JPS6223255Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は電動機における冷却フアンに関するも
のであり、その目的とするところは風量が多く、
冷却能の優れた電動機における冷却フアンを提供
することにある。

従来、電動機用冷却フアンとしては金属製のも
のが用いられてきたが、近年、価格、回転時のバ
ランス、安全性、騒音の点でプラスチツク製のフ
アン、特にプロペラフアンが多く用いられる傾向
にある。このプラスチツク製のフアンにおいては
羽根の補強のために羽根先端部を連らねてなり且
つ、羽根先端部と同じ幅を有する補強リングを設
けていた。しかし、従来の補強リングが設けられ
た冷却フアンを備えた電動機にあつては、補強リ
ングの内側にカーボン粒、ほこり等が付着すると
いう問題点があつた。さらに実験の結果補強リン
グの一部が円滑な送風を阻害しているという事実
も明らかになつた。

本考案は、上記知見に基づきなされたものであ
り、ケーシング内の電動機の主軸に、ボスより放
射方向に複数の羽根が突設されたフアンが取付け
られ、前記羽根により吸引されて電動機部分を軸
方向に通過する空気をフアンの吐出側において放
射方向に排出するように設けられた電動機の冷却
フアンとして、特に前記羽根の先端部に、該先端
部同士をその吐出側の側端から所定幅を除いて連
結する、軸方向の短筒形状をなす補強リングを設
けることにより、上記問題点を解決したものであ
る。以下、図面に示す実施例に従い詳述する。

第１図および第２図において、１は本考案に係
る電動機の冷却フアンであつて、この場合は電動
工具の本体ケーシング１０内に配置された電動機
１１の主軸１２に装着されており、本体ケーシン
グ１０は電動機１１のケーシングを兼ねている。
前記フアン１は、ボス２から放射方向に複数の羽
根３が突設され、前記羽根３により吸引されて電
動機１１部分を軸方向に通過する空気をフアン１
の吐出側において放射方向に排出するように設け
られている。１３は空気の吸入孔、１４は排出孔
であり、１５は主軸１２を支承するベアリングの
うちの一つを示したものである。そして前記フア
ン１には、羽根３の先端部６をその吐出側の側端
から所定幅Ｗを除いて連結する、軸方向の短筒形
状をす補強リング４が設けられている。いる。す
なわち、羽根３の先端部６の軸方向の幅Ｗと同じ
幅の補強リングを設けるのではなく、吐出側の側
端から所定幅（Ｗ）だけ除いて補強リング４を設
けている。５はボス２の内壁に設けられたスプラ
インであり、主軸１２に設けられたスプライン１
６と嵌合して同伴回転可能に取付けられる。

電動機１１が作動して主軸１２が回転するとそ
れとともに冷却フアン１が回転し、その結果吸入
孔１３より空気が吸入され、本体ケーシング１０
内の電動機１１の部分を軸方向に通過してフアン
１の吐出側において排出孔１４より放射方向に排
出されて電動機１１を冷却する。この際フアン１
の回転により排出孔１４側へ吐出される気流は軸
方向に平行なものではなく、羽根３により径方向
外周への力を与えられているので放射状に広がつ
たものとなる。そのため、従来の電動機用冷却フ
アンにおいては第３図に示すように、放射状に広
がつて形成された気流が補強リングの吐出側の内
側に当たつて屈曲され、これとフアンの中心側か
ら送られてくる気流とが衝突して気流の乱れが生
じて風量の低下を招いていた。

これに対して、本考案に係る電動機の冷却フア
ンは、羽根の先端部に設けられた補強リングが軸
方向の短筒形状であつて、フアンによる空気の吸
込み方向と平行方向をなしているので、フアンに
よる吸込み作用で電動機部分を軸方向に通過する
空気の流れ、つまりフアンによる吸込み作用が何
等阻害されずスムーズに行なわれ、しかもこれに
加えて、吐出側の側端から所定幅の間には補強リ
ングを有していないので、羽根によつてその吐出
側で放射状に広がつて形成された気流が補強リン
グに当つて屈曲するような気流の乱れ現象が生じ
ず、放射状に広がつた静かなかつスムーズな流れ
の気流が発生することになり、冷却空気の放射方
向への排出が良好に行なわれる。そのため風量が
増加して電動機の温度上昇を低下することができ
る。出願人の行なつた実験の結果、従来の冷却フ
アンを用いた場合に、電動機のアマチユアコイル
の温度は約75℃上昇するのに対し、本考案に係る
冷却フアンで、羽根３の先端部６を、その吐出側
の側端から、羽根３の先端部６の軸方向の幅Ｗの
約1/2の幅Ｗを除いて連らねてなる補強リング４
を設けたものを用いた場合には約68℃の温度上昇
しか発生せず、電動機の温度上昇は約10％低下で
きた。また気流がスムーズに流れるため、カーボ
ン粒、ほこりが付着する現象も発生しなかつた。

補強リング４を設けない先端部６の吐出側の側
端からの幅Ｗは、上記のように羽根３の先端部６
の軸方向の幅Ｗの1/2程度に限らず、それ以下の
幅、例えば1/3程度でも十分効果があるし、また
1/2以上の幅に形成してもよい。

なお上記には本考案に係る電動機用冷却フアン
を電動工具に適用した実施例を示したが、言うま
でもなく、他の用途に用いる電動機に適用するこ
とも可能である。また、電動機の主軸に取付ける
手段も、上記のようなスプライン５，１６の他
に、キーを用いたり螺着する等種々の変更が可能
である。

以上のように本考案によれば、気流がスムーズ
に流れて排出されるのでカーボン、ほこり等が付
着することがなく、また風量を増加することがで
きるので電動機の温度上昇を低下でき電動機の耐
久性を向上することができるという特徴を有して
いる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案の実施例を示す図
で、第１図は電動工具に適用した例を示す一部欠
截図、第２図は斜視図、第３図は従来の冷却フア
ンによる気流を示す一部欠截断面図、第４図は本
考案に係る冷却フアンによる気流を示す一部欠截
断面図である。 １……電動機用冷却フアン、２……ボス、３…
…羽根、４……補強リング、６……羽根の先端
部、１２……主軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ケーシング内の電動機の主軸１２に、ボス２よ
   り放射方向に複数の羽根３が突設されたフアン１
   が取付けられ、前記羽根３により吸引されて電動
   機部分を軸方向に通過する空気をフアン１の吐出
   側において放射方向に排出するように設けられた
   電動機の冷却フアンであつて、前記羽根３の先端
   部には、該先端部同士をその吐出側の側端から所
   定幅を除いて連結する、軸方向の短筒形状をなす
   補強リング４が設けられてなることを特徴とする
   電動機における冷却フアン。