JPH0688090A - 油脂の精製方法 - Google Patents

油脂の精製方法

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JPH0688090A
JPH0688090A JP26280392A JP26280392A JPH0688090A JP H0688090 A JPH0688090 A JP H0688090A JP 26280392 A JP26280392 A JP 26280392A JP 26280392 A JP26280392 A JP 26280392A JP H0688090 A JPH0688090 A JP H0688090A
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JP
Japan
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oil
enzyme
phospholipid
phospholipids
oils
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JP26280392A
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Takashi Yagi
隆 八木
Masakazu Higure
正和 日暮
Hiroko Tsuruoka
裕子 鶴岡
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Showa Sangyo Co Ltd
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Showa Sangyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 油脂の精製工程中、「ソーダ油さい」等
の多量の産業廃棄物及び洗浄水として多量の排水を排出
する脱酸工程を必要としない、経済的な精製法を確立す
る。 【構成】 本発明の上記課題は、リン脂質含量が 1
0,000ppm以下である油脂を、リン脂質のグリセリンと脂
肪酸のエステル結合を分解する活性を有する固定化酵素
に接触させることにより達成された。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、油脂の精製方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】食用油脂の製造工程で油脂原料から圧搾
した油、もしくはヘキサン等の有機溶剤で抽出し、溶剤
を除去して得た油(以下これらを「粗原油」と総称す
る)には、リン脂質を主体とするガム質、遊離の脂肪
酸、色素、有臭成分等の不純物が含まれているので、精
製工程においてこれらを除去する必要がある。このた
め、通常の精製に当たっては、その第1段階で粗原油に
温水を加えてリン脂質を水和、析出させ、遠心分離等に
よりこれを除去する脱ガム工程を行い、次いで遊離脂肪
酸をアルカリで中和除去する脱酸工程、クロロフィル等
の色素等を活性白土等の吸着剤で吸着除去する脱色工
程、有臭成分を高温真空下で蒸留除去する脱臭工程を経
て、製品油とするのが一般的である。
【0003】製品油中へのリン脂質の残存は、加熱によ
る着色、異臭の発生、加熱安定性の劣化等の様々な不都
合を引き起こすので、製品油中のリン脂質含量は数十pp
m 程度以下に抑えることが必要であり、通常の商品では
10ppm 以下のものが殆どである。このため、原料に由来
するリン脂質含量の多い大豆、菜種等の一般の油糧種子
を原料とする油脂では、リン脂質を除去するために上記
脱ガムと脱酸工程を組み合わせた処理が必須とされてい
た。しかしながら、特にこの脱酸工程では、油を多量に
含む脂肪酸のアルカリ塩、いわゆる「ソーダ油さい」が
発生し、その多くを産業廃棄物と処理しなければならな
いことに加え、更に処理油中に残存する石鹸分を除去す
るため多量の洗浄水を必要とすることから、排水の処理
にも多大な負荷を強いるものであった。
【0004】これに対し、脱酸工程の省略が可能な精製
方法として、粗原油をホスホリパーゼA活性を有する酵
素で処理する方法が、特願平1-196863号(特開平2-15399
7号)として提案されている。しかし、特願平1-196863号
に記載された発明では、被処理油と酵素水溶液とを反応
させる際、酵素液量を少なくすると使用する酵素量は節
約できるものの反応に長時間を要し、逆に、酵素液量を
多量に添加すると短時間で処理できるものの、酵素必要
量が多くなり、更に多量の廃水が発生するという問題が
あった。また、この方法では、製油工程で要求される脱
色油中のリン脂質含量10ppm 以下を実現するには至らな
かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、被処理
油中のリン脂質を穏和な条件で効率よく分解除去するこ
とにより以上の問題を解決し、更に経済性(酵素コスト
の低減、水洗水の節約)並びに油脂の品質面(安定性
等)からも有利な油脂の精製方法を開発すべく鋭意研究
を行った結果、本発明を完成するに至った。
【0006】
【問題を解決するための手段】本発明の上記課題は、下
記の手段により解決された。すなわち、リン脂質含量が
10,000ppm以下である油脂を、リン脂質のグリセリンと
脂肪酸のエステル結合を分解する活性を有する固定化酵
素に接触させることを特徴とする油脂の精製方法、であ
る。以下、本発明をより具体的に説明する。
【0007】本発明の対象となる油は、通常、リン脂質
を100〜10,000ppm程度含有する食用の未精製油である。
油脂の起源は、大豆、菜種、トウモロコシ胚芽等、食用
として使用されうる植物油脂ならその種類を問わない。
大豆、菜種等の油糧種子から圧搾、あるいはn−ヘキサ
ン等の有機溶剤で抽出して得た粗原油は、そのままでは
リン脂質含量が高いので、本発明法に先立ち、通常の脱
ガム工程あるいは特願平1-196863号に開示された酵素処
理法等、公知の方法でリン脂質含量が上記範囲となるよ
う前処理を行う必要がある。
【0008】本発明に使用する酵素は、油脂中に含まれ
るリン脂質のグリセリンと脂肪酸間のエステル結合を分
解できる酵素ならば、その種類及び起源は問わない。こ
のような酵素としては、動物臓器、微生物、ヘビ毒等に
存在するホスホリパーゼA及びホスホリパーゼBが知ら
れている。
【0009】本発明では、かかる酵素を担体に固定化し
て使用することを必須の要件とする。固定化のための担
体には特に制限はなく、セライト、セルロース、キトサ
ン、シリカ、アルミナ、セラミック、イオン交換樹脂、
光架橋樹脂、各種ゲル化剤等、公知の担体のいずれをも
使用できるが、望ましくは多孔質の担体で粒子径10μm
〜1cm、孔の大きさ5nm〜1μmのもの、より好ましく
は粒子径50μm〜5mm、孔の大きさ20nm〜1μm のもの
が特に好適に使用することができる。これらの担体は化
学修飾されたものでも差し支えない。
【0010】上記酵素のこれら担体への固定化方法とし
ては、それぞれの担体の特性に応じ、物理吸着、イオン
吸着、包括、共有結合等の手法を適宜選択すればよい。
固定化する酵素量は、特願平1-196863号に記載された酵
素力価の測定法に基づき、担体乾燥重量1g 当たり 100
〜50,000U、望ましくは500〜10,000U が適当である。な
お、使用する酵素の種類によっては、固定化に先立ち、
酵素液にカルシウム塩を添加しておくのが望ましく、そ
の量は例えば塩化カルシウムの場合で0.1〜20mM、好ま
しく1〜10mMである。
【0011】本発明では、前記の固定化酵素に被処理油
を接触させて精製を行うが、処理にあたっては、例えば
固定化酵素をカラムに充填して被処理油を連続的に供給
する連続処理方式、容器中の被処理油に該固定化酵素を
加え攪拌するバッチ方式、等の何れをも選択できる。処
理にあたっては、被処理油に飽和量の水分を含有させる
とともに、担体にはその担体が保持しうる最大量の水分
を担持させ反応を行わせる。リン脂質の加水分解に必要
な水は、油脂中の飽和水分で充分であるので、担体水分
が反応中に低下する心配はない。反応温度は、酵素の作
用範囲である40℃から90℃の範囲で行えるが、微生物汚
染や酵素の安定性を考慮すると55〜75℃が好ましい。
【0012】該酵素処理によって、油脂中のリン脂質は
分解を受けるとともに、分解により生成したリゾリン脂
質やグリセロホスフォリル塩基等のリン脂質断片は、固
定化酵素担体に吸着除去され、処理油中の残存リン脂質
の含量は、脱酸等の更にリン脂質を低減させる工程を付
加することなしに、通常の脱色工程によってリン脂質含
量を10ppm 以下とし得るレベルにまで低下する。
【0013】
【実施例】
実施例1 表1に挙げた各種担体を用い、担体乾燥重量1gあたり
ホスホリパーゼA2(ノボ社製レシターゼ)1,000Uを吸
着、包含あるいは結合させたた固定化酵素を調製した。
これら固定化酵素は水分を40%に調整し、その100mg
(酵素活性60U)をL字管に取り、予め60℃に保温した
水飽和大豆原油5mlを加え、120回/分の往復振とう下、
60℃で1時間反応した。リン脂質の定量は、大豆リン脂
質の一成分であるホスファチジルエタノールアミンとそ
の分解物であるリゾホスファチジルエタノールアミン、
グリセロホスフォエタノールアミンを指標とし、これら
アミノリン脂質のアミノ基をNDBで修飾しHPLCで
分析した。担体に吸着除去されたリン脂質量は原油1ml
当たりの相当量として表示した。使用した原油中のホス
ファチジルエタノールアミン量は152 nmol/mlであっ
た。結果は併せて表1に示す。
【0014】
【表1】表1から明かなように、いずれの固定化担体を
用いたものでも、未分解のリン脂質であるホスファチジ
ルエタノールアミンの多くは処理油中に、分解生成物で
あるリゾホスファチジルエタノールアミン及びグリセロ
ホスフォエタノールアミンの多くは固定化担体中に存在
していた。このことから、原油中のリン脂質−ホスファ
チジルエタノールアミンは、固定化酵素によりリゾホス
ファチジルエタノールアミンないしはグリセロホスフォ
エタノールアミンに分解され、そのまま固定化酵素担体
に吸着、除去されることが分かる。
【0015】比較例1 遊離酵素による水飽和大豆原油
中のリン脂質の分解 実施例1と同じ水飽和大豆原油5mlに、遊離酵素60Uを添
加し、実施例1と同様に反応、分析を行った。結果は表
2に示すとおりであった。
【0016】
【表2】表から明かなように、遊離酵素だけではリン脂
質はあまり分解されず、反応の場として固定化が必要で
あることが示された。
【0017】実施例2 実施例1と同様に調製した固定化酵素(セラミックSM
−10)22g をカラム(2.6cm径)に充填し、水飽和大
豆原油を3.0ml/時間の流量で60℃、7日間送液した。
処理油は12時間ごとに集め、灰化後モリブデン比色法に
よりリンを定量し残存リン脂質量を求めた。処理前の原
油には1,800ppmのリン脂質が含まれていたが、図1に示
すようにカラム出口の処理油の残存リン脂質量は50ppm
前後であった。得られた処理油に活性白土(水沢化学工
業(株)製、商品名NV)を 1.0%添加し、105℃、30T
orr、20分間の条件で脱色処理をした。 この脱色油のリ
ン脂質含量は 8ppmであった。
【0018】比較例2 酵素を固定化しない担体での処
理 水分を40%に調整した22g のセラミックSM−10を、
実施例2と同様のカラムに充填し、実施例2と同様に原
油を通液した。結果は図1に示すように、担体のみのカ
ラムを通過させた油脂でも、そのリン脂質含量はやや低
下するが、酵素を固定化したものと比べ、その程度は著
しく低かった。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、被処理油中のリン脂質
を穏和な条件下で効率よく除去することが可能である。
酵素を水溶液として用いる方法に比べ、酵素の回収、再
利用並びに廃水処理等に要する操作の煩雑さの問題を解
決できる。特に反応時にリン脂質の分解と吸着が同時に
起きるため、処理油のリン脂質含量は極めて低くなり、
更なるリン脂質除去工程を必要とせずに、脱色、脱臭工
程へと移行することが可能となる。また、酵素を水溶液
で用いる系では、反応中の攪拌による油と空気の接触が
避けられなかったが、特に固定化酵素をカラムに充填し
て反応させる本発明法では油脂の酸化による劣化が防止
され、処理油への酵素蛋白の混入も低く抑えられる。
【0020】
【図面の簡単な説明】
【図1】は実施例2及び比較例2における処理油中のリ
ン脂質含量の推移を示すものであり、縦軸は処理油中に
残存するリン脂質の濃度(ppm) 、横軸には処理の経過
時間(日)を示す。グラフの実線は実施例2、破線は比
較例2の結果である。
【表1】 各種固定化担体に固定した酵素によるリン脂
質の分解除去効果 ──────────────────────────────────── 担 体 処理油中の残存リン脂質 吸着除去されたリン脂質 PE LPE GPE 計 PE LPE GPE 計 ──────────────────────────────────── セラミックSM-10 42 12 1 55 9 70 21 100 セライト No.535 78 10 1 89 6 49 0 55 シリカ 4B 91 6 0 97 8 38 1 47 キトパールBCW-3010 96 8 0 104 10 38 0 48 SP-トヨパール650 92 10 0 102 5 39 1 45 ENTP4000.00 67 10 0 77 18 56 0 74 ──────────────────────────────────── 注) 単位は nmol/ml-油 リン脂質の略号: PE ホスファチジルエタノールアミン LPE リゾホスファチジルエタノールアミン GPE グリセロホスフォエタノールアミン 担体メーカー: セラミックSM-10 日本ガイシ(株) セライト No.535 Johns-Manrille Sales Corp. シリカ 4B 富士ディビソン(株) キトパールBCW-3010 富士紡績(株) SP-トヨパール650 東ソー(株) ENTP4000.00 関西ペイント(株)
【表2】 遊離酵素によるリン脂質の分解除去効果 リン脂質の略号は
【表1】と同じ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. リン脂質含量が 10,000ppm以下である油脂を、リン脂質
    のグリセリンと脂肪酸のエステル結合を分解する活性を
    有する固定化酵素に接触させることを特徴とする油脂の
    精製方法。
JP26280392A 1992-09-05 1992-09-05 油脂の精製方法 Pending JPH0688090A (ja)

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