シアニン色素、ロダシアニン色素、スチリル色素
等)、フタロシアニン色素(金属を含有してもよい)等
が挙げられる。更に具体的には、カーボニウム系色素、
トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、フタレ
イン系色素を中心に用いたものとしては、特公昭51−
452:特開昭50−90334、同50−11422
7、同53−39130、同53−82353各号公
報、米国特許第3052540、同第4054450各
号明細書、特開昭57−16456号公報等に記載のも
のが挙げられる。オキソノール色素、メロシアニン色
素、シアニン色素、ロダシアニン色素等のポリメチン色
素としては、F.M.Hamer「The Cyani
ne Dyes and Related Compo
unds」等に記載の色素類が使用可能であり、更に具
体的には、米国特許第3047384、同311059
1、同3121008、同3125447、同3128
179、同3132942、同3622317各号明細
書、英国特許第1226892、同1309274、同
1405898各号明細書、特公昭48−7814、同
55−18892各号公報等に記載の色素が挙げられ
る。更に、700nm以上の長波長の近赤外〜赤外光域
を分光増感するポリメチン色素として、特開昭47−8
40、同47−44180、特公昭51−41061、
同49−5034、同49−45122、同57−46
245、同56−35141、同57−157254、
同61−26044、同61−27551各号公報、米
国特許第3619154、同4175956各号明細
書、「Research Disclosure」19
82年、216,第117〜118頁等に記載のものが
挙げられる。本発明の感光体は、種々の増感色素を併用
させてもその性能が増感色素により変動しにくい点にお
いても優れている。更には、必要に応じて、従来知られ
ている種々の電子写真感光体用添加剤を併用することが
できる。これらの添加剤としては、電子写真感度を改良
するための化学増感剤、皮膜性を改良するための各種の
可塑剤、界面活性剤などが含まれる。 化学増感剤とし
ては、例えばハロゲン、ベンゾキノン、クロラニル、フ
ルオラニル、ブロマニル、ジニトロベンゼン、アントラ
キノン、2,5−ジクロロベンゾキノン、ニトロフェノ
ール、無水テトラクロルフタル酸、2,3−ジクロロ−
5,6−ジシアノベンゾキノン、ジニトロフルオレノ
ン、トリニトロフルオレノン、テトラシアノエチレン等
の電子吸引性化合物、小門宏等「最近の光導電材料と感
光体の開発・実用化」第4章〜第6章:日本科学情報
(株)出版部(1986年)の総説引例のポリアリール
アルカン化合物、ヒンダートフェノール化合物、p−フ
ェニレンジアミン化合物等が挙げられる。また、特開昭
58−65439、同58−102239、同58−1
29439、同62−71965各号公報等に記載の化
合物等も挙げることができる。可塑剤としては、例えば
ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチル
フタレート、トリフェニルフタレート、トリフェニルフ
ォスフェート、ジイソブチルアジペート、ジメチルセバ
ケート、ジブチルセバケート、ラウリン酸ブチル、メチ
ルフタリールエチルグリコレート、ジメチルグリコール
フタレートなどを光導電層の可撓性を向上するために添
加できる。これらの可塑剤は光導電層の静電特性を劣化
させない範囲で含有させることができる。これら各種添
加剤の添加量は、特に限定的ではないが、通常光導電体
100重量部に対して0.001〜2.0重量部であ
る。光導電層の厚さは1〜100μ、特には10〜50
μが好適である。また、電荷発生層と電荷輸送層の積層
型感光体の電荷発生層として光導電層を使用する場合
は、電荷発生層の厚さは0.01〜1μ、特には0.0
5〜0.5μが好適である。本発明による光導電層は、
従来公知の支持体上に設けることができる。一般に云っ
て電子写真感光層の支持体は、導電性であることが好ま
しく、導電性支持体としては、従来と全く同様、例えば
金属、紙、プラスチックシート等の基体に低抵抗性物質
を含浸させるなどして導電処理したもの、基体の裏面
(感光層を設ける面と反対面)に導電性を付与し、更に
はカール防止を図る等の目的で少なくとも1層以上をコ
ートしたもの、前記支持体の表面に耐水性接着層を設け
たもの、前記支持体の表面層に必要に応じて少なくとも
1層以上のプレコート層を設けたもの、Al等を蒸着し
た基体導電化プラスチックを紙にラミネートしたもの等
が使用できる。
【0156】具体的に、導電性基体あるいは導電化材料
の例として、坂本幸男,電子写真,14,(No.
1),2〜11頁(1975年刊)、森賀弘之,「入門
特殊紙の化学」高分子刊行会(1975年刊)、M.
F.Hoover,J.Macromol.Sci.C
hem.A−4(6),1327〜1417頁(197
0年刊)等に記載されているもの等を用いる。以上の如
くして得られた本発明の平版印刷用原版を用いた印刷版
の作成は、公知の方法が適用でき、上記した構成から成
る電子写真用原版に常法により複写画像を形成後、非画
像部を不感脂化処理することで作成される。即ち、暗所
で実質的に一様に帯電し、画像露光により静電潜像を形
成する。露光方法としては、半導体レーザー、He−N
eレーザー等による走査露光あるいはキセノンランプ、
タイグステンランプ、蛍光灯等を光源として反射画像露
光、透明陽画フィルムを通した密着露光などが挙げられ
る。次に上記静電潜像をトナーによって現像する。現像
法としては従来公知の方法、例えばカスケード現像、磁
器ブラシ現像、パウダークラウド現像、液体現像などの
各種の方法を用いることができる。中でも液体現像は微
細な画像を形成することが可能であり、印刷版を作成す
るために好適である。形成されたトナー画像は公知の定
着法、例えば加熱定着、圧力定着、溶剤定着等により定
着することができる。本発明に供される現像剤は、従来
公知の静電写真用現像剤を使用することができ、静電写
真用乾式現像剤及び液体現像剤のいずれでもよい。例え
ば、前述の「電子写真技術の基礎と応用」497〜50
5頁、中村孝一監修「トナー材料の開発・実用化」第3
章(日本科学情報社刊、1985年)、町田元「記録用
材料と感光性樹脂」107〜127頁(1983年
刊)、(株)学会出版センター、電子写真学会「イメー
ジングNo.2〜5 電子写真の現像・定着・帯電・転
写」等に具体的な態様が示されている。乾式現像剤とし
ては、一成分磁性トナー、二成分トナー、一成分非磁性
トナーあるいはカプセルトナー等が実用されており、こ
れらのいずれも利用することができる。より好ましく
は、デジタル情報に基づいて露光するレーザー光による
スキャニング露光方式及び液体現像剤を用いる現像方式
の組合せが、高精細な画像を形成できることから有効な
プロセスである。また、具体的な湿式現像剤の材料の基
本構成としては、電気絶縁性有機溶媒{例えばイソパラ
フィン系脂肪族炭化水素:アンソパーH、アイソパーG
(エッソ社製)シェルゾール70、シェルゾール71
(シェル社製)、IP−ソルベント1620(出光石油
化学製)等}を分散媒として、着色剤である無機又は有
機の顔料あるいは染料とアルキッド樹脂、アクリル樹
脂、ポリエステル樹脂、スチレンブタジエン樹脂、ロジ
ン等の分散安定性・定着性、荷電性を付与するための樹
脂とを分散し、且つ、荷電特性の強化あるいは画像特性
の改良等のために所望により種々の添加剤を加えて成る
ものである。上記着色剤としては、公知の染料・顔料が
任意に選択されるが、例えば、ベンジジン系、アゾ系、
アゾメチン系、キサンテン系、アントラキノン系、フタ
ロシアニン系(含金属を含む)、チタンホワイト、ニグ
ロシン、アニリンブラック、カーボンブラック等の染料
あるいは顔料等である。又、他の添加剤としては、例え
ば原崎勇次「電子写真」第16巻、第2号、44頁に具
体的に記載されているものが用いられる。例えば、ジ−
2−エチルヘキシルスルホコハク酸金属塩、ナフテン酸
金属塩、高級脂肪酸金属塩、アルキルベンゼンスルホン
酸金属塩、アルキルリン酸金属塩、レシチン、ポリ(ビ
ニルピロリドン)、半マレイン酸アミド成分を含む共重
合体、クマロンインデン樹脂、高級アルコール類、ポリ
エーテル類、ポリシロキサン、ワックス類等が挙げられ
る。しかし、これらに限定されるものではない。これら
湿式現像剤の主要な各組成分の量については通常下記の
通りである。樹脂(及び所望により用いられる着色剤)
を主成分として成るトナー粒子は、担体液体1000重
量部に対して0.5重量部〜50重量部が好ましい。
0.5重量部未満であると画像濃度が不足し、50重量
部を超えると非画像部へのカブリを生じ易い。さらに、
前記の分散安定用の担体液体可溶性樹脂も必要に応じて
使用され、担体液体1000重量部に対して0.5重量
部〜100重量部程度加えることができる。上述の様な
荷電調節剤は、担体液体1000重量部に対して0.0
01重量部〜1.0重量部が好ましい。更に所望により
各種添加剤を加えても良く、それら添加物の総量は、現
像剤の電気抵抗によってその上限が規制される。即ち、
トナー粒子を除去した状態の液体現像剤の電気抵抗が1
9 Ωcmより低くなると良質の連続階調像が得られ難
くなるので、各添加物の各添加量は、この限度内でコン
トロールされている。また、湿式現像剤の製造方法の具
体例としては、着色剤及び樹脂をサンドミル、ボールミ
ル、ジェットミル、アトライター等の分散機を用いて機
械的に分散して着色粒子を製造する方法が、例えば特公
昭35−5511号、特公昭35−13424号、特公
昭50−40017号、特公昭49−98634号、特
公昭58−129438号、特開昭61−180248
号等に記載されている。他の着色粒子の製造方法として
は、例えば分散樹脂粒子を微小粒径で単分散性の良好な
ものとして得る非水系分散重合方法を用いて製造し、該
樹脂粒子を着色する方法が挙げられる。着色の方法の1
つとしては、特開昭57−48738号などに記載され
ている如く、分散樹脂を好ましい染料で染色する方法が
ある。また、他の方法として、特開昭53−54029
号に開示されている如く、分散樹脂と染料を化学的に結
合させる方法、又は、特公昭44−22955号等に記
載されている如く、重合造粒法で製造する際に、予め色
素を含有した単量体を用い、色素含有の共重合体とする
方法等がある。このようにして形成されたトナー画像を
有する平版印刷用原版について、次に非画像部を不感脂
化処理することで印刷版が作成される。本発明に供され
る不感脂化処理は、前記した保護された親水基が処理液
により化学反応し、親水基を発現されるものである。具
体的には、塩基性の処理液が用いられ、好ましくはpH
8〜14の水溶性処理液であればいずれでもよい。
【0157】処理液を塩基性とする化合物としては、従
来公知の無機化合物あるいは有機化合物のいずれでもよ
く、例えば炭酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、有機アミン化
合物等いずれでもよく又単独あるいは混合して用いるこ
とができる。更には、親水化反応を迅速するために併用
する化合物として、パーソン(Pearson)等の求
核定数n〔R.G.Pearson,H.Sobel,
J.Songstad,J.Amer.Chem.So
c.,90,319(1968)〕が5.5以上の値を
有する置換基を含有し、且つ蒸留水100重量部中に、
1重量部以上溶解する親水性化合物が挙げられる。具体
的な化合物としては、例えばヒドラジン、ヒドロキシル
アミン、亜硫酸塩(アンモニウム塩、ナトリウム塩、カ
リウム塩、亜鉛塩等)、チオ硫酸塩等が挙げられ、ま
た、分子内にヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ
基、ホスホノ基、アミノ基から選ばれた少なくとも1つ
の極性基を含有するメルカプト化合物、ヒドラジド化合
物、スルフィン酸化合物、第1級アミン化合物あるいは
第2級アミン化合物等が挙げられる。例えばメルカプト
化合物として、2−メルカプトエタノール、2−メルカ
プトエチルアミン、N−メチル−2−メルカプトエチル
アミン、N−(2−ヒドロキシエチル)2−メルカプト
エチルアミン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオ
サリチル酸、メルカプトベンゼンカルボン酸、2−メル
カプトエタンスルホン酸、2−メルカプトエチルホスホ
ン酸、メルカプトベンゼンスルホン酸、2−メルカプト
プロピオニルアミノ酢酸、2−メルカプト−1−アミノ
酢酸、1−メルカプトプロピオニルアミノ酢酸、1,2
−ジメルカプトプロピオニルアミノ酢酸、2,3−ジヒ
ドロキシプロピルメルカプタン、2−メチル−2−メル
カプト−1−アミノ酢酸等を、スルフィン酸化合物とし
て2−ヒドロキシエチルスルフィン酸、3−ヒドロキシ
プロパンスルフィン酸、4−ヒドロキシブタンスルフィ
ン酸、カルボキシベンゼンスルフィン酸、ジカルボキシ
ベンゼンスルフィン酸等を、ヒドラジド化合物として2
−ヒドラジノエタノールスルホン酸、4−ヒドラジノブ
タンスルホン酸、ヒドラジノベンゼンスルホン酸、ヒド
ラジノベンゼンスルホン酸、ヒドラジノ安息香酸、ヒド
ラジノベンゼンジカルボン酸等を、第1級あるいは第2
級アミン化合物として、例えばN−(2−ヒドロキシエ
チル)アミン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)ア
ミン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)エチレンジ
アミン、トリ(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミ
ン、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミン、
N,N−ジ(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミン、
2−アミノプロピオン酸、アミノ安息香酸、アミノピリ
ジン、アミノベンゼンジカルボン酸、2−ヒドロキシエ
チルモルホリン、2−カルボキシエチルモルホリン、3
−カルボキシピペラジン等を挙げることができる。これ
ら処理液中の求核性化合物の存在量は0.05モル/リ
ットル〜10モル/リットルで、好ましくは0.1モル
/リットル〜5モル/リットルである。処理の条件は、
温度15℃〜60℃で浸漬時間は10秒〜5分間が好ま
しい。該処理液は、上記した求核性化合物及びpH調整
剤以外に、他の化合物を含有してもよい。例えば水に可
溶性の有機溶媒を、水100重量部中に1〜50重量部
含有してもよい。このような水に可溶性の有機溶媒とし
ては、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、
プロパノール、プロパギルアルコール、ベンジルアルコ
ール、フェネチルアルコール等)、ケトン類(アセト
ン、メチルエチルケトン、アセトフェノン等)、エーテ
ル類(ジオキサン、トリオキサン、テトラヒドロフラ
ン、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチ
レングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコ
ールモノメチルエーテル、テトラヒドロピラン等)アミ
ド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド
等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸エチ
ル等)等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を混合
して用いてもよい。また、界面活性剤を水100重量部
中に0.1〜20重量部含有してもよい。界面活性剤と
しては、従来公知のアニオン性、カチオン性あるいはノ
ニオン性の各界面活性剤が挙げられる。例えば、堀口博
「新界面活性剤」三共出版(株)、(1975年刊)、
小田良平、寺村一広「界面活性剤の合成とその応用」槇
書店(1980年刊)等に記載される化合物を用いるこ
とができる。更に、該求核性化合物含有の親水化処理
は、印刷時の浸し水に該求核性化合物を含有させて用い
ても同様の効果を得ることができる。
【0158】
【実施例】以下に本発明の実施例を例示するが、本発明
の内容がこれらに限定されるものではない。 結着樹脂〔B1 〕の合成例1:樹脂〔B1 −1〕 2−クロロフェニルメタクリレート95g、メタクリル
酸5g及びトルエン200gの混合溶液を窒素気流下9
0℃の温度に加温した後、2,2’−アゾビスイソブチ
ロニトリル(略称A.I.B.N.)7.0gを加え4
時間反応させた。更にA.I.B.N. 2gを加え2
時間反応させた。得られた共重合体〔B1 −1の重量平
均分子量は7.7×103 であった。
【0159】
【化68】
【0160】結着樹脂〔B1 〕の合成例2:〔B1
2〕 2,6−ジクロロフェニルメタクリレート96g、アク
リル酸5g、n−ドデシルメルカプタン2g及びトルエ
ン200gの混合溶液を窒素気流下75℃の温度に加温
した後、A.I.B.N. 1gを加え4時間反応し、
次にA.I.B.N.0.5gを加え2時間、更にA.
I.B.N. 0.5gを加え3時間反応した。冷却
後、メタノール/水(9/1)の混合溶液2リットル中
に再沈し、沈殿物をデカンテーションで捕集し、減圧乾
燥した。得られたワックス状の共重合体の収量は78g
で、重量平均分子量は6.0×103 であった。
【0161】
【化69】
【0162】結着樹脂〔B1 〕の合成例3〜16:〔B
1 −3〕〜〔B1 −16〕 樹脂〔B1 〕の合成例1の重合条件と同様に操作して下
記表−Eの各樹脂〔B1 −3〕〜〔B1 −16〕を合成
した。
【0163】
【表8】
【0164】
【表9】
【0165】
【表10】
【0166】
【表11】
【0167】結着樹脂〔B1 〕の合成例17:〔B1
17〕 ベンジルメタクリレート100g、チオサリチル酸4
g、トルエン160g及びエタノール40gの混合溶液
を窒素気流下に温度75℃に加温した後、2,2′−アゾ
ビスイソブチロニトリル(略称A.I.B.N.)1.
0gを加え4時間反応させた。更にA.I.B.N.
0.4gを加え2時間、その後更にA.I.B.N.を
0.2g加え3時間攪拌した。得られた共重合体〔B1
−17〕のMw(重量平均分子量)は6.8×103
あった。
【0168】
【化70】
【0169】結着樹脂〔B1 〕の合成例18〜27:
〔B1 −18〕〜〔B1 −27〕 樹脂〔B1 〕の合成例17において、ベンジルメタクリ
レート100g、チオサリチル酸4gに代えて、下記表
−Fに示すメタクリレート、メルカプト化合物を用いた
以外は合成例1と同様に反応して、下記表−Fの各樹脂
〔B1 −14〕〜〔B1 −24〕を合成した。得られた
各共重合体樹脂〔B1 〕のMwは5×103 〜8×10
3 の範囲であった。
【0170】
【表12】
【0171】
【表13】
【0172】
【表14】
【0173】結着樹脂〔B1 〕の合成例28〜35:
〔B1 −28〕〜〔B1 −35〕 下記表−Gの単量体(総量で100g)、チオサリチル
酸3g、トルエン160g及びメタノール40gの混合
溶液を窒素気流下に攪拌しながら温度60℃とした。こ
れにアゾビスイソバレロニトリル2g(略称A.I.
V.N)を加え4時間反応し、更に、A.I.V.N.
0.8gを加えて4時間反応して、各重合体を合成し
た。得られた各重合体のMwは5×103 〜8×103
の範囲であった。
【0174】
【表15】
【0175】
【表16】
【0176】結着樹脂〔B1 〕の合成例36:〔B1
36〕 1−ナフチルメタクリレート99.5g、メタクリル酸
0.5g、トルエン150g及びイソプロパノール50
gの混合溶液を窒素気流下に温度80℃に加温した。
4,4′−アゾビス(4−シアノ)吉草酸(略称A.
C.V.)5.0gを加え5時間攪拌した。更にA.
C.V.を1g加え3時間攪拌した。得られた重合体の
Mwは7.5×103 であった。
【0177】
【化71】
【0178】結着樹脂〔B1 〕の合成例37:〔B1
37〕 メチルメタクリレート50g及び塩化メチレン150g
の混合溶液を窒素気流下に−20℃に冷却した。直前に
調製した10%1,1−ジフェニルヘキシルリチウムヘ
キサン溶液を1.0g加え、5時間攪拌した。これに二
酸化炭素を流量10ml/ccで10分間攪拌下に流し
た後、冷却を止めて、反応混合物が室温になるまで攪拌
放置した。次にこの反応混合物を、1N塩酸50ccを
メタノール1リットル中に溶かした溶液中に再沈し、白
色粉末を濾集した。この粉末を中性になるまで水洗した
後、減圧乾燥した。収量18gで、Mwは6.5×10
3であった。
【0179】
【化72】
【0180】結着樹脂〔B1 〕の合成例38:〔B1
38〕 ベンジルメタクリレート96g、チオグリコール酸4g
及びトルエン200gの混合溶液を窒素気流下に温度7
5℃に加温した。A.C.V.1.0gを加え6時間反
応した後、更にA.C.V.0.4gを加え3時間攪拌
した。得られた共重合体のMwは7.8×103 であっ
た。
【0181】
【化73】
【0182】〔樹脂〔B2 〕の合成〕 樹脂〔B2 〕の合成例1:〔B2 −1〕 ベンジルメタクリレート100g及びテトラヒドロフラ
ン200gの混合溶液を窒素気流下に充分に脱気し、−
78℃に冷却した。1,1−ジフェニルブチルリチウム
3.2gを加え12時間反応した。更に、この混合溶液
に、メチルメタクリレート60g、トリフェニルメチル
メタクリレート6g及びテトラヒドロフラン5gの混合
溶液を窒素気流下に充分に脱気した後添加し、更に8時
間反応した。この混合物を0℃にした後、メタノール1
0mlを加え30分間反応し、重合を停止させた。得ら
れた重合体溶液を攪拌下にて温度30℃とし、これに3
0%塩化水素エタノール溶液3mlを加え1時間攪拌し
た。次に、減圧下に反応混合物を全体量が半分になるま
で溶媒を留去した後、石油エーテル1リットル中に再沈
した。沈殿物を捕集し、減圧乾燥して得られた重合体の
重量平均分子量(Mw)は9×103 で、収量72gで
あった。
【0183】
【化74】
【0184】樹脂〔B2 〕の合成例2:〔B2 −2〕 メチルメタクリレート70g、メチルアクリレート30
g、(テトラフェニルポルフィナート)アルミニウムメ
チル3.5g及び塩化メチレン80gの混合溶液を窒素
気流下にて温度30℃とした。これに300W−キセノ
ンランプ光をガラスフィルターを通して25cmの距離
から光照射し、30時間反応した。この混合物に更に、
メチルアクリレート60g及びベンジルメタクリレート
3.2gを加え、同様に8時間光照射した後、この反応
混合物にメタノール3gを加えて30分間攪拌し反応を
停止させた。次にこの反応混合物にPd−Cを加え、温
度25℃で1時間接触還元反応を行なった。不溶物を濾
別した後石油エーテル500ml中に再沈し、沈殿物を
捕集し乾燥した。得られた重合体は収量95gでMw
9.5×103 であった。
【0185】
【化75】
【0186】樹脂〔B2 〕の合成例3:〔B2 −3〕 フェニルメタクリレート100g及びトルエン200g
の混合溶液を窒素気流下に充分に脱気し、−78℃に冷
却した。次いで1,1−ジフェニル−3−メチルペンチ
ルリチウム5.0gを加え、8時間攪拌した。更にこの
混合物にベンジルメタクリレート60g及び4−ビニル
フェニルオキシトリメチルシラン4.6gを加え8時間
攪拌した後、メタノール3gを加えて30分間攪拌し
た。次にこの反応混合物に30%塩化水素エタノール溶
液10gを加え25℃で1時間攪拌した後、メタノール
1リットル中に再沈し捕集した沈殿物をメタノール30
0mlで2回洗浄し乾燥した。得られた重合体は、収量
100gでMw1.0×104 であった。
【0187】
【化76】
【0188】樹脂〔B2 〕の合成例4:〔B2 −4〕 2−クロロフェニルメタクリレート67g及びベンジル
N,N−ジエチルジチオカーバメート9.6gの混合物
を、窒素気流下に容器に密閉し、温度50gに加温し
た。これに、400Wの高圧水銀灯で10cmの距離か
らガラスフィルターを通して、8時間光照射し光重合し
た。これにメチルメタクリレート28g、アクリル酸5
g及びメチルエチルケトン180gを加えた後窒素置換
し、再び10時間光照射した。得られた反応物をヘキサ
/エタノール(3/1)体積比の混合物溶液1リットル
に再沈、捕集し乾燥した。得られた重合体は、収量73
gでMw8×103 であった。
【0189】
【化77】
【0190】樹脂〔B2 〕の合成例5:〔B2 −5〕 2,6−ジクロロフェニルメタクリレート75g及びベ
ンジルイソプルザンテート6.5g及びテトラヒドロフ
ラン150gの混合物を、窒素気流下に容器に密閉し、
温度50℃に加温した。これに400Wの高圧水銀灯で
10cmの距離からガラスフィルターを通して8時間光
照射し光重合した。これにメチルアクリレート22gを
加えて窒素置換し再び10時間光照射した。次にこの混
合物に2−(2′−カルボキシエチル)カルボニルオキ
シエチルメタクリレート3gを加えて再び窒素置換し再
び8時間光照射した。得られた反応物を、メタノール2
リットル中に再沈し、捕集した粉末を乾燥した。得られ
た重合体は収量63gでMw8×103 であった。
【0191】
【化78】
【0192】樹脂〔B2 〕の合成例6:〔B2 −6〕 エチルアクリレート80g、メタクリル酸20g、2−
メルカプトエタノール5g及びテトラヒドロフラン20
0gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度60℃に
加温した。これに、2,2′−アゾビスイソバレロニト
リル(A.I.V.N.)1.0gを加え4時間反応
し、更にA.I.V.N. 0.5gを加え4時間反応
した。この反応混合物を温度20℃にした後、4,4′
−アゾビス(シアノ吉草酸)22g、ジシクロヘキシル
ジカルボジイミド12g、4−(N,N−ジメチル)ピ
リジル0.2g及びテトラヒドロフラン30gの混合溶
液を1時間で滴下した。そのまま更に2時間攪拌した
後、85%ギ酸水溶液を5g加えて更に30分間攪拌し
た。次に析出した結晶を濾別後、濾液を温度25℃で溶
媒を減圧下に留去した。得られた下記構造の重合体(高
分子開始剤)のMwは3.5×103 であった。
【0193】
【化79】
【0194】2−クロロ−6−メチルフェニルメタクリ
レート70g及びトルエン170gの混合溶液を窒素気
流下攪拌しながら温度85℃に加温した。これに、上記
重合体30gをトルエン30gに溶解した溶液を予かじ
め窒素置換した後、加えて、8時間反応した。得られた
重合体をメタノール2リットル中に再沈し、補集した粉
末を乾燥した。得られた重合体は収量65gでMw8×
103 であった。
【0195】
【化80】
【0196】樹脂〔B2 〕の合成例7〜16:〔B2
7〕〜〔B2 −16〕 樹脂〔B2 〕の合成例4と同様の反応方法で、下記表−
Hに示す樹脂〔B2 〕を合成した。得られた共重合体の
Mwは7×103 〜9×103 の範囲であった。
【0197】
【表17】
【0198】
【表18】
【0199】
【表19】
【0200】樹脂〔B2 〕の合成例17:〔B2 −1
7〕 メチルアクリレート90g、アクリル酸10g及び下記
構造の開始剤〔I−10〕26.8gの混合溶液を窒素
気流下に温度40℃に加温した。この溶液に400Wの
高圧水銀灯で10cmの距離からガラスフィルターを通
して10時間光照射し光重合した。得られた反応物をメ
タノール1リットル中に再沈し、沈殿物を補集し乾燥し
て、収量75gで重量平均分子量(Mw)4×10
3 (以下樹脂〔B〕におけるMwはポリスチレン換算に
よるGPC法値)の重合体を得た。
【0201】
【化81】
【0202】上記重合体40g、ベンジルメタクリレー
ト60g及びテトラヒドロフラン100gの混合溶液を
窒素気流下に温度50℃に加温した。この混合物を、上
記と同様の条件で光照射を15時間行なった。この反応
物をメタノール1.5リットル中に再沈し、沈殿物を補
集・乾燥して得られた重合体の収量は75gでMw9×
103 であった。
【0203】
【化82】
【0204】樹脂〔B2 〕の合成例18:〔B2 −1
8〕 樹脂〔B2 〕の合成例1において、開始剤〔I−10〕
26.8gの代わりに下記構造の開始剤〔I−11〕4
3.6gを用いた他は、上記合成例1と同様の条件で反
応処理をし、Mw8.5×103 の重合体を70g得
た。
【0205】
【化83】
【0206】樹脂〔B2 〕の合成例19:〔B2 −1
9〕 メチルメタクリレート80g、エチルアクリレート20
g、下記構造の開始剤〔I−12〕39.0g及びテト
ラヒドロフラン150gの混合溶液を窒素気流下温度5
0℃に加温した。この混合物に、合成例1と同様の条件
で光照射を8時間行なった。
【0207】
【化84】
【0208】この反応物をメタノール1リットル中に再
沈し、沈殿物を濾集・乾燥した。上記重合体60g、メ
チルメタクリレート30g、メタクリル酸10g及びテ
トラヒドロフラン100gの混合溶液を窒素気流下温度
50℃とし、上記と同様にして光照射を10時間行なっ
た。この反応物をメタノール1リットル中に再沈し、沈
殿物を補集・乾燥し、粉末73gを得た。更にこの重合
体60g、エチルメタクリレート30g、メチルアクリ
レート10g及びテトラヒドロフラン100gの混合溶
液を窒素気流中温度50℃に加温した。これを、上記と
同様にして光照射を10時間行なった。この反応物をメ
タノール1.5リットル中に再沈し、沈殿物を補集・乾
燥し、Mw1.2×104の重合体を76g得た。
【0209】
【化85】
【0210】樹脂〔B2 〕の合成例20:〔B2 −2
0〕 メチルメタクリレート50g及びテトラヒドロフラン1
00gの混合溶液を窒素気流下に充分に脱気し、−78
℃に冷却した。1,1−ジフェニルペンチルリチウム
7.2gを加え12時間反応した。更に、この混合溶液
に、メチルアクリレート28g、トリフェニルメチルメ
タクリレート6g及びテトラヒドロフラン50gの混合
溶液を窒素気流下に充分に脱気した後添加し、8時間反
応した。更に、メチルメタクリレート50g及びテトラ
ヒドロフラン50gの混合溶液を窒素気流下に充分に脱
気した後、上記反応液に添加し、10時間反応した。こ
の混合物を0℃にした後、メタノール10mlを加え3
0分間反応し、重合を停止させた。得られた重合体溶液
を攪拌下にて温度30℃とし、これに30%塩化水素エ
タノール溶液3mlを加え1時間攪拌した。次に、減圧
下に反応混合物を全体量が半分になるまで溶媒を留去し
た後、メタノール1リットル中に再沈した。沈殿物を補
集し、減圧乾燥して得られた重合体はMw8×103
収量65gであった。
【0211】
【化86】
【0212】樹脂〔B2 〕の合成例21:〔B2 −2
1〕 フェニルメタクリレート100g、(テトラフェニルポ
ルフィナート)アルミニウムメチル1.5g及び塩化メ
チレン200gの混合溶液を窒素気流下にて温度30℃
とした。これに300W−キセノンランプ光をガラスフ
ィルターを通して25cmの距離から光照射し、12時
間反応した。この混合物に更に、エチルアクリレート4
0g、ベンジルメタクリレート9.2gを加え、同様に
して光照射下10時間反応した。更に、この混合物に、
フェニルメタクリレート100gを加え、同様に光照射
下に12時間反応した。この反応混合物にメタノール3
gを加え30分間攪拌し反応を停止させた。次にこの反
応混合物にPd−Cを加え、温度25℃で1時間接触還
元反応を行なった。不溶物を濾別した後、メタノール2
リットル中に再沈し、沈殿物を濾集・乾燥して、重合体
160gを得た。そのMwは9.5×103 であっ
た。
【0213】
【化87】
【0214】樹脂〔B2 〕の合成例22〜31:〔B2
−22〕〜〔B2 −31〕 樹脂〔B2〕の合成例18と同様の反応方法で、下記表
−Iに示す樹脂〔B2〕を合成した。得られた共重合体
のMwは8×103 〜1×104 の範囲であった。
【0215】
【表20】
【0216】
【表21】
【0217】
【表22】
【0218】樹脂〔B2 〕の合成例32〜35:〔B2
−32〕〜〔B2 −35〕 樹脂〔B2 〕の合成例17において、開始剤〔I−1
0〕26.8gの代わりに下記表−Jの開始剤を各々
1.5×10-1モル用いた他は、該合成例1と同様に操
作して樹脂〔B2 −1〕と同一組成の重合体を得た。各
重合体のMwは6×103 〜9×103 であった。
【0219】
【表23】
【0220】樹脂〔B2 〕の合成例36〜42:〔B2
−36〕〜〔B2 −42〕 ベンジルメタクリレート80g、アクリル酸20g及び
下記構造の開始剤〔I−15〕22.6gの混合溶液を
窒素気流下に温度40℃に加温した。これを、樹脂〔B
2 〕の合成例1と同様の光照射条件で5時間反応した。
得られた重合体をテトラヒドロフラン200gに溶解
後、メタノール1.0リットル中に再沈し、沈殿物を濾
集・乾燥した。
【0221】
【化88】
【0222】この重合体を20g、下記表−Kに記載の
重合体成分に相当する各単量体及びテトラヒドロフラン
100gの混合溶液を、上記と同様に操作して光照射し
て15時間反応した。得られた各重合体をメタノール
1.5リットル中に再沈し、沈殿物を濾集・乾燥して、
Mw8×103 〜1×104 の重合体を60〜70g得
た。
【0223】
【表24】
【0224】
【表25】
【0225】樹脂〔B3 〕の合成例1:〔B3 −1〕 ベンジルメタクリレート80g、下記構造の繰り返し単
位に相当するマクロモノマー〔重量平均分子量(Mw)
6×103 〕20g及びトルエン100gの混合溶液
を、窒素気流下に温度80℃に加温した。2,2−アゾ
ビス(バレロニトリル)(略称A.I.V.N.)6g
を加え3時間反応し、更にA.I.V.N.1gを加え
4時間反応した。得られた共重合体のMwは9.5×1
3 であった。
【0226】
【化89】
【0227】樹脂〔B3 〕の合成例2:〔B3 −2〕 メチルメタクリレート60g、下記構造の繰り返し単位
に相当するマクロモノマー(Mw 5×103 )25
g、メチルアクリレート15g及びトルエン130g及
びエタノール20gの混合溶液を窒素気流下温度80℃
に加温した。2,2′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)
(A.C.V)7gを加え4時間反応し、更にA.C.
V.1gを加え4時間反応した。得られた共重合体のM
wは1×104 あった。
【0228】
【化90】
【0229】樹脂〔B3 〕の合成例3:〔B3 −3〕 2−クロロフェニルメタクリレート70g、下記構造の
繰り返し単位に相当するマクロモノマー(Mw 6.5
×103 )25g、チオグリコール酸2g及びトルエン
150gの混合溶液を窒素気流下に温度75℃に加温し
た。2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(A.
I.B.N)1gを加え4時間反応し、後にA.I.
B.N 0.8gを加え3時間、更にA.I.B.N.
0.5gを加え3時間反応した。得られた共重合体のM
wは7.8×103 であった。
【0230】
【化91】
【0231】樹脂〔B3 〕の合成例4〜11:〔B3
4〕〜〔B3 −11〕 樹脂〔B3 〕の合成例1と同様にして、下記表−Lに相
当するメタクリレートとマクロモノマーを用いて、各樹
脂〔B3 〕を合成した。但し、用いた各マクロモノマー
のMwは5×103 〜7×103 の範囲であった。
【0232】
【表26】
【0233】
【表27】
【0234】樹脂〔B3 〕の合成例12〜19:〔B3
−12〕〜〔B3 −19〕 樹脂〔B3 〕の合成例2と同様にして、メタクリレー
ト、マクロモノマー及びアゾビス系化合物を各々代え
て、下記表−Mの樹脂〔B3 〕を各々合成した。各樹脂
〔B3 〕のMwは4×103 〜6×103 の範囲であっ
た。又、用いた各マクロモノマーのMwは、4×103
〜6×103 範囲であった。
【0235】
【表28】
【0236】
【表29】
【0237】樹脂〔B3 〕の合成例20〜27:〔B3
−20〕〜〔B3 −27〕 樹脂〔B3 〕の合成例3と同様にして、メタクリレー
ト、マクロモノマー及びメルカプト化合物を各々代えて
下記表−Nの樹脂〔B3 〕を各々合成した。各樹脂〔B
3 〕のMwは7×103 〜1×104 の範囲であった。
また、用いたマクロモノマーのMwは3×103 〜6×
104 の範囲であった。
【0238】
【表30】
【0239】
【表31】
【0240】樹脂〔B3 〕の合成例28〜35:〔B3
−28〕〜〔B3 −35〕 樹脂〔B3 〕の合成例3と同様にして、下記の繰り返し
単位に相当するマクロモノマー(Mw 4×103 )2
0g、チオサリチル酸2g、下記表−Oに相当する単量
体80g、トルエン130g及びエタノール20gの混
合溶液を重合反応し、下記表−Oの樹脂〔B3 〕を各々
合成した。各樹脂〔B3 〕のMwは、6×103 〜8.
5×103 であった。
【0241】
【表32】
【0242】
【表33】
【0243】〔樹脂〔B4 〕の合成〕 〔マクロモノマ−の合成〕 マクロモノマー(M1 )の合成例1:(M1 −1) トリフェニルメチルメタクリレート30g及びトルエン
100gの混合溶液を窒素気流下に充分に脱気し−20
℃に冷却した。1,1−ジフェニルブチルリチウム1.
0gを加え10時間反応した。更にこの混合溶液に、エ
チルメタクリレート70g及びトルエン100gの混合
溶液を窒素気流下に充分に脱気した後、添加し、更に1
0時間反応した。この混合物を0℃にした後炭酸ガスを
毎分60mlの流量で30分間通気し、重合反応を停止
させた。得られた反応液を攪拌下に、温度25℃とし、
2−ヒドロキシエチルメタクリレート6gを加え、更
に、ジシクロヘキシルカルボジイミド12g、4−N,
N−ジメチルアミノピリジン1.0g及び塩化メチレン
20gの混合溶液を30分間で滴下し、そのまま3時間
攪拌した。析出した不溶物を濾別後、この混合溶液に、
30%塩化水素エタノール溶液10mlを加え1時間攪
拌した。次に、減圧下に反応混合物を全体量が半分にな
るまで溶媒を留去した後、石油エーテル1リットル中に
再沈した。沈殿物を補集し、減圧乾燥して得られた重合
体は、重量平均分子量(Mw)6.5×103 で収量5
6gであった。
【0244】
【化92】
【0245】マクロモノマー(M1 )の合成例2:(M
1 −2) ベンジルメタクリレート5g、(テトラフェニルポルフ
ィナート)アルミニウムメチル0.1g及び塩化メチレ
ン60gの混合溶液を窒素気流下に温度30℃とした。
これに300W−キセノンランプ光をガラスフィルター
を通して25cmの距離から光照射し、12時間反応し
た。この混合物に更にブチルメタクリレート45gを加
え、同様に8時間光照射した後、この反応混合物に4−
ブロモメチルスチレン10gを加え、30分間攪拌し反
応を停止させた。次にこの反応混合物にPd−Cを加
え、温度25℃で1時間接触還元反応を行なった。不溶
物を濾別した後石油エーテル500ml中に再沈し、沈
殿物を補集し乾燥した。得られた重合体は収量33gで
Mw7×103 であった。
【0246】
【化93】
【0247】マクロモノマー(M1 )の合成例3:(M
1 −3) 4−ビニルフェニルオキシトリメチルシラン20g及び
トルエン100gの混合溶液を窒素気流下に、充分に脱
気し、0℃に冷却した。1,1−ジフェニル−3−メチ
ルペンチルリチウム2gを加え、6時間攪拌した。更に
この混合物に2−クロロ−6−メチルフェニルメタクリ
レート80g及びトルエン100gの混合溶液を窒素気
流下に充分脱気した後、添加して8時間反応した。この
反応混合物に充分に攪拌しながらエチレンオキサイドを
毎分30mlの流量で30分間通気した後、温度15℃
に冷却しメタクリル酸クロライド12gを30分間で滴
下し、更にそのまま3時間攪拌した。次にこの反応混合
物に30%塩化水素エタノール溶液10gを加え、25
℃で1時間攪拌した後、石油エーテル1リットル中に再
沈し、補集した沈殿物をジエチルエーテル300mlで2
回洗浄し乾燥した。得られた重合体は、収量55gでM
w7.8×103 であった。
【0248】
【化94】
【0249】マクロモノマー(M1 )の合成例4:(M
1 −4) トリフェニルメチルメタクリレート40g及びトルエン
100gの混合溶液を窒素気流下に充分に脱気し、−2
0℃に冷却した。sec-ブチルリチウム2gを加え10時
間反応した。次に、この混合溶液に、スチレン60g及
びトルエン100gの混合溶液を充分に窒素気流下で脱
気した後添加し12時間反応した。この混合物を0℃に
した後、ベンジルブロマイド11gを加え1時間反応
し、温度25℃で更に2時間反応させた。この反応混合
物に30%塩化水素含有エタノール溶液10gを加え、
2時間攪拌した。不溶物を濾別後、n−ヘキサン1リッ
トル中に再沈し、沈殿物を補集して減圧乾燥した。得ら
れた重合体の収量は58gでMw4.5×103 であっ
た。
【0250】
【化95】
【0251】マクロモノマー(M1 )の合成例5:(M
1 −5) フェニルメタクリレート70g、ベンジル−N−ヒドロ
キシルエチル−N−エチルジチオカーバメート4.8g
の混合物を、窒素気流下に容器に密閉し、温度60℃に
加温した。これに400Wの高圧水銀灯で10cmの距
離からガラスフィルターを通して、10時間光照射し光
重合した。これにアクリル酸30g及びメチルエチルケ
トン180gを加えた後、窒素置換し再び10時間光照
射した。得られた反応混合物に、2−イソシアナートエ
チルメタクリレート12gを、温度30℃で1時間で滴
下し、更に2時間攪拌した。得られた反応物をヘキサン
1.5リットルに再沈、補集し乾燥した。得られた重合
体は、68gでMw6.0×103 であった。
【0252】
【化96】
【0253】〔樹脂〔B4 〕〕 樹脂〔B4 〕の合成例1:〔B4 −1〕 エチルメタクリレート80g、マクロモノマー(M1
1)120g及びトルエン150gの混合溶液を窒素気
流下に温度95℃に加温した。2,2’−アゾビス(イ
ソブチロニトリル)(A.I.B.N.)6gを加え3
時間反応し、更に2時間毎にA.I.B.N.2gを加
え反応した。得られた共重合体のMwは9×103 であ
った。
【0254】
【化97】
【0255】樹脂〔B4 〕の合成例2:〔B4 −2〕 2−クロロフェニルメタクリレート70g、マクロモノ
マー(M−2)30g、n−ドデシルメルカプタン2g
及びトルエン100gの混合溶液を窒素気流下に温度8
0℃に加温した。2,2’−アゾビス(イソバレロニト
リル)(A.I.V.N.)3gを加え3時間反応し、
更にA.I.V.N.1gを加え2時間反応した。次に
A.I.V.N.1gを加え温度90℃に加温して3時
間反応した。得られた共重合体のMwは7.6×103
であった。
【0256】
【化98】
【0257】樹脂〔B4 〕の合成例3〜18:〔B4
3〕〜〔B4 −18〕 樹脂〔B4 〕の合成例1と同様の重合条件で、エチルメ
タクリレートを他の単量体に代えて下記表−Pの共重合
体を合成した。得られた各重合体のMwは5×103
9×103 であった。
【0258】
【表34】
【0259】
【表35】
【0260】
【表36】
【0261】樹脂〔B4 〕の合成例19〜35:〔B4
−19〕〜〔B4 −35〕 樹脂〔B4 〕の合成例2において、マクロモノマー(M
1 −2)の代わりに他のマクロモノマー(M1 )を用い
た他は、合成例2と同様の重合条件で下記表−Qの共重
合体を合成した。得られた各重合体のMwは2×103
〜1×104 であった。
【0262】
【表37】
【0263】
【表38】
【0264】
【表39】
【0265】
【表40】
【0266】〔樹脂〔B5 〕の合成〕 樹脂〔B5 〕の合成例1:〔B5 −1〕 メチルメタクリレート66g、メチルアクリレート30
g、アクリル酸4g及び下記構造の開始剤〔I−1〕2
8g及びテトラヒドロフラン150gの混合溶液を窒素
気流下に温度50℃に加温した。
【0267】
【化99】
【0268】この溶液に400Wの高圧水銀灯で10c
mの距離からガラスフィルターを通して10時間光照射
し光重合した。得られた反応物をメタノール1リットル
中に再沈し、沈殿物を補集し乾燥して、収量72gで重
量平均分子量(Mw:樹脂〔B5 〕にいうMwはポリス
チレン換算によるGPC法による値)8×103 の重合
体を得た。
【0269】
【化100】
【0270】樹脂〔B5 〕の合成例2:〔B5 −2〕 樹脂〔B5 〕の合成例1において、開始剤〔I−1〕2
8gの代わりに、下記構造の開始剤〔I−2〕36.3
gを用いた他は、樹脂〔B5 〕の合成例1と同様の条件
で操作した。得られた重合体の収量は75gでMw7.
5×103 であった。
【0271】
【化101】
【0272】樹脂〔B5 〕の合成例3〜9:〔B5
3〕〜〔B5 −9〕 2−クロロフェニルメタクリレート95g、メタクリル
酸5g、下記表−Rの開始剤0.10モル及びテトラヒ
ドロフラン100gの混合溶液とした他は、樹脂
〔B5 〕の合成例1と同様の条件で操作し、各重合体を
得た。得られた各重合体のMwは6×103 〜8×10
3 の範囲であった。
【0273】
【表41】
【0274】
【表42】
【0275】
【表43】
【0276】樹脂〔B5 〕の合成例10〜25:〔B5
−10〕〜〔B5 −25〕 樹脂〔B5 〕の合成例1において、メチルメタクリレー
ト、メチルアクリレート及びアクリル酸の代わりに、表
−Sに記載の重合成分に相当する各単量体を用いた他
は、樹脂〔B5 〕の合成例1と同様の条件で操作して各
重合体を得た。得られた各重合体のMwは6×103
9×103 の範囲であった。
【0277】
【表44】
【0278】
【表45】
【0279】
【表46】
【0280】樹脂〔B5 〕の合成例26〜30:〔B5
−26〕〜〔B5 −30〕 前記開始剤〔I−2〕33.9g、及び下記表−Tに示
される各重合体成分に相当する単量体の混合物を、窒素
気流下、温度40℃に加温した。以下の操作を合成例1
と同様にして、光照射し、重合させた後、固形分を取り
出し、テトラヒドロフラン250mlに溶解した後、メ
タノール1.5リットル中に再沈し、沈殿物を濾集・乾
燥した。各重合体の収量は60〜75gでMw6×10
3 〜8×103 の範囲であった。
【0281】
【表47】
【0282】
【表48】
【0283】〔樹脂〔B6 〕の合成〕 樹脂〔B6 〕の合成例1:〔B6 −1〕 ベンジルメタクリレート47.5g、下記開始剤〔I−
1〕24.8g及びテトラヒドロフラン70gの混合物
を、窒素気流下に温度40℃とした。この溶液に400
Wの高圧水銀灯で10cmの距離からガラスフィルター
を通して10時間光照射して光重合した。
【0284】
【化102】
【0285】次に、この重合物に、メタクリル酸2.5
g及びテトラヒドロフラン5gの混合溶液を加え、窒素
気流下、温度40℃で更に上記と同様にして光照射を1
0時間行なった。水/メタノール(2/1)の混合溶液
800ml中に再沈し、沈殿物を捕集し、乾燥した。得
られた重合体の収量は38gで重量平均分子量(Mw)
8.5×103 であった。下記式中のbはブロック結合
を示す。
【0286】
【化103】
【0287】樹脂〔B6 〕の合成例2〜10:〔B6
2〕〜〔B6 −10〕 樹脂〔B6 〕の合成例1において、ベンジルメタクリレ
ート47.5g及びメタクリル酸2.5gの代わりに、
下記表−Uに示した成分に相当する各単量体に各々代え
た他は、樹脂〔B6 〕の合成例1と同様に操作して各重
合体を合成した。得られた各重合体のMwは7×103
〜1×104 の範囲であった。
【0288】
【表49】
【0289】
【表50】
【0290】
【表51】
【0291】樹脂〔B6 〕の合成例11〜16:〔B6
−11〕〜〔B6 −16〕 2−クロロフェニルメタクリレート40g、下記表−V
の開始剤0.02モル及びテトラヒドロフラン50gの
混合溶液を樹脂〔B6 〕の合成例1と同様にして光照射
を8時間行なった。次に、この反応物に、ベンジルメタ
クリレート7.5g、メタクリル酸2.5g及びテトラ
ヒドロフラン10gの混合溶液を加えた後、上記合成例
1と同様にして反応を行なった。得られた重合体のMw
は5×103 〜9×103 の範囲であった。
【0292】
【表52】
【0293】
【表53】
【0294】樹脂〔B6 〕の合成例17〜25:〔B6
−17〕〜〔B6 −25〕 メチルメタクリレート52.5g、メチルアクリレート
17.5g、下記開始剤〔I−8〕44g及びテトラヒ
ドロフラン75gの混合溶液を、温度50℃で窒素気流
下に、樹脂〔B6 〕の合成例1と同様の条件下に光照射
を15時間行なった。
【0295】
【化104】
【0296】この重合物に、下記表−Wの重合成分に相
当する各単量体及びテトラヒドロフラン25gを加え、
再び上記と同様にして光照射を15時間行なった。得ら
れた重合体のMwは5×103 〜8×103 の範囲であ
った。
【0297】
【表54】
【0298】
【表55】
【0299】
【表56】
【0300】樹脂〔B6 〕の合成例26〜31:〔B6
−26〕〜〔B6 −31〕 下記表−Xに記載の重合成分に相当する各単量体、及び
下記開始剤〔I−9〕0.03モルを用いた他は、樹脂
〔B6 〕の合成例1と同様に操作して、各重合体を得
た。得られた重合体のMwは4×103 〜9×103
範囲であった。
【0301】
【化105】
【0302】
【表57】
【0303】
【表58】
【0304】実施例1−1 樹脂〔A−1〕30g、下記構造の樹脂〔P−1〕10
g、光導電性酸化亜鉛200g、ウラニン0.02g、
ローズベンガル0.04g、ブロムフェノールブルー
0.03g、サリチル酸0.15g及びトルエン300
gの混合物を、ホモジナイザー(日本精機(株)製)中
で、7×103 r.p.m.の回転数で8分間分散し
た。これに、無水フタル酸0.1g、o−クロロフェノ
ール0.02gを加えて、回転数1×103 r.p.
m.で1分間分散した。この感光層形成用分散物を導電
処理した紙に乾燥付着量が25g/m2 となるようにワ
イヤーバーで塗布し、100℃で30秒間乾燥し、更に
140℃で1時間加熱した。ついで暗所で20℃、65
%RHの条件下で24時間放置することにより、電子写
真感光材料を作製した。
【0305】
【化106】
【0306】比較例A−1 実施例1−1において、樹脂〔A−1〕30gの代わり
に下記構造の樹脂〔R−1〕30gを用いた他は実施例
1−1と同様に操作して電子写真感光材料を作製した。
【0307】
【化107】
【0308】比較例B−1 実施例1−1において、樹脂〔A−1〕30gの代わり
に、下記構造の樹脂〔R−2〕30gを用いた他は、実
施例1−1と同様にして電子写真感光材料を作製した。
【0309】
【化108】
【0310】比較例C−1 実施例1−1において、樹脂〔A−1〕30gの代わり
に樹脂〔R−1〕21.6g及び樹脂〔R−2〕8.4
g(樹脂〔R−1〕/樹脂〔R−2〕=72/28(重
量比)〕を用いた他は、実施例1−1と同様に操作して
電子写真感光材料を作製した。これらの感光材料につい
て下記表−Yに示す各特性を調べた。
【0311】
【表59】
【0312】表−Yに記した評価項目の実施の態様は以
下の通りである。 注1) 光導電層の平滑性:感光材料を、ベック平滑度
試験機(熊谷理工(株)製)を用いて、空気容量1cc
の条件にて、その平滑度(sec/cc)を測定した。 注2) 静電特性:温度20℃、65%RHの暗室中
で、感光材料にペーパーアナライザー(川口電機(株)
製ペーパーアナライザーSP−428型)を用いて−6
kVで20秒間コロナ放電させた後、10秒間放置し、
この時の表面電位V10を測定した。次いでそのまま暗中
で60秒間静置させた後の電位V70を測定し、60秒間
暗減衰させた後の電位の保持性、即ち、暗減衰保持率
〔D.R.R.(%)〕を、〔(V70/V10)×100
(%)〕で求めた。又、コロナ放電により光導電層表面
を−400Vに帯電させた後、ついで光導電層表面を照
度2.0ルックスの可視光で照射し、表面電位V10が1
/10に減衰するまでの時間を求め、これから露光量E
1/10(ルックス・秒)を算出する。 注3) 撮像性:感光材料及び全自動製版機ELP40
4V(富士写真フィルム(株)製)を1昼夜常温・常湿
(20℃、65%)に放置した後、製版して複写画像を
形成し、得られた複写原版の画像(カブリ、画像の画
質)を目視で観察する。 注4) 刷り出し保水性:感光材料そのものを(製版し
ない原版:即ち、生版と略称)温度40℃の下記処方の
不感脂化処理液:E−1中に3分間浸漬した。これらの
版を湿し水として下記のF−1を用いて印刷し、刷り出
しから50枚目の印刷物の地汚れの有無を目視で評価し
た。 不感脂化処理液:E−1 モノエタノールアミン 60g ネオソープ(松本油脂(株)製) 8g ベンジルアルコール 100g を蒸留水で希釈し全量を1.0リットルにした後、水酸
化カリウムでpH13.5に調整した。 湿し水:F−1 PS版用湿し水アルキーA〔東洋インキ(株)製〕を蒸
留水を用いて200倍に希釈した水溶液(pH9.5) 刷り出し保水性I :モルトン式印刷機として、リョー
ビ・3200CD型〔リョービ(株)製〕を用いた。 刷り出し保水性II :シンフロー式印刷機として、リョ
ービ・3200MCD型を用いた。 注5) 耐刷性 各感光材料を上記注3)と同一の操作で製版した後、注
4)で用いたE−1の処理液中に3分間浸漬した後、湿
し水として、注4)で用いた湿し水F−1、又印刷用紙
として中性紙を各々用い、印刷機として、菊全サイズ
(1003×800mm)の印刷を行なう大型印刷機で
あるオリバー94型〔(株)桜井製作所〕を用いて、オ
フセット印刷機上の印圧が強くなった場合の地汚れの発
生しない鮮明な画像の得られる印刷物の印刷枚数を調べ
た。表−Yに示す如く、各感光材料とも、表面の平滑性
は良好であった。静電特性も良好で実際の撮像性も複写
画像はいずれも良好な画質であった。刷り出し保水性に
ついては、本発明の原版は印刷機に拘わらずインキ付着
が全く認められず極めて良好な保水性を示した。他方、
カルボキル基を生成する版である比較例A−1は、湿し
水とインキの供給方式の違いによって、刷り出しでの印
刷物の地汚れの発生に大きな差を生じた。 即ち、印刷
開始時に、湿し水の供給がモルトン方式に比較し、不充
分なシンフロー方式では、印刷物の非画像部にインキ付
着が生じ地汚れとなってしまった。この事は、比較例A
−1の原版では、親水化された光導電層の表面は、充分
に水との濡れ性は良好になっているが、該光導電層全体
が保持する水量(特に膜の保水量)が不充分なため湿し
水の供給量のバランスが崩れると印刷開始時に、版の表
面に形成される極薄層の水層(ウィーンリーバシダリー
層:W.B.L.)保持ができないためと推定される。
又、スルホ基を生成する版である比較例B−1は、シン
フロー方式の場合でも、比較例Aに比らべインキ付着性
は改良された。しかし、膜の保水量がこの場合大きくな
るため、逆にモルトン方式においてW.B.L.の形成
が不充分な状態になってしまうものと推定される。更
に、比較例A−1及びB−1で用いた両者の樹脂をブレ
ンドして用いた比較例C−1は、両者の欠点をおぎなう
ことはできず、結果として、比較例A−1と同様な結果
となった。次に、大型印刷機を用いて、耐刷性を調べた
所、本発明のものは、1万枚印刷しても、印刷物の画質
は鮮明であった。他方、比較例A−1,B−1及びC−
1は、2000枚あるいは5000枚程度となった。比
較例A−1の耐刷性が低下してしまった原因は、多数枚
刷り込んでゆくと、膜の保水量が起因して、膜最表面部
のW.B.L.あるいは保水量が充分な状態でなくなっ
てしまったことによるものと考えられる。又、比較例B
−1及びC−1の場合には、スルホ基含有の架橋構造を
有する樹脂の保水量が多きいことで膜の強度が不足して
膜の破壊による耐刷性の劣化によるものと推定された。
これらの事より、印刷時の条件変動に対しても、良好な
印刷物を多数枚印刷することができるのは、本発明の材
料のみであった。 実施例1−2 樹脂〔A−2〕32g、下記構造の樹脂〔P−2〕8
g、光導電性酸化亜鉛200g、ウラニン0.02g、
下記構造の色素〔I〕0.015g、下記構造の色素
〔II〕0.012g、N−ヒドロキシフタル酸イミド
0.18g及びトルエン300gの混合物を、ホモジナ
イザー〔日本精機(株)製〕中で、7×103r.p.
m.の回転数で8分間分散した。これに無水フタル酸
0.1g、アセチルアセトンジルコニウム塩0.002
gを加えて、回転数1×103 r.p.m.で1分間分
散した。この感光層形成用分散物を導電処理した紙に乾
燥付着量が25g/m2 となるようにワイヤーバーで塗
布し、100℃で30秒間乾燥し、更に140℃で1時
間加熱した。ついで暗所で20℃、65%RHの条件下
で24時間放置することにより、電子写真感光材料を作
製した。
【0313】
【化109】
【0314】比較例D−1 実施例1−2において、樹脂〔A−2〕32gの代わり
に下記構造の樹脂〔R−3〕32gを用いた他は実施例
1−2と同様に操作して電子写真感光材料を作製した。
【0315】
【化110】
【0316】比較例E−1 実施例1−2において、樹脂〔A−2〕32gの代わり
に、下記構造の樹脂〔R−3〕32gを用いた他は、実
施例1−2と同様にして電子写真感光材料を作製した。
【0317】
【化111】
【0318】比較例F−1 実施例1−2において、樹脂〔A−2〕32gの代わり
に、樹脂〔R−3〕18.8g及び樹脂〔R−4〕1
3.2g(樹脂〔R−3〕/樹脂〔R−4〕=58.8
/41.2(重量比)〕を用いた他は、実施例1−2と
同様に操作して電子写真感光材料を作製した。感光材料
の平滑性、静電特性、撮像性及び刷り出し保水性を実施
例1−1と同様の方法で調べた。更に、印刷時に用いる
湿し水のpHを変えた湿し水(即ち、pH4.5、pH
7.0、pH9.5)を用いて、印刷物への影響の度
合を調べた。以上の結果を表−Zに記載した。
【0319】
【表60】
【0320】注6) 湿し水依存性 前記注5)と同様にして印刷を行なった。但し、印刷に
用いる湿し水として下記の3種を用いて行なった。 I :PS版用湿し水EU−3(富士写真フィルム
(株)製)を蒸留水を用いて100倍に希釈した水溶液
(pH4.5) II :PS版用湿し水SG−23(東京インキ(株)
製)を蒸留水を用いて130倍に希釈した水溶液(pH
7.0) III :PS版用湿し水アルキーA(東洋インキ(株)
製)を蒸留水を用いて200倍に希釈した水溶液(pH
9.5) 実施例1−2及び比較例D−1〜F−1のいずれも、光
導電層の平滑性・静電特性及び撮像性は良好であった。
次に、刷り出し保水性については、本発明のものは、良
好であったが、比較例D−1〜F−1はシンフロー式の
印刷機での保水性が低下した。なお、比較例E−1の場
合、シンフロー方式で、良好な保水性に到達しない理由
は、樹脂〔R−4〕において不感脂化処理で発現した−
PO3 2 基は、膜の保水量は充分であるが、該親水基
が高分子主鎖から疎水性である連結基を介して結合して
いるために、膜の表面上の水との濡れ性が、印刷時に不
充分なものとして表われるものと推定される。更に、耐
刷性の評価を湿し水の種類を変えて行なった結果、本発
明のものは、湿し水の種類によらずいずれも、良好な印
刷物が1万枚得られた。他方、比較例D−1〜F−1の
ものは、湿し水(III)の場合のみ良好で、他の湿し水で
は、程度の差こそあれ刷り出しよりインキ付着の地汚れ
が発生し、更に刷り込んでも良化することはなかった。
これらは、湿し水のpHの影響が大きく、親水化された
親水基の解離定数と関係していると考えられる。つま
り、比較例D−1でその影響が支配的であることから、
樹脂〔R−3〕の−COOH基は高pH下では、−CO
- 基に解離した状態で存在し水との親和性が著しく向
上しているが。低pHになると解離した基の存在量が低
下してしまい、水との親和性が小さくなるためと考えら
れる。即ち、生成する親水性基の解離定数(pKa)の
小さいものを併用しないと、湿し水の種類によって保水
性が大きく変動してしまう結果を招くことが判った。以
上の事より、本発明の材料は、大型印刷機で印刷される
PS版の湿し水でも印刷可能となったことから、印刷機
の清掃点検をすることなく、容易に他の印刷版と共用し
て用いることが可能となった。 実施例1−3〜1−13 実施例1−1において、樹脂〔A−1〕の代わりに、下
記表−aの各樹脂〔A〕を用いた他は、実施例1−1と
同様に操作して各電子写真感光材料を作製した。
【0321】
【表61】
【0322】各感光材料の諸性能を、実施例1−1と同
様にして評価した。いずれも、実施例1−1の感光材料
と同様な、静電特性・撮像性を示した。又、印刷版とし
ての性能も、モルトン式・シンフロー式のいずれの印刷
機においても、刷り出しから良好な保水性を示し、且つ
耐刷性も1万枚を越えるものであった。 実施例1−14〜1−25 実施例1−1において、樹脂〔A−1〕、樹脂〔P−
1〕及び架橋用化合物〔無水フタル酸及びo−クロロフ
ェノール〕の代わりに下記表−bの各化合物を用いた他
は、実施例1−1と同様に操作して、各感光材料を作製
した。
【0323】
【表62】
【0324】
【表63】
【0325】
【表64】
【0326】
【表65】
【0327】各感光材料の諸性能を、実施例1−1と同
様にして評価した。いずれも、実施例1−1の感光材料
と同様な、静電特性・撮像性を示した。又、印刷版とし
ての性能も、モルトン式・シンフロー式のいずれの印刷
機においても、刷り出しから良好な保水性を示し、且つ
耐刷性も1万枚を越えるものであった。 実施例1−26 X型無金属フタロシアニン(大日本インキ(株)製)1
g、樹脂〔A−25〕10g、樹脂〔P−1〕0.3g
及びテトラヒドロフラン80g混合物を500mlのガ
ラス容器にガラスビーズと共に入れ、ペイントシェーカ
ー(東洋精機製作所製)で60分間分散し、更にエチレ
ングリコールジグリシジルエーテル0.3gを加え、2
分間分散した後ガラスビーズをろ別して感光層分散液と
した。ついでこの分散液を導電性処理および耐溶剤処理
を施した0.2mm厚の紙版マスター用原紙の上にワイ
ヤーバーで塗布し、指触乾燥した後、110℃循環式オ
ーブンで、20秒間乾燥した。更に140℃で1時間加
熱した。得られた感光層の膜厚は8μmであった。静電
特性を実施例1−1と同様にして操作して評価した所、
下記の様に、良好な結果を示した。
【0328】静電特性 V10(−V):−500V D.R.R.: 85% E1/10 : 33erg/cm2 撮像性 : ○(良好) 但し、上記評価中、D.R.R.,E1/10及び撮像性に
ついては、下記の方法で行なった。 注)D.R.R.及びE1/10:温度20℃、65%RH
の暗室中で、感光材料にペーパーアナライザー(川口電
機(株)製ペーパーアナライザーSP−428型)を用
いて、−6kVで20秒間コロナ放電させた後、10秒
間放置し、この時の表面電位V10を測定した。次いでそ
のまま暗中で90秒間静置させた後の電位V100 を測定
し、90秒間暗減衰させた後の電位の保持性、即ち、暗
減衰保持率〔D.R.R.(%)〕を〔(V100
10)×100(%)〕で求めた。また、コロナ放電に
より光導電層表面を−500Vに帯電させた後、波長7
80nmの単色光で照射し、表面電位(V10)が1/1
0に減衰するまでの時間を求め、これから露光量E1/10
(erg/cm2 )を算出する。 注) 撮像性:感光材料を(20℃、65%RH)の条
件下で1昼夜放置した後、感光材料を−6kVで帯電
し、光源として2.8mW出力のガリウム−アルミニウ
ム−ヒ素、半導体レーザー(発振波長780nm)を用
いて、感光材料表面上で64erg/cm2 の照射量下
で、ピッチ25μm及びスキャニング速度300m/s
ecのスピード露光後液体現像剤として、ELP−T
(富士写真フィルム(株)製)を用いて現像し、イソパ
ラフィンアイソパーG(エッソ化学(株)製)溶媒のリ
ンス液で洗浄後定着することで得られた複写画像(カブ
リ、画像の画質)を目視評価した。次に、上記の方法で
製版した版を、実施例1−1と同一の条件で不感脂化処
理し、印刷した。その結果、刷り出し保水性(I)及び
(II)のいずれも、良好であった。又、耐刷性を調べた
所、鮮明な印刷物が1万枚以上得られた。 実施例1−27 実施例1−26において、樹脂〔A−25〕10g、樹
脂〔P−1〕0.3g、及びエチレングリコールジグリ
シジルエーテル0.3gの代わりに、樹脂〔A−26〕
10.3gのみを用いた他は、実施例1−26と同様に
操作して感光材料を作製した。但し、膜の架橋は、加熱
(140℃、1時間)する代わりに、高圧水銀ランプを
用い30cmの距離から3分間光照射して行なった。本
発明の感光材料の静電特性と印刷特性を実施例1−26
と同様の方法で評価した所、いずれも、実施例1−26
の感光材料の場合と同様に良好な結果を示した。 実施例1−28〜1−30 実施例1−1において、樹脂〔A−1〕30gの代わり
に、下記表−cの樹脂〔A〕を各30g用いた他は、実
施例1−1と同様にして、各感光材料を作製した。
【0329】
【表66】
【0330】各感光材料について、実施例1−1と同様
にして、静電特性及び印刷性を評価した所、いずれも、
実施例1−1の感光材料と同等の良好な結果を示した。 実施例1−31〜1−42 上記実施例で作成した各感光材料を用い、不感脂化処理
を下記のように操作してオフセット印刷版を作成した。
下記表−dの求核性化合物0.2モル、有機溶媒100
g及びニューコールB4SN〔日本乳化剤(株)製〕2
gに蒸留水を加え1リットルとした後、混合物のpHを
13.5に調整した。各感光材料を、該処理液中に温度
35℃で3分間浸せきして、不感脂化処理を行なった。
得られたプレートを実施例1−1と同様の印刷条件で印
刷した。各感光材料とも実施例1−1の場合と同等の良
好な性能を示した。
【0331】
【表67】
【0332】実施例2−1 樹脂〔A−1〕32g、樹脂〔B−26〕8g、光導電
性酸化亜鉛200g、ウラニン0.02g、ローズベン
ガル0.04g、ブロムフェノールブルー0.03g、
サリチル酸0.15g及びトルエン300gの混合物
を、ホモジナイザー(日本精機(株)製)中で、7×1
3 r.p.m.の回転数で8分間分散した。これに、
下記構造の樹脂〔2P−1〕5g、無水フタル酸0.2
g、o−クロロフェノール0.02gを加えて、回転数
1×103 r.p.m.で1分間分散した。この感光層
形成用分散物を導電処理した紙に乾燥付着量が25g/
2となるようにワイヤーバーで塗布し、100℃で3
0秒間乾燥し、更に140℃で1時間加熱した。ついで
暗所で20℃、65%RHの条件下で24時間放置する
ことにより、電子写真感光材料を作製した。
【0333】
【化112】
【0334】比較例A−2 実施例2−1において、樹脂〔A−1〕32gの代わり
に比較例A−1の樹脂〔R−1〕32gを用いた他は実
施例2−1と同様に操作して電子写真感光材料を作製し
た。 比較例B−2 実施例2−1において、樹脂〔A−1〕32gの代わり
に、比較例B−1の樹脂〔R−2〕32gを用いた他
は、実施例2−1と同様にして電子写真感光材料を作製
した。 比較例C−2 実施例2−1において、樹脂〔A−1〕32gの代わり
に樹脂〔R−1〕23.0g及び樹脂〔R−2〕9.0
g(樹脂〔R−1〕/樹脂〔R−2〕=72/28(重
量比)〕を用いた他は、実施例2−1と同様にして電子
写真感光材料を作製した。 比較例D−2 実施例2−1において、樹脂〔A−1〕32g及び樹脂
〔B1 −26〕8gの代わりに、樹脂〔A−1〕のみ4
0g用いた他は、実施例2−1と同様にして、電子写真
感光材料を作製した。これらの感光材料について下記表
−eに示す各特性を調べた。
【0335】
【表68】
【0336】表−eに記した評価項目の実施の態様は以
下の通りである。 注1) 光導電層の平滑性:感光材料を、ベック平滑度
試験機(熊谷理工(株)製)を用いて、空気容量1cc
の条件にて、その平滑度(sec/cc)を測定した。 注2) 静電特性:温度20℃、65%RHの暗室中
で、感光材料にペーパーアナライザー(川口電機(株)
製ペーパーアナライザーSP−428型)を用いて−6
kVで20秒間コロナ放電させた後、10秒間放置し、
この時の表面電位V10を測定した。次いでそのまま暗中
で60秒間静置させた後の電位V70を測定し、60秒間
暗減衰させた後の電位の保持性、即ち、暗減衰保持率
〔D.R.R.(%)〕を、〔(V70/V10)×100
(%)〕で求めた。又、コロナ放電により光導電層表面
を−400Vに帯電させた後、ついで光導電層表面を照
度2.0ルックスの可視光で照射し、表面電位V10が1
/10に減衰するまでの時間を求め、これから露光量E
1/10(ルックス・秒)を算出する。又、環境条件を(3
0℃、80%RH)として、同様の操作を行なった。環
境条件(20℃、65%RH)をI、(30℃、80%
RH)をIIとする。 注3) 撮像性:感光材料及び全自動製版機ELP40
4V(富士写真フィルム(株)製)を1昼夜常温・常湿
(20℃、65%)(I)に放置した後、製版して複写
画像を形成し、得られた画像(カブリ、画像の画質)を
目視で観察した。製版時には下記の液体現像剤LD−2
を用いた。高温・高湿(30℃、80%RH)の条件下
(II)で上記と同様の操作を行ない、その画像を評価し
た。 <液体現像剤LD−2の調製> ・トナー粒子の合成 メチルメタクリレート60g、メチルアクリレート40
g、下記構造の分散ポリマー20g及びアイソパーH6
80gの混合溶液を窒素気流下に攪拌しながら温度65
℃に加温した。これに、2,2′−アゾビス(イソバレ
ロニトリル)(A.I.V.N)1.2gを加え2時間
反応し、更にA.I.V.N.を0.5g加えて、2時
間反応し、更に又、A.I.V.N.を0.5g加えて
2時間反応した。次に反応温度を90℃に上げて、30
mmHgの減圧下に1時間攪拌し、未反応単量体を除去
した。室温に冷却後、200メッシュのナイロン布を通
して濾過し、白色分散物を得た。得られた分散物の単量
体の反応率は95重量%で樹脂粒子の平均粒径は0.2
5μmで且つ単分散性良好なものであった。(粒径は、
CAPA−500:堀場製作所製を使用)。
【0337】
【化113】
【0338】・着色粒子の製造 テトラデシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(共重合比;95/5重量比)を10g、ニグロシン1
0g及びアイソパーGの30gをガラスビーズと共にペ
イントシェーカー(東京精機(株)製)に入れ、4時間
分散し、ニグロシンの微小な分散物を得た。 ・液体現像剤の製造 上記トナー粒子の樹脂分散物45g、上記ニグロシン分
散物を25g、ヘキサデセン/半マレイン酸オクタデシ
ルアミド共重合体を0.06g及びFOC−1800の
15gをアイソパーGの1リットルに希釈することによ
り静電写真用液体現像剤を作製した。 注4) 刷り出し保水性:感光材料そのものを(製版し
ない原版:即ち、生版と略称)温度40℃の下記処方の
不感脂化処理液:E−2中に3分間浸漬した。これらの
版を湿し水として下記のF−2を用いて印刷し、刷り出
しから50枚目の印刷物の地汚れの有無を目視で評価し
た。 不感脂化処理液:E−2 モノエタノールアミン 60g ネオソープ(松本油脂(株)製) 8g ベンジルアルコール 100g を蒸留水で希釈し全量を1.0リットルにした後、水酸
化カリウムでpH13.5に調整した。 湿し水:F−2 PS版用湿し水アルキーA〔東洋インキ(株)製〕を蒸
留水を用いて200倍に希釈した水溶液(pH9.5) 刷り出し保水性I :モルトン式印刷機として、リョー
ビ・3200CD型(リョービ(株)製)を用いた。 刷り出し保水性II :シンフロー式印刷機として、リョ
ービ・3200MCD型を用いた。 注5) 耐刷性 感光材料を上記注3)と同一の操作で製版した後、注
4)で用いてE−2の処理液中に3分間浸漬した後、湿
し水として、注4)で用いた湿し水F−2、又印刷用紙
として中性紙を各々用い、印刷機として、菊全サイズ
(1003×800mm)の印刷を行なう大型印刷機で
あるオリバー94型〔(株)桜井製作所〕を用いて、オ
フセット印刷機上の印圧が強くなった場合の地汚れの発
生しない鮮明な画像の得られる印刷物の印刷枚数を調べ
た。表−eに示す如く、各感光材料とも、表面の平滑性
は良好であった。静電特性は、常温・常湿の条件下で
は、本発明の樹脂〔B1 〕を用いていない比較例D−2
が、やや低下するものの、実用上、問題のない範囲であ
った。しかし、高温・高湿という過酷な条件下では、比
較例D−2の静電特性(特に、D.R.R.,E1/10)の
劣化が著しくなってしまった。他方、樹脂〔B1 〕を用
いた他の感材は、いずれもその変化が小さく抑えられ実
用に供し得る範囲を維持した。次に実際の撮像性を調べ
た所、比較例D−2は、高温・高湿下で、非画像部に地
カブリが見られ、且つ画質も劣化(濃度の低下、細線・
文字の欠落等)を生じてしまった。しかし、他の感材
は、良好な複写画像が得られた。刷り出し保水性につい
ては、本発明の原版及び比較例D−2は印刷機に拘わら
ずインキ付着が全く認められず極めて良好な保水性を示
した。他方、カルボキシル基を生成する版である比較例
A−2は、湿し水とインキの供給方式の違いによって、
刷り出しでの印刷物の地汚れの発生に大きな差を生じ
た。即ち、印刷開始時に、湿し水の供給がモルトン方式
に比較し、不充分なシンフロー方式では、印刷物の非画
像部にインキ付着が生じ地汚れとなってしまった。この
事は、比較例A−2の原版では、親水化された光導電層
の表面は、充分に水との濡れ性は良好になっているが、
該光導電層全体が保持する水量(特に膜の保水量)が不
充分なため湿し水の供給量のバランスが崩れると印刷開
始時に、版の表面に形成される極薄層の水層(ウィーン
リーバシダリー層:W.B.L.)保持ができないため
と推定される。又、スルホ基を生成する版である比較例
B−2は、シンフロー方式の場合でも、比較例A−2に
比らべインキ付着性は改良された。しかし、膜の保水量
がこの場合大きくなるため、逆にモルトン式において
W.B.L.の形成が不充分な状態になってしまうもの
と推定される。更に、比較例A−2及びB−2で用いた
両者の樹脂をブレンドして用いた比較例C−2は、両者
の欠点をおぎなうことはできず、結果として、比較例A
−2と同様な結果となった。次に、大型印刷機を用い
て、耐刷性を調べた所、本発明のものは、1万枚印刷し
ても、印刷物の画質は鮮明であった。又、生版の刷り出
し保水性が良好であった比較例D−2は、実際に製版し
た原版では、印刷物の画像は刷り出しから不良となっ
た。他方、比較例A−2,B−2及びC−2は、200
0枚あるいは4000枚程度となった。比較例A−2の
耐刷性が低下してしまった原因は、多数枚刷り込んでゆ
くと、膜の保水量が起因して、膜最表面部のW.B.
L.あるいは保水量が充分な状態でなくなってしまった
ことによるものと考えられる。又、比較例B−2及びC
−2の場合には、スルホ基含有の架橋構造を有する樹脂
の保水量が多きいことで膜の強度が不足して膜の破壊に
よる耐刷性の劣化によるものと推定された。これらの事
より、撮像時の環境条件の変動及び印刷時の条件変動に
対しても、良好な印刷物を多数枚印刷することができる
のは、本発明の材料のみであった。 実施例2−2 樹脂〔A−2〕35g、樹脂〔B1 −1〕10g、実施
例1−2の樹脂〔P−2〕4g、光導電性酸化亜鉛20
0g、ウラニン0.02g、実施例1−2の色素〔I〕
0.015g、実施例1−2の色素〔II〕0.012
g、N−ヒドロキシフタル酸イミド0.18g及びトル
エン300gの混合物を、ホモジナイザー(日本精機
(株)製)中で、7×103 r.p.m.の回転数で8
分間分散した。これに無水フタル酸0.1g、アセチル
アセトンジルコニウム塩0.002gを加えて、回転数
1×103 r.p.m.で1分間分散した。この感光層
形成用分散物を導電処理した紙に乾燥付着量が25g/
2 となるようにワイヤーバーで塗布し、100℃で3
0秒間乾燥し、更に140℃で1時間加熱した。ついで
暗所で20℃、65%RHの条件下で24時間放置する
ことにより、電子写真感光材料を作製した。 比較例E−2 実施例2−2において、樹脂〔A−2〕35gの代わり
に下記構造の樹脂〔2R−3〕35gを用いた他は実施
例2−2と同様に操作して電子写真感光材料を作製し
た。
【0339】
【化114】
【0340】比較例F−2 実施例2−2において、樹脂〔A−2〕35gの代わり
に、下記構造の樹脂〔2R−4〕35gを用いた他は、
実施例2−2と同様にして電子写真感光材料を作製し
た。
【0341】
【化115】
【0342】比較例G−2 実施例2−2において、樹脂〔A−2〕35gの代わり
に、樹脂〔2R−3〕20.6g及び樹脂〔2R−4〕
14.4g(樹脂〔2R−3〕/樹脂〔2R−4〕=5
8.8/41.2(重量比)〕を用いた他は、実施例2
−2と同様に操作して電子写真感光材料を作製した。 比較例H−2 実施例2−2において、樹脂〔A−2〕35g及び樹脂
〔B1 −1〕10gの代わりに、樹脂〔A−2〕のみ4
5gを用いた他は、実施例2−2と同様に操作して電子
写真感光材料を作製した。各感光材料の平滑性、静電特
性、撮像性及び刷り出し保水性を実施例2−1と同様の
方法で調べた。更に、印刷時に用いる湿し水のpHを変
えた湿し水(即ち、pH4.5、pH7.0、pH9.
5)を用いて、印刷物への影響の度合を調べた。以上の
結果を表−fに記載した。
【0343】
【表69】
【0344】注6) 湿し水依存性 前記注5)と同様にして印刷を行なった。但し、印刷に
用いる湿し水として下記の3種を用いて行なった。 I :PS版用湿し水EU−3(富士写真フィルム
(株)製)を蒸留水を用いて100倍に希釈した水溶液
(pH4.5) II :PS版用湿し水SG−23(東京インキ(株)
製)を蒸留水を用いて130倍に希釈した水溶液(pH
7.0) III :PS版用湿し水アルキーA(東洋インキ(株)
製)を蒸留水を用いて200倍に希釈した水溶液(pH
9.5) 各感光材料とも、光導電層の平滑性は良好であった。実
施例2−2及び比較例E−2〜G−2は、環境条件に拘
わらず、良好な静電特性を示し、実際の撮像性も良好で
あった。しかし、本発明の樹脂〔B1 〕を用いない比較
例H−2は、高温・高湿の過酷条件下で、静電特性が低
下し、且つ実際の撮像性においても、地カブリの発生及
び画像部の劣化(濃度低下、細線・文字の欠落等)を生
じた。次に、刷り出し保水性については、本発明のもの
は、良好であったが、比較例E−2〜G−2はシンフロ
ー式の印刷機での保水性が低下した。なお、比較例F−
2の場合、シンフロー方式で、良好な保水性に到達しな
い理由は、樹脂〔2R−4〕において不感脂化処理で発
現した−PO3 2 基は、膜の保水量は充分であるが、
該親水基が高分子主鎖から疎水性である連結基を介して
結合しているために、膜の表面上の水との濡れ性が印刷
時に不充分なものとして表われるものと推定される。更
に、耐刷性の評価を湿し水の種類を変えて行なった結
果、本発明のものは、湿し水の種類によらずいずれも、
良好な印刷物が1万枚得られた。他方、比較例E−2〜
G−2のものは、湿し水(III)の場合のみ良好で、他の
湿し水では、程度の差こそあれ刷り出しよりインキ付着
の地汚れが発生し、更に刷り込んでも良化することはな
かった。比較例H−2は、製版時の画質不良及び地カブ
リのために、印刷原版としての性能が悪く、刷り出しか
ら、満足な画質の印刷物を得ることができなかった。こ
れらは、湿し水のpHの影響が大きく、親水化された親
水基の解離定数と関係していると考えられる。つまり、
比較例D−2でその影響が支配的であることから、樹脂
〔2R−3〕の−COOH基は高pH下では、−COO
- 基に解離した状態で存在し水との親和性が著しく向上
しているが。低pHになると解離した基の存在量が低下
してしまい、水との親和性が小さくなるためと考えられ
る。即ち、生成する親水性基の解離定数(pKa)の小
さいものを併用しないと、湿し水の種類によって保水性
が大きく変動してしまう結果を招くことが判った。 以
上の事より、本発明の材料は、大型印刷機で印刷される
PS版の湿し水でも印刷可能となったことから、印刷機
の清掃点検をすることなく、容易に他の印刷版と共用し
て用いることが可能となった。 実施例2−3〜2−13 実施例2−1において、樹脂〔A−1〕32g及び樹脂
〔B1 −26〕8gの代わりに、下記表−gの各樹脂
〔A〕32g及び樹脂〔B1 〕8gを用いた他は、実施
例2−1と同様に操作して各電子写真感光材料を作製し
た。
【0345】
【表70】
【0346】各感光材料の諸性能を、実施例2−1と同
様にして評価した。いずれも、実施例2−1の感光材料
と同様に環境条件が変動しても、良好な静電特性・撮像
性を示した。又、印刷版としての性能も、モルトン式・
シンフロー式のいずれの印刷機においても、刷り出しか
ら良好な保水性を示し、且つ耐刷性も1万枚を越えるも
のであった。 実施例2−14〜2−25 実施例2−1において、樹脂〔A−1〕、樹脂〔B−
1〕、樹脂〔2P−1〕及び架橋用化合物〔無水フタル
酸及びo−クロロフェノール〕の代わりに下記表−hの
各化合物を用いた他は、実施例2−1と同様に操作し
て、各感光材料を作製した。なお用いた樹脂〔P−1〕
〜〔P−12〕は実施例1−14〜1−25に記載され
ている。
【0347】
【表71】
【0348】
【表72】
【0349】各感光材料の諸性能を、実施例2−1と同
様にして評価した。いずれも、実施例2−1の感光材料
と同様に環境条件が変動しても、良好な静電特性・撮像
性を示した。又、印刷版としての性能も、モルトン式・
シンフロー式のいずれの印刷機においても、刷り出しか
ら良好な保水性を示し、且つ耐刷性も1万枚を越えるも
のであった。 実施例2−26 X型無金属フタロシアニン(大日本インキ(株)製)1
g、樹脂〔A−25〕8g、樹脂〔B1 −17〕2g、
樹脂〔2P−1〕0.3g及びテトラヒドロフラン80
g混合物を500mlのガラス容器にガラスビーズと共
に入れ、ペイントシェーカー(東洋精機製作所製)で6
0分間分散し、更にエチレングリコールジグリシジルエ
ーテル0.3gを加え、2分間分散した後ガラスビーズ
をろ別して感光層分散液とした。ついでこの分散液を導
電性処理および耐溶剤処理を施した0.2mm厚の紙版
マスター用原紙の上にワイヤーバーで塗布し、指触乾燥
した後、110℃循環式オーブンで、20秒間乾燥し
た。更に140℃で1時間加熱した。得られた感光層の
膜厚は8μmであった。静電特性を実施例2−1と同様
にして操作して評価した所、下記の様に、良好な結果を
示した。
【0350】
【表73】
【0351】但し、上記評価中、D.R.R.,E1/10
及び撮像性については、下記の方法で行なった。 注)D.R.R.及びE1/10:温度20℃、65%RH
の暗室中で、感光材料にペーパーアナライザー(川口電
機(株)製ペーパーアナライザーSP−428型)を用
いて、−6kVで20秒間コロナ放電させた後、10秒
間放置し、この時の表面電位V10を測定した。次いでそ
のまま暗中で90秒間静置させた後の電位V100 を測定
し、90秒間暗減衰させた後の電位の保持性、即ち、暗
減衰保持率〔D.R.R.(%)〕を〔(V100
10)×100(%)〕で求めた。また、コロナ放電に
より光導電層表面を−500Vに帯電させた後、波長7
80nmの単色光で照射し、表面電位(V10)が1/1
0に減衰するまでの時間を求め、これから露光量E1/10
(erg/cm2 )を算出する。これを条件(I)とす
る。又、環境条件(30℃、80%RH)下でも同様の
操作を行なった。これを条件(II)とする。 注) 撮像性:感光材料を(20℃、65%RH)の条
件下で1昼夜放置した後、感光材料を−6kVで帯電
し、光源として2.8mW出力のガリウム−アルミニウ
ム−ヒ素、半導体レーザー(発振波長780nm)を用
いて、感光材料表面上で64erg/cm2 の照射量下
で、ピッチ25μm及びスキャニング速度300m/s
ecのスピード露光後、アイソパーH(エッソスタンダ
ード社)1リットル中にポリメチルメタクリレート粒子
(粒子サイズ0.3μ)5gをトナー粒子として分散
し、荷電調節剤として大豆油レシチン0.01gを添加
して作製した液体現像剤:LD−2を用いて現像し、イ
ソパラフィンアイソパーG(エッソ化学(株)製)溶媒
のリンス液で洗浄後定着することで得られた複写画像
(カブリ、画像の画質)を目視評価した。これを条件
(I)とし、環境条件(30℃、80%RH)下での結
果を条件(II)とした。次に、上記の方法で製版した版
を、実施例2−1と同一の条件で不感脂化処理し、印刷
した。その結果、刷り出し保水性(I)及び(II)のい
ずれも、良好であった。又、耐刷性を調べた所、鮮明な
印刷物が1万枚以上得られた。 実施例2−27 実施例2−26において、樹脂〔A−25〕8g、樹脂
〔2P−1〕0.3g、及びエチレングリコールジグリ
シジルエーテル0.3gの代わりに、樹脂〔A−26〕
10.3gのみを用いた他は、実施例2−26と同様に
操作して感光材料を作製した。但し、膜の架橋は、加熱
(140℃、1時間)する代わりに下記方法で行なっ
た。 硬化方法:出力2Kwの超高圧水銀灯を光源として、感
光材料を光源より50cmの距離に静置し、光照射を
1.5分間行なった。本発明の感光材料の静電特性と印
刷特性を実施例2−26と同様の方法で評価した所、い
ずれも、実施例2−26の感光材料の場合と同様に良好
な結果を示した。 実施例2−28〜2−30 実施例2−1において、樹脂〔A−1〕32g、及び樹
脂〔B1 −26〕8gの代わりに、下記表−jの樹脂
〔A〕を各32g、及び樹脂〔B1 〕を8g用いた他
は、実施例2−1と同様にして、各感光材料を作製し
た。
【0352】
【表74】
【0353】各感光材料について、実施例2−1と同様
にして、静電特性及び印刷性を評価した所、いずれも、
実施例2−1の感光材料と同等の良好な結果を示した。 実施例2−31 樹脂〔A−30〕40g(固形分量として)、樹脂〔B
1 −30〕10g(固形分量として)、光導電性酸化亜
鉛200g、下記構造のシアニン色素〔I−2〕0.0
18g、無水フタル酸0.20g及びトルエン300g
の混合物をホモジナイザー(日本精機(株)製)中、回
転数6×103 r.p.m.で10分間分散し、更にこ
れに下記構造の架橋用化合物2.5gを加えて回転数1
×103r.p.m.で1分間分散した。これを導電処
理した紙に、乾燥付着量が22g/m2 となる様に、ワ
イヤーバーで塗布し、110℃で10秒間乾燥し、つい
で暗所で50℃、80%RHの条件下で1週間放置し
た。次に暗所で20℃,65%RHの条件下で24時間
放置することにより電子写真感光材料を作製した。
【0354】
【化116】
【0355】比較例I−2 実施例2−31において、樹脂〔A−30〕40g及び
樹脂〔B1 −30〕10gの代わりに、樹脂〔A−3
0〕のみ50gを用いた他は、実施例2−31と同様に
して、電子写真感光材料を作製した。各感光材料につい
て、静電特性及び撮像性を実施例2−26と同様の操作
方法で行ない、他の評価項目については、実施例2−1
と同様にして行なった。
【0356】
【表75】
【0357】各感光材料の平滑性は良好であった。本発
明の感光材料の静電特性は、常温・常湿、高温・高湿で
も良好であった。他方、比較例I−2は、常温・常湿下
でも、D.R.R.,E1/10が低下し、高温・高湿で
は、更に劣化した。実際の撮像性は、本発明のものは、
環境条件によらず良好な複写画像が得られた。しかし、
比較例I−2では、常温・常湿では、実用可能なもので
あったが、高温・高湿では、地カブリ発生、及び画像の
劣化(濃度低下、細線・文字の欠落等)が著しく、実用
に供し得るものではなかった。更に、印刷原版として印
刷した所、本発明のものは、印刷機の種類によらず刷り
出しより、良好な印刷物が1万枚得られた。しかし、比
較例I−2は、条件IIの下で得た印刷原版は、刷り出し
より印刷物の画像は不良であった。 実施例2−32〜2−43 実施例2−31において、樹脂〔B1 −30〕10gの
代わりに下記表−lの樹脂〔B1 〕を各10gに代えた
他は、実施例2−31と同様にして各感光材料を作製し
た。
【0358】
【表76】
【0359】各感光材料を実施例2−31と同様にして
各特性を評価した所、いずれも実施例2−31と同等の
良好な結果を示した。 実施例2−44〜2−45 上記実施例で作成した各感光材料を用い、不感脂化処理
を下記のように操作してオフセット印刷版を作成した。
下記表−mの求核性化合物0.2モル、有機溶媒100
g及びニューコールB4SN〔日本乳化剤(株)製〕2
gに蒸留水を加え1リットルとした後、混合物のpHを
13.5に調整した。各感光材料を、該処理液中に温度
35℃で3分間浸せきして、不感脂化処理を行なった。
得られたプレートを実施例2−1と同様の印刷条件で印
刷した。各感光材料とも実施例2−1の場合と同等の良
好な性能を示した。
【0360】
【表77】
【0361】実施例3−1 樹脂〔A−1〕32g、樹脂〔B2 −1〕8g、光導電
性酸化亜鉛200g、ウラニン0.02g、ローズベン
ガル0.04g、ブロムフェノールブルー0.03g、
サリチル酸0.15g及びトルエン300gの混合物
を、ホモジナイザー(日本精機(株)製)中で、7×1
3 r.p.m.の回転数で6分間分散した。これに、
実施例2−1の樹脂〔2P−1〕5g、無水フタル酸
0.2g、o−クロロフェノール0.02gを加えて、
回転数1×103 r.p.m.で1分間分散した。この
感光層形成用分散物を導電処理した紙に乾燥付着量が2
8g/m2 となるようにワイヤーバーで塗布し、100
℃で30秒間乾燥し、更に140℃で1時間加熱した。
ついで暗所で20℃、65%RHの条件下で24時間放
置することにより、電子写真感光材料を作製した。 比較例A−3 実施例3−1において、樹脂〔A−1〕32gの代わり
に比較例A−1の樹脂〔R−1〕32gを用いた他は実
施例3−1と同様に操作して電子写真感光材料を作製し
た。 比較例B−3 実施例3−1において、樹脂〔A−1〕32gの代わり
に、比較例B−1の樹脂〔R−2〕32gを用いた他
は、実施例3−1と同様にして電子写真感光材料を作製
した。 比較例C−3 実施例3−1において、樹脂〔A−1〕32gの代わり
に樹脂〔R−1〕23.0g及び樹脂〔R−2〕9.0
g(樹脂〔R−1〕/樹脂〔R−2〕=72/28(重
量比)〕を用いた他は、実施例3−1と同様にして電子
写真感光材料を作製した。 比較例D−3 実施例3−1において、樹脂〔A−1〕32g及び樹脂
〔B2 −1〕8gの代わりに、樹脂〔A−1〕のみ40
gを用いた他は、実施例3−1と同様にして電子写真感
光材料を作製した。 これらの感光材料について下記表−nに示す各特性を調
べた。
【0362】
【表78】
【0363】表−nに記した評価項目の実施の態様は以
下の通りである。 注1) 光導電層の平滑性:感光材料を、ベック平滑度
試験機(熊谷理工(株)製)を用いて、空気容量1cc
の条件にて、その平滑度(sec/cc)を測定した。 注2) 静電特性:温度20℃、65%RHの暗室中
で、感光材料にペーパーアナライザー(川口電機(株)
製ペーパーアナライザーSP−428型)を用いて−6
kVで20秒間コロナ放電させた後、10秒間放置し、
この時の表面電位V10を測定した。次いでそのまま暗中
で60秒間静置させた後の電位V70を測定し、60秒間
暗減衰させた後の電位の保持性、即ち、暗減衰保持率
〔D.R.R.(%)〕を、〔(V70/V10)×100
(%)〕で求めた。又、コロナ放電により光導電層表面
を−400Vに帯電させた後、ついで光導電層表面を照
度2.0ルックスの可視光で照射し、表面電位V10が1
/10に減衰するまでの時間を求め、これから露光量E
1/10(ルックス・秒)を算出する。又、環境条件を(3
0℃、80%RH)として、同様の操作を行なった。環
境条件(20℃、65%RH)をI、(30℃、80%
RH)をIIとする。 注3) 撮像性:感光材料及び全自動製版機ELP40
4V(富士写真フィルム(株)製)を1昼夜常温・常湿
(20℃、65%)(I)に放置した後、製版して複写
画像を形成し、得られた画像(カブリ、画像の画質)を
目視で観察した。製版時には下記の液体現像剤LD−3
を用いた。高温・高湿(30℃、80%RH)の条件下
(II)で上記と同様の操作を行ない、その画像を評価し
た。 <液体現像剤LD−3の調製> ・トナー粒子の合成 メチルメタクリレート60g、メチルアクリレート40
g、実施例2−1の分散ポリマー20g及びアイソパー
H680gの混合溶液を窒素気流下に攪拌しながら温度
65℃に加温した。これに、2,2′−アゾビス(イソ
バレロニトリル)(A.I.V.N)1.2gを加え2
時間反応し、更にA.I.V.Nを0.5g加えて、2
時間反応し、更に又、A.I.V.Nを0.5g加えて
2時間反応した。次に反応温度を90℃に上げて、30
mmHgの減圧下に1時間攪拌し、未反応単量体を除去
した。室温に冷却後、200メッシュのナイロン布を通
して濾過し、白色分散物を得た。得られた分散物の単量
体の反応率は95重量%で樹脂粒子の平均粒径は0.2
5μmで且つ単分散性良好なものであった。(粒径は、
CAPA−500:堀場製作所製を使用)。 ・着色粒子の製造 テトラデシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(共重合比;95/5重量比)を10g、ニグロシン1
0g及びアイソパーGの30gをガラスビーズと共にペ
イントシェーカー(東京精機(株)製)に入れ、4時間
分散し、ニグロシンの微小な分散物を得た。 ・液体現像剤の製造 上記トナー粒子の樹脂分散物45g、上記ニグロシン分
散物を25g、ヘキサデセン/半マレイン酸オクタデシ
ルアミド共重合体を0.06g及びFOC−1800の
15gをアイソパーGの1リットルに希釈することによ
り静電写真用液体現像剤を作製した。 注4) 刷り出し保水性:感光材料そのものを(製版し
ない原版:即ち、生版と略称)温度40℃の下記処方の
不感脂化処理液:E−3中に3分間浸漬した。これらの
版を湿し水として下記のF−3を用いて印刷し、刷り出
しから50枚目の印刷物の地汚れの有無を目視で評価し
た。 不感脂化処理液:E−3 モノエタノールアミン 60g ネオソープ(松本油脂(株)製) 8g ベンゾルアルコール 100g を蒸留水で希釈し全量を1.0リットルにした後、水酸
化カリウムでpH13.5に調整した。
【0364】湿し水:F−3 PS版用湿し水アルキーA〔東洋インキ(株)製〕を蒸
留水を用いて200倍に希釈した水溶液(pH9.5) 刷り出し保水性I :モルトン式印刷機として、リョー
ビ・3200CD型(リョービ(株)製)を用いた。 刷り出し保水性II :シンフロー式印刷機として、リョ
ービ・3200MCD型を用いた。 注5) 耐刷性 感光材料を上記注3)と同一の操作で製版した後、注
4)で用いてE−3の処理液中に3分間浸漬した後、湿
し水として、注4)で用いた湿し水F−3、又印刷用紙
として中性紙を各々用い、印刷機として、菊全サイズ
(1003×800mm)の印刷を行なう大型印刷機で
あるオリバー94型〔(株)桜井製作所〕を用いて、オ
フセット印刷機上の印圧が強く成った場合の地汚れの発
生しない鮮明な画像の得られる印刷物の印刷枚数を調べ
た。表−uに示す如く、各感光材料とも、表面の平滑性
は良好であった。静電特性は、常温・常湿の条件下で
は、本発明の樹脂〔B2 〕を用いていない比較例D−3
が、やや低下するものの、実用上、問題のない範囲であ
った。しかし、高温・高湿という過酷な条件下では、比
較例D−3の静電特性(特に、D.R.R.E1/10)の
劣化が著しくなってしまった。他方、樹脂〔B2 〕を用
いた他の感材は、いずれもその変化が小さく抑えられ実
用に供し得る範囲を維持した。次に、実際の撮像性を調
べた所、比較例D−3は、高温・高湿下で、非画像部に
地カブリが見られ、且つ画質も劣化(濃度の低下、細線
・文字の欠落等)を生じてしまった。しかし、他の感材
は、良好な複写画像が得られた。刷り出し保水性につい
ては、本発明の原版及び比較例D−3は印刷機に拘わら
ずインキ付着が全く認められず極めて良好な保水性を示
した。他方、カルボキシル基を生成する版である比較例
A−3は、湿し水とインキの供給方式の違いによって、
刷り出しでの印刷物の地汚れの発生に大きな差を生じ
た。即ち、印刷開始時に、湿し水の供給がモルトン方式
に比較し、不充分なシンフロー方式では、印刷物の非画
像部にインキ付着が生じ地汚れとなってしまった。この
事は、比較例A−3の原版では、親水化された光導電層
の表面は、充分に水との濡れ性は良好になっているが、
該光導電層全体が保持する水量(特に膜の保水量)が不
充分なため湿し水の供給量のバランスが崩れると印刷開
始時に、版の表面に形成される極薄層の水層(ウィーン
リーバシダリー層:W.B.L.)保持ができないため
と推定される。又、スルホ基を生成する版である比較例
B−3は、シンフロー方式の場合でも、比較例A−3に
比らべインキ付着性は改良された。しかし、膜の保水量
がこの場合大きくなるため、逆にモルトン方式において
W.B.L.の形成が不充分な状態になってしまうもの
と推定される。更に、比較例A−3及びB−3で用いた
両者の樹脂をブレンドして用いた比較例C−3は、両者
の欠点をおぎなうことはできず、結果として、比較例A
−3と同様な結果となった。次に、大型印刷機を用い
て、耐刷性を調べた所、本発明のものは、1万枚印刷し
ても、印刷物の画質は鮮明であった。又、生版の刷り出
し保水性が良好であった比較例D−3は、実際に製版し
た原版では、印刷物の画像は刷出しから不良となった。
他方、比較例A−3,B−3及びC−3は、2000枚
あるいは4000枚程度となった。比較例A−3の耐刷
性が低下してしまった原因は、多数枚刷り込んでゆく
と、膜の保水量が起因して、膜最表面部のW.B.L.
あるいは保水量が充分な状態でなくなってしまったこと
によるものと考えられる。又、比較例B−3及びC−3
の場合には、スルホ基含有の架橋構造を有する樹脂の保
水量が多きいことで膜の強度が不足して膜の破壊による
耐刷性の劣化によるものと推定された。これらの事より
撮像時の環境条件の変動及び、印刷時の条件変動に対し
ても、良好な印刷物を多数枚印刷することができるの
は、本発明の材料のみであった。 実施例3−2 樹脂〔A−2〕35g、樹脂〔B2 −22〕11g、実
施例1−2の樹脂〔P−2〕4g、光導電性酸化亜鉛2
00g、ウラニン0.02g、実施例1−2の色素
〔I〕0.015g、実施例1−2の色素〔II〕0.0
12g、N−ヒドロキシフタル酸イミド0.18g及び
トルエン300gの混合物を、ホモジナイザー(日本精
機(株)製)中で、7×103 r.p.m.の回転数で
5分間分散した。これに無水フタル酸0.1g、アセチ
ルアセトンジルコニウム塩0.002gを加えて、回転
数1×103 r.p.m.で1分間分散した。この感光
層形成用分散物を導電処理した紙に乾燥付着量が25g
/m2 となるようにワイヤーバーで塗布し、100℃で
30秒間乾燥し、更に140℃で1時間加熱した。つい
で暗所で20℃、65%RHの条件下で24時間放置す
ることにより、電子写真感光材料を作製した。 比較例E−3 実施例3−2において、樹脂〔A−2〕35gの代わり
に比較例E−2の樹脂〔2R−3〕35gを用いた他は
実施例と同様に操作して電子写真感光材料を作製した。 比較例F−3 実施例3−2において、樹脂〔A−2〕35gの代わり
に、比較例F−2の樹脂〔2R−4〕35gを用いた他
は、実施例3−2と同様にして電子写真感光材料を作製
した。 比較例G−3 実施例3−2において、樹脂〔A−2〕35gの代わり
に、樹脂〔2R−3〕20.6g及び樹脂〔2R−4〕
14.4g(樹脂〔2R−3〕/樹脂〔2R−4〕=5
8.8/41.2(重量比)〕を用いた他は、実施例3
−2と同様に操作して電子写真感光材料を作製した。 比較例H−3 実施例3−2において、樹脂〔A−2〕35g及び樹脂
〔B2 −22〕11gの代わりに、樹脂〔A−2〕のみ
46gを用いた他は、実施例3−2と同様に操作して電
子写真感光材料を作製した。 各感光材料の平滑性、静電特性、撮像性及び刷り出し保
水性を実施例2−1と同様の方法で調べた。更に、印刷
時に用いる湿し水のpHを変えた湿し水(即ち、pH
4.5、pH7.0、pH9.5)を用いて、印刷物へ
の影響の度合を調べた。以上の結果を表−oに記載し
た。
【0365】
【表79】
【0366】注6) 湿し水依存性 前記注5)と同様にして印刷を行なった。但し、印刷に
用いる湿し水として下記の3種を用いて行なった。 I :PS版用湿し水EU−3(富士写真フィルム
(株)製)を蒸留水を用いて100倍に希釈した水溶液
(pH4.5) II :PS版用湿し水SG−23(東京インキ(株)
製)を蒸留水を用いて130倍に希釈した水溶液(pH
7.0) III :PS版用湿し水アルキーA(東洋インキ(株)
製)を蒸留水を用いて200倍に希釈した水溶液(pH
9.5) 各感光材料とも、光導電層の平滑性は良好であった。実
施例3−2及び比較例E−3〜G−3は、環境条件に拘
わらず、良好な静電特性を示し、実際の撮像性も良好で
あった。しかし、本発明の樹脂〔B2 〕を用いない比較
例H−3は、高温・高湿の過酷条件下で、静電特性が低
下し、且つ実際の撮像性においても、地カブリの発生及
び画像部の劣化(濃度低下、細線・文字の欠落等)を生
じた。次に、刷り出し保水性については、本発明のもの
は、良好であったが、比較例E−3〜G−3はシンフロ
ー式の印刷機での保水性が低下した。なお、比較例F−
3の場合、シンフロー方式で、良好な保水性に到達しな
い理由は、樹脂〔2R−4〕において、不感脂化処理で
発現した−PO3 2 基は、膜の保水量は充分である
が、該親水基が高分子主鎖から疎水性である連結基を介
して結合しているために、膜の表面上の水との濡れ性が
印刷時に不充分なものとして表われるものと推定され
る。更に、耐刷性の評価を湿し水の種類を変えて行なっ
た結果、本発明のものは、湿し水の種類によらずいずれ
も、良好な印刷物が1万枚得られた。他方、比較例E−
3〜G−3のものは、湿し水(III)の場合のみ良好で、
他の湿し水では、程度の差こそあれ刷り出しよりインキ
付着の地汚れが発生し、更に刷り込んでも良化すること
はなかった。比較例H−3は、製版時の画質不良及び地
カブリのために、印刷原版としての性能が悪く、刷り出
しから、満足な画質の印刷物を得ることができなかっ
た。これらは、湿し水のpHの影響が大きく、親水化さ
れた親水基の解離定数と関係していると考えられる。つ
まり、比較例D−3でその影響が支配的であることか
ら、樹脂〔2R−3〕の−COOH基は高pH下では、
−COO- 基に解離した状態で存在し水との親和性が著
しく向上しているが、低pHになると解離した基の存在
量が低下してしまい水との親和性が小さくなるためと考
えられる。即ち、生成する親水性基の解離定数(pK
a)の小さいものを併用しないと、湿し水の種類によっ
て保水性が大きく変動してしまう結果を招くことが判っ
た。以上の事より、本発明の材料は、大型印刷機で印刷
されるPS版の湿し水でも印刷可能となったことから、
印刷機の清掃点検をすることなく、容易に他の印刷版と
共用して用いることが可能となった。 実施例3−3〜3−13 実施例3−1において、樹脂〔A−1〕32g及び樹脂
〔B2 −1〕8gの代わりに、下記表−pの各樹脂
〔A〕32g及び樹脂〔B2 〕8gを用いた他は、実施
例3−1と同様に操作して各電子写真感光材料を作製し
た。
【0367】
【表80】
【0368】各感光材料の諸性能を、実施例3−1と同
様にして評価した。いずれも、実施例3−1の感光材料
と同様に環境条件が変動しても、良好な静電特性・撮像
性を示した。又、印刷版としての性能も、モルトン式・
シンフロー式のいずれの印刷機においても、刷り出しか
ら良好な保水性を示し、且つ耐刷性も1万枚を越えるも
のであった。 実施例3−14〜3−25 実施例3−1において、樹脂〔A−1〕、樹脂〔B2
1〕、樹脂〔P−1〕及び架橋用化合物〔無水フタル酸
及びo−クロロフェノール〕の代わりに下記表−qの各
化合物を用いた他は、実施例3−1と同様に操作して、
各感光材料を作製した。なお用いた樹脂〔P−3〕〜
〔P−12〕は実施例1−14〜1−25に記載されて
いる。
【0369】
【表81】
【0370】
【表82】
【0371】各感光材料の諸性能を、実施例3−1と同
様にして評価した。いずれも、実施例3−1の感光材料
と同様に環境条件が変動しても、良好な静電特性・撮像
性を示した。又、印刷版としての性能も、モルトン式・
シンフロー式のいずれの印刷機においても、刷り出しか
ら良好な保水性を示し、且つ耐刷性も1万枚を越えるも
のであった。 実施例3−26 X型無金属フタロシアニン(大日本インキ(株)製)1
g、樹脂〔A−25〕8g、樹脂〔B2 −29〕1.7
g、樹脂〔2P−1〕0.3g及びテトラヒドロフラン
80gの混合物を500mlのガラス容器にガラスビー
ズと共に入れ、ペイントシェーカー(東洋精機製作所
製)で60分間分散し、更にエチレングリコールジグリ
シジルエーテル0.3gを加え、2分間分散した後ガラ
スビーズをろ別して感光層分散液とした。ついでこの分
散液を導電性処理および耐溶剤処理を施した0.2mm
厚の紙版マスター用原紙の上にワイヤーバーで塗布し、
指触乾燥した後、110℃循環式オーブンで、20秒間
乾燥した。更に140℃で1時間加熱した。得られた感
光層の膜厚は8μmであった。静電特性を実施例3−1
と同様にして操作して評価した所、下記の様に、良好な
結果を示した。 静電特性 (20℃,65%RH)(30℃,80%RH) V10(−V) 530 515 D.R.R.(%) 88 84 E1/10(erg/cm2 ) 32 29 撮像性 ○(良好) ○(良好) 但し、上記評価中、D.R.R.,E1/10及び撮像性に
ついては、下記の方法で行なった。 注)D.R.R.及びE1/10:温度20℃、65%RH
の暗室中で、感光材料にペーパーアナライザー(川口電
機(株)製ペーパーアナライザーSP−428型)を用
いて、−6kVで20秒間コロナ放電させた後、10秒
間放置し、この時の表面電位V10を測定した。次いでそ
のまま暗中で90秒間静置させた後の電位V100 を測定
し、90秒間暗減衰させた後の電位の保持性、即ち、暗
減衰保持率〔D.R.R.(%)〕を〔(V100
10)×100(%)〕で求めた。また、コロナ放電に
より光導電層表面を−500Vに帯電させた後、波長7
80nmの単色光で照射し、表面電位(V10)が1/1
0に減衰するまでの時間を求め、これから露光量E1/10
(erg/cm2 )を算出する。これを条件(I)とす
る。又、環境条件(30℃,80%RH)下でも同様の
操作を行なった。これを条件(II)とする。 注) 撮像性:感光材料を(20℃、65%RH)の条
件下で1昼夜放置した後、感光材料を−6kVで帯電
し、光源として2.8mW出力のガリウム−アルミニウ
ム−ヒ素、半導体レーザー(発振波長780nm)を用
いて、感光材料表面上で64erg/cm2 の照射量下
で、ピッチ25μm及びスキャニング速度300m/s
ecのスピード露光後、アイソパーH(エッソスタンダ
ード社)1リットル中にポリメチルメタクリレート粒子
(粒子サイズ0.3μ)5gをトナー粒子として分散
し、荷電調節剤として大豆油レシチン0.01gを添加
して作製した液体現像剤:LD−2を用いて現像し、イ
ソパラフィンアイソパーG(エッソ化学(株)製)溶媒
のリンス液で洗浄後定着することで得られた複写画像
(カブリ、画像の画質)を目視評価した。これを条件
(I)とし、環境条件(30℃,80%RH)下での結
果を条件(II)とした。次に、上記の方法で製版した版
を、実施例3−1と同一の条件で不感脂化処理し、印刷
した。その結果、刷り出し保水性(I)及び(II)のい
ずれも、良好であった。又、耐刷性を調べた所、鮮明な
印刷物が1万枚以上得られた。 実施例3−27 実施例3−26において、樹脂〔A−25〕8g、樹脂
〔2P−1〕0.3g、及びエチレングリコールジグリ
シジルエーテル0.3gの代わりに、樹脂〔A−26〕
10.3gのみを用いた他は、実施例3−26と同様に
操作して感光材料を作製した。但し、膜の架橋は、加熱
(140℃、1時間)する代わりに下記方法で行なっ
た。 硬化方法:出力2Kwの超高圧水銀灯を光源として、感
光材料を光源より50cmの距離に静置し、光照射を
1.5分間行なった。本発明の感光材料の静電特性と印
刷特性を実施例3−26と同様の方法で評価した所、い
ずれも、実施例3−26の感光材料の場合と同様に良好
な結果を示した。 実施例3−28〜3−30 実施例3−1において、樹脂〔A−1〕32g及び樹脂
〔B2 −1〕8gの代わりに、下記表−rの樹脂〔A〕
を各32g及び樹脂〔B2 〕を8g用いた他は、実施例
3−1と同様にして、各感光材料を作製した。
【0372】
【表83】
【0373】各感光材料について、実施例3−1と同様
にして、静電特性及び印刷性を評価した所、いずれも、
実施例3−1の感光材料と同等の良好な結果を示した。 実施例3−31 樹脂〔A−30〕40g(固形分量として)、樹脂〔B
2 −38〕10g(固形分量として)、光導電極酸化亜
鉛200g、実施例2−31のシアニン色素〔I−2〕
0.018g無水フタル酸0.20g及びトルエン30
0gの混合物をホモジナイザー(日本精機(株)製)
中、回転数6×103 r.p.m.で7分間分散し、更
にこれに実施例2−31の架橋用化合物2.5gを加え
て回転数1×103 r.p.m.で1分間分散した。こ
れを導電処理した紙に、乾燥付着量が22g/m2 とな
る様に、ワイヤーバーで塗布し、110℃で10秒間乾
燥し、ついで暗所で50℃、80%RHの条件下で1週
間放置した。次に暗所で20℃、65%RHの条件下で
24時間放置することにより電子写真感光材料を作製し
た。 比較例I−3 実施例3−31において、樹脂〔A−30〕40g及び
樹脂〔B2 −38〕10gの代わりに、樹脂〔A−3
0〕のみ50gを用いた他は、実施例3−31と同様に
して、電子写真感光材料を作製した。各感光材料につい
て、静電特性及び撮像性を実施例3−26と同様の操作
方法で行ない、他の評価項目については、実施例3−1
と同様にして行なった。
【0374】
【表84】
【0375】各感光材料の平滑性は良好であった。本発
明の感光材料の静電特性は、常温・常湿、高温・高湿で
も良好であった。他方、比較例I−3は、常温・常湿下
でも、D.R.R.,E1/10が低下し、高温・高湿では
更に、劣化した。実際の撮像性は、本発明のものは、環
境条件によらず良好な複写画像が得られた。しかし、比
較例I−3では、常温・常湿では、実用可能なものであ
ったが、高温・高湿では、地カブリ発生、及び画像の劣
化(濃度低下、細線・文字の欠落等)が著しく、実用に
供し得るものではなかった。更に、印刷原版として印刷
した所、本発明のものは、印刷機の種類によらず刷り出
しより、良好な印刷物が1万枚得られた。しかし、比較
例I−3は、条件IIの下で得た印刷原版は、刷り出しよ
り印刷物の画像は不良であった。 実施例3−32〜3−43 実施例3−31において、樹脂〔B2 −30〕10gの
代わりに下記表−t樹脂〔B2 〕を各10gに代えた他
は、実施例3−31と同様にして各感光材料を作製し
た。
【0376】
【表85】
【0377】各感光材料を、実施例3−31と同様にし
て各特性を評価した所、いずれも、実施例3−31と同
等の良好な結果を示した。 実施例3−44〜3−55 上記実施例で作成した各感光材料を用い、不感脂化処理
を下記のように操作してオフセット印刷用原版を作成し
た。下記表−uの求核性化合物0.2モル、有機溶媒1
00g及びニューコールB4SN(日本乳化剤(株)
製)2gに蒸留水を加え1リットルとした後、混合物の
pHを13.5に調整した。各感光材料を、該処理液中
に温度35℃で3分間浸せきして、不感脂化処理を行な
った。得られたプレートを実施例3−1と同様の印刷条
件で印刷した。各感光材料とも実施例3−1の場合と同
等の良好な性能を示した。
【0378】
【表86】
【0379】実施例4−1 樹脂〔A−1〕32g、樹脂〔B3 −26〕8g、光導
電性酸化亜鉛200g、ウラニン0.02g、ローズベ
ンガル0.04g、ブロムフェノールブルー0.03
g、サリチル酸0.15g及びトルエン300gの混合
物を、ホモジナイザー(日本精機(株)製)中で、7×
103 r.p.m.の回転数で8分間分散した。これ
に、実施例2−1の樹脂〔2P−1〕5g、無水フタル
酸0.2g、o−クロロフェノール0.02gを加え
て、回転数1×103 r.p.m.で1分間分散した。
この感光層形成用分散物を導電処理した紙に乾燥付着量
が25g/m2 となるようにワイヤーバーで塗布し、1
00℃で30秒間乾燥し、更に140℃で1時間加熱し
た。ついで暗所で20℃、65%RHの条件下で24時
間放置することにより、電子写真感光材料を作製した。 比較例A−4 実施例4−1において、樹脂〔A−1〕32gの代わり
に比較例A−1の樹脂〔R−1〕32gを用いた他は実
施例4−1と同様に操作して電子写真感光材料を作製し
た。 比較例B−4 実施例4−1において、樹脂〔A−1〕32gの代わり
に、比較例B−1の樹脂〔R−2〕32gを用いた他
は、実施例4−1と同様にして電子写真感光材料を作製
した。 比較例C−4 実施例4−1において、樹脂〔A−1〕32gの代わり
に樹脂〔R−1〕23.0g及び樹脂〔R−2〕9.0
g(樹脂〔R−1〕/樹脂〔R−2〕=72/28(重
量比)〕を用いた他は、実施例4−1と同様にして電子
写真感光材料を作製した。 比較例D−4 実施例4−1において、樹脂〔A−1〕32g及び樹脂
〔B3 −26〕8gの代わりに、樹脂〔A−1〕のみ4
0g用いた他は、実施例4−1と同様にして、電子写真
感光材料を作製した。 これらの感光材料について下記表−vに示す各特性を調
べた。
【0380】
【表87】
【0381】表−vに記した評価項目の実施の態様は以
下の通りである。 注1) 光導電層の平滑性:感光材料を、ベック平滑度
試験機(熊谷理工(株)製)を用いて、空気容量1cc
の条件にて、その平滑度(sec/cc)を測定した。 注2) 静電特性:温度20℃、65%RHの暗室中
で、感光材料にペーパーアナライザー(川口電機(株)
製ペーパーアナライザーSP−428型)を用いて−6
kVで20秒間コロナ放電させた後、10秒間放置し、
この時の表面電位V10を測定した。次いでそのまま暗中
で60秒間静置させた後の電位V70を測定し、60秒間
暗減衰させた後の電位の保持性、即ち、暗減衰保持率
〔D.R.R.(%)〕を、 〔(V70/V10)×10
0(%)〕で求めた。又、コロナ放電により光導電層表
面を−400Vに帯電させた後、ついで光導電層表面を
照度2.0ルックスの可視光で照射し、表面電位V10
1/10に減衰するまでの時間を求め、これから露光量
1/10(ルックス・秒)を算出する。又、環境条件を
(30℃、80%RH)として、同様の操作を行なっ
た。環境条件(20℃、65%RH)をI、(30℃、
80%RH)をIIとする。 注3) 撮像性:感光材料及び全自動製版機ELP40
4V(富士写真フィルム(株)製)を1昼夜常温・常湿
(20℃、65%)(I)に放置した後、製版して複写
画像を形成し、得られた画像(カブリ、画像の画質)を
目視で観察した。製版時には下記の液体現像剤LD−4
を用いた。高温・高湿(30℃、80%RH)の条件下
(II)で上記と同様の操作を行ない、その画像を評価し
た。 <液体現像剤LD−4の調製> ・トナー粒子の合成 メチルメタクリレート60g、メチルアクリレート40
g、実施例2−1の分散ポリマー20g及びアイソパー
H680gの混合溶液を窒素気流下に攪拌しながら温度
65℃に加温した。これに、2,2′−アゾビス(イソ
バレロニトリル)(A.I.V.N.)1.2gを加え
2時間反応し、更にA.I.V.N.を0.5g加え
て、2時間反応し、更に又、A.I.V.N.を0.5
g加えて2時間反応した。次に反応温度を90℃に上げ
て、30mmHgの減圧下に1時間攪拌し、未反応単量
体を除去した。室温に冷却後、200メッシュのナイロ
ン布を通して濾過し、白色分散物を得た。得られた分散
物の単量体の反応率は95重量%で樹脂粒子の平均粒径
は0.25μmで且つ単分散性良好なものであった。
(粒径は、CAPA−500:堀場製作所製を使用)。 ・着色粒子の製造 テトラデシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(共重合比;95/5重量比)を10g、ニグロシン1
0g及びアイソパーGの30gをガラスビーズと共にペ
イントシェーカー(東京精機(株)製)に入れ、4時間
分散し、ニグロシンの微小な分散物を得た。 ・液体現像剤の製造 上記トナー粒子の樹脂分散物45g、上記ニグロシン分
散物を25g、ヘキサデセン/半マレイン酸オクタデシ
ルアミド共重合体を0.06g及びFOC−1800の
15gをアイソパーGの1リットルに希釈することによ
り静電写真用液体現像剤を作製した。 注4) 刷り出し保水性:感光材料そのものを(製版し
ない原版:即ち、生版と略称)温度40℃の下記処方の
不感脂化処理液:E−4中に3分間浸漬した。これらの
版を湿し水として下記のF−4を用いて印刷し、刷り出
しから50枚目の印刷物の地汚れの有無を目視で評価し
た。 不感脂化処理液:E−4 モノエタノールアミン 60g ネオソープ(松本油脂(株)製) 8g ベンジルアルコール 100g を蒸留水で希釈し全量を1.0リットルにした後、水酸
化カリウムでpH13.5に調整した。 湿し水:F−4 PS版用湿し水アルキーA〔東洋インキ(株)製〕を蒸
留水を用いて200倍に希釈した水溶液(pH9.5) 刷り出し保水性I :モルトン式印刷機として、リョー
ビ・3200CD型(リョービ(株)製)を用いた。 刷り出し保水性II :シンフロー式印刷機として、リョ
ービ・3200MCD型を用いた。 注5) 耐刷性 感光材料を上記注3)と同一の操作で製版した後、注
4)で用いてE−4の処理液中に3分間浸漬した後、湿
し水として、注4)で用いた湿し水F−4、又印刷用紙
として中性紙を各々用い、印刷機として、菊全サイズ
(1003×800mm)の印刷を行なう大型印刷機で
あるオリバー94型〔(株)桜井製作所〕を用いて、オ
フセット印刷機上の印圧が強く成った場合の地汚れの発
生しない鮮明な画像の得られる印刷物の印刷枚数を調べ
た。
【0382】表−vに示す如く、各感光材料とも、表面
の平滑性は良好であった。静電特性は、常温・常湿の条
件下では、本発明の樹脂〔B3 〕を用いていない比較例
D−4が、やや低下するものの、実用上問題のない範囲
であった。しかし、高温・高湿という過酷な条件下で
は、比較例D−4の静電特性(特に、D.R.R.,E
1/10)の劣化が著しくなってしまった。他方、樹脂〔B
3 〕を用いた他の感材は、いずれもその変化が小さく抑
えられ実用に供し得る範囲を維持した。次に実際の撮像
性を調べた所、比較例D−4は、高温・高湿下で、非画
像部に地カブリが見られ、且つ画質も劣化(濃度の低
下、細線・文字の欠落等)を生じてしまった。しかし、
他の感材は、良好な複写画像が得られた。刷り出し保水
性については、本発明の原版及び比較例D−4は印刷機
に拘わらずインキ付着が全く認められず極めて良好な保
水性を示した。他方、カルボキシル基を生成する版であ
る比較例A−4は、湿し水とインキの供給方式の違いに
よって、刷り出しでの印刷物の地汚れの発生に大きな差
を生じた。即ち、印刷開始時に、湿し水の供給がモルト
ン方式に比較し、不充分なシンフロー方式では、印刷物
の非画像部にインキ付着が生じ地汚れとなってしまっ
た。この事は、比較例A−4の原版では、親水化された
光導電層の表面は、充分に水との濡れ性は良好になって
いるが、該光導電層全体が保持する水量(特に膜の保水
量)が不充分なため湿し水の供給量のバランスが崩れる
と印刷開始時に、版の表面に形成される極薄層の水層
(ウィーンリーバシダリー層:W.B.L.)保持がで
きないためと推定される。又、スルホ基を生成する版で
ある比較例B−4は、シンフロー方式の場合でも、比較
例A−4に比らべインキ付着性は改良された。しかし、
膜の保水量がこの場合大きくなるため、逆にモルトン式
においてW.B.L.の形成が不充分な状態になってし
まうものと推定される。更に、比較例A−4及びB−4
で用いた両者の樹脂をブレンドして用いた比較例C−4
は、両者の欠点をおぎなうことはできず、結果として、
比較例A−4と同様な結果となった。次に、大型印刷機
を用いて、耐刷性を調べた所、本発明のものは、1万枚
印刷しても、印刷物の画質は鮮明であった。又、生版の
刷り出し保水性が良好であった比較例D−4は、実際に
製版した原版では、印刷物の画像は刷り出しから不良と
なった。他方、比較例A−4,B−4及びC−4は、2
000枚あるいは4000枚程度となった。比較例A−
4の耐刷性が低下してしまった原因は、多数枚刷り込ん
でゆくと、膜の保水量が起因して、膜最表面部のW.
B.L.あるいは保水量が充分な状態でなくなってしま
ったことによるものと考えられる。又、比較例B−4及
びC−4の場合には、スルホ基含有の架橋構造を有する
樹脂の保水量が多きいことで膜の強度が不足して膜の破
壊による耐刷性の劣化によるものと推定された。これら
の事より、撮像時の環境条件の変動及び印刷時の条件変
動に対しても、良好な印刷物を多数枚印刷することがで
きるのは、本発明の材料のみであった。
【0383】実施例4−2 樹脂〔A−2〕35g、樹脂〔B3 −1〕10g、実施
例1−2の樹脂〔P−2〕4g、光導電性酸化亜鉛20
0g、ウラニン0.02g、実施例1−2の色素〔I〕
0.015g、実施例1−2の色素〔II〕0.012
g、N−ヒドロキシフタル酸イミド0.18g及びトル
エン300gの混合物を、ホモジナイザー(日本精機
(株)製)中で、7×103 r.p.m.の回転数で8
分間分散した。これに無水フタル酸0.1g、アセチル
アセトンジルコニウム塩0.002gを加えて、回転数
1×103 r.p.m.で1分間分散した。この感光層
形成用分散物を導電処理した紙に乾燥付着量が25g/
2 となるようにワイヤーバーで塗布し、100℃で3
0秒間乾燥し、更に140℃で1時間加熱した。ついで
暗所で20℃、65%RHの条件下で24時間放置する
ことにより、電子写真感光材料を作製した。 比較例E−4 実施例4−2において、樹脂〔A−2〕35gの代わり
に比較例E−2の樹脂〔2R−3〕35gを用いた他は
実施例と同様に操作して電子写真感光材料を作製した。 比較例F−4 実施例4−2において、樹脂〔A−2〕35gの代わり
に、比較例F−2の樹脂〔2R−3〕35gを用いた他
は、実施例4−2と同様にして電子写真感光材料を作製
した。 比較例G−4 実施例4−2において、樹脂〔A−2〕35gの代わり
に、樹脂〔2R−3〕20.6g及び樹脂〔2R−4〕
14.4g(樹脂〔2R−3〕/樹脂〔2R−4〕=5
8.8/41.2(重量比)〕を用いた他は、実施例4
−2と同様に操作して電子写真感光材料を作製した。 比較例H−4 実施例4−2において、樹脂〔A−2〕35g及び樹脂
〔B3 −1〕10gの代わりに、樹脂〔A−2〕のみ4
5gを用いた他は、実施例4−2と同様に操作して電子
写真感光材料を作製した。 各感光材料の平滑性、静電特性、撮像性及び刷り出し保
水性を実施例4−1と同様の方法で調べた。更に、印刷
時に用いる湿し水のpHを変えた湿し水(即ち、pH
4.5、pH7.0、pH9.5)を用いて、印刷物へ
の影響の度合を調べた。以上の結果を表−wに記載し
た。
【0384】
【表88】
【0385】注6) 湿し水依存性 前記注5)と同様にして印刷を行なった。但し、印刷に
用いる湿し水として下記の3種を用いて行なった。 I :PS版用湿し水EU−3(富士写真フィルム
(株)製)を蒸留水を用いて100倍に希釈した水溶液
(pH4.5) II :PS版用湿し水SG−23(東京インキ(株)
製)を蒸留水を用いて130倍に希釈した水溶液(pH
7.0) III :PS版用湿し水アルキーA(東洋インキ(株)
製)を蒸留水を用いて200倍に希釈した水溶液(pH
9.5) 各感光材料とも、光導電層の平滑性は良好であった。実
施例4−2及び比較例E−4〜G−4は、環境条件に拘
わらず、良好な静電特性を示し、実際の撮像性も良好で
あった。しかし、本発明の樹脂〔B3 〕を用いない比較
例H−4は、高温・高湿の過酷条件下で、静電特性が低
下し、且つ実際の撮像性においても、地カブリの発生及
び画像部の劣化(濃度低下、細線・文字の欠落等)を生
じた。
【0386】次に、刷り出し保水性については、本発明
のものは、良好であったが、比較例E−4〜G−4はシ
ンフロー式の印刷機での保水性が低下した。なお、比較
例F−4の場合、シンフロー方式で、良好な保水性に到
達しない理由は、樹脂〔2R−4〕において不感脂化処
理で発現した−PO3 2 基は、膜の保水量は充分であ
るが、該親水基が高分子主鎖から疎水性である連結基を
介して結合しているために、膜の表面上の水との濡れ性
が印刷時に不充分なものとして表われるものと推定され
る。更に、耐刷性の評価を湿し水の種類を変えて行なっ
た結果、本発明のものは、湿し水の種類によらずいずれ
も、良好な印刷物が1万枚得られた。他方、比較例E−
4〜G−4のものは、湿し水(III)の場合のみ良好で、
他の湿し水では、程度の差こそあれ刷り出しよりインキ
付着の地汚れが発生し、更に刷り込んでも良化すること
はなかった。比較例H−4は、製版時の画質不良及び地
カブリのために、印刷原版としての性能が悪く、刷り出
しから、満足な画質の印刷物を得ることができなかっ
た。これらは、湿し水のpHの影響が大きく、親水化さ
れた親水基の解離定数と関係していると考えられる。つ
まり、比較例D−4でその影響が支配的であることか
ら、樹脂〔2R−3〕の−COOH基は高pH下では、
−COO- 基に解離した状態で存在し水との親和性が著
しく向上しているが、低pHになると解離した基の存在
量が低下してしまい、水との親和性が小さくなるためと
考えられる。即ち、生成する親水性基の解離定数(pK
a)の小さいものを併用しないと、湿し水の種類によっ
て保水性が大きく変動してしまう結果を招くことが判っ
た。
【0387】以上の事より、本発明の材料は、大型印刷
機で印刷されるPS版の湿し水でも印刷可能となったこ
とから、印刷機の清掃点検をすることなく、容易に他の
印刷版と共用して用いることが可能となった。 実施例4−3〜4−13 実施例4−1において、樹脂〔A−1〕32g及び樹脂
〔B3 −26〕8gの代わりに、下記表−xの各樹脂
〔A〕32g及び樹脂〔B3 〕8gを用いた他は、実施
例4−1と同様に操作して各電子写真感光材料を作製し
た。
【0388】
【表89】
【0389】各感光材料の諸性能を、実施例4−1と同
様にして評価した。いずれも、実施例4−1の感光材料
と同様に環境条件が変動しても、良好な静電特性・撮像
性を示した。又、印刷版としての性能も、モルトン式・
シンフロー式のいずれの印刷機においても、刷り出しか
ら良好な保水性を示し、且つ耐刷性も1万枚を越えるも
のであった。 実施例4−14〜4−25 実施例4−1において、樹脂〔A−1〕、樹脂〔B3
1〕、樹脂〔2P−1〕及び架橋用化合物〔無水フタル
酸及びo−クロロフェノール〕の代わりに下記表−yの
各化合物を用いた他は、実施例4−1と同様に操作し
て、各感光材料を作製した。なお用いた樹脂〔P−1〕
〜〔P−12〕は実施例1−14〜1−25に記載され
ている。
【0390】
【表90】
【0391】
【表91】
【0392】各感光材料の諸性能を、実施例4−1と同
様にして評価した。いずれも、実施例4−1の感光材料
と同様に環境条件が変動しても、良好な静電特性・撮像
性を示した。又、印刷版としての性能も、モルトン式・
シンフロー式のいずれの印刷機においても、刷り出しか
ら良好な保水性を示し、且つ耐刷性も1万枚を越えるも
のであった。 実施例4−26 X型無金属フタロシアニン(大日本インキ(株)製)1
g、樹脂〔A−25〕8g、樹脂〔B3 −17〕2g、
樹脂〔2P−1〕0.3g及びテトラヒドロフラン80
g混合物を500mlのガラス容器にガラスビーズと共
に入れ、ペイントシェーカー(東洋精機製作所製)で6
0分間分散し、更にエチレングリコールジグリシジルエ
ーテル0.3gを加え、2分間分散した後ガラスビーズ
をろ別して感光層分散液とした。ついでこの分散液を導
電性処理および耐溶剤処理を施した0.2mm厚の紙版
マスター用原紙の上にワイヤーバーで塗布し、指触乾燥
した後、110℃循環式オーブンで、20秒間乾燥し
た。更に140℃で1時間加熱した。得られた感光層の
膜厚は8μmであった。静電特性を実施例4−1と同様
にして操作して評価した所、下記表−zの様に、良好な
結果を示した。
【0393】
【表92】
【0394】但し、上記評価中、D.R.R.,E1/10
及び撮像性については、下記の方法で行なった。 注)D.R.R.及びE1/10:温度20℃、65%RH
の暗室中で、感光材料にペーパーアナライザー(川口電
機(株)製ペーパーアナライザーSP−428型)を用
いて、−6kVで20秒間コロナ放電させた後、10秒
間放置し、この時の表面電位V10を測定した。次いでそ
のまま暗中で90秒間静置させた後の電位V100 を測定
し、90秒間暗減衰させた後の電位の保持性、即ち、暗
減衰保持率〔D.R.R.(%)〕を〔(V100
10)×100(%)〕で求めた。また、コロナ放電に
より光導電層表面を−500Vに帯電させた後、波長7
80nmの単色光で照射し、表面電位(V10)が1/1
0に減衰するまでの時間を求め、これから露光量E1/10
(erg/cm2 )を算出する。これを条件(I)とす
る。又、環境条件(30℃、80%RH)下でも同様の
操作を行なった。これを条件(II)とする。 注) 撮像性:感光材料を(20℃、65%RH)の条
件下で1昼夜放置した後、感光材料を−6kVで帯電
し、光源として2.8mW出力のガリウム−アルミニウ
ム−ヒ素、半導体レーザー(発振波長780nm)を用
いて、感光材料表面上で64erg/cm2 の照射量下
で、ピッチ25μm及びスキャニング速度300m/s
ecのスピード露光後、アイソパーH(エッソスタンダ
ード社)1リットル中にポリメチルメタクリレート粒子
(粒子サイズ0.3μ)5gをトナー粒子として分散
し、荷電調節剤として大豆油レシチン0.01gを添加
して作製した液体現像剤:LD−2を用いて現像し、イ
ソパラフィンアイソパーG(エッソ化学(株)製)溶媒
のリンス液で洗浄後定着することで得られた複写画像
(カブリ、画像の画質)を目視評価した。これを条件
(I)とし、環境条件(30℃、80%RH)下での結
果を条件(II)とした。次に、上記の方法で製版した版
を、実施例4−1と同一の条件で不感脂化処理し、印刷
した。その結果、刷り出し保水性(I)及び(II)のい
ずれも、良好であった。又、耐刷性を調べた所、鮮明な
印刷物が1万枚以上得られた。 実施例4−27 実施例4−26において、樹脂〔A−25〕8g、樹脂
〔2P−1〕0.3g、及びエチレングリコールジグリ
シジルエーテル0.3gの代わりに、樹脂〔A−26〕
10.3gのみを用いた他は、実施例4−26と同様に
操作して感光材料を作製した。但し、膜の架橋は、加熱
(140℃、1時間)する代わりに下記方法で行なっ
た。 硬化方法:出力2Kwの超高圧水銀灯を光源として、感
光材料を光源より50cmの距離に静置し、光照射を
1.5分間行なった。本発明の感光材料の静電特性と印
刷特性を実施例26と同様の方法で評価した所、いずれ
も、実施例26の感光材料の場合と同様に良好な結果を
示した。 実施例4−28〜4−30 実施例4−1において、樹脂〔A−1〕32g、及び樹
脂〔B3 −26〕8gの代わりに、下記表−A1 の樹脂
〔A〕を各32g、及び樹脂〔B3 〕を8g用いた他
は、実施例4−1と同様にして、各感光材料を作製し
た。
【0395】
【表93】
【0396】各感光材料について、実施例4−1と同様
にして、静電特性及び印刷性を評価した所、いずれも、
実施例4−1の感光材料と同等の良好な結果を示した。 実施例4−31 樹脂〔A−30〕40g(固形分量として)、樹脂〔B
3 −30〕10g(固形分量として)、光導電性酸化亜
鉛200g、実施例2−31のシアニン色素〔I−2〕
0.018g無水フタル酸0.20g及びトルエン30
0gの混合物をホモジナイザー(日本精機(株)製)
中、回転数6×103 r.p.m.で10分間分散し、
更にこれに実施例2−31の架橋用化合物2.5gを加
えて回転数1×103 r.p.m.で1分間分散した。
これを導電処理した紙に、乾燥付着量が22g/m2
なる様に、ワイヤーバーで塗布し、110℃で10秒間
乾燥し、ついで暗所で50℃、80%RHの条件下で1
週間放置した。次に暗所で20℃,65%RHの条件下
で24時間放置することにより電子写真感光材料を作製
した。 比較例I−4 実施例4−31において、樹脂〔A−30〕40g及び
樹脂〔B3 −30〕10gの代わりに、樹脂〔A−3
0〕のみ50gを用いた他は、実施例4−31と同様に
して、電子写真感光材料を作製した。各感光材料につい
て、静電特性及び撮像性を実施例4−26と同様の操作
方法で行ない、他の評価項目については、実施例4−1
と同様にして行なった。
【0397】
【表94】
【0398】各感光材料の平滑性は良好であった。本発
明の感光材料の静電特性は、常温・常湿、高温・高湿で
も良好であった。他方、比較例I−4は、常温・常湿下
でも、D.R.R.,E1/10が低下し、高温・高湿で
は、更に劣化した。実際の撮像性は、本発明のものは、
環境条件によらず良好な複写画像が得られた。しかし、
比較例I−4では、常温・常湿では、実用可能なもので
あったが、高温・高湿では、地カブリ発生、及び画像の
劣化(濃度低下、細線・文字の欠落等)が著しく、実用
に供し得るものではなかった。更に、印刷原版として印
刷した所、本発明のものは、印刷機の種類によらず刷り
出しより、良好な印刷物が1万枚得られた。
【0399】しかし、比較例I−4は、条件IIの下で得
た印刷原版は、刷り出しより印刷物の画像は不良であっ
た。 実施例4−32〜4−43 実施例4−31において、樹脂〔B3 −30〕10gの
代わりに下記表−C1の樹脂〔B〕を各10gに代えた
他は、実施例4−31と同様にして各感光材料を作製し
た。
【0400】
【表95】
【0401】各感光材料を実施例4−31と同様にして
各特性を評価した所、いずれも実施例4−31と同等の
良好な結果を示した。 実施例4−44〜4−45 上記実施例で作成した各感光材料を用い、不感脂化処理
を下記のように操作してオフセット印刷用原版を作成し
た。下記表−D1 の求核性化合物0.2モル、有機溶媒
100g及びニューコールB4SN〔日本乳化剤(株)
製〕2gに蒸留水を加え1リットルとした後、混合物の
pHを13.5に調整した。各感光材料を、該処理液中
に温度35℃で3分間浸せきして、不感脂化処理を行な
った。得られたプレートを実施例4−1と同様の印刷条
件で印刷した。各感光材料とも実施例4−1の場合と同
等の良好な性能を示した。
【0402】
【表96】
【0403】実施例5−1 樹脂〔A−1〕32g、樹脂〔B4 −2〕8g、光導電
性酸化亜鉛200g、ウラニン0.02g、ローズベン
ガル0.04g、ブロムフェノールブルー0.03g、
サリチル酸0.15g及びトルエン300gの混合物
を、ホモジナイザー(日本精機(株)製)中で、7×1
3 r.p.m.の回転数で5分間分散した。これに、
実施例2−1の樹脂〔2P−1〕5g、無水フタル酸
0.2g、o−クロロフェノール0.02gを加えて、
回転数1×103 r.p.m.で1分間分散した。この
感光層形成用分散物を導電処理した紙に乾燥付着量が2
5g/m2 となるようにワイヤーバーで塗布し、100
℃で30秒間乾燥し、更に140℃で1時間加熱した。
ついで暗所で20℃、65%RHの条件下で24時間放
置することにより、電子写真感光材料を作製した。 比較例A−5 実施例5−1において、樹脂〔A−1〕32gの代わり
に比較例A−1の樹脂〔R−1〕32gを用いた他は実
施例1と同様に操作して電子写真感光材料を作製した。 比較例B−5 実施例5−1において、樹脂〔A−1〕32gの代わり
に、下記構造の樹脂〔5R−2〕32gを用いた他は、
実施例5−1と同様にして電子写真感光材料を作製し
た。
【0404】
【化117】
【0405】比較例C−5 実施例5−1において、樹脂〔A−1〕32gの代わり
に樹脂〔R−1〕23.0g及び樹脂〔5R−2〕9.
0g(樹脂〔R−1〕/樹脂〔5R−2〕=72/28
(重量比)〕を用いた他は、実施例5−1と同様にして
電子写真感光材料を作製した。 比較例D−5 実施例5−1において、樹脂〔A−1〕32g及び樹脂
〔B4 −2〕8gの代わりに、樹脂〔A−1〕のみ40
g用いた他は、実施例5−1と同様にして、電子写真感
光材料を作製した。 これらの感光材料について下記表−E1 に示す各特性を
調べた。
【0406】
【表97】
【0407】表−E1 に記した評価項目の実施の態様は
以下の通りである。 注1) 光導電層の平滑性:感光材料を、ベック平滑度
試験機(熊谷理工(株)製)を用いて、空気容量1cc
の条件にて、その平滑度(sec/cc)を測定した。 注2) 静電特性:温度20℃、65%RHの暗室中
で、各感光材料にペーパーアナライザー(川口電機
(株)製ペーパーアナライザーSP−428型)を用い
て−6kVで20秒間コロナ放電させた後、10秒間放
置し、この時の表面電位V10を測定した。次いでそのま
ま暗中で60秒間静置させた後の電位V70を測定し、6
0秒間暗減衰させた後の電位の保持性、即ち、暗減衰保
持率〔D.R.R.(%)〕を、〔(V70/V10)×1
00(%)〕で求めた。又、コロナ放電により光導電層
表面を−400Vに帯電させた後、ついで光導電層表面
を照度2.0ルックスの可視光で照射し、表面電位V10
が1/10に減衰するまでの時間を求め、これから露光
量E1/10(ルックス・秒)を算出する。
【0408】又、環境条件を(30℃、80%RH)と
して、同様の操作を行なった。環境条件(20℃、65
%RH)をI、(30℃、80%RH)をIIとする。 注3) 撮像性:感光材料及び全自動製版機ELP40
4V(富士写真フィルム(株)製)を1昼夜常温・常湿
(20℃、65%)(I)に放置した後、製版して複写
画像を形成し、得られた画像(カブリ、画像の画質)を
目視で観察した。製版時には下記の液体現像剤LD−5
を用いた。高温・高湿(30℃、80%RH)の条件下
(II)で上記と同様の操作を行ない、その画像を評価し
た。 <液体現像剤LD−5の調製> ・トナー粒子の合成 メチルメタクリレート60g、メチルアクリレート40
g、実施例2−1の分散ポリマー20g及びアイソパー
H680gの混合溶液を窒素気流下に攪拌しながら温度
65℃に加温した。これに、2,2′−アゾビス(イソ
バレロニトリル)(A.I.V.N)1.2gを加え2
時間反応し、更にA.I.V.N.を0.5g加えて、
2時間反応し、更に又、A.I.V.N.を0.5g加
えて2時間反応した。
【0409】次に反応温度を90℃に上げて、30mm
Hgの減圧下に1時間攪拌し、未反応単量体を除去し
た。室温に冷却後、200メッシュのナイロン布を通し
て濾過し、白色分散物を得た。得られた分散物の単量体
の反応率は95重量%で樹脂粒子の平均粒径は0.25
μmで且つ単分散性良好なものであった。(粒径は、C
APA−500:堀場製作所製を使用)。 ・着色粒子の製造 テトラデシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(共重合比;95/5重量比)を10g、ニグロシン1
0g及びアイソパーGの30gをガラスビーズと共にペ
イントシェーカー(東京精機(株)製)に入れ、4時間
分散し、ニグロシンの微小な分散物を得た。 ・液体現像剤の製造 上記トナー粒子の樹脂分散物45g、上記ニグロシン分
散物を25g、ヘキサデセン/半マレイン酸オクタデシ
ルアミド共重合体を0.06g及びFOC−1800の
15gをアイソパーGの1リットルに希釈することによ
り静電写真用液体現像剤を作製した。 注4) 刷り出し保水性:感光材料そのものを(製版し
ない原版:即ち、生版と略称)温度40℃の下記処方の
不感脂化処理液:E−5中に3分間浸漬した。これらの
版を湿し水として下記のF−5を用いて印刷し、刷り出
しから50枚目の印刷物の地汚れの有無を目視で評価し
た。 不感脂化処理液:E−5 モノエタノールアミン 60g ネオソープ(松本油脂(株)製) 8g ベンジルアルコール 100g を蒸留水で希釈し全量を1.0リットルにした後、水酸
化カリウムでpH13.5に調整した。
【0410】湿し水:F−5 PS版用湿し水アルキーA〔東洋インキ(株)製〕を蒸
留水を用いて200倍に希釈した水溶液(pH9.5) 刷り出し保水性I :モルトン式印刷機として、リョー
ビ・3200CD型(リョービ(株)製)を用いた。 刷り出し保水性II :シンフロー式印刷機として、リョ
ービ・3200MCD型を用いた。 注5) 耐刷性 感光材料を上記注3)と同一の操作で製版した後、注
4)で用いてE−5の処理液中に3分間浸漬した後、湿
し水として、注4)で用いた湿し水F−5、又印刷用紙
として中性紙を各々用い、印刷機として、菊全サイズ
(1003×800mm)の印刷を行なう大型印刷機で
あるオリバー94型〔(株)桜井製作所〕を用いて、オ
フセット印刷機上の印圧が強くなった場合の地汚れの発
生しない鮮明な画像の得られる印刷物の印刷枚数を調べ
た。表−E1 に示す如く、各感光材料とも、表面の平滑
性は良好であった。静電特性は、常温・常湿の条件下で
は、本発明の樹脂〔B4 〕を用いていない比較例D−5
が、やや低下するものの、実用上、問題のない範囲であ
った。しかし、高温・高湿という過酷な条件下では、比
較例D−5の静電特性(特に、D.R.R.,E1/10
の劣化が著しくなってしまった。他方、樹脂〔B4 〕を
用いた他の感材は、いずれもその変化が小さく抑えられ
実用に供し得る範囲を維持した。次に実際の撮像性を調
べた所、比較例D−5は、高温・高湿下で、非画像部に
地カブリが見られ、且つ画質も劣化(濃度の低下、細線
・文字の欠落等)を生じてしまった。しかし、他の感材
は、良好な複写画像が得られた。
【0411】刷り出し保水性については、本発明の原版
及び比較例D−5は印刷機に拘わらずインキ付着が全く
認められず極めて良好な保水性を示した。他方、カルボ
キシル基を生成する版である比較例A−5は、湿し水と
インキの供給方式の違いによって、刷り出しでの印刷物
の地汚れの発生に大きな差を生じた。即ち、印刷開始時
に、湿し水の供給がモルトン方式に比較し、不充分なシ
ンフロー方式では、印刷物の非画像部にインキ付着が生
じ地汚れとなってしまった。この事は、比較例A−5の
原版では、親水化された光導電層の表面は、充分に水と
の濡れ性は良好になっているが、該光導電層全体が保持
する水量(特に膜の保水量)が不充分なため湿し水の供
給量のバランスが崩れると印刷開始時に、版の表面に形
成される極薄層の水層(ウィーンリーバシダリー層:
W.B.L.)保持ができないためと推定される。又、
スルホ基を生成する版である比較例B−5は、シンフロ
ー方式の場合でも、比較例A−5に比らべインキ付着性
は改良された。しかし、膜の保水量がこの場合大きくな
るため、逆にモルトン式においてW.B.L.の形成が
不充分な状態になってしまうものと推定される。更に、
比較例A−5及びB−5で用いた両者の樹脂をブレンド
して用いた比較例C−5は、両者の欠点をおぎなうこと
はできず、結果として、比較例A−5と同様な結果とな
った。
【0412】次に、大型印刷機を用いて、耐刷性を調べ
た所、本発明のものは、1万枚印刷しても、印刷物の画
質は鮮明であった。又、生版の刷り出し保水性が良好で
あった比較例D−5は、実際に製版した原版では、印刷
物の画像は刷り出しから不良となった。他方、比較例A
−5,B−5及びC−5は、2000枚あるいは400
0枚程度となった。比較例A−5の耐刷性が低下してし
まった原因は、多数枚刷り込んでゆくと、膜の保水量が
起因して、膜最表面部のW.B.L.あるいは保水量が
充分な状態でなくなってしまったことによるものと考え
られる。又、比較例B−5及びC−5の場合には、スル
ホ基含有の架橋構造を有する樹脂の保水量が多きいこと
で膜の強度が不足して膜の破壊による耐刷性の劣化によ
るものと推定された。
【0413】これらの事より、撮像時の環境条件の変動
及び印刷時の条件変動に対しても、良好な印刷物を多数
枚印刷することができるのは、本発明の材料のみであっ
た。
【0414】実施例5−2 樹脂〔A−2〕35g、樹脂〔B4 −1〕10g、実施
例1−2の樹脂〔P−2〕4g、光導電性酸化亜鉛20
0g、ウラニン0.02g、実施例1−2の色素〔I〕
0.015g、実施例1−2の色素〔II〕0.012
g、N−ヒドロキシフタル酸イミド0.18g及びトル
エン300gの混合物を、ホモジナイザー(日本精機
(株)製)中で、7×103 r.p.m.の回転数で5
分間分散した。これに無水フタル酸0.1g、アセチル
アセトンジルコニウム塩0.002gを加えて、回転数
1×103 r.p.m.で1分間分散した。この感光層
形成用分散物を導電処理した紙に乾燥付着量が25g/
2 となるようにワイヤーバーで塗布し、100℃で3
0秒間乾燥し、更に140℃で1時間加熱した。ついで
暗所で20℃、65%RHの条件下で24時間放置する
ことにより、電子写真感光材料を作製した。 比較例E−5 実施例5−2において、樹脂〔A−2〕35gの代わり
に比較例E−2の樹脂〔2R−3〕35gを用いた他は
実施例5−2と同様に操作して電子写真感光材料を作製
した。 比較例F−5 実施例5−2において、樹脂〔A−2〕35gの代わり
に、比較例F−2の樹脂〔2R−4〕35gを用いた他
は、実施例5−2と同様にして電子写真感光材料を作製
した。 比較例G−5 実施例5−2において、樹脂〔A−2〕35gの代わり
に、樹脂〔2R−3〕20.6g及び樹脂〔2R−4〕
14.4g(樹脂〔2R−3〕/樹脂〔2R−4〕=5
8.8/41.2(重量比)〕を用いた他は、実施例5
−2と同様に操作して電子写真感光材料を作製した。 比較例H−5 実施例5−2において、樹脂〔A−2〕35g及び樹脂
〔B4 −1〕10gの代わりに、樹脂〔A−2〕のみ4
5gを用いた他は、実施例5−2と同様に操作して電子
写真感光材料を作製した。
【0415】各感光材料の平滑性、静電特性、撮像性及
び刷り出し保水性を実施例5−1と同様の方法で調べ
た。更に、印刷時に用いる湿し水のpHを変えた湿し水
(即ち、pH4.5、pH7.0、pH9.5)を用い
て、印刷物への影響の度合を調べた。以上の結果を表−
1 に記載した。
【0416】
【表98】
【0417】注6) 湿し水依存性 前記注5)と同様にして印刷を行なった。但し、印刷に
用いる湿し水として下記の3種を用いて行なった。 I :PS版用湿し水EU−3(富士写真フィルム
(株)製)を蒸留水を用いて100倍に希釈した水溶液
(pH4.5) II :PS版用湿し水SG−23(東京インキ(株)
製)を蒸留水を用いて130倍に希釈した水溶液(pH
7.0) III :PS版用湿し水アルキーA(東洋インキ(株)
製)を蒸留水を用いて200倍に希釈した水溶液(pH
9.5) 各感光材料とも、光導電層の平滑性は良好であった。実
施例5−2及び比較例E−5〜G−5は、環境条件に拘
わらず、良好な静電特性を示し、実際の撮像性も良好で
あった。しかし、本発明の樹脂〔B4 〕を用いない比較
例H−5は、高温・高湿の過酷条件下で、静電特性が低
下し、且つ実際の撮像性においても、地カブリの発生及
び画像部の劣化(濃度低下、細線・文字の欠落等)を生
じた。
【0418】次に、刷り出し保水性を調べた所、本発明
のものは、良好であったが、比較例E−5〜G−5はシ
ンフロー式の印刷機での保水性が低下した。なお、比較
例F−5の場合、シンフロー方式で、良好な保水性に到
達しない理由は、樹脂〔2R−4〕において、不感脂化
処理で発現した−PO3 2 基は、膜の保水量は充分で
あるが、該親水基が高分子主鎖から疎水性である連結基
を介して結合しているために、膜の表面上の水との濡れ
性が印刷時に不充分なものとして表われるものと推定さ
れる。更に、耐刷性の評価を湿し水の種類を変えて行な
った結果、本発明のものは、湿し水の種類によらずいず
れも、良好な印刷物が1万枚得られた。他方、比較例E
−5〜G−5のものは、湿し水(III)の場合のみ良好
で、他の湿し水では、程度の差こそあれ刷り出しよりイ
ンキ付着の地汚れが発生し、更に刷り込んでも良化する
ことはなかった。
【0419】比較例H−5は、製版時の画質不良及び地
カブリのために、印刷原版としての性能が悪く、刷り出
しから、満足な画質の印刷物を得ることができなかっ
た。これらは、湿し水のpHの影響が大きく、親水化さ
れた親水基の解離定数と関係していると考えられる。つ
まり、比較例D−5でその影響が支配的であることか
ら、樹脂〔2R−3〕の−COOH基は高pH下では、
−COO- 基に解離した状態で存在し水との親和性が著
しく向上しているが、低pHになると解離した基の存在
量が低下してしまい水との親和性が小さくなるためと考
えられる。即ち、生成する親水性基の解離定数(pK
a)の小さいものを併用しないと、湿し水の種類によっ
て保水性が大きく変動してしまう結果を招くことが判っ
た。以上の事より、本発明の材料は、大型印刷機で印刷
されるPS版の湿し水でも印刷可能となったことから、
印刷機の清掃点検をすることなく、容易に他の印刷版と
共用して用いることが可能となった。 実施例5−3〜5−13 実施例5−1において、樹脂〔A−1〕32g及び樹脂
〔B4 −2〕8gの代わりに、下記表−G1 の各樹脂
〔A〕32g及び樹脂〔B4 〕8gを用いた他は、実施
例5−1と同様に操作して各電子写真感光材料を作製し
た。
【0420】
【表99】
【0421】各感光材料の諸性能を、実施例5−1と同
様にして評価した。いずれも、実施例5−1の感光材料
と同様に環境条件が変動しても、良好な静電特性・撮像
性を示した。又、印刷版としての性能も、モルトン式・
シンフロー式のいずれの印刷機においても、刷り出しか
ら良好な保水性を示し、且つ耐刷性も1万枚を越えるも
のであった。 実施例5−14〜5−25 実施例5−1において、樹脂〔A−1〕、樹脂〔B4
1〕、樹脂〔2P−1〕及び架橋用化合物〔無水フタル
酸及びo−クロロフェノール〕の代わりに下記表−H1
の各化合物を用いた他は、実施例5−1と同様に操作し
て、各感光材料を作製した。なお用いた樹脂〔P−1〕
〜〔P−12〕は実施例1−14〜1−25に記載され
ている。
【0422】
【表100】
【0423】
【表101】
【0424】各感光材料の諸性能を、実施例5−1と同
様にして評価した。いずれも、実施例5−1の感光材料
と同様に環境条件が変動しても、良好な静電特性・撮像
性を示した。又、印刷版としての性能も、モルトン式・
シンフロー式のいずれの印刷機においても、刷り出しか
ら良好な保水性を示し、且つ耐刷性も1万枚を越えるも
のであった。 実施例5−26 X型無金属フタロシアニン(大日本インキ(株)製)1
g、樹脂〔A−25〕8g、樹脂〔B4 −16〕2g、
樹脂〔2P−1〕0.3g及びテトラヒドロフラン80
g混合物を500mlのガラス容器にガラスビーズと共
に入れ、ペイントシェーカー(東洋精機製作所製)で6
0分間分散し、更にエチレングリコールジグリシジルエ
ーテル0.3gを加え、2分間分散した後ガラスビーズ
をろ別して感光層分散液とした。
【0425】ついでこの分散液を導電性処理および耐溶
剤処理を施した0.2mm厚の紙版マスター用原紙の上
にワイヤーバーで塗布し、指触乾燥した後、110℃循
環式オーブンで、20秒間乾燥した。更に140℃で1
時間加熱した。得られた感光層の膜厚は8μmであっ
た。静電特性を実施例5−1と同様にして操作して評価
した所、下記の様に、良好な結果を示した。
【0426】
【表102】
【0427】但し、上記評価中、D.R.R.,E1/10
及び撮像性については、下記の方法で行なった。 注)D.R.R.及びE1/10:温度20℃、65%RH
の暗室中で、感光材料にペーパーアナライザー(川口電
機(株)製ペーパーアナライザーSP−428型)を用
いて、−6kVで20秒間コロナ放電させた後、10秒
間放置し、この時の表面電位V10を測定した。次いでそ
のまま暗中で90秒間静置させた後の電位V100 を測定
し、90秒間暗減衰させた後の電位の保持性、即ち、暗
減衰保持率〔D.R.R.(%)〕を〔(V100
10)×100(%)〕で求めた。
【0428】また、コロナ放電により光導電層表面を−
500Vに帯電させた後、波長780nmの単色光で照
射し、表面電位(V10)が1/10に減衰するまでの時
間を求め、これから露光量E1/10(erg/cm2 )を
算出する。これを条件(I)とする。又、環境条件(3
0℃、80%RH)下でも同様の操作を行なった。これ
を条件(II)とする。 注) 撮像性:感光材料を(20℃、65%RH)の条
件下で1昼夜放置した後、感光材料を−6kVで帯電
し、光源として2.8mW出力のガリウム−アルミニウ
ム−ヒ素、半導体レーザー(発振波長780nm)を用
いて、感光材料表面上で64erg/cm2 の照射量下
で、ピッチ25μm及びスキャニング速度300m/s
ecのスピード露光後、アイソパーH(エッソスタンダ
ード社)1リットル中にポリメチルメタクリレート粒子
(粒子サイズ0.3μ)5gをトナー粒子として分散
し、荷電調節剤として大豆油レシチン0.01gを添加
して作製した液体現像剤:LD−2を用いて現像し、イ
ソパラフィンアイソパーG(エッソ化学(株)製)溶媒
のリンス液で洗浄後定着することで得られた複写画像
(カブリ、画像の画質)を目視評価した。これを条件
(I)とし、環境条件(30℃、80%RH)下での結
果を条件(II)とした。
【0429】次に、上記の方法で製版した版を、実施例
5−1と同一の条件で不感脂化処理し、印刷した。その
結果、刷り出し保水性(I)及び(II)のいずれも、良
好であった。又、耐刷性を調べた所、鮮明な印刷物が1
万枚以上得られた。 実施例5−27 実施例5−26において、樹脂〔A−25〕8g、樹脂
〔2P−1〕0.3g、及びエチレングリコールジグリ
シジルエーテル0.3gの代わりに、樹脂〔A−26〕
10.3gのみを用いた他は、実施例5−26と同様に
操作して感光材料を作製した。但し、膜の架橋は、加熱
(140℃、1時間)する代わりに下記方法で行なっ
た。 硬化方法:出力2Kwの超高圧水銀灯を光源として、感
光材料を光源より50cmの距離に静置し、光照射を
1.5分間行なった。本発明の感光材料の静電特性と印
刷特性を実施例5−26と同様の方法で評価した所、い
ずれも、実施例5−26の感光材料の場合と同様に良好
な結果を示した。 実施例5−28〜5−30 実施例5−1において、樹脂〔A−1〕32g、及び樹
脂〔B4 −2〕8gの代わりに、下記表−J1 の樹脂
〔A〕を各32g、及び樹脂〔B4 〕を8g用いた他
は、実施例5−1と同様にして、各感光材料を作製し
た。
【0430】
【表103】
【0431】各感光材料について、実施例5−1と同様
にして、静電特性及び印刷性を評価した所、いずれも、
実施例5−1の感光材料と同等の良好な結果を示した。 実施例5−31 樹脂〔A−30〕40g(固形分量として)、樹脂〔B
4 −30〕10g(固形分量として)、光導電性酸化亜
鉛200g、実施例2−31のシアニン色素〔I−2〕
0.018g無水フタル酸0.20g及びトルエン30
0gの混合物をホモジナイザー(日本精機(株)製)
中、回転数6×103 r.p.m.で5分間分散し、更
にこれに実施例2−31の架橋用化合物2.5gを加え
て回転数1×103 r.p.m.で1分間分散した。こ
れを導電処理した紙に、乾燥付着量が22g/m2 とな
る様に、ワイヤーバーで塗布し、110℃で10秒間乾
燥し、ついで暗所で50℃、80%RHの条件下で1週
間放置した。次に暗所で20℃,65%RHの条件下で
24時間放置することにより電子写真感光材料を作製し
た。 比較例I−5 実施例5−31において、樹脂〔A−30〕40g及び
樹脂〔B4 −30〕10gの代わりに、樹脂〔A−3
0〕のみ50gを用いた他は、実施例5−31と同様に
して、電子写真感光材料を作製した。各感光材料につい
て、静電特性及び撮像性を実施例5−26と同様の操作
方法で行ない、他の評価項目については、実施例5−1
と同様にして行なった。
【0432】
【表104】
【0433】各感光材料の平滑性は良好であった。本発
明の感光材料の静電特性は、常温・常湿、高温・高湿で
も良好であった。他方、比較例I−5は、常温・常湿下
でも、D.R.R.,E1/10が低下し、高温・高湿で
は、更に劣化した。実際の撮像性は、本発明のものは、
環境条件によらず良好な複写画像が得られた。しかし、
比較例I−5では、常温・常湿では、実用可能なもので
あったが、高温・高湿では、地カブリ発生、及び画像の
劣化(濃度低下、細線・文字の欠落等)が著しく、実用
に供し得るものではなかった。更に、印刷原版として印
刷した所、本発明のものは、印刷機の種類によらず刷り
出しより、良好な印刷物が1万枚得られた。しかし、比
較例I−5は、条件IIの下で得た印刷原版は、刷り出し
より印刷物の画像は不良であった。 実施例5−32〜5−43 実施例5−31において、樹脂〔B4 −30〕10gの
代わりに下記表−L1の樹脂〔B4 〕を各10gに代え
た他は、実施例5−31と同様にして各感光材料を作製
した。
【0434】
【表105】
【0435】各感光材料を実施例5−31と同様にして
各特性を評価した所、いずれも実施例5−31と同等の
良好な結果を示した。 実施例5−44〜5−45 上記実施例で作成した各感光材料を用い、不感脂化処理
を下記のように操作してオフセット印刷版を作成した。
下記表−M1 の求核性化合物0.2モル、有機溶媒10
0g及びニューコールB4SN〔日本乳化剤(株)製〕
2gに蒸留水を加え1リットルとした後、混合物のpH
を13.5に調整した。各感光材料を、該処理液中に温
度35℃で3分間浸せきして、不感脂化処理を行なっ
た。得られたプレートを実施例5−1と同様の印刷条件
で印刷した。各感光材料とも実施例5−1の場合と同等
の良好な性能を示した。
【0436】
【表106】
【0437】実施例6−1 樹脂〔A−1〕32g、樹脂〔B5 −3〕8g、光導電
性酸化亜鉛200g、ウラニン0.02g、ローズベン
ガル0.04g、ブロムフェノールブルー0.03g、
サリチル酸0.15g及びトルエン300gの混合物
を、ホモジナイザー(日本精機(株)製)中で、7×1
3 r.p.m.の回転数で5分間分散した。これに、
実施例2−1の樹脂〔2P−1〕5g、無水フタル酸
0.2g、o−クロロフェノール0.02gを加えて、
回転数1×103 r.p.m.で1分間分散した。この
感光層形成用分散物を導電処理した紙に乾燥付着量が2
5g/m2 となるようにワイヤーバーで塗布し、100
℃で30秒間乾燥し、更に140℃で1時間加熱した。
ついで暗所で20℃、65%RHの条件下で24時間放
置することにより、電子写真感光材料を作製した。 比較例A−6 実施例6−1において、樹脂〔A−1〕32gの代わり
に下記構造の樹脂〔6R−1〕のみ32gを用いた他は
実施例6−1と同様に操作して電子写真感光材料を作製
した。
【0438】
【化118】
【0439】比較例B−6 実施例6−1において、樹脂〔A−1〕32gの代わり
に、比較例B−5の樹脂〔5R−2〕32gを用いた他
は、実施例6−1と同様にして電子写真感光材料を作製
した。 比較例C−6 実施例6−1において、樹脂〔A−1〕32gの代わり
に樹脂〔6R−1〕23.0g及び樹脂〔5R−2〕
9.0g(樹脂〔6R−1〕/樹脂〔5R−2〕=72
/28(重量比)〕を用いた他は、実施例6−1と同様
にして電子写真感光材料を作製した。 比較例D−6 実施例6−1において、樹脂〔A−1〕32g及び樹脂
〔B5 −3〕8gの代わりに、樹脂〔A−1〕のみ40
g用いた他は、実施例6−1と同様にして、電子写真感
光材料を作製した。 これらの感光材料について下記表−N1 に示す各特性を
調べた。
【0440】
【表107】
【0441】表−N1 に記した評価項目の実施の態様は
以下の通りである。 注1) 光導電層の平滑性:感光材料を、ベック平滑度
試験機(熊谷理工(株)製)を用いて、空気容量1cc
の条件にて、その平滑度(sec/cc)を測定した。 注2) 静電特性:温度20℃、65%RHの暗室中
で、感光材料にペーパーアナライザー(川口電機(株)
製ペーパーアナライザーSP−428型)を用いて−6
kVで20秒間コロナ放電させた後、10秒間放置し、
この時の表面電位V10を測定した。次いでそのまま暗中
で60秒間静置させた後の電位V70を測定し、60秒間
暗減衰させた後の電位の保持性、即ち、暗減衰保持率
〔D.R.R.(%)〕を、 〔(V70/V10)×10
0(%)〕で求めた。又、コロナ放電により光導電層表
面を−400Vに帯電させた後、ついで光導電層表面を
照度2.0ルックスの可視光で照射し、表面電位V10
1/10に減衰するまでの時間を求め、これから露光量
1/10(ルックス・秒)を算出する。
【0442】又、環境条件を(30℃、80%RH)と
して、同様の操作を行なった。環境条件(20℃、65
%RH)をI、(30℃、80%RH)をIIとする。 注3) 撮像性:感光材料及び全自動製版機ELP40
4V(富士写真フィルム(株)製)を1昼夜常温・常湿
(20℃、65%)(I)に放置した後、製版して複写
画像を形成し、得られた画像(カブリ、画像の画質)を
目視で観察した。製版時には下記の液体現像剤LD−6
を用いた。高温・高湿(30℃、80%RH)の条件下
(II)で上記と同様の操作を行ない、その画像を評価し
た。 <液体現像剤LD−6の調製> ・トナー粒子の合成 メチルメタクリレート60g、メチルアクリレート40
g、実施例2−1の分散ポリマー20g及びアイソパー
H680gの混合溶液を窒素気流下に攪拌しながら温度
65℃に加温した。これに、2,2′−アゾビス(イソ
バレロニトリル)(A.I.V.N)1.2gを加え2
時間反応し、更にA.I.V.N.を0.5g加えて、
2時間反応し、更に又、A.I.V.N.を0.5g加
えて2時間反応した。
【0443】次に反応温度を90℃に上げて、30mm
Hgの減圧下に1時間攪拌し、未反応単量体を除去し
た。室温に冷却後、200メッシュのナイロン布を通し
て濾過し、白色分散物を得た。得られた分散物の単量体
の反応率は95重量%で樹脂粒子の平均粒径は0.25
μmで且つ単分散性良好なものであった。(粒径は、C
APA−500:堀場製作所製を使用)。 ・着色粒子の製造 テトラデシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(共重合比;95/5重量比)を10g、ニグロシン1
0g及びアイソパーGの30gをガラスビーズと共にペ
イントシェーカー(東京精機(株)製)に入れ、4時間
分散し、ニグロシンの微小な分散物を得た。 ・液体現像剤の製造 上記トナー粒子の樹脂分散物45g、上記ニグロシン分
散物を25g、ヘキサデセン/半マレイン酸オクタデシ
ルアミド共重合体を0.06g及びFOC−1800の
15gをアイソパーGの1リットルに希釈することによ
り静電写真用液体現像剤を作製した。 注4) 刷り出し保水性:感光材料そのものを(製版し
ない原版:即ち、生版と略称)温度40℃の下記処方の
不感脂化処理液:E−6中に3分間浸漬した。これらの
版を湿し水として下記のF−6を用いて印刷し、刷り出
しから50枚目の印刷物の地汚れの有無を目視で評価し
た。 不感脂化処理液:E−6 モノエタノールアミン 60g ネオソープ(松本油脂(株)製) 8g ベンジルアルコール 100g を蒸留水で希釈し全量を1.0リットルにした後、水酸
化カリウムでpH13.5に調整した。
【0444】湿し水:F−6 PS版用湿し水アルキーA〔東洋インキ(株)製〕を蒸
留水を用いて200倍に希釈した水溶液(pH9.5) 刷り出し保水性I :モルトン式印刷機として、リョー
ビ・3200CD型(リョービ(株)製)を用いた。 刷り出し保水性II :シンフロー式印刷機として、リョ
ービ・3200MCD型を用いた。 注5) 耐刷性 感光材料を上記注3)と同一の操作で製版した後、注
4)で用いてE−6の処理液中に3分間浸漬した後、湿
し水として、注4)で用いた湿し水F−6、又印刷用紙
として中性紙を各々用い、印刷機として、菊全サイズ
(1003×800mm)の印刷を行なう大型印刷機で
あるオリバー94型〔(株)桜井製作所〕を用いて、オ
フセット印刷機上の印圧が強くなった場合の地汚れの発
生しない鮮明な画像の得られる印刷物の印刷枚数を調べ
た。表−N1 に示す如く、各感光材料とも、表面の平滑
性は良好であった。静電特性は、常温・常湿の条件下で
は、本発明の樹脂〔B5 〕を用いていない比較例D−6
が、やや低下するものの、実用上、問題のない範囲であ
った。しかし、高温・高湿という過酷な条件下では、比
較例D−6の静電特性(特に、D.R.R.,E1/10
の劣化が著しくなってしまった。他方、樹脂〔B5 〕を
用いた他の感材は、いずれもその変化が小さく抑えられ
実用に供し得る範囲を維持した。次に実際の撮像性を調
べた所、比較例D−6は、高温・高湿下で、非画像部に
地カブリが見られ、且つ画質も劣化(濃度の低下、細線
・文字の欠落等)を生じてしまった。しかし、他の感材
は、良好な複写画像が得られた。
【0445】刷り出し保水性については、本発明の原版
及び比較例D−6は印刷機に拘わらずインキ付着が全く
認められず極めて良好な保水性を示した。他方、カルボ
キシル基を生成する版である比較例A−6は、湿し水と
インキの供給方式の違いによって、刷り出しでの印刷物
の地汚れの発生に大きな差を生じた。即ち、印刷開始時
に、湿し水の供給がモルトン方式に比較し、不充分なシ
ンフロー方式では、印刷物の非画像部にインキ付着が生
じ地汚れとなってしまった。この事は、比較例A−6の
原版では、親水化された光導電層の表面は、充分に水と
の濡れ性は良好になっているが、該光導電層全体が保持
する水量(特に膜の保水量)が不充分なため湿し水の供
給量のバランスが崩れると印刷開始時に、版の表面に形
成される極薄層の水層(ウィーンリーバシダリー層:
W.B.L.)保持ができないためと推定される。又、
スルホ基を生成する版である比較例B−6は、シンフロ
ー方式の場合でも、比較例A−6に比らべインキ付着性
は改良された。しかし、膜の保水量がこの場合大きくな
るため、逆にモルトン式においてW.B.L.の形成が
不充分な状態になってしまうものと推定される。更に、
比較例A−6及びB−6で用いた両者の樹脂をブレンド
して用いた比較例C−6は、両者の欠点をおぎなうこと
はできず、結果として、比較例A−6と同様な結果とな
った。次に、大型印刷機を用いて、耐刷性を調べた所、
本発明のものは、1万枚印刷しても、印刷物の画質は鮮
明であった。又、生版の刷り出し保水性が良好であった
比較例D−6は、実際に製版した原版では、印刷物の画
像は刷り出しから不良となった。他方、比較例A−6,
B−6及びC−6は、2000枚あるいは4000枚程
度となった。比較例A−6の耐刷性が低下してしまった
原因は、多数枚刷り込んでゆくと、膜の保水量が起因し
て、膜最表面部のW.B.L.あるいは保水量が充分な
状態でなくなってしまったことによるものと考えられ
る。又、比較例B−6及びC−6の場合には、スルホ基
含有の架橋構造を有する樹脂の保水量が多きいことで膜
の強度が不足して膜の破壊による耐刷性の劣化によるも
のと推定された。
【0446】これらの事より、撮像時の環境条件の変動
及び印刷時の条件変動に対しても、良好な印刷物を多数
枚印刷することができるのは、本発明の材料のみであっ
た。 実施例6−2 樹脂〔A−2〕35g、樹脂〔B5 −11〕10g、実
施例1−2の樹脂〔P−2〕4g、光導電性酸化亜鉛2
00g、ウラニン0.02g、実施例1−2の色素
〔I〕0.015g、実施例1−2の色素〔II〕0.0
12g、N−ヒドロキシフタル酸イミド0.18g及び
トルエン300gの混合物を、ホモジナイザー(日本精
機(株)製)中で、6×103 r.p.m.の回転数で
5分間分散した。これに無水フタル酸0.1g、アセチ
ルアセトンジルコニウム塩0.002gを加えて、回転
数1×103 r.p.m.で1分間分散した。この感光
層形成用分散物を導電処理した紙に乾燥付着量が25g
/m2 となるようにワイヤーバーで塗布し、100℃で
30秒間乾燥し、更に140℃で1時間加熱した。つい
で暗所で20℃、65%RHの条件下で24時間放置す
ることにより、電子写真感光材料を作製した。 比較例E−6 実施例6−2において、樹脂〔A−2〕35gの代わり
に比較例E−2の樹脂〔2R−3〕35gを用いた他は
実施例6−2と同様に操作して電子写真感光材料を作製
した。 比較例F−6 実施例6−2において、樹脂〔A−2〕35gの代わり
に、比較例F−2の樹脂〔2R−4〕35gを用いた他
は、実施例6−2と同様にして電子写真感光材料を作製
した。 比較例G−6 実施例6−2において、樹脂〔A−2〕35gの代わり
に、樹脂〔2R−3〕20.6g及び樹脂〔2R−4〕
14.4g(樹脂〔2R−3〕/樹脂〔2R−4〕=5
8.8/41.2(重量比)〕を用いた他は、実施例6
−2と同様に操作して電子写真感光材料を作製した。 比較例H−6 実施例6−2において、樹脂〔A−2〕35g及び樹脂
〔B5 −11〕10gの代わりに、樹脂〔A−2〕のみ
45gを用いた他は、実施例6−2と同様に操作して電
子写真感光材料を作製した。 各感光材料の平滑性、静電特性、撮像性及び刷り出し保
水性を実施例6−1と同様の方法で調べた。更に、印刷
時に用いる湿し水のpHを変えた湿し水(即ち、pH
4.5、pH7.0、pH9.5)を用いて、印刷物へ
の影響の度合を調べた。以上の結果を表−O1 に記載し
た。
【0447】
【表108】
【0448】注6) 湿し水依存性 前記注5)と同様にして印刷を行なった。但し、印刷に
用いる湿し水として下記の3種を用いて行なった。 I :PS版用湿し水EU−3(富士写真フィルム
(株)製)を蒸留水を用いて100倍に希釈した水溶液
(pH4.5) II :PS版用湿し水SG−23(東京インキ(株)
製)を蒸留水を用いて130倍に希釈した水溶液(pH
7.0) III :PS版用湿し水アルキーA(東洋インキ(株)
製)を蒸留水を用いて200倍に希釈した水溶液(pH
9.5) 各感光材料とも、光導電層の平滑性は良好であった。実
施例6−2及び比較例E−6〜G−6は、環境条件に拘
わらず、良好な静電特性を示し、実際の撮像性も良好で
あった。しかし、本発明の樹脂〔B5 〕を用いない比較
例H−6は、高温・高湿の過酷条件下で、静電特性が低
下し、且つ実際の撮像性においても、地カブリの発生及
び画像部の劣化(濃度低下、細線・文字の欠落等)を生
じた。次に、刷り出し保水性については、本発明のもの
は、良好であったが、比較例E−6〜G−6はシンフロ
ー式の印刷機での保水性が低下した。なお、比較例F−
6の場合、シンフロー方式で、良好な保水性に到達しな
い理由は、樹脂〔2R−4〕において不感脂化処理で発
現した−PO3 2 基は、膜の保水量は充分であるが、
該親水基が高分子主鎖から疎水性である連結基を介して
結合しているために、膜の表面上の水との濡れ性が印刷
時に不充分なものとして表われるものと推定される。更
に、耐刷性の評価を湿し水の種類を変えて行なった結
果、本発明のものは、湿し水の種類によらずいずれも、
良好な印刷物が1万枚得られた。他方、比較例E−6〜
G−6のものは、湿し水(III)の場合のみ良好で、他の
湿し水では、程度の差こそあれ刷り出しよりインキ付着
の地汚れが発生し、更に刷り込んでも良化することはな
かった。
【0449】比較例H−6は、製版時の画質不良及び地
カブリのために、印刷原版としての性能が悪く、刷り出
しから、満足な画質の印刷物を得ることができなかっ
た。これらは、湿し水のpHの影響が大きく、親水化さ
れた親水基の解離定数と関係していると考えられる。つ
まり、比較例D−6でその影響が支配的であることか
ら、樹脂〔2R−3〕の−COOH基は高pH下では、
−COO- 基に解離した状態で存在し水との親和性が著
しく向上しているが、低pHになると解離した基の存在
量が低下してしまい水との親和性が小さくなるためと考
えられる。即ち、生成する親水性基の解離定数(pK
a)の小さいものを併用しないと、湿し水の種類によっ
て、保水性が大きく変動してしまう結果を招くことが判
った。以上の事より、本発明の材料は、大型印刷機で印
刷されるPS版の湿し水でも印刷可能となったことか
ら、印刷機の清掃点検をすることなく、容易に他の印刷
版と共用して用いることが可能となった。 実施例6−3〜6−13 実施例6−1において、樹脂〔A−1〕32g及び樹脂
〔B5 −3〕8gの代わりに、下記表−P1 の各樹脂
〔A〕32g及び樹脂〔B5 〕8gを用いた他は、実施
例6−1と同様に操作して各電子写真感光材料を作製し
た。
【0450】
【表109】
【0451】各感光材料の諸性能を、実施例6−1と同
様にして評価した。いずれも、実施例6−1の感光材料
と同様に環境条件が変動しても、良好な静電特性・撮像
性を示した。又、印刷版としての性能も、モルトン式・
シンフロー式のいずれの印刷機においても、刷り出しか
ら良好な保水性を示し、且つ耐刷性も1万枚を越えるも
のであった。 実施例6−14〜6−25 実施例6−1において、樹脂〔A−1〕、樹脂〔B5
3〕、樹脂〔2P−1〕及び架橋用化合物〔無水フタル
酸及びo−クロロフェノール〕の代わりに下記表−Q1
の各化合物を用いた他は、実施例6−1と同様に操作し
て、各感光材料を作製した。なお用いた樹脂〔P−1〕
〜〔P−12〕は実施例1−14〜1−25に記載され
ている。
【0452】
【表110】
【0453】
【表111】
【0454】各感光材料の諸性能を、実施例6−1と同
様にして評価した。いずれも、実施例6−1の感光材料
と同様に環境条件が変動しても、良好な静電特性・撮像
性を示した。又、印刷版としての性能も、モルトン式・
シンフロー式のいずれの印刷機においても、刷り出しか
ら良好な保水性を示し、且つ耐刷性も1万枚を越えるも
のであった。 実施例6−26 X型無金属フタロシアニン(大日本インキ(株)製)1
g、樹脂〔A−25〕8g、樹脂〔B5 −19〕2g、
樹脂〔2P−1〕0.3g及びテトラヒドロフラン80
g混合物を500mlのガラス容器にガラスビーズと共
に入れ、ペイントシェーカー(東洋精機製作所製)で6
0分間分散し、更にエチレングリコールジグリシジルエ
ーテル0.3gを加え、2分間分散した後ガラスビーズ
をろ別して感光層分散液とした。ついでこの分散液を導
電性処理および耐溶剤処理を施した0.2mm厚の紙版
マスター用原紙の上にワイヤーバーで塗布し、指触乾燥
した後、110℃循環式オーブンで、20秒間乾燥し
た。更に140℃で1時間加熱した。得られた感光層の
膜厚は10μmであった。静電特性を実施例6−1と同
様にして操作して評価した所、下記の様に、良好な結果
を示した。
【0455】
【表112】
【0456】但し、上記評価中、D.R.R.,E1/10
及び撮像性については、下記の方法で行なった。 注)D.R.R.及びE1/10:温度20℃、65%RH
の暗室中で、感光材料にペーパーアナライザー(川口電
機(株)製ペーパーアナライザーSP−428型)を用
いて、−6kVで20秒間コロナ放電させた後、10秒
間放置し、この時の表面電位V10を測定した。次いでそ
のまま暗中で90秒間静置させた後の電位V100 を測定
し、90秒間暗減衰させた後の電位の保持性、即ち、暗
減衰保持率〔D.R.R.(%)〕を〔(V100
10)×100(%)〕で求めた。
【0457】また、コロナ放電により光導電層表面を−
500Vに帯電させた後、波長780nmの単色光で照
射し、表面電位(V10)が1/10に減衰するまでの時
間を求め、これから露光量E1/10(erg/cm2 )を
算出する。これを条件(I)とする。又、環境条件(3
0℃、80%RH)下でも同様の操作を行なった。これ
を条件(II)とする。 注) 撮像性:感光材料を(20℃、65%RH)の条
件下で1昼夜放置した後、感光材料を−6kVで帯電
し、光源として2.8mW出力のガリウム−アルミニウ
ム−ヒ素、半導体レーザー(発振波長780nm)を用
いて、感光材料表面上で64erg/cm2 の照射量下
で、ピッチ25μm及びスキャニング速度300m/s
ecのスピード露光後、アイソパーH(エッソスタンダ
ード社)1リットル中にポリメチルメタクリレート粒子
(粒子サイズ0.3μ)5gをトナー粒子として分散
し、荷電調節剤として大豆油レシチン0.01gを添加
して作製した液体現像剤:LD−2を用いて現像し、イ
ソパラフィンアイソパーG(エッソ化学(株)製)溶媒
のリンス液で洗浄後定着することで得られた複写画像
(カブリ、画像の画質)を目視評価した。これを条件
(I)とし、環境条件(30℃、80%RH)下での結
果を条件(II)とした。次に、上記の方法で製版した版
を、実施例1と同一の条件で不感脂化処理し、印刷し
た。その結果、刷り出し保水性(I)及び(II)のいず
れも、良好であった。又、耐刷性を調べた所、鮮明な印
刷物が1万枚以上得られた。 実施例6−27 実施例6−26において、樹脂〔A−25〕8g、樹脂
〔2P−1〕0.3g、及びエチレングリコールジグリ
シジルエーテル0.3gの代わりに、樹脂〔A−26〕
10.3gのみを用いた他は、実施例6−26と同様に
操作して感光材料を作製した。但し、膜の架橋は、加熱
(140℃、1時間)する代わりに下記方法で行なっ
た。 硬化方法:出力2Kwの超高圧水銀灯を光源として、感
光材料を光源より50cmの距離に静置し、光照射を
1.5分間行なった。本発明の感光材料の静電特性と印
刷特性を実施例6−26と同様の方法で評価した所、い
ずれも、実施例6−26の感光材料の場合と同様に良好
な結果を示した。 実施例6−28〜6−30 実施例6−1において、樹脂〔A−1〕32g、及び樹
脂〔B5 −3〕8gの代わりに、下記表−S1 の樹脂
〔A〕を各32g、及び樹脂〔B5 〕を8g用いた他
は、実施例6−1と同様にして、各感光材料を作製し
た。
【0458】
【表113】
【0459】各感光材料について、実施例6−1と同様
にして、静電特性及び印刷性を評価した所、いずれも、
実施例6−1の感光材料と同等の良好な結果を示した。 実施例6−31 樹脂〔A−30〕40g(固形分量として)、樹脂〔B
5 −12〕10g(固形分量として)、光導電性酸化亜
鉛200g、実施例2−31のシアニン色素〔I−2〕
0.018g無水フタル酸0.20g及びトルエン30
0gの混合物をホモジナイザー(日本精機(株)製)
中、回転数6×103 r.p.m.で6分間分散し、更
にこれに実施例2−31の架橋用化合物2.5gを加え
て回転数1×103 r.p.m.で1分間分散した。こ
れを導電処理した紙に、乾燥付着量が22g/m2 とな
る様に、ワイヤーバーで塗布し、110℃で10秒間乾
燥し、ついで暗所で50℃、80%RHの条件下で1週
間放置した。次に暗所で20℃,65%RHの条件下で
24時間放置することにより電子写真感光材料を作製し
た。 比較例I−6 実施例6−31において、樹脂〔A−30〕40g及び
樹脂〔B5 −12〕10gの代わりに、樹脂〔A−3
0〕のみ50gを用いた他は、実施例6−31と同様に
して、電子写真感光材料を作製した。各感光材料につい
て、静電特性及び撮像性を実施例6−26と同様の操作
方法で行ない、他の評価項目については、実施例6−1
と同様にして行なった。
【0460】
【表114】
【0461】各感光材料の平滑性は良好であった。本発
明の感光材料の静電特性は、常温・常湿、高温・高湿で
も良好であった。他方、比較例I−6は、常温・常湿下
でも、D.R.R.,E1/10が低下し、高温・高湿で
は、更に劣化した。実際の撮像性は、本発明のものは、
環境条件によらず良好な複写画像が得られた。しかし、
比較例I−6では、常温・常湿では、実用可能なもので
あったが、高温・高湿では、地カブリ発生、及び画像の
劣化(濃度低下、細線・文字の欠落等)が著しく、実用
に供し得るものではなかった。更に、印刷原版として印
刷した所、本発明のものは、印刷機の種類によらず刷り
出しより、良好な印刷物が1万枚得られた。しかし、比
較例I−6は、条件IIの下で得た印刷原版は、刷り出し
より印刷物の画像は不良であった。 実施例6−32〜6−43 実施例6−31において、樹脂〔B5 −30〕10gの
代わりに下記表−U1の樹脂〔B5 〕を各10gに代え
た他は、実施例6−31と同様にして各感光材料を作製
した。
【0462】
【表115】
【0463】各感光材料を実施例6−31と同様にして
各特性を評価した所、いずれも実施例6−31と同等の
良好な結果を示した。 実施例6−44〜6−45 上記実施例で作成した各感光材料を用い、不感脂化処理
を下記のように操作してオフセット印刷版を作成した。
下記表−V1 の求核性化合物0.2モル、有機溶媒10
0g及びニューコールB4SN〔日本乳化剤(株)製〕
2gに蒸留水を加え1リットルとした後、混合物のpH
を13.5に調整した。各感光材料を、該処理液中に温
度35℃で3分間浸せきして、不感脂化処理を行なっ
た。得られたプレートを実施例6−1と同様の印刷条件
で印刷した。各感光材料とも実施例6−1の場合と同等
の良好な性能を示した。
【0464】
【表116】
【0465】実施例7−1 樹脂〔A−1〕32g、樹脂〔B6 −2〕8g、光導電
性酸化亜鉛200g、ウラニン0.02g、ローズベン
ガル0.04g、ブロムフェノールブルー0.03g、
サリチル酸0.15g及びトルエン300gの混合物
を、ホモジナイザー(日本精機(株)製)中で、6×1
3 r.p.m.の回転数で8分間分散した。これに、
実施例2−1の樹脂〔2P−1〕5g、無水フタル酸
0.2g、o−クロロフェノール0.02gを加えて、
回転数1×103 r.p.m.で1分間分散した。この
感光層形成用分散物を導電処理した紙に乾燥付着量が2
5g/m2 となるようにワイヤーバーで塗布し、100
℃で30秒間乾燥し、更に140℃で1時間加熱した。
ついで暗所で20℃、65%RHの条件下で24時間放
置することにより、電子写真感光材料を作製した。 比較例A−7 実施例7−1において、樹脂〔A−1〕32gの代わり
に下記構造の樹脂〔7R−1〕32gを用いた他は実施
例7−1と同様に操作して電子写真感光材料を作製し
た。
【0466】
【化119】
【0467】比較例B−7 実施例7−1において、樹脂〔A−1〕32gの代わり
に、比較例B−5の樹脂〔5R−2〕32gを用いた他
は、実施例7−1と同様にして電子写真感光材料を作製
した。 比較例C−7 実施例7−1において、樹脂〔A−1〕32gの代わり
に樹脂〔7R−1〕19.2g及び樹脂〔5R−2〕1
2.8g(樹脂〔7R−1〕/樹脂〔5R−2〕=60
/40(重量比)〕を用いた他は、実施例7−1と同様
にして電子写真感光材料を作製した。 比較例D−7 実施例7−1において、樹脂〔A−1〕32g及び樹脂
〔B6 −2〕8gの代わりに、樹脂〔A−1〕のみ40
g用いた他は、実施例7−1と同様にして、電子写真感
光材料を作製した。 これらの感光材料について下記表−W1 に示す各特性を
調べた。
【0468】
【表117】
【0469】表−W1 に記した評価項目の実施の態様は
以下の通りである。 注1) 光導電層の平滑性:感光材料を、ベック平滑度
試験機(熊谷理工(株)製)を用いて、空気容量1cc
の条件にて、その平滑度(sec/cc)を測定した。 注2) 静電特性:温度20℃、65%RHの暗室中
で、感光材料にペーパーアナライザー(川口電機(株)
製ペーパーアナライザーSP−428型)を用いて−6
kVで20秒間コロナ放電させた後、10秒間放置し、
この時の表面電位V10を測定した。次いでそのまま暗中
で60秒間静置させた後の電位V70を測定し、60秒間
暗減衰させた後の電位の保持性、即ち、暗減衰保持率
〔D.R.R.(%)〕を、〔(V70/V10)×100
(%)〕で求めた。又、コロナ放電により光導電層表面
を−400Vに帯電させた後、ついで光導電層表面を照
度2.0ルックスの可視光で照射し、表面電位V10が1
/10に減衰するまでの時間を求め、これから露光量E
1/10(ルックス・秒)を算出する。又、環境条件を(3
0℃、80%RH)として、同様の操作を行なった。環
境条件(20℃、65%RH)をI、(30℃、80%
RH)をIIとする。 注3) 撮像性:感光材料及び全自動製版機ELP40
4V(富士写真フィルム(株)製)を1昼夜常温・常湿
(20℃、65%)(I)に放置した後、製版して複写
画像を形成し、得られた画像(カブリ、画像の画質)を
目視で観察した。製版時には下記の液体現像剤LD−7
を用いた。高温・高湿(30℃、80%RH)の条件下
(II)で上記と同様の操作を行ない、その画像を評価し
た。 <液体現像剤LD−7の調製> ・トナー粒子の合成 メチルメタクリレート60g、メチルアクリレート40
g、実施例2−1の分散ポリマー20g及びアイソパー
H680gの混合溶液を窒素気流下に攪拌しながら温度
65℃に加温した。これに、2,2′−アゾビス(イソ
バレロニトリル)(A.I.V.N)1.2gを加え2
時間反応し、更にA.I.V.N.を0.5g加えて、
2時間反応し、更に又、A.I.V.N.を0.5g加
えて2時間反応した。
【0470】次に反応温度を90℃に上げて、30mm
Hgの減圧下に1時間攪拌し、未反応単量体を除去し
た。室温に冷却後、200メッシュのナイロン布を通し
て濾過し、白色分散物を得た。得られた分散物の単量体
の反応率は95重量%で樹脂粒子の平均粒径は0.25
μmで且つ単分散性良好なものであった。(粒径は、C
APA−500:堀場製作所製を使用)。 ・着色粒子の製造 テトラデシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(共重合比;95/5重量比)を10g、ニグロシン1
0g及びアイソパーGの30gをガラスビーズと共にペ
イントシェーカー(東京精機(株)製)に入れ、4時間
分散し、ニグロシンの微小な分散物を得た。 ・液体現像剤の製造 上記トナー粒子の樹脂分散物45g、上記ニグロシン分
散物を25g、ヘキサデセン/半マレイン酸オクタデシ
ルアミド共重合体を0.06g及びFOC−1800の
15gをアイソパーGの1リットルに希釈することによ
り静電写真用液体現像剤を作製した。 注4) 刷り出し保水性:感光材料そのものを(製版し
ない原版:即ち、生版と略称)温度40℃の下記処方の
不感脂化処理液:E−7中に3分間浸漬した。これらの
版を湿し水として下記のF−7を用いて印刷し、刷り出
しから50枚目の印刷物の地汚れの有無を目視で評価し
た。 不感脂化処理液:E−7 モノエタノールアミン 60g ネオソープ(松本油脂(株)製) 8g ベンジルアルコール 100g を蒸留水で希釈し全量を1.0リットルにした後、水酸
化カリウムでpH13.5に調整した。
【0471】湿し水:F−7 PS版用湿し水アルキーA〔東洋インキ(株)製〕を蒸
留水を用いて200倍に希釈した水溶液(pH9.5) 刷り出し保水性I :モルトン式印刷機として、リョー
ビ・3200CD型(リョービ(株)製)を用いた。 刷り出し保水性II :シンフロー式印刷機として、リョ
ービ・3200MCD型を用いた。 注5) 耐刷性 感光材料を上記注3)と同一の操作で製版した後、注
4)で用いてE−7の処理液中に3分間浸漬した後、湿
し水として、注4)で用いた湿し水F−7、又印刷用紙
として中性紙を各々用い、印刷機として、菊全サイズ
(1003×800mm)の印刷を行なう大型印刷機で
あるオリバー94型〔(株)桜井製作所〕を用いて、オ
フセット印刷機上の印圧が強くなった場合の地汚れの発
生しない鮮明な画像の得られる印刷物の印刷枚数を調べ
た。表−w1 に示す如く、各感光材料とも、表面の平滑
性は良好であった。静電特性は、常温・常湿の条件下で
は、本発明の樹脂〔B6 〕を用いていない比較例D−7
が、やや低下するものの、実用上、問題のない範囲であ
った。しかし、高温・高湿という過酷な条件下では、比
較例D−7の静電特性(特に、D.R.R.,E1/10
の劣化が著しくなってしまった。他方、樹脂〔B6 〕を
用いた他の感材は、いずれもその変化が小さく抑えられ
実用に供し得る範囲を維持した。次に実際の撮像性を調
べた所、比較例D−7は、高温・高湿下で、非画像部に
地カブリが見られ、且つ画質も劣化(濃度の低下、細線
・文字の欠落等)を生じてしまった。しかし、他の感材
は、良好な複写画像が得られた。刷り出し保水性にいつ
ては、本発明の原版及び比較例D−7は印刷機に拘わら
ずインキ付着が全く認められず極めて良好な保水性を示
した。他方、カルボキシル基を生成する版である比較例
A−7は、湿し水とインキの供給方式の違いによって、
刷り出しでの印刷物の地汚れの発生に大きな差を生じ
た。即ち、印刷開始時に、湿し水の供給がモルトン方式
に比較し、不充分なシンフロー方式では、印刷物の非画
像部にインキ付着が生じ地汚れとなってしまった。この
事は、比較例A−7の原版では、親水化された光導電層
の表面は、充分に水との濡れ性は良好になっているが、
該光導電層全体が保持する水量(特に膜の保水量)が不
充分なため湿し水の供給量のバランスが崩れると印刷開
始時に、版の表面に形成される極薄層の水層(ウィーン
リーバシダリー層:W.B.L.)保持ができないため
と推定される。又、スルホ基を生成する版である比較例
Bは、シンフロー方式の場合でも、比較例Aに比らべイ
ンキ付着性は改良された。しかし、膜の保水量がこの場
合大きくなるため、逆にモルトン方式においてW.B.
L.の形成が不充分な状態になってしまうものと推定さ
れる。更に、比較例A−7及びB−7で用いた両者の樹
脂をブレンドして用いた比較例C−7は、両者の欠点を
おぎなうことはできず、結果として、比較例A−7と同
様な結果となった。
【0472】次に、大型印刷機を用いて、耐刷性を調べ
た所、本発明のものは、1万枚印刷しても、印刷物の画
質は鮮明であった。又、生版の刷り出し保水性が良好で
あった比較例D−7は、実際に製版した原版では、印刷
物の画像は刷り出しから不良となった。他方、比較例A
−7,B−7及びC−7は、2000枚あるいは400
0枚程度となった。比較例A−7の耐刷性が低下してし
まった原因は、多数枚刷り込んでゆくと、膜の保水量が
起因して、膜最表面部のW.B.L.あるいは保水量が
充分な状態でなくなってしまったことによるものと考え
られる。又、比較例B−7及びC−7の場合には、スル
ホ基含有の架橋構造を有する樹脂の保水量が多きいこと
で膜の強度が不足して膜の破壊による耐刷性の劣化によ
るものと推定された。これらの事より、撮像時の環境条
件の変動及び印刷時の条件変動に対しても、良好な印刷
物を多数枚印刷することができるのは、本発明の材料の
みであった。 実施例7−2 樹脂〔A−2〕35g、樹脂〔B6 −11〕10g、実
施例1−2の樹脂〔P−2〕4g、光導電性酸化亜鉛2
00g、ウラニン0.02g、実施例1−2の色素
〔I〕0.015g、実施例1−2の色素〔II〕0.0
12g、N−ヒドロキシフタル酸イミド0.18g及び
トルエン300gの混合物を、ホモジナイザー(日本精
機(株)製)中で、7×103 r.p.m.の回転数で
5分間分散した。これに無水フタル酸0.1g、アセチ
ルアセトンジルコニウム塩0.002gを加えて、回転
数1×103 r.p.m.で1分間分散した。この感光
層形成用分散物を導電処理した紙に乾燥付着量が25g
/m2 となるようにワイヤーバーで塗布し、100℃で
30秒間乾燥し、更に140℃で1時間加熱した。つい
で暗所で20℃、65%RHの条件下で24時間放置す
ることにより、電子写真感光材料を作製した。 比較例E−7 実施例7−2において、樹脂〔A−2〕35gの代わり
に比較例E−2の樹脂〔2R−3〕35gを用いた他は
実施例7−2と同様に操作して電子写真感光材料を作製
した。 比較例F−7 実施例7−2において、樹脂〔A−2〕35gの代わり
に、比較例F−2の樹脂〔2R−4〕35gを用いた他
は、実施例7−2と同様にして電子写真感光材料を作製
した。 比較例G−7 実施例7−2において、樹脂〔A−2〕35gの代わり
に、樹脂〔2R−3〕20.6g及び樹脂〔2R−4〕
14.4g(樹脂〔2R−3〕/樹脂〔2R−4〕=5
8.8/41.2(重量比)〕を用いた他は、実施例7
−2と同様に操作して電子写真感光材料を作製した。 比較例H−7 実施例7−2において、樹脂〔A−2〕35g及び樹脂
〔B6 −11〕10gの代わりに、樹脂〔A−2〕のみ
45gを用いた他は、実施例7−2と同様に操作して電
子写真感光材料を作製した。
【0473】各感光材料の平滑性、静電特性、撮像性及
び刷り出し保水性を実施例7−1と同様の方法で調べ
た。更に、印刷時に用いる湿し水のpHを変えた湿し水
(即ち、pH4.5、pH7.0、pH9.5)を用い
て、印刷物への影響の度合を調べた。以上の結果を表−
1 に記載した。
【0474】
【表118】
【0475】注6) 湿し水依存性 前記注5)と同様にして印刷を行なった。但し、印刷に
用いる湿し水として下記の3種を用いて行なった。 I :PS版用湿し水EU−3(富士写真フィルム
(株)製)を蒸留水を用いて100倍に希釈した水溶液
(pH4.5) II :PS版用湿し水SG−23(東京インキ(株)
製)を蒸留水を用いて130倍に希釈した水溶液(pH
7.0) III :PS版用湿し水アルキーA(東洋インキ(株)
製)を蒸留水を用いて200倍に希釈した水溶液(pH
9.5) 各感光材料とも、光導電層の平滑性は良好であった。実
施例7−2及び比較例E−7〜G−7は、環境条件に拘
わらず、良好な静電特性を示し、実際の撮像性も良好で
あった。しかし、本発明の樹脂〔B6 〕を用いない比較
例H−7は、高温・高湿の過酷条件下で、静電特性が低
下し、且つ実際の撮像性においても、地カブリの発生及
び画像部の劣化(濃度低下、細線・文字の欠落等)を生
じた。
【0476】次に、刷り出し保水性については、本発明
のものは良好であったが、比較例E−7〜G−7はシン
フロー式の印刷機での保水性が低下した。なお、比較例
F−7の場合、シンフロー方式で、良好な保水性に到達
しない理由は、樹脂〔2R−4〕において不感脂化処理
で発現した−PO3 2 基は、膜の保水量は充分である
が、該親水基が高分子主鎖から疎水性である連結基を介
して結合しているために、膜の表面上の水との濡れ性が
印刷時に不充分なものとして表われるものと推定され
る。更に、耐刷性の評価を湿し水の種類を変えて行なっ
た結果、本発明のものは、湿し水の種類によらずいずれ
も、良好な印刷物が1万枚得られた。他方、比較例E−
7〜G−7のものは、湿し水(III)の場合のみ良好で、
他の湿し水では、程度の差こそあれ刷り出しよりインキ
付着の地汚れが発生し、更に刷り込んでも良化すること
はなかった。比較例H−7は、製版時の画質不良及び地
カブリのために、印刷原版としての性能が悪く、刷り出
しから、満足な画質の印刷物を得ることができなかっ
た。これらは、湿し水のpHの影響が大きく、親水化さ
れた親水基の解離定数と関係していると考えられる。つ
まり、比較例D−7でその影響が支配的であることか
ら、樹脂〔2R−3〕の−COOH基は高pH下では、
−COO- 基に解離した状態で存在し水との親和性が著
しく向上しているが、低pHになると解離した基の存在
量が低下してしまい、水との親和性が小さくなるためと
考えられる。即ち、生成する親水性基の解離定数(pK
a)の小さいものを併用しないと、湿し水の種類によっ
て保水性が大きく変動してしまう結果を招くことが判っ
た。 以上の事より、本発明の材料は、大型印刷機で印
刷されるPS版の湿し水でも印刷可能となったことか
ら、印刷機の清掃点検をすることなく、容易に他の印刷
版と共用して用いることが可能となった。 実施例7−3〜7−13 実施例7−1において、樹脂〔A−1〕32g及び樹脂
〔B6 −2〕8gの代わりに、下記表−Y1 の各樹脂
〔A〕32g及び樹脂〔B6 〕8gを用いた他は、実施
例7−1と同様に操作して各電子写真感光材料を作製し
た。
【0477】
【表119】
【0478】各感光材料の諸性能を、実施例7−1と同
様にして評価した。いずれも、実施例7−1の感光材料
と同様に環境条件が変動しても、良好な静電特性・撮像
性を示した。又、印刷版としての性能も、モルトン式・
シンフロー式のいずれの印刷機においても、刷り出しか
ら良好な保水性を示し、且つ耐刷性も1万枚を越えるも
のであった。 実施例7−14〜7−25 実施例7−1において、樹脂〔A−1〕、樹脂〔B6
2〕、樹脂〔2P−1〕及び架橋用化合物〔無水フタル
酸及びo−クロロフェノール〕の代わりに下記表−Z1
の各化合物を用いた他は、実施例7−1と同様に操作し
て、各感光材料を作製した。なお用いた樹脂〔P−1〕
〜〔P−12〕は実施例1−14〜1−25に記載され
ている。
【0479】
【表120】
【0480】
【表121】
【0481】各感光材料の諸性能を、実施例7−1と同
様にして評価した。いずれも、実施例7−1の感光材料
と同様に環境条件が変動しても、良好な静電特性・撮像
性を示した。又、印刷版としての性能も、モルトン式・
シンフロー式のいずれの印刷機においても、刷り出しか
ら良好な保水性を示し、且つ耐刷性も1万枚を越えるも
のであった。 実施例7−26 X型無金属フタロシアニン(大日本インキ(株)製)1
g、樹脂〔A−25〕8g、樹脂〔B6 −30〕2g、
樹脂〔2P−1〕0.3g及びテトラヒドロフラン80
g混合物を500mlのガラス容器にガラスビーズと共
に入れ、ペイントシェーカー(東洋精機製作所製)で6
0分間分散し、更にエチレングリコールジグリシジルエ
ーテル0.3gを加え、2分間分散した後ガラスビーズ
をろ別して感光層分散液とした。ついでこの分散液を導
電性処理および耐溶剤処理を施した0.2mm厚の紙版
マスター用原紙の上にワイヤーバーで塗布し、指触乾燥
した後、110℃循環式オーブンで、20秒間乾燥し
た。更に140℃で1時間加熱した。得られた感光層の
膜厚は8μmであった。静電特性を実施例7−1と同様
にして操作して評価した所、下記表−a1 の様に、良好
な結果を示した。
【0482】
【表122】
【0483】但し、上記評価中、D.R.R.,E1/10
及び撮像性については、下記の方法で行なった。 注)D.R.R.及びE1/10:温度20℃、65%RH
の暗室中で、感光材料にペーパーアナライザー(川口電
機(株)製ペーパーアナライザーSP−428型)を用
いて、−6kVで20秒間コロナ放電させた後、10秒
間放置し、この時の表面電位V10を測定した。次いでそ
のまま暗中で90秒間静置させた後の電位V100 を測定
し、90秒間暗減衰させた後の電位の保持性、即ち、暗
減衰保持率〔D.R.R.(%)〕を〔(V100
10)×100(%)〕で求めた。また、コロナ放電に
より光導電層表面を−500Vに帯電させた後、波長7
80nmの単色光で照射し、表面電位(V10)が1/1
0に減衰するまでの時間を求め、これから露光量E1/10
(erg/cm2 )を算出する。これを条件(I)とす
る。又、環境条件(30℃、80%RH)下でも同様の
操作を行なった。これを条件(II)とする。 注) 撮像性:感光材料を(20℃、65%RH)の条
件下で1昼夜放置した後、各感光材料を−6kVで帯電
し、光源として2.8mW出力のガリウム−アルミニウ
ム−ヒ素、半導体レーザー(発振波長780nm)を用
いて、感光材料表面上で64erg/cm2 の照射量下
で、ピッチ25μm及びスキャニング速度300m/s
ecのスピード露光後、アイソパーH(エッソスタンダ
ード社)1リットル中にポリメチルメタクリレート粒子
(粒子サイズ0.3μ)5gをトナー粒子として分散
し、荷電調節剤として大豆油レシチン0.01gを添加
して作製した液体現像剤:LD−2を用いて現像し、イ
ソパラフィンアイソパーG(エッソ化学(株)製)溶媒
のリンス液で洗浄後定着することで得られた複写画像
(カブリ、画像の画質)を目視評価した。これを条件
(I)とし、環境条件(30℃、80%RH)下での結
果を条件(II)とした。
【0484】次に、上記の方法で製版した版を、実施例
7−1と同一の条件で不感脂化処理し、印刷した。その
結果、刷り出し保水性(I)及び(II)のいずれも、良
好であった。又、耐刷性を調べた所、鮮明な印刷物が1
万枚以上得られた。 実施例7−27 実施例7−26において、樹脂〔A−25〕8g、樹脂
〔2P−1〕0.3g、及びエチレングリコールジグリ
シジルエーテル0.3gの代わりに、樹脂〔A−26〕
10.3gのみを用いた他は、実施例7−26と同様に
操作して感光材料を作製した。但し、膜の架橋は、加熱
(140℃、1時間)する代わりに下記方法で行なっ
た。 硬化方法:出力2Kwの超高圧水銀灯を光源として、感
光材料を光源より50cmの距離に静置し、光照射を
1.5分間行なった。本発明の感光材料の静電特性と印
刷特性を実施例7−26と同様の方法で評価した所、い
ずれも、実施例7−26の感光材料の場合と同様に良好
な結果を示した。 実施例7−28〜7−30 実施例7−1において、樹脂〔A−1〕32g、及び樹
脂〔B6 −2〕8gの代わりに、下記表−b1 の樹脂
〔A〕を各32g、及び樹脂〔B6 〕を8g用いた他
は、実施例7−1と同様にして、各感光材料を作製し
た。
【0485】
【表123】
【0486】各感光材料について、実施例7−1と同様
にして、静電特性及び印刷性を評価した所、いずれも、
実施例7−1の感光材料と同等の良好な結果を示した。 実施例7−31 樹脂〔A−30〕40g(固形分量として)、樹脂〔B
6 −31〕10g(固形分量として)、光導電性酸化亜
鉛200g、実施例2−31のシアニン色素〔I−2〕
0.018g無水フタル酸0.20g及びトルエン30
0gの混合物をホモジナイザー(日本精機(株)製)
中、回転数6×103 r.p.m.で7分間分散し、更
にこれに実施例2−31の架橋用化合物2.5gを加え
て回転数1×103 r.p.m.で1分間分散した。こ
れを導電処理した紙に、乾燥付着量が25g/m2 とな
る様に、ワイヤーバーで塗布し、110℃で10秒間乾
燥し、ついで暗所で50℃、80%RHの条件下で1週
間放置した。次に暗所で20℃,65%RHの条件下で
24時間放置することにより電子写真感光材料を作製し
た。比較例I−7 実施例7−31において、樹脂〔A−30〕40g及び
樹脂〔B6 −31〕10gの代わりに、樹脂〔A−3
0〕のみ50gを用いた他は、実施例7−31と同様に
して、電子写真感光材料を作製した。各感光材料につい
て、静電特性及び撮像性を実施例7−26と同様の操作
方法で行ない、他の評価項目については、実施例7−1
と同様にして行なった。
【0487】
【表124】
【0488】各感光材料の平滑性は良好であった。本発
明の感光材料の静電特性は、常温・常湿、高温・高湿で
も良好であった。他方、比較例I−7は、常温・常湿下
でも、D.R.R.,E1/10が低下し、高温・高湿で
は、更に劣化した。実際の撮像性は、本発明のものは、
環境条件によらず良好な複写画像が得られた。しかし、
比較例I−7では、常温・常湿では、実用可能なもので
あったが、高温・高湿では、地カブリ発生、及び画像の
劣化(濃度低下、細線・文字の欠落等)が著しく、実用
に供し得るものではなかった。更に、印刷原版として印
刷した所、本発明のものは、印刷機の種類によらず刷り
出しより、良好な印刷物が1万枚得られた。しかし、比
較例I−7は、条件IIの下で得た印刷原版は、刷り出し
より印刷物の画像は不良であった。 実施例7−32〜7−43 実施例7−31において、樹脂〔B6 −31〕10gの
代わりに下記表−d1の樹脂〔B6 〕を各10gに代え
た他は、実施例7−31と同様にして各感光材料を作製
した。
【0489】
【表125】
【0490】各感光材料を実施例7−31と同様にして
各特性を評価した所、いずれも実施例7−31と同等の
良好な結果を示した。 実施例7−44〜7−45 上記実施例で作成した各感光材料を用い、不感脂化処理
を下記のように操作してオフセット印刷版を作成した。
下記表−e1 の求核性化合物0.2モル、有機溶媒10
0g及びニューコールB4SN〔日本乳化剤(株)製〕
2gに蒸留水を加え1リットルとした後、混合物のpH
を13.5に調整した。各感光材料を、該処理液中に温
度35℃で3分間浸せきして、不感脂化処理を行なっ
た。得られたプレートを実施例7−1と同様の印刷条件
で印刷した。各感光材料とも実施例7−1の場合と同等
の良好な性能を示した。
【0491】
【表126】
【0492】
【発明の効果】本発明によって、地汚れのない、不感脂
化性の優れた、高耐刷性を有する平版印刷用原版を提供
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03G 5/09 101 9221−2H (31)優先権主張番号 特願平4−219553 (32)優先日 平4(1992)7月28日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平4−182834 (32)優先日 平4(1992)6月18日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平4−175944 (32)優先日 平4(1992)6月11日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平4−177762 (32)優先日 平4(1992)6月12日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 石井 一夫 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に、光導電性化合物及び
    結着樹脂を含有してなる光導電層を少なくとも1層設け
    てなる電子写真式平版印刷用原版において、該光導電層
    中の結着樹脂として、下記の結着樹脂〔A〕を少なくと
    も1種含有することを特徴とする電子写真式平版印刷用
    原版。 結着樹脂〔A〕:化学反応処理で−COOH基を生成す
    る官能基を少なくとも1種含有する重合体成分(a)及
    び該処理で−SO3 H基、−SO2 H基、−PO3 2
    基を生成する官能基から選ばれた少なくとも一種の官能
    基を含有する重合体成分(b)を含有し、更に熱及び/
    又は光硬化性基を少なくとも1種含有する重合体成分
    (c)から形成された架橋構造を有する共重合体。
  2. 【請求項2】 前記結着樹脂〔A〕の重合体成分(a)
    において、−COOH基を生成する官能基の少なくとも
    1種が該重合体の高分子主鎖に直接結合していることを
    特徴とする請求項1記載の電子写真式平版印刷用原版。
  3. 【請求項3】 前記結着樹脂〔A〕とともに、熱及び/
    又は光硬化性化合物を含有することを特徴とする請求項
    1又は2に記載の電子写真式平版印刷用原版。
  4. 【請求項4】 前記光導電層が光導電性酸化亜鉛及び/
    又は光導電性酸化チタンから成る光導電性化合物及び分
    光増感色素を含有することを特徴とする請求項1〜3の
    いずれかに記載の電子写真式平版印刷用原版。
  5. 【請求項5】 前記光導電層が更に下記結着樹脂〔B〕
    の少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1
    〜4のいずれかに記載の電子写真式平版印刷用原版。 結着樹脂〔B〕 1 ×103 〜 2×104 の重量平均分子量を有し、下記一般
    式(I)で示される繰返し単位に相当する重合体成分を
    30重量%以上含有し、且つ−PO3 2 、−SO
    3 H、−COOH、−P(=O)(OH)Q1 (Q1
    炭化水素基又は−OQ2 (Q2 は炭化水素基を表わす)
    を表わす)及び環状酸無水物基から選ばれる少なくとも
    1種の極性基を有する重合体成分を0.05〜15重量
    %含有する樹脂。 【化1】 〔式中、a1 ,a2 は各々、水素原子、ハロゲン原子、
    シアノ基又は炭化水素基を表わし、Q3 は炭化水素基を
    表わす。〕
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