JPH0694081A - ベルト伝動機構および該機構を用いる記録装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】簡単な構造でタイミングベルト１０ｃとキャリ
ジ５とをズレを生じことなく固定し、タイミングベルト
１０ｃの歯２１と被駆動部材５の位置との位相を容易に
合わせることを可能にする。 【構成】プリンターにおけるキャリジ５を往復駆動する
ためのタイミングベルト１０ｃに、キャリジ５と凹凸係
合する固定用の凸部２２、凹部３３、３５または孔３
６、４１を設け、タイミングベルト１０ｃの一部に歯２
１を設ける場合には、前記凹凸係合部をキャリジ５とベ
ルト歯２１との位相が一定となる位置に設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はタイミングベルトにより
被駆動部材に駆動を伝達するベルト伝動機構および該伝
動機構を用いる記録装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】プリンタ、複写機、ファクシミリ等の機
能を有する記録装置、あるいはコンピューターやワード
プロセッサ等を含む複合型電子機器やワークステーショ
ンなどの出力機器として用いられる記録装置は、画像情
報（文字情報等を含む）に基づいて用紙やプラスチック
薄板等の被記録材（記録媒体）に画像（文字等を含む）
を記録していくように構成されている。前記記録装置に
は、記録方式により、インクジェット方式、ワイヤドッ
ト方式、サーマル方式、レーザービーム方式等がある。

【０００３】また、記録機構の構成により、シリアル型
とライン型に分けることができる。被記録材の搬送方向
（副走査方向）と交叉する方向に主走査するシリアルス
キャン方式を採るシリアル型の記録装置においては、被
記録材を所定の記録位置にセットした後、被記録材に沿
って移動するキャリッジ上に搭載した記録手段（記録ヘ
ッド）によって画像を記録（主走査）し、１行分の記録
を終了した後に所定量の紙送り（被記録材搬送）を行
い、その後に再び停止した被記録材に対して、次の行の
画像を記録（主走査）するという動作を繰り返すことに
より、被記録材全体の記録が行われる。一方、被記録材
の搬送方向の副走査のみで記録するライン型の記録装置
においては、被記録材を所定の記録位置にセットし、一
括して１行分の記録を行ないながら連続的に紙送り（ピ
ッチ送り）を行い、被記録材全体の記録が行われる。特
に、シリアル型の記録装置は、幅広の記録手段を必要と
せず、装置が安価になるという利点がある。

【０００４】上記記録装置のうち、インクジェット方式
の記録装置（インクジェット記録装置）は、画像信号に
応じて記録手段（記録ヘッド）からインクを吐出して被
記録材に記録を行うように構成されており、記録手段の
コンパクト化が容易であり、高精細な画像を高速で記録
することができ、普通紙に特別の処理を必要とせずに記
録することができ、ランニングコストが安く、ノンイン
パクト方式であるため騒音が少なく、しかも、多色のイ
ンクを使用してカラー画像を記録するのが容易であるな
どの利点を有している。中でも、紙幅方向に多数の吐出
口を配列したフルマルチタイプの記録手段を用いるライ
ン型のものは、記録の一層の高速化が可能である。

【０００５】特に、熱エネルギーを利用してインクを吐
出するインクジェット式の記録手段（記録ヘッド）は、
エッチング、蒸着、スパッタリング等の半導体製造プロ
セスを経て、基板上に製膜された電気熱変換体、電極、
液路壁、天板などを形成することにより、高密度の液路
配置（吐出口配置）を有するものを容易に製造すること
ができ、簡単かつコンパクトな構造で、高解像度の画像
を高速で記録することができる。一方、被記録材の材質
に対する要求も様々なものがあり、近年では、通常の被
記録材である普通紙や樹脂薄板（ＯＨＰ等）などの他
に、薄紙や加工紙（ファイリング用のパンチ孔付き紙や
ミシン目付き紙、任意な形状の紙など）などを使用する
ことが要求されるようになってきた。

【０００６】ところで、シリアル型の記録装置における
主走査手段としてのキャリジは、通常、モータ等の駆動
源により、プーリおよびタイミングベルトから成る伝動
機構を介して駆動される。前記タイミングベルトは通常
２個のプーリ間に装着され、該ベルトの弛みを防止する
ために片側のプーリにより張力が付与されている。ま
た、上記タイミングベルトとしては歯無しベルトや歯付
きベルトを使用できるが、一般には、高精度の主走査を
行なうため、タイミングベルトとプーリに凹凸形状を設
けて、歯付きタイミングベルトおよび歯付きプーリを用
いることにより、スリップ等による記録不良を防止する
ことが行なわれている。

【０００７】また、駆動側および従動側の両方のプーリ
にスリップ防止用の歯を設けるのが一般的であるが、駆
動側がスリップしなければ記録性能に支障を生じないこ
とから、従動側プーリの歯を省略することも提案されて
いる。さらに、従動側プーリとして歯無しプーリを使用
する記録装置では、前記タイミングベルトの約半周分の
凹凸形状（歯）を省略することにより、従動側での凹凸
形状によるキャリジの振動を防止するとともにタイミン
グベルトのコストダウンを図る構成のものが提案されて
いる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】前述のようなタイミン
グベルトを用いる従来のベルト伝動機構にあっては、被
駆動部材であるキャリジに対するタイミングベルトの結
合は、該キャリジの取付け面と取付け板（固定部材）と
の間にタイミングベルトを挿通し、該取付け板をビス等
でキャリジに締結することにより挟圧固定する方法で行
なっていた。そのため、取付け板やビス等の固定部材を
必要とし、部品点数が多くなり、組立て工数も多いとい
う不都合があった。また、タイミングベルトをキャリジ
に取り付ける際にタイミングベルトの歯とキャリジの固
定位置との間に位相ズレが生じやすく、そのため、組み
立ての際の目視による確認や専用治具による組み立てが
必要になり、組み立てにおけるコストアップや組み立て
ミスによる不良発生の原因になるという不都合もあっ
た。

【０００９】本発明はこのような技術的課題に鑑みてな
されたものであり、本発明の目的は、簡単な構造でタイ
ミングベルトと被駆動部材を固定することができ、しか
も、タイミングベルトの歯と被駆動部材の位置との位相
を容易かつ正確に合わせることができ、容易に組み立て
ることが可能なベルト伝動機構を提供することである。
また、別の本発明の目的は、簡単な構造でタイミングベ
ルトと被駆動部材を固定することができ、しかも、タイ
ミングベルトの歯と被駆動部材の位置との位相を容易か
つ正確に合わせることができ、容易に組み立てることが
可能なベルト伝動機構を有する記録装置を提供すること
である。

【００１０】

【課題解決のための手段】本発明は、タイミングベルト
により被駆動部材に駆動を伝達するベルト伝動機構にお
いて、タイミングベルトの一部に被駆動部材と係合する
固定用形状を設ける構成とすることにより、上記目的を
達成するものである。また、本発明は、上記構成に加え
て、前記固定用形状が凸形状である構成、前記固定用形
状が凹形状である構成、前記固定用形状が孔形状である
構成、前記固定用形状がタイミングベルトの複数位置に
設けられる構成、あるいはタイミングベルトの長さ方向
所定範囲にのみ歯が形成され、前記固定用形状は被駆動
部材とタイミングベルトの歯との位相が一定となる位置
に設けられる構成とすることにより、一層効率よく上記
目的を達成するものである。

【００１１】別の本発明は、被記録材を搬送するための
搬送手段と、被記録材に画像を記録するための記録手段
と、該記録手段を搭載して移動可能なキャリジと、駆動
源からの駆動力をタイミングベルトにより前記キャリジ
に伝達するためのベルト伝動機構とを有する記録装置に
おいて、前記ベルト伝動機構のタイミングベルトの一部
にキャリジと係合する固定用形状を設ける構成とするこ
とにより、上記目的を達成するものである。また、別の
本発明は、上記構成に加えて、前記固定用形状が凸形
状、凹形状または孔形状である構成、前記固定用形状が
タイミングベルトの複数位置に設けられる構成、前記ベ
ルト伝動機構のタイミングベルトの長さ方向所定範囲に
のみ歯が形成され、前記キャリジと前記タイミングベル
トの歯との位相が一定となる位置に前記固定用形状が設
けられる構成、あるいは前記記録手段がインクジェット
記録手段である構成とすることにより、一層効率よく上
記目的を達成するものである。

【００１２】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図１は本発明を適用した記録装置の一実施例の概
略構成を示す斜視図であり、図２は図１の記録装置の模
式的縦断面図である。本実施例は本発明をシリアル型の
インクジェット記録装置に適用したものである。図１お
よび図２を参照して、先ず、記録装置の全体構成を説明
する。

【００１３】記録用紙やプラスチック薄板等の被記録材
１は、搬送手段２によって搬送される。この時、被記録
材１は、紙押さえ部材３によって搬送ローラ２ａに押圧
され、プラテン４からの浮き上がりを防止されている。
被記録材１が搬送されてくると、キャリジ５をガイドレ
ール６に沿って往復移動させるとともに、記録手段（記
録ヘッド）７を画像信号に応じて駆動することにより、
該被記録材１に画像を記録する。記録後の被記録材１は
排出手段８によって排出される。

【００１４】駆動源としてのキャリジモータ９から、ベ
ルト伝動機構１０を介して、キャリジ５に駆動力が伝達
され、これによってキャリジ５は往復移動する。前記ベ
ルト伝動機構１０は、キャリジモータ９のモータ軸に固
定された駆動プーリ１０ａと、該駆動プーリ１０ａの反
対側の位置に設けられた従動プーリ１０ｂと、これらの
プーリ１０ａ、１０ｂに張架されたタイミングベルト１
０ｃとを備えている。そして、前記タイミングベルト１
０ｃの一部がキャリジ５に結合（固定）されている。ま
た、キャリジ５は、ガイドレール６を中心に回動可能に
取り付けられており、前記タイミングベルト１０ｃの張
力によって紙押さえ部材３に常に当接するように付勢さ
れている。

【００１５】被記録材搬送手段２は、被記録材１を記録
部へ搬送するためのものであり、本実施例では、装置本
体に着脱可能なＡＳＦ（自動給紙装置）１１から送給さ
れる被記録材１、あるいは手差し口１２から挿入された
被記録材１を搬送するものである。この搬送手段２は、
図２中の矢印ａ方向に回転駆動される搬送ローラ２ａ
と、これに従動する前ピンチローラ２ｂ₁ および後ピン
チローラ２ｂ₂ とによって被記録材１を搬送するように
構成されている。前記搬送ローラ２ａは、装置フレーム
の左右側壁１３ａ、１３ｂに回転自在に軸支されたロー
ラ軸２ｃに複雑分割して固定されており、隣接する搬送
ローラ２ａ間の間隔Ｌ₁ が約２５ｍｍ〜５５ｍｍとなる
ように配置されている。搬送ローラ２ａをこのように分
割構造にするのは、該ローラ２ａを形成するゴム材料を
減少させてコストダウンを図るとともに、装置の軽量化
を図るためである。

【００１６】図１に示すように、前記搬送ローラ２ａの
ローラ軸２ｃには搬送ギヤ２ｄ₁ が固定され、このギヤ
２ｄ₁ はアイドラギヤ２ｄ₂ と噛み合っており、該アイ
ドラギヤ２ｄ₂ は第１伝達ギヤ２ｄ₃ と噛み合ってい
る。この第１伝達ギヤ２ｄ₃ の軸には、第２伝達ギヤ２
ｄ₄ および第３伝達ギヤ２ｄ₅ が固定されており、これ
らは一体的に回転する。そして、第３の伝達ギヤ２ｄ₅
は、搬送モータ２ｅに取り付けられたモータギヤ２ｄ₆
と噛み合っている。したがって、前記搬送モータ２ｅが
回転駆動されると、その駆動力は前記各ギヤを介して搬
送ローラ軸２ｃに伝達され、搬送ローラ２ａが回転駆動
される。

【００１７】前記ピンチローラ２ｂ₁ 、２ｂ₂ は、不図
示のバネ等によって搬送ローラ２ａの表面に圧接され、
かつ搬送ローラ２ａの回転に従動回転するように取り付
けられている。したがって、被記録材１は、回転する搬
送ローラ２ａとピンチローラ２ｂ₁ 、２ｂ₂ とでニップ
されることにより、搬送力を付与される。

【００１８】図２に示すように、前記搬送ローラ２ａの
下方には、該搬送ローラの周面に沿って湾曲したペーパ
ーパン２ｆが設けられている。そして、このペーパーパ
ン２ｆは、手差し口１２まで延びており、手差しされた
被記録材１の下ガイドも兼ねている。さらに、ペーパー
パン２ｆの上方には、所定間隔を隔てて上ガイド板２
ｇ、２ｈが配設されており、これらによって被記録材１
の搬送経路が構成されている。

【００１９】図１および図２において、搬送モータ２ｅ
を駆動して搬送ローラ２ａを図２中の矢印ａ方向に回転
させると、自動給紙装置１１から送給された被記録材１
は、前ピンチローラ２ｂ₁ と搬送ローラ２ａとでニップ
され、該搬送ローラ２ａの周面に沿ってＵターン搬送さ
れ、さらに、後ピンチローラ２ｂ₂ と搬送ローラ２ａで
ニップされて上方の記録位置へと搬送される。一方、手
差し口１２から挿入された被記録材１は、搬送ローラ２
ａと後ピンチローラ２ｂ₂ とでニップされ、記録位置へ
と搬送される。

【００２０】前記自動給紙装置１１は記録装置に対して
着脱可能であり、図２に示すように、被記録材１を収容
したカセット１１ａが押圧バネ１１ｂによって付勢さ
れ、該カセット１１ａ内の最上層の被記録材１が分離ロ
ーラ１１ｃに圧接されている。そこで、分離ローラ１１
ｃが図２中の矢印ｂ方向に回転すると、最上層の一枚の
被記録材１が分離送給され、該被記録材はその下流側の
レジストローラ１１ｄとこれに圧接した上ローラ１１ｅ
とのニップ部に当接する。そして、レジストローラ１１
ｄが図２中の矢印ｃ方向に回転すると、被記録材１は、
レジストローラ１１ｄとこれに従動回転する上ローラ１
１ｅとでニップされ、被記録材搬送手段２へ送給され
る。

【００２１】前記レジストローラ１１ｄへの駆動力伝達
機構は、図１に示すように、レジストローラ１１ｄのロ
ーラ軸１１ｆに固定されたレジストギヤ１１ｇと、この
レジストギヤ１１ｇに噛み合ったアイドラギヤ１１ｇ₁
と、該アイドラギヤ１１ｇ₁に噛み合った前記前記アイ
ドラギヤ２ｄ₂ とで構成されている。

【００２２】前記分離ローラ１１ｃへの駆動力伝達機構
は、図１に示すように、分離ローラ１１ｃのローラ軸１
１ｈに固定された分離ギヤ１１ｉと、該分離ギヤ１１ｉ
に噛み合ったアイドラギヤ１１ｊと、該アイドラギヤ１
１ｊに噛み合ったアイドラギヤ１１ｋと、該アイドラギ
ヤ１１ｋの軸に固定されたギヤ１１ｌと、該ギヤ１１ｌ
が噛み合った前記第２伝達ギヤ２ｄ₄ とで構成されてい
る。したがって、搬送モータ２ｅを駆動すると、前述の
ようなギヤ列を介して、分離ローラ１１ｃおよびレジス
トローラ１１ｄを回転駆動することができる。

【００２３】図１および図２において、前記紙押さえ部
材３は、搬送手段２で搬送される被記録材１を搬送ロー
ラ２ａの周面に押さえ付けることにより、該被記録材１
がプラテン４から浮き上がることを防止するためのもの
である。図１に示すように、この紙押さえ部材３は、被
記録材１の幅全域を押さえるように、キャリジ５の移動
範囲よりも幅広の一枚の板状部材で形成され、バネ等の
不図示の押圧手段によって分割構造の各搬送ローラ２ａ
に圧接されている。この紙押さえ部材３の先端は記録手
段（記録ヘッド）７による記録位置の下部に位置してお
り、搬送される被記録材１は該紙押さえ部材によって搬
送ローラ２ａに押し付けられる。その結果、記録位置に
おける被記録材１はプラテン４から浮き上がることがな
い。また、この紙押さえ部材３に対してキャリジ５の前
端部が常に当接するように構成されている。

【００２４】キャリジ５は、記録手段（記録ヘッド）７
を被記録材１の幅方向へ往復移動させるためのものであ
る。このキャリジ５は、左右側壁に固定された断面円形
のガイドレール６に沿って摺動自在に案内支持されてい
る。また、キャリジ５は、ガイドレール６を中心に回動
可能であり、自重によりプラテン４の方向へ付勢されて
いる。そして、キャリジ５に付与された自重による付勢
力は、該キャリジが前記紙押さえ部材３に当接する所で
釣り合っている。このキャリジ５が当接する所は紙押さ
え部材３と搬送ローラ２ａとの接触部分の裏面近傍であ
り、被記録材１が進入して紙押さえ部材３が記録手段７
側に後退すると、キャリジ５も同様に後退するように構
成されている。したがって、被記録材１の厚さに関係な
く、キャリジ５に搭載された記録手段７と被記録材１と
の間隔は常に一定に維持される。そのため、記録手段７
から吐出されるインク液滴の着弾位置を常に適正に規制
することが可能となり、高品位の記録画像を得ることが
できる。

【００２５】記録手段（記録ヘッド）７は、キャリジ５
に搭載されており、搬送手段２により搬送される被記録
材１にインクを吐出して記録を行なうものである。すな
わち、本実施例における記録装置では、インクジェット
記録手段が使用されている。インクジェット記録手段７
は、インク液を飛翔液滴として吐出させるための複数の
吐出口と、各吐出口のそれぞれに連通する液路と、各液
路内のインクに吐出エネルギーを付与するために各液路
の一部に設けられた吐出エネルギー発生手段とを備えて
いる。このインクジェット記録手段７は、画像信号に応
じて各吐出エネルギー発生手段を選択的に駆動（通電）
し、対応する吐出口からインク液滴を吐出して画像を記
録するものである。

【００２６】前記吐出エネルギー発生手段としては、例
えば、ピエゾ素子等の電気機械変換体等の圧力エネルギ
ー発生手段、レーザー等の電磁波をインク液に照射吸収
させて飛翔液滴を発生させる電磁エネルギー発生手段、
あるいはインクを加熱して吐出圧力を得るための発熱素
子等の電気熱変換体から成る熱エネルギー発生手段など
が使用される。このうち、電気熱変換体等の熱エネルギ
ー発生手段を用いるインクジェット記録手段は、吐出口
を高密度で配設することが容易であり、コンパクトに構
成できる点で特に有利である。

【００２７】そこで、本実施例では、上記記録手段（記
録ヘッド）７としては、熱エネルギーを利用してインク
を吐出するインクジェット記録手段であって、熱エネル
ギーを発生するための電気熱変換体を備えたものが使用
されている。また、この記録ヘッド７は、前記電気熱変
換体によって印加される熱エネルギーにより生じる膜沸
騰による気泡の成長、収縮によって生じる圧力変化を利
用して、吐出口よりインクを吐出させ、記録を行なうも
のである。

【００２８】図３は、記録手段７のインク吐出部の構造
を模式的に示す分解斜視図である。図３において、７ａ
はヒーターボードであり、該ヒーターボード７ａは、シ
リコン基板上に、複数の電気熱変換体（吐出ヒーター）
７ｂと各電気熱変換体７ｂに電力を供給するためのアル
ミニウム等の電極７ｃとを、所定の配列で成膜技術で形
成した構造をしている。このヒーターボード７ａに対し
て、各電気熱変換体７ｂごとの液路７ｄを仕切るための
隔壁を有する天板７ｅを接着することにより、記録手段
７のインク吐出部が構成されている。このインク吐出部
の前端面７ｊは吐出口面になっており、前記複数の液路
７ｄの該吐出口面７ｊでの開口部により複数の吐出口７
ｋが所定ピッチで形成されている。なお、図１に示すよ
うに、記録装置の所定位置（図示の例では左側部）に
は、記録ヘッド７にインクを供給するためのインクカー
トリッジ７ｆが交換可能に装着されている。

【００２９】図３において、前記インクカートリッジ７
ｆから不図示の導管を通して供給されるインクは、天板
７ｅに設けられた供給口７ｅ₁ より記録ヘッド７内の共
通液室７ｇに充填され、該共通液室７ｇより各液路７ｄ
内へ導かれる。なお、記録手段７は、前記吐出口面７ｊ
が被記録材１と所定の隙間（例えば、約０．５〜２．０
ミリ程度）をおいて対面し、かつ複数の吐出口７ｋが被
記録材１の搬送方向（図１および図２中の上下方向）に
並ぶような姿勢で、キャリジ５に搭載されている。こう
して、画像信号または吐出信号に基づいて対応する電気
熱変換体７ｂを駆動（通電）して、液路７ｄ内のインク
を膜沸騰させ、その時に発生する圧力によって吐出口７
ｋからインクを吐出させる記録手段（記録ヘッド）１が
構成されている。

【００３０】図４は任意の吐出口７ｋにおけるインク液
滴の吐出動作を説明するための模式図である。図４にお
いて、定常状態では、同図の（ａ）に示すように、液路
７ｄ内に充填されたインク１６の吐出口７ｋにおける表
面張力は外圧と平衡している。この状態でインク１６の
液滴を吐出口７ｋから飛翔させる場合には、液路７ｄ内
の電気熱変換体７ｂに通電して該液路内のインクを加熱
し、該インク内に核沸騰を越えた急速な温度上昇を生じ
させる。すると、同図の（ｂ）に示すように、電気熱変
換体７ｂに隣接したインクに微小気泡が発生し、この加
熱部分のインクが気化して膜沸騰を生じ、同図の（ｃ）
に示すように気泡１７が急速に成長する。

【００３１】前記気泡１７が最大に成長すると、図４の
（ｄ）に示すように、液路７ｄ内のインクの一部が吐出
口７ｋから押し出される。そして、電気熱変換体７ｂへ
の通電を終了すると、同図の（ｅ）に示すように、成長
した気泡１７が液路７ｄ内のインク１６により冷却され
て収縮し、この気泡１７の成長および収縮によって吐出
口７ｋからインク液滴が吐出され、該液滴が飛翔する。
さらに、同図の（ｆ）に示すように、電気熱変換体７ｂ
は液路７ｄ内のインクとの接触により急激に冷却され、
気泡１７は消滅するかあるいは殆ど無視し得る程度の体
積に収縮する。そして、前記気泡１７が消滅するか収縮
してしまうと、同図の（ｇ）に示すように、毛細管現象
によって共通液室７ｇから液路７ｄ内へインクが供給さ
れ、同図の（ａ）に示すような定常状態に復帰し、次の
通電に備えることになる。

【００３２】したがって、前記キャリジ５の移動と同期
させて、画像信号に応じて前記電気熱変換体７ｂを駆動
（通電）することにより、インク液滴のドットパターン
から成る画像を被記録材１に記録することができる。な
お、図１に示すように、キャリジ５の移動範囲の左側端
部には、キャッピング手段１８が設けられている。この
キャッピング手段１８は、非記録時などに記録ヘッド７
の吐出口面７ｊを覆うことにより、吐出口７ｋ付近のイ
ンクの乾燥やインクの固着を防止したり、塵埃の付着を
防止するためのものである。

【００３３】また、前記キャッピング手段１８には不図
示のポンプが接続されており、該ポンプを駆動して吸引
力を発生させることにより、各吐出口７ｋからインクを
吸い出し、吐出口７ｋの回復処理を行ない得るように構
成されている。この回復処理は、吐出口７ｋ内のインク
中の増粘インク、固着インク、気泡、紙粉等の異物を除
去することにより、インク吐出性能の維持およびインク
吐出不良の解消を図るためのものである。

【００３４】図１および図２において、記録装置には、
記録手段７で記録された被記録材１を排出するための排
出手段８が設けられている。この排出手段８は、排出ロ
ーラ８ａとこれに接触して従動する拍車８ｂとを備えて
いる。前記排出ローラ８ａは図示のような分割構造のロ
ーラで構成されている。そして、この排出ローラ８ａの
ローラ軸８ｃの端部には排出ギヤ８ｄが固定され、該排
出ギヤ８ｄは前記アイドラギヤ２ｄ₂ と噛み合ってい
る。したがって、前記搬送モータ２ｅが駆動されると、
前記搬送ローラ２ａとともに前記排出ローラ８ａが回転
駆動され、該排出ローラ８ａと前記拍車８ｂとの協働に
よって被記録材１が排出される。排出された被記録材１
は、排出ローラ８ａの上方に位置する排出スタッカ８ｆ
にスタックされる。

【００３５】図１および図２において、キャリジモータ
９の回転駆動力は、モータ軸に固定された凹凸付き（歯
付き）駆動プーリ１０ａとその反対側に配設された従動
プーリ１０ｂとの間に張架されたタイミングベルト１０
ｃにより、直線駆動力に変換される。そして、キャリジ
５は、前記タイミングベルト１０ｃの一部に結合されて
おり、前記キャリジモータ９を駆動することにより主走
査方向に往復移動（直線運動）させられる。すなわち、
前記駆動プーリ１０ａ、前記従動プーリ１０ｂおよび前
記タイミングベルト１０ｃにより、駆動源としてのキャ
リジモータ９の駆動力を被駆動部材としてのキャリジ５
に伝達するためのベルト伝動機構１０が構成されてい
る。なお、前記従動プーリ１０ｂは、不図示のベルトテ
ンショナーにより、タイミングベルト１０ｃに張力を付
与する方向に付勢されており、これによってタイミング
ベルト１０ｃのスリップ防止が図られている。

【００３６】図５〜図７はベルト伝動機構１０のタイミ
ングベルト１０ｃとキャリジ（被駆動部材）５との結合
構造の第１実施例を示す図であり、図５はタイミングベ
ルト１０ｃ側の結合部を示す部分斜視図であり、図６は
キャリジ５側の結合部を示す部分斜視図であり、図７は
タイミングベルト１０ｃとキャリジ５との結合状態を示
す縦断面図である。タイミングベルト１０ｃの内側の面
には、駆動プーリ１０ａ（図１）の歯（凹凸部）と係合
する歯２１が形成されている。このタイミングベルト１
０ｃの前記歯２１と反対側の面（外側の面）には、凸部
２２が形成されている。一方、キャリジ５には、上下の
張り出し部２３、２４から成るベルト固定部２５が一体
的に形成されている。

【００３７】前記上下の張り出し部２３、２４の間に
は、タイミングベルト１０ｃが殆ど隙間の無い状態で挿
通嵌合される挿通空間２６が形成されている。そして、
上側の張り出し部２３の下面には、タイミングベルト１
０ｃの前記凸部２２と緊密に係合する溝部２７が形成さ
れている。また、下側の張り出し部２４の上面の外側端
縁には、タイミングベルト１０ｃの脱落を防止するため
の突部２８が形成されている。タイミングベルト１０ｃ
とキャリジ５との結合（固定）は、該ベルト１０の前記
凸部（固定用形状）２２をキャリジ５側の前記溝部２７
に挿入するとともに、該ベルト１０ｃの弾性を利用して
これを押し潰しながら前記突部２８を乗り越えて前記隙
間２８内に挿入嵌合させることにより行なわれる。すな
わち、タイミングベルト１０ｃは、図６中の矢印Ｘ方向
からベルト固定部２５内に挿入し、その固定用形状（凸
部）２２を図７に示すように前記溝部２７に係止させる
ことにより、キャリジ５に固定される。

【００３８】以上説明した実施例によれば、歯付きのタ
イミングベルト１０ｃの歯２１と反対側の面に、被駆動
部材であるキャリジ５を固定するための固定用形状（凸
部）２２を設けたので、ベルト固定のための部材が不必
要になり、しかも歯２１とキャリジ５の位相を簡単に合
わせることができ、組み立て時のミスを防止することが
可能になった。さらに、歯２１とキャリジ５の位相を合
わせるための特別な治具も不必要となり、構造上および
組み立て上のコストダウンを図ることが可能になった。
こうして、簡単な構造でタイミングベルト１０ｃと被駆
動部材５を固定することができ、しかも、タイミングベ
ルト１０ｃの歯２１と被駆動部材５の位置との位相を容
易かつ正確に合わせることができ、容易に組み立てるこ
とが可能なベルト伝動機構１０および該伝動機構１０を
用いる記録装置が得られた。

【００３９】図８は本発明を適用したベルト伝動機構１
０の第２実施例を示す模式的正面図である。前記従動プ
ーリ１０ｂ（図１）は、スリップを防止する必要がない
ので、駆動プーリ１０ａのように凹凸の歯を設けなくて
もよい。図８において、本実施例では、上記の理由から
従動プーリ１０ｂの周面は凹凸歯の無い滑らかな面で形
成されている。そのため、タイミングベルト１０ｃに
は、その全周に凹凸歯２１を設ける必要がなく、図示の
ように、駆動プーリ１０ａと係合する領域をカバーする
略半周の範囲のみに歯２１が形成されている。このよう
なタイミングベルト１０ｃを用いる場合には、キャリジ
５の移動範囲において凹凸歯２１が駆動プーリ１０ａと
は確実に係合するが、従動プーリ１０ｂとは係合しない
ように、キャリジ５とベルト１０ｃとの位相を所定の関
係に規制する必要がある。

【００４０】そこで、図８の第２実施例では、タイミン
グベルト１０ｃに設けられた固定用形状（凸部）２２の
位置は、これをキャリジ５側の前記溝部２７に係止した
時に、該キャリジ５と該ベルト１０ｃの歯２１との位相
が前述の条件を満足させる位置に選定されている。ま
た、本実施例では、従動プーリ１０ｂは、装置本体側と
の間に張設された引っ張りスプリング３１から成るベル
トテンショナーにより、タイミングベルト１０ｃに張力
を付与する方向に付勢されており、これによって該ベル
ト１０ｃのスリップ防止が図られている。図８の第２実
施例は、以上述べた点で図１〜図７の第１実施例と相違
するが、その他の部分では該第１実施例と実質上同じ構
成をしており、対応する部分をそれぞれ同一符号で示
し、それらの詳細説明は省略する。

【００４１】図８の第２実施例によれば、前述の第１実
施例と同様の効果が得られる他に、タイミングベルト１
０ｃの精度管理や材料費を節減してさらにコストダウン
を図ることができ、一部に歯を有するタイミングベルト
１０ｃを用いる場合でも、該ベルト１０ｃと被駆動部材
（キャリジ）５との位相を正確にしかも位置ズレの生じ
ない状態で両者を容易に結合（固定）することが可能に
なった。

【００４２】図９は本発明を適用したベルト伝動機構１
０の第３実施例を示す模式的正面図である。本実施例で
も、第２実施例の場合と同様、従動プーリ１０ｂの凹凸
歯は省略され、タイミングベルト１０ｃには、駆動プー
リ１０ａとの係合領域をカバーする略半周のみに歯２１
が形成されている。ところで、このようなタイミングベ
ルト１０ｃの一部に形成される歯２１が対称形状の場合
には、該ベルト１０ｃの取り付け方向により、キャリジ
５と該ベルト１０ｃの歯２１との相対的な位置関係が同
一となる該ベルト１０ｃの固定位置が表裏で２箇所に存
在することになる。そのため、表裏を間違えて組み付け
ることにより、歯２１の無いベルト部分が駆動プーリ１
０ａ側に来るという不都合が生じる可能性がある。

【００４３】そこで、図９の第３実施例においては、ベ
ルト１０ｃの歯２１は対称形状にされ、該歯２１とキャ
リジ５を所定位相で結合し得る該ベルト１０ｃ上の２箇
所のそれぞれの位置に、異なる形状を有する２個の凸部
２２ａ、２２ｂが形成されている。そして、これらの凸
部２２ａ、２２ｂは、ベルト１０ｃの対向する２箇所に
おいて、ベルト移動方向から見て同じ側に同一形状の凸
部が来るように一定間隔において形成されている。一
方、キャリジ５のベルト固定部２５の上側の張り出し部
２３には、前記２個の凸部（固定用形状）２２ａ、２２
ｂに対応して２つの溝部２７ａ、２７ｂが形成されてい
る。ベルト１０ｃの固定用形状を前述のような配置の２
個づつの凸部で構成する理由は、タイミングベルト１０
ｃの組み付けミス、すなわち、駆動プーリ１０ａに歯２
１の無い部分が巻回されるような組み付けミスを防止す
るためである。

【００４４】図９の第３実施例は、以上述べた点で前述
の第１実施例および第２実施例と相違するが、その他の
部分ではこれらの実施例と実質上同じ構成をしており、
それぞれ対応する部分を同一符号で示し、それらの詳細
説明は省略する。図９の第３実施例によっても、前述の
第１実施例および第２実施例き場合と同様、ベルト固定
のための部材を省略することができ、しかも歯２１とキ
ャリジ５の位相を簡単かつ正確に合わせることができ
て、組み立てミスを防止することができ、さらに、歯２
１とキャリジ５の位相を合わせるための特別な治具も不
必要となり、簡単な構造でタイミングベルト１０ｃと被
駆動部材５を正しい位相位置に容易に組み立てることが
可能なベルト伝動機構１０および該ベルト機構を用いる
記録装置が得られる。さらに、タイミングベルト１０ｃ
の精度管理や材料費を節減してさらにコストダウンを図
ることができ、一部に歯を有するタイミングベルト１０
ｃを用いる場合でも、該ベルト１０ｃと被駆動部材（キ
ャリジ）５との位相を正確にしかも位置ズレの生じない
状態で両者を結合することが可能なベルト伝動機構１０
および該伝動機構１０を用いる記録装置が得られる。

【００４５】図１０は本発明を適用したベルト伝動機構
１０の第４実施例のタイミングベルト１０ｃを示す部分
斜視図であり、図１１は図１０のタイミングベルト１０
ｃをキャリジ５のベルト固定部２５に固定したベルト伝
動機構１０の第４実施例を示す部分斜視図である。図１
０および図１１において、タイミングベルト１０ｃの両
側面に横方向に突出する凸部２２ｃ、２２ｄが形成され
ており、これらの凸部２２ｃ、２２ｄにより固定用形状
が構成されている。一方、キャリジ５には、ベルト幅に
相当する間隔をおいて一対の張り出し部２３ａ、２４ａ
が一体的に形成されており、各張り出し部２３ａ、２４
ａに前記凸部２２ｃ、２２ｄが緊密に嵌合する孔（また
は凹部）３２、３２が形成されている。したがって、前
記凸部２２ｃ、２２ｄを各孔３２、３２に挿入嵌合させ
ることにより、タイミングベルト１０ｃはキャリジ５に
対して所定の位相位置に正確に固定される。同時に該ベ
ルト１０の脱落も防止されている。

【００４６】なお、図１０および図１１では、ベルト１
０ｃの両側に１個づつの凸部２２ｃ、２２ｄを設ける場
合を示したが、図９の第３実施例で説明したのと同じ理
由、すなわち、ベルト１０ｃの約半周に幅２１を設ける
ような場合に、駆動プーリ１０ａにベルト１０ｃの歯２
１の無い部分が接触するようなベルト１０ｃの組み付け
ミスを無くす理由により、該ベルト１０ｃの両側の複数
箇所に形状の異なる凸部を設けてもよい。

【００４７】図１２および図１３は、それぞれ、上記第
４実施例の変更例を示すタイミングベルト１０ｃの部分
斜視図である。図１２のタイミングベルト１０ｃでは、
方向性を持たせるために、両側の凸部２２ｃ、２２ｄは
図示のように位置を若干ズラして設けられている。この
図１２のベルト１０ｃを使用する場合には、キャリジ５
側に形成される前記両側の孔３２、３２もこれらの凸部
２２ｃ、２２ｄに合わせて若干ズレた位置に形成される
ことになる。さらに、図１３の変更例では、タイミング
ベルト１０ｃに方向性を持たせるために、両側の凸部２
２ｃ、２２ｄは互いに異なる寸法形状のものになってい
る。この図１３のベルト１０ｃを使用する場合には、キ
ャリジ５側に形成される前記両側の孔３２、３２は、こ
れらの凸部２２ｃ、２２ｄに合わせて互いに異なる寸法
形状で形成されることになる。

【００４８】図１０〜図１３に示した第４実施例は、以
上の点で図１〜図９の各実施例と相違しているが、その
他の部分では実質上同じ構成をしている。したがって、
この第４実施例によっても、前述の実施例と同様、タイ
ミングベルト１０ｃ自体に固定用形状２２ｃ、２２ｄを
設けたので、ベルト固定のための部材を省略することが
でき、しかも歯２１とキャリジ５の位相を簡単かつ正確
に合わせることができて、組み立てミスを防止すること
ができ、さらに、歯２１とキャリジ５の位相を合わせる
ための特別な治具も不必要となり、簡単な構造でタイミ
ングベルト１０ｃと被駆動部材５を正しい位相位置に容
易に組み立てることが可能なベルト伝動機構１０および
該伝動機構１０を用いる記録装置が得られる。

【００４９】図１４は本発明を適用したベルト伝動機構
１０の第５実施例のタイミングベルト１０ｃを示す部分
側面図であり、図１５は図１４のタイミングベルト１０
ｃをキャリジ５のベルト固定部２５に固定したベルト伝
動機構１０の第５実施例を示す部分断面図である。この
第５実施例においては、タイミングベルト１０ｃの歯２
１と反対側の面に、凹部（固定用形状）３３が形成され
ている。そして、キャリジ５側のベルト固定部２５の上
側の張り出し部２３には、前記凹部３３が緊密状態で嵌
合する凸部３４が形成されている。すなわち、第５実施
例は、図５〜図７の第１実施例における凸部２２の代わ
りに凹部３３を形成し、同第１実施例における溝部２７
の代わりに凸部３４を形成したものに相当し、その他の
部分では同第１実施例のものと実質上同じ構成をしてい
る。

【００５０】この図１４および図１５の第５実施例によ
れば、タイミングベルト１０ｃ自体に固定用形状（凹
部）３３を設け、該凹部３３をキャリジ５側の凸部３４
に係止させる構成とするので、図５〜図７の第１実施例
の場合と同様、ベルト固定のための部材を省略すること
ができ、しかも歯２１とキャリジ５の位相を簡単かつ正
確に合わせることができて、組み立てミスを防止するこ
とができ、さらに、歯２１とキャリジ５の位相を合わせ
るための特別な治具も不必要となり、簡単な構造でタイ
ミングベルト１０ｃと被駆動部材５を正しい位相位置に
容易に組み立てることが可能なベルト伝動機構１０およ
び該伝動機構１０を用いる記録装置が得られる。

【００５１】図１６は本発明を適用したベルト伝動機構
１０の第６実施例のタイミングベルト１０ｃを示す部分
側面図である。本実施例においては、タイミングベルト
１０ｃの両側面に固定用形状としての凹部３５、３５が
形成されている。すなわち、本実施例は、図１０および
図１１の第４実施例における横方向の凸部２２ｃ、２２
ｄを上記凹部３５、３５に変更したものであり、したが
って、キャリジ５側には、図１１中の孔３２、３２に代
えて、前記凹部３５、３５と緊密嵌合する凸部（不図
示）が設けられることになる。

【００５２】この第６実施例は、上記第４実施例と比
べ、以上の点では相違するが、その他の部分では実質上
同じ構成を有している。したがって、この第６実施例に
よっても、前述の実施例と同様、ベルト固定のための部
材を省略することができ、しかも歯２１とキャリジ５の
位相を簡単かつ正確に合わせることができて、組み立て
ミスを防止することができ、さらに、歯２１とキャリジ
５の位相を合わせるための特別な治具も不必要となり、
簡単な構造でタイミングベルト１０ｃと被駆動部材５を
正しい位相位置に容易に組み立てることが可能なベルト
伝動機構１０および該伝動機構１０を用いる記録装置が
得られる。

【００５３】図１７は本発明を適用したベルト伝動機構
１０の第７実施例のタイミングベルト１０ｃを示す部分
斜視図であり、図１８は図１７のタイミングベルト１０
ｃをキャリジ５のベルト固定部２５に固定したベルト伝
動機構１０の第７実施例を示す部分斜視図である。この
第７実施例においては、タイミングベルト１０ｃの歯２
１と反対側の面に、横方向の貫通孔３６を有する凸部３
７が形成されている。一方、キャリジ５には、ベルト幅
に相当する間隔をおいて一対の張り出し部２３ｂ、２４
ｂが一体的に形成されており、各張り出し部２３ｂ、２
４ｂのそれぞれには孔３８が形成されている。そして、
図１８に示すように、ベルト１０ｃの前記孔３６をキャ
リジ５の前記孔３８に合わせ、これらの孔にピン３９を
挿入（圧入）することにより、キャリジ５とタイミング
ベルト１０ｃが所定の位相関係の位置で固定される。

【００５４】図１９は本発明を適用したベルト伝動機構
１０の第８実施例のタイミングベルト１０ｃを示す部分
斜視図であり、図２０は図１９のタイミングベルト１０
ｃをキャリジ５のベルト固定部２５に固定したベルト伝
動機構１０の第８実施例を示す部分斜視図である。この
第８実施例においては、タイミングベルト１０ｃに上下
方向の貫通孔４１が形成されている。一方、キャリジ５
にはベルト固定部２５が一体的に形成され、該ベルト固
定部２５には上下方向の孔４２が形成されている。そし
て、図２０に示すように、ベルト１０ｃの前記貫通孔４
１をキャリジ５の前記孔４２に合わせ、これらの孔にピ
ン４３を挿入（圧入）することにより、キャリジ５とタ
イミングベルト１０ｃが所定の位相関係の位置で固定さ
れる。

【００５５】図１７〜図２０に示した第７実施例および
第８実施例は、以上の点で図１〜図９の各実施例と相違
しているが、その他の部分では実質上同じ構成をしてい
る。したがって、これら第７実施例および第８実施例に
よっても、前述の各実施例と同様、ベルト固定のための
部材を省略することができ、しかも歯２１とキャリジ５
の位相を簡単かつ正確に合わせることができて、組み立
てミスを防止することができ、さらに、歯２１とキャリ
ジ５の位相を合わせるための特別な治具も不必要とな
り、簡単な構造でタイミングベルト１０ｃと被駆動部材
５を正しい位相位置に容易に組み立てることが可能なベ
ルト伝動機構１０および該伝動機構を用いる記録装置が
得られる。

【００５６】なお、前述の各実施例では、本発明のベル
ト伝動機構によって記録装置のキャリジを駆動する場合
を例に挙げて説明したが、本発明は、キャリジ以外の被
駆動部材を駆動するベルト伝動機構に対しても同様に適
用することができ、同様の効果を達成し得るものであ
る。また、前述の各実施例では、本発明をインクジェッ
ト記録装置に適用する場合を例に挙げて説明したが、本
発明は、ベルト伝動機構を有する記録装置であれば、ワ
イヤドット方式、サーマル方式、レーザービーム方式等
の他の記録方式の記録装置に対しても同様に適用するこ
とができ、同様の効果が得られるものである。

【００５７】また、前述の実施例では、ベルト伝動機構
を有する記録装置として、一個の記録手段７を用いる記
録装置を例に挙げて説明したが、本発明は、異なる色で
記録する複数個の記録手段を用いるカラー記録装置、あ
るいは同一色彩の異なる濃度で記録する複数の記録手段
を用いる階調記録用の記録装置など、記録手段の数や種
類がどのような場合にも同様に適用することができ、同
様の作用効果を達成し得るものである。さらに、本発明
が適用されるインクジェット記録装置は、記録ヘッドと
インクタンクと一体化したヘッドカートリッジを使用す
る構成のもの、あるいは記録ヘッドとインクタンクを別
体してインク供給チューブ等で接続する構成のものな
ど、記録ヘッドおよびインクタンクの配置形態がどのよ
うなものであってもよい。

【００５８】なお、本発明は、ベルト伝動機構を有する
記録装置がインクジェット記録装置である場合、例え
ば、ピエゾ素子等の電気機械変換体等を用いる記録手段
（記録ヘッド）を使用するものに適用できるが、中で
も、熱エネルギーを利用してインクを吐出する方式のイ
ンクジェット記録装置において優れた効果をもたらすも
のである。かかる方式によれば、記録の高密度化、高精
細化が達成できるからである。

【００５９】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第４７２３１２９号明細書、同第４７４０
７９６号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行なうのが好ましい。この方式は、所謂オンデマンド
型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能である
が、特に、オンデマンド型の場合には、液体（インク）
が保持されているシートや液路に対応して配置されてい
る電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越
える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号
を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギー
を発生せしめ、記録手段（記録ヘッド）の熱作用面に膜
沸騰させて、結果的にこの駆動信号に一対一に対応し液
体（インク）内の気泡を形成出来るので有効である。

【００６０】この気泡の成長、収縮により吐出用開口を
介して液体（インク）を吐出させて、少なくとも一つの
滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即
時適切に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性
に優れた液体（インク）の吐出が達成でき、より好まし
い。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第４
４６３３５９号明細書、同第４３４５２６２号明細書に
記載されているようなものが適している。尚、上記熱作
用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第４３１３１
２４号明細書に記載されている条件を採用すると、更に
優れた記録を行なうことができる。

【００６１】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組み合わせ構成（直線状液流路又は直角液流路）の他
に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示
する米国特許第４５５８３３３号明細書、米国特許第４
４５９６００号明細書を用いた構成も本発明に含まれる
ものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開
示する特開昭５９年第１２３６７０号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を
開示する特開昭５９年第１３８４６１号公報に基づいた
構成としても本発明は有効である。すなわち、記録ヘッ
ドの形態がどのようなものであっても、本発明によれ
ば、記録を確実に効率よく行なうことができるようにな
るからである。

【００６２】また、ベルト伝動機構を介してキャリジを
駆動するシリアルタイプのインクジェット記録装置の場
合、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装置本
体に装着されることで装置本体との電気的な接続や装置
本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップ
タイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的
にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録
ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。

【００６３】さらに、本発明によるインクジェット記録
装置に、その構成として設けられる記録ヘッドに対して
の回復手段または予備的な補助手段等を付加すること
は、本発明の効果を一層安定できるので好ましいもので
ある。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対して
の、キャッピング手段、クリーニング手段、加圧或は吸
引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或はこ
れらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐
出を行なう予備吐出モードを行なうことも安定した記録
を行なうために有効である。

【００６４】また、前述したように、搭載される記録ヘ
ッドの種類ないし個数についても、例えば、単色のイン
クに対応して１個のみが設けられたものの他、記録色や
濃度を異にする複数のインクに対応して複数個数設けら
れるものであってもよい。すなわち、例えば、記録装置
の記録モードとしては、黒色等の主流色のみの記録モー
ドだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数
個の組み合わせによるか、いずれでもよいが、異なる色
の複色カラー又は、混色によるフルカラーの少なくとも
一つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。

【００６５】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するもの、あるいは、インクジェット方式で
は、インク自体を３０℃以上７０℃以下の範囲内で温度
調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように
温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付
与時にインクが液状をなすものであればよい。加えて、
積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態か
ら液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめ
ることで防止するか、または、インクの蒸発防止を目的
として放置状態で固化するインクを用いるかして、いず
れにしても、熱エネルギーの記録信号に応じた付与によ
ってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、
記録媒体に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等
のような、熱エネルギーによって初めて液化する性質の
インクを使用する場合も本発明は適用可能である。

【００６６】このような場合のインクは、特開昭５４−
５６８４７号公報あるいは特開昭６０−７１２６０号公
報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔
に液状または固形物として保持された状態で、電気熱変
換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明
においては、上述した各インクに対して最も有効なもの
は、上述した膜沸騰方式を実行するものである。

【００６７】さらに加えて、本発明による記録装置の形
態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力
端末として用いられるものの他、リーダ等と組み合わせ
た複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ
装置の形態を採るもの等であってもよい。

【００６８】

【発明の効果】以上の説明から明らかなごとく、本発明
によれば、タイミングベルトにより被駆動部材に駆動を
伝達するベルト伝動機構において、タイミングベルトの
一部に被駆動部材と係合する固定用形状を設ける構成と
したので、簡単な構造でタイミングベルトと被駆動部材
を固定することができ、しかも、タイミングベルトの歯
と被駆動部材の位置との位相を容易かつ正確に合わせる
ことができ、容易に組み立てることが可能なベルト伝動
機構が提供される。また、本発明によれば、上記構成に
加えて、前記固定用形状が凸形状、凹形状または孔形状
である構成、前記固定用形状がタイミングベルトの複数
位置に設けられる構成、あるいはタイミングベルトの長
さ方向所定範囲にのみ歯が形成され、前記固定用形状は
被駆動部材とタイミングベルトの歯との位相が一定とな
る位置に設けられる構成としたので、一層効率よく上記
効果を達成し得るベルト伝動機構が提供される。

【００６９】別の本発明によれば、被記録材を搬送する
ための搬送手段と、被記録材に画像を記録するための記
録手段と、該記録手段を搭載して移動可能なキャリジ
と、駆動源からの駆動力をタイミングベルトにより前記
キャリジに伝達するためのベルト伝動機構とを有する記
録装置において、前記ベルト伝動機構のタイミングベル
トの一部にキャリジと係合する固定用形状を設ける構成
としたので、簡単な構造でタイミングベルトと被駆動部
材を固定することができ、しかも、タイミングベルトの
歯と被駆動部材の位置との位相を容易かつ正確に合わせ
ることができ、容易に組み立てることが可能なベルト伝
動機構を有する記録装置が提供される。さらに、別の本
発明によれば、上記構成に加えて、前記固定用形状が凸
形状、凹形状または孔形状である構成、前記固定用形状
がタイミングベルトの複数位置に設けられる構成、前記
ベルト伝動機構のタイミングベルトの長さ方向所定範囲
にのみ歯が形成され、前記キャリジと前記タイミングベ
ルトの歯との位相が一定となる位置に前記固定用形状が
設けられる構成、あるいは前記記録手段がインクジェッ
ト記録手段である構成としたので、一層効率よく上記効
果を達成し得るベルト伝動機構を有する記録装置が提供
される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用したベルト伝動機構を有する記録
装置の一実施例を示す模式的斜視図である。

【図２】図１の記録装置の要部の縦断面図である。

【図３】図１の記録装置の記録手段のインク吐出部を構
造を模式的に示す分解斜視図である。

【図４】図３の記録手段のインク吐出動作を順を追って
示す模式図である。

【図５】本発明を適用したベルト伝動機構の第１実施例
のタイミングベルトを示す部分斜視図である。

【図６】本発明を適用したベルト伝動機構の第１実施例
の被駆動部材のベルト固定部を示す模式的斜視図であ
る。

【図７】本発明を適用したベルト伝動機構の第１実施例
のベルト固定状態を示す模式的縦断面図である。

【図８】本発明を適用したベルト伝動機構の第２実施例
の模式的正面図である。

【図９】本発明を適用したベルト伝動機構の第３実施例
の模式的正面図である。

【図１０】本発明を適用したベルト伝動機構の第４実施
例のタイミングベルトを示す部分斜視図である。

【図１１】本発明を適用したベルト伝動機構の第４実施
例のベルト固定状態を示す模式的部分斜視図である。

【図１２】本発明を適用したベルト伝動機構の第４実施
例のタイミングベルトの変更例を示す部分斜視図であ
る。

【図１３】本発明を適用したベルト伝動機構の第４実施
例のタイミングベルトのさらに別の変更例を示す部分斜
視図である。

【図１４】本発明を適用したベルト伝動機構の第５実施
例のタイミングベルトを示す部分側面図である。

【図１５】本発明を適用したベルト伝動機構の第５実施
例のベルト固定状態を模式的に示す部分縦断面図であ
る。

【図１６】本発明を適用したベルト伝動機構の第６実施
例のタイミングベルトを示す部分斜視図である。

【図１７】本発明を適用したベルト伝動機構の第７実施
例のタイミングベルトを示す部分斜視図である。

【図１８】本発明を適用したベルト伝動機構の第７実施
例のベルト固定状態を示す模式的部分斜視図である。

【図１９】本発明を適用したベルト伝動機構の第８実施
例のタイミングベルトを示す部分斜視図である。

【図２０】本発明を適用したベルト伝動機構の第８実施
例のベルト固定状態を模式的に示す部分縦断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 被記録材 ２ 搬送手段 ２ａ 搬送ローラ ２ｂ₁ 前ピンチローラ ２ｂ₂ 後ピンチローラ ２ｃ ローラ軸 ２ｅ 搬送モータ ３ 紙押さえ部材 ４ プラテン ５ キャリジ ６ ガイドレール ７ 記録手段（記録ヘッド） ７ａ ヒーターボード ７ｂ 電気熱変換体 １８ 液路 ７ｆ インクカートリッジ ７ｇ 共通液室 ７ｊ 吐出口面 ７ｋ 吐出口 ８ 排出手段 ８ａ 排出ローラ ８ｂ 拍車 ８ｆ 排出スタッカ ９ キャリジモータ １０ ベルト伝動機構 １０ａ 駆動プーリ １０ｂ 従動プーリ １０ｃ タイミングベルト １１ 自動給紙装置 １１ａ カセット １１ｂ 押圧バネ １１ｃ 分離ローラ １１ｄ レジストローラ １６ インク １７ 気泡 １８ キャッピング手段 ２１ ベルトの歯（凹凸） ２２ 凸部（ベルトの固定用形状） ２３ 張り出し部（キャリジ） ２４ 張り出し部（キャリジ） ２５ ベルト固定部 ２６ ベルト挿通空間 ２７ 溝部（キャリジ） ２８ 突部 ３１ ベルトテンショナー ３２ 孔（キャリジ） ３３ 凹部（ベルトの固定用形状） ３４ 凸部（キャリジ） ３５ 凹部（ベルトの固定用形状） ３６ 孔（ベルトの固定用形状） ３７ 凸部（ベルト） ３８ 孔（キャリジ） ３９ ピン（ベルト固定用） ４１ 孔（ベルトの固定用形状） ４２ 孔（キャリジ） ４３ ピン（ベルト固定用）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柳 治幸 東京都大田区下丸子３丁目30番２号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 平松 壮一 東京都大田区下丸子３丁目30番２号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 谷石 信之介 東京都大田区下丸子３丁目30番２号 キヤ ノン株式会社内

Claims (13)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 タイミングベルトにより被駆動部材に
   駆動を伝達するベルト伝動機構において、タイミングベ
   ルトの一部に被駆動部材と係合する固定用形状を設ける
   ことを特徴とするベルト伝動機構。
2. 【請求項２】 前記固定用形状が凸形状であることを
   特徴とする請求項１のベルト伝動機構。
3. 【請求項３】 前記固定用形状が凹形状であることを
   特徴とする請求項１のベルト伝動機構。
4. 【請求項４】 前記固定用形状が孔形状であることを
   特徴とする請求項１のベルト伝動機構。
5. 【請求項５】 前記固定用形状がタイミングベルトの
   複数位置に設けられることを特徴とする請求項１のベル
   ト伝動機構。
6. 【請求項６】 タイミングベルトの長さ方向所定範囲
   にのみ歯が形成され、前記固定用形状は被駆動部材とタ
   イミングベルトの歯との位相が一定となる位置に設けら
   れることを特徴とする請求項１のベルト伝動機構。
7. 【請求項７】 被記録材を搬送するための搬送手段
   と、被記録材に画像を記録するための記録手段と、該記
   録手段を搭載して移動可能なキャリジと、駆動源からの
   駆動力をタイミングベルトにより前記キャリジに伝達す
   るためのベルト伝動機構とを有する記録装置において、
   前記ベルト伝動機構のタイミングベルトの一部にキャリ
   ジと係合する固定用形状を設けることを特徴とする記録
   装置。
8. 【請求項８】 前記固定用形状が凸形状、凹形状また
   は孔形状であることを特徴とする請求項７の記録装置。
9. 【請求項９】 前記固定用形状がタイミングベルトの
   複数位置に設けられることを特徴とする請求項７の記録
   装置。
10. 【請求項１０】 前記ベルト伝動機構のタイミングベル
    トの長さ方向所定範囲にのみ歯が形成され、前記キャリ
    ジと前記タイミングベルトの歯との位相が一定となる位
    置に前記固定用形状が設けられることを特徴とする請求
    項７の記録装置。
11. 【請求項１１】 前記記録手段がインクジェット記録手
    段であることを特徴とする請求項７の記録装置。
12. 【請求項１２】 前記記録手段が、インクを吐出するた
    めに利用される熱エネルギーを発生する電気熱変換体を
    備えているインクジェット記録手段であることを特徴と
    する請求項１１の記録装置。
13. 【請求項１３】 前記記録手段が、前記電気熱変換体が
    発生する熱エネルギーによりインクに生じる膜沸騰を利
    用して、吐出口よりインクを吐出させることを特徴とす
    る請求項１２の記録装置。