JPH0692998A - 新規タンパク質、その対応モノクローナル抗体及び該モノクローナル抗体を用いたその検出方法 - Google Patents

新規タンパク質、その対応モノクローナル抗体及び該モノクローナル抗体を用いたその検出方法

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JPH0692998A
JPH0692998A JP13260093A JP13260093A JPH0692998A JP H0692998 A JPH0692998 A JP H0692998A JP 13260093 A JP13260093 A JP 13260093A JP 13260093 A JP13260093 A JP 13260093A JP H0692998 A JPH0692998 A JP H0692998A
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憲康 葛原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 腫瘍マーカーとして高精度に測定できる新規
なm−AT類似物質を提供し、該物質に反応し、癌診断
薬としての用途を有する新規モノクローナル抗体と、該
モノクローナル抗体を用いた前記腫瘍マーカーの測定方
法を提供すること。 【構成】 癌患者腹水よりα−ラクトアルブミンアフィ
ニティクロマトグラフィーによりガラクトース転移酵素
とのヘテロ多量体として分離され、ドデシル硫酸ナトリ
ウム処理又は8M尿素処理により単分子状態となり、S
DS−PAGE還元条件下電気泳動で約48kDaの分
子量を示し、等電点が約4.6〜5.0であり、抗α1
−アンチトリプシンポリクローナル抗体と反応し、プロ
テアーゼ・インヒビター活性を持たず、ガラクトース転
移酵素との会合及び自己会合が可能なタンパク質を提供
した。また、該タンパク質と反応し、α1 −アンチトリ
プシンと実質的に反応しないモノクローナル抗体を提供
した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な癌関連物質と、
該物質に対するモノクローナル抗体及び該抗体を産生す
るハイブリドーマに関する。さらに、該物質の検出及び
定量に関する。さらに詳しくは、癌患者中に新たに見い
だされた、ガラクトース転移酵素に結合性を有するmodi
fied−α1 −アンチトリプシン様物質、および該物質に
対するモノクローナル抗体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、細胞が癌化することにより通常
存在しないタンパク質を生成することが知られており、
それらの物質は癌マーカーとして癌の in vitro 診断に
用いられている。
【0003】ガラクトース転移酵素のアイソザイムであ
る癌関連ヒト由来ガラクトース転移酵素も癌マーカーの
一つとして知られており(特開平2−186984
号)、そのモノクローナル抗体を用いた癌の診断につい
て報告されている(特開平3−259093号)。ガラ
クトース転移酵素(以下、GTと言うことがある)は、
種々の糖タンパク質のオリゴ糖や単糖類の非還元末端へ
ウリジンホスホガラクトース(UDP−ガラクトース)
からガラクトース残基を転移する触媒能を有する酵素で
あり、殆ど全ての組織に存在している。このGT活性が
癌化により上昇することをきっかけとしてGTアイソザ
イムであるGT−IIが発見された。このGT−IIは、Bi
ochem.Biophys.Res.Common.,65(2),545-551,1975に記載
されている通り、Native-PAGE において健常人に主とし
て存在するGT−Iに比較し移動度の小さい、GT活性
を有するバンドを定義したものである。しかしその後、
GT−IIの本質はそのGT−IIを構成する癌関連ガラク
トース転移酵素であることが明らかにされた(特開平2
−186984号)。
【0004】一方、α1-アンチトリプシン(以下、AT
Tということがある)は血清中に最も多量に存在するプ
ロテアーゼインヒビターの一つであり様々なセリンプロ
テアーゼに対して阻害活性を示すが、主にエラスターゼ
による組織障害を防御する生理機能を有すると考えられ
ている。また、急性相反応性蛋白質としての性格も有し
ており、癌においても増加する傾向があることが知られ
ている(例えば、右田俊介ら:分子進化から見た急性期
タンパク,感染・炎症・免疫,14:339, 1984参照)。さ
らに、AATと悪性腫瘍の進展との関係について見た場
合、転移・末期癌などでは一層高値を示すようになるこ
とも確認されている。しかしながら、このような傾向は
AATに限られたものではなく、α1-酸性糖タンパク、
α1-アンチキモトリプシン、C反応性タンパク(CR
P)などの急性相反応性蛋白質全般に多少とも見られる
ものであり、AATを定量することにより癌診断を可能
ならしめるものではない。プロテアーゼインヒビター活
性に関しては、癌患者中のAATの全活性の値が低いこ
とが知られている(Rajender K.Chawla et al. : Cance
r Res.,44, 2718-2723, 1984参照)。また、癌患者のA
ATには、健常人中のAATと同じ分子量でプロテアー
ゼインヒビター活性を持たないものが存在することが報
告されている(Rajender K.Chawla et al. : Cancer Re
s.,47, 1179-1184, 1987参照)。しかしながら、この失
活したAATと正常AATとの物質的な差異に関しては
何ら明らかにされておらず、従って特異的に検出するこ
とは困難である。
【0005】さらに、AATの部分分解物質については
活性部位を切断されて失活したもの(modified- AT;
以下m-ATということがある)が存在することが示され
ているが、抗原性においてAATと差がないとされてい
る(日本臨床43巻・秋期臨時増刊号(1985))。また、
失活したm−ATについての臨床的意義は明らかにされ
ておらず、その定量法は直接的な測定法がないため間接
的な方法、例えば、一元放射状免疫拡散法(SRID)
による全AAT量と血清トリプシン阻害能(Serum tryp
sin inhibitory capacity :STIC)による活性AA
T量との比較により算出する方法により行われている。
しかし、この方法による失活AATの定量値は活性部位
を切断されて失活したm−ATだけではなく活性型のA
ATと同じ分子量である上述の失活したAAT量が測定
値に含まれることになる。実際にはむしろ、m-AT自身
はα1-アンチトリプシン−エラスターゼ複合体よりは遅
いがAATよりは速やかに代謝される(Alan E.Mast et
al.:Biochemistry, 30,1723-1730, 1991)ことから、
失活AATのごく一部分に相当するにすぎない。また、
STIC値はAATが極めて多量に存在するため近似的
にAATの活性値とみなしているが、厳密にはAATだ
けではなくα1-アンチキモトリプシン、α2-マクログロ
ブリン、インターαトリプシンインヒビター、C1イン
ヒビター等血清中のセリンプロテアーゼインヒビターす
べての活性の総計であるため正確な定量値を与えるもの
ではない。
【0006】また、AATと他のタンパク質との会合体
形成については、通常知られるセリンプロテアーゼとの
特異結合の他には、AATとγ−セミノプロテインの複
合体が血清中に存在することが報告されている(特開昭
62−46263)。しかし、生体中に存在するm−A
Tがそれ自身、または、セリンプロテアーゼ以外の他の
タンパク質と複合体を形成するという報告はなく、ガラ
クトース転移酵素について特定のタンパク質との複合体
形成に関する報告も見られない。
【0007】以上、癌患者血清中でm−AT様物質が生
成し、m−AT様物質とガラクトース転移酵素との複合
体とm−AT様物質自身の自己会合体が特異的に存在す
ること、及び、m−AT様物質とガラクトース転移酵素
との会合体、m−AT様物質の自己会合体をモノクロー
ナル抗体を用いて特異的に検出する方法についてはなん
ら報告はない。また、癌患者血清中でm−ATが高濃度
に生成し、m−ATをモノクローナル抗体を用いて特異
的に検出する方法についてもなんら報告はない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、腫瘍
マーカーとして高精度に測定できる新規なm−AT類似
物質を提供し、該物質に反応し、癌診断薬としての用途
を有する新規モノクローナル抗体と、該モノクローナル
抗体を用いた前記腫瘍マーカーの測定方法を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、GT−IIとしてNative-PAGE に認められ
るバンドに一部m−AT様物質がガラクトース転移酵素
分子と多量体を形成した状態で混在していることを見い
だし、さらに、このm−AT様物質(このGTとの会合
性を有するm−AT様物質のことをBP(Binding Prot
ein)ということがある)は、自己会合体を形成した状態
で存在しているものもあることを見いだした。また、m
−AT様物質、すなわちBPは、分子構造上m−ATと
区別できず、GT分子との会合性、自己会合性を有する
という点においてのみm−ATと区別されることも明ら
かにした。さらに、AATとm−AT様物質(またはm
−AT)には免疫学的な(抗原性の)差があり、上記の
BPに反応し、AATに実質的に反応しないモノクロー
ナル抗体を作製することに成功し、また、該モノクロー
ナル抗体を用いて被検液中のBPとGTとの会合体、ま
たはBP自己会合体を定量することにより癌の診断が可
能であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、癌患者腹水よりα−
ラクトアルブミンアフィニティクロマトグラフィーによ
りガラクトース転移酵素とのヘテロ多量体として分離さ
れ、ドデシル硫酸ナトリウム処理又は8M尿素処理によ
り単分子状態となり、SDS−PAGE還元条件下電気
泳動で約48kDaの分子量を示し、等電点が約4.6
〜5.0であり、抗α1 −アンチトリプシンポリクロー
ナル抗体と反応し、プロテアーゼ・インヒビター活性を
持たず、ガラクトース転移酵素との会合及び自己会合が
可能なタンパク質、該タンパク質とガラクトース転移酵
素との会合体及び該タンパク質の自己会合体を提供す
る。
【0011】また、本発明は、前記本発明のタンパク質
と反応し、α1 −アンチトリプシンと実質的に反応しな
いモノクローナル抗体及び該モノクローナル抗体を産生
するハイブリドーマを提供する。なお、ここで、「実質
的に反応しない」とは、同一のELISA系で測定した
場合に、α1 −アンチトリプシンに対する反応性が1/
100以下であることを意味する。
【0012】さらに、本発明は、前記本発明のモノクロ
ーナル抗体と前記本発明のタンパク質との特異的抗原抗
体反応を利用した免疫学的測定により本発明のタンパク
質又は会合体を検出又は定量する方法を提供する。すな
わち、前記タンパク質を測定するためには、本発明のモ
ノクローナル抗体と該タンパク質を認識し得る異なる抗
体とをそれぞれ固相抗体、2次抗体として用いることが
できる。また、前記タンパク質とガラクトース転移酵素
の会合体を測定するためには、本発明のモノクローナル
抗体とガラクトース転移酵素に対する特異的な抗体を固
相抗体、及び2次抗体として用いることが出来る。ある
いは、本発明のモノクローナル抗体により捕らえた該会
合体のガラクトース転移酵素活性を測定することにより
行うこともできる。前記タンパク質自己会合体を測定す
るためには、本発明のモノクローナル抗体同士を固相抗
体、及び2次抗体として用いることができる。
【0013】以下に本発明について詳述する。
【0014】本発明のガラクトース転移酵素とBPの会
合体(GT−BP)は、下記実施例に詳細に記載するよ
うに、癌患者の腹水、例えば卵巣癌患者の腹水から Can
cerResearch 48 巻、5325頁、1988年に記載の方法に従
い、α−ラクトアルブミンアフィニティクロマトグラフ
ィによりGTを分離することにより共存物質として分離
することができる。以後の説明より明らかとなるが、こ
れにより得られた試料中には大部分のGTと少量のBP
とGTの会合体が存在するため、後者のみを得るため
に、例えば抗AAT抗体のアフィニティクロマトグラフ
ィにより該会合体のみを吸着させて溶出し、分離するこ
とができる。この場合抗AAT抗体は、モノクローナル
抗体、ポリクローナル抗体のいずれであってもよいが、
モノクローナル抗体の場合にはm−AT様物質にも反応
するものを選択する必要があることから、ポリクローナ
ル抗体が好ましい。しかし、m−AT様物質に対するモ
ノクローナル抗体を作製する目的のためには後者のみを
分離する過程は必ずしも必要とされない。むしろ、溶出
条件による該会合体(特にm−AT様物質部分)の変性
を招く危険性を伴うため行わないことが好ましい。
【0015】本発明のm−AT様物質に対するモノクロ
ーナル抗体は、上述の手順に従い分離した免疫原を用い
て、哺乳動物に一般的方法により免疫を行うことができ
る。すなわち、上記の免疫原をリビ・アジュバントシス
テム等のアジュバントとともに腹腔内又は静脈内に投与
することができる。
【0016】次に、免疫動物から採取した脾臓細胞とミ
エローマ細胞との細胞融合により、当該分野における既
知の方法でモノクローナル抗体を得ることができる。す
なわち、免疫動物より脾細胞を摘出し骨髄腫細胞と融合
させる。融合に際して、融合促進剤としてポリエチレン
グリコール(PEG)を用いることができる。融合操作
後、通常の選択培地、例えばHAT培地中で培養するこ
とにより融合細胞(ハイブリドーマ)のみを選択し、次
いで、目的とする抗体を産生するハイブリドーマをスク
リーニングし、クローニングを行う。スクリーニング
は、一般的な方法、例えば、ELISA法等により行う
ことができる。また、クローニングは、例えば、限界希
釈法により行うことができ、これによりモノクローン化
されたハイブリドーマを得ることができる。得られたハ
イブリドーマは、マウス腹腔内に投与しその腹水から回
収する方法、又は、ハイブリドーマを培養し、培養上清
から分離する方法により得ることができる。さらに、一
般的な方法、すなわち、硫酸アンモニア沈殿、ゲル濾
過、イオン交換クロマトグラフィー等を用いて精製する
ことができる。
【0017】下記実施例において詳述するように、上記
方法により、5種類のモノクローナル抗体が得られた。
【0018】これらモノクローナル抗体のうち、4種類
は人乳汁中のガラクトース転移酵素分子と反応した。す
なわち、ゲル(例えばアガロースゲル)に抗体を結合し
て、被検液、すなわち人乳汁と反応させた後、アクセプ
ター基質と放射標識したGTドナー基質液を加えて反応
させてガラクトース転移酵素活性を測定した結果、モノ
クローナル抗体M801を除く4種類の抗体はすべて酵
素活性を有する分子に反応していた。しかし、被検液に
卵巣癌患者腹水を用いた場合は5種類の抗体とも反応し
た物質は酵素活性を有していた。
【0019】また、卵巣癌患者からα−ラクトアルブミ
ンアフィニティクロマトグラフィにより精製されたGT
画分をシアリダーゼで処理した後、等電点電気泳動を行
い、銀染色、又は、次いでニトロセルロース膜にウェス
タン・ブロットを行い5種類の抗体によりそれぞれイム
ノステインを行った。その結果、M801のみがpI
4.6〜5.0付近に、残る4抗体は銀染色パターンに
対応して広いpI域に複数のバンドが染色された。
【0020】これらは、癌患者腹水中にGT分子とその
結合タンパク質のヘテロ多量体を形成したものが存在
し、M801抗体がGT分子とほぼ分子量の等しい結合
タンパク質部分に反応していることを示すものである。
【0021】BPの分離は、本発明の抗体(抗BP抗
体)を用いたアフィニティクロマトグラフィにより精製
することができる。すなわち、本発明の抗体、例えば、
M801をアガロースゲルに固定化したアフィニティカ
ラムに、卵巣癌患者腹水のようなBPを含む試料液を通
してBPを選択的に結合させた後、溶出液により溶出す
ることにより精製される。溶出は、例えば3Mチオシア
ン酸カリウム溶液、酸性緩衝液、アルカリ性緩衝液によ
り行うことができる。このようにして得られた画分は、
SDS−ポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)の結
果、分子量は約4万8千であり、Native-PAGE の結果、
単分子状態のものと2量体、さらにそれ以上の多量体
(20量体又はそれ以上のものまで)の状態のものが存
在することが判明した。この様にして得られたBP画分
中にはほとんどGTは含まれないが、これをさらに精製
するためには抗GT抗体を固定化したアフィニティカラ
ムに通して通過した画分を得れば良い。また、この画分
中には、自己会合状態のBP分子の他に、単分子状態の
m−AT分子が含まれるが、単分子状態のm−AT分子
を除去しBP自己会合体のみを分離精製するためには、
ゲル濾過クロマトグラフィーを行い多量体画分のみを得
ればよい。この方法により、BP自己会合体を単離する
ことができる。すなわち、この試料を未変性PAGE
(Native PAGE)にかけると、約48kDa
の倍数の分子量に対応する複数のバンドのみが観察され
る。バンドは、2量体から20量体までに対応するもの
が明瞭に認められるが、20量体を超えるものも存在す
るものと考えられる。なお、上記方法において、抗GT
抗体を固定化したアフィニティカラムからGT−BP会
合体を3Mチオシアン酸カリウム溶液、酸性緩衝液又は
アルカリ性緩衝液等で溶出することにより、GT−BP
会合体を単離することができる。すなわち、この試料を
Native PAGEにかけると、約48kDaの倍
数の分子量に対応する複数のバンドのみが観察される。
バンドは、2量体から20量体(BPとGTの分子が合
計20個会合したもの)までに対応するものが明瞭に認
められるが、20量体を超えるものも存在するものと考
えられる。
【0022】同様に健常人血清中から抗BP抗体のアフ
ィニティクロマトグラフィにより反応性物質の分離を試
みたところ、血清を加熱処理したものについて分子量約
5万2千の物質が得られたが、未処理条件下では分離さ
れなかった。また、いずれの条件においても電気泳動上
で4万8千の分子量を示すタンパク質はほとんど確認さ
れなかった。この分子量5万2千のタンパク質を充分に
精製後アミノ酸シークエンスの解析を行った結果、AA
Tと同定された。そこでBPについてELISA法によ
り固相抗体に抗BP抗体、標識抗体として抗AATポリ
クローナル抗体を用いて検出を試みた結果、BPは抗A
ATポリクローナル抗体との反応性が確認された。この
結果からBPとAATとの関連性が示唆されたので、B
PをCNBrにより限定分解してAATと比較したとこ
ろ、BPは5本のフラグメントのメインバンドが確認さ
れ、AATから得られたフラグメントとはやや短い1本
を除いて全て一致した。これはすなわちBPがAATの
部分分解物質と同様の一次構造であることを示すもので
ある。
【0023】AATとエラスターゼの反応については、
Cancer Research 47, 1179-1184, 1987 に記述されるよ
うにAATとエラスターゼの量比により反応生成物が異
なることが知られている。すなわち、AAT>エラスタ
ーゼの場合にはAATとエラスターゼの複合体と未反応
AAT及びエラスターゼが生成するのに対し、AAT<
エラスターゼの場合には複合体の生成は確認されず、S
DS−PAGE上でAATよりやや分子量の小さいバン
ドが生成する。ここでいうm−ATというのはAATの
活性部位すなわちアミノ末端側から358番目のメチオ
ニン残基と359番目のセリン残基の間が切断すること
により生成したエラスターゼと複合体を形成していない
AATのことであり、エラスターゼ過剰条件下で生成す
る、AATよりやや分子量の小さいタンパク質のことを
言う。
【0024】BPのプロテアーゼインヒビター活性につ
いて検討を行った。測定は、セリンプロテアーゼとして
用いたエラスターゼに前述のM801抗体のアフィニテ
ィカラムから溶出したBP試料を添加して、エラスター
ゼの基質 N-Succinyl-(Ala)3-p-nitroanilide の分解度
を410nmの吸光度で測定することにより行った。そ
の結果、対照実験として行ったAAT添加においてプロ
テアーゼインヒビター活性が認められたのに対してBP
は活性が確認されなかった。同様に、αラクトアルブミ
ンカラムにより精製したGT−BP結合体を添加した場
合も活性は確認されなかった。
【0025】m-ATは、Hoppe-Seyler's Z.Phisiol.Che
m. 363, 1377-1388, 1982 に記載の方法により単離する
ことができる。すなわち、精製したAATとキモトリプ
シノーゲンAを等量モルで37℃、4日間反応させた
後、ゲル濾過クロマトグラフィにより48kDの分子量
のm-ATを分離することができる。
【0026】また、本発明者らは別の方法により定量性
良くm−ATを分離する方法を見出した。すなわち、A
ATとエラスターゼを1:1等量(モル比)で反応させ
た後陰イオン交換クロマトグラフィーによりAAT・エ
ラスターゼ複合体を単離し、該複合体に少量のエラスタ
ーゼを添加する。これを一定時間反応させた後再度陰イ
オン交換クロマトグラフィーを行いm−ATを単離する
ことができる。
【0027】抗BP抗体により分離したBPは、SDS
条件下における分子量、等電点ともにm-ATと同じ値を
示した。また、m-ATについても同様にCNBrによる
限定分解を行ったところ、BPと同じ分子量パターンを
示した。
【0028】m−ATは活性部位が切断されてC末端の
3.6kDaのペプチドが48kDaの分子と非共有結
合により結合した状態にあることが知られている。AA
T、AAT・エラスターゼ複合体、単離したBP分子及
びゲル濾過クロマトグラフィーにより再度精製したm−
ATをペプチド分離用SDS−PAGEを行ったとこ
ろ、AAT以外の全てから分子量3600に相当する低
分子が検出された。この結果、BPがm-AT分子と同様
の分子構造をとることが確認された。
【0029】しかし、癌患者腹水から得られたBPは、
単離したAATをエラスターゼなどのセリンプロテアー
ゼにより処理した結果生成したm−ATの場合とは異な
り、GT分子との会合体、または、自己会合体を形成し
たものとして存在しているという特徴を有している。こ
のことは、健常人血清中にBPは存在せず、エラスター
ゼをAATの等量より多く加えた場合(m−ATが生成
する条件)においてもBPは生成しないことからも確認
される。以上のことから、BPはAATの分解生成物で
あり、かつ癌化を反映してGTとの会合性、凝集性を獲
得したものであることを示しているものであると考えら
れ、単分子状態で存在するm−AT分子と区別される。
【0030】本発明の提供するBPに対するモノクロー
ナル抗体は、AATに対しては実質的に反応性を有さず
その部分分解物に相当する構造(m−AT)に反応する
という特徴を示している。また、他の血清タンパク質に
も反応しない。さらには、BPと抗BP抗体との反応に
おいて抗原分子の立体構造が保持されやすい反応条件で
ある、抗原分子が液相に存在する場合には抗BP抗体が
BPには良く反応するのに対してAATには反応せず、
抗原分子の立体構造が保持されにくい固相に抗原が固定
化された条件の反応の場合には、抗BP抗体がBPだけ
ではなくAATに対しても反応し得る。これらの事実
は、抗BP抗体M801はAATの高次構造における分
子内部が活性部位の切断により露出された部分に反応し
ている可能性があることを示すものである。
【0031】BPとGTの会合体は抗BP抗体を用い
て、ガラクトース転移酵素活性を測定することにより定
量することができる。すなわち、固相担体に固定化した
本発明の抗BPモノクローナル抗体に被検液を接触させ
た後、非結合物質を除去し、固相の有するGT活性を測
定するという手順に代表される方法により測定する。固
相担体としては、ポリスチレンやポリカーボネート等で
できたELISA用96穴マイクロタイタープレートと
ポリマーやガラスでできたビーズ、あるいはゲルなどを
用いることができる。抗体の固相担体への固定化は、物
理的吸着、または化学的、あるいはそれらを併用するこ
とにより行うことができる。物理的な吸着固定の場合
は、通常pH7〜9程度の溶液中で4℃一晩か37℃1
時間程度の固定操作を行うことができる。物理的吸着固
定では固定量が不十分な場合には、例えばグルタルアル
デヒド等の適当な固定剤を用いた化学処理により担体へ
の固定化量を増加させることが好ましい。被検液と固相
に固定化された抗体との反応は通常の生理的条件(p
H、イオン強度、温度)下で行うことができる。反応
後、結合しなかった被検液は固相担体から分離され充分
に洗浄した後、固相の有するGT活性を、例えば実施例
に示した手順に従い測定することができる。
【0032】BP−GT会合体の他の測定方法として
は、競合法、2抗体法が挙げられる。すなわち、前者は
あらかじめ単離し調製した標識抗原を被検液と固相抗体
との反応過程が共存させて標識抗原を検出する方法であ
り、後者は抗BP抗体の他にGTに対する抗体を用いた
当業者の間でサンドイッチ法として知られる方法であ
る。高感度測定を目的とする場合は、2抗体法が好まし
く用いられる。2抗体法により測定を行う場合、抗BP
抗体、抗GT抗体のいずれか一方を固相に固定化し、他
方をラジオアイソトープ、酵素、蛍光物質等により直接
またはアビジン、ビオチン(またはそれらの誘導体)等
を介して間接的に標識することにより用いることができ
る。すなわち、該抗体を125 I、西洋わさびペルオキシ
ダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アルカリフォスファタ
ーゼ等により標識することにより用いることができる。
測定手順は、例えば以下のようにして行うことができ
る。抗BPモノクローナル抗体を96穴マイクロタイタ
ープレートに加えて4℃で一晩物理吸着させた後液を除
去し、非特異吸着を防止するためにBSA等のブロック
剤を加えてブロッキングを行う。固定化した抗体と被検
液との反応は、被検液をプレートのウェルに加えて一定
時間反応させる。この反応は、通常37℃で1時間、ま
たは、4℃で一晩の条件で好ましく行われる。反応終了
後、液を除去してから洗浄し、西洋わさびペルオキシダ
ーゼ標識抗体を加えて反応させる。反応条件は抗原抗体
反応が行われ、かつ、酵素活性が保たれる条件であれば
良いが、通常室温、1時間で行うことができる。標識抗
体の反応が終了した後、充分にウェルを洗浄し酵素基質
としてo−フェニレンジアミンを加えて反応させ、一定
時間後に硫酸を加えることにより反応を停止させ該液の
吸光度を測定し、定量する。
【0033】BPの自己会合体については、同一の抗
体、または、同一の抗原決定基を認識しその反応部位を
競合する抗体同士を用いた2抗体法により測定すること
ができる。すなわち、該抗体を固相抗体、および、標識
抗体としてもちいることができ、これにより自己会合体
のみを測定することができる。標識抗体の標識物質につ
いては前述の物質を用いることができるし、さらに、測
定手順等についても用いる抗体を除いて前述の2抗体法
による方法に準ずることができる。
【0034】本発明の抗BP抗体は、m−ATの構造を
認識することから、これを用いて被検液中のm−ATを
測定することにより定量することができる。例えば、抗
BP抗体を固相抗体とし抗AAT抗体を標識抗体として
用いる2抗体法により正確に定量することができる。標
識抗体の標識物質については前述の物質を用いることが
できるし、さらに、測定手順等についても用いる抗体を
除いて前述の2抗体法による方法に準ずることができ
る。この方法により、癌患者においてm−ATが高濃度
に生成することが明らかになった。
【0035】
【発明の効果】本発明により、癌患者被検液中からのみ
検出されるガラクートス転移酵素と会合性を有するBP
および、BPとガラクトース転移酵素との会合体、また
は、BPの自己会合体が提供された。また、本発明によ
り、BPに対する特異性の高いモノクローナル抗体及び
それを産生するハイブリドーマが提供された。さらに、
それを用いたBPとGTの会合体及び、BPの自己会合
体の測定方法が提供された。また、該抗体を利用したm
−ATの測定方法が提供された。従って、本発明は被検
液中の前記物質を測定することにより、癌の診断に貢献
するものである。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づきより具体的に
説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定される
ものではない。
【0037】1.ガラクトース転移酵素(GT)画分の
分離α−ラクトアルブミンアフィニティクロマトグラフィ GT−BP会合体を含むGT画分は卵巣癌患者の腹水中
から以下の手順により得た。操作は全て4℃で実施し
た。
【0038】卵巣癌患者の腹水約1リットルを遠心分離
し、不溶物を除去した。上清を約20倍量の蒸留水で1
晩透析した後、これを10mM MnCl2 、5mM
N-アセチルグルコサミン、0.01%トライトンX-10
0(Tx−100)を含む20mMトリス−HCl緩衝
液(pH7.3)(緩衝液A)に調整した。2時間静置
後、遠心分離(16000g,30分間)して再度不溶
物を除去した。
【0039】この上清をあらかじめ緩衝液Aで平衡化し
たα−ラクトアルブミン・セファロース 4B アフィ
ニティカラム(5×30cm)に通し、同緩衝液で十分
に洗浄した。タンパク質のモニターは280nmの吸光
度の測定により行った。カラムを通過するタンパク質が
認められなくなった後、GlcNAcを除いた緩衝液A
によりGT画分を溶出した(約50ml)。これにGl
cNAcを加え、最終濃度5mMとした。
【0040】これらをあらかじめ緩衝液Aで平衡化した
ヤギ抗ヒト免疫グロブリンGアフィニティカラム(1.
5×3cm)(シグマケミカル社製)に通し、GTを含
む画分を集めて透析チューブに入れアクアサイドII(カ
ルバイオケム製)を用いて約10mlに濃縮した。さら
に蒸留水で透析した後、イスコ電気泳動コンセントレイ
ターを用いて濃縮し0.5mlとした。なおGT画分は
GT活性測定により追跡した。なお、GT活性の測定
は、特公平3−13879号に記載の方法により行っ
た。
【0041】SDS−ポリアクリルアミド電気泳動 濃縮されたGT画分試料の分子量を、ドデシル硫酸ナト
リウム・ポリアクリルアミド電気泳動(SDS−PAG
E)により測定した。SDS−PAGEは、ファストシ
ステム(ファルマシア社製)により12.5%ポリアク
リルアミドゲルを用いて行い銀染色を行った結果、分子
量約48kDaのバンドが確認された。
【0042】2.抗BP抗体の調製免疫プロトコール 実施例1で調製したGT画分の試料約50μgをリビ・
アジュバントシステム(リビ イムノケム リサーチ社
製)を用いてBALB/c系マウス(雌、8週齢)に免
疫し、再度3週間後に同量注射した。この投与後2週間
目に採血して、酵素免疫測定法(ELISA)により抗
体価を測定して陽性であることを確認した後、GT画分
試料300μgをリン酸塩緩衝食塩水(PBS)に溶解
して静脈注射した。3日後、該マウスより脾臓を摘出し
以下のように細胞融合を行った。
【0043】エライザ(ELISA) 96穴マイクロタイタープレート(ヌンク社製)のウェ
ルに、PBSに希釈したGT画分試料を5μg/mlの
濃度で50μlづつ分注し4℃で一晩吸着した。該液を
除去し、ウェルをPBSで洗浄した後、1%BSAを含
むPBSを各ウェルに100μlづつ加え、37℃で1
時間インキュベートした。BSA溶液を除去した後、抗
体を含む液(即ち、培養上清あるいは抗血清)50μl
を加え、37℃で1時間インキュベートした。抗体を含
む液を除去しPBSで充分に洗浄した後、1%BSA・
PBS溶液に希釈したペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウ
スイムノグロブリン(A+G+M)(カッペル社製)溶
液を加えて、室温で1時間反応させた。溶液を除去し、
PBSで充分に洗浄した後、基質として濃度3mg/m
lのo−フェニレンジアミンを溶解したクエン酸・リン
酸緩衝液(pH5.0)(0.02%H22 を含む)
を各ウェルに100μlづつ添加し発色させた。9N硫
酸50μlを各ウェルに加えて発色反応を停止し、波長
492nmの吸光度をマイクロプレートリーダーMPR
A4(東ソー製)を用いて測定した。
【0044】細胞融合 免疫されたマウスから脾臓を無菌的に摘出し、ステンレ
スメッシュにより単細胞にほぐし、脾細胞の1/5量の
マウスミエローマ細胞株P3X63−Ag8−653細
胞とRPMI1640培地(日水製薬製)を混合し遠心
分離後、細胞のペレットに50%ポリエチレングリコー
ル1500(ベーリンガー社製)を加え、融合操作を行
った。その後徐々にRPMI1640液で希釈し遠心分
離により上清を除去した融合細胞を、20%牛胎児血清
(FCS)を加えたHAT培地(0.01mMヒポキサ
ンチン、1.6μMチミジン、0.04μMアミノプテ
リンを含むRPMI1640培地)に懸濁し、96穴マ
イクロプレートに1ウェルあたり4×105 個の細胞を
まき込み5%CO2 下37℃で培養した。2週間後、コ
ロニー生育ウェルの培養上清を用いて、ELISA法に
よりGT画分試料と強く反応する抗体をスクリーニング
した。抗体産生コロニーについて限界希釈法によりクロ
ーニングを3回行い、安定した抗体産生クローンを得
た。最終的にクローン5個を得て、M801、M52
4、M623、M177、M691と命名した。
【0045】モノクローナル抗体の精製 5個のクローンをそれぞれ10%FCSを加えたRPM
I1640培地で培養し、遠心分離(200g,5分
間)してRPMI1640培地で洗浄して再度遠心分離
した後RPMI1640で1×107 個/mlの濃度に
懸濁した。これを7日前にあらかじめプリスタン(2、
6、10、14−テトラメチルペンタデカン)を注射し
ておいたBALB/c系マウスの腹腔に0.5mlづつ
接種した。約2週間後、腹部の膨張したマウスから腹水
を採取し、遠心分離(200g,5分間)により細胞を
除去した後、これを硫酸アンモニウムを加えて50%飽
和溶液とし、沈殿を分離してPBSに溶解した。
【0046】M801,M524,M623について
は、100倍量の20mMトリス−HCl緩衝液(pH
7.8)で十分に透析した。これらを陰イオン交換クロ
マトグラフィーにより精製した。すなわち、DEAE−
セファロース(ファルマシア社製)カラムを用いて上記
試料をアプライし、20mMトリス−HCl(pH7.
8)、塩化ナトリウム濃度0−1Mの条件により濃度勾
配溶出を行った。溶出液は280nmの吸光度によりモ
ニターし、得られた各画分についてELISAを行いモ
ノクローナル抗体溶出画分を同定して集めた。
【0047】M177,M691については、ゲル濾過
法により精製した。すなわち、スーパーローズ12カラム
(2×50cm)(ファルマシア社製)を用いて上記試
料をアプライし、PBSにより溶出した。溶出液は28
0nmの吸光度によりモニターし、得られた各画分につ
いてELISAを行いモノクローナル抗体溶出画分を同
定して集めた。
【0048】モノクローナル抗体の特徴づけ (1)モノクローナル抗体のクラス及びサブクラス 各モノクローナル抗体の抗体クラスとサブクラスは、マ
ウスモノクローナル・サブ−アイソタイピングキット
(AMERICAN QUALEX 社製)を使用して決定した。その結
果、M801,M524はIgG1 、M623はIgG
2b、M177,M691はIgMと決定された。
【0049】(2)特異性 得られた5種類のモノクローナル抗体の特異性を以下に
示す試験により決定した。それぞれのモノクローナル抗
体を結合したゲル懸濁液25μlに癌患者の腹水500
μlを加えて4℃で一晩振盪した。2mlの冷CKT緩
衝液(20mMカコジル酸ナトリウム、150mM塩化
ナトリウム、0.01%トリトンX−100)を加えて
1gで5分間放置してから上澄み液を吸引した。再度C
KT緩衝液による洗浄を行った後、70μlのGT基質
液を加え(7μlの0.5mM[3 H]UDP−gal
液、全投入量150000dpm (ニューイングランドヌクレア
ー社製)、3μlの0.2M二酸化マンガン液、60μ
lのCKT緩衝液、2mgの卵白アルブミン(OV
A)、この混合液を37℃で2時間振盪した。50μl
の反応混合液を1インチ角の濾紙ホワットマン3MM紙
にスポットして、即座に10%トリクロロ酢酸(TC
A)で10分間洗浄した。このTCA洗浄操作を3回行
った後、この試験紙を95%エタノール、ジエチルエー
テルにて順次10分間づつ洗浄した。空気中で乾燥した
後、この試験紙をシンチレーション用小ビンに入れてシ
ンチレーションカクテルを加えて、濾紙状に沈殿した放
射性タンパク質量を液体シンチレーションカウンターに
より測定した。その結果を表1に示す。
【0050】また、健常人乳汁、癌患者腹水、卵巣癌細
胞培養上清から前記手順に従いガラクトース転移酵素を
精製して、モノクローナル抗体の反応性の試験に使用し
た。なお、乳汁は遠心分離により中間層に得られる白濁
不透明液を得た後、0.2M酢酸緩衝液を等量添加して
pH4.6に調製して30分間静置した。これを20000r
pmで30分間遠心分離をして上清を分離して乳清を調製
し、これを用いた。
【0051】各モノクローナル抗体を濃度10μg/m
lにPBSで希釈して、96穴マイクロタイタープレー
ト(ヌンク社製)に100μlづつ加えて4℃で一晩吸
着させた。これをPBSで洗浄した後、1%BSA・P
BS溶液を200μlづつ加えて37℃で1時間静置し
てブロッキングしてから液を除去した。次に、上記精製
GTを1%BSA・PBSで50倍に希釈して各々10
0μlづつ各ウェルに加え37℃で1時間静置した。反
応後、PBSで3回づつ各ウェルを充分に洗浄した。次
に、1%BSA・PBS溶液に希釈した西洋ワサビペル
オキシダーゼ標識MAb8628(特開平3−2590
93号、微工研菌寄第11221号)を100μlづつ
各ウェルに加え、室温で1時間反応させた。反応終了
後、PBSで充分に洗浄してから基質として濃度3mg
/mlのo−フェニレンジアミンを溶解したクエン酸−
リン酸緩衝液(pH5.0)(0.02%H22 を含
む)を各ウェルに100μlづつ添加して室温で10分
間発色反応させた。9N硫酸を50μlづつ各ウェルに
加えて反応を停止して、波長492nmにおける吸光度
を測定した。その結果を表2に示す。
【0052】以上の結果から、得られた抗体はA(M8
01)、B群(M524,M623)、C群(M17
7,M691)に分類される。このなかでB群はすべて
のGT分子に反応する一群であり、これらは特願平3−
29091号の抗GT抗体のグループ1に相当するもの
である。また、C群は癌関連GTに反応する一群であ
り、これらはグループ2に相当するものである。しかし
ながらAのM801抗体は、その反応性の特徴からGT
分子に結合した癌患者腹水中の他の分子を認識している
ものと考えられる。なお、M801抗体を産生するハイ
ブリドーマは工業技術院微生物工業技術研究所に寄託さ
れ、その受託番号は、微工研菌寄第12942号であ
る。
【0053】3.BP自己会合体の単離モノクローナル抗体M801のアフィニティカラムの作
アガロースゲル担体を用いたアフィ・ゲル10(バイオ
ラッド社製)2mlを冷蒸留水(4℃)ですばやく3回
洗浄し、PBS溶液のモノクローナル抗体M801(2
0mg)を加えて4℃で4時間振盪した。反応終了後、
1M塩化ナトリウムを含む100mMグリシン−HCl
緩衝液(pH2.8)、1M塩化ナトリウムを含む10
0mMジエチルアミン溶液(pH11.5)、3Mチオ
シアン酸カリウムを含む50mMリン酸緩衝液(pH
7.2)で順次洗浄し、PBSで平衡化した。
【0054】BP自己会合体の単離 癌患者の腹水約1リットルを遠心分離して不溶物を除去
した。上清を約20倍量の蒸留水で一晩透析した後、あ
らためてPBSで透析した。これを遠心分離(1600
0g,30分間)して再度不溶物を除去した。この上清
をモノクローナル抗体M801アフィニティカラム(7
mm×50mm)に通し、1M塩化ナトリウムを含むP
BSで充分に洗浄した。次いで3Mチオシアン酸カリウ
ムを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.2)で溶出し
た。溶出タンパクのモニターは280nmの吸光度の測
定により行った。溶出したタンパク質の画分を集めてP
BSで充分に透析した。これを再度PBSで平衡化した
前述のアフィニティカラムに通し、同様にして再度溶出
して、PBSで透析した。この試料を透析チューブに入
れアクアサイドII(カルバイオケム社製)を用いて約1
0mlに濃縮し、さらに蒸留水で透析した後イスコ電気
泳動コンセントレイターを用いて濃縮し0.5mlとし
た。この濃縮液をさらにスーパーロース12カラム(1
x30cm)(ファルマシア社製)を用いてゲル濾過ク
ロマトグラフィーを行い単量体画分を除去し、得られた
試料を同様の方法により濃縮して1mlとした。
【0055】健常人由来M801反応物質の単離 健常人血清10mlをPBSで透析した後、遠心分離
(16000g,30分間)により不溶物を除去した。
この上清をモノクローナル抗体M801のアフィニティ
カラム(7mm×50mm)に通し、上記と同様にして
3Mチオシアン酸カリウムを含む50mMリン酸緩衝液
(pH7.2)で溶出したところ溶出タンパクは検出さ
れなかった。
【0056】次に、健常人血清10mlをPBSで希釈
して100mlとした後、80℃で10分間加熱処理を
行った。これをPBSで透析した後遠心分離(1600
0g,30分間)により不溶物を除去した。この上清を
モノクローナル抗体M801のアフィニティカラム(7
mm×50mm)に通し、以下、BP自己会合体の単離
の場合と同様にして溶出タンパク質を得た。
【0057】SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動 得られた試料の分子量を、SDS−PAGEにより確認
した。測定は、ファストシステム(ファルマシア社製)
により12.5%ポリアクリルアミドゲルを用いて行
い、染色は銀染色法により行った。その結果、癌患者腹
水由来の試料は分子量約48kDa、健常人加熱血清由
来の試料は分子量約52kDaの単一バンドが確認され
た。さらにこの健常人加熱血清由来の試料をアミノ酸シ
ークエンスの解析を行った結果、α1-アンチトリプシン
と同定された。
【0058】m−ATの単離・精製 AAT(アテンズ・リサーチ社製)1mg(1ml)を
エラスターゼ(エラスチン・プロダクツ社製)0.5m
g(0.5ml)を混合し、37℃で1時間反応させ
た。これを陰イオン交換クロマトグラフィー(カラム:
モノ−Q5/5HR、ファルマシア社製)によりpH
7.8トリス−塩酸緩衝液のNaClグラジエント溶出
(0〜1M)を行った。100mMNaCl付近で溶出
されるAAT・エラスターゼ複合体を集め、これに0.
05mgのエラスターゼを添加して37℃で6時間反応
させた。再度混合物を陰イオン交換クロマトグラフィー
(同カラム)により同緩衝液でグラジエント溶出を行
い、200mMNaCl付近で溶出されるm−AT画分
を分離し1mlに濃縮した。
【0059】CNBr分解 得られたBP自己会合体試料とAAT、そして調製して
得たm−AT30μgを凍結乾燥して、70%蟻酸35
μlに溶解してから5mg/mlCNBrを含む70%
蟻酸を等量加えた。室温で20時間反応させた後、10
0μl蒸留水を加えて反応を停止し、窒素ガス気流下に
30分間静置した。これを冷凍乾燥して少量の蒸留水に
溶解後、前述の方法に従ってSDS−PAGEを行っ
た。染色は、銀染色法により行った。その結果、BPと
m−ATは同様の5本のフラグメントのメインバンドを
得た。AATについては4本のバンドについては一致し
ており最長の分子量のバンドがBP、m−ATよりもや
や大きかった。
【0060】未変性ポリアクリルアミド電気泳動 得られたBP自己会合体試料およびm−ATについて未
変性条件下でポリアクリルアミドゲル電気泳動を行っ
た。PAGEはファストシステム(ファルマシア社製)
により8−25%グラジエントポリアクリルアミドゲル
を用いて行い、染色は銀染色法により行った。また、泳
動後のゲルをニトロセルロース膜上に緩和な条件(37
℃、4時間)でウェスタンブロットした。このメンブレ
ンを1%BSA(牛血清アルブミン)・PBS溶液に浸
漬してブロッキングした後、前記モノクローナル抗体を
希釈した1%BSA・PBS溶液に接触させ反応させ
た。PBSで充分に洗浄した後、1%BSA・PBS溶
液に希釈したペルオキシダーゼ結合抗マウスイムノグロ
ブリン(A+G+M)(カッペル社製)溶液中で、室温
で1時間反応させた。溶液を除去しPBSで充分に洗浄
した後、コニカイムノステインキットHRP IS−5
0B(コニカ社製)により発色させた。銀染色の結果、
α1-アンチトリプシンと同じ移動度のものと移動度の少
ない複数のバンドが観察された。免疫染色の結果は、モ
ノクローナル抗体M801では銀染色に対応していた
が、他の4種類の抗体については染色されなかった。
【0061】等電点電気泳動 得られたBP自己会合体試料とm−ATについてファス
トシステム(ファルマシア社製)を用いて等電点電気泳
動を行った。泳動後、銀染色および前述と同様にして免
疫染色を行った。その結果、銀染色においてBP自己会
合体とm−ATはpI 4.6〜5.0の複数のバンド
が確認された。免疫染色は、M801では対応していた
が他の4種類の抗体においては染色されなかった。
【0062】4.BPのプロテアーゼインヒビター活性
の測定 2mMのN-Succinyl-(Ala)3-p-nitroanilide(シグマ社
製)を加えた50mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.
0)(0.5M塩化ナトリウム、100μg/mlBS
Aを含む)にエラスターゼ(エラスチンプロダクト社
製)5μg/mlと、BP試料(GT−BP、BP自己
会合体)またはAATを加えて37℃で30分間インキ
ュベーションした。反応を停止させるために8M酢酸を
100μl/ml加えて、410nmの吸光度を測定し
た。その結果を図1に示す。この結果から、セリンプロ
テアーゼ(エラスターゼ)インヒビター活性を有するA
ATは約2倍当量でほぼ完全に阻害しているのに対し
て、GT−BPおよびBP自己会合体ではさらに高い濃
度においても阻害は認められずこれらBP試料はプロテ
アーゼインヒビター活性を持たないことが確認された。
【0063】5.GT−BPのSDS処理、および尿素
処理 実施例1で分離したGTに会合したBP試料を2.5%
ドデシル硫酸ナトリウムを加えたPBSに希釈して、3
7℃で1時間静置した。同様に、最終濃度8M尿素を加
えたPBSに希釈して、37℃で1時間静置した。モノ
クローナル抗体M801、M177をそれぞれに濃度1
0μg/mlにPBSで希釈して、96穴マイクロタイ
タープレート(ヌンク社製)に100μlづつ加えて4
℃で一晩吸着させた。これをPBSで洗浄した後、1%
BSA・PBS溶液を200μlづつ加えて37℃で1
時間静置してブロッキングしてから液を除去した。次
に、それぞれSDS処理、尿素処理したGT−BP試料
を1%BSA・PBS溶液で100倍に希釈したものか
ら、さらに同液により5倍づつ希釈した希釈系列を作成
し各々100μlづつ各ウェルに加え37℃で1時間静
置反応させた。反応後、PBSで3回づつ各ウェルを充
分に洗浄した。次に、1%BSA・PBS溶液に希釈し
た西洋ワサビペルオキシダーゼ標識MAb8628、同
標識抗α1 −アンチトリプシン・ポリクローナル抗体、
または同標識M801を100μlづつ各ウェルに加
え、室温で1時間反応させた。反応終了後、PBSで充
分に洗浄してから基質として濃度3mg/mlのo−フ
ェニレンジアミンを溶解したクエン酸−リン酸緩衝液
(pH5.0)(0.02%H22 を含む)を各ウェ
ルに100μlづつ添加して室温で10分間発色反応さ
せた。9N硫酸を50μlづつ各ウェルに加えて反応を
停止して、波長492nmにおける吸光度を測定した。
その結果を図2ないし図5に示す。M801−標識MA
b8628はGT−BP会合体のみを、M801−標識
M801はBP多量体のみを、M801−標識抗AAT
抗体はBPの単一分子を検出することができ、M177
−標識MAb8628はGT分子を検出することが出来
る測定系である。したがってこの結果は、GT−BP又
はBP自己会合体をSDS処理または尿素処理をするこ
とによりGT分子とBP分子の会合が開裂してBPは単
分子状態になっていることを示すものである。
【0064】6.抗BP抗体の特異性 M801を濃度10μg/mlにPBSで希釈して、9
6穴マイクロタイタープレート(ヌンク社製)に100
μlづつ加えて4℃で一晩吸着させた。これをPBSで
洗浄した後、1%BSA・PBS溶液を200μlづつ
加えて37℃で1時間静置してブロッキングしてから液
を除去した。次に、試料としてAAT、加熱変性(10
0℃5分間の加熱処理を行った)AAT、m−AT(実
施例3にて調製)を1%BSA・PBS溶液で100倍
から5倍づつ希釈系列を作製し各々100μlづつ各ウ
ェルに加え37℃で1時間静置した。反応後、PBSで
3回づつ各ウェルを充分に洗浄した。次に、1%BSA
・PBS溶液に希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ標
識抗AATポリクローナル抗体を100μlづつ各ウェ
ルに加え、室温で1時間反応させた。反応終了後、PB
Sで充分に洗浄してから基質として濃度3mg/mlの
o−フェニレンジアミンを溶解したクエン酸−リン酸緩
衝液(pH5.0)(0.02%H22 を含む)を各
ウェルに100μlづつ添加して室温で10分間発色反
応させた。9N硫酸を50μlづつ各ウェルに加えて反
応を停止して、波長492nmにおける吸光度を測定し
た。その結果を図6に示す。
【0065】図6より、抗BPモノクローナル抗体M8
01は、BP分子及びBP分子と同様の分子構造を示す
m−ATに対してより特異性高く反応し、AAT分子に
は実質的に反応しないことがわかる。また、加熱変性A
ATに対しても強く反応していることから、BPはm−
ATと同様の立体構造をしているか、あるいはATにお
ける分子内部に位置するペプチド鎖と同じまたは相同性
の高い部位を有しそれが露出された構造をとるものと考
えられる。
【0066】7.GT−BP会合体の検出ガラクトース転移酵素活性測定法によるGT−BP会合
体の測定 25μlのM801が結合したゲル懸濁液に健常人およ
び癌患者の血清100μlを加えて4℃で一晩振盪し
た。2mlの冷CKT緩衝液を加えて1gで5分間放置
してから上澄み液を吸引した。再度CKT緩衝液による
洗浄を行った後、70μlのGT基質液を加え(7μl
の0.5mM[3 H]UDP−gal液、全投入量1500
00dpm (ニューイングランドヌクレアー社製)、3μl
の0.2M二酸化マンガン液、60μlのCTK緩衝
液、2mgの卵白アルブミン(OVA)、この混合液を
37℃で2時間振盪した。50μlの反応混合液を1イ
ンチ角の濾紙ホワットマン3MM紙にスポットして、即
座に10%TCAで10分間洗浄した。このTCA洗浄
操作を3回行った後、この試験紙を95%エタノール、
ジエチルエーテルにて順次10分間づつ洗浄した。空気
中で乾燥した後、この試験紙をシンチレーション用小び
んに入れてシンチレーションカクテルを加えて、濾紙状
に沈殿した放射性タンパク質量を液体シンチレーション
カウンターにより測定した。
【0067】健常人血清24検体と癌患者血清21検体
について測定した結果、健常人血清ではすべて1400cpm
以下であったのに対して癌患者血清試料では、3検体を
除いていずれも1400cpm 以上の高い値を示した。
【0068】8.BP自己会合体の検出 BP自己会合体を測定する方法として、同一抗体による
2抗体酵素免疫測定法を用いた。その操作手順を以下に
示す。
【0069】本法に用いることのできる抗体としては抗
BP抗体とその標識抗体であり、例えばモノクローナル
抗体M801が挙げられる。また標識抗体は、前述の過
ヨウ素酸法に従い西洋ワサビペルオキシダーゼ標識した
ものを使用した。
【0070】M801を濃度10μg/mlにPBSで
希釈して、96穴マイクロタイタープレート(ヌンク社
製)に100μlづつ加えて4℃で一晩吸着させた。こ
れをPBSで洗浄した後、1%BSA・PBS溶液を2
00μlづつ加えて37℃で1時間静置してブロッキン
グしてから液を除去した。次に、健常人、良性腫瘍患者
および癌患者の血清をPBSで5倍づつ希釈した希釈系
列を作製し各々100μlづつ各ウェルに加え37℃で
1時間静置した。反応後、PBSで3回づつ各ウェルを
充分に洗浄した。次に、1%BSA・PBS溶液に希釈
した西洋ワサビペルオキシターゼ標識M801を100
μlづつ各ウェルに加え、室温で1時間反応させた。反
応終了後、PBSで充分に洗浄してから基質として濃度
3mg/mlのo−フェニレンジアミンを溶解したクエ
ン酸−リン酸緩衝液(pH5.0)(0.02%H2
2 を含む)を各ウェルに100μlづつ添加して室温で
10分間発色反応させた。9N硫酸を50μlづつ各ウ
ェルに加えて反応を停止して、波長492nmにおける
吸光度を測定した。その結果(検体の希釈は5倍)を図
7に示す。
【0071】9.m-ATの検出 m-ATの総量を測定する方法として、抗BPモノクロー
ナル抗体と抗AAT抗体による2抗体法を用いた。M8
01を濃度10μg/mlにPBSで希釈して、96穴
マイクロタイタープレート(ヌンク社製)に100μl
づつ加えて4℃で一晩吸着させた。これをPBSで洗浄
した後、1%BSA・PBS溶液を200μlづつ加え
て37℃で1時間静置してブロッキングしてから液を除
去した。次に、健常人、良性腫瘍患者および癌患者の血
清をPBSで5倍づつ希釈した希釈系列を作成し各々1
00μlづつ各ウェルに加え37℃で1時間静置した。
反応後、PBSで3回づつ各ウェルを充分に洗浄した。
次に、1%BSA・PBS溶液に希釈した西洋ワサビペ
ルオキシダーゼ標識抗AATポリクローナル抗体(カッ
ペル社製)を100μlづつ各ウェルに加え、室温で1
時間反応させた。反応終了後、PBSで充分に洗浄して
から基質として濃度3mg/mlのo−フェニレンジア
ミンを溶解したクエン酸−リン酸緩衝液(pH5.0)
(0.02%H22 を含む)を各ウェルに100μl
づつ添加して室温で10分間発色反応させた。9N硫酸
を50μlづつ各ウェルに加えて反応を停止して、波長
492nmにおける吸光度を測定した。その結果(検体
の希釈は125倍)を図8に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】BPのプロテアーゼインヒビター活性の測定結
果を示す図である。
【図2】GT−BP試料をSDS又は8M尿素で処理し
た試料のM801−M801標識体測定系による免疫測
定の結果を示す図である。
【図3】GT−BP試料をSDS又は8M尿素で処理し
た試料のM801−M8628標識体測定系による免疫
測定の結果を示す図である。
【図4】GT−BP試料をSDS又は8M尿素で処理し
た試料のM177−M8628標識体測定系による免疫
測定の結果を示す図である。
【図5】GT−BP試料をSDS又は8M尿素で処理し
た試料のM801−抗AAT抗体標識体測定系による免
疫測定の結果を示す図である。
【図6】抗BP抗体の特異性を調べるために行った免疫
測定の結果を示す図である。
【図7】抗BPモノクローナル抗体と抗AAT抗体によ
る2抗体法を用いた、健常人、癌患者及び良性腫瘍患者
の血清中のm−ATの総量の測定結果を示す図である。
【図8】M801を用いて、これと結合する、健常人、
癌患者及び良性腫瘍患者の血清中の成分の量を測定した
結果を示す図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C12N 15/06 (C12P 21/08 C12R 1:91)

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 癌患者腹水よりα−ラクトアルブミンア
    フィニティクロマトグラフィーによりガラクトース転移
    酵素とのヘテロ多量体として分離され、ドデシル硫酸ナ
    トリウム処理又は8M尿素処理により単分子状態とな
    り、SDS−PAGE還元条件下電気泳動で約48kD
    aの分子量を示し、等電点が約4.6〜5.0であり、
    抗α1 −アンチトリプシンポリクローナル抗体と反応
    し、プロテアーゼ・インヒビター活性を持たず、ガラク
    トース転移酵素との会合及び自己会合が可能なタンパク
    質。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のタンパク質とガラクトー
    ス転移酵素との会合体。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のタンパク質の自己会合
    体。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のタンパク質と反応し、α
    1 −アンチトリプシンと実質的に反応しないモノクロー
    ナル抗体。
  5. 【請求項5】 M801である請求項4記載のモノクロ
    ーナル抗体。
  6. 【請求項6】 請求項4又は5記載のモノクローナル抗
    体を産生するハイブリドーマ。
  7. 【請求項7】 請求項4又は5記載のモノクローナル抗
    体を用いたアフィニティ・クロマトグラフィーにより、
    α−ラクトアルブミンカラムを通過させた癌患者腹水よ
    り分離され、SDS−PAGE還元条件下で48kDa
    と3.6kDaの分子量を示し、等電点が約4.6〜
    5.0であり、抗α1 −アンチトリプシンポリクローナ
    ル抗体と反応し、プロテアーゼ・インヒビター活性を有
    せず、2量体以上の自己会合状態にあるタンパク質。
  8. 【請求項8】 請求項4記載のモノクローナル抗体と請
    求項1記載のタンパク質との特異的抗原抗体反応を利用
    した免疫学的測定により請求項1記載のタンパク質を検
    出又は定量する方法。
  9. 【請求項9】 請求項4記載のモノクローナル抗体と請
    求項1記載のタンパク質との特異的抗原抗体反応を利用
    した免疫学的測定により請求項2記載の会合体を検出又
    は定量する方法。
  10. 【請求項10】 前記モノクローナル抗体と結合した物
    質のガラクトース転移酵素活性を測定することにより前
    記会合体を定量することを含む請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 請求項4記載のモノクローナル抗体と
    請求項1記載のタンパク質との特異的抗原抗体反応を利
    用した免疫学的測定により請求項3記載の会合体を検出
    又は定量する方法。
  12. 【請求項12】 請求項4記載のモノクローナル抗体と
    m−ATとの特異的抗原抗体反応を利用した免疫学的測
    定によりm−ATを検出又は定量する方法。
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