JPH0687643A - セメント或いは石灰の発塵抑制方法 - Google Patents

セメント或いは石灰の発塵抑制方法

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JPH0687643A JP4258960A JP25896092A JPH0687643A JP H0687643 A JPH0687643 A JP H0687643A JP 4258960 A JP4258960 A JP 4258960A JP 25896092 A JP25896092 A JP 25896092A JP H0687643 A JPH0687643 A JP H0687643A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 セメント或いは石灰を粉体状のまま使用で
き、該セメント或いは石灰の固化性能を損なわず、かつ
気温の変化にもその発塵抑制効果が薄れず、しかも簡便
にして廉価なセメント或いは石灰の発塵抑制方法を提供
すること。 【構成】 セメント或いは石灰に、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
或いはグリセリンから選ばれた1種又は2種以上の脂肪
族多価アルコールを1重量%を越え、8重量%までの割
合で添加混合し、セメント或いは石灰の表面に、該脂肪
族多価アルコールを付着させる方法とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セメント或いは石灰の
発塵抑制方法に関し、特に、軟弱地盤、ヘドロ等の固化
処理、或いは耐火被覆工事等の吹き付け工法に使用す
る、セメント或いは石灰の発塵抑制方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、軟弱地盤の土質改良、ヘドロ
の固化処理、或いは下水汚泥・油泥・各種スラッジ等の
産業廃棄物の固化処理を目的として、該軟弱地盤等に所
定量のセメント或いは石灰を添加混合し、該軟弱地盤等
を硬化させることがなされていた。
【0003】しかし、上記軟弱地盤等へのセメント或い
は石灰の添加混合は、その作業時に該セメント或いは石
灰が発塵し、周囲に煙りの如く立ち込め、作業環境を悪
化させると共に、周辺住民に迷惑をかけていた。またこ
の事は、セメントを耐火被覆工事等の吹き付け工法に使
用する際にも、問題となっていた。
【0004】そこで従来は、上記セメント或いは石灰の
発塵を防止するため、 セメント或いは石灰のスラリーを使用する、 圧し固めた小塊のセメント或いは石灰を使用する、 添加したテフロンがフイブリル化したセメント或い
は石灰を使用する、 湿潤消石灰の使用する、 セメント或いは石灰の添加混合時に水による給湿を
行う、 等の方法がとられていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の各発塵抑制方法にあっては、先ずの方法では
約半分が水であるため、粉体状のセメント或いは石灰を
使用するのに比し、その軟弱地盤等への添加混合量が2
倍以上必要となり、またスラリー化したセメント或いは
石灰は保存が出来ないため、現場近くにセメント或いは
石灰をスラリー化するプラントを仮設する必要があり、
規模の大きな地盤改良工事等でないと経済的ではないと
いう課題があった。
【0006】また、の方法では、運搬時のペレットの
一部破砕或いは生石灰成分の吸湿による自己崩壊等によ
り、若干発塵することがあり、また、ペレット状である
ため、必須成分として含有する生石灰の水和反応を待っ
て2次混合を行なう必要があり、その作業に手間取ると
共に、2次混合時に消化した石灰の発塵がみられる等の
課題が存在した。
【0007】さらに、の方法にあっては、該方法を実
施するための装置が大掛かりなものとなり、また加熱工
程等を必要とすることからコストが高く、経済的な方法
ではないという課題があった。
【0008】さらにまた、の湿潤消石灰を使用する方
法にあっては、該材料により改良効果のある土質が限定
され、またその発現強度が低いことから使用範囲が狭い
ものであると共に、散布後時間を置くと、該湿潤消石灰
が乾燥してしまい、発塵抑制効果が薄れるという課題が
あった。
【0009】さらに、の方法は、添加した水がセメン
ト或いは石灰の固化材としての固化性能を低下させ、効
果的な軟弱地盤等の改良ができなくなると共に、水は蒸
発し易く、蒸発すれば発塵抑制効果が無くなり、セメン
ト或いは石灰が再び発塵するという課題があった。
【0010】本発明は、上述した従来の各々の発塵抑制
方法が有する課題に鑑みなされたものであって、その目
的は、セメント或いは石灰を粉体状のまま使用でき、該
セメント或いは石灰の性能を損なわず、かつ気温の変化
にもその発塵抑制効果が薄れず、しかも簡便にして廉価
なセメント或いは石灰の発塵抑制方法を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、セメント或いは石灰に、脂肪族多価アルコ
ールを1重量%を越え、8重量%までの割合で添加混合
し、セメント或いは石灰の表面に、該脂肪族多価アルコ
ールを付着させる方法を採用した。
【0012】本発明においては、上記した如くセメント
或いは石灰の表面に、所定量の脂肪族多価アルコールを
付着させたため、該脂肪族多価アルコールが、セメント
或いは石灰の粉体同士を連結する液体架橋を形成し、そ
の凝集効果により、セメント或いは石灰の発塵を抑制す
ることができる。
【0013】また、脂肪族多価アルコールは、その蒸気
圧が低く蒸発しにくいため、上記発塵抑制効果を長期間
にわたって維持できると共に、水のようにセメント或い
は石灰を固化させる作用を持たないため、該セメント或
いは石灰が、軟弱地盤等への添加混合前に固化する事は
なく、粉体状態のまま該セメント或いは石灰を保存する
ことができる。
【0014】さらに、本発明においては、上記した如く
所定量の脂肪族多価アルコールをセメント或いは石灰に
添加混合するだけの操作でよいため、その作業は簡便に
して廉価なものとなる。
【0015】ここで、上記本発明においてセメント或い
は石灰に添加混合する脂肪族多価アルコールの割合は、
1重量%を越え、8重量%までである。これは、図1の
グラフに示した如く、1重量%以下ではかえって発塵が
多くなり、また8重量%を越えると、混合した脂肪族多
価アルコールは、粉体同士を連結するのみならず、該脂
肪族多価アルコール自体も粉体を挟んで互いに連結し、
ネバネバ状態となり、該セメント或いは石灰の粉体とし
ての流動性を損なうためである。なお、添加量として最
も好ましくは、2〜5重量%である。
【0016】また、本発明において使用する脂肪族多価
アルコールとして好ましいのは、エチレングリコール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、或い
はグリセリンから選ばれた1種、又はこれらの2種以上
の混合物である。これらは特に揮発しにくく、またセメ
ント或いは石灰の固化反応に影響を及ぼさず、しかも無
臭であるため好ましい。なお、この中でも特に好ましい
のは、ジエチレングリコールである。これは廉価であ
り、しかもセメント或いは石灰との混合性も良好である
ためである。
【0017】なお、上記所定量の脂肪族多価アルコール
を、セメント或いは石灰に混合するにあたっては、例え
ば逆流式高速混合機、或いはスキ型ショベル羽根式高速
混合機等により、5分間程度混合すれば、粘性の高いグ
リセリンでも十分にセメント或いは石灰に混合できる。
【0018】また、本発明において対象となる上記セメ
ントとしては、普通・早強・超早強・中庸熱等の各種ポ
ルトランドセメントや高炉セメント、フライアッシュセ
メント及びシリカセメント等の各種混合セメントのみな
らず、アルミナセメント或いはセメント系固化材のよう
な特殊セメントも含まれる。
【0019】さらに、本発明において対象となる上記石
灰は、消石灰、生石灰などの単独使用の物のみならず、
該石灰にポゾラン、石膏などを混入した石灰系固化材も
対象となる。
【0020】
【実施例】以下、本発明を、実施例を示して詳細に説明
する。
【0021】〔実施例1〕普通ポルトランドセメント
に、ジエチレングリコールを表1に示した種々の割合で
添加混合した試料を作成した。該試料を、底面35cm
角、高さ60cmの角形透明プラスチック容器に、その
頂部投入口より200g投入し、その際の発塵量を該容
器の底面より45cm上方に設置した光散乱式デジタル
粉塵計を用いて測定した。測定値は、相対濃度CPM
(Count Per Minute)で表し、表1及
び図1に示した。なお、各試料の粉体としての流動性
も、該試料を手で混ぜることにより評価し、表1に合わ
せて記載した。
【0022】
【表1】
【0023】表1及び図1より、ジエチレングリコール
の添加混合量が、1wt%を越える辺りから急激に発塵
量が低下することが判明した。また、8wt%以上の添
加混合量では、発塵量は少ないものの、粉体がベトベト
となり、粉体としての流動性がなくなることが判明し
た。
【0024】〔実施例2〕日本セメント(株)社製のセ
メント系固化材(アサノクリーンセットCS−10)
に、ジエチレングリコールを3wt%の割合で添加混合
したもの(CS−10防塵型)と、ジエチレングリコー
ルを添加混合しないもの(CS−10従来型)とを、そ
れぞれ室内において粘性土、及び有機質土に表2に示す
割合で混合し、その固化性能に差異があるか否かを試験
した。なお、CS−10防塵型は、その作製後ビニール
袋に入れ9日間放置したものを使用した。試験は、JI
S A 1216の「土の一軸圧縮試験方法」により行
った。測定結果を表2に示す。
【0025】
【表2】
【0026】表2より、セメント系固化材による土質の
固化性能には差異が認められず、添加したジエチレング
リコールが、セメント系固化材の固化性能に影響を与え
ないことが判明した。
【0027】〔実施例3〕地盤改良工事を行う現場にお
いて、上記日本セメント(株)社製のセメント系固化材
(アサノクリーンセットCS−10)に、ジエチレング
リコールを3wt%の割合で添加混合したもの(CS−
10防塵型)と、ジエチレングリコールを添加混合しな
いもの(CS−10従来型)とを、実際にそれぞれシル
ト質粘土に混合し、その発塵状況を目視により観察し
た。セメント系固化材の荷姿は、共に1tバックに収納
したフレコンとし、該フレコンを吊り上げ、その底を開
くことによりシルト質粘土上にセメント系固化材を散布
し、その後、人力により該セメント系固化材を敷均し、
スタビライザーによりセメント系固化材とシルト質粘土
とを混合した。
【0028】上記作業を実施した結果、CS−10従来
型の場合は、各作業時、特に散布時及び混合時には、セ
メント系固化材が周囲に煙りの如く立ち込めたのに対
し、CS−10防塵型の場合は、その舞い上がり量は少
なく、発塵量に明らかな差異が認められた。また、CS
−10防塵型は、CS−10従来型に比し、土との馴染
みが良く、混合し易いものであった。
【0029】以上、本発明の実施例につき説明したが、
本発明は既述の実施例に限定されるものではなく、本発
明の技術的思想に基いて各種の変形及び変更が可能であ
ることは当然である。
【0030】
【発明の効果】本発明にかかるセメント或いは石灰の発
塵抑制方法によれば、該セメント或いは石灰を粉体状の
まま使用でき、かつセメント或いは石灰の性能を損なわ
ず、しかも気温の変化にもその発塵抑制効果が薄れず、
かつ簡便にして廉価なセメント或いは石灰の発塵抑制方
法となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】種々の量のジエチレングリコールを添加混合し
た普通ポルトランドセメントの発塵量を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 24:02) 2102−4G (C04B 28/10 24:02) 2102−4G

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セメント或いは石灰に、脂肪族多価アル
    コールを1重量%を越え、8重量%までの割合で添加混
    合し、セメント或いは石灰の表面に、該脂肪族多価アル
    コールを付着させたことを特徴とする、セメント或いは
    石灰の発塵抑制方法。
  2. 【請求項2】 上記脂肪族多価アルコールが、エチレン
    グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリ
    コール、或いはグリセリンから選ばれた1種又は2種以
    上であることを特徴とする、請求項1記載のセメント或
    いは石灰の発塵抑制方法。
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