JPH0687695U - 軸流送風機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 構造が簡単であり、従来のものを改造するこ
とも容易に出来る低騒音の軸流送風機を実現する。 【構成】 円筒状ケーシング（１）内に駆動機（２）で
駆動される軸流翼（４）を有する軸流送風機において、
翼吸込側のケーシング（１）を軸流翼（４）より軸方向
外側に一体延長又は接合延長によって長くし、その長く
したケーシング（１）の内周側に取付部材（６）を介し
て取付け、ケーシング（１）内周と若干の隙間を有し、
軸流翼（４）外周近傍に位置する端部を有する円筒状の
騒音防止リング（７）を設ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は軸流送風機の騒音低減に係り、特に失速時の気流の剥離現象による騒 音増加を抑制し、騒音を低減する軸流送風機に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の軸流送風機は一般に図４に示すように、円筒状のケーシング（１）の内 部に電動機を駆動機（２）として取付脚（３）にて取付け、軸流翼（４）を駆動 機（２）の回転軸（５）に取付け、図中矢印のように通風運転していた。しかし ながら軸流送風機の風量の変化に伴い、騒音が大になり、特に失速時の気流の剥 離現象による騒音増加を抑制し、騒音を低減することが要望されるようになった 。

【０００３】 そこで、特開平３−２０６３９８号公報に示される発明が出たが、これは羽根 車（軸流翼）外周部分に対向するケーシングの内壁部分に貫通穴を設け、その貫 通穴はケーシング外周部を通り送風機吸込側部分まで貫通させ、羽根車外周部で 発生した乱流を逃がす工夫をし、騒音低減を達成している。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記のような手段ではケーシング製作工数および原価が大になり、構造も複雑 になっている。しかも、製作時から上記構造をケーシング内に作り込んでおかな ければならず、在来品の改造への応用がむずかしいという問題がある。

【０００５】 本考案の目的は、比較的安価で、また、在来品への応用は新らしく騒音防止リ ングを有するケーシングを追加するだけで容易に出来る安価な低騒音の軸流送風 機を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】 本考案は上記課題を解決するために、円筒状ケーシング内に駆動機で駆動され る軸流翼を有する軸流送風機において、翼吸込側のケーシングを軸流翼より軸方 向外側に一体延長又は接合延長によって長くし、その長くしたケーシングの内周 側に取付部材を介して取付け、ケーシング内周と若干の隙間を有し、軸流翼外周 近傍に位置する端部を有する円筒状の騒音防止リングを設ける。

【０００７】

【作用】

軸流送風機の運転範囲は風道のダンパ開度を変えることにより、一般的に広く 、定格点に対してある幅をもっている。吸込まれる気流の角度と軸流翼の傾斜角 度には理想的なポイントがあり、そのポイントで運転されると効率も良くまた騒 音レベルも低いのが一般的である。気流と軸流翼とのなす角度を迎え角というが 、運転範囲が広いということは迎え角が正規状態から外れてくることを意味し、 この様な状態で運転されると、軸流送風機は失速状態となる。失速状態になれば 、翼面境界層では、激しい剥離を生じ、騒音レベルも高くなる。軸流翼が可変ピ ッチになっておれば迎え角の調整も可能だが通常原価面から固定翼となっている 。失速は軸流翼の外周部で発生し、翼のハブ側へと進行して行く。そこで、失速 を防止する騒音防止リングを軸流翼外周近傍に取付けることにより、失速領域が ハブ側に拡大することを防ぎ、騒音レベルの上昇を防ぐことができる。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の一実施例について図１ないし図３を参照して説明する。尚、図 １において従来例の図４と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。

【０００９】 図１において図４と異なるところは、ケーシング（１）の吸込側を軸方向に長 くして、その長くしたケーシング（１）の内周側に取付部材（６）を介してケー シング（１）と若干の隙間を形成する同心円筒状の失速を防止する騒音防止リン グ（７）を軸流翼外周近傍に取付ける。

【００１０】 上記実施例によれば、ケーシングを長くして騒音防止リング（７）を取付ける か、又は在来品のケーシングに騒音防止リング付のケーシングを接合するだけで 、目的は達成出来、また、原価も安く出来る。そして、設計時の融通性もある。 試験結果の一例を図２、図４に示す。ａが図４に示した従来のもので、ｂが騒 音防止リング付のものの音圧曲線である。図を見ると明らかに騒音防止リングの 効果がダンパ開度８／８，５／８と運転状態が大きく相違するにも拘らず、ほぼ 同一レベルであることが理解できる。従って図４に示した従来例の軸流送風機が 失速状態で運転されている場合の騒音レベル低減対策として騒音防止リング（７ ）を取付けると効果が大で安価に改造できる。

【００１１】 尚、騒音防止リング（７）の材質は、普通の鉄板でも、吸音作用のある物でも 、かまわない。また、ケーシング（１）に、吸音材を取付けて、消音効果を増大 させる構造にしてもかまわない。そしてまた、ケーシング（１）を図１のように 一体物として長くしないで、図４に示した従来の標準のケーシングに、騒音防止 リングを内周に取付けた図示しないケーシングをフランジ取合で接合してもかま わない。

【００１２】

【考案の効果】

以上説明したように本考案によれば、構造が簡単であり、従来のものを改造す ることも容易に出来、安価な低騒音の軸流送風機を提供することが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の軸流送風機を示す縦断面
図。

【図２】ダンパ開度が８／８の場合の騒音特性を示す曲
線図。

【図３】ダンパ開度が５／８の場合の騒音特性を示す曲
線図。

【図４】従来の標準の軸流送風機を示す縦断面図。

【符号の説明】

１…ケーシング ２…駆動機 ３…取付脚 ４…軸流翼 ５…回転軸 ６…取付部材 ７…騒音防止リング

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 円筒状ケーシング内に駆動機で駆動され
   る軸流翼を有する軸流送風機において、翼吸込側のケー
   シングを軸流翼より軸方向外側に一体延長又は接合延長
   によって長くし、その長くしたケーシングの内周側に取
   付部材を介して取付け、ケーシング内周と若干の隙間を
   有し、軸流翼外周近傍に位置する端部を有する円筒状の
   騒音防止リングを設けたことを特徴とする軸流送風機。