JPH0695359B2 - 散乱光式煙感知器の機能試験装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、散乱光式煙感知器の機能試験装置に関する
ものである。

散乱光式煙感知器は、発光素子の投光面や光電素子の受
光面が汚れると失報を生じ、又、煙検出用暗箱の内壁面
が汚れると誤報を生じる。

そこで、散乱光式感知器は法令上定期的にその機能を点
検することが義務づけられており、従来次の方法でその
点検が行われている。

即ち、天井面などに設置されている煙感知器に加煙試験
器によって煙を加え煙感知器が所定時間内に動作するか
否かにより良否を判別する方法と、煙感知器を天井面か
ら取り外して煙感知器用感度試験器にセットし、この試
験器で煙検出用感度が正常範囲内にあるか否かを判別す
る方法である。

しかし、前者では、煙感知器の設置場所で加煙試験機を
操作する者と煙感知器が動作したか否かを受信機側で確
認判別する者との最低２名を必要とすると共に、煙感知
器の設置場所と受信機との間の連絡方法や加煙試験器か
ら発生する煙によって煙感知器が汚れてしまうなどの問
題がある。

後者では、天井面などに設置された煙感知器を１台１台
取り外して検査を行うためその手間が大変であると共
に、検査後の取り付け方が不十分で接触不良を起こした
り、或いは、付け忘れなどを生じたりする。

この発明は、上記の点に鑑み煙感知器の設置場所まで出
かけることなく受信機或いは中継器の設置場所などから
遠隔操作で、しかも１人の者で煙感知器の機能試験を行
える装置を提供することを目的とする。他の目的は、煙
感知器の機能のチェックを正確に行うと共に機能試験に
より煙感知器に支障が生じないようにすることを目的と
する。

本発明は、煙検出用発光素子と、該発光素子から直接受
光することのない位置に設けた煙検出兼試験用光電素子
からなる煙検出用光学系と；前記煙検出用発光素子の発
光と同期して発光させる試験用発光素子と、該発光素子
の光出力を直接受光し、かつ外光の影響を受けない位置
に配設された前記煙検出兼試験用光電素子からなる試験
用光学系と；内部に、前記両光学系のうち少なくとも煙
検出用光学系の光軸が位置する暗箱と；前記煙検出兼試
験用光電素子が接続され、前記煙検出用光学系の受光出
力と試験用光学系の受光出力を加算し、その合成受光出
力を測定する回路であって、煙検出用光学系の受光出力
により火災発生の有無を判別する火災監視と、前記煙検
出用光学系の受光出力と試験用光学系の受光出力を加算
してなる合成受光出力によって機能が正常か否かを判別
する機能監視と、を周期的に切り替えて行う回路と；を
有することを特徴とする散乱光式煙感知器の機能試験装
置、により前記目的を達成しようとするものである。

以下、本発明の第１実施例を図面により説明する。第１
図において、21は発光回路、22は煙検出用発光素子であ
り、該発光素子22にはスイッチ23を並列に備えた試験用
発光素子24を直列に接続する。煙検出用発光素子22と発
光回路21との間には、発光電流を変化させる切替スイッ
チ25を設ける。煙検出用発光素子22及び試験用発光素子
24の光は、光電素子26により受光し、該光電素子26は増
幅回路27に接続し、更に該増幅回路27をスイッチング回
路28に接続する。煙検出用発光素子22と光電素子26との
間には遮光板29を設け、煙検出用発光素子22の光を直接
受けないようにする。又、試験用発光素子24の光を直接
光電素子26が受光できるように光ファイバーなどの光学
路30を設ける。

次に、この実施例の作動につき説明すると、火災監視時
リレーで構成されているスイッチ23は閉じており、リレ
ーで構成される切替スイッチ25は接点25aに接続されて
おり、煙検出用発光素子22が発光する毎（パルス発光方
式の場合で、連続発光方法の場合には常時）に図示しな
い暗箱内壁面で乱反射（内部ノイズ光）が発生し、煙検
出兼試験用光電素子26がこの内部ノイブ光を受光してノ
イズ光出力を生じ、この出力のみが増幅回路27に入力す
る。

即ち、切替スイッチ25の接点25aに接続されている抵抗R
aは、火災監視時の煙検出用発光素子22の発光電流制限
抵抗となるので、火災監視時試験用発光素子24はスイッ
チ23の閉成により発光せず、煙検出用発光素子22のみが
発光する。図示しない暗箱内に煙が侵入すると、煙検出
用発光素子22の発光出力の煙による散乱光が生じ、煙検
出兼試験用光電素子26は内部ノイズ光の受光出力に煙に
よる散乱光受光出力を加えた受光出力を生じ、増幅回路
27により増幅されて得られた増幅回路27出力が、火災レ
ベルに達するとスイッチング回路28が動作して火災信号
を送出する。これが煙感知器の正常な状態である。仮
に、この感知器が10％の煙濃度で火災信号を送出し、内
部ノイズ光の強さが５％の煙濃度の量に相当するものと
すると、正常時には第２図（イ）に示すように内部ノイ
ズ光Ｎは５％であるので、煙濃度Ｓが10％に達すると、
その和は15％となり火災レベルに達し、スイッチング回
路９が動作して火災信号を送出する。

しかし、煙検出兼試験用光電素子26の受光面が汚れるな
どして第２図（ロ）に示すように内部ノイズ光Ｎの受光
出力が2.5％に低下すると、受光出力が火災レベルに達
するには煙濃度Ｓが12.5％（実際には汚染による減少分
を必要とするので12.5％以上）必要となり、又、暗箱内
壁面が汚れるなどして第２図（ハ）に示すように内部ノ
イズ光Ｎが7.5％に増加すると、煙濃度Ｓが7.5％で受光
出力は火災レベルに達する。

そこで、内部ノイズ光の煙濃度換算値５％を正常状態の
基準レベルとし、その±2.5％つまり５±2.5％の範囲内
を正常レベル範囲とし、内部ノイズ光が煙濃度換算値2.
5％以下（正常レベル下限値）となったとき失報状態と
し、又、内部ノイズ光が煙濃度換算値7.5％以上（正常
レベル上限値）となったとき、誤報状態とし、更に内部
ノイズ光が正常レベルの下限値と上限値との間にあると
き、正常状態とする。この状態を判別するため不作動試
験および作動試験とする。

即ち、煙検出用発光素子22は抵抗Raを通じて供給される
発光電流により第３図（１）（イ）に示す発光量で発光
している。

この時、煙検出兼試験用光電素子26は、機能が正常、従
って内部ノイズ光の強さが正常レベル範囲内にあれば、
第３図（３）（４）（イ）に示す受光出力を生じ、暗箱
内壁面へのゴミの堆積などにより内部ノイズ光が増大す
ると煙検出兼試験用光電素子26の受光出力は第３図
（５）（イ）に示す様になり、又、煙検出兼試験用光電
素子26の受光面がが汚れると、その受光出力は、第３図
（６）（イ）に示すようになる。図示しない受信機から
の制御命令（試験信号）などによりスイッチ23を開放す
ると、試験用発光素子24は煙検出用発光素子22と共に発
光し、試験用発光素子24の光出力が光学路30を介して煙
検出兼試験用光電素子26に受光され、該合成受光出力は
増幅回路27に入力して増幅された後スイッチング回路28
に出力される。この感知器の機能の検査は、リレーなど
で構成される切替スイッチ25の接点25b、25cに抵抗値の
異なる抵抗Rb、Rcを接続し切替スイッチ25により各々切
り替えることにより発光電流を調整して行う。

不作動試験の場合は煙検出兼試験用光電素子26の火災監
視時における受光出力が第３図（３）（イ）に示すよう
に正常レベルの上限近くにある場合に試験時の受光出力
が火災レベルに達しないように又、火災監視時の受光出
力が第３図（５）（イ）に示すように正常レベルの上限
値を僅かに越えているときには試験時の受光出力が火災
レベルに達するよう抵抗Rbを調整し、作動試験の場合は
煙検出兼試験用光電素子26の火災監視時の受光出力が第
３図（４）（イ）に示すように正常レベルの下限値近く
にある場合に、試験時の受光出力が火災レベルに達する
ように、又、火災監視時の受光出力が第３図（６）
（イ）に示すように正常レベルの下限値を僅かに下回っ
ている時は、試験時の受光出力が火災レベルに達しない
よう抵抗Rcを調整する。不作動試験の場合には、切替ス
イッチ25を接点25bに接続し、抵抗Rbを通じて煙検出用
発光素子22と試験用発光素子24に発光電流を供給する。
この時、煙検出用発光素子22は第３図（１）（ロ）に、
また、試験用発光素子24は第３図（２）（ロ）に示す発
光量でそれぞれ発光する。煙検出兼試験用光電素子26
は、試験用発光素子24からの直接光と、煙検出用発光素
子22から発せられた光の壁面乱反射光とを受光し、機能
が正常であれば第３図（３）（ロ）、又は（４）（ロ）
に示す受光出力を生じ、内部ノイズ光が増大するような
状態であれば第３図（５）（ロ）に示す受光出力を生
じ、煙検出兼試験用光電素子26の受光面が汚れている
と、第３図（６）（ロ）に示す受光出力を生じる。

作動試験の場合は切替スイッチ25は接点25b及び接点25c
に接続し、抵抗Rb及び抵抗Rcを煙検出用発光素子22と試
験用発光素子24に発光電流を供給する。

この時煙検出用発光素子22は第３図（１）（ハ）、又、
試験用発光素子24は第３図（２）（ハ）、に示す発光量
でそれぞれ発光する。

煙検出兼試験用光電素子26は両発光素子22、24からの光
を受光し、機能が正常であれば第３図（３）（４）
（ハ）に示す受光出力を生じ、内部ノイズ光が増大する
ような状態であれば第３図（５）（ハ）に示す受光出力
を生じ、光電素子26の受光面が汚れていると第３図
（６）（ハ）に示す受光出力を生じる。そして、不作動
試験時に合成受光出力が不作動レベルにあるときは正常
信号を、又、作動レベルにあるときは異常信号を図示し
ない受信機などに送出し、作動試験時に合成受光出力が
不作動レベルにあるときは異常信号を、又、作動レベル
にあるときは正常信号を受信機に送出する。

このように受信機からの制御命令でスイッチ23ならびに
切替スイッチ25を切り替える事により、簡単に煙感知器
の作動不作動試験を行い、感知機能の正常、異常を判断
することができる。

なお、光電素子として太陽電池以外の素子を用いる場合
でも前記と同様に感知機能の正常、異常を判別できる。
又、試験出用発光素子24と煙検出兼試験用光電素子26を
図中に示した様に光ファイバーなどの光学路で接続する
ことにより試験用発光素子24の設置位置を自由に選ぶこ
とも可能である。なお、煙感知器毎に、例えば異なる周
波数の発振器などで構成されるアドレス回路を設けて感
知器より出力する信号に変調をかけるなどすれば、どの
感知器からの信号かを判別することができる。

次に、本発明の第２実施例を第４図により説明する。こ
の実施例と第１実施例の異なる点は、増幅回路27に比較
回路31を接続し、更に該比較回路31に記憶回路32を接続
し、通常は火災監視と機能検査の両方を行い、機能検査
の結果を記憶しておき、図示しない受信機などからの試
験信号を受信すると、機能検査の結果の記憶に基づいて
正常信号又は異常信号を送出するようにした点である。
通常は図示しないリレーがオン、オフを繰り返しスイッ
チ23を開閉する。増幅回路27には、リレーがオフのとき
にスイッチ13は閉成状態にあるので、煙検出用発光素子
22の発光による受光出力のみが入力して火災監視を行
い、リレーがオンのときにはスイッチ23は開閉状態にあ
るので、煙検出用発光素子22の発光による受光出力に試
験用発光素子24の発光による受光出力が加算された合成
受光出力が入力し機能検査を行い、その検査の結果を記
憶回路32に記憶する。機能判別は、比較回路31により行
い、増幅回路27の受光出力が失報レベルである正常レベ
ル範囲の下限値に達したか否か、又は誤報レベルである
正常レベル範囲の上限値に達したか否かを判別する。リ
レーがオフのときは、切替スイッチ25は接点25aに接続
し、抵抗Raを通じて大電流I₁の発光電流が流れる。

この時、スイッチ23は閉成となるので試験用発光素子24
は短絡状態となり、煙検出用発光素子22にのみ発光電流
I₁が流れ、大発光量となる。この光によるノイズ光は煙
検出兼試験用光電素子26に受光され、該受光出力は増幅
回路27に入力する。リレーがオンになると、スイッチ23
が開成となり試験用発光素子24の短絡が解除されると共
に、切替スイッチ25が接点25bに接続し、抵抗Rbを通じ
て小電流I₂の発光電流が煙検出用発光素子22と試験用発
光素子24に供給される。この発光電流I₂により煙検出用
発光素子22と試験用発光素子24は小発光量で発光し、煙
検出兼試験用光電素子26は煙検出用発光素子22の発光に
よるノイズ光と試験用発光素子24の直接光とを受けて合
成受光出力を増幅回路27に入力する。図示しない受信機
（又は中継器）などから試験信号を受信すると、リレー
がオン状態となりスイッチ23は開成し、増幅回路27には
煙検出用発光素子22と試験用発光素子24との発光による
受光出力が加算されて入力する。この時、その直前まで
受光出力が正常レベル範囲内であり、かつ、全回路が正
常であれば正常信号が信号機に送出され、その直前の受
光出力が誤報状態にあると、正常信号とは異なる繰り返
し周波数などの異常信号を受信機などに送出する。

又、その直前の受光出力が失報状態にあると異常信号が
受信機などに送出される。

なお、例えば煙検出用発光素子22が断線などにより発光
を停止して煙検出用発光素子22と試験用発光素子24がと
もに発光しなくなって受光出力を生じなくなるか、或い
は、スイッチング回路28が故障するなどすると、受信機
などから試験信号を受信しても受信機などへ信号を送出
しない（無信号）での感知器の故障を知ることができ
る。なお、図中21は発光回路、28はスイッチング回路、
29は遮光板、30は光ファイバーなどの光学路、である。

又、第１及び第２の実施例で試験用発光素子24の光を光
学路30によって光電素子26に導くようにしたが、発光素
子24を光電素子26と対向配置するなどして光学路30を介
さずに直接供給するようにしてもよい。

本発明は、煙検出用光学系と試験用光学系と、前記煙検
出用光学系の受光出力と試験用光学系の受光出力を加算
して合成受光出力を測定する回路とを有するので、機能
試験する際煙感知器を天井から取り外したり、煙感知器
に加煙する必要はない。従って、１人で受信機などを操
作することにより煙感知器の機能試験を行うことができ
る。

又、加煙しないで試験するので光学素子の受光面の汚れ
も生じない。

更に、本発明は上述の構成なので、端に煙感知器の正
常、異常が判別できるだけでなく、その異常状態が失報
状態か、誤報状態か、更には、感知器の故障（発光素子
の断線など）か否かを正確に判断できる。更に述べる
と、発光素子を煙検出用と試験用との両光学系に各別に
設けたので、試験用発光素子を試験時のみ煙検出用発光
素子と同期して発光させ試験用発光素子のみを煙検出兼
試験用光電素子に直接照射させることができる。

また、試験用発光素子が煙検出兼試験用光電素子を直接
照射すると共に機能監視時のみ発光するため試験用発光
素子に供給する発光電流を調節することができるので、
より正確な機能検査が可能である。更に、火災監視と機
能監視を交互に、即ち、機能監視を常時周期的に行うこ
とが出来る。その結果、火災監視と並行して機能監視が
行われるので実質的に機能監視が行われることになる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第４図は夫々異なる本発明の実施例を示すブロ
ック図、第２図は第１図の実施例の煙濃度と火災レベル
などとの関係を示す図、第３図は第１図の発光素子の発
光量及び光電素子の受光出力と火災レベルなどとの関係
を示す図である。 22……煙検出用発光素子 24……試験用発光素子 26……煙検出兼試験用光電素子

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】煙検出用発光素子と、該発光素子から直接
   受光することのない位置に設けた煙検出兼試験用光電素
   子からなる煙検出用光学系と； 前記煙検出用発光素子の発光と同期して発光される試験
   用発光素子と、該発光素子の光出力を直接受光し、か
   つ、外光の影響を受けない位置に配設された前記煙検出
   兼試験用光電素子からなる試験用光学系と； 内部に、前記両光学系のうち少なくとも煙検出用光学系
   の光軸が位置する暗箱と； 前記煙検出兼試験用光電素子が接続され、前記煙検出用
   光学系の受光出力と試験用光学系の受光出力を加算し、
   その合成受光出力を測定する回路であって、煙検出用光
   学系の受光出力により火災発生の有無を判別する火災監
   視と、前記煙検出用光学系の受光出力と試験用光学系の
   受光出力を加算してなる合成受光出力によって機能が正
   常か否かを判別する機能監視と、を周期的に切り替えて
   行う回路と； を有することを特徴とする散乱光式煙感知器の機能試験
   装置。
2. 【請求項２】合成受光出力を測定する回路が、試験信号
   の入力により試験信号受信直前の機能監視結果が正常の
   ときは正常信号を、異常のときは異常信号を機能監視結
   果として出力することを特徴とする特許請求の範囲第１
   項に記載の散乱光式煙感知器の機能試験装置。