JPH0691960B2 - 強化された排ガス処理用触媒 - Google Patents

強化された排ガス処理用触媒

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JPH0691960B2
JPH0691960B2 JP3213572A JP21357291A JPH0691960B2 JP H0691960 B2 JPH0691960 B2 JP H0691960B2 JP 3213572 A JP3213572 A JP 3213572A JP 21357291 A JP21357291 A JP 21357291A JP H0691960 B2 JPH0691960 B2 JP H0691960B2
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exhaust gas
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基伸 小林
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、排ガス中の窒素酸化物
(NOx)を除去するための排ガス処理用触媒に関し、
詳しくは脱硝活性を損なうことなく排ガス中のダストに
対する摩耗強度を著しく向上させた排ガス処理用触媒に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、重油焚きまたは石炭焚きボイラ
ーからの排ガス、セメント工場または焼結炉からの排ガ
ス等の排ガス中には、硫黄酸化物(SOx)が含まれて
いる。このため、このような排ガスの処理に使用する触
媒はNOx除去性能のほかに耐SOx性を有しているこ
とが必要であり、この点からして、一般にチタニア系触
媒が有望とされている。
【0003】チタニア系触媒の場合、あらかじめ担体原
料を成形し、高温度で焼結して担体を形成した後、この
担体上に触媒活性物質を塗布担持あるいは含浸担持する
ことにより目的にかなう強度の触媒を得ることができ
る。しかし、このような方法で得られる触媒は、表面
積、細孔容積が極端に小さくなり、低温で高活性な触媒
を得ることは困難となる。
【0004】表面積、細孔容積が大きく、低温、高空間
速度でも高性能を示す高活性なチタニア系触媒として
は、成形触媒が望ましい。しかし成形触媒は、強度が小
さく、特にガスとの接触面が摩耗に弱いという欠点があ
る。このため、多量のダストを含む排ガスを処理する場
合、接触面がダストにより摩耗し、排ガス処理効率が低
下するほかに、粉塵が排ガスとともに系外に排出され、
二次公害を引き起こしたり、触媒層の閉塞といった問題
を引き起こす可能性がある。
【0005】上記触媒に対するこのような問題を解決す
るために、ハニカム型成形触媒全体にわたって多孔性を
保ち、かつガス入口側先端部付近をシンタリングするか
あるいはガラス質コーティングを施すことにより耐摩耗
性を向上させることが提案されている(US−A−4,
294,806)。
【0006】しかしながら、上記のごとき従来の触媒に
おいては、排ガス中のダストに対する摩耗強度はある程
度向上するものの、該成形触媒の入口側先端部がシンタ
リングされたり、あるいはガラス質コーティングが施さ
れているので、その部分での触媒活性、すなわち、脱硝
活性が損なわれるという欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、改良された排ガス処理用触媒を提供することに
ある。
【0008】本発明の他の目的は、触媒活性を損なうこ
となく摩耗強度を著しく増加させた排ガス処理用触媒を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】これらの諸目的は、一体
成形されたチタン含有多孔性脱硝触媒のガス入口側先端
部を、ジルコニアゾルおよびケイ酸ジルコニウムゾルよ
りなる群から選ばれた少なくとも1種のゾルにより被覆
し、乾燥および/または焼成してなる排ガス処理用触媒
により達成される。
【0010】本発明者らの研究によれば、触媒のガス入
口側の先端部をジルコニアゾルおよび/またはケイ酸ジ
ルコニウムゾルにより被覆することにより上記目的が達
成できることを知り、この知見に基づいて本発明を完成
するに至った。
【0011】本発明の触媒は、触媒のガス入口側の先端
部をジルコニアゾルまたはケイ酸ジルコニウムゾルを被
覆してあるので、触媒活性の低下を伴うことなく摩耗強
度が著しく向上されている。
【0012】すなわち、本発明の触媒は、排ガス中のダ
ストに対して優れた耐摩耗性を示すとともに被覆以前の
触媒とほぼ同等の触媒活性を示すものである。
【0013】したがって、本発明の触媒は、排ガスの処
理用触媒として極めて有用なものである。
【0014】
【作用】以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】本発明で使用される一体成形されたチタン
含有多孔性脱硝触媒(以下、「一体化構造触媒」とい
う)は、触媒活性物質としてチタン酸化物およびバナジ
ウム、タングステン、モリブデンの少なくとも1種の元
素の酸化物を含む従来公知の触媒はいずれも使用でき、
従来公知の方法によって調製されるものであり、その使
用材料、成形方法等には特に制限はない。例えば、チタ
ン源として硫酸チタニルを用い、この硫酸溶液とシリカ
ゾルとを混合して共沈ゲルを生成し、これを焼成してT
iO2 −SiO2 粉体とし、ニーダーを用いて適量の水
およびバナジウム化合物、タングステン化合物、モリブ
デン化合物等の触媒活性物質の出発原料とを混合、混練
した後、押出成形機で成形して、次いで乾燥し、焼成し
て調製することができる。また、TiO2 −SiO2
体を一体化構造に成形した後、乾燥、焼成して、上記触
媒活性物質の出発原料を浸漬、含浸して担持して、乾
燥、焼成して完成触媒とすることもできる。もちろん、
上記シリカゾルに代わる材料を用いてもよく、また触媒
活性を向上させるための成分や成形助剤等も添加、使用
することができる。
【0016】これらのうち、特に下記の一体化構造触媒
が窒素酸化物除去用触媒として優れた効果を発揮する。
該触媒の触媒活性物質は、(A)チタンおよびケイ素を
含む二元系酸化物(以下、「TiO2 −SiO2 」と略
記する)60〜99.5重量%と(B)バナジウム、タ
ングステン、モリブデン、銅、マンガン、セリウムおよ
びスズよりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の
酸化物40〜0.5重量%とからなる。
【0017】成分(A)としてのTiO2 −SiO2
組成は、原子百分率で、チタンが40〜95%、ケイ素
が60〜5%の範囲にあるのが好ましい。チタンが40
%未満では脱硝活性が低下し、95%を越えるとSO2
酸化活性が増大して好ましくない。
【0018】成分(B)は、バナジウム、タングステ
ン、モリブデン、銅、マンガン、セリウムおよびスズよ
りなる群から選ばれた1種または2種以上の金属の酸化
物である。
【0019】成分(A)の割合は60〜99.5重量
%、好ましくは80〜99重量%であり、また成分
(B)の割合は40〜0.5重量%、好ましくは20〜
1重量%である。成分(A)の割合が60重量%未満で
は触媒原料のコストが高くなるわりには脱硝活性の向上
は期待できず、また99.5重量%を越えると脱硝活性
が低下して好ましくない。
【0020】本発明の一体化構造触媒の調製方法につい
ては特に制限はなく、種々の方法で調製することができ
る。以下にその代表的な調製方法について説明するが本
発明はこれに限定されるものではない。
【0021】成分(A)としてのTiO2 −SiO2
調製において、チタン源としては、塩化チタン、硫酸チ
タン等の無機チタン化合物、蓚酸チタン、テトライソプ
ロピルチタネート等の有機チタン化合物等から選ばれる
1種または2種以上の化合物を、またケイ素源として
は、コロイド状シリカ、微粒子ケイ酸、水ガラス、四塩
化ケイ素等の無機ケイ素化合物、テトラエチルシリケー
ト等の有機ケイ素化合物等から選ばれる1種または2種
以上の化合物を使用することができる。
【0022】上記チタン源およびケイ素源の化合物を、
チタンおよびケイ素の原子百分率がそれぞれ40〜95
%および60〜5%となるようにとり、酸性の水溶液状
態またはゾル状態でチタンおよびケイ素を酸化物に換算
して1〜100g/l、好ましくは5〜80g/lの濃
度とし10〜100℃、好ましくは10〜50℃に保
つ。そこに攪拌下中和剤としてアンモニア水を滴下し、
チタンおよびケイ素を含む共沈化合物を生成し、濾別
し、よく洗浄した後、80〜140℃、好ましくは10
0〜120℃で1〜10時間、好ましくは5〜10時間
乾燥し、さらに450〜700℃、好ましくは500〜
650℃で1〜10時間、好ましくは3〜10時間焼成
することによりTiO2 −SiO2 が得られる。
【0023】成分(B)としてのバナジウム、タングス
テン、モリブデン、銅、マンガン、セリウムおよびスズ
よりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の酸化物
の調製に使用する出発原料としては、各金属の酸化物、
水酸化物、アンモニウム塩、蓚酸塩、ハロゲン化物等か
ら適宜選択することができる。具体的には、バナジウム
源としては、メタバナジン酸アンモニウム、硫酸バナジ
ル、蓚酸バナジル、酸化バナジウム等を、またタングス
テン源としては、酸化タングステン、パラタングステン
酸アンモニウム、タングステン酸等を挙げることができ
る。
【0024】成分(B)の出発原料の水溶液を成型助剤
とともに上記成分(A)に加えて、混合、混練し、押出
し成形機で一体化構造に成形する。得られた成形物は、
50〜120℃、好ましくは50〜100℃で乾燥した
後、450〜700℃、好ましくは500〜650℃で
1〜10時間、好ましくは2〜6時間空気中で焼成する
ことにより本発明の一体化構造触媒が得られる。
【0025】なお、本発明の一体化構造触媒の比表面積
(BET表面積)は80m/g以上、特に80〜25
0m/gであるのが好ましい。
【0026】上記一体化構造触媒の構造についても特に
制限はなく、ガスの流れが触媒面と平行となる形状であ
ればいずれでもよく、例えばハニカム状、板状または円
筒状構造等を挙げることができるが、好ましくはハニカ
ム状である。ハニカム状の一体化構造触媒における断面
の開口率は50〜90%、好ましくは60〜85%であ
る。
【0027】本発明のハニカム状触媒における貫通孔を
隔てる隔壁の厚みは0.3〜2.0mm、好ましくは
0.4〜1.6mmである。
【0028】本発明のハニカム状触媒の目開き(貫通孔
の直径)は3〜10mm、好ましくは4〜8mmが好ま
しい。
【0029】本発明の触媒は、上記一体化構造触媒の入
口側の先端部をジルコニアゾルおよびケイ酸ジルコニウ
ムゾルよりなる群から選ばれた少なくとも1種のゾルに
より被覆することにより得られる。
【0030】なお、本発明において使用するジルコニア
ゾルおよびケイ酸ジルコニウムゾルは、ゾルの形態であ
ればいかなるものでも使用できるが、好ましくはゾル粒
子の平均粒子径が400オングストローム以下、さらに
好ましくは200オングストローム以下、特に好ましく
は20〜200オングストロームの範囲にあるものであ
る。一体化構造触媒は一般に平均細孔系が0.01〜
0.1μmの細孔を有しているが、上記範囲のゾルを用
いると細孔内部までゾルが浸透し、機械的強度の向上に
寄与するものと考えられる。ゾルの平均粒子径が400
オングストロームを越えると触媒の内部への浸透量が少
なく、触媒表面上での付着量が多くなり、従来の触媒の
端面強化方法と比較して、その強度は改善されるもの
の、400オングストローム以下のゾルを用いた場合と
比較するとその強度は劣る。
【0031】上記ジルコニアゾルは、ジルコニウム塩水
溶液をアルカリで中和し、生じた沈殿物を酸により解膠
する方法、ジルコニウム塩水溶液に塩基性物質を沈殿が
生じない程度のpHまで注入混合してゾルを生成させる
方法、ジルコニウム塩を含む水溶液を常圧または加圧下
で加熱する方法等により調製することができる。
【0032】このようなジルコニアゾルの内、酸性ジル
コニアゾルおよび中性ないし塩基性ジルコニアゾルが好
ましく、特に中性ないし塩基性ジルコニアゾルが好まし
い。
【0033】酸性ジルコニアゾルは、例えば、WO90
/09350に記載されているように、(a)ジルコニ
ウム塩水溶液を尿素の存在下に加熱して得られる透明性
ジルコニアゾル、または(b)該透明性ジルコニアゾル
を限外濾過により濃縮して得られる濃縮ジルコニアゾ
ル、あるいは(c)該濃縮ジルコニアゾルをさらに80
℃以下の温度で加熱濃縮して得られる高濃度ジルコニア
ゾルのいずれであってもよい。
【0034】以下、具体的に説明する。まず、オキシ塩
化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウ
ム、酢酸ジルコニウム等の水可溶性ジルコニウム塩類か
ら選ばれるジルコニウム塩水溶液に尿素を添加し、加熱
することにより透明性ジルコニアゾルを製造する。
【0035】このときの加熱温度は60〜300℃であ
る。また、ジルコニウム塩1モルに対する尿素の量は
0.2〜4モルであり、好ましくは0.5〜2モルであ
る。かくして得られるゾルは透明性を保った状態で反応
を停止する。必要により該ゾルを冷却後、限外濾過膜を
使用し濃縮する。水と共にゾル中のイオン類を系外に排
出させる。濃縮後のゾル中のイオン類濃度が高い場合、
ゾルに純水を加え濃縮する工程を繰り返すかあるいはイ
オン交換樹脂を使用してイオン類を除去する。さらに必
要により、濃縮後のゾルをさらにゾルを加熱することに
より濃縮する。この濃縮は温度が80℃以下、好ましく
は5〜60℃、さらに好ましくは10〜40℃で行う。
【0036】かくして得られる透明性ジルコニアゾルは
濃度がZrO2 として50重量%まで可能であり、長期
に安定である。
【0037】また、この透明性ジルコニアゾルは酸性で
あり、そのpHは0.1〜6であり、粘度は濃度あるい
はpHにより変わるが5〜3,000cpである。
【0038】さらに、前記方法で得られた透明性高濃度
ジルコニアゾルに、キレート化剤および/またはジルコ
ニウム以外の金属化合物(以下、他の金属化合物とい
う)を配合することにより高濃度ジルコニアゾルが得ら
れる。
【0039】本発明において使用できるキレート化剤と
しては、カテコール、ピロガロール等のオキシフェノー
ル類、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の
アミノアルコール類、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ
アクリル酸等のオキシ酸およびそれらのメチル、エチ
ル、ヒドロキシエチル等のエステル類、グリコールアル
デヒド等のオキシアルデヒド類、グリシン、アラニン等
のアミノ酸類、アセチルアセトン、ベンゾイルアセト
ン、ステアロイルアセトン、ステアロイルベンゾイルメ
タン、ジベンゾイルメタン等のβ−ジケトン類、アセト
酢酸、プロピオニル酢酸、ベンゾイル酢酸等のβ−ケト
ン酸類およびそれらのメチル、エチル、n−プロピル、
i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル等のエステル類
等を挙げることができる。これらのうち、β−ジケトン
類、ならびにβ−ケトン酸類およびそれらのエステル類
等のβ−ジカルボニル化合物が好適に使用される。
【0040】キレート化剤の添加量は比較的少量でよ
く、ゾル中のジルコニアに対して0.02〜1モル倍の
範囲で十分効果を発揮し、好ましくは0.05〜0.8
モル倍である。なお、1モル倍を越えて添加しても量的
効果が小さく経済的でない。
【0041】本発明において使用できる他の金属化合物
としては、アルミニウム、イットリウム、カルシウム、
マグネシウム、チタン、スズ、インジウム、セリウム、
ケイ素等の化合物を挙げることができる。これら金属化
合物は、ゾルの使用目的に応じて、単独でもあるいは2
種以上を組み合わせて使用することもできる。これら金
属化合物の中でも、イットリウム、カルシウムあるいは
マグネシウムの化合物が本発明のゾルの使用目的におい
て重要であり、通常ジルコニアに対して酸化物として
0.5〜20モル%、好ましくは1〜18モル%の範囲
で添加される。
【0042】上記キレート化剤および金属化合物の添加
時期および方法には、特に制限はなく、透明性ジルコニ
アゾルの形成前から形成後の任意の時期に添加すること
ができる。例えば、(1)ジルコニウム塩水溶液と尿素
とを加熱して透明性ジルコニアゾルを形成した後、
(2)透明性ジルコニアゾルを限外濾過膜により濃縮し
た後、(3)限外濾過膜により濃縮し、さらに加熱した
後に添加してもよい。また、(4)ジルコニウム塩水溶
液と尿素との混合液中に添加してもよい。この(4)の
ように、キレート化剤を添加した後、ゾル生成反応を行
い、さらに限外濾過膜を用いて濃縮を行ってもキレート
化剤が系外に流出することは認められない。また、ゾル
生成反応前に各成分を均一に混合することができるの
で、より均質性の高い高性能ジルコニア系ゾルを得るこ
とができ、さらにはジルコニアと他の成分とが複合され
た粒子からなるゾル製造が可能である。さらに、(5)
用途によっては、キレート化剤の含有量が少ないことが
必要な場合もあるが、この場合には必要とされる安定化
時間に見合ったキレート化剤のみを添加しておき、ゾル
の使用直前に金属化合物を添加、配合してもよい。
【0043】中性ないし塩基性ジルコニアゾルは、EP
−A−0 409 282に記載されているように、
(a)炭酸ジルコニルアンモニウムを加水分解して得ら
れる透明性ジルコニアゾルにキレート化剤を配合してな
るジルコニアゾル、(b)炭酸ジルコニルアンモニウム
とキレート化剤との反応生成物を加水分解して得られる
ジルコニアゾル、あるいは(c)水分散ジルコニアゾル
に有機溶媒を加え、水を有機溶媒で置換して得られる有
機溶媒分散ジルコニアゾルがある。
【0044】まず、炭酸ジルコニルアンモニウムから本
発明のジルコニアゾルを調製するためには、(1)炭酸
ジルコニルアンモニウム水溶液を加水分解した反応液か
らジルコニアゾル粒子を限外濾過膜を使用して、濾過、
洗浄する方法、(2)炭酸ジルコニルアンモニウムの反
応率を実質的に100%に高めるため、炭酸ジルコニル
アンモニウムとキレート化剤との反応生成物を加水分解
する方法等がある。
【0045】以下、それぞれの方法につき、さらに詳細
に説明する。 (1)炭酸ジルコニルアンモニウム水溶液の加水分解に
よる方法においては、反応の経過にともなって反応液の
増粘、ゲル化現象があるため、炭酸ジルコニルアンモニ
ウムの濃度を比較的低くし、短時間で反応を終了させる
必要がある。
【0046】本発明における炭酸ジルコニルアンモニウ
ム水溶液の濃度は0.05〜1モル/l程度、好ましく
は0.1〜0.5モル/l程度が適当である。濃度が低
すぎると経済的でなく、一方、高すぎると反応中に反応
液の粘度上昇、ゲル化が急速に進むので、好ましくな
い。
【0047】炭酸ジルコニルアンモニウム水溶液を60
℃以上に加熱し、加水分解を行うが、反応を長時間行う
と、生成したゾル粒子が縮重合し、反応液が白濁した
り、沈殿が生じたりするため、本発明の透明性ジルコニ
アゾルを得るためには、反応液が透明性を保った状態で
反応を停止させる必要がある。本発明においては、反応
温度60〜120℃、好ましくは80〜100℃、反応
時間0.01〜2時間、好ましくは0.03〜1時間の
範囲内で反応条件が設定される。
【0048】上記加水分解によって得られる反応液を速
やかに冷却後、限外濾過膜を使用して濾過、洗浄を行
い、未反応の炭酸ジルコニルアンモニウムあるいは反応
により生じたイオン類等を除去することにより高純度の
ジルコニアゾルが得られる。
【0049】ゾル中の不純物類は水とともに系外に排出
し、濃縮されたゾルに純水を追加して連続的に洗浄を行
うが、洗浄中のゾル濃度は1〜15重量%程度の範囲に
保持するのがよい。限外濾過膜の透過孔構造を選択する
ことにより実質的にゾル粒子の損失なしにゾルの洗浄、
濃縮を行うことができる。洗浄後ゾルの濃度をジルコニ
アとして5〜20重量%程度に濃縮する。これ以上濃縮
すると、ゾルの粘度が上昇したり、あるいはゲル化して
限外濾過膜の透過孔を閉塞する恐れがある。
【0050】上記の限外濾過膜を使用して洗浄、濃縮し
たジルコニアゾルはさらに加熱することによって濃縮す
ることができる。しかしながら、ジルコニアゾルの濃度
が高くなるほど不安定で、増粘ゲルが起り易くなるの
で、これらの濃縮、すなわち、限外濾過膜の使用による
洗浄、濃縮時あるいは加熱による濃縮時にあたってはジ
ルコニアゾル中にキレート化剤を添加して行うのが望ま
しい。この加熱、濃縮はゾルの温度が80℃以下、好ま
しくは60℃以下、さらに好ましくは40℃以下で行
う。なお、この加熱、濃縮は、減圧下攪拌しながら行う
ことによって効率よく行うことができる。この加熱、濃
縮操作によりジルコニアゾルの濃度をジルコニアとして
30重量%程度まで上げることができる。
【0051】本発明で使用されるキレート化剤として
は、カテコール、ピロガロール等のオキシフェノール
類、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のア
ミノアルコール類、グリコール酸、クエン酸、酒石酸、
乳酸、マンデル酸、リンゴ酸、ヒドロキシアクリル酸等
のオキシ酸およびそれらのメチル、エチル、ヒドロキシ
エチル等のエステル類、グリコールアルデヒド等のオキ
シアルデヒド類、蓚酸、マロン酸等のポリカルボン酸
類、グリシン、アラニン等のアミノ酸類、アセチルアセ
トン、ベンゾイルアセトン、ステアロイルアセトン、ス
テアロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタン等の
β−ジケトン類、ならびにアセト酢酸、プロピオニル酢
酸、ベンゾイル酢酸等のβ−ケトン酸類およびそれらの
メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブ
チル、t−ブチル等のエステル類の1種または2種以上
を組み合わせて使用することができる。これらのうち、
グリコール酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、マンデル酸、
リンゴ酸、ヒドロキシアクリル酸等のオキシ酸およびア
セチルアセトン等のβ−ジケトン類が好ましく使用され
る。さらに好ましくは、α、βおよびγ−オキシ酸類で
それぞれα、β、γの炭素上の酸素原子を有する官能基
をもつα−、β−、γ−ケトン酸類あるいはそれらのエ
ステル類である。
【0052】キレート化剤の使用量は使用するキレート
化剤の種類により異なってくるが、キレート化剤(モル
数)/ジルコニア(モル数)が0.02/1〜4/1、
好ましくは0.1/1〜3/1、さらに好ましくは0.
5/1〜2/1の範囲になるように選択するのがよい。
この割合が少なすぎるとキレート化剤の添加効果がな
く、一方、4/1を越える割合で添加しても、それ以上
の効果は得られず経済的でない。
【0053】なお、キレート化剤の配合の効果は、上記
の場合のように、ジルコニアゾルを高濃度化するための
安定化剤としての作用のほかに、ジルコニアゾルにジル
コニウム以外の金属やゾルを添加したジルコニア系ゾル
の安定化剤としても有効である。ジルコニアゾルにジル
コニウム以外の金属の上記金属種を添加すると、ジルコ
ニアの濃度が低い場合でもゾルの経時的安定性に欠ける
場合が多い。その場合、限外濾過後得られる比較的低濃
度のジルコニアゾルにキレート化剤を配合し、あるいは
該キレート化剤が配合されたジルコニアゾルを加熱濃縮
して得られる高濃度ジルコニアゾルに、ジルコニウム以
外の金属種を添加して経時的に安定なジルコニア系ゾル
を容易に調製することができる。ジルコニア系ゾルとし
て添加されるジルコニウム以外の金属種としては、ジル
コニウムより原子価の大きいバナジウム、ニオブ、タン
タル、クロム、モリブデン、タングステン等あるいはジ
ルコニウムと同じ原子価のチタン、スズ、ケイ素、セリ
ウム等、さらにジルコニウムより原子価の小さいアルミ
ニウム、イットリウム、インジウム、カルシウム、マグ
ネシウム等の化合物を挙げることができる。これら金属
元素単独、あるいは2種以上とジルコニアとを組み合わ
せて使用することによりジルコニア単独の場合に比べ機
械的、電磁気的、光学的等の機能を付与、向上せしむる
ことが可能である。
【0054】(2)炭酸ジルコニルアンモニウムとキレ
ート化剤との反応生成物を加水分解する方法。この方法
は、炭酸ジルコニルアンモニウム水溶液とキレート化剤
とを混合し、炭酸ジルコニルアンモニウムを一旦ジルコ
ニウムキレート化合物となし、次いで該キレート化合物
を加熱加水分解し、次いで必要により限外濾過膜を使用
し濾過および洗浄する方法である。前述のように、炭酸
ジルコニルアンモニウム水溶液の加水分解においては、
該反応を継続すると比較的短時間で反応液の粘度上昇、
ゲル化が起こり、炭酸ジルコニルアンモニウムを少量し
か加水分解できない。該炭酸ジルコニルアンモニウムの
加水分解反応を安定的に継続する方法につき鋭意検討し
た結果、本方法に至ったもので、本発明は炭酸ジルコニ
ルアンモニウム水溶液とキレート化剤とを混合し、あら
かじめ炭酸ジルコニルアンモニウムとキレート化剤との
反応生成物を形成せしめ、次いで、該生成物を含む水溶
液を60℃以上に加熱し加水分解反応を行いジルコニア
ゾルを得る方法である。具体的には撹拌槽型反応器に炭
酸ジルコニルアンモニウム水溶液を入れ、次いで攪拌下
キレート化剤を添加すると、室温で迅速に炭酸ジルコニ
ルアンモニウムとキレート化剤が反応する。
【0055】反応後、反応液を60℃以上に加熱すると
二酸化炭素とアンモニアを主体とするガスを発生しなが
ら炭酸ジルコニルアンモニウムとキレート化剤との反応
物の加水分解反応が進行する。該反応中には反応液が増
粘することもなく、反応液の透明性を保持したまま該反
応を完了することができる。反応後の反応液のpHは弱
アルカリ性から中性であり、この反応液にアルカリ性物
質を添加しても反応液の増粘ゲル化は起らず。また、炭
酸ジルコニルアンモニウムがほぼ完全に分解し、該反応
液中に未反応の炭酸ジルコニルアンモニウムが実質的に
残存せず、かつアンモニウムイオンや炭酸イオン等の不
要イオン類が反応経過中にガス化して系外に除去されて
いるため、該反応液は不純物類の含有量が少なく、該反
応液は本発明の目的とするジルコニアゾルとして使用さ
れる。なお、上記反応液中に残存する少量の不純物類
を、前述の限外濾過膜による濾過、洗浄方法と同様な方
法により効率的に除去することができ、さらに高純度の
ジルコニアゾルを得ることができる。
【0056】本方法における炭酸ジルコニルアンモニウ
ムおよびキレート化剤は、先の(1)の炭酸ジルコニル
アンモニウム水溶液の加水分解による方法の場合のそれ
らと同一のものが使用される。
【0057】本発明方法において、炭酸ジルコニルアン
モニウムの濃度には制限はなく高濃度の方が経済的に有
利に製造できるが、炭酸ジルコニルアンモニウム水溶液
の経時的安定性を考慮しZrO2 として10〜25重量
%が望ましい。
【0058】キレート化剤の使用量は、炭酸ジルコニル
アンモニウムの加水分解による場合と同様であり、キレ
ート化剤(モル数)/ジルコニア(モル数)が0.02
/1〜4/1、好ましくは0.1/1〜3/1、さらに
好ましくは0.5/1〜2/1の範囲になるように選択
するのがよい。
【0059】キレート化剤の使用量が少なすぎると、キ
レート化剤と炭酸ジルコニルアンモニウムとの反応で生
成するある種の有機ジルコニウム塩は、本発明の方法に
より加水分解を行うと、炭酸ジルコニルアンモニウム単
独の場合と同様な挙動を示し、加水分解反応を継続する
ことができずキレート化剤の使用の効果がなく、一方、
4/1を越える割合で使用しても、特別な効果が得られ
ず経済的でない。
【0060】本方法における加水分解反応は60℃以上
であればよく、反応を促進するため加圧雰囲気下での反
応も望ましい。実際的な反応温度は60〜300℃、好
ましくは90〜120℃である。
【0061】本発明で得られるジルコニアゾルは、キレ
ート化剤で安定化されているために、高濃度化やジルコ
ニウム以外の金属種が添加されたジルコニア系ゾルの調
製の場合でも経時的安定性に優れている特徴がある。加
水分解後の反応液を限外濾過膜により濾過、洗浄する場
合、高濃度での洗浄が可能であり、効率よく洗浄がで
き、限外濾過膜の使用によりゾルの濃度をZrO2 とし
て35重量%まで濃縮することができる。また、加水分
解後の反応液および限外濾過膜により高純度化されたゾ
ルは、通常の加熱濃縮により容易に濃縮してさらに高濃
度化することができ、ZrO2 として45重量%程度ま
での高濃度ジルコニアゾルを得ることができる。
【0062】ジルコニア系ゾルの調製は、上記で得られ
るジルコニアゾルに、ジルコニウム以外の金属の塩やゾ
ルを添加することにより得られ、これらを添加後、必要
により濃縮あるいは希釈して使用される。該ジルコニア
系として添加される金属種およびその発揮される機能性
は、先の炭酸ジルコニルアンモニウム水溶液からのジル
コニア系ゾルの場合と同様である。
【0063】本発明方法で得られるジルコニアゾルは、
さらに80℃以下で乾燥することによりジルコニアゾル
粒子からなる粉末とすることができる。そして、該粉末
を、水または有機溶媒等の溶液中に再溶解することによ
り再び透明性のゾルとなすことができる。この性質は、
本発明方法で得られるゾルのように、溶媒が水系のゾル
を溶媒が有機溶媒系のゾルに変換するのに特に有用であ
る。ゾルをコーティング剤や有機高分子と複合化して使
用する場合等では、溶媒が有機溶媒系のゾルを必要とさ
れることが多い。通常このような際には、水系のゾルに
有機溶媒を加えて加熱蒸留するか、あるいは限外濾過膜
を使用して水系のゾルに有機溶媒を加え、水を濾液とし
て系外に排出する等の方法により水を有機溶媒で置換す
る。これらの方法に比べ、本発明による方法は、操作が
簡便で有機溶媒で置換した後のゾル中の水分含量をより
少なくできる等有利である。
【0064】以上、炭酸ジルコニルアンモニウムを出発
原料として、炭酸ジルコニルアンモニウム水溶液を加水
分解して得られるジルコニアゾルにキレート化剤が配合
されたジルコニアゾルおよび炭酸ジルコニルアンモニウ
ムとキレート化剤との反応生成物を加水分解して得られ
るジルコニアゾルは、いずれもそのpHが弱アルカリ性
から中性の透明性ジルコニアゾルであり、pHが6〜1
4の範囲で使用してもゲル化が起らず、また長期間に渡
って安定性が良好なゾルである。
【0065】また、上記ケイ酸ジルコニウムゾルは、ジ
ルコニウム塩と有機ケイ素化合物またはシリカゾルを含
む水溶液とをアルカリにより共沈させ、生じた沈殿物を
酸により解膠させてゾルとする方法、ジルコニウム塩と
有機ケイ素化合物またはシリカゾルを含む水溶液とを常
圧または加圧下で加熱してゾル化する方法等により調製
することができる。
【0066】上記一体化構造触媒のガス入口側の先端部
にジルコニアゾルまたはケイ酸ジルコニウムゾルを被覆
する方法としては、浸漬方法、塗布方法、噴霧吹付け方
法等を挙げることができるが、この被覆方法は、上記一
体化構造触媒のガス入口側の先端部、すなわち強化処理
する部分の長さ等に応じて適宜選択するのがよい。例え
ば、強化処理する部分が端面から10mm以下であれば
塗布方法や噴霧吹付け方法が好ましいが、10mmを越
える場合には浸漬方法を用いるのがよい。なお、強化処
理する部分の長さは、使用目的等に応じて、適宜決定さ
れるが、ガス入口側の端面のみを被覆すれば十分な場合
もあることから、本発明にいう「先端部」とは「端面」
をも包含するものである。
【0067】上記一体化構造触媒上へのジルコニアゾル
またはケイ酸ジルコニウムゾルの被覆量については、使
用目的に応じた強化の程度を考慮して、適宜決定すれば
よいが、通常、触媒の被覆部分の重量に対して30〜7
0重量%、好ましくは40〜60重量%程度である。ま
た、該ジルコニアゾル中のジルコニアまたはケイ酸ジル
コニウムゾル中のケイ酸ジルコニウムとしての被覆量
は、該触媒の被覆部分の重量に対して1〜35重量%、
好ましくは5〜20重量%であるなお、上記ジルコニア
ゾルまたはケイ酸ジルコニウムゾルにタングステン化合
物を配合して、上記一体化構造触媒上に被覆することに
より、触媒活性を低下させることなく、一体化構造触媒
の摩耗強度を一段と増加させることが可能となり、本発
明の目的をより効果的に達成することができる。
【0068】上記タングステン化合物としては、タング
ステンのアンモニウム塩、蓚酸塩、ハロゲン化物、硫酸
塩、硝酸塩等が使用できる。タングステン化合物は、上
記のような塩の水溶液として、ジルコニアゾルまたはケ
イ酸ジルコニウムゾルと混合して使用する。
【0069】タングステン化合物の添加量は、ジルコニ
ア(ZrO2 )またはケイ酸ジルコニウム(ZrSiO
4 )の重量基準で50重量%以下、特に1〜20重量%
とするのがよい。50重量%を越えるとむしろ一体化構
造触媒の摩耗強度が低下して好ましくない。
【0070】上記のように一体化構造触媒のガス入口側
先端部を、必要によりタングステン化合物を含有したジ
ルコニアゾルまたはケイ酸ジルコニウムゾルで被覆した
後、乾燥、焼成して、目的とする強化触媒を得る。この
際の焼成温度は特に限定はないが、通常、100〜50
0℃、好ましくは300〜450℃程度で十分である。
【0071】本発明の一体化構造触媒により処理される
排ガスの種類は特に限定されるものではないが、本発明
による一体化構造触媒は、ボイラー、暖房炉、ガスター
ビン、ディーゼルエンジンおよび種々の工業プロセス等
から排出される排ガスに含まれている窒素酸化物の除去
に用いることができる。
【0072】特に、排ガスの組成がおおよそ、硫黄酸化
物(SOx)0〜3,000ppm、酸素1〜20容量
%、二酸化炭素1〜15容量%、水蒸気5〜15容量
%、煤塵0.1〜30g/Nmおよび窒素酸化物(N
Ox、主にNO)100〜1,000ppmである排ガ
スに効果的に用いることができる。通常のボイラーから
の排ガスは、前述の範囲に収まるような組成のガスであ
る。本発明による一体化構造触媒は、さらに、硫黄酸化
物を含まない含窒素酸化物排ガスやハロゲン化物を含む
含窒素酸化物排ガス等の特殊なガスの処理にも用いるこ
とができる。
【0073】本発明の一体化構造触媒を用いた排ガスの
処理条件については、排ガスの種類や作用等によっても
異なるが、通常、排ガス中の窒素酸化物1容量部に対し
て、アンモニア(NH3 )0.5〜3容量部、好ましく
は0.5〜1.1容量部を添加して用いられる。例え
ば、通常のボイラーからの排ガスの場合、NOxの大部
分はNOからなり、NOとNH3 のモル比はおおよそ
1:1が好ましい。この理由は、過剰のNH3 がそのま
まの形で、大気中に放出される可能性を避けるためで、
未反応NH3 の発生を抑えるためには、NOとNH3
モル比が1:1以下であることが好ましい。
【0074】圧力損失を減少させるために、排ガスの流
量は、許されるかぎり遅いことが望ましい。しかしなが
ら、流速が1Nm/sec(触媒断面当り)以下である
と触媒層が煤やダスト等により目詰まりを起こす等の不
都合が生じる。そこで実用的には、流速は、1〜20N
m/sec(触媒断面当り)、好ましくは2〜10Nm
/sec(触媒断面当り)が好適である。流速は、本発
明により得ることのできる低い圧力損失を定めることが
好ましい。反応温度は、通常、200〜700℃、好ま
しくは250〜600℃の範囲である。空間速度は、通
常、1,000〜100,000hr-1、好ましくは
3,000〜20,000hr-1の範囲である。圧力
は、特に制限はないが、0.01〜10kg/cm
好ましくは0.5〜2kg/cmの範囲が望ましい。
反応器の形式としては、特に制限はないが、通常、固定
床式の反応器が用いられる。
【0075】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。
【0076】実施例1 TiO2 −SiO2 を以下に述べる方法により調製し
た。チタン源として以下の組成を有する硫酸チタニルの
硫酸水溶液を用いた。 TiOSO4 (TiO2 換算) 250g/l 全H2 SO4 1,100g/l 別に、水1,000リットルにアンモニア水(NH3
5%)715リットルを添加し、これに30重量%のシ
リカゾル溶液60kgを加えた。得られた溶液中に上記
チタニルの硫酸水溶液382リットルを水750リット
ルに添加して希釈したチタン含有硫酸水溶液を攪拌下徐
々に滴下し、共沈ゲルを生成した。さらに、そのまま1
5時間放置して静置した。
【0077】このようにして得られたTiO2 −SiO
2 ゲルを濾過、水洗した後、乾燥し、次いで550℃で
6時間空気中で焼成した。
【0078】このようにして得られた粉体にメタバナジ
ン酸アンモニウムおよびパラタングステン酸アンモニウ
ムを含む溶液を成型助剤とともに加え、ニーダーで適量
の水をよく混合、混練した後、押出し成型機で150m
m角の格子状に成型した。次いで、乾燥した後、470
℃で5時間焼成して一体化構造触媒を得た。
【0079】得られた触媒中のV2 5 およびWO3
含有量はそれぞれ2重量%および7重量%であった。ま
た、得られたハニカム状触媒の貫通孔の相当直径は6m
m、セル肉厚は1,4mm、比表面積は130m/g
であった。
【0080】一方、10リットルのフラスコに、ZrO
2 として13重量%含有する市販の炭酸ジルコニルアン
モニウム水溶液13,000gを入れた。これに攪拌下
グリコール酸1,040gを徐々に添加した。この際無
臭性のガスが発生した。次いで、マントルヒーターによ
り該フラスコを加熱し加水分解反応を行った。反応温度
が50〜60℃からアンモニア臭のガスが発生し始め、
昇温するにつれ激しく発泡し、アンモニアや炭酸ガスの
ごとき、ゾル中の不要イオン類から生成するガスを系外
に排出しながら反応が進行した。反応液温度約100℃
で約3時間反応することにより発泡が鎮静し、フラスコ
中に適宜純水を追加しながらさらに12時間加熱を継続
し、ZrO2 として濃度15重量%で、pHが7、平均
粒子径60オングストロームのジルコニアゾルが得られ
た。
【0081】次ぎに、7×7セル角、150mmの長さ
に切出した触媒の端面より50mmの長さまで前記ジル
コニアゾル(ZrO2 として15重量%含有)に5分間
浸漬した後、150℃で5時間乾燥し、次いで400℃
で3時間焼成して目的とする強化触媒を調製した。該強
化触媒においてジルコニアとしての被覆量は、被覆部分
の重量に対して6重量%であった。
【0082】実施例2 実施例1において、ジルコニアゾルの代りに下記方法に
より調製したケイ酸ジルコニウムゾル(ZrSiO4
して15重量%含有)を使用した以外は実施例1と同様
にして、一体化構造触媒のガス入口側先端部にケイ酸ジ
ルコニウムゾルを被覆した強化触媒を調製した。該強化
触媒においてケイ酸ジルコニウムとしての被覆量は、被
覆部分の重量に対して6重量%であった。
【0083】(ケイ酸ジルコニウムゾルの調製)硝酸ジ
ルコニウム水溶液(ZrO2 として18重量%含有)3
kg、尿素0.3kgおよびシリカゾル0.877kg
(日産化学工業株式会社製、スノーテックス、SiO2
として30重量%含有)を混合し、さらに純水10リッ
トルを加えた。次いで、この水溶液を6時間加熱沸騰さ
せてケイ酸ジルコニウムゾルを得た。このゾルを冷却し
た後、限外濾過装置に通し、ZrSiO4 として15重
量%まで濃縮して平均粒子径100オングストロームの
上記ケイ酸ジルコニウムゾルを得た。
【0084】実施例3 実施例1で用いたジルコニアゾル(ZrO2 として15
重量%含有)400gにパラタングステン酸アンモニウ
ム7.76gを含有する10%モノエタノールアミン水
溶液40mlを添加し、ZrO2 :WO3 =9:1(重
量比)の組成比を有するタングステン含有ジルコニアゾ
ルを調製した。
【0085】以下、実施例1においてジルコニアゾルの
代りに上記タングステン含有ジルコニアゾルを使用した
以外は実施例1と同様にして強化触媒を得た。
【0086】実施例4 実施例3のタングステン含有ジルコニアゾルの調製にお
いて、ジルコニアゾルの代りにケイ酸ジルコニウムゾル
(ZrSiO4 として15重量%)は同様にしてZrS
iO4 :WO3 =9:1(重量比)の組成比を有するタ
ングステン含有ケイ酸ジルコニウムゾルを調製した。
【0087】以下、実施例1においてジルコニアゾルの
代りに上記タングステン含有ケイ酸ジルコニウムゾルを
使用した以外は実施例1と同様にして強化触媒を得た。
【0088】実施例5 実施例1において、ジルコニアゾルの代りに下記方法に
より調製したジルコニアゾルを使用した以外は実施例1
と同様にして、一体化構造触媒のガス入口側先端部にジ
ルコニアゾルを被覆した強化触媒を調製した。該強化触
媒においてジルコニアとしての被覆量は、被覆部分の重
量に対して12重量%であった。
【0089】(ジルコニアゾルの調製)ZrO2 として
18重量%の硝酸ジルコニウム水溶液30kgと尿素3
kgを純水200リットルに加えた。次いで該水溶液を
120℃の温度に加熱して透明性ジルコニアゾルを得
た。該ゾルを冷却後、ゾルを限外濾過装置に導き、Zr
2 として10重量%まで濃縮した。次いで該ゾルを真
空下50℃以下に保ちながら35℃の温度に加熱濃縮
し、25重量%で長期間安定な透明性ジルコニアゾルを
得た。得られたゾルのpHは1以下であり、ゾル中の粒
子の平均粒子径は20オングストロームであった。
【0090】実施例6 実施例1において、ジルコニアゾルの代りに市販のジル
コニアゾル(日産化学工業株式会社、ZrO2 として3
0重量%含有、平均粒子径約700オングストローム)
を使用した以外は実施例1と同様にして、一体化構造触
媒のガス入口側先端部にジルコニアゾルを被覆した強化
触媒を調製した。該強化触媒においてジルコニアとして
の被覆量は、被覆部分の重量に対して14重量%であっ
た。
【0091】比較例1 実施例1において、ジルコニアゾルの代りにシリカゾル
(日産化学工業株式会社製、スノーテックス、SiO2
として15重量%含有)を使用した以外は実施例1と同
様にして強化触媒を得た。
【0092】比較例2 実施例1において、ジルコニアゾルの代りにチタニアゾ
ル(石原産業株式会社製、NS−200、TiO2 とし
て10重量%含有)を使用した以外は実施例1と同様に
して強化触媒を得た。
【0093】実施例7 実施例1〜6および比較例1〜2の触媒、ならびに実施
例1で調製した一体化構造触媒で強化処理をしていない
触媒について、以下に示す方法で摩耗率と脱硝率とを測
定し、その結果を表1に示した。
【0094】(摩耗率の測定)各触媒から強化処理を施
した部分(7×7セル×50mm長さ)を切出し、テス
ト用触媒サンプルとした。この触媒サンプルの貫通孔内
に50g/mの濃度の石炭フライアッシュを含む空気
を35m/sec(触媒断面当り)のガス流量で常温に
て30分間導入することにより強制摩耗試験を行い、下
記式にしたがって摩耗率を算出した。
【0095】
【数1】
【0096】(脱硝率の測定)上記と同様にして得たテ
スト用触媒サンプル(3×3セル×150mm長さ)を
溶融塩に浸漬した内径38.8mmのステンレス製反応
管に充填した。この反応管に下記組成の合成ガスを導入
した。反応管の入口および出口ガスのNOx濃度を柳本
製作所化学発光式NOx計(ECL−77A型)により
測定し、次式に従って脱硝率を算出した。
【0097】
【数2】
【0098】反応ガス条件 温度 380℃ 空間速度 10,000hr-1 NH3 /NOxモル比 1.0 ガス組成 NOx 500ppm O2 4容量% SO2 200ppm H2 O 10容量% N2 残り
【0099】
【表1】
【0100】表1の結果から、本発明の触媒は、摩耗強
度が著しく向上しているうえに、脱硝活性も無処理の触
媒に比較してほとんど変わらないことが理解される。
【0101】
【発明の効果】本発明の触媒は、触媒の入口側の先端部
をジルコニアゾルまたはケイ酸ジルコニウムゾルで被覆
してあるので、触媒活性の低下を伴うことなく摩耗強度
が著しく向上されている。
【0102】すなわち、本発明の触媒は、排ガス中のダ
ストに対して優れた対摩耗性を示すとともに被覆以前の
触媒とほぼ同等の触媒活性を示すものである。
【0103】したがって、本発明の触媒は、排ガスの処
理用触媒として極めて有用なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 35/04 ZAB 8017−4G

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一体成形されたチタン含有多孔性脱硝触
    媒のガス入口側先端部を、ジルコニアゾルおよびケイ酸
    ジルコニウムゾルよりなる群から選ばれた少なくとも1
    種のゾルにより被覆し、乾燥および/または焼成してな
    る排ガス処理用触媒。
  2. 【請求項2】 該ジルコニアゾルまたはケイ酸ジルコニ
    ウムゾル中の粒子の平均粒子径が400オングストロー
    ム以下である請求項1に記載の触媒。
  3. 【請求項3】 該ジルコニアゾルが酸性ジルコニアゾル
    および中性ないし塩基性ジルコニアゾルよりなる群から
    選ばれた少なくとも1種のものである請求項1に記載の
    触媒。
  4. 【請求項4】 該ジルコニアゾルまたはケイ酸ジルコニ
    ウムゾルがタングステン化合物を含有する請求項1に記
    載の触媒。
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