JP2002153296A - 食品用ステロール脂肪酸エステルの酵素的製造方法 - Google Patents

食品用ステロール脂肪酸エステルの酵素的製造方法

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JP2002153296A
JP2002153296A JP2000358092A JP2000358092A JP2002153296A JP 2002153296 A JP2002153296 A JP 2002153296A JP 2000358092 A JP2000358092 A JP 2000358092A JP 2000358092 A JP2000358092 A JP 2000358092A JP 2002153296 A JP2002153296 A JP 2002153296A
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acid ester
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Seiji Norinobu
誠司 則信
Naoko Senoo
直子 妹尾
Fumi Sato
フミ 佐藤
Shoji Kaneko
昌二 金子
Mitsumasa Manso
三正 万倉
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Ikeda Shokken KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、一般食品素材や健康食品素材ある
いは医薬品素材として利用でき、色、におい、味などの
官能面における品質に優れ、且つ安全性にも優れた安価
な食品用ステロール脂肪酸エステルの酵素的製造方法を
提供する。 【解決手段】 脱臭スカム油から、リパーゼを触媒とし
て生理活性を有する食品用ステロール脂肪酸エステルを
酵素的に製造する食品用ステロール脂肪酸エステルの酵
素的製造方法において、リパーゼによるステロール脂肪
酸エステルの合成反応を、所定の温度および水分含量の
系内で一定時間行った後、酵素失活処理、脱水処理、酵
素蛋白質除去処理を行い、分子蒸留処理によって未反応
のステロールおよび脂肪酸の除去を行い、吸着剤処理に
よって色素成分の除去を行い、水蒸気蒸留処理によって
臭気成分の除去を行い、官能面および安全面において優
れた安価な食品用ステロール脂肪酸エステルとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脱臭スカム油から
リパーゼを触媒として、生理活性を有する安価な食品用
ステロール脂肪酸エステルを酵素的に製造する食品用ス
テロール脂肪酸エステルの酵素的製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、大豆油や菜種油などの植物油脂
の精製過程において、β-シトステロールをはじめとす
る多くのステロール類が不ケン化物の一部として得られ
るが、このうち特にβ-シトステロールについては血漿
コレステロールの低下作用を持つことが知られている。
また、最近では、β-シトステロールの飽和型であるβ-
シトスタノールがβ-シトステロールよりも強力な血漿
コレステロール低下作用を示すことが明らかとなり、益
々注目を浴びつつある。
【0003】しかしながら、上記の遊離ステロールおよ
び遊離スタノールは消化管内のミセル相には不溶である
ために、その生理効果を得るための適切な摂取形態とは
言い難い。これに対し、脂溶性を改善するためにステロ
ール脂肪酸エステルとしての摂取が提案され、最近で
は、ステロール脂肪酸エステルとしての植物ステロール
入りマーガリンをはじめする各種食品への添加も試みら
れ、一部が市販されている。
【0004】ステロール脂肪酸エステルは従来より、コ
レステリック液晶、医薬化粧品用親水性基材として用い
られている。その製造方法としては酸触媒、塩基触媒に
よる化学合成法が用いられてきたが、一般に化学合成で
はその反応条件が過酷であるが故に、品質の劣化を招き
やすいこと、副反応物が生成しやすいことなどが問題と
なり、合成反応後の精製工程が非常に煩雑になることは
避けられず、また、仮に食品あるいは医薬品等に使用す
る場合には、副反応物や反応触媒の混入が懸念されてい
る。
【0005】これに対して、コレステロールエステラー
ゼ、リパーゼなどの酵素の利用が検討されている。コレ
ステロールエステラーゼおよびリパーゼは、ともにカル
ボン酸エステルヒドロラーゼの一つとして分類され、コ
レステロールエステラーゼは加水分解反応によってコレ
ステロール脂肪酸エステルから遊離ステロールと遊離脂
肪酸を生成する酵素と定義されている。一方、リパーゼ
(主としてトリアシルグリセロールリパーゼを示す。)
は加水分解反応によってグリセロール脂肪酸エステルか
らグリセロールと遊離脂肪酸を生成する酵素と定義され
ている。
【0006】しかしながら、コレステロールエステラー
ゼ活性とリパーゼ活性が同一酵素中にみいだされている
例も多く(D. Lombardoら、Biochem. Biophys. Acta, 6
11,(1980),147-)、コレステロールエステラーゼおよび
リパーゼが同様にトリアシルグリセロールの分解反応を
触媒することも示されており(W. E.Momsenら、 Bioche
m. Biophys. Acta, 486, (1977),103-)、現在において
もコレステロールエステラーゼであるか、或いはリパー
ゼであるか明確に分類できない例が少なからず知られて
いる。
【0007】ところで、上記の酵素は通常カルボン酸エ
ステルの加水分解反応を触媒する一方で、エステル合成
反応を触媒することが知られている。
【0008】Lawrence A.らはコレステロールエステラ
ーゼとして知られているイヌ膵液由来のステロールエス
テルヒドロラーゼによって、遊離コレステロールと遊離
オレイン酸からコレステロールオレイン酸エステルを合
成できることを示している(Biochem. Biophys. Acta,
231, (1971), 558-560)。また、同様にD. Lombardoら
は、ヒト膵液由来のコレステロールエステラーゼがコレ
ステロール脂肪酸エステルの合成反応を触媒することを
示している(Biochimie et al, 1980, 62, 427-432
)。その一方で、明星らはリパーゼによってコレステ
ロール脂肪酸エステルを合成できることを確認している
(特願昭60-45128号公報)。以上の様に前述の化学合成
に対して、酵素を用いたコレステロール脂肪酸エステル
の合成が可能であることがこれまでに示されている。
【0009】しかしながら、上記の例はいずれもステロ
ール脂肪酸エステルの合成反応についてのみ示したもの
であり、一般食品素材や健康食品素材あるいは医薬品素
材としてステロール脂肪酸エステルを製造することを意
図したものではない。つまり、合成反応条件、さらには
後の精製方法において、一般食品素材や健康食品素材あ
るいは医薬品素材として利用するために重要となる色、
におい、味などの官能面における品質、さらには安全性
を考慮していない。また、ステロールエステル脂肪酸エ
ステルの原料となるステロール類については、精製度の
高い純品を想定していることから合成後のステロール脂
肪酸エステルは高価なものとなり、この方法で製造した
製品を食品等へ利用することは困難である。
【0010】一方、植物油脂の脱臭工程で発生する脱臭
スカム油には、ステロール、トコフェロールをはじめと
する不ケン化物や脂肪酸などが高濃度に含まれており、
これらを原料とすれば安価なステロール脂肪酸エステル
を得ることができる。また、脱臭スカム油からステロー
ル脂肪酸エステルを得る過程において副産物として得ら
れるトコフェロールは、抗酸化物質として広く食品に利
用されており、このものを同時に得られることは有益で
ある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、安
価な脱臭スカム油を原料として使用し、リパーゼを触媒
として生理活性を有する食品用ステロール脂肪酸エステ
ルを酵素的に製造する際の合成反応条件、さらには後の
精製工程において、一般食品素材や健康食品素材あるい
は医薬品素材として利用でき、色、におい、味などの官
能面における品質に優れ、且つ安全性にも優れたステロ
ール脂肪酸エステルを安価に製造できる食品用ステロー
ル脂肪酸エステルの酵素的製造方法を提供することを目
的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、脱臭ス
カム油からリパーゼを触媒として、生理活性を有する安
価な食品用植物性ステロール脂肪酸エステルを酵素的に
製造することである。
【0013】すなわち、植物油脂の精製工程の一つであ
る脱臭工程において、揮発性成分を含む留分として発生
する脱臭スカム油を原料とし、リパーゼを触媒として厳
密に制御された反応条件でステロール脂肪酸エステルの
合成反応を行い、更に、食品として適当な品質を得るた
めに数段階の精製処理を施して、生理活性が期待される
食品用ステロール脂肪酸エステルを酵素的に製造するも
のである。
【0014】ここで本発明に係わる請求項1の発明は、
リパーゼを触媒として生理活性を有する食品用植物性ス
テロール脂肪酸エステルを酵素的に製造する食品用ステ
ロール脂肪酸エステルの製造方法において、原料として
脱臭スカム油を使用し、リパーゼによるステロール脂肪
酸エステルの合成反応を、温度および水分含量が制御さ
れた系内で一定時間行い、酵素失活処理、脱水処理、酵
素蛋白質除去処理を行い、分子蒸留処理によって主とし
て未反応のステロールや脂肪酸などの除去を行い、吸着
剤処理によって主として色素成分の除去を行い、水蒸気
蒸留処理によって主として臭気成分の除去を行い、食品
として、官能面および安全面において優れた食品用ステ
ロール脂肪酸エステルを得ることを特徴とする。
【0015】また、請求項2の発明は、請求項1記載の
発明において、原料として使用するスカム油は、大豆油
の精製工程において発生する大豆脱臭スカム油であるこ
とを特徴とする。
【0016】また、請求項3の発明は、請求項1記載の
発明において、リパーゼとして常温リパーゼを用いてス
テロール脂肪酸エステルの合成反応を行う際に、30〜50
℃の範囲で、48時間以内に反応を終了することを特徴と
する。
【0017】また、請求項4の発明は、請求項1記載の
発明において、リパーゼとして耐熱性リパーゼを用いて
ステロール脂肪酸エステルの合成反応を行う際に、50〜
80℃の範囲で、24時間以内に反応を終了することを特徴
とする。
【0018】また、請求項5の発明は、請求項1記載の
発明において、リパーゼによるステロール脂肪酸エステ
ルの合成反応を行う際に、原料に対して0.1%以上の水
分存在下でリパーゼによる反応を行うことを特徴とす
る。
【0019】また、請求項6の発明は、請求項1記載の
発明において、分子蒸留処理によって未反応のステロー
ルおよび脂肪酸とその他の不純物の除去を行う際に、分
子蒸留装置を用い、133Pa以下、100〜300℃で処理する
ことを特徴とする。
【0020】また、請求項7の発明は、請求項1記載の
発明において、吸着剤処理によって色素成分およびその
他の不純物の除去を行う際に、吸着剤として、処理原料
重量に対して0.1〜50%の活性白土、シリカゲル、活性
炭のいずれかの単一物、あるいは2種類以上の混合物を
用いて、非極性溶媒の存在下で処理することを特徴とす
る。
【0021】また、請求項8の発明は、請求項1記載の
発明において、水蒸気蒸留処理によって臭気成分および
その他の不純物の除去を行う際に、13.3kPa以下、50〜2
50℃で処理することを特徴とする。
【0022】また、請求項9の発明は、請求項1記載の
発明において、製品として得られるステロール脂肪酸エ
ステル中のステロール脂肪酸エステル含量が90重量%以
上であり、過酸化物価が15以下であり、酸価が3以下で
あり、色が8以下(ガードナー法)であり、且つ官能的
に殆ど無臭であることを特徴とする。
【0023】また、請求項10の発明は、請求項1に記
載の酵素的製造方法により得られる食品用ステロール脂
肪酸エステルを食品用途に使用する際に、予めトリアシ
ルグリセロールを主成分とする油脂に混合した形態で使
用することを特徴とする。
【0024】本発明において、原料として使用される脱
臭スカム油としては、植物油脂の脱臭工程で発生するも
のであれば任意の植物油に由来する脱臭スカム油を用い
ることができ、例えば大豆脱臭スカム油、菜種脱臭スカ
ム油、パーム脱臭スカム油などが挙げられ、その他、ヒ
マワリ油、米油、コーン油、紅花油などに由来する脱臭
スカム油も使用できる。これらの脱臭スカム油中には、
遊離ステロール、遊離脂肪酸をはじめとして、トリアシ
ルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグ
リセロール、トコフェロール、カロチン、ワックスなど
が含まれている。このうち、遊離ステロールとしてはβ
-シトステロールをはじめとして、カンペステロール、
ブラシカステロール、スチグマステロール、コレステロ
ールなどが含まれており、一方、遊離脂肪酸あるいはト
リアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノア
シルグリセロールに結合している脂肪酸としては、リノ
ール酸をはじめとして、オレイン酸、パルミチン酸、ス
テアリン酸、α-リノレン酸、ミリスチン酸などが含ま
れている。
【0025】上記のごとき脱臭スカム油を原料として用
いる際には、そのまま使用しても良いが、通常、色素成
分やその他の固形物が含まれている場合が多いため、予
め吸着剤処理や濾過などによって固形物などの不要な成
分を除いてから用いると良い。また、コスト的に可能な
範囲であれば、予め、脱臭スカム油中の遊離ステロール
と脂肪酸を蒸留法や分別法によって任意に濃縮したもの
を用いても良く、脱臭スカム油に遊離ステロールや遊離
脂肪酸を添加したものを原料としても良い。しかしなが
ら、本発明における長所は、原料となる脱臭スカム油中
にステロール脂肪酸エステルの基質となるステロールと
脂肪酸が既に存在している点であり、これらが共存する
状態で脱臭スカム油を用いることによって安価なステロ
ール脂肪酸エステルを得ることができる。
【0026】本発明において、ステロール脂肪酸エステ
ルの加水分解反応あるいは合成反応における触媒として
使用されるリパーゼとしては、各種微生物、動物、植物
起源のいずれでも良く、微生物起源のリパーゼとして
は、例えばキャンディダ(Candida)属、アルカリゲネ
ス(Alcaligenes)属、ムコール(Mucor)属、リゾプス
Rhizopus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、
ジオトリカム(Geotricum)属などが挙げられる。ま
た、動物起源のリパーゼとしては、ブタ膵臓由来のリパ
ーゼなどが挙げられる。好ましくは、キャンディダ・シ
リンドラシエ(Candida cylindracea)由来のリパーゼ
を用いると良い。また、高温条件下で合成反応を行う場
合には耐熱性リパーゼを用いても良い。
【0027】酵素は精製されたものであっても、粗精製
のものであっても良く、また、微生物由来のリパーゼを
使用する場合は、菌体そのものを用いても、培養液を用
いても良い。さらに、上記酵素は遊離型のものでも良
く、セライト等の各種担体によって固定化されたもので
も良い。
【0028】尚、本発明において使用される酵素はリパ
ーゼと同様の反応を触媒する酵素であれば用いることが
可能であり、例えばコレステロールエステラーゼなど
は、リパーゼと同様な反応を触媒することが知られてお
り本発明に使用することができる。
【0029】本発明で用いられるリパーゼによるステロ
ール脂肪酸エステルの合成反応条件としては、色、にお
い、味などの官能面における品質はもとより、安全性を
考慮した、食品として適当な品質を有する製品を安価に
得るために厳密に制御する必要性がある。以下に合成反
応条件について述べる。
【0030】使用する酵素量は原料ステロール1g当たり
50,000ユニット(U)以下、より好ましくは10,000ユニッ
ト(U)以下にすると良い(オリーブ油から1分間に1マイ
クロモルの脂肪酸を遊離する酵素量を1ユニット(U)とす
る。)。製造工程中の加熱処理による劣化を防ぎ、ま
た、より安価な製品を得るためには酵素使用量をできる
限り低減することが望ましく、原料ステロール1g当たり
1,000ユニット(U)以下にすると良い。更に合成反応中に
酵素を段階的に添加することで酵素使用量を低減するこ
とも可能である。
【0031】本発明においては、水分の有無にかかわら
ずステロール脂肪酸エステルの合成反応が進行するが、
水が全く存在しない場合は脱臭スカム油中に含まれてい
るトリアシルグリセロールが残存し、後の精製工程で除
くことが困難であることから、予め0.1%以上の水分を
添加して酵素反応を行うと良い。予め0.1%以上の水分
存在下での酵素反応により、トリアシルグリセロール、
ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロールなど
は、加水分解反応によって遊離脂肪酸とグリセリンに分
解される。また、合成反応そのものは水の添加を増やす
ことにより反応効率が高められるが、一方で、添加した
水をステロール脂肪酸エステル合成後の精製工程におい
て除去しなければならないことから、製造費用を圧縮す
るためにも水の使用量は最小限に止める必要性があり、
原料脱臭スカム油に対して100%以下であることが望ま
しい。
【0032】温度および時間については、反応中の熱劣
化を極力抑える為に低温、短時間で行うことが望まし
く、常温リパーゼを用いる場合は30〜50℃で48時間以内
であると良い。低温で処理する場合には、低温で活性を
発現しやすいリパーゼを用いると良い。
【0033】また、その一方で、原料となるステロール
類は融点が非常に高いために、もう一方の基質である脂
肪酸類との溶解性が非常に悪く、リパーゼによるステロ
ール脂肪酸エステルの合成反応効率が低い場合がある。
この問題を解消するために、より高温で合成反応を行う
ことも可能であり、耐熱性リパーゼを用いて、50〜80℃
で24時間以内で反応を行うと良い。この際には、反応中
の熱劣化が更に激しく進むこと、また、反応中にリパー
ゼが失活する可能性があることから、ステロール脂肪酸
エステルの加熱劣化および酸化劣化を防止するために、
ビタミンEや茶ポリフェノール等の酸化防止効果を有す
る物質を添加し、また、酵素の失活を防止するために胆
汁酸塩等の塩類や糖類、蛋白質などの酵素失活を防止す
る物質を添加すると良い。
【0034】尚、本反応では合成反応効率を高めるため
に、通常撹拌を行いながら反応させるが、場合によって
は静置反応も可能である。静置反応を行う場合には乳化
剤などを添加しても良い。また、ヘキサン等の有機溶媒
を使用することによって、反応効率を高めることもでき
るが、その場合は溶媒除去が必要となり、製造コストの
上昇を招く可能性がある。
【0035】次にステロール脂肪酸エステルの精製方法
について述べる。
【0036】本発明では、色、におい、味などの食品と
して適当な品質を有し、なおかつ安全面において優れた
ステロール脂肪酸エステルを安価に得るために、前述の
合成反応後の精製を慎重に行わなければならない。
【0037】まずはじめに、ステロール脂肪酸エステル
合成後に酵素失活処理、脱水処理、酵素蛋白質の除去を
行う。酵素の失活処理は常温リパーゼの場合は60℃以上
で、耐熱性リパーゼの場合は80℃以上で、30分以上撹拌
することにより十分に達成できる。脱水処理について
は、13.3kPa以下の減圧下において100℃以上で一定時間
処理することによって行う。酵素蛋白質の除去は通常の
濾紙や濾布、或いは濾過フィルターを用いることができ
るが、その際に酵素蛋白質の除去が不十分である場合、
その後の工程において加熱による着色などの品質劣化を
生じやすくなることから、より完全に酵素蛋白質の除去
を行うことが必要であり、濾過前に珪藻土などの濾過助
剤を予め添加、撹拌した後に濾過することによって、効
率的に実施することができる。
【0038】次に、未反応のステロール、脂肪酸、さら
にはトコフェロール類などのその他の成分の除去を行う
ために分子蒸留処理を行う。酵素蛋白質の除去処理後の
ステロール脂肪酸エステル(反応生成物)中には未反応
のステロール、脂肪酸、トコフェロール類、色素成分、
臭気成分などが含まれているが、これらを除去しなけれ
ばならない。本発明においては、まず、ステロール、脂
肪酸、トコフェロール類などを効率良く除去するために
分子蒸留処理を施す。その際には製品となるステロール
脂肪酸エステルは残分として得られ、未反応のステロー
ル、脂肪酸に加えて、トコフェロール類および一部の色
素類や臭気成分が留分として得られる。分子蒸留を行う
装置としては流下薄膜式、遠心式が挙げられるが、どち
らを用いても良い。分子蒸留条件としては、133Pa以
下、100〜300℃が望ましいが、好ましくは13.3Pa以下、
150〜250℃が望ましい。尚、分子蒸留操作は複数回繰り
返して行っても良い。
【0039】引き続いて、色素成分などの除去を行うた
めに吸着剤処理を行う。分子蒸留処理後のステロール脂
肪酸エステル(残分)には原料由来の色素成分や、蒸留
中の加熱によって生成した色素成分、さらには臭気成分
など含まれている。本発明では、色素成分を効率良く除
去するために吸着剤処理を施す。この場合に使用する吸
着剤としては、通常の油脂精製に使用される活性白土、
酸性白土、活性炭、シリカ、シリカマグネシア等が用い
られるが、好ましくは活性白土、活性炭、シリカのいず
れかを用いると良い。これらのうち2種類以上を混合し
たものを用いても良い。これらの吸着剤は処理原料に対
して0.1〜50重量%添加すると良いが、より好ましくは1
〜20重量%添加すると良い。また、より効率良く脱色を
行うために、ヘキサン等の非極性溶媒中で前述の吸着剤
を処理すると良い。使用する溶媒は処理原料に対して、
0.1〜50倍量であることが好ましいが、より好ましくは
0.5〜20倍量であると良い。非極性溶媒を使用しない場
合は、吸着剤を添加し40〜150℃で、一定時間撹拌す
る。常圧で行うこともできるが、処理原料の劣化を抑制
し、且つ効率良く脱色するために減圧下で行うと更に良
い。圧力は低い方が好ましく13.3kPa以下で行うと良
い。
【0040】吸着剤処理後の吸着剤除去は通常の濾紙や
濾布、或いは濾過フィルターを用いることができるが、
濾過前に珪藻土などの濾過助剤を予め添加、撹拌した後
に濾過することによって、効率的に実施することができ
る。また、非極性溶媒を使用する場合には、あらかじめ
処理原料を非極性溶媒に溶解し、その後吸着剤を添加し
て0〜60℃で一定時間撹拌する。前述と同様に吸着剤除
去を行い、その後、蒸留法によって非極性溶媒を除去す
る。より高度に色素成分を除去する場合や、処理原料の
色が悪い場合には、上記のような吸着剤処理を数回繰り
返して行うと良い。繰り返して行う場合は、吸着剤の濾
過後に再び任意の吸着剤を添加し、同様な処理を行う。
非極性溶媒を用いる場合は、吸着剤の添加、撹拌、濾過
を行った後に、溶媒除去を行うことなく再び吸着剤を添
加し、同様に処理する。溶媒除去は最終の濾過が終わっ
た後に行う。尚、以上のような吸着剤処理を行う前に、
酸処理、アルカリ処理などを施すことにより更に効果的
に脱色された製品を得ることができる。その際には、ヘ
キサン等の非極性溶媒に処理原料を溶解してミセラ状態
とし、酸処理、アルカリ処理などを行うと良い。
【0041】最終工程として、臭気成分などの除去を行
うために水蒸気蒸留を行う。脱色後のステロール脂肪酸
エステルを食品として使用するためには、原料に由来す
る臭気成分や前述までの工程において発生した臭気成分
を除かなければならない。また、有機溶媒を用いて脱色
処理を行った場合は、溶媒除去処理後においても、有機
溶媒が残存している可能性があることから、それらを完
全に除かなければならない。そこで、水蒸気蒸留処理に
よって、上記の臭気成分や残存溶媒を除去することが可
能である。水蒸気蒸留を行う装置としては、連続式、半
連続式、バッチ式のものを使用できるが、どの方式の装
置を用いても構わない。水蒸気蒸留条件としては、13.3
kPa以下、50〜250℃が望ましいが、好ましくは1330Pa以
下、100〜200℃が望ましい。水蒸気蒸留操作は複数回繰
り返して行っても良い。
【0042】得られたステロール脂肪酸エステルはその
ままで食品用素材として用いることが可能であるが、非
常に流動性が悪く、作業性に劣ることから、他の油脂、
とくにトリアシルグリセロールを主成分とする油脂に予
め混合した形態で用いると良い。混合比率は目的、用途
に応じて任意に設定できるが、作業性の向上をはかるた
めには、ステロール脂肪酸エステルに対して、30〜300
重量%混合すると良い。トリアシルグリセロールを主成
分とする油脂としては、例えば大豆油、菜種油などの食
用油脂を用いると良い。尚、トリアシルグリセロールを
主成分とする油脂の代わりに、ジアシルグリセロールな
どのその他の成分を含有する油脂類を用いても良い。本
発明においては、酵素反応中に存在する水分量を調節す
ることによって、原料脱臭スカム油中に含まれているト
リアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノア
シルグリセロールを残存させることも可能であり、それ
の結果として流動性が高められたステロール脂肪酸エス
テルを得ることもできる。
【0043】本発明によって最終的に得られる製品とし
てのステロール脂肪酸エステルは、殆ど無味、無臭で淡
黄色を呈し、さらには安全面において優れた、一般食
品、健康食品、医薬品素材として適切な品質を有するも
のである。このステロール脂肪酸エステルにはコレステ
ロール低下作用が期待されており、機能性素材としてマ
ーガリン、ドレッシングなどの一般食品への添加はもと
より、健康食品向けの素材や将来的には医薬品等への利
用が期待されるものである。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0045】
【実施例1】大豆脱臭スカム油(ステロール含量13重量
%)200gに水100gを加え、40℃で混合しながらキャンデ
ィダ(Candida)属由来リパーゼ粉末(360,000ユニット
/g)2.0gを加えた。40℃で24時間撹拌しながら反応を行
った後、80℃に達温して30分間撹拌することにより酵素
失活を行った。減圧下、80℃で脱水処理を行った後、珪
藻土1.0gを添加、撹拌し、酵素蛋白質除去のために濾過
を行った。引き続いて、遠心式分子蒸留装置を用いて真
空度1.5Pa、蒸発面温度230℃、流速2.0L/時間で分子蒸
留処理を行い、遊離脂肪酸をはじめとする不純物が除去
されたステロール脂肪酸エステル33gを得た。次に、吸
着剤処理として、残分の5倍量のヘキサンを加えて混合
し、残分に対して20%の活性白土を添加し、常温で30分
撹拌した。色素成分が吸着された活性白土を濾過によっ
て除去した後、エバポレーターによる溶媒留去を行っ
て、色素成分が除去されたステロール脂肪酸エステル27
gを得た。最後にバッチ式水蒸気蒸留装置を用いて、真
空度500Pa、蒸留温度150℃、蒸留時間2時間で水蒸気蒸
留処理を行い、最終的に臭気成分が除去されたステロー
ル脂肪酸エステル26gを得ることができた。得られたス
テロール脂肪酸エステルは、殆ど無味、無臭で淡黄色で
あった。分析結果は表1に示す。
【0046】尚、得られたステロール脂肪酸エステルに
対して重量比で100%の大豆油を混合したところ、流動
性に優れた製品を得ることができた。
【0047】
【実施例2】大豆脱臭スカム油(ステロール含量13重量
%)200gに水50gを加え、40℃で混合しながらリゾプス
Rhizopus)属由来の耐熱性リパーゼ粉末(10,000ユニ
ット/g)3.0gを加えた。50℃で24時間撹拌しながら反応
を行った後、90℃に達温して30分間撹拌することにより
酵素失活を行った。減圧下、80℃で脱水処理を行った
後、珪藻土1.0gを添加、撹拌し、酵素蛋白質除去のため
に濾過を行った。引き続いて、遠心式分子蒸留装置を用
いて真空度1.5Pa、蒸発面温度230℃、流速2.0L/時間で
分子蒸留処理を行い、遊離脂肪酸をはじめとする不純物
が除去されたステロール脂肪酸エステル31gを得た。次
に、吸着剤処理として、残分の5倍量のヘキサンを加え
て混合し、残分に対して20%のシリカゲルを添加して、
常温で30分撹拌した。色素成分が吸着されたシリカゲル
を濾過によって除去した後、エバポレーターによる溶媒
留去を行って、色素成分が除去されたステロール脂肪酸
エステル25gを得た。最後にバッチ式水蒸気蒸留装置を
用いて、真空度500Pa、蒸留温度150℃、蒸留時間2時間
で水蒸気蒸留処理を行い、最終的に臭気成分が除去され
たステロール脂肪酸エステル24gを得ることができた。
得られたステロール脂肪酸エステルは、殆ど無味、無臭
で淡黄色であった。分析結果は表1に示す。
【0048】
【実施例3】菜種脱臭スカム油(ステロール含量8%)2
00gに水100gを加え、40℃で混合しながらキャンディダ
Candida)属由来リパーゼ粉末(360,000ユニット/g)
2.0gを加えた。40℃で24時間撹拌しながら反応を行った
後、80℃に達温して30分間撹拌することにより酵素失活
を行った。減圧下、80℃で脱水処理を行った後、珪藻土
1.0gを添加、撹拌し、酵素蛋白質除去のために濾過を行
った。引き続いて、遠心式分子蒸留装置を用いて真空度
1.5Pa、蒸発面温度230℃、流速2.0L/時間で分子蒸留処
理を行い、遊離脂肪酸をはじめとする不純物が除去され
たステロール脂肪酸エステル28gを得た。次に、吸着剤
処理として、残分の5倍量のヘキサンを加えて混合し、
残分に対して20%の活性炭を添加して、常温で30分撹拌
した。色素成分が吸着された活性炭を濾過によって除去
した後、エバポレーターによる溶媒留去を行って、色素
成分が除去されたステロール脂肪酸エステル22gを得
た。最後にバッチ式水蒸気蒸留装置を用いて、真空度50
0Pa、蒸留温度150℃、蒸留時間1時間で水蒸気蒸留処理
を行い、最終的に臭気成分が除去されたステロール脂肪
酸エステル21gを得ることができた。得られたステロー
ル脂肪酸エステルは、殆ど無味、無臭で淡黄色であっ
た。分析結果は表1に示す。
【0049】
【実施例4】パーム脱臭スカム油(ステロール含量11
%)200gに水100gを加え、40℃で混合しながらキャンデ
ィダ(Candida)属由来リパーゼ粉末(360,000ユニット
/g)2.0gを加えた。40℃で24時間撹拌しながら反応を行
った後、80℃に達温して30分間撹拌することにより酵素
失活を行った。減圧下、80℃で脱水処理を行った後、珪
藻土1.0gを添加、撹拌し、酵素蛋白質除去のために濾過
を行った。引き続いて、遠心式分子蒸留装置を用いて真
空度1.5Pa、蒸発面温度230℃、流速2.0L/時間で分子蒸
留処理を行い、遊離脂肪酸をはじめとする不純物が除去
されたステロール脂肪酸エステル32gを得た。次に、吸
着剤処理として、残分の5倍量のヘキサンを加えて混合
し、残分に対して20%の活性白土を添加して、常温で30
分撹拌した。色素成分が吸着された活性白土を濾過によ
って除去した後、残分に対して20%の活性炭を添加し、
常温で30分撹拌した。色素成分が吸着された活性炭を濾
過によって除去した後、エバポレーターによる溶媒留去
を行って、色素成分が除去されたステロール脂肪酸エス
テル21gを得た。最後にバッチ式水蒸気蒸留装置を用い
て、真空度500Pa、蒸留温度150℃、蒸留時間1時間で水
蒸気蒸留処理を行い、最終的に臭気成分が除去されたス
テロール脂肪酸エステル20gを得ることができた。得ら
れたステロール脂肪酸エステルは、殆ど無味、無臭で淡
黄色であった。分析結果は表1に示す。
【0050】
【比較例1】大豆由来のステロール(ステロール含量95
%)100gとリノール酸(リノール酸含量97%)200gを混
合し、40℃で撹拌しながらキャンディダ(Candida)属
由来リパーゼ粉末(360,000ユニット/g)2.0gを加え
た。40℃で36時間撹拌しながら合成反応を行った後、流
下薄膜式分子蒸留装置によって分子蒸留処理を行い、活
性炭処理を行ってステロール脂肪酸エステル68gを得
た。得られたステロール脂肪酸エステルは特有の刺激臭
を有し、褐色を呈していた。分析結果を表1に示す。
【0051】
【比較例2】大豆由来のステロール(ステロール含量95
%)100gとリノール酸(リノール酸含量97%)200gを40
℃で混合しながらキャンディダ(Candida)属由来リパ
ーゼ粉末(360,000ユニット/g)2.0gを加えた。40℃で2
4時間撹拌しながら反応を行った後、実施例1と同様に
酵素失活、脱水処理、酵素蛋白質除去を行った。引き続
いて、遠心式分子蒸留装置による分子蒸留処理を行い、
分子蒸留残分に5倍量のヘキサンと20%の活性炭を加え
て撹拌した。最後に水蒸気蒸留処理を行い、ステロール
脂肪酸エステル59gを得ることができた。得られたステ
ロール脂肪酸エステルは、無味、無臭で淡黄色であった
が、実施例1と比較すると原料費用が非常に高価である
ために、その製造コストは10倍以上になった。分析結果
は表1に示す。
【0052】そして、結果的に
【実施例1】〜
【実施例4】においては、大豆脱臭スカム油、菜種脱臭
スカム油、パーム脱臭スカム油等、原料として、安価な
脱臭スカム油を使用するため、製造コストを大幅に引き
下げることができるとともに、表1から明らかなよう
に、過酸化物価が15以下、酸価が3以下、色(ガードナ
ー法)が8以下であり、無味、無臭で淡黄色のステロー
ル脂肪酸エステルを得ることができる。
【0053】それに対して、
【比較例1】では、大豆由来のステロールとリノール酸
とを原料とし、エステル化反応後、分子蒸留処理、活性
炭による吸着剤処理を行うというものであり、原料コス
トも高価な上、得られるステロール脂肪酸エステルは、
特有の刺激臭を有し、色も褐色を呈しており、食品素材
として不適である。
【0054】また、
【比較例2】では、大豆由来のステロールとリノール酸
とを原料とし、エステル化反応後、
【実施例1】と同様の処理を施すというものであり、得
られるステロール脂肪酸エステルは、無味、無臭で淡黄
色であり、食品素材として使用はできるものの、
【実施例1】に比べその製造コストが10倍以上であり、
【実施例1】〜
【実施例4】と
【比較例2】では実用面で大きな開きがある。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では植物油
に由来する脱臭スカム油を原料とし、リパーゼを触媒と
して厳密に制御された反応条件でステロール脂肪酸エス
テルの合成反応を行い、更に、食品として適当な品質を
得るために数段階の精製処理を施すので、生理活性が期
待される品質的に優れた安価な食品用ステロール脂肪酸
エステルを得ることができるという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 ふみ 広島県福山市箕沖町95番地7 池田食研株 式会社内 (72)発明者 金子 昌二 広島県福山市箕沖町95番地7 池田食研株 式会社内 (72)発明者 万倉 三正 広島県福山市箕沖町95番地7 池田食研株 式会社内 Fターム(参考) 4B026 DC01 DC02 DC05 DG01 DG02 DG04 DG05 DH01 DH10 DP10 4B064 AH07 CA21 CB26 CC03 CC06 CD22 CD24 CE01 CE09 DA01 DA10 4H059 BA33 BB02 BB03 BB57 BC03 BC13 BC15 BC48 DA04 DA07 DA08 DA09

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リパーゼを触媒として生理活性を有する
    食品用ステロール脂肪酸エステルを酵素的に製造する食
    品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法において、 原料として脱臭スカム油を使用し、リパーゼによるステ
    ロール脂肪酸エステルの合成反応を、温度および水分含
    量が制御された系内で一定時間行い、 酵素失活処理、脱水処理、酵素蛋白質除去処理を行い、 分子蒸留処理によって主として未反応のステロールや脂
    肪酸などの除去を行い、 吸着剤処理によって主として色素成分の除去を行い、 水蒸気蒸留処理によって主として臭気成分の除去を行
    い、 食品として、官能面および安全面において優れた食品用
    ステロール脂肪酸エステルを得ることを特徴とする食品
    用ステロール脂肪酸エステルの酵素的製造方法。
  2. 【請求項2】 原料として使用する脱臭スカム油は、大
    豆油の精製工程において発生する大豆脱臭スカム油であ
    ることを特徴とする請求項1記載の食品用ステロール脂
    肪酸エステルの酵素的製造方法。
  3. 【請求項3】 リパーゼとして常温リパーゼを用いてス
    テロール脂肪酸エステルの合成反応を行う際に、30〜50
    ℃の範囲で、48時間以内に反応を終了することを特徴と
    する請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの
    酵素的製造方法。
  4. 【請求項4】 リパーゼとして耐熱性リパーゼを用いて
    ステロール脂肪酸エステルの合成反応を行う際に、50〜
    80℃の範囲で、24時間以内に反応を終了することを特徴
    とする請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステル
    の酵素的製造方法。
  5. 【請求項5】 リパーゼによるステロール脂肪酸エステ
    ルの合成反応を行う際に、原料に対して0.1%以上の水
    分存在下でリパーゼによる反応を行うことを特徴とする
    請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの酵素
    的製造方法。
  6. 【請求項6】 分子蒸留処理によって未反応のステロー
    ルおよび脂肪酸とその他の不純物の除去を行う際に、分
    子蒸留装置を用い、133Pa以下、100〜300℃で処理する
    ことを特徴とする請求項1記載の食品用ステロール脂肪
    酸エステルの酵素的製造方法。
  7. 【請求項7】 吸着剤処理によって色素成分およびその
    他の不純物の除去を行う際に、吸着剤として、処理原料
    重量に対して0.1〜50%の活性白土、シリカゲル、活性
    炭のいずれかの単一物、あるいは2種類以上の混合物を
    用いて、非極性溶媒の存在下で処理することを特徴とす
    る請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの酵
    素的製造方法。
  8. 【請求項8】 水蒸気蒸留処理によって臭気成分および
    その他の不純物の除去を行う際に、13.3kPa以下、50〜2
    50℃で処理することを特徴とする請求項1記載の食品用
    ステロール脂肪酸エステルの酵素的製造方法。
  9. 【請求項9】 製品として得られるステロール脂肪酸エ
    ステル中のステロール脂肪酸エステル含量が90重量%以
    上であり、過酸化物価が15以下であり、酸価が3以下で
    あり、色が8以下(ガードナー法)であり、且つ官能的
    に殆ど無臭であることを特徴とする請求項1記載の食品
    用ステロール脂肪酸エステルの酵素的製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載の酵素的製造方法によ
    り得られる食品用ステロール脂肪酸エステルを食品用途
    に使用する際に、予めトリアシルグリセロールを主成分
    とする油脂に混合した形態で使用することを特徴とする
    食品用ステロール脂肪酸エステルの使用方法。
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CN01139415A CN1356394A (zh) 2000-11-24 2001-11-23 食品用甾醇脂肪酸酯的制造方法
BR0106178-0A BR0106178A (pt) 2000-11-24 2001-11-23 Processo para produção de ésteres de ácidos graxos de esteróis dietéticos

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112940855A (zh) * 2021-03-09 2021-06-11 丰益(上海)生物技术研发中心有限公司 葵花籽油及其制备方法

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