JP2014105132A - セリア−ジルコニア複合酸化物材料及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 セリア原料及びジルコニア原料を水滴中に含む油中水滴型のエマルションを形成し、前記油中水滴型エマルションに中和剤を添加して得られるセリウム−ジルコニウム水酸化物粒子を、還元雰囲気下で焼成してセリア−ジルコニア複合酸化物と炭化物とを含む第1の焼成体を取得し、前記第1の焼成体を酸化雰囲気下で焼成して前記第1の焼成体中の炭化物を除去して第2の焼成体を取得し、水と、少なくとも二つのヒドロキシ基を含むヒドロキシ基含有化合物と、前記第2の焼成体と、を含有し、アルカリ性である原料液を加熱して、前記第2の焼成体からパイロクロア相を有するセリア−ジルコニア複合酸化物の粒子を分離するようにする。
【選択図】図1
Description
セリア原料及びジルコニア原料を水滴中に含む油中水滴型のエマルションを形成し、
中和剤により水滴中にセリウムージルコニウム水酸化物を生成させた後、このエマルションを乾燥して乾燥物を取得し、
前記乾燥物を、還元雰囲気下で焼成してセリア−ジルコニア複合酸化物と炭化物とを含む第1の焼成体を取得し、
前記第1の焼成体を酸化処理して前記第1の焼成体中の炭化物を除去して第2の焼成体を取得し、
水と、少なくとも二つのヒドロキシ基を含むヒドロキシ基含有化合物(α―ヒドロキシ酸などの)と、前記第2の焼成体と、を含有し、アルカリ性である原料液を加熱して、前記第2の焼成体からセリア−ジルコニア複合酸化物の粒子を分離する、製造方法。
(2)前記水熱処理は、50℃以上200℃以下で行う、(1)に記載の製造方法。
(3)微粒化された前記セリア−ジルコニア複合酸化物粒子は、κ相を有する球状粒子であって、平均粒子径が50nm以下である、(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4) セリア−ジルコニア複合酸化物材料であって、
パイロクロア相を有し、平均粒子径が50nm以下である、セリア−ジルコニア複合酸化物粒子を含む、材料。
(5)前記粒子の平均粒子径が20nm以下である、(4)に記載の材料。
(6)前記粒子の平均粒子径が15nm以下である、(4)又は(5)に記載の材料。
(7)内燃機関の排ガス浄化用触媒の酸素貯蔵材料である、(4)〜(6)のいずれかに記載の材料。
(8)排ガス浄化装置であって、
(4)〜(7)のいずれかに記載のセリア−ジルコニア複合酸化物材料を含む触媒相を備える、装置。
本発明のセリア−ジルコニア複合酸化物材料は、以下の工程を実施することで製造することができる。製造方法の一例を図1に示す。
(b)セリア−ジルコニア複合酸化物と炭化物とを含む第1の焼成体を得る第1の焼成工程
(c)第1の焼成体から炭化物を除去した第2の焼成体を得る第2の焼成工程
(d)第2の焼成体からセリア−ジルコニア複合酸化物の粒子を分離する水熱処理工程
油中水滴型エマルション形成工程は、水滴中にセリア原料及びジルコニア原料を含む油中水滴型エマルションを形成する工程である。セリア原料及びジルコニア原料は、還元雰囲気下での熱分解によりセリア及びジルコニアをそれぞれ生成するものであれば特に限定されない。例えば、セリウムやジルコニウムの各種の塩又は水酸化物を利用することができる。セリウム塩及びジルコニウム塩は、例えば、硝酸塩,硫酸塩,亜硫酸塩,塩化物,各種無機錯塩などの無機塩、カルボン酸塩,ハロゲン化オキソ酸塩、各種有機錯塩などの有機塩を用いることができる。
水酸化セリウム及び水酸化ジルコニウムを含むセリウム−ジルコニウム水酸化物粒子を形成するには、以下の方法を採用できる。すなわち、セリウム塩及びジルコニウム塩をセリア原料及びジルコニア原料として水滴中に含む油中水滴型エマルションを形成後に、このエマルションをアルカリで中和して水不溶性の各水酸化物を水滴中に生成させることで、セリウム−ジルコニウム水酸化物粒子を不溶物(沈殿物)として取得できる。なお、中和工程においては、必要に応じて界面活性剤や非水溶媒を添加することができる。界面活性剤及び非水溶媒も、既に説明した公知の材料を特に限定しないで用いることができる。アルカリは、無機、有機アルカリを問わずに用いることができる。好ましくは、金属イオンを含まないアンモニアなどの有機アルカリを用いる。中和工程において設定されるpHは、8以上14以下とすることができる。好ましくは、8以上10以下とすることができる。
第1の焼成工程は、乾燥後のセリウム−ジルコニウム水酸化物粒子を還元雰囲気下で焼成して、第1の焼成体を得る工程である。還元焼成することで、油分や界面活性剤等に由来する炭化物を粒子間に有するセリア−ジルコニア複合酸化物粒子が集合した複合体である第1の焼成体を得ることができる。還元焼成は、窒素、アルゴン等の公知の不活性ガス、もしくは水素を用い、1200℃以上1500℃以下、好ましくは1200℃以上1300℃以下の温度範囲で、数時間程度、例えば、1時間以上6時間以下、好ましくは2時間以上5時間以下程度焼成する。
第2の焼成工程は、第1の焼成工程後に得られる第1の焼成体をさらに酸化雰囲気で焼成して、第2の焼成体を得る工程である。こうすることで第1の焼成体中のセリア−ジルコニア複合酸化物粒子間の炭化物を除去して、セリア−ジルコニア複合酸化物からなる粒子を含む第2の焼成体を得ることができる。第2の焼成工程の加熱条件は特に限定しないで、第1の焼成体から炭化物が除去できる温度及び時間とすればよい。典型的には、第2の焼成工程は、空気などの酸化雰囲気下で、400℃以上600℃以下で加熱する。第2の焼成体にあっては、通常、炭化物が酸化除去された後も、依然として粒子が集合状態を採っている。例えば、第2の焼成体は、10nmから20nm程度の1次粒子が5〜6個程度凝集してできた二次粒子が数珠繋ぎのようにさらに凝集している。
水熱処理工程は、第2の焼成体を、少なくとも2つのヒドロキシ基を有するヒドロキシ基含有化合物と、水とが存在するアルカリ性である原料液を加熱して、第2の焼成体からセリア−ジルコニア複合酸化物粒子を分離する工程である。
(1)セリア−ジルコニア複合酸化物粒子は、実質的にセリア−ジルコニア複合酸化物の固溶体からなる粒子である。
(2)パイロクロア相(κ相)を有している。具体的には、CuKαを用いたX線回折パターンの2θ角が、14°、28°、37°、44.5°及び51°の位置に回折角ピークを有していることを意味している。
(3)平均粒子径が50nm以下である。
ただし、平均粒子径の測定は、TEM観察によるものとする。
(4)粒子の平均粒子径が20nm以下である。
(5)粒子の平均粒子径が15nm以下である。
(6)OSC量が、400℃において250μmolOg-1以上である。(ただし、O22%含有ガス30秒−CO22%含有ガス30秒を1ml/分で供給時において、0.5g試料を用いたときのOSC量である。)
(7)OSC量が、300℃において50μmolOg-1以上である。(ただし、O22%含有ガス30秒−CO22%含有ガス30秒を1ml/分で供給時において、0.5g試料を用いたときのOSC量である。)
本発明のセリア−ジルコニア複合酸化物材料は、セリア−ジルコニア複合酸化物固溶体を主体とする粒子を含んでいる。すなわち、当該固溶体を最も優勢成分として有することが好ましい。したがって、前記粒子は、セリア−ジルコニア複合酸化物固溶体を全体の50モル%を超えて有していることが好ましい。より好ましく60モル%以上であり、さらに好ましくは70モル%以上であり、一層好ましくは80モル%以上であり、より一層好ましくは90モル%以上であり、さらに一層好ましくは95モル%以上であり、実質的に当該固溶体のみからなることが最も好ましい。なお、セリア−ジルコニア固溶体は、EDXやX線回折スペクトルなどを組み合わせるなどして確認することができる。
Ce(NO3)3・6H2OとZrOCl2・8H2Oとを水に溶解して、それぞれが0.5mol/lの水溶液を調製した。ポリ(オキシエチレン)ノニルフェニルエーテル(n=5)(NP−5)のシクロヘキサン溶液(0.4mol/l)を調製した。水溶液10mlとこのシクロヘキサン溶液100mlとを、混合して、油中水滴型の原料エマルションを形成した。次いで、1,2−ビス(2−エチルエキシルオキシカルボニル)エタンスルホン酸ナトリウム(AOT)のシクロヘキサン溶液(0.4mol/l)にアンモニア水(試薬特級)を溶解して、透明なアルカリ性エマルションを調製した。その後、これらのエマルションを混合中和して(pH9程度)、この混合液中に沈殿物を得た。
第2の焼成体0.1mol/l、グリコール酸0.4mol/lで、アンモニア水を用いてpHを10に調整した水熱反応液を調製し、この水熱反応液を、150℃で24時間水熱反応を行った。その後、反応後の原料液をろ過して固相を回収し、乾燥し、1種類の粉末(緑がかった黄色)を得た。これらにつき、顕微鏡観察を行った。結果を図3に示す。また、この粉末のほか、比較例として、市販のセリア−ジルコニア粉末(パイロクロアCZ)についても同様に、OSCを評価した。結果を図4に示す。なお、平均粒子径はTEMにて80×120nmの視野中で評価した。粒子数は、15個程度としそのの平均値とした。
Claims (8)
- セリア−ジルコニア複合酸化物材料の製造方法であって、
セリア原料及びジルコニア原料を水滴中に含む油中水滴型のエマルションを形成し、
前記エマルションに中和剤を添加して不溶性のセリウム−ジルコニウム水酸化物粒子を取得して、
前記セリウム−ジルコニウム水酸化物粒子を、還元雰囲気下で焼成してセリア−ジルコニア複合酸化物と炭化物とを含む第1の焼成体を取得し、
前記第1の焼成体を酸化雰囲気下で焼成して前記第1の焼成体中の炭化物を除去して第2の焼成体を取得し、
水と、少なくとも二つのヒドロキシ基を含むヒドロキシ基含有化合物と、前記第2の焼成体と、を含有し、アルカリ性である原料液を加熱して、前記第2の焼成体からセリア−ジルコニア複合酸化物の粒子を分離する、製造方法。 - 前記水熱処理は、50℃以上200℃以下で行う、請求項1に記載の製造方法。
- 前記セリア−ジルコニア複合酸化物粒子は、パイロクロア相を有する粒子であって、平均粒子径が50nm以下である、請求項1又は2に記載の製造方法。
- セリア−ジルコニア複合酸化物材料であって、
パイロクロア相を有し、平均粒子径が50nm以下である、セリア−ジルコニア複合酸化物粒子を含む、材料。 - 前記粒子の平均粒子径が20nm以下である、請求項4に記載の材料。
- 前記粒子の平均粒子径が15nm以下である、請求項4又は5に記載の材料。
- 内燃機関の排ガス浄化用触媒の酸素貯蔵材料である、請求項4〜6のいずれかに記載の材料。
- 排ガス浄化装置であって、
請求項4〜7のいずれかに記載のセリア−ジルコニア複合酸化物材料を含む触媒相を備える、装置。
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