JPH0691275A - 高アルカリ廃水の中和処理方法 - Google Patents

高アルカリ廃水の中和処理方法

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JPH0691275A
JPH0691275A JP26939392A JP26939392A JPH0691275A JP H0691275 A JPH0691275 A JP H0691275A JP 26939392 A JP26939392 A JP 26939392A JP 26939392 A JP26939392 A JP 26939392A JP H0691275 A JPH0691275 A JP H0691275A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 強酸液を用いることなく、安全かつ効率的に
廃棄可能な状態にpH調整することができる高アルカリ
廃水の中和処理方法を提供する。 【構成】 次の2段階工程を順次に施す高アルカリ廃水
の中和処理方法。 (1) 高アルカリ廃水に硫酸水素ナトリウムを融解固化し
た粉末状固体酸を添加してpHを10〜11の範囲に制
御する第1次pH調整工程。 (2) 第1次pH調整工程後の廃水を炭酸ガスもしくは炭
酸水により中和処理してpH7近傍に制御する第2次p
H調整工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高アルカリ廃水の中和
処理方法に係り、特に高アルカリ性の産業廃水を安全か
つ効率的に中和処理するために有効な処理方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、高アルカリ溶液の中和手段として
は、塩酸、硫酸などの強酸を添加する手法が一般的な処
理方法とされている。この強酸による中和処理は、少量
の酸で急速に中和し得る利点はあるものの、操作の安全
性に問題があるうえ、処理液のpHを7近傍の中和点に
制御することが現場管理面から極めて困難であった。
【0003】これらの問題点を解決する手段として、炭
酸ガスによる中和処理が実用化されているが、炭酸ガス
とアルカリ処理液との接触効率が悪いため経済的な方法
とはいえない。このため、pH11.5前後までの一次
中和処理を予め硫酸などの強酸を用いておこない、つい
でpH7付近の二次中和を炭酸ガスでおこなう2段階の
処理方法が提案されている(特開昭52−142860号公報、
特開昭62−258793号公報) 。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のような強酸液と
炭酸ガスとによる2段階中和方法は、高アルカリ廃水な
どを経済的かつ合理的に処理するために優れた方法とい
える。しかしながら、一次中和処理に強酸液を用いてい
るため、処理現場の安全面からは基本的に従前の方法と
同様に危険性がある。また、炭酸ガスを導入する場合、
中性付近になればなるほど廃液に対する吸収効率が低く
なるのみならず、通常の気液接触装置を用いた炭酸ガス
の導入では気液接触効率が不充分となる関係で、炭酸ガ
ス導入の経済性は非常に低いものとなる。
【0005】本発明は、このような従来技術の問題点を
解消するためになされたもので、その目的は、強酸液を
用いることなく、安全かつ効率的に廃棄可能な状態に中
和処理することができる高アルカリ廃水の中和処理方法
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による高アルカリ廃水の中和処理方法は、高
アルカリ廃水に硫酸水素ナトリウムを融解固化した粉末
状固体酸を添加して前記高アルカリ廃水のpHを10〜
11の範囲に制御する第1次pH調整工程と、ついで第
1次pH調整工程後の廃液を炭酸ガスもしくは炭酸水に
より中和処理してpH7近傍に制御する第2次pH調整
工程を順次に施すことを構成上の特徴とするものであ
る。
【0007】第1次pH調整工程における中和処理に
は、硫酸水素ナトリウムを融解固化して得られる白色小
粒子状の固体酸が用いられる。一般に粒子状の硫酸水素
ナトリウムは晶析法によって得られるが、このものは潮
解性が大きいため、現場での取扱いが著しく困難となっ
て実用に供し難い。したがって、これを溶融固化して結
晶粒子に変性し、運搬、貯蔵およびハンドリングの過程
で安全かつ容易に取扱うことができる粉末として使用に
供する。
【0008】本発明の第1次pH調整工程は、上記の粉
末状固体酸を高アルカリ廃水に添加溶解させてpHを1
0〜11の範囲に制御する処理段階である。pHの制御
範囲を10〜11に設定する理由は、通常、アルカリ液
の中和は前記のpH範囲内に変曲点があり、この範囲を
外れると第2次pH調整工程において炭酸ガスもしくは
炭酸水の使用量が多くなったり、pH制御が困難になる
など処理の効率性、経済性などが損なわれるためであ
る。
【0009】第2次pH調整工程は、第1次pH調整工
程後の廃水を炭酸ガスもしくは炭酸水を用いて中和処理
してpHを7近傍に制御する段階である。この処理は、
廃水に炭酸ガスを接触させるか、炭酸水を溶解させる方
法によっておこなわれるが、炭酸ガスを用いる場合に
は、その接触効率を高めるために極微小気泡が発生する
機構の気液混合機を用いて炭酸ガスを強制吸収させる方
法を適用することが好ましい。この種の気液混合機には
多様のタイプがあるが、本発明の目的には、通気パイプ
を兼ねた回転軸とその軸の下部に取付けたインペラーと
該インペラーの背面部に複数の気体噴出孔が穿設された
構造の自吸式撹拌型気液混合機が好適に用いられる。か
かる自吸式撹拌型気液混合機は、例えば特開昭59−1605
16号公報、特開昭59−203693号公報、特開昭59−203694
号公報、特開昭60−114331号公報などに記載されてい
る。
【0010】上記の第1次pH調整工程および第2次p
H調整工程は順次に施されるが、これらの工程は図1
(略断面系統図)に例示した中和処理装置を適用して連
続的に処理することができる。図1において、1は高ア
ルカリ廃水貯槽、2は第1次pH調整器、3は粉末状固
体酸ホッパー、4は第1次中和処理液槽、5は自吸式撹
拌型気液混合機、6は第2次pH調整器、そして7はp
H計である。
【0011】まず、工場等で排出された高アルカリ廃液
は高アルカリ廃水貯槽1から移送ポンプ8により定量的
に第1次pH調整器2に送液される。第1次pH調整器
2としては、図示のようにはサイクロン型の円錐筒体状
を呈しており、高アルカリ廃水は上側部から導入されて
旋回して渦流を形成しながら下部へ流下する機構に設計
することが好ましい。第1次pH調整器2には、上部に
設置された粉末状固体酸ホッパー3からバルブ9を介し
て硫酸水素ナトリウムを融解固化した粉末状固体酸が定
量的に供給される。粉末状固体酸が供給されると、高ア
ルカリ廃水が旋回流下する間に速やかに溶解されてpH
が降下する。この際、高アルカリ廃水の送液量と粉末固
体酸の供給量とを調整して処理後のpHが10〜11の
範囲になるように制御する。このようにpH調整された
廃水は、第1次中和処理液槽4に受けられる。
【0012】第1次中和処理液槽4の廃水は、ついで移
送ポンプ10によりバルブ11、12を介して第2次pH調整
器6に槽底から送入される。この第2次pH調整器6に
は、炭酸ガスの導入と液撹拌を同時におこなう機能を持
つ自吸式撹拌型気液混合機5が設置されており、炭酸ガ
スは流量コントロール弁13を経て前記自吸式撹拌型気液
混合機5の噴出孔から廃水中に噴出される。この段階で
炭酸ガスは廃水と気液接触し、廃水はpH7近傍に中和
処理される。この際、pH計7と前記の流量コントロー
ル弁13を連動させ、第2次pH調整器6内の液pHの変
動に応じて炭酸ガス導入量をコントロールする機構に設
計するとpH制御に便宜となる。
【0013】好ましい自吸式撹拌型気液混合機5の具体
的構造は、図2に示すように通気パイプを兼ねる筒状の
回転軸14の頂部に回転用モーター15、下部に複数片のイ
ンペラー16を備え、回転軸14の回転用モーターに近い部
位には複数個のガス取入孔17が、またインペラー16の背
面部に複数のガス噴出孔18が穿設された構造のものであ
る。この構造では、回転用モーター15を作動させるとイ
ンペラー16の回転方向の背面に当たる液体中に負圧が生
じ、この作用でガス取入孔17から回転軸14内に流入した
炭酸ガスがガス噴出孔18を介して自給的に渦流中に噴出
される。噴出した炭酸ガスは渦流による撹拌作用とイン
ペラーの剪断力とにより廃水中で微細な気泡となり、極
めて効率的な気液接触が生じて急速かつ円滑にpH7近
傍の中和処理が完了する。
【0014】このようにして2段階の中和処理を施した
廃水は、pHが7近傍になっているため、後処理を施す
ことなくそのまま系外の下水路等に廃棄することができ
る。
【0015】
【作用】本発明によれば、第1次pH調整工程において
硫酸水素ナトリウムを融解固化した粉末状固体酸を中和
剤とするpH調整がおこなわれる。この段階では従来技
術のように危険性が高く、取扱い難い強酸液は一切使用
していないから、安全かつ容易な操作により処理を進行
させることができる。また、pH調整範囲が10〜11
に設定されているから、後工程において廃水基準に到達
させるに要する中和処理用の炭酸ガス量を少量に留める
ことができる。
【0016】第2次pH調整工程では炭酸ガスもしくは
炭酸水を用いて中和処理がおこなわれるが、処理対象と
なる廃水は第1次pH調整工程で予めpH10〜11の
範囲まで下げらているから、少量の炭酸成分によりpH
7近傍まで効率よく中和処理することができる。この
際、炭酸ガスを用いて自吸式撹拌型気液混合機で処理す
ると気液接触が急速に進行し、最小限の炭酸ガス量で経
済的に中和処理が完了する。
【0017】このような2段階による処理作用が相乗し
て、pH12を越える高アルカリ廃水を常に安全かつ短
時間内に廃棄可能な状態に中和処理することが可能とな
る。
【0018】
【実施例】図1に示した連続的な2段階中和処理装置を
設置し、第2次pH調整器には図2に示す自吸式撹拌型
気液混合機〔(株)MTエンジニアリング製、“ミクロ
トロン”、日本化学工業(株)販売〕を装着した。この
装置を用い、高アルカリ廃水貯槽1からpH12.5の
高アルカリ廃水を100l/min の流速で第1次pH調整
器2に送液し、同時に粉末状固体酸ホッパー3から硫酸
水素ナトリウムを融解固化した固体酸粉末〔日本化学工
業(株)製、“アシッドDS”〕を0.518kg/minの
供給速度で第1次pH調整器2に導入した。導入した固
体酸粉末は高アルカリ廃水が渦流として流下する過程で
円滑に溶解し、pH10.4に制御された廃水として第
1次中和処理液槽4に補集された。
【0019】ついで、このようにして第1次pH調整工
程を施された廃水を100l/min の流速で第2次pH調
整器6に移送し、自吸式撹拌型気液混合機5を作動させ
て廃水中に炭酸ガスを71l/min の送入速度で噴出させ
た。炭酸ガスはインペラー16の回転撹拌力と剪断作用に
より微細な気泡となって効果的に気液接触し、最終的に
廃水はpHは7.2に中和された。したがって、そのま
ま下水路に放流することができた。
【0020】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば高アルカ
リ廃水を硫酸水素ナトリウムを融解固化した粉末状固体
酸で処理する第1次pH調整工程と炭酸ガスまたは炭酸
水で処理する第2次pH調整工程を順次に施すことによ
り、常に安全かつ容易な操作で廃棄可能な状態に中和処
理することができる。更に、第2次pH調整工程の中和
剤として炭酸ガスを用い、これを簡便な自吸式撹拌型気
液混合機を用いて気液接触させると、最少限のガス消費
量で効率よく中和処理することができるから経済性の点
で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用する連続的な高アルカリ廃水の中
和処理装置を例示した略断面系統図である。
【図2】第2次pH調整工程で炭酸ガスを使用する際に
用いる好ましい自吸式撹拌型気液混合機の具体的構造を
示した斜視図である。
【符号の説明】
1 高アルカリ廃水貯槽 2 第1次pH調整器 3 粉末状固体酸ホッパー 4 第1次中和処理液槽 5 自吸収撹拌型気液混合機 6 第2次pH調整器 7 pH計 8 移送ポンプ 9 ロータリーバルブ 10 移送ポンプ 11 バルブ 12 バルブ 13 流量コントロール弁 14 回転軸 15 回転用モーター 16 インペラー 17 ガス取入孔 18 ガス噴出孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三好 栄治 東京都江東区亀戸9丁目15番1号 日本化 学工業株式会社研究開発本部内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高アルカリ廃水に硫酸水素ナトリウムを
    融解固化した粉末状固体酸を添加して前記高アルカリ廃
    水のpHを10〜11の範囲に制御する第1次pH調整
    工程と、ついで第1次pH調整工程後の廃水を炭酸ガス
    もしくは炭酸水により中和処理してpH7近傍に制御す
    る第2次pH調整工程を順次に施すことを特徴とする高
    アルカリ廃水の中和処理方法。
  2. 【請求項2】 炭酸ガスによる第2次pH調整工程を、
    通気パイプを兼ねた回転軸とその軸の下部に取付けたイ
    ンペラーと該インペラーの背面部に複数の気体噴出孔を
    穿設した自吸式撹拌型気液混合機を用いておこなう請求
    項1記載の高アルカリ廃水の中和処理方法。
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