JP3192411B1 - 食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法 - Google Patents

食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法

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Abstract

【要約】 【課題】 本発明は、脱臭スカム油から、安全性の高い
安価な食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する際の
原料の処理条件、合成反応条件、さらには後の精製工程
において、一般食品素材や健康食品素材あるいは医薬品
素材として利用できるよう構成し、色、におい、味など
の官能面における品質に優れ、且つトランス型脂肪酸が
低減された安全性にも優れた安価なステロール脂肪酸エ
ステルの製造方法を提供する。 【解決手段】 脱臭スカム油を原料とし、脱臭スカム油
中に含まれるトリアシルグリセロールなどの脂肪酸エス
テル類を予め化学触媒による加水分解反応によって分解
し、引き続いて、シス型脂肪酸に選択的に作用する脂質
分解活性を有する酵素を触媒として厳密に制御された反
応条件でステロール脂肪酸エステルの合成反応を行い、
更に、食品として適当な品質を得るために数段階の精製
処理を施して、トランス型脂肪酸を殆ど含まない安全性
の高い安価な食品用ステロール脂肪酸エステルを酵素的
に製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脱臭スカム油から
低コストに食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する
食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法に関し、特
にシス型脂肪酸を選択的にエステル化できる酵素を使用
することによって食品用ステロール脂肪酸エステルを製
造する食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】大豆油や菜種油などの植物油脂の精製過
程において、β-シトステロールをはじめとする多くの
ステロール類が不ケン化物の一部として得られるが、こ
のうち特にβ-シトステロールについては血漿コレステ
ロールの低下作用を持つことが知られている。また、最
近では、β-シトステロールの飽和型であるβ-シトスタ
ノールがβ-シトステロールよりも強力な血漿コレステ
ロール低下作用を示すことが明らかとなり、益々注目を
浴びつつある。
【0003】しかしながら、上記の遊離ステロール及び
遊離スタノールは消化管内のミセル相には不溶であるた
めに、その生理効果を得るための適切な摂取形態とは言
い難い。これに対し、脂溶性を改善するためにステロー
ル脂肪酸エステルとしての摂取が提案され、最近では、
ステロール脂肪酸エステルとしての植物ステロール入り
マーガリンをはじめする各種食品への添加も試みられて
いる。
【0004】しかし、ステロール脂肪酸エステルはこれ
まで、主としてコレステリック液晶、医薬化粧品用親水
性基材として用いられている。このため、その製造方法
としては酸触媒、塩基触媒による化学合成法が用いられ
てきた。しかし、一般に化学合成ではその反応条件が過
酷であるが故に、品質の劣化を招きやすいこと、副反応
物が生成しやすいなどの問題点があり、合成反応後の精
製工程が非常に煩雑になることは避けられず、また、仮
に食品あるいは医薬品等に使用する場合には、副反応物
や反応触媒の混入が懸念されるという問題点があった。
【0005】そこで、上記の如き不具合を回避するため
に酵素の利用が検討されている。
【0006】このような酵素としてコレステロールエス
テラーゼおよびリパーゼがある。ともにカルボン酸エス
テルヒドロラーゼの一つとして分類され、コレステロー
ルエステラーゼは加水分解反応によってコレステロール
脂肪酸エステルから遊離ステロールと遊離脂肪酸を生成
する酵素と定義されている。また、リパーゼ(主として
トリアシルグリセロールリパーゼを示す。)は加水分解
反応によってグリセロール脂肪酸エステルからグリセロ
ールと遊離脂肪酸を生成する酵素と定義されている。
【0007】しかしながら、コレステロールエステラー
ゼ活性とリパーゼ活性が同一酵素中にみいだされている
例も多く(D. Lombardoら、Biochem. Biophys. Acta, 6
11,(1980),147-)、コレステロールエステラーゼおよび
リパーゼが同様にトリアシルグリセロールの分解反応を
触媒することも示されており(W. E.Momsenら、Bioche
m. Biophys. Acta, 486, (1977),103-)、現在において
もコレステロールエステラーゼであるか、或いはリパー
ゼであるか明確に分類できない例が少なからず知られて
いる。
【0008】ところで、上記の酵素は通常カルボン酸エ
ステルの加水分解反応を触媒する一方で、エステル合成
反応を触媒することが知られている。
【0009】Lawrence A.らはコレステロールエステラ
ーゼとして知られているイヌ膵液由来のステロールエス
テルヒドロラーゼによって、遊離コレステロールと遊離
オレイン酸からコレステロールオレイン酸エステルを合
成できることを示している(Biochem. Biophys. Acta,
231, (1971), 558-560)。
【0010】また、同様にD. Lombardoらは、ヒト膵液
由来のコレステロールエステラーゼがコレステロール脂
肪酸エステルの合成反応を触媒することを示している
(Biochimie et al, 1980, 62, 427-432 )。
【0011】また、明星らはリパーゼによってコレステ
ロール脂肪酸エステルを合成できることを確認している
(特願昭60-45128号)。
【0012】以上の様に前述の化学合成に対して、酵素
を用いたコレステロール脂肪酸エステルの合成が可能で
あることがこれまでに示されている。
【0013】しかしながら、上記酵素を用いた従来のコ
レステロール脂肪酸エステルの製造方法については、以
下の問題点があった。
【0014】(1)上記の例はいずれも単にステロール
脂肪酸エステルの合成反応についてのみ示したものであ
り、一般食品素材や健康食品素材あるいは医薬品素材と
してステロール脂肪酸エステルを製造することを意図し
たものではない。つまり、合成反応条件、さらには後の
精製方法において、一般食品素材や健康食品素材あるい
は医薬品素材として利用するために重要となる色、にお
い、味などの官能面における品質、さらには安全性を考
慮していない。
【0015】(2)また、ステロールエステル脂肪酸エ
ステルの原料となるステロール類については、精製度の
高い純品を原料としていることから合成後のステロール
脂肪酸エステルは高価なものとなり、食品等への利用は
コスト的に無理である。
【0016】(3)また、植物油脂の脱臭工程で発生す
る脱臭スカム油には、ステロールをはじめとする不ケン
化物や脂肪酸などが高濃度に含まれており、これらを原
料とすれば低コストにステロール脂肪酸エステルを得る
ことができる。しかしながら、この脱臭スカム中には劣
化した脂肪酸の産物として過酸化物やトランス型脂肪酸
が含まれていることが知られている。このうち、トラン
ス型脂肪酸は主に油脂の部分水素添加工程や高温下での
脱臭工程において生成することが明らかとなっている
が、人間がこのトランス型脂肪酸を多量に摂取した場
合、冠状動脈性心臓病発生のリスクが高くなるという報
告がなされている。特に欧米を中心として各種食品中の
トランス型脂肪酸含量に関心がもたれており、近年では
マーガリンなどにおいて、トランス型脂肪酸を低減化し
た製品が見られるようになってきた。つまり、脱臭スカ
ム油そのものを原料としてステロール脂肪酸エステルを
合成する際に、ランダムにエステル化反応を触媒する酵
素を用いた場合は、トランス型脂肪酸やその他の劣化し
た脂肪酸を含むステロール脂肪酸エステルが得られるこ
ととなるため、安全性の面から好ましくない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、食
品用として好適で、しかも低コストに製造でき、且つト
ランス型脂肪酸をを殆ど含まない、食品用ステロール脂
肪酸エステルの製造方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、脱臭ス
カム油からトランス型脂肪酸を殆ど含まない、安全性の
高い安価な食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する
ことである。
【0019】すなわち、本発明の概要を図1を参照しな
がら説明すると、植物油脂の精製工程の一つである脱臭
工程において、揮発性成分を含む留分として発生する脱
臭スカム油を原料として(ステップ100)、脱臭スカ
ム油中に含まれるトリアシルグリセロールなどの脂肪酸
エステル類を予め化学触媒による加水分解反応によって
分解し(ステップ101,110)、引き続いて、シス
型脂肪酸に選択的に作用する脂質分解活性を有する酵素
を触媒として厳密に制御された反応条件でステロール脂
肪酸エステルの合成反応を行い(ステップ111,12
0)、更に、食品として適当な品質を得るために数段階
の精製処理を施して(ステップ121,131,14
1)、トランス型脂肪酸を殆ど含まない安全性の高い安
価な食品用ステロール脂肪酸エステル(ステップ15
0)を酵素的に製造するものである。
【0020】ここで、本発明に係わる請求項1の発明
は、原料中に含まれるステロールとトリアシルグリセロ
ールを主成分とする油脂に脂質分解活性を有する酵素を
添加してステロール脂肪酸エステルを生成し、この生成
されたステロール脂肪酸エステルにさらに所定の精製工
程を加えて食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する
方法において、原料として植物油脂の脱臭工程において
発生する脱臭スカム油を使用し、脱臭スカム油中の脂肪
酸エステル類の加水分解反応を行い、シス型脂肪酸に選
択的に作用する脂質分解活性を有する酵素によるステロ
ール脂肪酸エステルの合成反応を温度および水分含量が
制御された系内で一定時間行い、さらに、第1の精製工
程として分子蒸留処理によって主として未反応のステロ
ールや脂肪酸の除去を行い、第2の精製工程として吸着
剤処理によって主として色素成分の除去を行い、第3の
精製工程として水蒸気蒸留処理によって主として臭気成
分の除去を行い、官能面および安全面において優れた食
品用ステロール脂肪酸エステルを得ることを特徴とす
る。
【0021】また、請求項2の発明は、請求項1の発明
において、原料として大豆油の精製工程において発生す
る大豆脱臭スカム油を用いることを特徴とする。
【0022】また、請求項3の発明は、請求項1の発明
において、脱臭スカム油中の脂肪酸エステル類の加水分
解反応を行う際に、酸またはアルカリ触媒による加水分
解反応を行うことを特徴とする。
【0023】また、請求項4の発明は、請求項1の発明
において、シス型脂肪酸に選択的に作用する脂質分解活
性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステルの合成
反応を温度および水分含量が制御された系内で一定時間
行う際に、シス型脂肪酸に選択的に作用する脂質分解活
性を有する酵素としてキャンディダ(Candida)属或い
はムコール(Mucor)属由来の脂質分解を有する酵素を
用いることを特徴とする。
【0024】また、請求項5の発明は、請求項1の発明
において、シス型脂肪酸に選択的に作用する脂質分解活
性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステルの合成
反応を温度および水分含量が制御された系内で一定時間
行う際に、原料に対して0.1〜50重量%の水分の存在下
で、30〜60℃の範囲で、48時間以内の反応を行うことを
特徴とする。
【0025】また、請求項6の発明は、請求項1の発明
において、第1の精製工程として分子蒸留処理によって
主として未反応のステロールおよび脂肪酸の除去を行う
際に、13.3Pa以下、100〜250℃で処理することを特徴と
する。
【0026】また、請求項7の発明は、請求項1の発明
において、第2の精製工程として吸着剤処理によって主
として色素成分の除去を行う際に、吸着剤として、処理
原料重量に対して0.1〜50%の活性白土、シリカゲル、
活性炭のいずれかの単一物、あるいは二種類以上の混合
物を用いて、100℃以下で処理することを特徴とする。
【0027】また、請求項8の発明は、請求項1の発明
において、第3の精製工程として水蒸気蒸留処理によっ
て主として気成分の除去を行う際に、1330Pa以下、50〜
150℃で処理することを特徴とする。
【0028】また、請求項9の発明は、請求項1の発明
において、製品として得られるステロール脂肪酸エステ
ル中のステロール脂肪酸エステル含量が90重量%以上で
あり、且つステロール脂肪酸エステルの構成脂肪酸中の
トランス型脂肪酸含量が2%以下であり、且つ過酸化物
価が10以下であり、且つ酸価が1以下であり、且つ色が6
以下(ガードナー法)であり、且つ官能的に殆ど無臭で
あることを特徴とする。
【0029】以下、本発明を図1を参照しながら詳細に
説明する。
【0030】本発明において、原料として使用される脱
臭スカム油(ステップ100)としては、植物油脂の脱
臭工程で発生するものであれば任意の植物油に由来する
脱臭スカム油を用いることができ、例えば大豆脱臭スカ
ム油、菜種脱臭スカム油、パーム脱臭スカム油などがあ
げられ、その他、ヒマワリ油、米ぬか油、コーン油、サ
フラワー油などに由来する脱臭スカム油も使用できる。
【0031】これらの脱臭スカム油中には、遊離ステロ
ール、遊離脂肪酸をはじめとして、トリアシルグリセロ
ール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロー
ル、トコフェロール、カロチン、ワックスなどが含まれ
ている。このうち、遊離ステロールとしてはβ-シトス
テロールをはじめとして、カンペステロール、ブラシカ
ステロール、スチグマステロール、コレステロールなど
が含まれており、一方、遊離脂肪酸あるいはトリアシル
グリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリ
セロールに結合している脂肪酸としては、リノール酸を
はじめとして、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、α-リノレン酸、ミリスチン酸などが含まれてい
る。
【0032】これらの脂肪酸のうち、不飽和結合を比較
的多く持つリノール酸などではトランス型脂肪酸の割合
が高く、リノール酸を多く含む大豆脱臭スカム油では、
そのトランス型脂肪酸含量も高いものと考えられる。
【0033】上記のごとき脱臭スカム油を原料として用
いる際には、そのまま使用してもよいが、通常色素成分
やその他の固形物が含まれている場合が多いため、予め
吸着剤処理や濾過などによって固形物などの不要な成分
を除いてから用いるとよい。また、コスト的に可能な範
囲であれば、予め、脱臭スカム油中の遊離ステロールと
脂肪酸を蒸留法や分別法によって任意に濃縮したものを
用いても良く、脱臭スカム油に遊離ステロールや遊離脂
肪酸を添加したものを原料としてもよい。
【0034】しかしながら、本発明における長所は、原
料となる脱臭スカム油中にステロール脂肪酸エステルの
基質となるステロールと脂肪酸が既に存在している点で
あり、これらが共存する状態で脱臭スカム油を用いるこ
とによって安価なステロール脂肪酸エステルを得ること
ができる。
【0035】しかしながら、脱臭スカム油を原料とし、
化学触媒や、選択的な活性を持たない脂質分解活性を有
する酵素を用いて、ステロール脂肪酸エステルの合成反
応を行う場合、先に述べたトランス型脂肪酸も基質とな
るために、得られる製品はトランス型脂肪酸を含むこと
となり、食品に適した安全性の高い製品であるとは言い
難い。
【0036】そこで、本発明においては、予め脱臭スカ
ム油中に含まれているトリアシルグリセロールなどの脂
肪酸エステル類を加水分解し(ステップ101,11
0)、続いて、トランス型脂肪酸に全く作用しないか、
或いは非常に作用し難い、言い換えればシス型脂肪酸に
選択的に作用する脂質分解活性を有する酵素を用いるこ
とによって、脱臭スカム油中のトランス型脂肪酸を基質
としないステロール脂肪酸エステルの合成反応を行い
(ステップ111,120)、トランス型脂肪酸の含量
が非常に少ない製品を安価に得ることができる。
【0037】予め脱臭スカム油中に含まれているトリア
シルグリセロールなどの脂肪酸エステル類を加水分解す
る際に使用する触媒としては、酸、アルカリなどの化学
触媒が挙げられ、食品に使用可能なものであればいずれ
を用いてもよいが、例えば酸としては塩酸、硫酸など
が、また、アルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化
カリウムなどが用いられる(ステップ101)。
【0038】尚、一般に脂肪酸エステル類の加水分解に
は、化学触媒の他に、リパーゼ等の脂質分解活性を有す
る酵素を用いることができるが、本発明において、脱臭
スカム油中の脂肪酸エステル類の加水分解を行う際にリ
パーゼなどを使用すると、トリアシルグリセロール類の
分解と同時に、ステロール脂肪酸エステルの合成反応が
進行するため、本発明中の脂肪酸エステル類の加水分解
においてリパーゼ等の脂質分解活性を有する酵素を用い
ることは適切ではない。
【0039】脂肪酸エステル類の加水分解反応における
触媒の濃度、反応温度、反応時間は任意に設定できる
が、過度の反応は脱臭スカム油中の各成分の劣化を引き
起こし、着色などの好ましくない現象を引き起こすこと
から、150℃以下で数時間以内に反応を終了することが
望ましい。
【0040】反応終了後は、適当な酸またはアルカリに
よって中和を行い、続けて水洗によって化学触媒や生成
したグリセリン、塩類などの除去を行う。水洗後は、油
水分離後、減圧下、60〜120℃程度で一定時間加熱する
ことにより脱水を行う。
【0041】こうしてステップ110の成分が得られる
と、引き続いて、シス型脂肪酸に選択的に作用する脂質
分解活性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステル
の合成反応を行う(ステップ111,120)。
【0042】ここで、シス型脂肪酸に選択的に作用する
脂質分解活性を有する酵素としては、キャンディダ(Ca
ndida)属、ムコール(Mucor)属、リゾプス(Rhizopu
s)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、フミコラ
Humicola)属の脂質分解活性を有する酵素などが挙げ
られる。
【0043】尚、高温条件下でステロール脂肪酸エステ
ルの合成反応を行う場合には、耐熱性の脂質分解活性を
有する酵素を用いてもよい。また、酵素は精製されたも
のであっても、粗精製のものであってもよく、また、微
生物由来の脂質分解活性を有する酵素を使用する場合
は、菌体そのものを用いても、培養液を用いてもよい。
さらに、上記酵素は遊離型のものでもよく、セライト等
の各種担体によって固定化されたものでもよい。
【0044】本発明で用いられる脂質分解活性を有する
酵素によるステロール脂肪酸エステルの合成反応条件と
しては、色、におい、味などの官能面における品質はも
とより、安全性を考慮した、食品として適当な品質を有
する製品を安価に得るために厳密に制御する必要性があ
る。以下に合成反応条件について述べる。
【0045】使用する酵素量は処理原料中に含まれるス
テロール1g当たり50,000単位以下、より好ましくは10,0
00単位以下にするとよい(オリーブ油から1分間に1マ
イクロモルの脂肪酸を遊離する酵素量を1単位とす
る。)。製造工程中の加熱処理による劣化を防ぎ、ま
た、より安価な製品を得るためには酵素使用量をできる
限り低減することが望ましく、処理原料中に含まれるス
テロール1g当たり5,000単位以下にするとよい。更に合
成反応中に酵素を段階的に添加することで酵素使用量を
低減することも可能である。
【0046】本発明においては、水分が全く存在しない
か或いは非常に微量に存在する場合には、トリアシルグ
リセロールあるいは微量のジアシルグリセロール、モノ
アシルグリセロールが残存する可能性が非常に高く、後
の精製工程で除くことが困難になることから、予め0.1
%以上の水分を添加して酵素反応を行うことが望まし
い。0.1%以上の水分存在下で酵素反応を行うことによ
りトリアシルグリセロールおよび共存するジアシルグリ
セロール、モノアシルグリセロールなどは加水分解反応
を受けることになり、遊離脂肪酸とグリセリンに分解さ
れ、分解によって生成した脂肪酸もまたステロール脂肪
酸エステルのエステル合成反応の基質となる。また、合
成反応そのものも水の添加を増やすことにより反応効率
が高められるが、一方で、添加した水をステロール脂肪
酸エステル合成後の精製工程において除去しなければな
らないことから、製造費用を圧縮するためにも水の使用
量は最小限に止める必要性があり、原料となるステロー
ルを含む画分に対して300%以下であることが望まし
い。
【0047】温度および時間については、反応中の熱劣
化を極力抑える為に低温、短時間で行うことが望まし
く、通常は30〜60℃で48時間以内であるとよい。尚、低
温で処理する場合には、低温で活性を発現しやすい脂質
分解活性を有する酵素を用いるとよい。
【0048】また、その一方で、原料となるステロール
類は融点が非常に高いために、もう一方の基質である脂
肪酸類との溶解性が非常に悪く、ステロール脂肪酸エス
テルの合成反応効率が低い場合がある。この問題を解消
するために、より高温で合成反応を行うことも可能であ
り、耐熱性の脂質分解活性を有する酵素を用いて、50〜
90℃で24時間以内で反応を行うとよい。この際には、反
応中の熱劣化が更に激しく進むこと、また、反応中に酵
素が失活する可能性があることから、ステロール脂肪酸
エステルの加熱劣化及び酸化劣化を防止するために、ビ
タミンEや茶ポリフェノール等の酸化防止効果を有する
物質を添加し、また、酵素の失活を防止するために胆汁
酸塩等の塩類や糖類、蛋白質などの酵素失活を防止する
物質を添加してもよい。
【0049】尚、本反応では合成反応効率を高めるため
に、通常撹拌を行いながら反応させるが、場合によって
は静置反応も可能である。静置反応を行う場合には乳化
剤などを添加してもよい。また、ヘキサン等の有機溶媒
を使用することによって、反応効率を高めることもでき
るが、その場合は溶媒除去が必要となり、製造コストの
上昇を招く可能性がある。
【0050】ステロール脂肪酸エステル合成反応後は酵
素の失活処理、脱水処理、酵素蛋白質の除去を行う。酵
素の失活処理は60〜100℃で30〜120分程度撹拌すること
により達成できる。脱水処理については、減圧条件下に
おいて60〜120℃で一定時間処理することによって行
う。酵素蛋白質の除去は通常の濾紙や濾布、或いは濾過
フィルターを用いることができるが、その際に酵素蛋白
質の除去が不十分である場合、その後の工程において、
加熱による着色などの品質劣化を生じやすくなることか
ら、より完全に酵素蛋白質の除去を行うことが必要であ
り、濾過前に珪藻土や白土などの濾過助剤を予め添加、
撹拌した後に濾過することによって、効率的に実施する
ことができる。
【0051】次にステップ121以下のステロール脂肪
酸エステルの精製方法について述べる。
【0052】本発明では、色、におい、味などの食品と
して適当な品質を有し、なおかつ安全面において優れた
ステロール脂肪酸エステルを安価に得るために、前述の
合成反応後の精製を慎重に行わなければならない。特に
高温での処理はトランス型脂肪酸や過酸化物などの生成
を新たに引き起こす可能性があることから、温度管理を
厳密に行わなければならない。
【0053】まず、第1の精製工程として分子蒸留処理
(ステップ121)によって主として未反応のステロー
ル、脂肪酸類(ステップ122)を除去する。ステップ
120の酵素蛋白質の除去処理後のステロール脂肪酸エ
ステル(反応生成物)中には未反応のステロール、脂肪
酸、その他の微量成分が含まれており、これらを除去し
なければならない。
【0054】本発明においては、まず、ステロール、脂
肪酸などを効率よく除去するために分子蒸留処理(ステ
ップ121)を施す。その際には製品となるステロール
脂肪酸エステルは残存画分として得られ(ステップ13
0)、未反応のステロール、脂肪酸及び一部の臭気成分
が留出画分として除去される。分子蒸留を行う装置とし
ては流下薄膜式、遠心式、さらにはその他の短行程蒸留
装置など挙げられるが、所望する真空度、温度を達成す
ることができ、目的とする遊離ステロール、遊離脂肪酸
およびその他の微量成分を除去できるものであれば、い
ずれの蒸留装置を用いてもよい。分子蒸留条件として
は、133Pa以下、100〜300℃が望ましいが、好ましくは1
3.3Pa以下、100〜250℃であるとよい。尚、分子蒸留操
作は複数回繰り返して行ってもよい。尚、第3の精製工
程である水蒸気蒸留処理(ステップ141)では除去し
きれない臭気成分を本工程によって除くことが可能であ
り、また、一方で本工程によって若干の加熱臭が発生す
る場合があることから、臭気成分が効率よく除去された
製品を得るためには、水蒸気蒸留処理(ステップ14
1)の前に、分子蒸留処理(ステップ121)を行う必
要がある。
【0055】引き続いて、第2の精製工程(ステップ1
31)として主として色素成分などの除去を行う(ステ
ップ132)。
【0056】分子蒸留処理後のステロール脂肪酸エステ
ル(ステップ130)には原料由来の色素成分や、分子
蒸留中の加熱によって生成した色素成分、臭気成分など
が含まれている。本発明では、色素成分を効率よく除去
するために吸着剤処理を施す(ステップ131)。
【0057】この場合に使用する吸着剤としては、通常
の油脂精製に使用される活性白土、酸性白土、活性炭、
シリカ、シリカマグネシア等が用いられるが、好ましく
は活性白土、活性炭、シリカのいずれかを用いるとよ
い。これらは単独で用いても、二種類以上を混合したも
のを用いてもよい。これらの吸着剤は処理原料に対して
0.1〜50重量%添加するとよいが、より好ましくは1〜20
%重量添加するとよい。また、より効率良く脱色を行う
ために、ヘキサン等の非極性溶媒中で前述の吸着剤を処
理してもよい。使用する溶媒は処理原料に対して、0.1
〜50倍重量であることが好ましいが、より好ましくは0.
5〜20倍重量であるとよい。非極性溶媒を使用しない場
合は、吸着剤を添加し40〜150℃で、一定時間撹拌す
る。常圧で行うこともできるが、処理原料の劣化を抑制
し、かつ効率よく脱色するために減圧下で行うと更によ
い。圧力は低い方が好ましく13.3kPa以下で行うとよ
い。
【0058】吸着剤処理後の吸着剤除去は通常の濾紙や
濾布、或いは濾過フィルターを用いることができるが、
濾過前に珪藻土などの濾過助剤を予め添加、撹拌した後
に濾過することによって、効率的に実施することができ
る。また、非極性溶媒を使用する場合には、あらかじめ
処理原料を非極性溶媒に溶解し、その後吸着剤を添加し
て0〜60℃で一定時間撹拌する。前述と同様に吸着剤除
去を行い、その後、蒸留法によって非極性溶媒を除去す
る。より完全に色素成分を除去する場合や、処理原料の
色が悪い場合には、上記のような吸着剤処理を数回繰り
返して行うとよい。繰り返して行う場合は、吸着剤の濾
過後に再び任意の吸着剤を添加し、同様な処理を行う。
非極性溶媒を用いる場合は、吸着剤の添加、撹拌、濾過
を行った後に、溶媒除去を行うことなく再び吸着剤を添
加し、同様に処理する。溶媒除去は最終の濾過が終わっ
た後に行う。
【0059】尚、以上のような吸着剤処理を行う前に、
酸処理、アルカリ処理などを施すことにより更に効果的
に脱色された製品を得ることができる。その際には、ヘ
キサン等の非極性溶媒に処理原料を溶解してミセラ状態
とし、酸処理、アルカリ処理などを行ってもよい。
【0060】尚、本工程において同時に臭気成分が生成
または付着する可能性があることから、以上の吸着剤処
理(ステップ131)は分子蒸留処理(ステップ12
1)後で、且つ水蒸気蒸留後処理(ステップ141)前
に実施する必要性がある。
【0061】最後に第3の精製工程として、水蒸気蒸留
処理(ステップ141)によって臭気成分(ステップ1
42)などの除去を行う。脱色後のステロール脂肪酸エ
ステルを食品として使用するためには、原料に由来する
臭気成分や前述までの工程において発生した臭気成分を
除かなければならない。また、有機溶媒を用いて脱色処
理を行った場合は、溶媒除去処理後においても、有機溶
媒が残存している可能性があることから、それらを完全
に除かなければならない。そこで、水蒸気蒸留処理(ス
テップ141)によって、上記の臭気成分や残存溶媒を
ほぼ完全に除去することが可能である。
【0062】水蒸気蒸留を行う装置としては、連続式、
半連続式、バッチ式のものを使用できるが、どの方式の
装置を用いても構わない。水蒸気蒸留条件としては、1
3.3kPa以下、50〜200℃が望ましいが、好ましくは1330P
a以下、50〜150℃とするとよい。水蒸気蒸留操作は複数
回繰り返して行ってもよい。一般に脱臭目的で実施され
る水蒸気蒸留処理を高温で実施することにより、トラン
ス型脂肪酸が顕著に生成することが知られており、本発
明においては、少なくとも200℃以下、好ましくは150℃
以下で水蒸気蒸留処理を行うことが重要である。また、
先に記述したように、水蒸気蒸留のみでは除去しきれな
い臭気成分を完全に取り除くためには、水蒸気蒸留処理
と分子蒸留処理を共に実施する必要性があり、その際に
は水蒸気蒸留処理の前に分子蒸留処理を行うことが重要
である。
【0063】本発明によって最終的に得られる製品とし
てのステロール脂肪酸エステル(ステップ150)は、
殆ど無味、無臭であり、かつ無色あるいは淡黄色を呈
し、さらにはトランス型脂肪酸が低減された、安全面に
おいて優れた、一般食品、健康食品、医薬品素材として
適切な品質を有するものである。このステロール脂肪酸
エステルにはコレステロール低下作用が期待されてお
り、機能性素材としてマーガリン、ドレッシングなどの
一般食品や健康食品や将来的には医薬品等への利用も期
待されるものである。
【0064】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0065】
【実施例1】大豆脱臭スカム油(ステロール含量12.3
%)100gに0.2Nのエタノール性水酸化カリウム(KOH)5
mlを加え、60℃で2時間撹拌してトリアシルグリセロー
ルをはじめとする脂肪酸エステル類の分解を行った。そ
の後、0.4Nの塩酸により中和を行い、水洗を行ってエタ
ノール、KCl、KOHおよびグリセリンを除去し、減圧下、
80℃で脱水処理を行った。続いて、水25mlにシス型脂肪
酸に選択的に作用するキャンディダ(Candida)属由来
の脂質分解活性を有する酵素粉末(360,000ユニット/
g)0.15gを懸濁したものを加え、40℃で24時間撹拌しな
がらステロール脂肪酸エステルの合成反応を行った。そ
の後、80℃に達温して30分間撹拌することにより酵素失
活処理、湯洗を行い、減圧下、80℃で脱水処理を行った
後、珪藻土1gを添加、撹拌し、酵素蛋白質除去のために
濾過を行った。
【0066】引き続いて、まず第1の精製工程として遠
心式分子蒸留装置を用いて真空度1.5Pa、蒸発面温度230
℃で分子蒸留処理を行い、未反応の脂肪酸およびステロ
ールを留出画分として除去した。次に、第2の精製工程
として活性白土とシリカゲルの混合物(重量比1:1)を
残存画分に対して10%添加して、減圧下、80℃で30分撹
拌し、その後濾過によって色素成分が吸着された活性白
土を除去した。最後に、第3の精製工程としてバッチ式
水蒸気蒸留装置を用いて、真空度500Pa、蒸留温度150
℃、蒸留時間1時間で水蒸気蒸留処理を行い、最終的に
臭気成分が除去されたステロール脂肪酸エステル19gを
得ることができた。
【0067】得られたステロール脂肪酸エステルは、殆
ど無味、無臭で淡黄色であり、構成脂肪酸中のトランス
型脂肪酸含量は1.4%であった。分析結果は表に示す。
【0068】
【実施例2】大豆脱臭スカム油(ステロール含量12.3
%)100gに対して、実施例1と同様に脂肪酸エステル類
の加水分解処理を行って得られた脱水処理物に、水25ml
にシス型脂肪酸に選択的に作用するムコール(Mucor
属由来の脂質分解活性を有する酵素粉末(80,000ユニッ
ト/g)0.7gを懸濁したものを加え、40℃で24時間撹拌し
ながらステロール脂肪酸エステルの合成反応を行った。
その後、80℃に達温して30分間撹拌することにより酵素
失活処理、湯洗を行い、減圧下、80℃で脱水処理を行っ
た後、珪藻土1gを添加、撹拌し、酵素蛋白質除去のため
に濾過を行った。
【0069】引き続いて、実施例1と同様に第1の精製
工程として分子蒸留処理を行い、第2の精製工程として
吸着剤処理を行い、第3の精製工程として水蒸気蒸留処
理を行ってステロール脂肪酸エステル17gを得ることが
できた。
【0070】得られたステロール脂肪酸エステルは、殆
ど無味、無臭で淡黄色であり、構成脂肪酸中のトランス
型脂肪酸含量は1.1%であった。分析結果は表に示す。
【0071】
【比較例】大豆脱臭スカム油(ステロール含量12.3%)
100gに対して、実施例1と同様に脂肪酸エステル類の加
水分解処理を行って得られた脱水処理物に、水25mlに選
択的活性を持たないシュードモナス(Pseudomonas)属
由来の脂質分解活性を有する酵素粉末(50,000ユニット
/g)1.0gを懸濁したものを加え、40℃で24時間撹拌しな
がらステロール脂肪酸エステルの合成反応を行った。そ
の後、80℃に達温して30分間撹拌することにより酵素失
活処理、湯洗を行い、減圧下、80℃で脱水処理を行った
後、珪藻土1gを添加、撹拌し、酵素蛋白質除去のために
濾過を行った。
【0072】引き続いて、実施例1と同様に第1の精製
工程として分子蒸留処理を行い、第2の精製工程による
吸着剤処理を行い、第3の精製工程として水蒸気蒸留処
理を行ってステロール脂肪酸エステル17gを得ることが
できた。
【0073】得られたステロール脂肪酸エステルは、殆
ど無味、無臭で淡黄色であったが、構成脂肪酸中のトラ
ンス型脂肪酸含量は5.5%であった。分析結果は表に示
す。
【0074】
【表1】
【0075】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では植物油
脂の精製工程の一つである脱臭工程において、揮発性成
分を含む留分として発生する脱臭スカム油を原料とし
て、脱臭スカム油中に含まれるトリアシルグリセロール
などの脂肪酸エステル類を予め化学触媒による加水分解
反応によって分解し、引き続いて、シス型脂肪酸に選択
的に作用する脂質分解活性を有する酵素を触媒として厳
密に制御された反応条件でステロール脂肪酸エステルの
合成反応を行い、更に、食品として適当な品質を得るた
めに数段階の精製処理を施して、トランス型脂肪酸を殆
ど含まない安全性の高い安価な食品用ステロール脂肪酸
エステルを酵素的に製造することができるという効果を
奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概要を示す全体構成図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 ふみ 広島県福山市箕沖町95番地7 池田食研 株式会社内 (72)発明者 万倉 三正 広島県福山市箕沖町95番地7 池田食研 株式会社内 (56)参考文献 特開 昭49−489(JP,A) 特開2000−302777(JP,A) 特開 昭61−204197(JP,A) 特開 昭53−106710(JP,A) 特開 昭62−296894(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07J 1/00 - 75/00 WPI(DIALOG)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料中に含まれるステロールとトリアシ
    ルグリセロールを主成分とする油脂に脂質分解活性を有
    する酵素を添加してステロール脂肪酸エステルを生成
    し、この生成されたステロール脂肪酸エステルにさらに
    所定の精製工程を加えて食品用ステロール脂肪酸エステ
    ルを製造する方法において、 原料として植物油脂の脱臭工程において発生する脱臭ス
    カム油を使用し、 脱臭スカム油中の脂肪酸エステル類の加水分解反応を行
    い、 シス型脂肪酸に選択的に作用する脂質分解活性を有する
    酵素によるステロール脂肪酸エステルの合成反応を温度
    および水分含量が制御された系内で一定時間行い、さらに、 第1の精製工程として分子蒸留処理によって主として未
    反応のステロールや脂肪酸の除去を行い、 第2の精製工程として吸着剤処理によって主として色素
    成分の除去を行い、 第3の精製工程として水蒸気蒸留処理によって主として
    臭気成分の除去を行い、 官能面および安全面において優れた食品用ステロール脂
    肪酸エステルを得ることを特徴とする食品用ステロール
    脂肪酸エステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 原料として大豆油の精製工程において発
    生する大豆脱臭スカム油を用いることを特徴とする請求
    項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 脱臭スカム油中の脂肪酸エステル類の加
    水分解反応を行う際に、酸またはアルカリ触媒による加
    水分解反応を行うことを特徴とする請求項1記載の食品
    用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。
  4. 【請求項4】 シス型脂肪酸に選択的に作用する脂質分
    解活性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステルの
    合成反応を温度および水分含量が制御された系内で一定
    時間行う際に、シス型脂肪酸に選択的に作用する脂質分
    解活性を有する酵素としてキャンディダ(Candida)属
    或いはムコール(Mucor)属由来の脂質分解を有する酵
    素を用いることを特徴とする請求項1記載の食品用ステ
    ロール脂肪酸エステルの製造方法。
  5. 【請求項5】 シス型脂肪酸に選択的に作用する脂質分
    解活性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステルの
    合成反応を温度および水分含量が制御された系内で一定
    時間行う際に、原料に対して0.1〜50重量%の水分の存
    在下で、30〜60℃の範囲で、48時間以内の反応を行うこ
    とを特徴とする請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸
    エステルの製造方法。
  6. 【請求項6】 第1の精製工程として分子蒸留処理によ
    って主として未反応のステロールおよび脂肪酸の除去を
    行う際に、13.3Pa以下、100〜250℃で処理することを特
    徴とする請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステ
    ルの製造方法。
  7. 【請求項7】 第2の精製工程として吸着剤処理によっ
    て主として色素成分の除去を行う際に、吸着剤として、
    処理原料重量に対して0.1〜50%の活性白土、シリカゲ
    ル、活性炭のいずれかの単一物、あるいは二種類以上の
    混合物を用いて、100℃以下で処理することを特徴とす
    る請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製
    造方法。
  8. 【請求項8】 第3の精製工程として水蒸気蒸留処理に
    よって主として臭気成分の除去を行う際に、1330Pa以
    下、50〜150℃で処理することを特徴とする請求項1記
    載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。
  9. 【請求項9】 製品として得られるステロール脂肪酸エ
    ステル中のステロール脂肪酸エステル含量が90重量%以
    上であり、且つステロール脂肪酸エステルの構成脂肪酸
    中のトランス型脂肪酸含量が2%以下であり、且つ過酸
    化物価が10以下であり、且つ酸価が1以下であり、且つ
    色が6以下(ガードナー法)であり、且つ官能的に殆ど
    無臭であることを特徴とする請求項1記載の食品用ステ
    ロール脂肪酸エステルの製造方法。
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