JPH0687679A - 無機酸化物の表面修飾組成物およびその製造方法 - Google Patents

無機酸化物の表面修飾組成物およびその製造方法

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JPH0687679A
JPH0687679A JP23462892A JP23462892A JPH0687679A JP H0687679 A JPH0687679 A JP H0687679A JP 23462892 A JP23462892 A JP 23462892A JP 23462892 A JP23462892 A JP 23462892A JP H0687679 A JPH0687679 A JP H0687679A
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JINKOU NENDO GOSEI GIJUTSU KEN
JINKOU NENDO GOSEI GIJUTSU KENKYU KUMIAI
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JINKOU NENDO GOSEI GIJUTSU KEN
JINKOU NENDO GOSEI GIJUTSU KENKYU KUMIAI
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 セラミックス原料の主要構成相となりうる無
機酸化物と、糖類または親水性ポリマーのような有機化
合物とを水熱処理することにより得ることができる前記
無機酸化物の表面修飾組成物。 【効果】 無機酸化物の可塑性、および安定性が改善さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、特定の有機分解物が表面に付着
した無機酸化物の表面修飾組成物に関する。このような
組成物は、一定の有機化合物と無機酸化物を水熱処理す
ることにより有利に製造できる。本発明により、特に、
可塑性に優れたセラミックス原料が提供される。
【0002】
【従来の技術】従来の無機酸化物セラミックス原料の中
にはアルミナ、ジルコニア、カオリナイトなどのよう
に、可塑性が悪く、それを改善する目的で高分子有機物
や無機可塑剤(または、媒溶材原料)を添加して使用し
てきたものが多い。例えば、特開平2−160656号
公報のように非可塑性の無機粉体に多糖類を添加して可
塑性を持たせる方法がある。しかし、これらの中には十
分な可塑性を示さないか、逆に、粘りが強すぎて成形が
困難であったり、乾燥しにくく、また乾燥や焼成時に起
こる収縮が大きすぎ、そのため成形体が変形したり、き
裂を生じやすい欠点を有するものがある。
【0003】ところで、一般的な、無機酸化物の表面修
飾に関する別の試みとして、カップリング反応などを応
用した有機物を無機酸化物またはその誘導体に直接化学
結合する方法も行われている。例えば、特公昭60−2
5399号公報のようにセラミックス物品表面を被覆し
て耐久性を増したものがあるが、可塑性の改善を目指し
たものではない。また、特開平3−257007号公報
のように耐火性粒子の表面に熱分解被膜を生成する方法
があるが、この方法は非水系で600〜1500℃を要
する反応である。
【0004】更には、日本セラミックス協会年会講演予
稿集.VOL.1991.138頁(1991)のよう
に有機物としてキチンを、無機物として水酸アパタイト
を使用して130℃以下というキチンが分解しない温度
で水熱ホットプレスによって水酸アパタイト−キチン複
合体を調製して靱性を高めている。一方、セラミックス
原料として広範に利用されているアルミナ、ジルコニ
ア、カオリナイトなどおよびこれらを材料として製造さ
れたセラミックス製品は水熱条件下で溶解し徐々に劣化
を生じるという問題点があった。例えば、αアルミナ
(α−A12 3 )は原料粉末の状態で100℃以上の
水を含んだ高温条件で水酸化アルミニウム(ギブサイト
およびベーマイト)に変化すると問題があり、同様にア
ルミナ製品においても同条件下で溶解が生じ劣化すると
いう問題がある。
【0005】従って、セラミックス原料を水性雰囲気下
で加熱処理することは、前記水熱ホットプレスを用いる
例を除いて行われていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年のセラミックス技
術の発展にともないセラミックス製品の応用範囲も多様
化しており、形状も複雑化し、使用される環境条件も多
様化している。ところで、良質のセラミックス原料、例
えば本山木節粘土は既に枯渇状態にあり、蛙目粘土も枯
渇しつつあり、質の悪い原料も使いこなさなければなら
なくなってきている。例えば、ジョージアカオリンは莫
大な埋蔵量を誇る天然無機酸化物であるが、可塑性が乏
しいため単独で利用することができない。このような観
点、およびさらに優れた性質を示すものに対する要望に
応えるべく、人為的に制御された性質をもつ人工原料を
使用する機会も増大している。
【0007】このような状況下で可塑性および耐久性に
優れた有機物修飾された各種無機酸化物およびその製造
法を提供することは当該分野において有意義であろう。
従って、本発明の目的は、特に、セラミックス原料とし
て可塑性および耐久性に問題のある無機酸化物に優れた
可塑性および耐久性を付与した新たな組成物およびその
製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するため良質の粘土が作り出される条件は、粘土
鉱物と有機化合物が水の存在下で長い年月に亘って腐食
複合化することに着目し、鋭意研究を重ねた結果、無機
酸化物セラミックス原料に一定の有機化合物を添加し、
水性雰囲気下で水熱処理することにより前記問題点の解
決された組成物が得られることを見い出し本発明に至っ
た。
【0009】従って、本発明によれば、無機酸化物の存
在下で水熱処理することにより分解されうる有機化合物
の有機分解物が表面に付着した前記無機酸化物の表面修
飾組成物を提供することにより前記課題が解決される。
また、本発明は、かかる表面修飾組成物の製造方法に向
けられる。こうして得られた無機酸化物の表面修飾組成
物は、無機酸化物が有機分解物と同色に着色し、この着
色が繰り返し水洗により脱色されないこと、そして示差
熱分析(DTA)および粉末X線回折により、無機酸化
物の表面が有機分解物によって修飾されていることが確
認されている。さらに、このような表面修飾組成物の可
塑性を泥漿の粘度、可塑限界水分により評価した。更
に、この表面修飾組成物の耐久性を水熱条件下での試験
により評価したところ、いずれも良好な性質を示した。
【0010】
【発明の具体的な態様】本発明で使用する無機酸化物
は、一般に、セラミックス原料の主要構成相となりうる
無機酸化物の1種または2種以上からなる化合物または
組成物であって、本発明の目的を達成できるものであれ
ば、その由来、種類を問わない。具体的には、ケイ素、
アルミニウム、チタン、ジルコニウムおよびこれらの混
合物から選ばれる元素1種以上の酸化物(または複合酸
化物)を主要構成成分とするもの、ならびにその水和物
(または、これらの酸化物から誘導される無機酸)が本
発明にいう無機酸化物である。これらの酸化物には、天
然の鉱物を形成する他の少量無機酸化物または無機塩、
例えば、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化鉄、炭
酸バリウム、酸化バリウム、酸化クロムなどが含まれて
いてもよく、また前記主要構成成分の一部が無機酸の形
態をとる場合にはそれらを塩の形態で含んでいてもよ
い。
【0011】セラミックス原料との関連で、さらに具体
的に説明すると、前記無機酸化物としては、例えば、合
成材料としてはアルミナ、ジルコニア、カオリナイト、
ムライト、コーディエライト、水酸アパタイトなどが、
天然材料としては、ジョージアカオリンなどの可塑性の
乏しいカオリン鉱物、セピオライト、骨灰などが挙げら
れる。
【0012】本発明の目的上、以上の可塑性の乏しい無
機酸化物が好ましくは使用されるが、それらの中の可塑
性に優れるカオリン、セピオライト、その他ベントナイ
トも本発明にいう無機酸化物に包含される。さらに、特
殊な構造をもつ、例えば、雲母、緑泥石、タルク、スメ
クタイト、蛇紋石などの層状珪酸塩鉱物も本発明にいう
無機酸化物の範疇に入いる。これらのうち、本来的に優
れた可塑性を有するものである場合には、本発明により
それらの可塑性を変性し、さらには前述したような耐久
性の向上を図る目的でそれらを使用することができる。
【0013】これらの無機酸物の存在下で水熱処理する
ことにより分解されうる有機化合物とは、水熱処理を通
して分解され前記無機酸化物の表面に付着して、本発明
の目的を達成しうるものであれば、その種類を問うこと
なく使用することができる。一般的には、糖類およびそ
れらの誘導体、アミノ酸およびそれらの誘導体、親水性
合成ポリマーなどが使用される。糖類およびそれらの誘
導体は、単糖類から多糖類までを包含する概念であり、
具体的なものとしては、マンノース、グルコール、フラ
クトース、ガラクトース、キシロースなどの単糖類、マ
ルトース、ラクトース、スクロース、パラチノース、ラ
フィノース、澱粉加水分解水飴などのオリゴ糖類、上記
糖類の還元糖部分に水素添加したマンニトール、ソルビ
トール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、
パラチニット、還元水飴などの糖アルコール類、澱粉、
グリコーゲン、セルロース、マンナン、ペクチン、アル
ギン酸、キチン、ヘミセルロース、植物ゴム、植物粘質
物、紅藻の粘質多糖、デンプン、カルボキシメチルセル
ロース、メチルセルロースなどの多糖類が挙げられる。
【0014】アミノ酸およびそれらの誘導体としては、
グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシ
ン、セリン、トレオニン、システイン、シスチン、メチ
オニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アル
ギニン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、ト
リプトファン、プロリンオキシプロリン、ならびにこれ
らのエステルおよびポリマー、例えば、ゼラチン、カゼ
イン、などが挙げられる。親水性合成ポリマーとして
は、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、
ポリエチレングリコール、およびポリビニルアルコー
ル、ならびにポリアクリル酸、ポリメタクリル酸および
それらのエステルが挙げられる。さらに、メラニン樹
脂、ポリウレタンなどを含め、各種ワックス類も使用で
きる可能性がある。これらのうち、糖類およびそれらの
誘導体を、特に好適に使用することができる。
【0015】本発明でいう水熱処理とは、前記有機化合
物を無機酸化物の存在下で水と共に100℃を越える温
度で処理する操作をいう。この操作を通して有機化合物
が分解し、その有機分解物が共存する無機酸化物表面に
付着する。この付着の機構は解明されていないが、水熱
処理条件下で有機分解物が無機酸化物表面との相互作用
により化学的または物理的に結合されるため、前述のよ
うに水洗では剥離が起こらないような、本発明の表面修
飾組成物を与えるものと思われる。
【0016】このように有機分解物により表面が修飾さ
れた組成物の可塑性が良好になることは、原料無機酸化
物では、それらの泥漿の粘度、可塑限界水分および塑性
を示す塑性図において、いわゆる有機質粘土の領域から
外れるものが、本発明の組成物とすることで有機質粘土
の領域(図1の斜線部分、液性限界50%以上、塑性指
数30以上)に入るようになることから理解できる(塑
性図の意義については、土の物理学−土質工学の基礎−
土壌物理研究会編、森北出版、21頁参照)。
【0017】本発明の組成物は、前記無機酸化物と前記
有機化合物とを水性雰囲気中で水熱処理することにより
都合よく製造することができる。水熱処理は、その条件
として前述のように100℃を越える温度が選ばれる
が、現実的な操作の容易性を考慮すると、350℃以
下、好ましくは100〜220℃の温度において、密閉
系、すなわちオートクレーブ中で通常行う。また、水性
雰囲気とは、加圧下の水分を主体とする気相または液相
の状態にある反応環境をいい、使用する無機酸化物およ
び有機化合物の性質に応じて適宜具体的な条件が選ばれ
る。この雰囲気中には、圧力調整または、液相が使用さ
れる場合には有機化合物の液相への親和性を高めるなど
の目的で、それぞれ窒素ガス、その他の不活性ガスまた
は低級アルコール類を加えてもよい。
【0018】水熱処理系に加えられる有機化合物と無機
酸化物の割合は、使用するこれらの原料の種類や目的と
する修飾の程度によって変動するので限定的でないが、
一般に、無機酸化物に対して有機化合物が0.05〜5
0重量%、好ましくは0.1〜10重量%で使用され
る。処理時間もまた、使用する両原料によって最適時間
が変動するが、有機化合物として単糖類を使用する場合
には、処理温度100〜375℃において、30秒〜7
日かけるのがよい。
【0019】こうして得られる本発明の組成物の特性な
どは、以下の実施例において具体的に説明する。
【0020】
【実施例】以下、本発明のさらなる理解を容易にする目
的で、具体的な本発明の組成物の製造方法、および得ら
れた組成物の物性を明らかにする。なお、例中のパーセ
ンデージは特記しない限り、重量%で表示する。実施例1 合成カオリナイト粉末(人工粘土普及会:TD)80
g、蒸留水40mlを100ml容の高温高圧分解容器(オ
ートクレーブ)に入れ、ポリメタアクリル酸メチル(試
薬グレード、重合度=6000、以下PMMAと略す)
を合成カオリナイト粉末に対して、1.0%、5.0
%、または10.0%加えて温度180℃で1日、2
日、3日間反応した。反応終了後、蒸留水を加えて全量
を300mlとし、攪拌・遠心分離し、上澄液を除去し
た。さらに蒸留水で全量を300mlとし、攪拌・遠心分
離を3回繰り返し洗浄し、表面修飾した合成カオリナイ
ト組成物を得た。この得られた組成物を40℃で乾燥粉
砕し、粉末X線回析(XRD)・示差熱分析(DTA)
・熱重量分析(TG)で有機化合物による表面修飾の有
無を確認した。DTAの測定結果は、PMMA無添加の
系では有機化合物の燃焼ピークは認められなかったが、
PMMA添加系ではそれぞれ有機化合物による燃ピーク
が約350℃に認められた。また、TGの測定結果より
カオリナイトへのPMMA分解付着率を、150〜40
0℃における重量減少より求めた。
【0021】結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】また、本発明の処理前後の試料(PMMA
5.0%添加)に対するXRD測定結果図を図2に示
す。表1より、カオリナイトがPMMAの添加割合に従
い、一定量の有機化合物で修飾されていることがわか
り、そして図2より、修飾組成物が安定化されたことが
明らかになった。
【0024】実施例2 低ソーダアルミナ粉末(住友アルミニウム(株)製:A
ES−11C)80g、蒸留水40mlを100ml容の高
温高圧分解容器に入れ、糖アルコール(日研化学(株)
製:エスイー57)およびグラニュー糖を10%加えて
温度110℃、150℃および180℃で3日間反応し
た。この反応物を実施例1と同様に蒸留水で洗浄を3回
繰り返し、表面修飾した低ソーダアルミナを得た。得ら
れた組成物は、実施例1と同様の方法で有機化合物によ
る表面修飾の有無を確認した。
【0025】XRDの測定結果は、実施例1のPMMA
添加処理物と同様に無機酸化物が安定化されたことを示
した。TGの測定結果を表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】実施例3 実施例2でグラニュー糖を用いて、表面修飾したアルミ
ナ組成物を5倍量の蒸留水で洗浄を5回繰り返した。洗
浄回数に伴う有機化合物の修飾量に変化は見られず、分
解した有機化合物が強固にアルミナ表面に吸着または結
合していることがわかった。
【0028】実施例4 実施例2で調製した各反応温度で2種類の有機化合物で
修飾した低ソーダアルミナ各2gにそれぞれ16mlの蒸
留水を加えて、25ml容の高温高圧分解容器中で処理温
度に合わせそれぞれ110℃、150℃および180℃
の処理を行った。無添加、糖アルコール添加およびグラ
ニュー糖添加のXRD測定の結果図をそれぞれ図3〜5
に示す。有機化合物無添加の場合は、110℃ではギブ
サイト(水酸化アルミニウム)、150℃以上ではベー
マイト(水酸化アルミニウム)が生成するが、表面修飾
を行ったアルミナには変化は見られず、水熱条件下で安
定なことが示された。
【0029】実施例5 天然の白色度の高い関白カオリン50gとグラニュー糖
50gを還流管付きの300mlの三角フラスコに入れ、
蒸留水100mlを加えてヒーター付きマグネチックスタ
ーラーで攪拌しながら1昼夜煮沸させた後、300mlの
蒸留水で4回洗浄を行い余剰の有機物を除去した。
【0030】関白カオリン組成物は茶色く着色し、有機
化合物により修飾されていることが確認された。XRD
において関白カオリン自体に変化は見られなかった。実施例6 容量が100mlの回転式分解反応容器(三愛科学(株)
製)に低ソーダアルミナ(AES−11C)30gと糖
アルコール(日研化学(株)製、エスイ−100)を5
g添加し、水30mlと直径4mmのアルミナボール60g
を入れて、回転軸付きの循風電気炉内で180℃の温度
で2日間回転させた。冷却後取り出した低ソーダアルミ
ナは着色していた。これを十分洗浄の後、有機物修飾量
をTGで測定したところ、修飾後の低ソーダアルミナ組
成物に対し0.71%の有機分解物が修飾されていた。
【0031】実施例7 ムライト粉末(共立窯業(株)製:KM ムライト 1
01)4g、乾燥酵母(試薬)0.4g、水10mlを容
量が20mlの内容器がチタン製の高温高圧容器に入れ、
240℃で12時間反応させた。反応後のムライトは焦
げ茶色に着色し、これをXRDで調べたところ図6に示
すようにムライト自体の変化は見られなかった。
【0032】実施例8 重量が5gのコーディエライト粉末(丸ス釉薬(資):
SS−200)に、砂糖0.2g、水10mlを添加し、
150℃で3日間反応させた。コーディエライトに変化
はなく、有機分解物による修飾が確認された。実施例9 実施例1に準じ、10%のPMMA(試薬)を添加して
作成した表面修飾合成カオリナイト組成物100gに水
70mlを加えて練土とし、Pfefferkorn 法(K.Pfefferk
orn, Sprechsaal, 1924, 57, 297;1925, 58, 183, 参
照)にて可塑性評価を行った。
【0033】その結果、表面修飾合成カオリナイト組成
物はロクロ成型に適度な可塑性を示す含水率PI値が減
少した。すなわち、本発明の組成物のPIは35.6%
であり、未処理物のPIは39.0%であった。実施例10 実施例1に準じ、5%のPMMAを添加して作成した表
面修飾合成カオリナイト組成物50gに水50mlと50
%濃度の1号水ガラス0.3mlを添加し、ボールミルで
2時間分散後の泥漿の粘性を測定した。
【0034】その結果、未処理の合成カオリナイト粉末
を同様に泥漿にしたもの(cp=1035)に較べて、
表面修飾を行った合成カオリナイト組成物(cp=63
9)の泥漿粘性は低くなった。実施例11 180℃の温度で低ソーダアルミナ粉末(住友アルミニ
ュウム:AES−11C)120gに水120mlと糖ア
ルコールを10%添加したものを、2mmφのアルミナビ
ーズを240g入れた回転式高温高圧容器中で反応させ
て表面修飾を行った。
【0035】次に、Atterberg 法(JIS A 1206−1
970,JIS A 1205−1980)にて塑性図(日本
統一土質分類図)を作成し可塑性を評価したところ、図
7に示すように未処理の低ソーダアルミナは天然の可塑
性粘土の示す領域から大きく外れるが、表面修飾を施し
たものは天然の可塑性粘土の示す領域内に示される。実施例12 ムライト粉末(KM ムライト 101)200gにセ
ルロース製ろ紙(ADVANTEC製)をろ紙乳として7%添加
し、水分量がムライト粉末に対して200%となるよう
添加し、高温高圧容器中で220℃で3日間表面修飾を
行った。次によく洗浄後、Atterberg 法にて可塑性試験
を行った。
【0036】その結果、図8に示す塑性図(日本統一土
質分類図)で分るように未処理の練土に対して表面修飾
したものの練土は天然の可塑性粘土の示す領域に推移
し、可塑性が良くなっていることが示された。実施例13 実施例9で作成した有機修飾合成カオリナイト粉末50
部と石英粉末50部を適当量の水と混練し、石膏型を用
いて5cm×10mmφの円柱を作成し、乾燥後スパン30
mmにて3点曲げ試験を行った。これを同様の操作から作
成した未処理の合成カオリナイトと比較したところ、表
面修飾を施した合成カオリナイトの曲げ強度(kgf/c
m2 )は45であり、未処理物の30に比し向上し、成
型性が改善された。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、一定の有機化合物の水
熱処理によって生成する有機分解物が表面に付着した無
機酸化物の表面修飾組成物およびその製造方法が提供さ
れる。この組成物は可塑性に乏しい出発原料の無機酸化
物に可塑性が付与されており、さらに、水熱処理条件下
で安定性が高まっている。また、セラミックス原料とし
て適する諸物性を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な土質を分類する塑性図である。
【図2】カオリナイトを、PMMAを使用する水熱処理
することにより得られた本発明の組成物のXRD測定結
果図である。
【図3】有機物無添加による低ソーダアルミナの水熱処
理して得られた比較組成物のXRD測定結果図である。
【図4】糖アルコール添加による低ソーダアルミナの水
熱処理により得られた本発明の組成物のXRD測定結果
図である。
【図5】グラニュー糖添加による低ソーダアルミナの水
熱処理により得られた本発明の組成物のXRD測定結果
図である。
【図6】酵母添加によるムライトの水熱処理により得ら
れた本発明の組成物のXRD測定結果図である。
【図7】糖アルコール添加による低ソーダアルミナの水
熱処理により得られた組成物を無添加のものと比較する
塑性図である。
【図8】セルロース添加によるムライトの水熱処理によ
り得られた組成物を無添加のものと比較する塑性図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡村 信治 愛知県名古屋市名東区平和が丘1−70 猪 子石住宅3−103 (72)発明者 宮脇 律郎 愛知県名古屋市西区砂原町199番地 太陽 ハイツ2A (72)発明者 芝崎 靖雄 愛知県名古屋市東区橦木町1丁目10番地 橦木住宅2−31 (72)発明者 丸山 真一 愛知県蒲郡市形原町下川原32番地の2

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機酸化物の存在下で水熱処理すること
    により分解されうる有機化合物の有機分解物が表面に付
    着した前記無機酸化物の表面修飾組成物。
  2. 【請求項2】 前記無機酸化物が、ケイ素、アルミニウ
    ム、チタン、ジルコニウム、マグネシウムおよびこれら
    の混合物から選ばれる元素1種以上の酸化物またはそれ
    らの水和物を主要構成成分として含むものである請求項
    1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 前記有機物が糖類およびそれらの誘導
    体、アミノ酸およびそれらの誘導体、タンパク質および
    親水性合成ポリマーから選ばれる請求項1または2記載
    の組成物。
  4. 【請求項4】 無機酸化物と、その無機酸化物の存在下
    で水熱処理することにより分解されうる有機化合物と
    を、水性雰囲気中で水熱処理することを特徴とする請求
    項1記載の表面修飾組成物の製造方法。
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