JP2003080070A - 炭化水素改質触媒及びその製造方法 - Google Patents

炭化水素改質触媒及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐酸化性が向上し、使用制限を軽減できるとと
もに、固体酸量を制御して反応選択性を維持しコーキン
グを抑制することで、耐久性向上を実現しうることを課
題とする。 【解決手段】液系炭化水素化合物の改質により水素を製
造する際に使用される炭化水素改質触媒において、二酸
化ジルコニウムに酸化亜鉛あるいはアルミナ,シリカ,
チタニア,セリア等の酸化物を複合化して得られる塩基
性担体に、ルテニウムを貴金属と合金化することにより
得られる合金を活性種として含有させたことを特徴とす
る炭化水素改質触媒。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガソリン、ナフ
サ、灯油、軽油等の炭化水素化合物を改質して水素を製
造する際に使用される炭化水素改質触媒及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】周知の如く、炭化水素を水蒸気によって
改質する反応は、合成ガスあるいは水素を製造するため
の反応として知られている。従来、この反応には、一般
に、Ni/Al系触媒が用いられているが、炭素
の析出(コーキング)が起こるという問題があった。
【0003】そこで、このコーキングを回避するため
に、上記反応にはRu系触媒が提案されている(特開平
7−88376等)。しかし、Ru系触媒は還元状態で
高性能を発揮するため、還元処理が必要とされる、ま
た、Ru系触媒は容易に酸化されるため、大気暴露がで
きない等の使用制約がある。更に、従来のRu系触媒は
反応選択性向上のため、CaO、MgO等の塩基性物質
を混合するが、水蒸気改質時に徐々に溶出するため性能
低下の一因と考えられている。更には、家庭用固体高分
子型燃料電池(PEFC)用のプラント等での使用を目
的とした場合、反応温度が650〜850℃と高温なた
め安全性面で不安があるとともに、起動時間がかかると
いう問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情を考
慮してなされたもので、二酸化ジルコニウムに酸化亜鉛
あるいはアルミナ,シリカ,チタニア,セリア等の酸化
物を複合化して得られる塩基性担体に、ルテニウムを貴
金属と合金化することにより得られる合金を活性種とし
て含有させたことにより、耐酸化性を向上し使用制限を
軽減できるとともに、担体塩基性付与効果により固体酸
量を制御して反応選択性を維持し、耐久性向上を実現し
うる炭化水素改質触媒を提供することを目的とする。
【0005】また、本発明は、液系炭化水素化合物の改
質により水素を製造する際に使用される炭化水素改質触
媒を製造する方法において、前駆体としてのハイドロタ
ルサイト構造体を調製する工程と、二酸化ジルコニウム
に酸化亜鉛あるいはアルミナ,シリカ,チタニア,セリ
ア等の酸化物を複合化した塩基性担体に、ルテニウムに
貴金属を合金化したルテニウム合金活性種を、アルコー
ル還元法により坦持させる工程と、焼成する工程とを具
備することにより、400〜650℃程度で炭化水素化
合物を改質することができ、従来と比べ短時間起動を実
現できると共に安全性の点で優れた炭化水素改質触媒の
製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願第1の発明は、液系
炭化水素化合物の改質により水素を製造する際に使用さ
れる炭化水素改質触媒において、二酸化ジルコニウムに
酸化亜鉛あるいはアルミナ,シリカ,チタニア,セリア
等の酸化物を複合化して得られる塩基性担体に、ルテニ
ウムを貴金属と合金化することにより得られる合金を活
性種として含有させたことを特徴とする炭化水素改質触
媒である。
【0007】本願第2の発明は、液系炭化水素化合物の
改質により水素を製造する際に使用される炭化水素改質
触媒を製造する方法において、前駆体としてのハイドロ
タルサイト構造体を調製する工程と、二酸化ジルコニウ
ムに酸化亜鉛あるいはアルミナ,シリカ,チタニア,セ
リア等の酸化物を複合化した塩基性担体に、ルテニウム
に貴金属を合金化したルテニウム合金活性種を、アルコ
ール還元法により坦持させる工程と、焼成する工程とを
具備することを特徴とする炭化水素改質触媒の製造方法
である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の炭化水素改質触媒
及びその製造方法について更に詳しく説明する。本発明
の炭化水素改質触媒において、担体としては二酸化ジル
コニウム(ZrO)に酸化亜鉛(ZnO)あるいはア
ルミナ(Al),シリカ(SiO ),チタニア
(TiO),セリア(CeO)等の酸化物を複合化
した塩基性担体を用いる。これにより、担体固体酸量を
制御し、高反応選択性触媒として長時間耐久性のある担
体にすることができる。また、活性種としては、ルテニ
ウム(Ru)にPd,Pt,Mo等の貴金属をアルコー
ル還元法により合金化して得られた合金を用いる。これ
により、常にRu金属状態を保ち、従来のようなRu系
触媒のように使用制限を軽減できるとともに、長時間耐
久性のある活性種にすることができる。従って、本発明
に係る炭化水素改質触媒によれば、耐酸化性が向上し、
使用制限が軽減されると共に、固体酸量を制御すること
で反応選択性を維持しコーキングを抑制することで、耐
久性向上を実現することができる。
【0009】本発明方法において、前記塩基性担体はハ
イドロタルサイト構造体を前駆体として調製した担体を
用いることが好ましい。ここで、前駆体のハイドロタル
サイト構造体とは、例えばジルコニアと亜鉛の組み合わ
せでは、Zr(CO)x(OH)y・Zn(CO
z(OH)sのような示性式を持つ物質を意味する。こ
れらを焼成することで、ZrZnOの酸化物がアモル
ファス状に高表面積酸化物状態を維持する。例えば、Z
rO(NOとZn(NOを混合して焼成し
ただけでは焼成後の酸化物の表面積はもちろんジルコニ
アと亜鉛の混合状態も低い。
【0010】本発明方法によれば、400〜650℃程
度で炭化水素化合物を改質できるので、家庭用PEFC
用のプラント等での使用を目的とした場合、従来と比べ
短時間での起動を実現できるとともに、安全性にも優れ
た触媒を得ることができる。
【0011】また、ハイドロタルサイト構造体を前駆体
として調製し、前記ハイドロタルサイト構造体を焼成す
ることにより、二酸化ジルコニウムに酸化亜鉛あるいは
アルミナ,シリカ,チタニア,セリア等の酸化物を塩基
性の複合酸化物にでき、更に高表面積化が可能である。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。な
お、下記実施例で述べる材料や数値等は一例を示すもの
で、本発明の権利範囲はこれにより限定されるものでは
ない。
【0013】(実施例) (1)まず、硝酸Ru溶液からRu3g相当量の溶液と
硝酸Pd溶液からRuに対し同モル量のPd3.15g
を秤量し、(1N)NaOHaqで中和した。なお、R
uは0.1〜10wt%の範囲であればよく、Pdの量
はRu量に対して0.1〜10倍のモル量であればよ
い。また、Pd以外にも、Pt(塩化白金酸溶液を用い
る)やRh(硝酸ロジウム溶液)を用いてもよい。
【0014】(2)次に、(0.5N)NaCO
qを3.5L(リットル)上記(1)の溶液に加えた。
なお、NaCOaqの濃度は0.01〜20Nの範
囲でもよい。 (3)次に、硝酸亜鉛6水和物(Zn(NO・6
O)136.45gとオキシ硝酸ジルコニル(Zr
O(NO・2HO)122.58gを蒸留水に
溶解し、500mlに調製した硝酸塩溶液を上記(2)
の溶液に滴下した。なお、硝酸亜鉛6水和物とオキシ硝
酸ジルコニルは1:1のモル比で加えているが、0.1
〜10:0.1〜10のモル比で加えても良い。
【0015】(4)次に、滴下終了後、液温を60℃に
昇温し、上記(3)の溶液にアルコール800gを徐々に
加え、24時間保温及び攪拌すると、徐々に還元が進み
微粒子のRu−Pd合金が生成した。なお、液温は40
〜80℃の範囲であればよい。その後、沈殿物を濾過し
濾液がpH=7になるまで蒸留水で洗浄した。
【0016】(5)洗浄後、110℃で12時間乾燥
し、粉砕後、500℃で3時間焼成した。なお、焼成温
度は400〜800℃の範囲で、焼成時間1〜10hの
範囲でればよい。
【0017】以上の操作により、Ru−Pd/ZnO−
ZrO触媒が100g調製できる。調製された触媒の
固体酸量の評価は、特に本触媒の場合、塩基性を示す
為、COを用いた昇温脱離法により評価する。また、
ハイドロタルサイト構造を前駆体とした担体調製法を用
い、更にアルコール還元法を用いることにより、担体の
高表面積を維持したまま、活性種であるRu−Pd合金
を坦持できるため、高表面積が生成し触媒活性が高い。
【0018】(比較例1) (1)まず、(0.5N)NaCOaqを3.5L
丸底フラスコに加えた。なお、濃度は0.01〜20の
範囲でもよい。 (2)次に、硝酸亜鉛6水和物(Zn(NO・6
O)136.45gとオキシ硝酸ジルコニル(Zr
O(NO・2HO)122.58gを蒸留水に
溶解し、500mlに調製した硝酸塩溶液を上記(1)
の溶液に滴下した。なお、硝酸亜鉛6水和物とオキシ硝
酸ジルコニルは1:1のモル比で加えているが、0.1
〜10:0.1〜10のモル比で加えても良い。
【0019】(3)滴下終了後、液温を40℃で12時
間保温及び攪拌により沈殿物を熟成させた。その後、沈
殿物を濾過し、濾液がpH=7になるまで蒸留水で洗浄
した。 (4)洗浄後、110℃で12時間乾燥し、粉砕後、5
00℃で3時間焼成した。なお、焼成温度は400〜8
00℃の範囲で、焼成時間1〜10時間の範囲であれば
よい。
【0020】(5)次に、硝酸Ru溶液(Ru3g相当
量の溶液)と硝酸Pd溶液(Ruに対し同モル量の3.
15g相当量の溶液を混合し、その溶液を(1N)Na
OHaqで中和した。なお、Ruは0.1〜10wt%
の範囲であればよく、Pdの量はRu量に対して0.1
〜10倍のモル量であればよい。また、Pd以外にも、
Pt(塩化白金酸溶液を用いる)やRh(硝酸ロジウム
溶液)を用いてもよい。
【0021】(6)次に、上記(5)の溶液を上記
(4)で得られた粉体に混ぜ、スラリー状の液体を16
0℃のホットプレート上で蒸発乾固させた。なお、蒸発
乾固の温度は100〜250℃の範囲でもよい。 (7)次に、上記(6)で得られた粉体を蒸留水で濾過
洗浄し、Naイオンが1ppm以下で濾液がpH=7に
なるまで洗浄した後、110℃で12時間乾燥し、粉砕
後500℃で3時間焼成した。ここで、焼成温度は40
0〜800℃の範囲、焼成時間は1〜10時間の範囲で
あればよい。以上の操作により、Ru−Pd/ZnO−
ZrO触媒が100g調製できた。
【0022】(比較例2) (1)まず、(0.5N)NaCOaqを3.5L
丸底フラスコに加えた。なお、濃度は0.01〜20の
範囲でもよい。 (2)次に、硝酸亜鉛6水和物(Zn(NO・6
O)136.45gとオキシ硝酸ジルコニル(Zr
O(NO・2HO)122.58gを蒸留水に
溶解し、500mlに調製した硝酸塩溶液を上記(1)
の溶液に滴下した。なお、硝酸亜鉛6水和物とオキシ硝
酸ジルコニルは1:1のモル比で加えているが、0.1
〜10:0.1〜10のモル比で加えてもよい。
【0023】(3)滴下終了後、液温を40℃で12時
間保温及び攪拌により沈殿物を熟成させた。その後、沈
殿物を濾過し、濾液がpH=7になるまで蒸留水で洗浄
した。 (4)洗浄後、110℃で12時間乾燥し、粉砕後、5
00℃で3時間焼成した。なお、焼成温度は400〜8
00℃の範囲で、焼成時間1〜10時間の範囲であれば
よい。
【0024】(5)次に、硝酸Ru溶液(Ru3g相当
量の溶液)と硝酸Pd溶液(Ruに対し同モル量の3.
15g相当量の溶液を混合し、上記(4)で得られた粉
体に混ぜ、スラリー状の液体を160℃のホットプレー
トで蒸発乾固させた。なお、Ruは0.1〜10wt%
の範囲であればよく、Pdの量はRu量に対して0.1
〜10倍のモル量であればよい。また、Pd以外にも、
Pt(塩化白金酸溶液を用いる)やRh(硝酸ロジウム
溶液)を用いてもよく、ホットプレートの温度は100
〜250℃の範囲で蒸発乾固させてもよい。
【0025】(6)次に、上記(5)で得られた粉体を
蒸留水で濾過洗浄し、濾液がpH=7になるまで洗浄し
た後、110℃で12時間乾燥後、粉砕し500℃で3
時間焼成した。ここで、焼成温度は400〜800℃の
範囲、焼成時間は1〜10時間の範囲であればよい。以
上の操作により、Ru−Pd/ZnO−ZrO触媒が
100g調製できた。
【0026】上記各実施例と比較例1,2により得られ
た触媒の物性(比表面積、塩基性度)は、下記表1のと
おりである。
【0027】
【表1】
【0028】また、上記実施例1により得られた触媒及
び従来触媒の温度(℃)と転化率(%)との関係を調べ
たところ、図1に示す結果が得られた。また、同様にし
て、温度を一定(750℃)にして時間(h)と転化率
(%)との関係を調べたところ、図2に示す結果が得ら
れた。図1より本発明の触媒が従来の触媒に比べて温度
変化に対する(炭化水素から水素への)転化率が高いこ
とが明らかである。また、図2より、従来の場合、時間
の経過と共に転化率が低下するのに対し、本発明の時間
が経過しても転化率がほとんど低下しないことが明らか
である。以上より、本発明が従来と比べ優れていること
が明らかである。
【0029】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、二
酸化ジルコニウムに酸化亜鉛あるいはアルミナ,シリ
カ,チタニア,セリア等の酸化物を複合化して得られる
塩基性担体に、ルテニウムを貴金属と合金化することに
より得られる合金を活性種として含有させたことによ
り、耐酸化性が向上し、使用制限を軽減できるととも
に、固体酸量を制御して反応選択性を維持しコーキング
を抑制することで、耐久性向上を実現しうる炭化水素改
質触媒を提供できる。
【0030】また、本発明によれば、二酸化ジルコニウ
ムに酸化亜鉛あるいはアルミナ,シリカ,チタニア,セ
リア等の酸化物を複合化して塩基性担体を調製した後、
ルテニウムに貴金属を合金化したルテニウム合金活性種
を、前記塩基性担体にアルコール還元法により坦持させ
ることにより、400〜650℃程度で炭化水素化合物
を改質することができ、従来と比べ短時間起動を実現で
きると共に安全性の点で優れ、特に家庭用PEFC用の
プラント等での使用を目的とした場合に有用な炭化水素
改質触媒の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明及び従来の触媒による温度と転化率との
関係を示す特性図。
【図2】温度が一定の場合における本発明及び従来の触
媒による時間と転化率との関係を示す特性図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野島 繁 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 安武 聡信 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 Fターム(参考) 4G040 EA04 EA06 EC03 4G069 AA03 AA08 BA01A BA02A BA04A BA05A BA05B BA20A BA47A BB02A BB02B BB06A BB06B BC43A BC51A BC51B BC69A BC70A BC70B BC71A BC72A BC72B BC75A CC17 EA02Y EC02Y FA01 FA02 FB09 FB14 FB46

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液系炭化水素化合物の改質により水素を
    製造する際に使用される炭化水素改質触媒において、二
    酸化ジルコニウムに酸化亜鉛あるいはアルミナ,シリ
    カ,チタニア,セリア等の酸化物を複合化して得られる
    塩基性担体に、ルテニウムを貴金属と合金化することに
    より得られる合金を活性種として含有させたことを特徴
    とする炭化水素改質触媒。
  2. 【請求項2】 液系炭化水素化合物の改質により水素を
    製造する際に使用される炭化水素改質触媒を製造する方
    法において、前駆体としてのハイドロタルサイト構造体
    を調製する工程と、二酸化ジルコニウムに酸化亜鉛ある
    いはアルミナ,シリカ,チタニア,セリア等の酸化物を
    複合化した塩基性担体に、ルテニウムに貴金属を合金化
    したルテニウム合金活性種を、アルコール還元法により
    坦持させる工程と、焼成する工程とを具備することを特
    徴とする炭化水素改質触媒の製造方法。
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