JP2925684B2 - 血小板及び血管内皮細胞の疾病の測定方法 - Google Patents

血小板及び血管内皮細胞の疾病の測定方法

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JP2925684B2 JP20509490A JP20509490A JP2925684B2 JP 2925684 B2 JP2925684 B2 JP 2925684B2 JP 20509490 A JP20509490 A JP 20509490A JP 20509490 A JP20509490 A JP 20509490A JP 2925684 B2 JP2925684 B2 JP 2925684B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は新規な血小板及び血管内皮細胞の障害又は活
性化度の測定方法に関するものであり、更に詳しくは酵
素免疫測定法を用いる血小板及び血管内皮細胞の障害又
は活性化度の測定方法に関する。
〔従来の技術〕
ヒト体内において血管内皮が障害され内皮下組織が露
出すると流血中の血小板がこの部位に粘着し、種々の血
小板及び血管内皮細胞刺激物質を放出する。これらの物
質により新たな血小板及び血管内皮細胞が活性化され、
先に粘着した血小板に新たに活性化された血小板が凝集
して血栓が形成される。
血栓の形成は心筋梗塞や脳血栓などの発症や動脈硬化
の進展の原因となり、また血管内皮細胞の障害は糖尿病
の合併症併発、全身性エリテマトーデス(SLE)、播種
性血管内凝固症候群(DIC)などの重篤な症状をもたら
す。このように血小板及び血管内皮細胞が障害あるいは
活性化されている状態は血栓準備状態又は全身性血管内
皮障害が起っているとみなされ、このような状態を迅速
に診断することは血栓症又は全身性血管内皮障害の病態
を把握する上で臨床的に重要な意義を持ち、また緊急検
査という立場から、その迅速で簡便な診断方法の確立が
望まれていた。
生体内で血小板及び血管内皮細胞が刺激され、活性化
される一連の過程において、血小板及び血管内皮細胞の
膜表面に種々の活性化特異物質が出現したり、膜外に遊
離してくることが知られている。従来これらの活性化特
異物質の血液中濃度を測定することにより、血小板及び
血管内皮細胞の障害あるいは活性化度をモニターするこ
とが行われていた。例えばそれらの活性化特異物質とし
てはβ−トロンボグロブリン、血小板第四因子、トロン
ボキサンB2、フォンビルブランド因子、ヒスチジンリッ
チグリコプロティン、トロンボスポンジン、フィブリノ
ーゲン、フィブロネクチン、アンチスロンビンIIIなど
が挙げられる。
また、本発明者らは、活性化状態にある血小板及び血
管内皮細胞膜上に特異的に出現する糖タンパク質である
GMP−140に対する抗体を用いて、血液中に遊離型GMP−1
40分子(以下、GMP−130と称す)を新たに発見し、その
血漿中濃度の異常変化を検出する方法及びキットを開発
した(特願平2−127002号明細書記載)。
GMP−130は障害あるいは活性化された血小板及び血管
内皮細胞から特異的に放出され、その放出量の測定を行
うことにより、血小板及び血管内皮細胞などの異常を迅
速に診断することが可能となった。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、GMP−130に代表される活性化特異物質はその
血中濃度が比較的高いものが多く、重篤な血小板、血管
内皮細胞などの異常の検出には有用であるが、極めて軽
微な血小板及び血管内皮細胞の障害あるいは活性化を検
出することは困難であった。
その上、これら活性化特異物質はほとんどすべて血小
板と血管内皮細胞の両者から共に放出されるものであ
る。また、血小板は血流中に浮遊する血液細胞であるた
めに、血液を注射器などにより採血する際に試料中に多
量に混入し、非常に軽微な刺激、例えば圧力などの単な
る物理的衝撃によっても活性化変化及び分解を受けるこ
とが多く、当然それらの試料中ではこれら活性化特異物
質の濃度は高くなる。こうした場合、採血後に血小板か
ら放出される活性化特異物質と、生体内に循環している
活性化特異物質とは判別することは不可能となってしま
う。
そのため、生体内血液中に循環しているこれら活性化
特異物質の量を純粋に測定するためには、測定者は非常
に厳密な条件のもとで採血を行い、血小板に刺激を与え
ないような複雑な試料の処理を行う必要があった。
本発明の目的は、採血等による血小板由来の活性化特
異物質と、生体内に循環している活性化特異物質を判別
し、極めて軽微な血小板及び血管内皮細胞の活性化度を
測定する方法及び該方法に使用するキットを提供するこ
とにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明を概説すれば、本発明の第1の発明は血小板及
び血管内皮細胞の障害又は活性化度の測定方法に関する
発明であって、血小板及び血管内皮細胞より、共に放出
される物質の血液試料中濃度を測定するに際し、同時に
血液試料中のグリコカリシン濃度を測定し、両者の濃度
比率を求めることを特徴とする。
そして、本発明の第2の発明は血小板及び血管内皮細
胞の障害又は活性化度の測定用キットに関する発明であ
って、血小板及び血管内皮細胞の障害又は活性化度の測
定用キットであって、抗グリコカリシン抗体を含有する
ことを特徴とする。
本発明者らは前記現状にかんがみて、鋭意研究を重
ね、血液試料中の活性化特異物質の定量を行う際に、同
時に血液試料中のグリコカリシンの量を測り、それらの
濃度の比率を求めることにより、例えば軽微な全身性血
管内皮細胞の障害を診断することができることを見出し
た。次に血液試料中の活性化特異物質と、同血液試料中
のグリコカリシン量との比率を簡便に求められるキット
を作製し、本発明を完成した。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において測定する、グリコカリシンとは分子量
約127kdaであり、血小板膜糖タンパク質I b(GP I b)
のα鎖の酵素分解物である。グリコカリシンは主として
血小板が体内で破壊された時に血流中に可溶化してくる
ことが示されている(半田誠、池田康夫、臨床検査、第
33巻、第1584〜1589頁、1989年)。
グリコカリシンは生体内で血小板のみに存在する糖タ
ンパク質であり、その点で例えばGPM−140、フォンビル
ブランド因子、トロンボスポンジンなどの様な血小板と
血管内皮細胞に共通に存在する物質とは性質を異にする
ものである。
血液中の活性化特異物質の濃度と同グリコカリシン濃
度との比率を測定することは生体内外での外的因子によ
る血小板破壊後の測定値の変動を補正し、より生体内血
流中の活性化特異物質の量を反映した指標を提供するも
のである。
この指標により、より血管内の血小板及び血管内皮細
胞の障害あるいは活性化状態を正確にモニターすること
が可能となる。本発明における血小板及び血管内皮細胞
の両者より共に放出される物質とは例えばβ−トロンボ
グロブリン、血小板第四因子、トロンボキサンB2、フォ
ンビルブランド因子、トロンボスポンジン、ヒスチジン
リッチグリコプロティン、フィブリノーゲン、フィブロ
ネクチン、アンチスロンビンIII、GMP−130などが挙げ
らえる。本発明における測定方法ではそのいずれの物質
を使用しても差支えない。
血小板及び血管内皮細胞の障害あるいは活性化を伴う
疾患としては、例えば糖尿病、全身性エリテマトーデス
(SLE)、播種性血管内凝固症候群(DIC)などが挙げら
れる。
本発明の方法を用い、健常人群と疾病患者群との、血
液試料中の活性化特異物質、例えばGMP−130と、グリコ
カリシンの両者を同時に測定し、その両項目の濃度比率
を求めれば、該比率は血小板及び血管内皮細胞の障害あ
るいは、活性化を伴う疾病に対して感度の良い指標とな
り、例えばGMP−130値が低い、比較的軽症の糖尿病のよ
うな場合でも、該疾病を検出する際の良い指標となる。
また、健常人において、活性化特異物質、例えばGMP
−130量とグリコカリシン量の比率は、その血液試料を
室温長時間放置して、試料中に浮遊している血小板を分
解させても大きく変化せず、試料処理過程において発生
する測定値の変動を補正することが可能である。
本発明において使用可能な血液試料の例としては例え
ば血漿、血尿等が挙げられる。
本発明において、試料中の活性化特異物質及びグリコ
カリシン量を測定する方法としては特に限定はないが、
例えば、免疫学的方法が挙げられる。免疫学的方法にお
いては抗体を用いる方法があるが、この場合、1種又は
2種以上の抗体を用いた免疫学的測定方法が使用でき
る。抗体としてはモノクローナル抗体及びポリクローナ
ル抗体が用いられるが、その特異性、親和性の点からモ
ノクローナル抗体を使用することが望ましい。一方、免
疫学的測定方法には酵素免疫測定方法、ラジオイムノア
ッセイ方法、ラテックス凝集方法、免疫比濁方法、蛍光
・発光免疫測定方法、ウエスタンブロッティング方法等
があるが、感度、簡便さ、非放射能という点から酵素免
疫測定方法が最も望ましい。
血液試料中のグリコカリシン量の測定に用いる抗グリ
コカリシン抗体をキットとしておくことで、試料中の活
性化特異物質とグリコカリシンの比率を簡便に測定する
ことができる。キットに用いる試薬は溶液状でも良い
し、凍結乾燥品でも良い。また、活性化特異物質測定用
の試薬、例えば抗GMP−130抗体、抗β−トロンボグロブ
リン抗体、抗フォンビルブランド因子抗体等を含有させ
ても良く、標準物質を含有させても良い。
〔実施例〕
以下に本発明を実施例をもって説明するが、本発明は
以下の実施例の範囲のみに限定されるものではない。
参考例1 抗GMP−130抗体の作製 (1) 血小板免疫法によるGMP−130に対するモノクロ
ーナル抗体の作製 新鮮な洗浄血小板2×108個を生理食塩水0.1mlに溶解
し等量の完全フロイント・アジュバントを加え乳化さ
せ、Balb/cマウスの腹腔内に注射した。4週間後に洗浄
血小板2×108個のみを同マウスの腹腔内に注射した。
その3日後にマウスより摘出した脾臓より脾臓細胞を
得、マウスミエローマ細胞(SP2/0)と細胞数10:1の比
で混合し、50%ポリエチレングリコール及び20%ジメチ
ルスルホキシドの存在下で1分間放置し、細胞融合を行
った。無血清DME〔ダルベッコの改変イーグル(Dulbecc
o's Medified Eagle's)〕培地を加え希釈した後、遠心
分離によりその上清を除き、10%ウシ胎児血清含有DME
培地にて細胞を懸濁し、96穴マイクロタイタープレート
に1穴当り2×104細胞となるように分注した。その後
1〜3日ごとに培地の半分量をHAT培地で交換し、10〜2
0日後に融合細胞(ハイブリドーマ)の生育してきたウ
ェルの培養上清を採取し、抗体産生の有無をELISA法等
により調べ、まずGMP−140に対する抗体を産生している
ハイブリドーマを3株選択した。
これらハイブリドーマについて限界希釈法により2回
クローニングを行い、これらのハイブリドーマが産生す
るモノクローナル抗体をGMP−130との反応性をウエスタ
ンブロッティングにより確かめた。その結果、GMP−130
にも反応する抗GMP−130抗体を産生するハイブリドーマ
のクローンとして、クローン株PL7−6の1株を取得し
た。このモノクローナル抗体を大量に得るために、Balb
/cマウス腹腔内に約2×107個のハイブリドーマを注射
し、腹水腫瘍を作らせ、10日後に腹水を採取し、この腹
水より、常法により、硫安塩析を行い、DEAEセルロース
カラムクロマトグラフィー処理により抗GMP−130モノク
ローナル抗体、すなわちPL7−6モノクローナル抗体を
精製した。EIAによりPL7−6モノクローナル抗体がIgG1
クラスであることを確認した。本クローン株はハイブリ
ドーマPL7−6と命名し、Hybridoma PL7−6と表示し、
微工研菌寄第11073号(FERM P−11073)として、工業
技術院微生物工業技術研究所に寄託されている。
(2) 可溶性抗原免疫法によるGMP−130に対するモノ
クローナル抗体の調製 (2)−(1) 洗浄血小板の調製 正常人よりクエン酸添加採血した血液より700g15分間
遠心分離処理にて、血小板画分を得た後、RCD溶液(36m
M クエン酸、5mM グルコース、1mM MgCl2、103mMNaC
l、20ng/ml プロスタグランジンE1)で2回遠心洗浄し
た血小板を、更にアルブミン デンシティ グラジェン
ト(albumin density gradient)法で洗浄し、Ca2+を含
まないヘペス−タイロード(HEPES−Tyrode)緩衝液で
再浮遊して洗浄血小板として調製した。
(2)−(2) GMP−140抗原の粗精製 (2)−(1)で得られた洗浄血小板に終濃度1%と
なるようにトリトンX−100(ローム アンド ハース
社)界面活性剤を添加し、その可溶性画分を小麦胚凝集
素(Wheat germ agglutinin)固定化アガロースカラム
に通じて、カラムに吸着した画分を0.1M グリシン−HC
l緩衝液(pH2.2)にて溶出させ、粗精製GMP−140抗原を
得た。
(2)−(3) GMP−140粗精製抗原を上記PL7−6を固定化した抗体
カラムに通じて、カラムに吸着した画分を0.1M グリシ
ン−HCl緩衝液(pH2.2)にて溶出させ、精製GMP−140抗
原として回収した。
(2)−(4) 参考例1−(2)−(3)で得られたGMP−140抗原50
μgを生理食塩水0.1mlに溶解し等量の完全フロイント
・アジュバントを加え乳化させ、Balb/cマウスの腹腔内
に注射した。4週間後に抗原50μgのみを同マウスの腹
腔内に注射した。その3日後にマウスより摘出した脾臓
より、脾臓細胞を得、マウスミエローマ細胞SP2/0と細
胞数10:1で混合し、50%ポリエチレングリコール及び20
%ジメチルスルホキシドの存在下で1分間放置し、細胞
融合を行った。無血清DME培地を加え希釈したのち、遠
心分離によりその上清を除き、10%ウシ胎児血清含有DE
M培地にて細胞を懸濁し、96穴マイクロタイタープレー
トに1穴当り2×104細胞となるように分注した。その
後1〜3日ごとに培地の半分量をHAT培地で交換し、10
〜20日後にハイブリドーマの生育してきたウェルの培養
上清を採取し、抗体産生能の有無をELISA法等により調
べ、まずGMP−140に対する抗体を産生しているハイブリ
ドーマを3株選抜した。
これらのハイブリドーマについて限界希釈法により2
回クローニングを行い、これらのハイブリドーマが産生
するモノクローナル抗体のGMP−130との反応性をウエス
タンブロッティングにより確かめた。その結果GMP−130
にも反応する抗GMP−130抗体を産生するハイブリドーマ
のクローンとして、クローン株WGA−1の1株を取得し
た。このモノクローナル抗体を大量に得るために、Balb
/cマウス腹腔内に約2×107個のハイブリドーマを注射
し、腹水腫瘍を作らせ、10日後に腹水を採取し、常法に
より硫安塩析を行い、DEAEセルロースカラムクロマトグ
ラフィーにより抗GMP−130モノクローナル抗体、すなわ
ちWGA−1モノクローナル抗体を精製した。
EIA法によりWGA−1モノクローナル抗体がIgG1クラス
であることを確認した。本クローン株はハイブリドーマ
WGA−1と命名し、Hybridoma WGA−1と表示し、微工研
菌寄第11072号(FERM P−11072)として、工業技術院
微生物工業技術研究所に寄託されている。
また、WGA−1モノクローナル抗体と、参考例1−
(1)のPL7−6モノクローナ抗体がGMP−130に対して
抗原認識部位を異にすることな競合EIA法により確認し
た。
(3) GMP−130に対するポリクローナル抗体の作製 参考例1−(2)−(3)で得られた精製GMP−140抗
原0.5mgを生理食塩水0.5mlに溶解し、これに等量の完全
フロイント・アジュバントを加え、乳化させた後ウサギ
皮下に注射した。2週間置きに、同量の抗原を不完全フ
ロイント・アジュバントと乳化させたものを4回皮下注
射し、最終免疫より10日後にその全血を採取し、60分間
室温で放置した後、遠心分離することにより抗GMP−140
抗体を含有する抗血清を得た。本抗血清から常法により
プロティン(Protein)Aカラムにより抗GMP−140ポリ
クローナル抗体を精製した。
この抗体の特異性と力価を当業者によりよく知られた
方法、すなわちELISA法、ウエスタンブロッティング法
により確かめ、該ポリクローナル抗体が、GMP−130をも
充分に認識することを確認し、抗GMP−130ポリクローナ
ル抗体として以下使用した。
参考例2 抗グリコカリシン抗体の作製 (1) 血小板免疫法によるグリコカリシンに対するモ
ノクローナル抗体の作製 新鮮な洗浄血小板2×108個を生理食塩水0.1mlに溶解
し等量の完全フロイント・アジュバントを加え乳化さ
せ、Balb/cマウスの腹腔内に注射した。4週間後に洗浄
血小板2×108個のみを同マウスの腹腔内に注射した。
その3日後にマウスより摘出した脾臓より脾臓細胞を
得、マウスミエローマ細胞(SP2/0)と細胞数10:1の比
で混合し、50%ポリエチレングリコール及び20%ジメチ
ルスルホキシドの存在下で1分間放置し、細胞融合を行
った。無血清DME培地を加え希釈した後、遠心分離によ
りその上清を除き、10%ウシ胎児血清含有DME培地にて
細胞を懸濁し、96穴マイクロタイタープレートに1穴当
り2×104細胞となるように分注した。その後1〜3日
ごとに培地の半分量をHAT培地で交換し、10〜20日後に
融合細胞(ハイブリドーマ)の生育してきたウェルの培
養上清を採取し、抗体産生の有無をELISA法等により調
べ、まず血小板GP I b α鎖に対する抗体を産生してい
るハイブリドーマを2株選択した。
これらハイブリドーマについて限界希釈法により2回
クローニングを行い、これらのハイブリドーマが産生す
るモノクローナル抗体のグリコカリシンとの反応性をウ
エスタンブロッティングにより確かめた。その結果、グ
リコカリシンにも反応する抗グリコカリシン抗体を産生
するハイブリドーマのクローンとして、クローン株PL52
−4の1株を取得した。このモノクローナル抗体を大量
に得るために、Balb/cマウス腹腔内に約2×107個のハ
イブリドーマを注射し、腹水腫瘍を作らせ、10日後に腹
水を採取し、この腹水より、常法により、硫安塩析を行
い、DEAEセルロースカラムクロマトグラフィー処理によ
り抗グリコカリシンモノクローナル抗体、すなわちPL52
−4モノクローナル抗体を精製した。EIAによりPL52−
4モノクローナル抗体がIgG1クラスであることを確認し
た。本クローン株はハイブリドーマPL52−4と命名し
た。
(2) 可溶性抗原免疫法によるグリコカリシンに対す
るモノクローナル抗体の調製 (2)−(1) 洗浄血小板の調製 正常人よりクエン酸添加採血した血液より700g15分間
遠心分離処理にて、血小板画分を得た後、RCD溶液(36m
M クエン酸、5mM グルコース、1mM MgCl2、103mMNaC
l、20ng/ml プロスタグランジンE1)で2回遠心洗浄し
た血小板を、更にアルブミン デンシティ グラジェン
ト法で洗浄し、Ca2+を含まないヘペスータイロード緩衝
液で再浮遊して洗浄血小板として調製した。
(2)−(2) 血小板GP I b α鎖抗原の粗精製 (2)−(1)で得られた洗浄血小板に終濃度1%と
なるようにトリトンX−100(ローム アンド ハース
社)界面活性剤を添加し、その可溶性画分を小麦胚凝集
素固定化アガロースカラムに通じて、カラムに吸着した
画分を0.1Mグリシン−HCl緩衝液(pH2.2)にて溶出さ
せ、粗精製血小板GP I b α鎖抗原を得た。
(2)−(3) 血小板GP I b α鎖粗精製抗原を上記PL52−4を固定
化した抗体カラムに通じて、カラムに吸着した画分を0.
1M グリシン−HCl緩衝液(pH2.2)にて溶出させ、精製
血小板GP I b α鎖抗原として回収した。
(2)−(4) 参考例2−(2)−(3)で得られた血小板GP I b
α鎖抗原50μgを生理食塩水0.1mlに溶解し等量の完全
フロイント・アジュバントを加え乳化させ、Balb/cマウ
スの腹腔内に注射した。4週間後に抗原50μgのみを同
マウスの腹腔内に注射した。その3日後にマウスより摘
出した脾臓より、脾臓細胞を得、マウスミエローマ細胞
SP2/0と細胞数10:1で混合し、50%ポリエチレングリコ
ール及び20%ジメチルスルホキシドの存在下で1分間放
置し、細胞融合を行った。無血清DME培地を加え希釈し
たのち、遠心分離によりその上清を除き、10%ウシ胎児
血清含有DME培地にて細胞を懸濁し、96穴マイクロタイ
タープレートに1穴当り2×104細胞となるように分注
した。その後1〜3日ごとに培地の半分量をHAT培地で
交換し、10〜20日後にハイブリドーマの生育したきたウ
ェルの培養上清を採取し、抗体産生能の有無をELISA法
等により調べ、まず血小板GP I b α鎖に対する抗体を
産生しているハイブリドーマを2株選抜した。
これらのハイブリドーマについて限界希釈法により2
回クローニングを行い、これらのハイブリドーマが産生
するモノクローナル抗体のグリコカリシンとの反応性を
ウエスタンブロッティングにより確かめた。その結果グ
リコカリシンにも反応する抗グリコカリシン抗体を産生
するハイブリドーマのクローンとして、クローン株WGA
−3の1株を取得した。このモノクローナル抗体を大量
に得るために、Balb/cマウス腹腔内に約2×107個のハ
イブリドーマを注射し、腹水腫瘍を作らせ、10日後に腹
水を採取し、常法により硫安塩析を行い、DEAEセルロー
スカラムクロマトグラフィーにより抗グリコカリシンモ
ノクローナル抗体、すなわちWGA−3モノクローナル抗
体を精製した。
EIA法によりWGA−3モノクローナル抗体がIgG1クラス
であることを確認した。本クローン株はハイブリドーマ
WGA−3と命名した。
また、WGA−3モノクローナル抗体と、参考例2−
(1)のPL52−4モノクローナル抗体がグリコカリシン
に対して抗原認識部位を異にすることは競合EIA法によ
り確認した。
(3) グリコカリシンに対するポリクローナル抗体の
作製 参考例2−(2)−(3)で得られた精製血小板GP I
b α鎖抗原0.5mgを生理食塩水0.5mlに溶解し、これに
等量の完全フロイント・アジュバントを加え、乳化させ
た後ウサギ皮下に注射した。2週間置きに、同量の抗原
を不完全フロイント・アジュバントと乳化させたものを
4回皮下注射し、最終免疫より10日後にその全血を採取
し、60分間室温で放置した後、遠心分離することにより
抗血小板GP I b α鎖抗体を含有する抗血清を得た。本
抗血清から常法によりプロティンAカラムにより抗血小
板GP I b α鎖ポリクローナル抗体を精製した。
この抗体の特異性と力価を当業者によりよく知られた
方法、すなわちELISA法、ウエスタンブロッティング法
により確かめ、該ポリクローナル抗体が、グリコカリシ
ンをも充分に認識することを確認し、抗グリコカリシン
ポリクローナル抗体として以下使用した。
参考例3 2種のモノクローナル抗体を用いたサンドイッチEIA法
によるGMP−130及びグリコカリシン量の測定 (1) 抗GMP−130モノクローナル抗体結合ビーズの作
製 上記参考例1の方法で得た抗GMP−130モノクローナル
抗体WGA−1(宝酒造社製)の1mgを含有する0.1M リン
酸緩衝液(pH8.0)50mlにポリスチレンボール(積水化
学社製、粒径6.35mm)100個を加え、5℃で16時間反応
させ抗体をビーズに固定化させた。ビーズを生理食塩水
で洗浄後、1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むリン
酸緩衝生理食塩水に浸し、5℃で一晩放置し、抗GMP−1
30モノクローナル抗体結合ビーズを得た。
(2) 抗GMP−130酵素標識モノクローナル抗体の作製 上記参考例1の方法で得た抗GMP−130モノクローナル
抗体PL7−6(宝酒造社製)にペルオキシダーゼ(ベー
リンガー−マンハイム社製)をナカネ(Nakane)らの方
法〔ジャーナル オブ ヒストケミストリー アンド
シトケミストリー(J.Histochem.Cytochem.)第22巻、
第1084頁(1987)〕によって結合させ、標識抗体を得
た。すなわち10mgのペルオキシダーゼを2mlの精製水に
溶かし、0.1M過ヨウ素酸カリウムを0.2ml加える。室温
で20分間反応させた後1mM 酢酸緩衝液(pH9.0)に対し
4℃で一晩透析する。一方、PL7−6抗体2mgを1.5・の
リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)に溶かし、10mM 炭酸
緩衝液(pH9.5)に対し一晩4℃で透析しておき、これ
を上記の過ヨウ素酸処理したペルオキシダーゼと混合
し、室温で2時間反応させた後、水素化ホウ素ナトリウ
ム(4mg/ml)を0.1ml添加し、4℃で2時間反応後、リ
ン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)で平衡化したウルトロゲ
ルAcA22(LKB社製)を用いゲルろ過により分画し、ペル
オキシダーゼ活性と抗体活性と一致する画分を集め、メ
ルチオレートナトリウムを終濃度0.01%となるように添
加し、4℃で保存した。
(3) GMP−130の測定 EIA法は以下のようにして行った。試料300μlをチュ
ーブに入れ、固相化抗体ビーズをチューブの中に1個ず
つ入れ37℃で20分間第一インキュベーションを行う。次
に、ビーズを3mlの生理食塩水で3回洗い、標識抗体液
(300倍希釈)300μlをビーズの入ったチューブに入
れ、37℃で20分間第二インキュベーションを行う。
次に、ビーズを3mlの生理食塩水で3回洗いビーズを
別のチューブに移し、これに発色試薬(o−フェニレン
ジアミン1mg/ml、H2O2の0.01%を含む0.1M クエン酸緩
衝液pH5.0)を加え、室温で15分間反応させ、1NのH2SO4
を1ml加え反応を停止させた。波長492nmの吸光度を測定
した。
GMP−130濃度の増加に伴って発色の吸光度は増加し、
本測定方法によりGMP−130の測定が可能であることが明
らかとなった。
(4) 抗グリコカリシンモノクローナル抗体結合ビー
ズの作製 上記参考例2の方法で得た抗グリコカリシンモノクロ
ーナル抗体WGA−3(宝酒造社製)の1mgを含有する0.1M
リン酸緩衝液(pH8.0)50mlにポリスチレンボール
(積水化学社製、粒径6.35mm)100個を加え、5℃で16
時間反応させ抗体をビーズに固定化させた。ビーズを生
理食塩水で洗浄後、1%ウシ血清アルブミン(BSA)を
含むリン酸緩衝生理食塩水に浸し、5℃で一晩放置し、
抗グリコカリシンモノクローナル抗体結合ビーズを得
た。
(5) 抗グリコカリシン酵素標識モノクローナル抗体
の作製 上記参考例2の方法で得た抗グリコカリシンモノクロ
ーナル抗体PL52−4(宝酒造社製)にペルオキシダーゼ
(ベーリンガー−マンハイム社製)を前記ナカネらの方
法によって結合させ、標識抗体を得た。すなわち10mgの
ペルオキシダーゼを2mlの精製水に溶かし、0.1M 過ヨ
ウ素酸カリウムを0.2ml加える。室温で20分間反応させ
た後1mM 酢酸緩衝液(pH9.0)に対し4℃で一晩透析す
る。一方、PL52−4抗体2mgを1.5mlのリン酸緩衝生理食
塩水(pH7.4)に溶かし、10mM 炭酸緩衝液(pH9.5)に
対し一晩4℃で透析しておき、これを上記の過ヨウ素酸
処理したペルオキシダーゼと混合し、室温で2時間反応
させた後、水素化ホウ素ナトリウム(4mg/ml)を0.1ml
添加し、4℃で2時間反応後、リン酸緩衝生理食塩水
(pH7.4)で平衡化したウルトロゲルAcA22(LKB社製)
を用いゲルろ過により分画し、ペルオキシダーゼ活性と
抗体活性の一致する画分を集め、メルチオレートナトリ
ウムを終濃度0.01%となるように添加し、4℃で保存し
た。
(6) グリコカリシンの測定 EIA法は以下のようにして行った。試料300μlチュー
ブに入れ、固相化抗体ビーズをチューブの中に1個ずつ
入れて37℃で20分間第一インキュベーションを行う。次
に、ビーズを3mlの生理食塩水で3回洗い、標識抗体液
(300倍希釈)300μlをビーズの入ったチューブに入
れ、37℃で20分間第二インキュベーションを行う。
次に、ビーズを3mlの生理食塩水で3回洗いビーズを
別のチューブに移し、これに発色試薬(o−フェニレン
ジアミン1mg/ml、H2O2の0.01%を含む0.1M クエン酸緩
衝液pH5.0)を加え、室温で15分間反応させ、1NのH2SO4
を1ml加え反応停止させた。波長492nmの吸光度を測定し
た。
グリコカリシン濃度の増加に伴って発色の吸光度は増
加し、本測定方法によりグリコカリシンの測定が可能で
あることが明らかとなった。
参考例4 ポリクローナル抗体を用いた競合RIA法によるGMP−130
及びグリコカリシン量の測定 (1)125I標識GMP−130の調製 バイオーラッド(Bio−Rad)社製のエンザイモビーズ
を用いて〔コストリニ(Costrini)N.Y.らの方法、プロ
シーディングズ オブ ザ ナショナル アカデミー
オブ サイエンシーズ オブ ザ USA(Proceed.Nat.A
cad Sci USA)、第76巻、第3242頁(1979)〕により調
製した。
(2) GMP−130の測定 試料0.1mlを試験管に入れ、これに125I標識抗原液0.1
mlを加え、更に第一抗体液(抗GMP−130ポリクローナル
抗体を含有する0.1%BSA/TBS)0.1mlを加え室温で2時
間反応させる。これに第二抗体液(3%ヤギ抗ウサギIg
G抗体、2.5%PEG−6000を含有する0.1%BSA/TBS)1mlを
加え室温で10分間反応させ、1000gで20分間遠心分離し
上清を捨て、沈殿中の放射能活性を測定した。抗原GMP
−130の濃度が増加するに従って放射能活性は減少し、
本測定方法によってGMP−130の測定が可能であることが
示された。
(3) 125I標識グリコカリシンの調製 バイオーラッド社製のエンザイモビーズを用いて前記
コストリニらの方法により調製した。
(4) グリコカリシンの測定 試料0.1mlを試験管に入れ、これに125I標識抗原液0.1
mlを加え、更に第一抗体液(抗グリコカリシンポリクロ
ーナル抗体を含有する0.1%BSA/TBS)0.1mlを加え室温
で2時間反応させる。これに第二抗体液(3%ヤギ抗ウ
サギIgG抗体、2.5%PEG−6000を含有する0.1%BSA/TB
S)1mlを加え室温で10分間反応させ、1000gで20分間遠
心分離し上清を捨て、沈殿中の放射能活性を測定した。
抗原グリコカリシンの濃度が増加するに従って放射能活
性は減少し、本測定方法によってグリコカリシンの測定
が可能であることが示された。
実施例1 GMP−130測定EIAキット及びグリコカリシン測定EIAキ
ットの製造と各種患者血漿中GMP−130及びグリコカリシ
ン量の測定。
(1) GMP−130測定EIAキットの製造 GMP−130測定EIAキット(1回分)の組成を以下に示
す。
1. 抗体固相化ビーズ 1個 〔工業技術院微生物工業技術研究所に寄託されているハ
イブリドーマ微工研菌寄第11072号(FERM P−11072)
が産生するモノクローナル抗体WGA−1が固相化された
ビーズ〕 2. ペルオキシダーゼ標識抗体 0.3ml 〔工業技術院微生物工業技術研究所に寄託されているハ
イブリドーマ微工研菌寄第11073号(FERM P−11073)
が産生するモノクローナル抗体PL7−6をペルオキシダ
ーゼにより標識した〕 3. 発色試薬 0.3ml (o−フェニレンジアミンHClの10mg/ml、過酸化水素0.
01%を含むクエン産緩衝液pH5.0) 4. 反応停止液(1N硫酸) 1.0ml 5. 標準品(GMP−130を4、2、1、0.5μg/ml含む1
%BSA/TBS) (2) 患者血漿中GMP−130の測定 上記EIAキットを用い、合併症を併発している糖尿病2
0例、合併症併発のない糖尿病20例、健常人20例、及び
採血後分離せず室温にて24時間放置した健常人20例の血
漿を用いて、参考例3に基づいてGMP−130量を測定し
た。標準品を用いて検量線を求めた結果第1図に示すよ
うな検量線が得られた。第1図のグラフにおいて、横軸
はGMP−130濃度(ml/リットル)、縦軸は吸光度(A492n
m)を示している。試料を測定して得られた吸光度から
この検量線を用いてGMP−130量を求めた。
(3) グリコカリシン測定EIAキットの製造 グリコカリシン測定EIAキット(1回分)の組成を以
下に示す。
1. 抗体固相化ビーズ 1個 〔ハイブリドーマWGA−3が産生するモノクローナル抗
体WGA−3が固相化されたビーズ〕 2. ペルオキシダーゼ標識抗体 0.3ml 〔ハイブリドーマPL52−4が産生するモノクローナル抗
体PL52−4をペルオキシダーゼにより標識した〕 3. 発色試薬 0.3ml 〔o−フェニレンジアミンHClの10mg/ml、過酸化水素0.
01%を含むクエン酸緩衝液pH5.0〕 4. 反応停止液(1N硫酸) 1.0ml 5. 標準品(グリコカリシンを4、2、1、0.5μg/ml
含む1%BSA/TBS) (4) 患者血漿中グリコカリシンの測定 上記EIAキットを用い、合併症を併発している糖尿病2
0例、合併症を併発していない糖尿病20例、健常人20
例、及び採血後分離せず室温にて24時間放置した健常人
20例の血漿を用いて、参考例3に基づいてグリコカリシ
ン量を測定した。標準品を用いて検量線を求めた結果第
2図に示すような検量線が得られた。第2図のグラフに
おいて、横軸はグリコカリシン濃度(ml/リットル)、
縦軸は吸光度(A492nm)を示している。試料を測定して
得られた吸光度からこの検量線を用いてグリコカリシン
量を求めた。
(5) 患者血漿中のGMP−130/グリコカリシン比率の
測定 上記実施例1−(2)にて得られた血漿中GMP−130の
測定結果を第3図に示す。また実施例1−(2)にて得
られたGMP−130測定値を、実施例1−(4)にて得られ
たグリコカリシン測定値にて除した値の分布を第4図に
示す。
すなわち、第3図は血漿中GMP−130量を症例別にプロ
ットしたグラフであり、第4図は血漿中GMP−130/グリ
コカリシン比率を症例別にプロットしたグラフである。
第3図中、健常人と合併症併発糖尿病患者の血漿中の
GMP−130量の分布に違いが見られるが、健常人と合併症
非併発糖尿病患者の血漿中GMP−130量及び健常人放置血
漿と合併症併発糖尿病患者の血漿中GMP−130量において
は分布に違いが見られない。
しかし、健常人及び健常人放置血漿と合併症非併発糖
尿病患者との間にはGMP−130/グリコカリシン比率の分
布に違いが見られた。すなわち、第4図中合併症非併発
糖尿病患者においても、血漿中GMP−130/グリコカリシ
ン比率が、健常人の血漿試料の取扱い方法にかかわらず
健常人よりも高いということが見出された。
実施例2 GMP−130測定RIAキット及びグリコカリシン測定RIAキッ
トの製造と各種患者血漿中GMP−130及びグリコカリシン
量の測定 (1) GMP−130測定RIAキットの製造 GMP−130測定RIAキット(1回分)の組成を以下に示
す。
1. 125I標識抗原液 0.1ml (20000cpmの125I標識GMP−130を含有する0.1%BSA/TB
S) 2. 第一抗体液 0.1ml (ウサギ抗GMP−130抗体を含有する0.1%BSA/TBS) 3. 第二抗体液 1ml (3%ヤギ抗ウサギIgG抗体、2.5%PEG−6000を含有す
る0.1%BSA/TBS) 4. 標準液 0.1ml (GMP−130抗原を4、2、1、0.5μg/ml含有する0.1%
BSA/TBS) (2) 患者血漿中GMP−130の測定 上記RIAキットを用い、参考例4−(1)及び(2)
の方法で実施例1と同一の試料を測定した結果、各試料
中のGMP−130量は実施例1−(1)及び(2)とほぼ同
一の値が得られた。
(3) グリコカリシン測定RIAキットの製造 グリコカリシン測定RIAキット(1回分)の組成を以
下に示す。
1.125I標識抗原液 0.1ml (20000cpmの125I標識グリコカリシンを含有する0.1%B
SA/TBS) 2. 第一抗体液 0.1ml (ウサギ抗グリコカリシン抗体を含有する0.1%BSA/TB
S) 3. 第二抗体液 1ml (3%ヤギ抗ウサギIgG抗体、2.5%PEG−6000を含有す
る0.1%BSA/TBS) 4. 標準液 0.1ml (グリコカリシン抗原を4、2、1、0.5μg/ml含有す
る0.1%BSA/TBS) (4) 患者血漿中グリコカリシンの測定 上記RIAキットを用い、参考例4−(3)及び(4)
の方法で実施例1と同一の試料を測定した結果、各試料
中のグリコカリシン量は実施例1−(3)及び(4)と
ほぼ同一の値が得られた。
(5) 患者血漿中GMP−130/グリコカリシン比率の測
定 上記実施例2−(2)にて得られたGMP−130測定値を
上記実施例2−(4)にて得られたグリコカリシン測定
値にて除した。その結果、各試料中のGMP−130/グリコ
カリシン比率は実施例1−(5)とほぼ同一の値が得ら
れた。
実施例3 血小板及び血管内皮細胞の障害又は活性化度
の測定用キットの製造 血小板及び血管内皮細胞の障害又は活性化度の測定用
キット(1回分)の組成を以下に示す。
1. 抗グリコカリシン抗体固相化ビーズ 1個 〔モノクローナル抗体WGA−3(宝酒造社製)が固相化
されたビーズ〕 2. ペルオキシダーゼ標識抗グリコカリシ抗体 0.3ml 〔モノクローナル抗体PL52−4(宝酒造社製)をペルオ
キシダーゼにより標識した〕 3. 抗GMP−130抗体固相化ビーズ 1個 〔モノクローナル抗体WGA−1(宝酒造社製)が固相化
されたビーズ〕 4. ペルオキシダーゼ標識抗GMP−130抗体 0.3ml 〔モノクローナル抗体PL7−6をペルオキシダーゼによ
り標識した〕 5. 発色試薬 0.6ml (o−フェニレンジアミンHClの10mg/ml、過酸化水素0.
01%を含むクエン酸緩衝液pH5.0) 6. 反応停止液(1N硫酸) 2.0ml 7. 標準品A(グリコカリシンを4、2、1、0.5μg/m
l含む1%BSA/TBS) 8. 標準品B(GMP−130を4、2、1、0.5μg/ml含む
1%BSA/TBS) 〔発明の効果〕 以上詳細に説明したように、本発明により、血液試料
中のGP−130/グリコカリシン比率が糖尿病に代表される
様な血小板及び血管内皮細胞の障害あるいは活性化を伴
う疾病のマーカーとなることが見出され、上記疾病の新
たな検出方法として有用な、血液系の障害又は活性化度
の測定方法及び測定用キットが提供された。
【図面の簡単な説明】
第1図はGMP130測定用キットで使用する検量線を示すグ
ラフ、第2図はグリコカリシン測定用キットで使用する
検量線を示すグラフ、第3図はGMP−130測定用キットを
用いて測定した血漿中のGMP−130濃度の測定結果を示す
図、第4図はGMP−130及びグリコカリシン測定用キット
を用いて測定した血漿中のGMP−130及びグリコカリシン
の比率を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 郁之進 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒 造株式会社中央研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 33/53

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】血小板及び血管内皮細胞より、共に放出さ
    れる物質の血液試料中濃度を測定するに際し、同時に血
    液試料中のグリコカリシン濃度を測定し、両者の濃度比
    率を求めることを特徴とする血小板及び血管内皮細胞の
    障害又は活性化度の測定方法。
  2. 【請求項2】血小板及び血管内皮細胞の障害又は活性化
    度の測定用キットであって、抗グリコカリシン抗体を含
    有することを特徴とする血小板及び血管内皮細胞の障害
    又は活性化度の測定用キット。
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