JP3023103B2 - ラミニンフラグメント測定方法 - Google Patents

ラミニンフラグメント測定方法

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JP3023103B2
JP3023103B2 JP11008806A JP880699A JP3023103B2 JP 3023103 B2 JP3023103 B2 JP 3023103B2 JP 11008806 A JP11008806 A JP 11008806A JP 880699 A JP880699 A JP 880699A JP 3023103 B2 JP3023103 B2 JP 3023103B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なヒトラミニ
ンフラグメント量を指標とする該フラグメントの測定用
キット、及び該キットを使用する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】基底膜はコラーゲンと非コラーゲンの各
成分より成り、生体内に普遍的に存在する細胞外マトリ
ックスである。近年、肝疾患、腎疾患、ガンなど不可逆
的に進行する諸疾患と基底膜との関連が注目されてき
た。ラミニン(以下、LNと略記する)は基底膜に特異
的に存在する高分子タンパク質であり、基底膜が分解作
用を受けた時に非フラグメント化ラミニン(以下、nL
Nと略記する)又はフラグメント化ラミニン(以下、f
LNと略記する)として体液中に遊離してくると考えら
れ、これら体液中のnLN又はfLNを測定すること
は、疾患による基底膜分解の進展を診断する上で臨床検
査上重要であり、その簡便で迅速な測定法の確立が望ま
れている。
【0003】最近、ペプシン分解によるfLNに対する
ウサギ抗血清を用いたラジオイムノアッセイ法が開発さ
れた[D.G.ブロックス(D.G. Brocks)、クリニ
カルケミストリー(Clinical Chemistry)、第32巻、
第787〜791頁(1986)]。この測定法は、あ
らかじめ放射能で標識されたペプシン分解fLNと試料
を競合的に抗ペプシン分解fLN抗体に作用させ、約1
日反応後、抗ウサギIgG 抗体と反応させて免疫沈降物の
放射能活性を測ることにより、試料中のLN量を測定す
るものである。該ラジオイムノアッセイ法はペプシン分
解によるfLNに対するウサギ抗血清を用い、体液中の
fLNを抗原としていないことで特異性の点で問題があ
り、また目的抗原に対する抗体として抗血清を使用する
場合、このようにフラグメント化された抗原に対する抗
体の結合力が低下するため、正確な測定が不可能である
と考えられており、この点でも大きな問題を含んでい
た。また、尿中LNの測定は、糖尿病性腎症などの病態
解析といった点で重要な臨床的意義を有しているにもか
かわらず、血中LNの約1/10以下という低い濃度で
存在しているなどの理由で、従来の測定法では十分感度
よく定量することは不可能であった。抗血清の代りに、
体液中のfLNをも認識しうるモノクローナル抗体を使
用することにより上記の問題は解決されうるが、対象抗
原となりうる体液中のfLN分子の構造は特定されてお
らず、体液中のfLNを測定するために、該fLNの特
定が必要であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ヒト
体液中のfLNを特定し、このfLNを特異的に、高感
度に測定する測定用キット、及びfLN量の測定による
疾病の検出方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明の第1の発明は下記の性質を有するヒトラミニンフ
ラグメントを測定するキットにおいて、下記の性質を有
するヒトラミニンフラグメントを認識するが、抗原認識
部位を異にする一対のモノクローナル抗体を含有するこ
とを特徴とするヒトラミニンフラグメント測定用キット
に関する。 (1)SDS−ポリアクリルアミトゲル電気泳動法によ
る分子量が、約4.2万である。 (2)N末端アミノ酸残基が下記式Iで表される。 A1a−Met−Asp−G1u−X−Thr−Asp−G1u−G1y −G1y−Arg−Pro−G1n−Arg−X−Met…(I) (式中、Xは未同定アミノ酸残基を示す) また、本発明の第2の発明は、上記第1の発明のキット
を使用する方法において、第1の発明における性質を有
するヒトラミニンフラグメント量を第1の発明のキット
を用いて測定し、その値を正常値と比較測定することを
特徴とする悪性腫瘍、肝臓疾患、腎臓疾患、及び動脈硬
化症の検出方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明のヒトfLNは、例えば、健常人尿中より、
例えば抗ヒトnLNポリクローナル抗体カラム、イオン
交換樹脂カラム等を用い、精製することができる。精製
ヒトfLNは、例えば10%SDS−ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動により、分子量約4.2万のバンドとし
て検出され、ヒトnLN(分子量約80万)と比較し、
極めて低分子化されている。該ヒトfLNはそのN末端
に前記式(I)のアミノ酸配列を有し、この配列はヒト
nLNのアミノ酸配列〔T.ピッカライネン( T. Pik
karainen)ら、ジャーナル オブ バイオロジカル ケ
ミストリー( J.Biol. Chem.)、第263巻、第6
751頁 (1988)〕の、B2鎖のN末端部から
3〜18番目のアミノ酸配列と一致する。すなわち、該
fLNはヒトnLNのB2鎖のドメインV及びVIより
構成されると同定され、ヒト体液中より初めて単離・同
定されたヒトfLNである。
【0007】本発明のヒトfLNの測定方法としては、
例えばHPLCを用いる方法、免疫学的方法等がある
が、該ヒトfLNに対する特異的抗体を用いる免疫学的
方法により、容易かつ、高感度に試料中のヒトfLNを
測定することができる。なお、本発明において、試料と
はヒト体液、例えば血清や尿を指す。
【0008】本発明のヒトfLNに対する特異的抗体と
は、該ヒトfLNに対するポリクローナル抗体でも良い
が、感度、操作性等の点から、該ヒトfLNを認識し、
かつ抗原認識部位を異にする一対のモノクローナル抗体
を用いるのが好ましい。該モノクローナル抗体として
は、例えば本発明者らが作成したモノクローナル抗体H
LN5及びHLN82があり、該一対の抗体を用い、例
えばエンザイム イムノアッセイ法により、試料中のヒ
トfLNを感度よく測定することができる。例えば悪性
腫瘍、肝臓疾患、腎臓疾患、動脈硬化などの患者の尿中
のfLNを測定すれば、その尿中fLN値は健常人と比
べ高値を示し、これらの疾患の診断が、尿試料を用い簡
便に行うことができる。また血清試料を用いても、これ
らの疾患を感度よく検出できる。
【0009】本発明のヒトfLNに対する特異抗体は、
例えばヒトnLNを抗原として調製でき、該抗体を得る
ためのヒトnLNは、例えばヒト胎盤から、それ自体公
知の方法により、例えば塩沈殿、イオン交換クロマトグ
ラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等の方法
を単独で又は組合せて用いて分離精製することにより取
得することができる〔ジャーナル オブ バイオロジカ
ル ケミストリー、第258巻、第12654〜126
60頁(1983)〕。また、ヒトfLNは例えば上記
の方法によって取得したヒトnLNを、それ自体公知の
方法により、例えばペプシン、トリプシン、スロンビ
ン、プラスミン、キモトリプシン等のプロテアーゼを単
独で又は組合せて用いて限定分解又は完全分解し、種々
の分離方法、例えばゲルろ過、イオン交換クロマトグラ
フィー、アフィニティークロマトグラフィー等の方法を
用いて分離精製することにより取得し、抗体調製用の抗
原として用いることもできる。
【0010】また本発明のヒトfLNは、例えば肺ガ
ン、胃ガン、結腸ガン、乳ガン、膵ガンなどの悪性腫瘍
患者、腎疾患々者、動脈硬化患者又は肝疾患々者の血清
又は尿を原料として精製、回収することも可能である。
更に、近年ヒトLNの一部アミノ酸配列が決定されたこ
とにより本発明のヒトfLNのアミノ酸配列を有する合
成ペプチドも用いられる。
【0011】本発明のヒトfLNに対する特異抗体は、
例えば、上記の患者の尿中より精製した本発明のヒトf
LNを抗原として、ヒト以外のホ乳動物、例えば、モル
モット、ウサギ、ラット、マウス、ヤギなどの抗体産生
能のある動物を用い通常の方法に従って免疫した後、採
血して抗血清を得、更に抗体を分離する。抗体を得るに
当っては例えば本発明のヒトfLN0.1〜1mgを生理
食塩水0.1〜5mlに溶解し、これに同量の完全フロ
イント・アジュバントを加え、充分乳化した後、用いる
ホ乳動物、例えばウサギやマウス等の皮下又は皮内に注
射し、1〜3週間ごとに数回注射して免疫させる。その
後、最終免疫の日より一定期間後、採血し本発明のヒト
fLNに対する抗体を含有する抗血清を得る。
【0012】またこの場合に用いる動物としては、抗体
生産能のある動物であればいずれを用いてもよく、大量
の抗体を得るには大型動物を用いるのが好ましく、通常
はウサギ、ヤギを用いるが、何ら限定されるものではな
い。更にこれらの動物から得られた抗ヒトfLN抗体を
含有する抗血清から抗ヒトfLN抗体を得るには通常用
いられる抗体の精製手段の方法によって、行えるもので
例えば、抗血清を硫安分画し、次いでイオン交換クロマ
トグラフィー、あるいはゲルろ過によって精製採取すれ
ば良い。更に高純度に精製するにはヒトfLNを固定化
した不溶化担体を基材として用いるアフィニティークロ
マトグラフィーにて吸着し、次いで溶出を行って得れば
よい。更に別法としては本発明のヒトfLNを抗原とし
て免疫させたヒト以外のホ乳動物の脾細胞とミエローマ
細胞とを用いて融合させ、この融合細胞から本発明のヒ
トfLNに対するモノクローナル抗体産生細胞を分離
し、この融合細胞を用いる抗ヒトfLNモノクローナル
抗体を製造する方法があり、特にホ乳動物としてマウス
を用いる方法がよく利用されている〔ネーチャー(Natu
re)、第256巻、第495頁( 1975)〕。以上
のようにしてヒトLNに対するドメイン特異抗体が得ら
れる。
【0013】一方上記のヒトnLNを抗原として本発明
のヒトfLNに対するモノクローナル抗体を得ることも
できる。すなわちヒトnLNを抗原として免疫をしたヒ
ト以外のホ乳動物の脾細胞とミエローマ細胞とを用いて
融合させ、この融合細胞から本発明のヒトfLNに対す
るモノクローナル抗体を生産するクローンを分離する。
このようにして得られるモノクローナル抗体は本発明の
ヒトfLNと反応するモノクローナル抗体である。動物
としてはマウスがよく用いられる。
【0014】以上のようにして得られた本発明のヒトf
LNに対するモノクローナル抗体は、抗原認識部位を異
にする抗体を組合せて用いることにより本発明のヒトf
LNを効果的に検出することができる。なお、本発明の
ヒトfLNの測定に用いる該fLN特異的抗体として
は、前述のように抗血清のようなポリクローナル抗体、
あるいはモノクローナル抗体のいずれでも差支えない
が、その特異性及び親和性の高さという点において、特
にモノクローナル抗体を使用することが望ましい。
【0015】本発明のヒトfLNに対するモノクローナ
ル抗体を用いた測定法としては、従来この分野でよく知
られた免疫測定法すなわち、酵素免疫測定法、ラジオイ
ムノアッセイ免疫比濁法、ラテックス凝集法、赤血球凝
集法、SRID法(免疫拡散法)等が用いられる。中で
も酵素免疫測定法が、感度、簡便さ等において最も実用
的である。すなわち抗ヒトfLNモノクローナル抗体を
ポリスチレンビーズ、ガラスビーズ、ポリスチレンマイ
クロタイタープレートなどの不溶性担体で処理して、こ
れらの担体に共有結合又は物理的に吸着させて抗ヒトf
LNモノクローナル抗体の結合した不溶性抗体を得る。
一方で抗ヒトfLNモノクローナル抗体に従来公知の方
法を用いて酵素標識を行う。例えば、使用する酵素に最
適な化合物(例えばβ−ガラクトシダーゼに対しm−マ
レイミドエステル、ペルオキシダーゼに対し過ヨウ素
酸)、次いで抗体をこの反応物に結合させて酵素標識抗
ヒトfLNモノクローナル抗体を得る。
【0016】このようにして得られた、抗ヒトfLNモ
ノクローナル抗体結合担体(不溶性抗体)と酵素標識抗
ヒトfLNモノクローナル抗体(標識抗体)を用い、血
中及び尿中のヒトfLN量を測定したところ、健常人に
比べ悪性腫瘍患者、腎疾患々者、動脈硬化症患者、肝疾
患々者の血中及び尿中では、本発明のヒトfLNの濃度
が上昇することが判明し、該fLNの測定が、これらの
疾患の診断に有用であることが示された。本発明のヒト
fLN量の測定に用いる抗ヒトfLN抗体をキットとし
ておくことで、試料中の本発明のヒトfLN量を簡便に
測定することができる。キットに用いる試薬は溶液状で
も良いし、凍結乾燥品等でも良い。
【0017】
【実施例】以下に実施例を示し本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。 参考例1 (1)ヒトnLN抗原の単離 ヒトnLN抗原の抽出のために、ヒト胎盤を0.5M
NaClを含む0.05Mトリス塩酸緩衝液(pH7.2)中
でホモジナイズし、遠心分離により不溶化物を除いたの
ちに、終濃度4MとなるようにNaClを添加して、その際
に生じる沈殿画分を集める。集めた沈殿を0.5M Na
Clを含む0.05M トリス塩酸緩衝液(pH7.2)に
可溶化したものを、同緩衝液にて平衡化させたCL−6
Bセファロースカラムにて分画し、最初のピークに溶出
されてくるフラクションをヒトnLN標品として集め
た。
【0018】(2)ヒトnLN抗原に対するポリクロー
ナル抗体の作製 上記(1)で得られた精製ヒトnLN抗原0.5mgを生
理食塩水0.5mlに溶解し、これに等量の完全フロイ
ント・アジュバントを加え、乳化させた後ウサギ皮下に
注射した。2週間置きに、同量の抗原を不完全フロイン
ト・アジュバントと乳化させたものを4回皮下注射し、
最終免疫より10日後にその全血を採取し、60分間室
温で放置した後、遠心分離することにより抗ヒトnLN
抗体を含有する抗血清を得た。本抗血清から常法により
プロティンAカラムにより抗ヒトnLNポリクローナル
抗体を精製した。
【0019】実施例1 (1)尿中ヒトfLNの精製・同定 上記参考例1−(2)にて得られた抗ヒトnLNポリク
ローナル抗体を常法によりCNBr活性化セファロース
(ファルマシア社製)に吸着させて、健常人尿5リット
ルをそのカラムに流し、吸着画分を8M尿素を含むPB
Sにて溶出した。カラムより溶出された粗ヒト尿fLN
画分をMono−Qイオン交換カラム(ファルマシア社製)
により分画して、精製ヒト尿fLNを得た。10%SD
S−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により精製ヒト尿
fLNを分離したところ、分子量42,000付近に単
一バンドとして観察され、目的のヒト尿中fLNがヒト
nLN(分子量800,000)と比較して、極めて低
分子フラグメント化されていることが確認された。この
ヒト尿中fLNのN末端アミノ酸シークエンス解析を行
ったところ、前記式(I)の配列が検出され、ヒトLN
B2鎖のアミノ酸シークエンス〔T.ピッカライネン
ら、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリ
ー、第263巻、第6751頁(1988)〕のうちN
末端部より3−18番目の配列と完全に合致したことか
ら、ヒト尿中fLNがヒトLNB2鎖 N末端由来の分
子量42,000のポリペプチド (ドメインV及びV
I)により構成されていることが確認された。
【0020】実施例2 (1)ヒトfLNに対するモノクローナル抗体の作製 参考例1−(1)で得たヒトnLN50μgを生理食塩
水0.1mlに溶解し等量の完全フロイント・アジュバ
ントを加え乳化させ、Balb/cマウスの腹腔内に注射し
た。4週間後に抗原50μgのみを同マウスの腹腔内に
注射した。その3日後にマウスより摘出した脾臓より、
脾臓細胞を得、マウスミエロ−マ細胞(P3−X63−
Ag8−U1)と細胞数10:1の比で混合し、50%
ポリエチレングリコ−ル及び20%ジメチルスルホキシ
ドの存在下で1分間放置し、細胞融合を行った。無血清
DMEM培地を加え希釈したのち、遠心分離によりその上清
を除き、10%牛胎児血清含有DMEM培地にて細胞を懸濁
し、96穴マイクロタイタープレートに1穴当り2×1
4細胞となるように分注した。その後1〜3日ごとに
培地の半分量をHAT培地で交換し、10〜20日後に
融合細胞(ハイブリドーマ)の生育してきたウエルの培
養上清を採取し、抗体産生の有無をELISA法等により調
べ、ヒトnLNに対する抗体を産生しているハイブリド
ーマを5株選択した。以上5株のハイブリドーマのう
ち、実施例1−(1)にて得られたヒト尿中fLNに反
応性を有する抗体を産生するものを3株選択した。これ
らのハイブリドーマについて限界希釈法により2回クロ
−ニングを行い、最も力価の高い抗体を産生するハイブ
リドーマのクローンとして、クローン株HLN5及びH
LN82の2株を取得した。前記クローン株は、各々Hy
bridoma HLN5と表示し微工研菌寄第11727号
(FERM P−11727)〔受託日:平成2年9月
11日〕、HybridomaHLN82と表示し微工研菌寄第
10799号(FERM P−10799)〔受託日:
平成元年6月30日〕として、工業技術院微生物工業技
術研究所に寄託されている。この2株のハイブリドーマ
が産生するモノクローナル抗体が同一フラグメント特異
性を有することを確認するために、ウェスタンブロッテ
ィングにより、実施例1−(1)にて得られたヒト尿中
fLNに両者が反応し、かつ抗原認識部位を異にするこ
とを確めた。これらのモノクローナル抗体を大量に得る
ために、Balb/cマウス腹腔内に約2×107個のハイブ
リド−マを注射し、腹水腫瘍を作らせ、10日後に腹水
を採取し、抗ヒトfLNモノクローナル抗体HLN5及
びHLN82を取得した。
【0021】(2)抗ヒトfLNモノクローナル抗体結
合ビーズの作製 上記(1)で得た抗ヒトfLNモノクローナル抗体HL
N82の1mgを含有する0.1M リン酸バッファー
(pH8.0)20mlにポリスチレンボール(積水化学
社製、粒径6.35mm)100粒を加え、5℃で16時
間、37℃で1時間反応させ、抗体をビーズに固定化さ
せた。ビーズは生理食塩水で充分洗浄後、1%牛血清ア
ルブミン(BSA)、0.05%アジ化ナトリウム、
0.9% NaCl を含む10mM リン酸バッファー(pH
7.4)に浸漬し、5℃で一晩放置し、抗ヒトfLNモ
ノクローナル抗体結合ビーズを得た。
【0022】(3)抗ヒトfLNモノクローナル抗体酵
素標識物の作成 上記(1)で得られた抗ヒトfLNモノクローナル抗体
HLN5にペルオキシダーゼ(ベーリンガー−マンハイ
ム社製)をナカネ(Nakane)らの方法〔ジャーナルオブ
ヒストケミストリーアンド シトケミストリー( J.
Histochem.Cytochem.)第22巻、第1084頁(1
974)〕によって結合させ、標識抗体を得た。すなわ
ち10mgのペルオキシダーゼを2mlの精製水に溶か
し、0.1M 過ヨウ素酸カリウムを0.2ml加え
る。室温で20分反応させた後1mM酢酸バッファー(pH
4.0)に対し4℃で一晩透析する。これに0.2M炭
酸バッファー(pH9.5)を加えpHを9〜9.5に調整
する。一方、抗ヒトfLNモノクローナル抗体2mgを
1.5mlのリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)に溶か
し、10mM 炭酸バッファー(pH9.5)に対し、一晩
4℃で透析しておき、これを上記の過ヨウ素酸処理した
ペルオキシダーゼと混合し、室温で2時間反応させた
後、水素化ホウ素ナトリウム(4mg/ml)を0.1m
l添加し、4℃で2時間反応後、リン酸緩衝生理食塩水
(pH7.4)で平衡化したウルトロゲル AcA22(LK
B社製)を用いゲルろ過により分画した。ペルオキシダ
ーゼ活性と抗体活性の一致する画分を集め、メルチオレ
ートナトリウムを終濃度0.01%となるように添加
し、4℃で保存した。
【0023】実施例3 (1)ヒトfLNの測定 EIA法は以下のようにして行った。試料 200μl
をチューブに入れ、不溶化抗体ビーズをチューブの中に
1つずつ入れ37℃で1時間第1インキュベーションを
行う。次にビーズを、3mlの生理食塩水で3回洗い、
標識抗体液(300倍希釈)200μlをビーズの入っ
たチューブに入れ、37℃で1時間第2インキュベーシ
ョンを行う。次にビーズを3mlの生理食塩水で3回洗
い、ビーズを別のチューブに移し、これに発色試薬30
0μI(o−フェニレンジアミン1mg/ml、H2O2
0.01%、0.1M クエン酸バッファー pH5.0
に溶解したもの)を加え、37℃で30分間反応させ、
1N H2SO4の1mlを加え反応を停止させた。波長49
2nmの吸光度を測定した。このような手順で、悪性腫瘍
19例、肝臓疾患27例、腎臓疾患10例、動脈硬化症
9例、及び健常人18例の血清中、及び悪性腫瘍32
例、肝臓疾患16例、腎臓疾患14例、動脈硬化症13
例、及び健常人21例の尿中のヒトfLN量を測定し
た。尿は同時にクレアチニン量を市販のキット(クレア
チニンテストワコー:和光純薬工業社製)を用いて測定
して、尿量を補正するために、クレアチニン量に対する
fLNの量の比(fLNμg/g・Cr)で表した。図1
は各種患者と健常人とで血清中ヒトfLNの分布を比較
したグラフであり、図2は各種患者と健常人とで尿中ヒ
トfLN量の分布を比較したグラフである。この結果、
モノクローナル抗体HLN5とHLN82の組合せにお
いて、尿、血清中のヒトfLNが測定でき各種患者の血
清中及び尿中ヒトfLN量は健常人に比べ明らかに高い
値を示し、疾患診断において本測定が有用であることが
示された。
【0024】実施例4 (1)キットの作成 EIAキット(1回分)の組成を以下に示す。 1.抗体固相化ビーズ 1個 〔工業技術院微生物工業技術研究所に寄託されているハイブリドーマ微工研菌 寄第10799号(FERM P−10799)が産生するモノクローナル抗体 HLN82が固相化されたビーズ〕 2.ペルオキシダーゼ標識抗体 0.3ml 〔工業技術院微生物工業技術研究所に寄託されているハイブリドーマ微工研菌 寄第11727号(FERM P−11727)が産生するモノクローナル抗体 HLN5をペルオキシダーゼにより標識した〕 3.発色試薬 0.3ml (o−フェニレンジアミンHCl の10mg/ml、過酸化水素0.01%を含む クエン酸緩衝液 pH 5.0) 4.反応停止液(1N硫酸) 1.0ml 5. 標準品(本発明のヒトfLNを4、2、1、0.5μg/ml含む1%B SA/TBS)
【0025】
【発明の効果】以上詳細に説明した通り、本発明により
生体試料中のLN測定試薬が提供された。本発明の測定
試薬により新規な悪性腫瘍、肝、腎、動脈硬化疾患の診
断が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種患者と健常人とで血清中ヒトfLNの分布
を比較したグラフ。
【図2】各種患者と健常人とで尿中ヒトfLNの分布を
比較したグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 郁之進 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒 造株式会社 中央研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/53 G01N 33/577 C07K 14/78 C07K 16/18 C12P 21/08 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の性質を有するヒトラミニンフラグ
    メントを測定するキットにおいて、下記の性質を有する
    ヒトラミニンフラグメントを認識するが、抗原認識部位
    を異にする一対のモノクローナル抗体を含有することを
    特徴とするヒトラミニンフラグメント測定用キット。 (1)SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によ
    る分子量が、約4.2万である。 (2)N末端アミノ酸残基が下記式Iで表される。 A1a−Met−Asp−G1u−X−Thr−Asp−G1u−G1y −G1y−Arg−Pro−G1n−Arg−X−Met・・・(I) (式中、Xは未同定アミノ酸残基を示す)
  2. 【請求項2】 請求項1記載のキットを使用する方法に
    おいて、請求項1記載の性質を有するヒトラミニンフラ
    グメント量を請求項1記載のキットを用いて測定し、そ
    の値を正常値と比較測定することを特徴とする悪性腫
    瘍、肝臓疾患、腎臓疾患、及び動脈硬化症の検出方法。
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