JPH0694583B2 - 耐熱オーステナイト鋳鋼 - Google Patents
耐熱オーステナイト鋳鋼Info
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- JPH0694583B2 JPH0694583B2 JP59206260A JP20626084A JPH0694583B2 JP H0694583 B2 JPH0694583 B2 JP H0694583B2 JP 59206260 A JP59206260 A JP 59206260A JP 20626084 A JP20626084 A JP 20626084A JP H0694583 B2 JPH0694583 B2 JP H0694583B2
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- austenitic cast
- resistant austenitic
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- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C38/00—Ferrous alloys, e.g. steel alloys
- C22C38/18—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium
- C22C38/40—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium with nickel
- C22C38/44—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium with nickel with molybdenum or tungsten
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C38/00—Ferrous alloys, e.g. steel alloys
- C22C38/001—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing N
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C38/00—Ferrous alloys, e.g. steel alloys
- C22C38/18—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium
- C22C38/40—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium with nickel
- C22C38/46—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium with nickel with vanadium
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Description
【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は耐熱性に優れたオーステナイト鋳鋼に関する。
オーステナイト鋼は耐食性に優れることから、腐食環境
下で多く使用されている。また、フェライト鋼に比べる
と機械的性質の温度依存性が小さいことから、強度的な
使用限界温度はフェライト鋼より高くできるとされてお
り、その応用範囲は拡がる傾向にある。しかしながら、
オーステナイト鋼は、強度の温度依存性は小さいもの
の、強度レベルはフェライト鋼に比べ低いためSUS304や
SUS316などの従来型のオーステナイト鋼を高温度域で使
用するためには、強度を補うために部品の肉厚を厚く
し、所定の強度を確保しなければならない。その結果、
部品の重量増加を招き、大型部品の場合には、輸送や架
設が複雑で困難になる。さらに、加熱時には厚肉部品の
内外面で大きな不均一熱分布を発生し、くり返しの加
熱,冷却を受ける場合には、熱疲労が加速されるという
欠点を有している。従って、オーステナイト鋼の使用限
界温度を上げるためには、室温,高温での機械的特性を
向上させることが必須である。
下で多く使用されている。また、フェライト鋼に比べる
と機械的性質の温度依存性が小さいことから、強度的な
使用限界温度はフェライト鋼より高くできるとされてお
り、その応用範囲は拡がる傾向にある。しかしながら、
オーステナイト鋼は、強度の温度依存性は小さいもの
の、強度レベルはフェライト鋼に比べ低いためSUS304や
SUS316などの従来型のオーステナイト鋼を高温度域で使
用するためには、強度を補うために部品の肉厚を厚く
し、所定の強度を確保しなければならない。その結果、
部品の重量増加を招き、大型部品の場合には、輸送や架
設が複雑で困難になる。さらに、加熱時には厚肉部品の
内外面で大きな不均一熱分布を発生し、くり返しの加
熱,冷却を受ける場合には、熱疲労が加速されるという
欠点を有している。従って、オーステナイト鋼の使用限
界温度を上げるためには、室温,高温での機械的特性を
向上させることが必須である。
特に複雑形状をした大型構造物は熱間鍛造や冷間加工が
困難なため、鋳物品が多く用いられるが、鋳物品は熱間
鍛造材や熱間圧延材,冷間加工材に比べ、強度はさらに
低く、大型部材に鋳物材を用いる場合は肉厚を一層厚く
しなければならない。また、鋳物材は鍛造材に比べ鍛造
などの加工を加えないため偏折を生じやすく、添加元素
量の制約を受けること、結晶粒を小さくできないことな
ども強度を向上できない理由に挙げられる。さらにNi基
合金にみられるようなγ1の積極的な析出による強度の
向上は、材料の伸び,絞りの低下を招くばかりか、熱処
理が複雑になる欠点がある。特に鋳鋼品のように、鍛造
欠陥を避けることが困難な場合には欠陥部の補修溶接時
に析出形態が変化し、材料特性の劣化をきたすため、鋳
物材での積極的な析出強度は難しい。
困難なため、鋳物品が多く用いられるが、鋳物品は熱間
鍛造材や熱間圧延材,冷間加工材に比べ、強度はさらに
低く、大型部材に鋳物材を用いる場合は肉厚を一層厚く
しなければならない。また、鋳物材は鍛造材に比べ鍛造
などの加工を加えないため偏折を生じやすく、添加元素
量の制約を受けること、結晶粒を小さくできないことな
ども強度を向上できない理由に挙げられる。さらにNi基
合金にみられるようなγ1の積極的な析出による強度の
向上は、材料の伸び,絞りの低下を招くばかりか、熱処
理が複雑になる欠点がある。特に鋳鋼品のように、鍛造
欠陥を避けることが困難な場合には欠陥部の補修溶接時
に析出形態が変化し、材料特性の劣化をきたすため、鋳
物材での積極的な析出強度は難しい。
ところで、石炭や石油を燃料とする火力発電プラントで
は熱効率を向上させるため、蒸気条件の一層の高温,高
圧化(例えば1100゜F,352気圧)が推進されており、そ
こに用いられるタービン部材もその対応が要請されてい
る。しかしタービン構成用部材として従来用いられてい
るCr−Mo−Vなどのマルテンサイト鋳鋼は高温下での強
度は不足であり、より高温特性のよい耐熱オーステナイ
ト鋳鋼に移行されようとしている。また、タービン構造
用部材のうちケーシングは蒸気圧力による負荷を受ける
ため、高圧力蒸気条件下で使用するには、さらに強度向
上が要求される。
は熱効率を向上させるため、蒸気条件の一層の高温,高
圧化(例えば1100゜F,352気圧)が推進されており、そ
こに用いられるタービン部材もその対応が要請されてい
る。しかしタービン構成用部材として従来用いられてい
るCr−Mo−Vなどのマルテンサイト鋳鋼は高温下での強
度は不足であり、より高温特性のよい耐熱オーステナイ
ト鋳鋼に移行されようとしている。また、タービン構造
用部材のうちケーシングは蒸気圧力による負荷を受ける
ため、高圧力蒸気条件下で使用するには、さらに強度向
上が要求される。
さらに、化学プラントやボイラーにおいても同様な理由
から使用条件は荷酷になってきており高温,高圧環境下
でも強度的に耐えられるオーステナイト鋼が要望されて
いる。
から使用条件は荷酷になってきており高温,高圧環境下
でも強度的に耐えられるオーステナイト鋼が要望されて
いる。
このように、鋼の使用環境が変化しているにも拘らず既
存のオーステナイト鋳鋼は特に耐力やクリープ破断強
さ,伸び,絞りなどが不足しているため、さらに高い耐
力,クリープ破断強さ,伸び,絞りなどを有するオース
テナイト鋳鋼の開発が強く要望されている。
存のオーステナイト鋳鋼は特に耐力やクリープ破断強
さ,伸び,絞りなどが不足しているため、さらに高い耐
力,クリープ破断強さ,伸び,絞りなどを有するオース
テナイト鋳鋼の開発が強く要望されている。
本発明はこのような点に鑑みてなされたもので鋳造品と
して優れた耐熱強度を有するオーステナイト鋳鋼を提供
することにある。また本発明の他の目的は合金元素を調
整することにより、結晶粒を微細化し機械的性質を向上
させた耐熱オーステナイト鋳鋼を提供することにある。
して優れた耐熱強度を有するオーステナイト鋳鋼を提供
することにある。また本発明の他の目的は合金元素を調
整することにより、結晶粒を微細化し機械的性質を向上
させた耐熱オーステナイト鋳鋼を提供することにある。
本発明は重量パーセントで0.15%以下の炭素、2.0%以
下のシリコン、3.0%以下のマンガン、0.02〜0.5%の窒
素、6〜15%のニッケル、15〜22%のクロム、0.01〜0.
1%のバナジウム、0.5%を越え5%以下のモリブデン、
残部が実質的に鉄よりなるオーステナイト鋳鋼、あるい
は上記組成にさらに0.01〜1.0%のニオブ、0.002〜0.5
%のチタン、0.0005〜0.01%のボロン、0.5〜5%のタ
ングステンのうちの少なくとも一種を含むオーステナイ
ト鋳鋼、さらにはNi当量を16〜24%、Cr当量を18〜24%
となるように上記組成を調整したオーステナイト鋳鋼で
ある。
下のシリコン、3.0%以下のマンガン、0.02〜0.5%の窒
素、6〜15%のニッケル、15〜22%のクロム、0.01〜0.
1%のバナジウム、0.5%を越え5%以下のモリブデン、
残部が実質的に鉄よりなるオーステナイト鋳鋼、あるい
は上記組成にさらに0.01〜1.0%のニオブ、0.002〜0.5
%のチタン、0.0005〜0.01%のボロン、0.5〜5%のタ
ングステンのうちの少なくとも一種を含むオーステナイ
ト鋳鋼、さらにはNi当量を16〜24%、Cr当量を18〜24%
となるように上記組成を調整したオーステナイト鋳鋼で
ある。
ここで本発明に係る耐熱オーステナイト鋳鋼の組成限定
理由について説明する。
理由について説明する。
炭素(C):Cはオーステナイト相を安定にし、鋳鋼を強化
するために多い程有効であるが、0.15%を越えて添加す
ると偏析を生じ1000℃以上の高温で均質化処理を施して
も偏析は消えず、機械的性質,耐食性を劣化させること
から上限を0.15%とする。クリープ破断強さの点からは
0.03〜0.12%が望ましいが、クリープ破断伸び,絞りの
観点からは0.04%を越え0.08%未満とすることが望まし
い。
するために多い程有効であるが、0.15%を越えて添加す
ると偏析を生じ1000℃以上の高温で均質化処理を施して
も偏析は消えず、機械的性質,耐食性を劣化させること
から上限を0.15%とする。クリープ破断強さの点からは
0.03〜0.12%が望ましいが、クリープ破断伸び,絞りの
観点からは0.04%を越え0.08%未満とすることが望まし
い。
シリコン(Si):シリコンは製鋼時に脱酸剤として作用す
るとともに鋳鋼の湯流れ性をよくし、溶接性をよくする
ために必要な元素であるが、多量の添加は靭性を害する
ことから上限を2.0%とする。また、少なすぎると湯流
れ性を悪くし、ピンホールを発生させることから、望ま
しくは0.1〜0.9%であり、さらに望ましくは0.3〜0.7%
である。
るとともに鋳鋼の湯流れ性をよくし、溶接性をよくする
ために必要な元素であるが、多量の添加は靭性を害する
ことから上限を2.0%とする。また、少なすぎると湯流
れ性を悪くし、ピンホールを発生させることから、望ま
しくは0.1〜0.9%であり、さらに望ましくは0.3〜0.7%
である。
マンガン(Mn):マンガンはシリコン同様製鋼時に脱酸剤
として使用するとともにオーステナイト生成元素として
オーステナイト相を安定化させるが、多量に添加すると
耐酸化熱性などの耐食性を害すること、強度向上の効果
が少ないか、もしくは劣化させることから上限を3.0%
とする。望ましくは0.2〜2.4%とすることが良いが、さ
らに望ましくは、0.5〜1.9%とすることがよい。
として使用するとともにオーステナイト生成元素として
オーステナイト相を安定化させるが、多量に添加すると
耐酸化熱性などの耐食性を害すること、強度向上の効果
が少ないか、もしくは劣化させることから上限を3.0%
とする。望ましくは0.2〜2.4%とすることが良いが、さ
らに望ましくは、0.5〜1.9%とすることがよい。
窒素(N):窒素はオーステナイト相を安定にするととも
にオーステナイト中に固溶したり、あるいは熱処理によ
り窒化物を形成し耐力やクリープ破断強さを向上させる
ため0.02%以上の添加が必要であるが、過剰に添加する
と製鋼やその後の溶接時にピンホールやブローホールを
形成するとともに粒界に窒化物を形成してクリープ破断
強さやクリープ破断伸びや絞り、さらには靭性を害する
ことから上限を0.5%とする。特に鋳鋼では鍛鋼のよう
に鍛造によりピンホールやブローホールをつぶすことが
できないことから、ピンホール,ブローホールは極力避
けなければならず望ましくは0.08〜0.35%とすることが
良いが、さらに望ましくは0.11〜0.25%とすることがよ
い。また、工業的な窒素添加法を考えれば0.11〜0.2%
とすることがよい。
にオーステナイト中に固溶したり、あるいは熱処理によ
り窒化物を形成し耐力やクリープ破断強さを向上させる
ため0.02%以上の添加が必要であるが、過剰に添加する
と製鋼やその後の溶接時にピンホールやブローホールを
形成するとともに粒界に窒化物を形成してクリープ破断
強さやクリープ破断伸びや絞り、さらには靭性を害する
ことから上限を0.5%とする。特に鋳鋼では鍛鋼のよう
に鍛造によりピンホールやブローホールをつぶすことが
できないことから、ピンホール,ブローホールは極力避
けなければならず望ましくは0.08〜0.35%とすることが
良いが、さらに望ましくは0.11〜0.25%とすることがよ
い。また、工業的な窒素添加法を考えれば0.11〜0.2%
とすることがよい。
ニッケル(Ni):ニッケルは鋼の組織をオーステナイトに
すると同時に耐食性,溶接性をよくするために必須な元
素で少なくとも6%は必要である。しかしCr量との兼ね
あいで、過乗に添加するとクリープ破断強さやクリープ
破断伸び,絞りを急激に減少させるため15%以下の添加
とする必要がある。オーステナイトの安定,クリープ破
断強さ,クリープ破断伸び,絞りの観点から望ましくは
8.5〜13.5%とすることがよいが、Cr量を16〜20%とし
た場合には9〜12.5%とすることがよく、さらには9.5
〜11.5%とすることがよい。
すると同時に耐食性,溶接性をよくするために必須な元
素で少なくとも6%は必要である。しかしCr量との兼ね
あいで、過乗に添加するとクリープ破断強さやクリープ
破断伸び,絞りを急激に減少させるため15%以下の添加
とする必要がある。オーステナイトの安定,クリープ破
断強さ,クリープ破断伸び,絞りの観点から望ましくは
8.5〜13.5%とすることがよいが、Cr量を16〜20%とし
た場合には9〜12.5%とすることがよく、さらには9.5
〜11.5%とすることがよい。
クロム(Cr):クロムは室温,高温の強度を高めるととも
に、耐食性,耐酸化性を向上させるために15%以上必要
であるが多量に添加すると高温で長時間使用するとシグ
マ相を生成し靭性を害すること、およびフェライト相を
形成しオーステナイト単相を得難くすることから上限を
22%とする。Ni量とのバランスおよびN添加を容易にす
ることを考慮すると16〜19.5%とすることが望ましく、
さらには16〜18.5%とすることが望ましい。
に、耐食性,耐酸化性を向上させるために15%以上必要
であるが多量に添加すると高温で長時間使用するとシグ
マ相を生成し靭性を害すること、およびフェライト相を
形成しオーステナイト単相を得難くすることから上限を
22%とする。Ni量とのバランスおよびN添加を容易にす
ることを考慮すると16〜19.5%とすることが望ましく、
さらには16〜18.5%とすることが望ましい。
バナジウム(V):バナジウムは本発明において特に重要
な元素でオーステナイト相中に固溶したり、あるいは窒
素や炭素と作用して微細な析出物を形成させクリープ破
断強さ,クリープ破断伸びや絞りを向上させるために0.
01%以上の添加が必要であるが、過剰に添加すると偏析
を生じ1000℃以上の高温で均質化処理を施しても偏析が
消えずクリープ破断強さやクリープ破断伸び,絞りを低
下させることから上限を1.0%とする。高温での機械的
性質を考慮すると、0.03〜0.5%とすることが望ましい
が、さらにクリープ破断絞りの観点からは0.05〜0.35%
とすることが望ましい。
な元素でオーステナイト相中に固溶したり、あるいは窒
素や炭素と作用して微細な析出物を形成させクリープ破
断強さ,クリープ破断伸びや絞りを向上させるために0.
01%以上の添加が必要であるが、過剰に添加すると偏析
を生じ1000℃以上の高温で均質化処理を施しても偏析が
消えずクリープ破断強さやクリープ破断伸び,絞りを低
下させることから上限を1.0%とする。高温での機械的
性質を考慮すると、0.03〜0.5%とすることが望ましい
が、さらにクリープ破断絞りの観点からは0.05〜0.35%
とすることが望ましい。
モリブデン(Mo):モリブデンはVやNb、Ti、W、Bを添
加したときのクリープ破断強さやクリープ破断伸び,絞
りをさらに向上させるために0.5%を越える添加が必須
である。過剰に添加するとフェライト相を生成したり偏
析を生じたりして高温での特性を低下させることから上
限を5%とする。フェライト相の形成、偏析および高温
特性の観点からは0.5%を越え、3.5%以下とすることが
望ましいが、さらには1.5〜3.0%とすることが望まし
い。
加したときのクリープ破断強さやクリープ破断伸び,絞
りをさらに向上させるために0.5%を越える添加が必須
である。過剰に添加するとフェライト相を生成したり偏
析を生じたりして高温での特性を低下させることから上
限を5%とする。フェライト相の形成、偏析および高温
特性の観点からは0.5%を越え、3.5%以下とすることが
望ましいが、さらには1.5〜3.0%とすることが望まし
い。
ニオブ(Nb):ニオブはクリープ破断強さを向上させ、二
次クリープ速度を抑えるために0.01%以上の添加が必要
であるが、過剰の添加は局部的にフェライト相を生成さ
せたり、偏析を生じ1000℃以上の熱処理を加えても均質
化されずクリープ破断強さや、クリープ破断伸び,絞り
を低下させることから上限を0.5%とする。偏析,高温
特性を考慮すると0.02〜0.3%とすることが望ましくさ
らには0.02〜0.15%とすることが望ましい。
次クリープ速度を抑えるために0.01%以上の添加が必要
であるが、過剰の添加は局部的にフェライト相を生成さ
せたり、偏析を生じ1000℃以上の熱処理を加えても均質
化されずクリープ破断強さや、クリープ破断伸び,絞り
を低下させることから上限を0.5%とする。偏析,高温
特性を考慮すると0.02〜0.3%とすることが望ましくさ
らには0.02〜0.15%とすることが望ましい。
チタン(Ti):チタンはクリープ破断強さを向上させるた
めに0.002%以上の添加が必要であるが、過剰の添加は
偏析を生じ、クリープ破断伸びや絞りを低下させること
から上限を0.5%とする。高温特性の観点からは0.02〜
0.3%とすることが望ましいが、さらには0.02〜0.15%
とすることが望ましい。
めに0.002%以上の添加が必要であるが、過剰の添加は
偏析を生じ、クリープ破断伸びや絞りを低下させること
から上限を0.5%とする。高温特性の観点からは0.02〜
0.3%とすることが望ましいが、さらには0.02〜0.15%
とすることが望ましい。
ボロン(B):ボロンは、クリープ破断強さを向上させ、
3次クリープでの伸びを向上させるために0.0005%以上
の添加が必要であるが、過剰に添加すると粒界を脆弱に
することから上限を0.01%とする。さらに望ましくは0.
003〜0.007%である。
3次クリープでの伸びを向上させるために0.0005%以上
の添加が必要であるが、過剰に添加すると粒界を脆弱に
することから上限を0.01%とする。さらに望ましくは0.
003〜0.007%である。
タングステン(W):タングステンはオーステナイト相中
に固溶して、クリープ破断強度を向上させるために0.5
%以上の添加が必要であるが、過剰に添加しても大巾な
効果向上は得難いばかりでなく、比重が大きいため、大
型部材として用いた場合には偏析を生じやすくなるた
め、上限を5%とする。望ましくは1〜3%とすること
がよい。
に固溶して、クリープ破断強度を向上させるために0.5
%以上の添加が必要であるが、過剰に添加しても大巾な
効果向上は得難いばかりでなく、比重が大きいため、大
型部材として用いた場合には偏析を生じやすくなるた
め、上限を5%とする。望ましくは1〜3%とすること
がよい。
残部は不可避的に入る不純物としてはP,S,Alなどである
が、これらの元素は粒界を脆弱にすることから、極力避
ける必要があり、望ましくは不純物の総量として0.05%
以下とすることがよい。
が、これらの元素は粒界を脆弱にすることから、極力避
ける必要があり、望ましくは不純物の総量として0.05%
以下とすることがよい。
また、本発明の鋳鋼の場合は添加成分を調整することに
より従来鋳鋼では得難かった細かい結晶粒が得られる
が、さらに均一な微細粒を得るためには(%Ni)+30×
(%C)+25.7×(%N)+0.5×(%Mn)で表わせるN
i当量が16〜24%、(%Cr)+1.2×(%Si)+(%Mo)
+5×(%V)+0.5×(%Nb)+0.75(%W)+1.5×
(%Ti)+40×(%B)で表わせるCr当量が18〜24%と
なるようにする事が好ましい。さらに望ましくはNi当量
を16〜22%に、Cr当量を19〜23%とすることがよい。こ
れらの細粒化により耐力,伸び,絞りや高温特性の一層
の向上ができるばかりでなく熱疲労に対しても有効であ
る。さらには、結晶粒を微細化させることにより、部材
の鋳造欠陥を検査するための超音波探傷が可能となる利
点がある。機械的性質の点からは平均結晶粒面積が2mm2
以下が望ましく、さらには1mm2以下とする事が好まし
い。
より従来鋳鋼では得難かった細かい結晶粒が得られる
が、さらに均一な微細粒を得るためには(%Ni)+30×
(%C)+25.7×(%N)+0.5×(%Mn)で表わせるN
i当量が16〜24%、(%Cr)+1.2×(%Si)+(%Mo)
+5×(%V)+0.5×(%Nb)+0.75(%W)+1.5×
(%Ti)+40×(%B)で表わせるCr当量が18〜24%と
なるようにする事が好ましい。さらに望ましくはNi当量
を16〜22%に、Cr当量を19〜23%とすることがよい。こ
れらの細粒化により耐力,伸び,絞りや高温特性の一層
の向上ができるばかりでなく熱疲労に対しても有効であ
る。さらには、結晶粒を微細化させることにより、部材
の鋳造欠陥を検査するための超音波探傷が可能となる利
点がある。機械的性質の点からは平均結晶粒面積が2mm2
以下が望ましく、さらには1mm2以下とする事が好まし
い。
本発明では、鋳造品として室温,高温において機械的性
質に優れた耐熱オーステナイト鋳鋼を得る事ができる。
質に優れた耐熱オーステナイト鋳鋼を得る事ができる。
高周波誘導溶解炉により第1表および第2表に示す化学
組成を有する鋳鋼を溶製後、1100℃,24時間の均質化処
理、次いで炉冷した後さらに800℃で8時間の安定化処
理を行なった。なお鋳鋼の溶製に際しては金型モールド
を用い、直径50mmのインゴットを得た。
組成を有する鋳鋼を溶製後、1100℃,24時間の均質化処
理、次いで炉冷した後さらに800℃で8時間の安定化処
理を行なった。なお鋳鋼の溶製に際しては金型モールド
を用い、直径50mmのインゴットを得た。
比較例1は市販のオーステナイト系SUS316相当の鋳鋼で
同様な熱処理を施してある。
同様な熱処理を施してある。
これらの鋳鋼について室温引張試験,クリープ破断試験
及び組織観察を行ない各特性を評価した。これらの結果
を第3表、第4表、および第5表に示す。結晶粒の大き
さは、平均粒面積で表わした。
及び組織観察を行ない各特性を評価した。これらの結果
を第3表、第4表、および第5表に示す。結晶粒の大き
さは、平均粒面積で表わした。
また、クリープ破断試験は700℃,18kg/mm2の条件で行な
い、クリープ破断強さは破断時間で評価した。
い、クリープ破断強さは破断時間で評価した。
第2表に示すように、本発明材は従来のSUS316鋳鋼(比
較例−1)に比べ破断時間が大巾に長くなっており、優
れた高温強度及び機械的特性を示すことがわかる。さら
に結晶組織を示す第1図(75倍)に代表されるように実
施例7の結晶粒は第2図(75倍)の比較例1に比べ結晶
粒が微細化されており、超音波探傷による欠陥の検査が
できた。また実施例7のクリープ破断後の結晶組織は第
3図(75倍)に示されるように、結晶粒は引張力方向に
よく伸ばされており、伸び,絞りの向上に有効なことが
わかる。
較例−1)に比べ破断時間が大巾に長くなっており、優
れた高温強度及び機械的特性を示すことがわかる。さら
に結晶組織を示す第1図(75倍)に代表されるように実
施例7の結晶粒は第2図(75倍)の比較例1に比べ結晶
粒が微細化されており、超音波探傷による欠陥の検査が
できた。また実施例7のクリープ破断後の結晶組織は第
3図(75倍)に示されるように、結晶粒は引張力方向に
よく伸ばされており、伸び,絞りの向上に有効なことが
わかる。
以上説明した如く、本発明の耐熱オーステナイト鋳鋼は
鋳造状態で優れた室温および高温特性を有することから
タービン構造用部材、特に蒸気タービン等のケーシング
やバルブケーシングなどに用いることは発電効率,寿命
などの観点から工業上すこぶる有用である。
鋳造状態で優れた室温および高温特性を有することから
タービン構造用部材、特に蒸気タービン等のケーシング
やバルブケーシングなどに用いることは発電効率,寿命
などの観点から工業上すこぶる有用である。
第1図は本発明に係る耐熱オーステナイト鋳鋼の結晶組
織図(倍率75倍)、第2図は従来のSUS316鋳鋼の結晶組
織図(倍率75倍)、第3図は本発明に係る耐熱オーステ
ナイト鋳鋼のクリープ破断後の結晶組織図(倍率75
倍)。
織図(倍率75倍)、第2図は従来のSUS316鋳鋼の結晶組
織図(倍率75倍)、第3図は本発明に係る耐熱オーステ
ナイト鋳鋼のクリープ破断後の結晶組織図(倍率75
倍)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 修 神奈川県横浜市鶴見区末広町2丁目4 株 式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 山田 政之 神奈川県横浜市鶴見区末広町2丁目4 株 式会社東芝京浜事業所内 (56)参考文献 特開 昭59−80757(JP,A) 特開 昭57−164972(JP,A) 特開 昭55−89458(JP,A) 特開 昭60−116750(JP,A)
Claims (8)
- 【請求項1】重量パーセントで0.15%以下の炭素、2.0
%以下のシリコン、3.0%以下のマンガン、0.02〜0.5%
の窒素、6〜15%のニッケル、15〜22%のクロム、0.01
〜1.0%のバナジウム、0.5%を越え5%以下のモリブデ
ン、残部が実質的に鉄よりなる耐熱オーステナイト鋳
鋼。 - 【請求項2】(%Ni)+30×(%C)+25.7×(%N)
+0.5×(%Mn)で表わせるNi当量が16〜24%、(%C
r)+1.2×(%Si)+(%Mo)+5×(%V)で表わせ
るCr当量が18〜24%である事を特徴とする特許請求の範
囲第1項記載の耐熱オーステナイト鋳鋼 - 【請求項3】タービン構造用部材である事を特徴とする
特許請求の範囲第1項又は第2項記載の耐熱オーステナ
イト鋳鋼。 - 【請求項4】タービン構造用部材がケーシングである事
を特徴とする特許請求の範囲第3項記載の耐熱オーステ
ナイト鋳鋼。 - 【請求項5】重量パーセントで0.15%以下の炭素、2.0
%以下のシリコン、3.0%以下のマンガン、0.02〜0.5%
の窒素、6〜15%のニッケル、15〜22%のクロム、0.01
〜1.0%のバナジウム、0.5%を越え5%以下のモリブデ
ンおよび0.10〜0.5%のニオブ、0.002〜0.5%のチタ
ン、0.0005〜0.01%のボロン、0.5〜5%のタングステ
ンの少くとも一種残部が実質的に鉄よりなる耐熱オース
テナイト鋳鋼。 - 【請求項6】(%Ni)+30×(%C)+25.7×(%N)
+0.5×(%Mn)で表わせるNi当量が16〜24%、(%C
r)+1.2×(%Si)+(%Mo)+5×(%V)+0.5×
(%Nb)+0.75×(%W)+1.5×(%Ti)+40×(%
B)で表わせるCr当量が18〜24%である事を特徴とする
特許請求の範囲第5項記載の耐熱オーステナイト鋳鋼。 - 【請求項7】タービン構造用部材である事を特徴とする
特許請求の範囲第5項又は第6項記載の耐熱オーステナ
イト鋳鋼。 - 【請求項8】タービン構造用部材がケーシングである事
を特徴とする特許請求の範囲第7項記載の耐熱オーステ
ナイト鋳鋼。
Priority Applications (4)
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---|---|---|---|
JP59206260A JPH0694583B2 (ja) | 1984-10-03 | 1984-10-03 | 耐熱オーステナイト鋳鋼 |
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DE8585104455T DE3576536D1 (de) | 1984-10-03 | 1985-04-12 | Hitzebestaendiger austenitischer gussstahl. |
US07/127,601 US4897132A (en) | 1984-10-03 | 1987-11-30 | Turbine casing formed of a heat resistant austenitic cast steel |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP59206260A JPH0694583B2 (ja) | 1984-10-03 | 1984-10-03 | 耐熱オーステナイト鋳鋼 |
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Family
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Family Applications (1)
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EP (1) | EP0178374B1 (ja) |
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-
1985
- 1985-04-12 DE DE8585104455T patent/DE3576536D1/de not_active Expired - Lifetime
- 1985-04-12 EP EP85104455A patent/EP0178374B1/en not_active Expired - Lifetime
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